Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

アイドル

EMPiRE 『THE EMPiRE STRiKES START!!』

Artist EMPiRE
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Album 『THE EMPiRE STRiKES START!!』

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Tracklist
05. Don’t tell me why
06. TOKYO MOONLiGHT
07. EMPiRE is COMiNG
08. デッドバディ
09. LiTTLE BOY
10. コノ世界ノ片隅デ
11. アカルイミライ

個人的に、最近はWACKグループのアイドルはイマイチ推す気になれなくて、とは言いながらも、2016年に初めて開催された第一回『WACK合宿オーディション』から2017年の第二回合宿オーデ、そして先日行われた第三回合宿オーデまで、自分が見れる時間帯はできるだけニコ生の配信をウォッチするくらい、もちろん投票できる時はちゃっかり推しメンに投票するくらいWACKオーデのフアンだ。

第一回WACKオーデでは、合格した候補者(アヤ、キカ、ゴジ、ペリ)新生BiSとしてWACKグループの一員となり、その一方で落選した候補者はSISを結成するも2秒で解散するという謎の伝説を残したことが記憶に新しい。第二回WACKオーデでは、合格した候補者の2人(パン、ももらんど)BiSに、残りの2人はかのエイベックスとWACKが共同で新たに立ち上げたアイドルプロジェクトに加入すると発表された。それが後のEMPiREである。

ここで改めて、EMPiREの原点とも呼べる第二回WACKオーデを振り返ってみると、個人的にはやっぱり合宿時は仮名で「ガミヤサキ」を名乗っていた現EMPiREYUKA EMPiREの印象が強くて、もちろん投票するくらいには自分の推しメンだった。実はと言うと、自分の中で最終的に合格するガミヤサキ(仮名)モモコグミ.inc(仮名)の他にも印象に残った候補者がいて、その1人が合宿時は「パリ・ウブ」を名乗る候補者だった。当時、配信を見ていて「(推しメンではないけど)こいつ受かるだろうな」っていう妙な確証みたいなのがあった。しかし、実際に最終審査で選ばれなかった時は心底驚いたというか、その時は「渡辺ってホントに人を見る目がねぇな」って思ったくらいで、でも推しメンのガミヤ(仮名)が合格したのもあって、それはそれで過去の話として記憶の淵へと消え去った。

そのオーデから月日は流れ、遂にそのプロジェクトのグループ名が「EMPiRE」であること、そして覆面を被った5人組のグループであるということが公表された。そっから更に何やかんやあって、満を持してEMPiREメンバーの素顔が公開された時は本当に驚いた。そこには、WACKオーデ合格者のガミヤ(後のYUKA EMPiRE)モモコグミ(後のYU-Ki EMPiRE)の姿、そして他の3人のメンバーの中に見覚えのある顔があったからだ。そう、そのメンバーこそ第二回合宿オーデで合格者並に強烈な存在感を放っていたパリ・ウブ(仮名)本人だったのだ。自分は「え、こいつオーデ落ちなかったっけ?しかも合宿の時黒髪じゃなかったっけ?」と色々と情報が交錯して一瞬戸惑ったけど、後に「追加メンバーオーディション」で合格したのだと知った。

その後、ちょくちょくEMPiREの動向を見てて更に驚いたのは、そのパリ・ウブ改めMAYU EMPiREEMPiREの中心的な存在、あるいは実質リーダー的な立ち位置を任されていたことで、もはやオーデ合格者のYUKAYU-Ki以上に目立ってて、なんだろう、合宿オーデ落ちても諦めずに追加オーデで這い上がってきた奴の「覚悟」の違いというか、その言うなれば「覚悟して来てる人」の強さがバックグラウンドにあるMAYUって、実にWACK的なサクセスストーリーの持ち主というか、とにかく今やEMPiREの心柱として必要不可欠な存在になってるの本当にエモいなって。改めて、オーデ合格者のYUKAYU-KiMAYUと同じく合宿最終候補者で追加メンバーオーデ合格者のYUiNA、そして追加オーデ合格者のMiDORiKOからなる5人組、それがEMPiREだった(過去形)。そんなEMPiREは、今年の4月にエイベックソから1stアルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』をリリースしている。

EMPiREは、これまでのWACK所属のアイドルとはあらゆる面で違う。今でこそBiSHがエイベックソ所属のメジャーアイドルとしてフェスにCMにゴリ推されているが、このEMPiREは生まれも育ちもエイベックソのメジャーなエリート集団だ。一つに、まずビジュアルが違う。発端となった第二回のオーデや今回のオーデでも、その合宿に参加した候補者の中でもビジュアルに長けた、例えばAKGにも在籍してそうな正統派な可愛さを持った子がEMPiREに採用されている。2つ目は、まだグループ名発表から一年も経ってないのに、ツアーもしてないのにおはスタに出演できるメジャーだからこそできるメディア戦略。そして3つ目は、何よりも音楽性が違う。

エイベックソの音楽って言うと、90年代のJ-POPを筆頭に、日本の音楽史の一時代を築いたレジェンド小室哲哉を象徴するTKサウンドが有名だが、EMPiREの音楽は皮肉にも芸能界から引退したTKが生み出した、90年代のエイベックスを象徴するTKサウンドを現代に蘇らせたような、とにかく他のWACKアイドルとは一線を画したサウンド・スタイルを特徴としている。元々、WACKアイドルの原点となるBiSBiSHの楽曲はサウンドPの松隈さんが全て手がけていて、その音楽性はオルタナやメロコアなどの90年代のロックがベースにあった。このEMPiREの楽曲も松隈さんが担当しているが、しかしBiSBiSHみたいなバンド・サウンドとは打って変わって、それこそ90年代リバイバル的なTKサウンドをベースに、ダンサブルな打ち込み主体のニューウェーブなサウンドを展開している。



