Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

イェンス・ボグレン

Draconian 『Sovran』

Artist Draconian
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Producer David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Sovran』
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Tracklist

01. Heavy Lies The Crown
02. The Wretched Tide
03. Pale Tortured Blue
04. Stellar Tombs
05. No Lonelier Star
06. Dusk Mariner
07. Dishearten
08. Rivers Between Us
09. The Marriage Of Attaris
10. With Love And Defiance

実質プロデューサー ・・・ゴシック・ドゥーム界を代表するスウェーデンのDraconianも、他に漏れず「イェンスと組んだ一作目は名作になる」という"メタル界の迷信"を、いわゆる"実質プロデューサー"現象を4thアルバムTurning Season Withinという傑作の中で既に証明していて、続く2011年作の5thアルバムA Rose for the Apocalypseでは、念願叶ってイェンス・ボグレンを本当の"プロデューサー"として迎え入れる事に成功していた。しかし、まさかそれが紅一点ボーカルLisa Johanssonの遺作になるなんて想像もしてなかった。正直、このドラコニアンのセールス・ポイントと言ったら、男Voのアンダース・ヤコブソンのデス声とリサ・ヨハンソンの美しすぎる歌声が織りなす、この世の儚くも美しい部分と破滅的な醜い部分の絶妙なコントラスト/コンビネーションで、そのバンドのキモであるリサが脱退したというニュースを聞いた時は、それはもうガチで終わったというか、それこそドラコニアン解散すんじゃねーかくらいの衝撃だった。しかし、新しくドラコニアンの記事を書いているということは、つまりはそういうことで、バンドの希望であったリサを失った彼らは、直ぐさま新しい嬢として南アフリカ出身のSSWで知られるHeike Langhansを迎え入れ、目出度く約4年ぶりとなる6thアルバム『Sovran』をリリースした。

【勝ち確】 ・・・今のメタル界隈には、イェンス・ボグレンという優勝間違いなしの名将だけじゃあ飽きたらず、その相棒であるデイビッド・カスティロも同時に指名して、いわゆる【勝利の方程式】を解き明かそうと必死で、このドラコニアンもこのビッグウェーブを追従するようにプロデューサーとしてデイビッド・カスティロ、録音エンジニアとしてイェンス・ボグレンを起用するという、まさしく【勝ち確】なメンツで制作されている。だけあって、今作は【勝ち確】と評する以外ナニモノでもない模様。それはイントロからEarthらUSドローン/ドゥーム界隈を彷彿とさせる#1”Heavy Lies The Crown”のメロドゥーム然とした慟哭不可避のメロディから、その#1とシームレスで繋がる#2”The Wretched Tide”のストリングスによる耽美的なメロディと紅一点ヘイケによるWithin Temptationのシャロン顔負けの慈悲なる歌声を聴けば分かるように、ウリである泣きのメロディ・センス、バンドの中心人物であるヨハン・エリクソンのライティング能力は4年経っても不変で、もはやリサ脱退の影響を微塵も感じさせない、むしろ冒頭の三曲でリサの存在を忘れさせるくらいの凄みがある。

