Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

オルタナティブ・ヘヴィ

キテる

Pain of Salvation 『In The Passing Light Of Day』

Artist Pain of Salvation
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Producer/Mixing Daniel Bergstrand
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Album 『In The Passing Light Of Day』
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Tracklist
01. On A Tuesday
02. Tongue Of God
04. Silent Gold
05. Full Throttle Tribe
07. Angels Of Broken Things
08. The Taming Of A Beast
09. If This Is The End
10. The Passing Light Of Day

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「こんばんわ、稲川VR淳二です。」

 稲川VR淳二

new_スクリーンショット (34)「ところで最近、私が長年応援してきたスウェーデンのペイン・オブ・サルヴェイションが新しいアルバムを出したって言うんでね、さっそく買って自前の音楽プレイヤーで再生してみたんですよ。」

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「するとねぇ、一曲目のイントロからポリリズムを多用した、それこそメシュガーみたいなモダン・ヘヴィネスが聴こえてきて、妙に変だなぁ・・・って、だっておかしいじゃない、PoSの新作を再生したはずなのにガーガーとメシュガーガーが聴こえてくるんだもん。」

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「そんでもって、遂には亡者の囁きみたいな声が聞こえてきて、うわ~ヤダなぁ~怖いなぁ~って、グワァ~!っと身の毛もよだつほどの鳥肌が立った瞬間、私ねぇ・・・気づいちゃったんですよ」

「あぁ、これPoS復活したんだって」 
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1984年にスウェーデン南部の都市エシルストゥーナで結成された、奇才ダニエル・ギルデンロウ率いるPain of Salvationは、1997年に1stフルアルバムの『Entropia』でプログレ・メタル界の未来を背負っていく期待の新星として華々しいデビューを飾り、初期の頃はプログレ・メタル界の旗手として順調にキャリアを重ね、2000年代に入ると3rdアルバム『The Perfect Element I』と2002年作の4thアルバム『Remedy Lane』というプログレ・メタル界のみならずメタル界屈指の名盤と評される二枚の歴史的な金字塔を打ち立て、遂には「アメリカのDream Theater、北欧のPain of Salvation」とまで称されるまで、このシーンにおける確固たる地位を確立した。しかし、順風満帆に見えた彼らの音楽人生は前途多難のものだった。そのDTの名盤『Metropolis Pt. 2: Scenes From a Memory』と対をなす二枚の傑作から、バンドの中心人物であり奇才ダニエル・ギルデンロウの「変態性」および「アヴァンギャルド」な嗜好が顕著に作中に露見していたが、それ以降はダニエルの独創的かつ奇抜で破天荒なセンスとオルタナティブ方面への嗜好が優先されるようになり、その後は「ダニエル、お前と音楽やるの息苦しいよ・・・」という真っ当な理由から幾度とないメンバーチェンジを経て発表された2004年作の5thアルバム『蜂』と問題作となる『スカシッペ』というスランプ期ならぬメンヘラ期を経験し、これまでも多種多様な音楽遍歴を辿ってきた彼らは、2010年代に差しかかるとクラシックなヴィンテージ・ロックに目覚めた『塩1』『塩2』を立て続けにドロップする。しかし、十数年間もの間休みなく創作活動を続けてきた無理がたたって、ダニエルに病魔が襲いかかる。どうやら原因は塩分の過剰摂取みたいで、それを期に意識高い系健康オタクとなったダニエルは、糖質制限ダイエットとライザップによって鍛え上げられた鋼の肉体を手に入れることに成功し、その体脂肪率2パーセントまで絞り上げられたダニエルの背中に「鬼の貌=オーガ」が宿りし時、Pain of Salvationは奇跡の完全復活を遂げる(ここまで全部嘘)。これは、『死』という人生最大の危機に直面し、そして『死』に立ち向かった男の、『魂』揺さぶる奇跡のカムバック物語だ。 その男の名は・・・