EMPiRE=帝国、その幕開けを飾る一曲目の”FOR EXAMPLE??”から、Perfumeライクなテクノ・ポップ風のダンサブルな打ち込みとダンスフロアの床の底からブチ上げるようなエイベックソ全盛のアゲポヨ感溢れるサビ、まさにWACKアイドルにしか出せないエモさと、エイベックソアイドルにしか出せないメジャーなアゲアゲビートが20年の時を経て邂逅した、全く新しい=ニューウェーブのWACKアイドルの誕生、そして帝国の逆襲が始まることを今ここに宣言する。続く二曲目の”Buttocks beat! beat!”では、天下のエイベックソが誇るお嬢様アイドルが「お尻ペンペン!」とお下品なワードを連呼してWACKアイドルとしての側面を垣間見せる。そして注目すべきは三曲目の”Black to the dreamlight”で、この曲のイマドキのEDM系の洋楽ポップスをウォッチしてないとできないグリッチ風のアレンジとか本当に驚いたというか、改めてこのEMPiREの楽曲の凄いところって、全体的に90年代っぽいのに全然古臭く感じない所で、懐かしさの中にしっかりと今っぽさを残してある、その懐かしさと新しさの融合が最大の魅力で、だからTKサウンドの後継者というよりは、元BiSコショージメグミ率いるブクガことMaison book girlあたりの方向性に近いのかもしれない。しかしロック畑だけじゃなくエレクトロ方面にも精通する松隈さんやっぱスゲーわって。もうこの頭の三曲聴いただけでBiSHの新譜超えたわ。今のBiSHにはないエモさとWACKアイドルならではの「おふざけ」要素、そしてメジャーアイドルならではの大衆的なポップさを併せ持つ名盤です。

その90年代リバイバルとイマのクロスオーバーっぷりにド肝抜かれたかと思えば、今度は初期BiSを彷彿させる、#5”Don’t tell me why”みたいな80年代ディスコのカバー曲かと勘違いしそうなファンキーな曲調もイケるフレキシブルさを発揮し、再び90年代リバイバルなダンサブルナンバーの#7”TOKYO MOONLiGHT”、自らの名前を冠した#7”EMPiRE is COMiNG”、そして一昔前のBiSHがやってそうな「これぞWACKアイドル」な、エモに全振りした疾走感溢れる#8”デッドバディ”は中盤のハイライトで、クライマックスを飾る#10”コノ世界ノ片隅デ”と#11”アカルイミライ”の流れは、まさにそのタイトルどおり、あらゆる困難が待ち受ける未来へ向かって前を向いてしっかりと地面を踏みしめて未来を切り拓いていくような、まさにEMPiREの可能性を無限に広げるような曲で幕を閉じる。序盤は自己紹介がてらツカミのある曲を聴かせ、中盤は変化球を見せつつ、そして終盤で一気にエモさを爆発させる流れで、アルバムの中で起承転結がしっかりしているというか、とにかくそのビッグスケールなビッグビートがマジ帝国感ハンパない。

ここで今度は、先日開催された第三回WACKオーデを振り返ってみる。今回は過去2回のオーデと比べると本当に「豊作」だったと思う。刺し身が食えないアユナ・Cを筆頭に、ガミヤ枠ガミヤやロリ枠のリソリソ、そしてトリバゴ枠ヒラノノゾムなど、オーデ一日目からWACK事務所にお似合いの強烈なキャラクターを持つ候補者がひしめき合っていた。その中でも、個人的に注目していたというか推しメンとなったのはヤヤ・エイトプリンスオレンジコバンパイアで、ニコ生の配信で何度もヤヤは逸材と気持ちの悪いコメントを残すくらい、投票タイムはヤヤに全フリしたのは言うまでもない。しかし、合宿の日程を一日一日と消化していくにつれ、自分の中で過去オーデのトラウマが蘇ってきて、「このままヤヤが残ったとしても、最終審査で渡辺に落とされる可能性・・・うっ、頭が・・・」と猛烈な不安が襲いかかった。実際に、最終日の最終審査に残った候補者は誰が合格しても不思議じゃない、むしろ全員受かってほしいくらいの心持ちだった。

合宿最終日は、オーデの合否発表の前に、WACK所属のアイドルが一同に介するフリーライブイベント「WACK EXHiBiTiON」が開催され、大阪城音楽堂に集まったWACKファンの前で、EMPiRE→ギャンパレ→BiS→BiSHの順にライブを披露した。それぞれ各グループの個性と現状をさらけ出しつつ、ギャンパレの時は「ギャンパレ勢いスゲーな」とか、BiSの時は「あれ?誰か1人足んなくね?」とか、BiSHの時は「アユニ完全にエースやな」とか思いながらも。実は、ここで初めてEMPiREのライブを見たのだけど、確かに昨年の合宿から約一年でここまで完成されたパフォーマンスが出せるのは十分凄いと感心した反面、でも間違いなくこのままじゃ「絶対売れない」と断言できるほどでもあって、それは他のWACKアイドルと比べてもそうだし、なんだろう思いのほか地味すぎるというか、生まれてこの方エイベックソ育ちってのもあって妙に優等生すぎる印象で、とにかく「このままじゃ絶対に売れない」と。そして、ぞれぞれがのグループがライブを終えた後のオーデ合格者発表の場で、またしてもEMPiREに衝撃が走った。

前回のオーデと同じ構図で、最終審査まで生き残った候補者とマネージャーの渡辺がステージに登場する。いつ見ても(見てるコッチが)緊張する瞬間だ。正直、ここでヤヤ・トゥーレオレンジ落選させたらWACKから完全に見切りをつけるつもりだった。しかしそこは渡辺、過去の合宿で反省したのか、それとも合宿時のデスソース事件の罪滅ぼしか、結果的に最終日に残ったほぼ全ての候補者が合格する形となった(安堵)。初めに、渡辺からギャンパレリソリソヨコヤマヒナが加入することが発表され、そしてEMPiREミチハヤシリオヤヤ・トゥーレが加入、そして最後はBiSという名の牢獄に残りの候補者がブチ込まれる形に。更にBiSはJリーグ方式を採用、BiS1stBiS2ndに分裂することがアナウンスされた。そして、ここから更に衝撃の展開を見せる。なんとYUiNA EMPiREBiSに完全移籍することが発表されたのだ。なんだろう、もうそこからのEMPiREが醸し出すエモさが凄くって、もうメンバー皆んなうなだれて当然のように泣いてて、MiDORiKOに至っては中指おっ立てちゃう始末で、もうなんだろう、この時点で「EMPiRE推せる」ってなったというか、ついさっきの(ライブ)まで「絶対に売れない」と思ってたのに、でもヤヤ・トゥーレが加入して、更にこんなエモい光景見せられて、こうなったら「絶対に売れる」って確信した。その「売れない」「売れる」にイメージ反転させちゃうほど、自分の中でちょっとヤヤ・トゥーレは逸材だと思ってて、(いまさっきアイドルになったばっかりの子にプレッシャーを与えるつもりはないけど)今後EMPiREが「売れる」か「売れない」かは全てヤヤ次第と言っても過言じゃあない。とにかく、今回の一件で一番の勝ち組が合宿に参加してないEMPiREだったのは本当に皮肉で、そのエリート集団が泥水をすする、ある意味生まれて初めて「WACKの洗礼」を浴びたことで、BiSの残像を追って泥水すすってた時代からメジャーまで這い上がったBiSHと、エリートコースから転げ落ちて泥水すすってるEMPiREという対比が、また新たなWACK物語を生み出してくれそうな予感と期待しかない。やっぱWACKサイコーだな!(アユニからヤヤに推し変しながら)