【KATATONIA feat.】 ・・・そして今作のハイライトを飾る#7”Dishearten”は、リズムやアレンジ、リフから曲調まで、いわゆる【勝利の方程式】の基礎である『The Great Cold Distance』以降のKATATONIA、中でも『死の王』”Hypnone”リスペクトな一曲で、あの頃のKATATONIAを知り尽くしているデイビッドだからこそ『説得力』が生まれる曲でもあるし、もうなんか【KATATONIA feat. シャロン】みたいになっててウケる。ともあれ、一度は誰もが妄想したであろうこのコラボを擬似的ながらもやってのけた彼らの度胸に僕は敬意を表したい。その流れで本当にUKバンドCrippled Black Phoenixのスウェーデン人シンガーDaniel Änghedeとフィーチャリングしてしまう#9”Rivers Between Us”では、ダニエルの色気ムンムンな男性ボーカルとヘイケの美声がアンニュイなハーモニーを聴かせる。新ボーカルのヘイケは、前任者リサのようなオペラティックなソプラノ歌唱ではなくて、その声質やメロディの作り方からも往年のシャロン・デン・アデルを意識したようにクリソツで、それにより俄然ゴシック℃マシマシな印象を受けるし、より大衆的というか、往年のWTに通じる今のWTが失ったいわゆる"female fronted"なメインストリーム系のメタルへとバンドを昇華させている。少なくとも、いわゆるドゥーム・メタルやゴシック・メタルとかいうサブジャンル以前に、バンドのメタルとしての能力を限界まで引き出すイェンス・プロデュースによる特性が(良くも悪くも)顕著に出ていた前作よりは、まるで教科書通りと言わんばかり、これまでの"ゴシック/ドゥーム・メタル"として本来のドラコニアンらしさへ回帰した佳作だと。
 
Sovran
Sovran
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Draconian
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Amorphis 『Under the Red Cloud』

Artist Amorphis
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Producer/Engineer/Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren
Engineer(#5) David Castillo
David Castillo

Album 『Under the Red Cloud』
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Tracklist
01. Under The Red Cloud
02. The Four Wise Ones
03. Bad Blood
04. The Skull
07. Dark Path
08. Enemy At The Gates
09. Tree Of Ages
10. White Night
11. Come The Spring
12. The Wind

「No Jens No Life」 ・・・今やあのBABYMETAL凛として時雨すらライブ作品などでイェンス・ボグレンと絡んでるくらい、今のメタル界隈には「No Jens No Life」みたいな風潮あって、これは別に自慢じゃあなんだが、おいら、初めてベビメタの記事を書いた時、偶然にも「イェンス・ボグレン」の名前を一緒に出していて、恐らくあの時点でベビメタとイェンスの邂逅を予知していたのは世界でも自分だけだと思う。しかし、ベビメタを【アイドル界のDIR EN GREY】と解釈している者ならば、あの程度の予測は容易に可能で、勿論プロデューサーのコバメタルが当ブログを読んでいるなんて自意識過剰なことを言うわけじゃあないが、兎も角それぐらいイェンス・ボグレンは今のメタル界にとって欠かすことのできない最重要人物なんだ。

実質プロデューサー ・・・北欧フィンランドの重鎮で知られるAmorphisの近況といえば、00年代を締めくくる傑作となった9thアルバムSkyforger以降イマイチパッとしない作品が続き、前作のCircleに至ってはどんな作風どんな内容だったかすらも記憶になくて、辛うじて「デスメタル回帰」したんじゃね~?的なイメージが残ってるくらい。で、近年のアモルフィスは中期の作品と比べると深刻なライティング不足、つまりベテランメタルバンドにありがちなスランプに陥っていた。そんなアモルフィスが約二年ぶりとなる12thアルバム『Under the Red Cloud』を制作するにあたって、プロデューサーすなわち【復活請負人】として任命したのが、他でもないイェンス・ボグレンだ。ここ最近はイェンス関連の記事ばかりで、まるであたかも「全ての作品をイェンス・ボグレンがプロデュースしている」みたいな勢いで書いてしまっているのも事実で、読者に誤解を与えかねないので一応訂正したいんだが、イェンスが"プロデューサー"として関わっている作品はほんの一部で、彼がメインとする仕事は主にミキシングをはじめとしたエンジニアワークである。しかし、例えばDark TranquillityConstructBTBAMComa Eclipticのように、"プロデューサー"ではなくあくまでもミキシング/マスタリング・エンジニアとしてクレジットされているのにも関わらず、確信的にバンド側がイェンスの嗜好に合わせて曲を書き上げてくるパターン、このような現象を僕は"実質プロデューサー"と表現している。
 