「サンシャイィィィィン!!」
「ダニエ゛ル゛ッ!!」
「ギルデン゛ッ!!」
「ロ゛ォウ゛ゥ!!」

「イエエエエェェエエエエエェェエィイ!!」
kakaka

ごめん、このブックレットにある今にも飛び出してきそうな疾走感溢れるダニエルの写真見て笑わんかった奴おる?僕は笑った。とにかく、そのダニエル・ギルデンロウの範馬勇次郎顔負けの肉体が音像化したように、一曲目の”On a Tuesday”からMeshuggah×Gojiraなポリリズムを駆使したポスト-スラッシュ系のゴリゴリなキザミ&ヘヴィネス、『死』という人生最大の危機に直面した男の『心の闇』に迫るパーソナルな歌詞を、それこそ一人二役も三役もこなすダニエル・ギルデンロウ主演の前衛的な演劇ばりにコンセプチュアルに歌い上げ、そしてアイスランドの雄大な自然と崇高な雪景色が一面に広がるようなフォーキーなメロディと内省的なピアノの音色が、まるで『死』という悪夢と『生命』への渇望が激しくせめぎ合うように、『静=(生)』と『動=(DIE)』のメリハリを効かせながら場の緊張感を繋いでいき、そしてまさに映画のクライマックスシーンを飾るスケール感マシマシのアウトロまで、そのリリカルでドラマティックな世界観が重くのしかかる。

鬼の顔

『死』に直面し、数ヶ月の入院生活を余儀なくされたダニエルの孤独な精神状態がリアルに反映された、「I cry in the shower And smile in the bed」と繰り返し何度も連呼する憂鬱で病んだ歌詞と、魑魅魍魎がネッチョリと身体にまとわり付くかのようなヌー・メタル風のダークなヘヴィネスで展開する#2”Tongue of God”、そしてシングルの#3”Meaningless”のイントロのもはや人間の声にすら聞こえる奇才ならではのフォーキーな美メロを聴けば、あらためてPoSが完全復活したことを実感する・・・というより、実はこの曲の原曲がイケメンギタリストのRagnar Zolbergがフロントマンを担うアイスランドのバンドSign”Rockers Don't Bathe”という曲のカバーで、原曲の方はもっとヌメヌメして病んだイメージだが、PoS版だとラグナルの「美しすぎるハイトーンボイス」をフィーチャーした、全体的にその「メロディの美しさ」にフォーカスしている。 
 


2013年に加入したアイスランド人の超絶イケメンギタリストRagnar Zolbergを筆頭に、2014年作のカバーアルバム『Falling Home』を除くと、ダニエル以外の他のメンバーが加入してからは初のオリジナルアルバムということで、その中でもやはりダニエルとともに今作のコ・プロデューサー(Co-producer)を務めたイケメンRagnar Zolbergの本作における役割、その存在感というのは絶大なものがあって、彼の出身地であり、それこそシガーロスにも精通するアイスランドの雄大な自然を雪化粧で染め上げるような、繊細かつスケール感溢れるPost-系サウンドを繰り広げていく。とにかく、ラグナルが今作のコ・プロデューサーを担っている影響が、そのPost-系のサウンドをはじめ、コーラス/ボーカル面などの各パートから否応にも伺うことができる。これにはラグナル「抱かれたい」と妄想しちゃう腐女子続出だ。



中盤のハイライトを飾る大作の#5”Full Throttle Tribe”は、往年のPoSおよび往年のダニエルを彷彿とさせるボーカルワーク、それよりもレーベルメイトのJollyって今何してんの?って思っちゃったんだからしょうがないというか、とにかくアウトロの伏魔殿が降臨して世界に破壊と混沌をもたらすかのような鬼ヘヴィネスがヤバい。「メタル回帰」を堂々宣言する#6Reasonsは、ゴジラやメシュガーは元より、レーベルメイトのLeprousTesseractをはじめとした、イマドキの若手がやってるPost-Djent界隈からの影響を強く伺わせる。超絶怒涛のギターソロが炸裂する#7”Angels of Broken Things”、ミニマルに繰り返されるキーボードとダニエルのダーティな歌声をフィーチャーした#8”The Taming of a Beast”、ルーテやツィターなどの弦楽器やアコーディオンを駆使したダーティなスロウコア風のパートと、本棚の裏という五次元空間へと堕ちたマシュー・マコノヒーばりに「STAY!」と咆哮するヘヴィネスパートが激しく交錯する#9”If This Is the End”、そしてこのカムバック物語のクライマックスを飾る約15分の大作の#11”The Passing Light of Day”には、ここまでの痛みと恐怖に支配された苦難の道から解放され、再び「光」という名の「生命」を取り戻し、「神」への信仰心と「神」からの赦しを得たダニエルが再び歩み始めたその先には、「清らか」な心と「幸福」に満ち溢れた「未来」の世界が広がっていた。