ここまで、それらの要素から導き出される答えは・・・「EMPiREは絶対に売れる」ということ。確かに、他のWACKアイドルと比較すると、メンバーの声質に個性が足りない印象もなくはないけど、打ち込み系のトラックと違和感なく馴染んでいるのは好感が持てるし、思った以上にYUKAがエモい声質してて推せる。でもメンバーで一番個性的な声がYUiNAだったから、今回の移籍は本当に惜しい。ここにヤヤ(MAHO EMPiRE)ミチハヤシ(MiKiNA EMPiRE)が入ってどんな化学反応を起こすのか?そういった面でも、グループの将来性および伸び代は今のWACKで一番あると思うし、自分の中でも完全にBiSHが終わったタイミングで、このEMPiREが出てきたのは本当に最高なタイミングだった。

そして運命の5月1日、新メンバーを加えた6人の新生EMPiREがこの世に降り立った。



これは売れる(確信)
つうか売れない要素がねぇわ。

BiSH 『THE GUERRiLLA BiSH』

Artist BiSH
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Album 『THE GUERRiLLA BiSH』
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Tracklist
01. My landscape
02. SHARR
03. GiANT KiLLERS
04. SMACK baby SMACK
05. spare of despair
06. プロミスザスター
07. JAM
08. Here’s looking at you, kid.
09. ろっくんろおるのかみさま
10. BODiES
11. ALLS
12. パール
13. FOR HiM

はじめに、2017年に発表されたミニアルバム『GiANT KiLLERS』について、ちょっとだけ訂正があります。厳密に言えば2曲目の”Marionette”についてで、この曲って初めて聴いた時はてっきりチッチメインの楽曲だと信じ切っていたのだけど、でも最近になって久々に聴いてみたらメインボーカルがどう聴いてもアユニだった件について。当初はチッチメインのV系っぽい曲だからアユニの歌割りが少ないだけかと思ってて、でもチッチだと思ってた歌声が実はアユニだったという、わりと今さら個人的に重大な真実を知ってしまった。

この勘違いが起きてしまった理由としては、自分の中で「アユニはアイナやチッチほど歌えない」と一方的に決めつけちゃってたキライもあって、だから「アユニは歌える」という真実を知ってしまった今、改めてこのミニアルバムは昨年の年間BESTに入ってもおかしくない名盤だったんだなって。逆に、その真相を知ってしまったからチッチの評価が下がるということは全くなくて、むしろ上がったくらい。何故なら、この”Marionette”の(アユニパートと勘違いしていた部分を除く)チッチって、このV系っぽい楽曲に合わせたような、いわゆる「V系歌唱」を駆使して歌ってるのがポイントで、つまり今のチッチってメインボーカルの座を(今やMONDO GROSSOと共演するまでとなった)アイナと(今やBiSHのエースとなりつつある)アユニに奪われた3番手の立場にありながらも、しかしアイナアユニにはできない「V系歌唱」という(少なくとも他のアイドルでは見たことがない)特殊な歌唱法(スキル)を身に着けて、自らの個性として確立しているチッチの凄さな。

そのミニアルバムの中で個人的に一番グッときたのは、アルバムの最後を飾る”VOMiT SONG”という曲で、自分の中でこの青春パンク直系の「エモさ」こそBiSHの本当本気だと思った。で、この曲を聴いて何を思い出したかって、それこそ自分が高校一年生くらいに当時ハマっていた氣志團の2ndアルバム『Boy's Color』とかいう名盤だった。それぞれの作品に共通するのは、まさに青春真っ只中のティーンエイジャー特有の刹那的かつセンチメンタルなエモみで、もし自分の高校時代にBiSH”VOMiT SONG”を聴いていたなら、間違いなく部活帰りの電車の中で繰り返しリピートしてたんだろうなって。つまり、今のBiSHってアイドル(偶像)としてではなく、それ以上にティーンエイジャーのアイコン(憧憬)的な存在になりうる、ティーンエイジャーにとっての「青春」そのものなんだろうなって。正直、今の10代が少し羨ましくもなった。とにかく、そういった面でも、ミニアルバム『GiANT KiLLERS』は各メンバーのスキル/パフォーマンスが成熟しきったからこそ生まれた傑作だ。だからこそ、だからこそ同年に発表されたメジャー2ndフルアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』の内容に対して、僕は大きな失望を隠すことができなかった。



幕開けを飾る#1”My landscape”から、それはまるで「アイドル界のコールドプレイ」かと思うほど、アリーナいやスタジアム級のメジャーに洗練されたスケール感溢れるオーケストラをバックに、山猫という野生動物の立場とアイドルという自らの立場を共振させた歌詞を駆使して、リリカルでエピックな雰囲気をまといながら徐々にサビへと這い上がっていく。メジャー感マシマシの1曲目を聴いて【楽器を持たないパンクバンド】とは名ばかりかよと思った矢先、Dビート直系のゴッリゴリなハードコア・パンクの#2”SHARR”でメンバーの「シャーーーーー!!」とかいうシャウトが炸裂した瞬間、「holy shii...」とつぶやく間もなく2秒で脳天ぶち抜かれた。まるでTWDのニーガンにルシールで脳天フルスイングされたような気分になった。