『怒りのデスロード』 ・・・しかし、この『Under the Red Cloud』では"実質プロデューサー"ではなく、MoonspellExtinctと同様に"プロデューサー"名義でイェンス・ボグレンが深く作品に関わっている、という事を念頭に置いて話を進めたい。先行シングルの”Death of a King”は、まるでアフガンのように情熱的に燃えたぎる赤鯉魂が描かれた、Orphaned Landの作品でもお馴染みのMetastazisValnoirによるオリエンタルラグ(アラビア絨毯)をモチーフにした今作のアートワークを象徴するかのような一曲だ。そのアラビックな中東的メロディをフューチャーしたイントロのリフから、EluveitieChrigel Glanzmannによるフィンランドの民族叙情詩カレワラを司るようなフルート&ティン・ホイッスルとex-Opethマーティン・ロペスによるドーフ・ウォリアー顔負けのリズミカルなパーカッションが、ギタリストホロパイネンによるグルーヴを乗せたモダンなヘヴィネスとともに"音"で士気高揚させる姿は、まるで魔改造されたドーフ・ワゴンさながら、そしてチャームポイントのドレッドヘアを捨てたフロントマントミ「Death of a King!! Death of a King!!」と野太く咆哮する姿は、まさしく『マッドマックス 怒りのデスロード』イモータン・ジョーそのもの、すなわち本作の『王=キング』だ。要するに→日本のゲーム界屈指のクリエイター小島秀夫監督が『MGSV』の中で表現したように、この曲...いや今作は映画『マッドマックス 怒りのデスロード』の世界観を音楽で表現したかのような、まるで五人のワイブスを奪われ、その中でも"オキニ"のスプレンディドとお腹の中の子供(息子)を亡くしたイモータン・ジョー『復讐心』『報復心』という名の『怒り』をアフガニスタンの広大な大地に轟かせるような名曲なのだ。
 
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【勝利の方程式】 ・・・この『Death of a King』すなわち『死の王』がいかに凄い曲なのか?それについて、まずは本作が「打倒Opeth」を謳った作品である事を理解しなければならない。今作は、いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を裏付けるような、Opethの8thアルバム『Ghost Reveries』からの影響が強く垣間見れる一枚でもあって、中でもそれを顕著に象徴するのが#4”The Skull”と#8”Enemy at the Gates”、そしてボートラの#12”The Wind”だ。#4はメロトロンをフューチャーした叙情性からリフ回し、そしてプログレ然とした転調から何から何まで『Ghost Reveries』リスペクトで、#8はホモバンド化した後期Opethの"Prog-Rock"な俄然エスニックな芳ばしい香りを漂わせる。まるで「打倒Opeth」を実現させるには、あの名盤『Ghost Reveries』を超えるには、対抗して「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信に賭けるしかない・・・そのアモルフィスの「勝ちたいんや!」精神、その答えこそ『Death of a King』の中に凝縮されていて、それこそex-Opethマーティン・ロペスを、全盛期のOpethを支えた裏の立役者であるマーティン・ロペスという「打倒Opeth」の最終メンヘラ兵器を援軍に迎え、そしてマーティンのパーカッションを手がけた張本人こそ、他でもないイェンスの相棒であり【勝利の方程式】を紐解く鍵となるデイビッド・カスティロなのだ。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