やってることは思った以上に、音使いやアレンジも至ってシンプルで、PoSというよりダニエル・ギルデンロウがここまで洗練されたド直球のアルバム作るなんて逆に新鮮だし、これまではあらゆる音楽ジャンルを巧みに吸収し、それを変態的な感性をもってエクストリーム合体させてきたが、今作ではそれこそダニエルの鋼のような肉体のごとし、無駄な要素(贅肉)を身体から削ぎ落とした実にソリッドでヘヴィなメタルを展開している。『死』を目の前にして極限まで研ぎ澄まされた感覚と肉体が気高い精神となって音に宿り、それこそ「プログレッシブ」で「オルタナティブ」、そして「メタル」な往年のPoSが現代に蘇ったかのような、PoSにしか出せないセンスの塊みたいな、紛れもなくPoSの音世界である。実際、もう10年以上もヘンテコな音楽やってきて、ただでさえブランクの長いバンドに対して、いざまた「メタルやれ」って言われてもそう簡単に出来るもんじゃあないです。でも、それを軽くやっちゃう辺りが天才集団たる所以で、でも今回は音が変態というより、その音楽性に合わせて己の肉体を鍛え上げちゃうダニエルが一番変態だわ。

デビュー当時からシーンの流れを先読みして、いち早くヘヴィメタルにラップやヌー・メタルおよびオルタナティブ・メタル的な要素を取り入れ、常にシーンの流行りを的確に捉え、前衛的かつ先進的な音楽スタイルを貫き通してきた彼らだが、しかし今回ばかりは多少のブランクはあるものの、現代的なオルタナティブメタルとされるMeshuggah的なモダン・ヘヴィネスを取り入れ始めたのは、「オルタナティブバンド」としてもはや必然的な引かれ合いだったのかもしれない。そのように、メシュガーの存在が90年代のヌー・メタルに代わる「現代のオルタナティブ・メタル」と解釈すれば、もはやダニエル・ギルデンロウにしてみれば「メインストリーム音楽」同然で、むしろ赤子の手をひねることのように簡単な事だったのかもしれない。

「オルタナティブバンド」として、常に「新しいメタル」、常に「新しい音」を追い求めてきたPoSが、本格的に「メタル」から離れ始めてからというもの、21世紀の「新しいメタル」として最もシーンを賑わせたのが、他ならぬメシュガーやシン・ゴジラの音で、それは後にDjentなる新興ジャンルを生み出すことになるのだが、数ヶ月ものあいだ病室のベッドの上に拘束され精神的にも肉体的にも衰弱しきったダニエルは、ふと「若さ」を羨み、ふと「若さ」を嫉み、そして「若い音」への強い渇望が目覚め、そしてダニエルは若かりし頃の自分=「メタル」こそ「生命の源」であることに気づく。『死』から解き放たれた彼は、若くて新しい血に飢えて飢えてしょうがなかったのか、カラッカラなダニエルの喉の渇きを潤すかのように、すかさず「若いイケメン」という「新しい血」を新メンバーとして迎え入れ、そして「新しいメタル」という名の「生命エネルギー」ズキュウウウン!!と己の身体とバンドに注入している。 結果、老人ホームで流れてるようなヨボヨボなクラシック・ロックの印象から一転して、イマドキのお肌ツヤツヤでエネルギッシュな音に若返っている。もはやダニエルは「メタル界のディオ」だ。

今でこそスウェーデンを代表する、いやメタル界を代表するエンジニア/プロデューサーといえばイェンス・ボグレンだが、しかしイェンスがエンジニアとしてまだ駆け出しの頃、90年代から00年代初頭のスウェーデンのエンジニアの頃と言ったら、今作のプロデュースを担当したダニエル・バーグストランドに他ならなくて、彼はMeshuggahをはじめ、BehemothIn Flamesなどの誰もが知るエクストリーム系メタルバンドのプロデュースを数多く手がけたエンジニア界屈指の重鎮で、その良くも悪くもメタルシーンがある意味最も面白かった時期に活躍した彼とダニエル・ギルデンロウという「二人のダニエル」が、一世紀の時を経て遂に邂逅した、何とも感慨深い作品である。それこそ、メシュガーをよく知る一人、というより、メシュガーをここまでの怪物バンドにまで育て上げた生みの親と言うべき、繁忙期のメタルシーンを語る上で欠かせない偉大な人物の一人だ。比較的オールラウンダーに何でもこなすイェンス・ボグレンと違って、エクストリーム系バンドに特化したトガッた音作りに定評のあるダニエルのエンジニアリング・スタイルは、21位世紀となった今でも色あせることなく、常に最先端の音であり続けている。