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やっぱりBiSHの楽曲における大きな転換期って、メジャー1stアルバムでは”オーケストラ”、今作で言うところの#4”プロミスザスター”だと思うのだけど、なんだろう、そのメジャーというか大衆を意識したポップなノリに作品全体のテンションが引っ張られてる印象で、それくらい全編に渡って「Mステでちゃいますアタシたち」感溢れる「売れたアイドル」ならではのポップスが最初から最後まで貫かれている。でも「何かが足りない」と考えた結果→そうだ「エモさが足りない」という結論に至った。

結局のところ、前作のメジャー1stアルバム『KiLLER BiSH』の何が凄かったかって、とにかく全曲エモさに振り切った作風の中に、例えばMastodonみたいな破天荒なハードコアだったり、Led Zeppelin”天国の階段”みたいなハード・ロックだったり、オルタナっぽいブラック・メタルみたいな曲だったり、シャカラビッツみたいな曲があって、その手のコアな楽曲派が楽しめるような曲が今作にはない。この内容で「楽曲派に支持されるアイドル」って本当に勘弁してほしい。今の楽曲派はとっくの昔にBiSHじゃなくてネクロ魔推してますね。

ただのメロコア/J-POPというか、単純に松隈&渡辺コンビのライティング不足が否めなくて、厳密位に言えばライティング不足というより、それこそ【楽器を持たないパンクバンド】ならではの破天荒でアヴァンギャルドな「トガリ」不足と表現した方が的確か。そういった面でも、今のBiSHのメイン層に向けたアルバムというか、フェスキッズ向けの何の面白みのないアルバムです。なんだろう、今のBiSHっていわゆる「メジャーデビューして終わる邦ロックバンド」の典型、そのアイドル版を地で行ってる。

ダウンタウンのまっちゃんが「今の漫才にはおふざけが足りない」と言うように、それと同じで「今のBiSHにはおふざけ=アソビが足りない」と思う。そう実感させるアルバムで、エモくないBiSHとかもはやBiSHじゃないし、もう完全にWACKのBiSHじゃなくて、エイベックスのBiSHになっちゃったんだなって。これはエイベックソと言わざるを得なかった。もう一生【楽器を持たないパンクバンド】名乗んなよって感じ。

例えば『GiANT KiLLERS』”Marionette””VOMiT SONG”みたいな、前者のサブカルっぽい曲や後者のエモにステータスを全フリしたような曲がないのが痛い。強いて言えば、10曲目の”BODiES”から最後の”FOR HiM”までのアルバム後半は過去作に匹敵する曲のクオリティだっただけに(これで300円の元取れた)、尚さら惜しい感じ。それこそ、中盤の曲の代わりに”Marionette””VOMiT SONG”が入ってたら、ここまで酷い印象にはならなかったと思う。あと、これはアイナの喉の手術が影響しているとは思いたくないけど、単純にアイナをはじめ全体的にエモいボイスが足りなすぎる。しかもリンリンの良さも消えてて、今思えば1stアルバムのエモさってリンリンあってのものだったんだなって。

なんかもう俺の中で完全にBiSH終わったわ。今のBiSHは本物のクソアイドルだ。WACK界隈では主に「いい意味」で使われる「クソ」じゃなくて、正真正銘の悪い意味での「クソ」だ。だから最新シングルでメンバーが黒塗りペイントに扮したアー写を「ブラックフェイスだ!」と焚き付けてBiSH炎上させたろかなと思ったけど、マネージャーの渡辺はそれで炎上する可能性すら計算の内にしてそうだから、やっぱ炎上さーせないっ!

【2/25】predia tour 2018 "Fabulous"@名古屋クワトロ

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やっぱ俺の推しメン凄いわ。初っ端の自己紹介で全部持ってくんだもん。

いま思い出してみても、前日(24日)のイオンモールで行ったフリーライブは色々な意味でエモすぎた。この日(24日)の誕生日にアイドルのライブを観に辺境地のイオンに行く自分と、地方の辺境地にあるイオンモールの屋外で道行く家族連れを前に極寒の中フリラする結成7年目の平均年齢28歳の場末アイドルのprediaには、いわゆる一種の共感覚的な「引力」を感じざるを得なかった。そして、その伝説のフリラの翌日(25日)に行われた、2月14日のバレンタインデーにリリースされた2ndアルバム『ファビュラス』を冠するツアーの名古屋公演は、当たり前だけどイオンのフリラとは打って変わって気合い入りまくりな怒涛のパフォーマンスを見せつけた。つうか、そんなことより、この日(25日)が誕生日の元でんぱ組の最上もがの年齢が29歳だったことの方が衝撃だったわ。一個下だったのか・・・もがちゃんprediaにおっても違和感ないやん・・・。

前日(24日)に三十路の誕生日を迎えて、その翌日も合わせて2連ちゃんでprediaのライブは色々な意味でヤバいと思いながらも、本日の会場となる名古屋クワトロは、昨年に初めてprediaのライブを観た新栄のライブハウスよりもステージが高く、奥行きもあり、メンバー10人が横一列に並んだ時の収まり具合がちょうどよく感じ、目の錯覚からクワトロがいつも以上に広く見えたほど。しかし、相変わらずの骨密度だった。昨年の11月に日本青年館ホールで行われた、結成7周年を記念するツアーのファイナル公演を観た時は、「ホールのpredia」を観たら二度と「ライブハウスのpredia」には戻れないと思ったほど、階段などの高低差やワイドレンジのステージで10人のポテンシャルを余すことなく、ホールで演るのが初めてとは思えないオトナの魅力で埋め尽くしていた。

改ためて、今日の「ライブハウスのpredia」を観て思ったのは、「ホールのpredia」も良いけど、やっぱり「ライブハウスのpredia」が良い、という結論に至った。所詮はライブハウスかもしれないが、されどライブハウスなのも事実で、この近い距離で隙間のないステージ一杯の骨密度で観るprediaのパフォーマンスは圧倒的過ぎたというか、それこそ『ファビュラス』がリリースされて一発目の実質ツアー初日ってのもあって、前日のフリラによるメンバーの体調やモチベーションに対する不安を吹き飛ばすような、ツアータイトルを冠した一曲目の”Fabulous”からダンスも歌もバッチバチのキッレキレの破壊力で鳥肌立ったのと、やっぱりprediaはワンマン観てナンボなアイドルだと再確認させられた。