「外に開かれている」 ・・・話は変わるが→おいら、数年前に「DIR EN GREYデイビッド・カスティロと一緒に仕事するべきだ」と書いたんだが、まるでそれを合図にしたように、ここ最近ではSoilworkMoonspellをはじめ、今やエクストリーム・メタル界の帝王に成り上がったLeprousまでも、立て続けにデイビッドと組むメタル界の重鎮が増えてきている。しかし、肝心のDIR EN GREYと言えば、KATATONIA『死の王』からの影響も垣間見れた最新作の『ARCHE』以降何も音沙汰なしで、今やEarthsideとかいう無名バンドですら【勝利の方程式】を解き明かしているというのに、流石の薫も審美眼に衰えが生じ始めているんじゃあないかと少し心配になった。確かに、僕は『ARCHE』二万文字レビューの時に→「今のDIR EN GREYは外に開かれている」と某赤いバンドのギタリスト津野米咲の言葉を一部引用したんだが、その予想どおりシンヤの有吉反省会出演やパーソナリティ薫のラジオ番組が始まったりして、メロディア露出という意味では確かに今のDIR EN GREYは「外に開かれている」。その流れで今度は音楽面にも開かれた『説得力』が欲しいところだ。少なくとも、このアモルフィスは前作で長年連れ添ったフィンランドの大物エンジニアミッコ・カルミラとの決別を宣言している。そう、比較的地元愛の強い保守的な国のバンドですら音楽的に開国されつつあるのだ。つまり前作でワンクッションを置いてから、今作で満を持してメタル界の最大勢力であるイェンス組に入門してきた、というわけ。

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黄金のヘヴィネス ・・・まぁ、それはともかくとして→今作を象徴する『Death of a King』はアモルフィスのポテンシャルの全てが引き出された、それと同時に、欧州最後の砦だったMoonspellが名曲”Medusalem”の中で80年代のUKミュージックと中東音楽の邂逅を実現させたように、この曲は民族叙情詩カワレラと中東音楽を邂逅させた歴史的瞬間でもあるのだ。それこそ欧州は元より北欧全土に蔓延る中東問題を痛烈に皮肉るかのような、まるで今の時代、この先のメタル界で生き残っていくには中東要素との共存が不可欠であること物語るようだ。それと並んで本作を象徴する一曲で、幕開けを飾る表題曲の”Under The Red Cloud”では、名盤『Skyforger』の再来を予感させるイントロのピアノや同作のシングル”Silver Bride”の傑作リフから更に低音を盛って洗練を施したようなモダンなヘヴィネスを聴かせる。他にも『Eclipse』『Silent Waters』、そして『Skyforger』という中期アモルフィスの黄金を連想させる、まるでワイブスを奪われたイモータン・ジョーの如く、自慢のドレッドヘアを奪われたVoトミのボーカリストとしてのポテンシャルを極限まで引き出されたボーカル・パフォーマンスを筆頭に、同郷のSwallow The Sun界隈でもお馴染みのAleah Stanbridge【王=キング】の妾、すなわちワイブスとして迎え入れた所も俄然『マッドマックス 怒りのデスロード』の裏コンセプトであるフェミニズムの世界観とリンクさせられるし、特に今作の基礎的な部分を担うアモルフィス屈指の名リフである”Silver Bride”黄金比』で形成されたキザミリフを再解釈したような黄金のヘヴィネスには、並々ならぬセンスの塊を感じる。

【真・勝利の方程式】 ・・・またしてもイェンス・ボグレンという男は、界隈のベテランをNEXT-ステージへとブチ上げる事に成功し、ここ最近の二作で感じた「ライティング不足」が嘘のように、ソングライティングの幅が広がったのは言わずもがな、とにかく全てにおいて著しく音の洗練化が進んでいる。メロデスやらサブジャンルとして以前に、そのバンドの根幹にある「メタル」としてのポテンシャルを限界まで引き出し、それと同時にバンドが持つ"Progressive"な側面を具現化するイェンスのプロデュース能力が顕著に表れた、そしてポッと出の新人バンドに対してベテランならではの凄みを見せつけるような、まさしく【真・勝利の方程式】を解き明かすような大傑作だ。
 

Earthside 『A Dream in Static』

Artist Earthside
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Producer/Mixing David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album A Dream in Static
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Tracklist
01. The Closest I've Come 
03. A Dream In Static
04. Entering The Light
05. Skyline
06. Crater
07. The Ungrounding
08. Contemplation Of The Beautiful