しっかし、90年代のフレドリック・ノルドストロームに始まって、00年代のダニエル・バーグストランド、 そして10年代のイェンス・ボグレンという、昔と今のメタルシーンを『裏』から支え続けてきた3人の名エンジニア、そしてダニエル・ギルデンロウを生み出したスウェーデン人ってやっぱ音楽の天才だわ。
 
イン・ザ・パッシング・ライト・オヴ・デイ
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Deftones 『Gore』

Artist Deftones
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Album 『Gore』
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Tracklist
01. Prayers/Triangles
02. Acid Hologram
03. Doomed User
04. Geometric Headdress
05. Hearts and Wires
06. Pittura Infamante
07. Xenon
08. (L)MIRL
09. Gore
10. Phantom Bride
11. Rubicon

欧州最大の怪獣であり、現在エクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するGojira『MAGMA』は、Lamb of GodMastodonをはじめとした、いわゆる「アメリカのメタル」を喰らい尽くした末、遂に『シン・ゴジラ』へと突然変異を遂げた。そのゴジラが喰らった「アメリカのメタル」の中には、90年代から現代アメリカのモダン・ヘヴィネス界隈の繁栄に大きく貢献してきた「デブ豚」ことDeftonesの姿があった事を、あの日の僕達はまだ知らない。

デブ豚がアメリカの現代ヘヴィネスを更新し続ける一方で、遠い北欧スウェーデンの魔神Meshuggahが独自の解釈で新時代のモダン・ヘヴィネスを創り上げ、そして遂にDjentとかいうメタルの新しいサブジャンルが確立、辺境界隈の中で小規模ながらも爆発的なムーブメントを起こしていた。そのシーンの変化に危機感を覚えたデブ豚は、「アメリカのメタル」を代表してメシュガーへの回答として、ベーシストチ・チェンの悲劇を乗り越えた末に誕生した6thアルバムのDiamond Eyesをドロップした。その二年後、デブ豚は7thアルバムの『恋の予感』とかいう謎アルバムをリリースする。今作の『Gore』は、その前作から約4年ぶりとなるフルアルバムだ。



幕開けを飾る#1”Prayers / Triangles”からして、前作の恋の予感を踏襲した「男のフェミニズム」全開の色気ムンムンなシンプルなロックナンバーで、しかしかき鳴らし系のギターや全体的な音使いは、ダイヤモンドのように硬いガッチガチなヘヴィネスを鳴らした過去二作と比べると軽めだ。 一転して『Diamond Eyes』を彷彿とさせるスラッジーな轟音ヘヴィネスやGojira顔負けのクジラのように「キュルルゥゥ!!」と鳴くギターをフューチャーした#2”Acid Hologram”、今度はMastodon顔負けの動きがアクティブなリフ回しを披露したかと思えば、転調してプログレッシブなアプローチを垣間見せる#3”Doomed User”、Post-Djentなリズムで攻める#4”Geometric Headdress”、正直ここまでは現代ヘヴィネス勢の影響を感じさせる曲が続く印象で、過去二作と比べても存外アッサリした感じ。 某”U, U, D, D, L, R, L, R, A, B, Select, Start”のポストロック系譜にある、ここにきてようやくデブ豚らしいセンセーショナルなメロディセンスを発揮する#5”Hearts / Wires”だが、しかし如何せんイントロがクライマックス感は否めない。

中盤もパッとしない、そんな中で今作が如何にイマドキのモダン・ヘヴィネスから影響を受けているのかを証明するのが、他ならぬ表題曲の#9”Gore”で、この曲ではDjent然とした軽快なグルーヴを存分に取り入れている。シューゲイザーかじってた5thアルバム『Saturday Night Wrist』の頃を彷彿とさせる曲構成と、これまでセンセーショナルな感情を押し殺していたチノがここにきてようやく本気を出し始める#10”Phantom Bride”、そしてDIR EN GREYが大喜びしそうな音響アレンジが際立ったラストの#11”Rubicon”まで、中盤までの曲と違って終盤の三曲は明らかに本気度というか、気の入りようが違う。つうか、本気出すのおせぇ・・・。