自分は公式の先行抽選でチケットを取ったらギリ200番切るくらいの整番で、番号順に入場したら既にフロアの前半分は埋まっていて(恐らく殆どがFC会員)、下手側には女性専用スペースがあって、少なくともレーベルメイトの某メイドよりは女性ファンがいた。そんな中、自分はほぼセンターからライブを観ることにしたんだけど、そのおかげで常にセンターラインを張ってるメインボーカルのあかねに視線が集中してた気がする。もちろん、あかねの超絶歌唱っぷりに自然と目が惹き寄せられたってのが正しい理由だ。そして、推しメンランキングに変動があったことは言うまでもない。

もちろん、一番の目的は推しメンの桜子だ。それは開演から数曲終えて自己紹介MCの事だった。はじめに上手側の怜ちゃんから一人ずつ自己紹介をしていく流れで、ちんころぴーは名古屋だけに「なごなご!」と独自のコール&レスポンスを披露して、そこから左に向かって瑠美奈→あかね→ルナルナ→あっきーときて、そして桜子の順番になったら桜子がさっきのちんころぴーのモノマネしながら「なごなご!」とか言い出して笑った。いやいやいや、それはちょっと可愛すぎるだろ。え、何その可愛いの。え、何その可愛いの。もうなんか初っ端の自己紹介から桜子が全部持ってった。何キッカケでもいいから、マツコ・デラックスに見つかんねぇかな桜子。で、その桜子は桜子で、正直かなり気合入ってた気がしたけど、これは気のせいかもしれない。でも歌は本当に安定してたし、歌の安定感という点ではら子はメインボーカルの2人を凌ぐモノを持っている。

【2/25】predia tour 2018 "Fabulous"@名古屋クワトロ
セットリスト
01. Fabulous
02. Shade of you
03. Ms. Frontier
04. Wake Up
05. 美しき孤独たち
06. Addicted To Your Secret
07. 名もなき白い花は消え逝く
08. SHADOW PLAY
09. Hotel Sunset
10. ギリラブ
11. Secret of Light
12. Voyage
13. you slipped away
14. SUPER WOMEN
15. The Call
16. 夜想曲~赤い残り香りの誘い~
17. Close to you

本日のセットリストは、『ファビュラス』ツアーだけあって半数以上が新譜の曲で構成されている。そのアルバムのリードトラックの”Hotel Sunset”の前には、ニコ生で放送した柏公演のアルパカ演出ではなく、ちんころぴーとあっきーがホテルウーマンの設定でアテレコという名の茶番をやってたけど、そして例の「ピーチマンゴー&バナナ」のフリを、頭の片隅で「三十路なのになにやってんだ俺・・・」とか思いながらも、ちゃんとメンバーと一緒にやった俺エラい。ライブ初披露となった”Addicted To Your Secret”は、あかねと瑠美奈と桜子の3人がメインボーカルを務めるバラードで、意外だったのはその3人以外のメンバーもダンスでステージの華として、メンバーそれぞれの得意分野を活かすようなまさにライブ映えする曲だった。あと”SHADOW PLAY”がニコ生で観たのと違ってヘドバンなしのフリに変わってた。確かに「ヘドバンはよくない」からね、しょうがないね。

ハイライトは”SUPER WOMEN”で、バッキバキのオケとボーカルの破壊力にぶったまげた。正直、歌で耳バイーンなるアイドルとか初めてみた。少なくとも、去年のワンマンでは全くそんなことなかったけど、『ファビュラス』を出してかなりパワーアップしてきてる。もはやリアルスーパーウーマン化してる。これは強い。あと、この曲の「無謀なミッションでも 華麗に挑むの」って歌詞のソロパートを誰が歌ってるのかずっと気になってて、自分の中で消去法で最終的にちんころぴーとゆずかの2人に絞り込まれたんだけど、実際にライブで観たらちんころぴーのソロパートで、ゆずかじゃなくて安心した。でも、ちゃんの声ってもっとprediaの武器にして良いんじゃないかな。新譜でも、それに伴うツアーでも思った事があって、それは「坂口けいこのソロパート多すぎ問題」で、例えばあっきーの歌ってドヘタなんだけど、確かにドヘタなんだけど「あ~!アタシ歌めっちゃヘタだ~!」みたいな感じが逆に萌えるというか、でも坂口けいこのソロパートには「その感じ」が微塵もなくて、むしろ自分の歌が上手いと思ってる説すらあって、要約すると坂口けいこは推せない。

正直、『ファビュラス』から個人的に好きな”クレオパトラ”と”水曜日の嘘”のどちらか片方は演るだろうと予想してたけど、バラードの”Addicted To Your Secret”を初披露したところで、「あ、これ出し惜しみパターンや」と察した通り、新譜の目玉でありラスボスの2曲は演らなかった。そら実質ツアー初日にラスボスは出さないか。もちろん、今後ツアーのどこかでラスボス初披露するんだろうけど、少なくともそのラスボスが一堂に会するのはツアーファイナルの赤坂ブリッツってのは容易に想像できる。つうか、そのラスボス不在の余力を残した状態でこのハイクオリティのライブがやれるとなると、そのラスボスの2曲が出揃うであろうツアーファイナルを今から想像しただけでヤバい。これファイナル行きてぇ・・・。オワコンメイドじゃなくてprediaのファイナルの方が絶対に盛り上がるでしょ・・・。行くか・・・。

改めて思うのは、『ファビュラス』を出したことでよりセトリに幅が出てメリハリが生まれたことで、よりライブ感が増したような印象を持った。音源のイメージどおり、実際にどの曲もライブ映えするし、まぎれもなくprediaというアイドルの可能性を無限に広げる傑作だということが、今日のライブを通して理解することができた。ちなみに、アンコール最後の”Close to you”では、サビの時にちんころぴーに指を刺された勘違いはあった。さすがちんころぴー、お目が高い。そういった意味でも、今日のライブ観たら自分の中であかねとちんころぴーの評価がバク上げして、推しメンランキングに急浮上した。

印象的だったMCは、ゆずかが皆んなで大浴場に行った話を振って怜ちゃんが「浴場」って言うと別の意味(欲情)に聞こえてエロいとか(やっぱりアイドル版ABCじゃん)。あとはちんころぴーと坂口けいこが仕事で名古屋に前乗りする日の朝に、マネージャーからの仕事ラインに「やっちゃいました・・・今起きました」ってきて、結局みどりの窓口で自腹で乗車券買って名古屋行って、そのお陰でマネージャーから上ロース奢ってもらった話とか。

本当に今のprediaは今見なきゃ損すると思う。だから名古屋ローカルの『BOMBER-E』は、いい加減にBiSHに飽きてprediaをスタジオライブに呼んでお願い。あとライブが終わって家に帰ったら魔が差してFCの詳細見てたら思いのほかリーズナブルで危うく入りかけた。個人的に人生初のFCは「Janne Da Arcが復活した時」と決めているから。でも、このprediaが「アイドル版ABC」だと考えるとセーフじゃね?