勝利の方程式 ・・・ここ最近のメタル界隈には→「今の時代、イェンス・ボグレン単体じゃありきたりだし物足りない...せや!相棒のデイビッド・カスティロも一緒に指名すれば優勝間違いなしや!」みたいな風潮あって、そのいわゆる【Jens Bogren×David Castillo=勝利の方程式】を、なんとデビュー作で説き伏せる掟破りのクソ野郎が現れた。何を話そう、【US】【ニューヘイブン出身】【四人組】ということ以外全てが謎に包まれた、その名もEarthsideの1stアルバム『A Dream in Static』は、その「勝ちたいんや!」精神に溢れた、まるで全てのプログレッシブ・メタルを過去の物にするかのような、そしてオルタナティブ・ヘヴィ界およびプログレッシブ・ヘヴィ界に真正面から殴りこみをかけるような一枚となっている。

「こいつら一体ナニモノなんだ!?」 ・・・その謎は一向に解決せず、こうなったら音源を聴いてみるしか他ない、というわけで、今作の一曲目である”The Closest I've Come”を聴いたら今世紀最大の衝撃が走った。もはやポストロック的ですらあるドリーミーで幻想的なイントロで幕を開け、まるで全盛期のDaniel Liljekvist顔負けのタイム感を刻むドラミングを筆頭に、Tool直系の理知的なキザミリフと世界で初めて【勝利の方程式】が解かれたKATATONIAの歴史的名盤『The Great Cold Distance』直系のオルタナティブ・ヘヴィネス、OSIを彷彿とさせるモダンでダーク・アンビエントな音色を奏でるATMS系キーボード、そして初期Riverside顔負けの薄暗い叙情性が、それこそEarthsideというバンド名が示すとおり地球規模で展開する圧倒的な音のスケールをもって、シネマティックかつドラマティックな無駄のない展開力を爆発させる。少なくとも、このオープニングの一曲だけでこいつらがどれだけヤバいのか、タダモノじゃないのが理解できる。一見「インストバンド?」と思いきや、イントロからThe Moscow Studio Symphony Orchestraによる映画『レ・ミゼラブル』あるいは『指輪物語』ばりの壮大で喜劇的なオーケストレーションを全面にフューチャーした#2”Mob Mentality”では、ゲストにSevendustラジョン・ウィザースプーンを迎え、彼のエモーショナルなボーカル・メロディや絶妙にハスキーな声質も相まって、イギリスのポストハードコアバンドっぽい雰囲気というか、IntervalsThe HAARP Machineでお馴染みのMichael Semeskyを彷彿とさせる。#2を聴いて、「インストバンドじゃない?!」と意表を突かれ、そしてマス系のオシャンティなイントロで始まる#3”A Dream In Static”を聴いたら自分の耳を疑った。なんかTesseractダニエル・トンプキンズ君にクリソツな美しすぎるハイトーンボイスが聴こえてきて笑ったんだが、それがどうやらマジでダニエル君らしいと分かった時が個人的なハイライトで敗北宣言、というか、ダニエル君の声がデイビッドとイェンスという黄金のスウェーデンコンビ】にミックス/マスターされた事の方が地味に凄くね。要するに→【Jens Bogren×David Castillo×Daniel Tompkins=yes!!yes!!Jens!!。再び北野映画すなわち久石譲的な、ゲスト・ミュージシャンのMax ZTが奏でるダルシマーのオリエンタルな音色をフューチャーした#4”Entering The Light”、そして今作のハイライトを飾る#5”Skyline”では、AlcestGod Is an AstronautもビックリのATMS系ポストメタルを展開し、まるで気分は映画『インターステラー』で娘達のビデオメッセージに号泣するマシュー・マコノヒーの如く、宇宙空間(ワームホール)の中に放り出されたような美メロの洪水に涙不可避だ。
 


・・・で、流石にもうこれ以上驚く要素ないでしょと気を抜いた矢先、「なんかビョーンっぽいな...でもビョーンより上手いな」と思ったらマジでSoilworkのビョーンがゲスト参加してた#6”Crater”、ポーランドのWidekを彷彿とさせるATMS系DjentにKATATONIAのセッション・ミュージシャンでお馴染みのJP AsplundによるパーカッションやHenrik Gennertによる流麗なGソロをフューチャーした#7”The Ungrounding”、そしてUSオルタナFace the KingEric Zirlingerをゲストに迎えた曲で、今やエクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するLeprousばりのシンフォニック狂騒曲の#8”Contemplation Of The Beautiful”まで、Dream TheaterToolをはじめとしたUSプログレッシブ/オルタナティブ・ヘヴィ界隈、ToolフォロワーのSoenや皇帝KATATONIAをはじめ、AtomaEnshineを筆頭としたスウェーデン産ATMSの新興勢力、そしてTesseractTo-MeraなどのUKモダン・ヘヴィ/アンダーグラウンド・メタル界隈からRiversideをはじめとした辺境プログレ界隈まで、ポストロックやジェントなどのモダンな音像から往年のプログレ・メタルならではの泣きのメロディまで全てを飲み込み、まるで一本の大作映画を観ているかのような、いわゆる"プログレ・メタル"と呼ばれるジャンルの醍醐味が一つに凝縮された、一切の隙も妥協もない実にProgressiveなアルバムだ。

メタル界のタブー ・・・ここにきてデビュー作から【勝利の方程式】を解くという、言わば"メタル界のタブー"を犯した彼ら自身相当な批判を受ける『覚悟』があったはずだ。しかし、それらの批判やヒネクレ野郎ばかりのプログレ界隈の住人に有無を言わせず『納得』させてしまうこのアルバムは、Soilworkなど今年イェンスが関わった作品は元より、ダニエル君が復帰したTesseractRiversideの新作に喰ってかかるほど、正体不明の出自も相まって未知数なポテンシャルに溢れている。普通にInside Out辺りからリリースされてもおかしくない傑作だ。 しかし、こう言っちゃあアレだが、無名バンドでも「kawaiiは作れる」ならぬ流行りの【勝利の方程式】は作れる、という真実が暴かれたのはプログレ・メタル界にとって大きな損失、はたまた大きな収穫か・・・?
 
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Soilwork 『The Ride Majestic』

Artist Soilwork
Soilwork

Producer/Mixing/Mastering Jens Bogren

Jens Bogren
Recording/Engineer David Castillo
David Castillo

Album 『The Ride Majestic』
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Tracklist
01. The Ride Majestic
02. Alight In The Aftermath
03. Death In General
04. Enemies In Fidelity
05. Petrichor By Sulphur
06. The Phantom
07. The Ride Majestic (Aspire Angelic)
08. Whirl Of Pain
09. All Along Echoing Paths
10. Shining Lights
11. Father And Son, Watching The World Go Down