【2/24】30歳の誕生日にprediaとかいうemo_BBAのフリラに行った話

実はおいら、誕生日がDIR EN GREYのドラマーShinyaと同じ2月24日生まれなんだけど、その「三十路」の節目となる目出度い日に、翌日の25日に名古屋クワトロワンマン公演を控えた、prediaとかいう平均年齢28歳のアイドルが名古屋でフリーライブを行うとの情報を得た僕は、名古屋のタワレコかな?それとも栄かな?とワクワクしていた。

イベント会場はイオン茶屋店。今週に入って直前に会場を手配したせいか、名古屋や栄のタワレコは既にスケジュールが埋まっていたせいか、となると選択枠は必然的に辺境地に限られてくる。このイオン茶屋店は、まさに名古屋市は名古屋市でも港区という辺境中の辺境の地にあって、つうか「誕生日に辺境地で平均年齢28歳の場末アイドルのフリラを観る」という行為・・・めちゃくちゃエモくないですか?

そんな辺境地でやって人集まるのか?って感じなんだけど、自分は2時スタートの30分前くらいに着いて、決して多いわけではないが遠目から見て「おっ、ここか」って分かるくらいには人が集まっていた。本日のイベントスペースは一階の屋外ステージで、前の3列は椅子で後ろが立ち見。でも肝心のステージは幅は狭いし低いしで、自分は背が高いからいいものの、後ろの人は相当見づらいだろうなと。

そんな過酷な状況で、改めて(今日は比較的暖かかったけど)こんな寒い中ライブするとかご苦労さんだねぇ、というか、結成7年目のアイドルが真冬に地方の辺境地(イオンの屋外)でフリラするって考えただけで、なんかもう始まる前から涙が出てきた。だって、三十路に突入した僕の一個上の先輩である最年長のあっきーパイセンとか、今日の寒さで肌年齢が70歳超えるじゃないかと心配したわホントに。「平均年齢28歳」のアイドルにとって冬の寒さはもはや「死活問題」だからホントに。そう考えたら、やっぱ今のprediaほどエモいアイドルって他にいないと思うし、もはや俺の中でのprediaの愛称はemo_BBAだ。

そうこうする内に、開始時間の2時になると、ニコ生で見た司会者の人が出てきて、どうやら「これからリハーサルやって本番」との挨拶が。しばらくするとメンバーが上着を羽織った状態で登場。しかし何故かまいまいだけ上着なしだった。鉄人かよ。で、この距離から直で見る推しメン桜子は流石に「お~」って感じだった。相変わらず何ヘアーなのか分からん髪型だけど(バナナヘアー?)。

何曲かザックリとリハしてから一旦捌けて遂に本番へ。本番前には司会の人から場所(イオン)が場所だからコールなしで拍手オンリーで、というお願いが。そして本番。再びメンバーが登場すると、一曲目は先日リリースされたばかりの2ndアルバム『ファビュラス』から、普段のprediaのイメージとは真逆のアイドル然とした”Wake Up”を披露。それこそ、道行く家族連れが見ているかもしれない状況としては、これ以上ない選曲だ。それが終わると、1人づつ自己紹介(名前だけ)。2曲目は、これも新譜に収録されたシングルの”ヌーベルキュイジーヌ”で、なんだろう、ステージが狭すぎてクッソ踊りづらそうだった。そして3曲目に”Hotel Sunset”で、曲が始まる前に誰かがMCで例のサビのフリを子供に強要してたけど、そもそもこの曲を子供の前でやるとか教育に悪すぎて腹の中で笑った。からの”Close to you”、最後の”Fabulous”まで、全5曲でMC合わせて30分くらい。後は明日のワンマンの告知とかツアーファイナルの告知とか。

そもそも、この完全無欠のアウェーでヤル気出せってのも無理な話で、だって沢口けいことか完全にヤル気なかったしw そんな中でも怜ちゃんの魅せプレイには惹き寄せられるナニかがあったし、あと意外にもちゃんころぴーが寒そうながらもハキハキ踊ってて、なんかスゲー見直した。メインボーカルの2人は、こんな寒い中でもしっかり歌いきった(でも瑠美奈ちょっとツラそうだった)。あと、ら子あっきーあかね瑠美奈怜ちゃんちゃんとは目が合った、というドルヲタ特有の基本的な勘違いはあった。やっぱり、こんな狭いステージだと目移りが凄い。基本的には、【桜子→怜ちゃん→瑠美奈→桜子→怜ちゃん→瑠美奈→あかね】、こんな感じで無限ループしてたわ。やっぱ瑠美奈キテるな。

フリラ後にメンバーは特典会やってたけど、自分は参加せずにそのまま帰った。だって誕生日にアイドルと握手する自分というのを客観的にイメージしただけで死にたくなったし。いや、でも記念すべき三十路の誕生日に推しメン見れたことは、何もないよりはむしろ最高の誕生日プレゼントになったし(自己満)、もはや「イオン」の対義語みたいな「predia」のイオンモールでのライブは、とにかくギャップとエモさが凄くて、最終的には謎の感動を覚えた。同世代として素直に応援したくなった。明日のワンマンも期待できそう。でもどうしよう、今日の寒さで5人くらい風邪ひいて残りの5人だけの公演になったら。それはそれで見たい気もするけど。

predia 『ファビュラス』

Artist predia
4203267-chuu

Album 『ファビュラス』
_SX355_

Tracklist
1. Fabulous
2. SUPER WOMEN
6. クレオパトラ
7. Secret of Light
8. SHADOW PLAY
9. 水曜日の嘘
10. Addicted To Your Secret
12. Wake Up
13. Close to you