ビョーン「イェンス先生、復活したいです・・・」

イェンス「ならテメーら大人しく俺の言うこと聞いとけや」

ビョーン「は、はい・・・」

イェンス「ソイルよ、モダン(アメリカ)の時代は終わった!北欧魂を取り戻せ!」

ビョーン「うおおおおお!!ピロピロピロピロピロ♪ランランララランランラン♪」

勝利の方程式 ・・・いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信には、時として例外も存在する。厳密には、時としてイェンス・ボグレンは迷走したベテランの進路修正役としてその任務を果たしたり、時としてイェンス・ボグレンは落ち目バンドを蘇らせる"復活請負人"としての役割を担う事がある。元嫁が怪談作家の宍戸レイで知られる、フロントマンビョーン・スピード・ストリッド率いるこのSoilworkも例外ではなく、2007年作の7thアルバム『Sworn to a Great Divide』をリリースした時は、00年代以降のモダン・メタルコア/メロデスブームの終焉を告げる近年メタル界三代駄作の一つで、もはや「こいつらこれからどーすんの...」ってくらい、事実解散する可能性すら否定できない謎の絶望感すらあって、しかしその解散危機を回避する為にSoilworkが"復活請負人"として選んだ人物こそが、他でもないイェンス・ボグレンだ。イェンスとのなりそめは、世紀の駄作から約三年ぶりとなる2010年作の8thアルバムThe Panic Broadcastで、この時点ではまだミキシングエンジニアとしての関係だったが、二枚組の大作となった次作の9thアルバムThe Living Infiniteで、本格的にプロデューサーとして初タッグを組んだ結果、かつての栄光を失ったSoilwork『イェンスという名の電車』に乗って、見事メタルシーンに返り咲く事に成功するのである。実質的に、「イェンスと組んで3作目」となるSoilworkの10thアルバム『The Ride Majestic』は、いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を只の迷信で終わらせるような、一時はどん底まで堕ちたバンドには到底思えないほど、「This is Melodeathッ!!」な傑作となっている。それもそのはず、彼らは遂にイェンスだけじゃ飽きたらず、MoonspellLeprousの新譜でもお馴染みのDavid Castilloをエンジニアとして迎えており、つまり今作は【Jens Bogren×David Castillo=勝利の方程式】が実現した、約束された傑作なのだ。

集大成 ・・・オープニングを飾る表題曲#1”The Ride Majestic”のストリングスを交えたメッロメロなイントロから、ビョーンのクリーン・ボイスが炸裂するサビメロや叙情的なGソロまで、俺たちがソイルに求めている要素が凝縮された楽曲で、ダークという名のブラストに乗ってカオティックに展開する#2”Alight In The Aftermath”、ここにきてボーカリストとしてのポテンシャルを限界突破していくビョーンのクリーン・ボイスが冴え渡る#3”Death In General”、そして今作のハイライトを飾る#4”Enemies In Fidelity”までの序盤だけでガッツポーズ不可避だ。しかしそれ以降も走るのなんの。中でもメロブラ然としたブルータリティ溢れる#6、Rolo Tomassiみたいなマスコア風のオシャンティな単音リフを擁した裏表題曲の#7、その勢い最後まで衰えるばかりか、まるで今の脂が乗った彼らのように増すばかりだ。それこそ、"メロデス"とかいうサブジャンルとしての彼ら以前に、"北欧メタル"として"北欧メタル"であるべき真の姿を取り戻すかのよう。なんだろう、イェンスから「とりあえず走れ」「とりあえず弾け」「とりあえず歌え」という3つのシンプルな指令があったんじゃあないかってくらい、いま最もメタル界隈でキテるエンジニアが一同に集結した、そして「イェンスと組んで3作目」の円熟からなる近年ソイルの集大成であり最高傑作だ。
 
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Paradise Lost 『The Plague Within』

Artist Paradise Lost
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Producer/Mixing/Mastering Jaime Gomez Arellano
Jaime Gomez Arellano

Album 『The Plague Within』
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Tracklist
01. No Hope In Sight
02. Terminal
03. An Eternity Of Lies
04. Punishment Through Time
06. Sacrifice The Flame
07. Victim Of The Past
08. Flesh From Bone
09. Cry Out
10. Return To The Sun

メタル界の迷信 ・・・一度イェンス童貞を捨ててしまうと、その流れのままズルズルと付き合っていくパターンのバンドが多い中で、このParadise Lostは、イェンス・ボグレンはあくまでも通過点に過ぎない存在として捨て去った、勇気あるバンドの一つだ。かのイェンス・ボグレンを初めてプロデューサーに迎えた2009年作の12thアルバムFaith Divides Us - Death Unites Usは、いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を裏付けるような傑作で、引き続きイェンスと交際した次作の13thアルバムTragic Idolは、それこそゴシック・メタルとかドゥーム・メタルとかいうサブジャンルとして以前に、そのバンドの"メタル"としてのトラディショナルで普遍的な要素を限界まで引き出すイェンスのプロデュース能力が極まった結果で、しかしその内容は、皮肉にも「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を裏付ける一枚でもあった。

初期回帰・・・パラロス自身でイェンスとの関係、この"メタル"路線の限界を感じたのかなんて知る由もないけど、イェンスと別れて今作で新たなパートナーとして迎えたのが、スウェーデンのGhostやUKレジェンドのCathedralをはじめ、Altar of PlaguesUlver界隈でも知られるJaime Gomez Arellanoってんだから、あらためて彼らの審美眼、その鋭さに感心するばかりだ。そんなParadise Lostの約三年ぶりとなる14thアルバム『The Plague Within』は、オープニングを飾る#1”No Hope In Sight”を聴けば分かるように、お爺ちゃん顔負けの貫禄ならぬ還暦溢れる"オールド・ニック"=フロントマンニック・ホームズのデス声や、喪に服すような限りなく動き(感情)を抑えたミニマルな暗黒リフ、殺傷能力の高いリフで粗暴な暴虐性を覗かせる#2”Terminal”を挟んで、バロック音楽によるゴシック然としたイントロで始まる#3”An Eternity Of Lies”では、迷走期から脱しゴシック・メタル路線へと回帰した中期の表題作を彷彿とさせるニックの寂寥感溢れる歌声、そして表題作からお馴染みとなったHeather Thompsonによるエモーショナルなコーラスワークまで、つまるところ、ゴシック・メタル特有の荘厳さや粗暴さを併せ持つ初期の王道的なゴシック/デス・メタル路線に回帰している。イェンス期の【メタルとしてのパラダイス・ロスト】に対して漠然としながら「ナニかが足りない」と感じていたが、その"ナニか"の答えが彼女の存在であったり、表情の少ない憂鬱なGリフだったり終末的かつ暗黒的な世界観であり、とにかく今作は音の聴かせ方がゴシック・メタル然としている。

三代目D Soul Brothers ・・・中盤以降は、イェンス期のメタリックなノリを感じる#4”Punishment Through Time”、"遅くて重い"というドゥーム・メタルの基本を押さえた#5”Beneath Broken Earth”、再び荘厳なストリングスを中心に展開する#6”Sacrifice The Flame”、そして今作のハイライトを飾る曲で、中期の名曲”Forever After”ライクなニックの幽玄な歌声が妖しく響き渡る#7”Victim Of The Past”、そして今作のデス・メタル路線回帰の象徴とも言える#8”Flesh From Bone”では、最新作の『Grand Morbid Funeral』Black Breathばりの重戦車型デスロール化したBloodbathの影響を強く感じさせる。このデス・メタル路線回帰への伏線というか予兆は事前にあって、それはBloodbath三代目Death Soul Brothersのフロントマンに任命された時、つまり認知症のお爺ちゃん=”オールド・ニック”Bloodbath聴かせたらデス声に目覚めてしまったのが全ての元凶だ。

真のパラロス ・・・オーケストラみたく決して大仰ではない、二種類の弦楽器による整然としたストリングスも、今作のゴシック・メタル感を著しく強めている。そのストリングスや女性ボーカルなどの余計な音を極力排除して、バンドの自力だけでどこまで表現できるかを探求していくイェンスのプロデュース・スタイルとは違って、今作のプロデューサーであるJaime Gomez Arellanoは、【メタルとしてのパラダイス・ロスト】ではなくドゥーム/ゴシック/デス・メタルなどの【サブジャンルとしてのパラダイス・ロスト】こそ真のパラロスであると証明するかのような、全ての面において往年のパラダイス・ロストを取り戻すことに成功している。一時期の迷走期を経て、イェンスとの作品で自身の中にある"メタル"と向き合ったことで、本来の姿と本来の立ち位置が明確化したのかもしれない。その結果が本作であり、イェンスはそういった迷走したベテランの進路調整役としての能力に長けているのかも。言うなれば、イェンスはエンジニア界のドーピング人間といった所か。そんな本作品は、あらゆる可能性を経て、一周回って本来の姿に立ち返ったような、これぞパラロスとしか他に例えようがない復活作であると同時に集大成でもある、謎のロマンに満ち溢れた文句なしの力作だ。
 
Plague Within
Plague Within
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