2017年は、個人的に「ドルヲタ回帰」した年でもあって、ひょんなことからライブに通うことになったprediaはその象徴たるアイドルで、昨年の11月に日本青年館ホールで行われた結成7周年を記念するツアーファイナル公演では、「平均年齢28歳」の大人アイドルらしいベテランの円熟したパフォーマンスを披露した。そんな、「いま最も面白いアイドルの一つ」と言っても過言じゃあないprediaのメジャー2ndアルバム『ファビュラス』は、2017年に全世界の女性が力を合わせ蜂起した#metoo運動やTime's Up運動を筆頭に、昨今の世界的な女性運動の流れを汲んだ全女界の希望となる、実に”ファビュラス”な良作となっている。

幕開けを飾る表題曲の#1”Fabulous”から、それこそ「私たちがprediaです」と自己紹介するような、それこそ「これまでのpredia」を素直にブラッシュアップしたような、そして「これからのpredia」を宣告するかのようなダンスチューンで、その一段と洗練されたPerfumeライクなダンサブルなテクノ・ビートとpredia最大のウリであるあかね瑠美奈の2人を中心とした力強いボーカル・パフォーマンスが、「大人アイドル」としての「プライド」と「女の底力」を見せつける。

昨今の女性運動の流れは、近頃のハリウッド映画にも見て取れる。ギリシア神話をモチーフとしたダイアナ・プリンスをDCコミックスが初の「女性ヒーロー」として描いた映画『ワンダーウーマン』に対するprediaからの回答としての#2”SUPER WOMEN”は、それはまるで瑠美奈の全身筋肉に覆われた肉体美が奏でるバッチバチのEDMをフィーチャーした、今まさに世の女性にWe Are The Women!!と雄叫び上げろと蜂起を促すような、まさにこれからの「女が強い時代」を象徴するような曲だ。



ダイナミックな艷系EDMの”Ms.Frontier”と往年の歌謡曲というかハロプロっぽい”ヌーベルキュイジーヌ”という昨年のシングルを立て続けに聴かせる。ちょっと驚いたのは、「え、”ヌーベルキュイジーヌ”ってこのアルバムに入るの?」ってことで、ライブだと定番曲みたいになってるからもっと年季のある曲かと勘違いしてた。どうでもいいけど、その”ヌーベルキュイジーヌ”のサビの私 三分前にクラクラ 一分後にはウラハラ♫私 三分経ったカップラーメン 一分後にはノビノビ♫って脳内変換するのやめたい。あとこのサビのフリは好き。



そして今作のリード曲となる”Hotel Sunset”は、これまでのprediaのイメージをガラッと変えるような、というか「これもprediaの側面の一つ」として、大人アイドルの新たな表情を垣間見せる。まるで90年代のMONDO GROSSO感溢れるボサノヴァ風の曲調が、オタクを真夏の南国ムードに誘い休日のバカンス気分にさせる。この曲、アイドルだからって大したことないと思いがちだけど、さすがにリード曲なだけあってトラックに「こわだり」を感じさせるくらい完成度は高いです。

そして最も注目すべきはその歌詞で、実はprediaの歌詞ってドギツイ下ネタじゃないけど、いわゆる「その行為」を比喩的な言葉を使って表現する曲が9割なんだけど(えっ)、この曲のピーチ、マンゴー&バナナという歌詞はその最もたる例で、もはや比喩的ですらない直接的に「その行為」を指していて、こんなパンチのある歌詞は「大人アイドル」のprediaにしか歌えないし、相変わらずトンデモねぇ歌詞をサラッとやってのけるというか、これもう「アイドル版Acid Black Cherry」だろ。ABCが喜びそう。だから、ABCがヘドバンのヤリ過ぎで静養中のTEAM-ABCにはprediaがオヌヌメです。

あとこの曲、言っちゃあなんだけど、過去にクソみたいなMVしか量産してないprediaにしては、かなり見ごたえのあるMVになってて、『Hotel Sunset』の「ホテルウーマン」に扮するメンバーの表情や演出、そしてさっきのピーチ、マンゴー&バナナのフリが面白くて、その中でも瑠美奈は他のメンバーよりビジュアルレベルが高く映っていて、危うく桜子から瑠美奈に推し変しかけた。個人的にオヌヌメのシーンは、メンバーがオタクの部屋にスネークして踊り出すシーンで、このシーン、よく見ると律儀にメンバー全員が裸足で踊ってて、これには足フェチの俺歓喜。俺も怜ちゃんに部屋に引きずり込まれたい。あと林の谷間は本当に誰得なんだ。

そのバカンス気分から一転して、やけに壮大なイントロとともにあかねのゴッドボイスが「眠りから目醒めよ」と古代エジプトのファラオ”クレオパトラ”を蘇らせると、今度は”クレオパトラ”の魂が宿ったまいまいが「跪キナサイ」とドSの女王みたいなセリフを放つと、そして平民となった僕は「一体何が始まるんです!?」と困惑。この曲は、その名の通り絶世の美女とされた古代エジプトのクレオパトラをテーマにした曲で、エジプト風のエスニックなアレンジを効かせたスケール感溢れるトラックと、それこそ『サクラ大戦』のOPみたいな90年代のアニソンっぽい二次元的な世界観の中で、もはや「10人のクレオパトラ」が織りなす、プトレマイオス朝を舞台にした宝塚歌劇団の公演を観ているような錯覚を憶えるほどで、これもう完全にラスボスだわ。完全にネタ曲かと思いきや、むしろ一周回って超絶カッコイイというか、普通にアルバムの中でも1,2を争うレベルのキラーチューンだと思う。だって瑠美奈に「絶世の美しさだと崇めよ」と言われたらこんなん絶対拝めちゃうでしょ。もはや瑠美奈に養われたい。

この”クレオパトラ”、メインボーカルのあかね瑠美奈の超絶的なボーカルに圧倒されるというよりも先に笑ってしまうくらい凄い。この手の「パワー系」の曲であかねの右に出るアイドルは他にいない、いたとしたらそれは瑠美奈だけで、それが同じグループという奇跡、逆に言えば同じグループにいたからこそ可能にした曲とも言える。確かに、推しメンの桜子の歌も安定感があってかなり良くなってるけど、それ以上にメインボーカルの2人が異次元過ぎるというか、それくらいメインボーカルの歌が、とにかく歌が凄い。単純に、それ相応の歌唱力とスキルがないと歌えない曲を難なく歌っちゃうあたり本当にヤバい。なんだろう、『ライオンキング』で例えるならあかねが父親のムファサで瑠美奈が母親のサラビ、その子供のシンバが桜子みたいな、モンハンで例えるとあかねがリオレウスで瑠美奈がリオレイア、その子供レイアが桜子みたいな関係性が面白くて、なんかもう歌で縄張り争いしてるようなぶつかり合いに興奮する。その3人の他にも、サビで聴けるまいまいルナルナのソロパートも凄く効果的で、曲の中でそれぞれメンバーの歌の個性が活かされている。

大所帯アイドルになると、2つのユニットに分かれた曲を披露することも珍しくなくて、7曲目の”Secret of Light”と8曲目の”SHADOW PLAY”はまさにそれに当たる曲で、まず前者の”Secret of Light”瑠美奈帽子女ちゃんあっきールナルナの5人で回す曲で、さっきの壮絶な曲からまた一転してめちゃくちゃ「アイドル」してるキラキラしたポップチューンで、珍しくちゃんの歌声とあっきーの歌声がよく聴こえてくる。そうやって普段は歌割りの少ないメンバーの歌が目立つという意味でも、グループ分けソングはアルバムにメリハリを生み出す効果をもたらしている。この2曲の編曲を担当した阿久津氏による西海岸インスト系のファンキーなギターも実に効果的。後者の”SHADOW PLAY”は、あかね桜子怜ちゃんまいまいの5人で回す曲で、一方の”Secret of Light”と対になる歌詞とストリングスとピアノをフィーチャーしたヘドバン推奨のハードでロックな曲調がカッコイイし、この手のあかねら子は強いし、改めてまいまいの歌が映える曲でもあるし、怜ちゃんはお得意のセリフで曲を盛り上げる。よし、5人全員いるな!

怜ちゃん「終わらせてもいいの?」←可愛い
あっきー「あなたが欲しいの」←可愛い
帽子女「愛してるって言って!」←笑う

アルバムのハイライトを飾る#9”水曜日の嘘”は、これまでのpreadiaが得意としてきた言わば専売特許のエモいパワーバラードで、同時に怜ちゃんあっきー帽子女によるサビ前のセリフが印象的な曲でもある。怜ちゃんあっきーのセリフは似合ってて可愛いんだけど、帽子女の部分だけは聴くたびに「フフッ」って笑う。あと地味にAメロのオルタナ風のギターがいい。正直、”クレオパトラ””水曜日の嘘”は頭一つ抜けてる印象で、この2曲は真っ先にライブで聴きたいと思った。

アルバムの後半は、メインボーカルの2人と桜子の歌で聴かせる王道バラードの#10”Addicted To Your Secret”、シングルの#11”禁断のマスカレード”、アイドルポップスの#12”Wake Up”、そしてシングル”Ms.Frontier”のカップリング曲である#13”Close to you”まで、時には悪い女から強い女、時にはOL女からめんどくせぇ女、時には不倫女から魔性女、そして時にはホテルウーマンから時空を超えてクレオパトラまで、様々なシチュエーションで十人十色の女を演じ分けるのが、このprediaというアイドルだ。

全体的に西海岸的な温かい匂いを感じるアルバムで、その温暖化現象の原因でもあるリード曲の”Hotel Sunset”以降は最後までテンションが持続して飽きさせない。なんだろう、いま思えば前作のメジャー1stアルバム『孤高のダリアにくちづけを』はテーマとして「歌謡曲」を押し出した、良くも悪くも一辺倒でチープなアルバムで(それはそれで良かった)、どうしてもリスナー層が限定されてしまうニッチな作品だったのも事実で、少なくともそれで売れる可能性は微塵も感じなかった。その前作と比べると、目的がシッカリした曲が多くて、メインボーカルの更に成長した圧倒的な歌唱力をはじめ、何よりもトラックやアレンジに「こだわり」を感じさせるようになったのが大きな違いで、それが各楽曲の説得力に繋がっていて、また辛気臭さが消えてより幅広い層に受け入れられそうな、とにかくバラエティに富んだアルバムとなっている。これ聴いた男はもれなくprediaという絶世の美女に跪き、そして「偶像」として崇めるに違いない。それこそアイドルとして売れる要素、その可能性とポテンシャル、そして何よりもメンバーの女子力という名の「ウーマンパワー」に溢れた会心の一作と言える。ホントに音の厚みが違いすぎる。これが「年の功」ってやつなのか!?

特に、”Fabulous””Close to you”という対照的な曲をアルバムの最初と最後に置くこの対比は、この『ファビュラス』の楽曲が持つ「フレキシブルさ」を表していると同時に、このprediaというアイドルが全女界を代表するアイドル、その証明でもある。つまり、普段のように1曲目から聴いても紛れもないprediaだし、ケンドリック・ラマー『DAMN.』みたいに逆から再生しても100㌫prediaであると。これもうpredia=アイドル界のケンドリック・ラマーだろ。

自分の中でprediaって音源の予習とかなしでライブ観ても全然楽しめるアイドルだと思ってたけど、今回のアルバムだけは音源を聴いてから、曲を覚えてからライブに行った方が良いです絶対に。それくらい本気度が凄い。今回どの曲もライブで盛り上がりそうな曲ばかりだし、しかもprediaの曲ってライブで更に化けるから、俄然来週のライブが楽しみになってきた。でもって、タイプA付属のライブDVDを観たんだけど、やっぱこの頃の髪型いいなら子。ついでに、ら子推しとしてちょっとした愚痴を言うと、今回どの曲でも沢口けいこがスゲー優遇されてて、正直ら子推しからしたら沢口けいこは歌割りのパイ的な意味で敵対勢力以外ナニモノでもないんだけど。

ファビュラス(Type-A)
predia
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