基本的なバンドの音使い自体は近年のデブ豚を踏襲つつも、曲の雰囲気的には5thアルバム『Saturday Night Wrist』への回帰を予感させる、つまり脱力感のある”Alternative”なロックへの回帰を予感させるノリというか、過去二作にあった張り詰めたような独特の緊張感みたいなのは薄くなって、良くも悪くも聴きやすくはなった。これは別に過去二作と比べて地味だとか、手抜きだとか決してそういうわけじゃあないが、しかしどこか徹底したナニかに欠けて聴こえてしまうのも事実。例えば『Diamond Eyes』のように 徹底してゴリゴリのモダン・ヘヴィネス貫くわけでもなし、前作のように『恋の予感...!』不可避なエッチなフェロモンを色気ムンムンに醸し出すわけでもなく、となると今作の『Gore』にはどこか一貫した”コア”の部分がゴッソリと抜け落ちている気がしてならない。それはフロントマンチノ・モレノの歌メロを筆頭に、アレンジ含むメロディや肝心のリフに関しても、極端に突出しないどっちつかずな、悪く言えば中途半端な、良く言えば変に取り繕ってない自然体で素直な”Alternative”やってた本来のデブ豚への回帰、いわゆるシューゲイザーかじった掻き鳴らし系ロックバンドへの回帰と捉えることも出来なくもない。一貫した”ナニか”がない分、逆に アレンジやリフの種類が豊富に楽しめる利点もあるし、完成度という点ではそこまで過去作に引けを取っているわけではない。例えるなら、『Diamond Eyes』が脂ギットギトの豚骨ラーメンだとすると、今作は脂控えめなアッサリ系の豚骨ラーメンみたいな。

ゴジラの『MAGMA』もそうだったけど、今作はそのゴジラや「アメリカのメタル」の象徴であるマストドンをはじめ、現代モダン・ヘヴィネスの最先端であるDjentからの影響が著しい作品でもあって、そういった側面から分析すると、この『Gore』はかなりパンピーやキッズ向けのアルバムと言えるのかもしれない。当然、それはイマドキのモダン・ヘヴィネスをベテランなりに解釈した結果でもあるし、常に「最先端の音楽」を臆せず自分たちの音楽に取り入れてきた、実にデブ豚らしい好奇心旺盛な作品でもある。しかしそれ故に、精神面での弱さが目立つというか、これまでのメンタルエグってくるような音のギミックは稀少。ウリである「存在の耐えられないエモさ」ではなく「存在の耐えられない(音の)軽さ」、むしろデブ豚がカモメのように空を飛べるくらいの「軽さ」がキモになっている。フアンの中には、四年かけてこの内容は正直キツいと難色を示す人も少なからず居るはず。しかしこれだけは言えるのは、過去二作の中ではDIR EN GREYが一番のオキニにしそうなアルバムだということ。あとやっぱ丼スゲーなみたいな話。

Gore
Gore
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Deftones
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SikTh 『Opacities』

Artist SikTh
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EP 『Opacities』
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Tracklist
01. Behind The Doors
02. Philistine Philosophies
03. Under The Weeping Moon
04. Tokyo Lights
05. Walking Shadows
06. Days Are Dreamed

復活 ・・・2001年にイギリスはワトフォードで結成された6人組のSikThは、2002年にEPの『How May I Help You?』で鮮烈なデビューを飾り、2003年には1stフルアルバム『The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild』を発表、そして2006年に傑作と名高い『Death of a Dead Day』をリリースし、その破天荒で複雑怪奇な展開とラップ&ハイトーンのツインボーカルを駆使した、言うなればハチャメチャごった煮エクストリームおっぱいサウンドでリスナーのド肝を抜き、一瞬にしてその名をアンダーグラウンド・メタルシーンに轟かせた。しかし2008年に解散。今なお一部のフアンの中ではカルト的な、一種のレジェンド的なバンドとして崇拝されている。そんなドチャクソ変態クソ野郎が解散から約7年の時を経て、かのPeacevilleから奇跡の復活作となるミニアルバム『Opacities』を発表した。



音合せ ・・・幕開けを飾る#1”Behind The Doors”からして、Textures顔負けのグルーヴィなヘヴィネスを乗せてメタルコアっぽく始まり、ドレッドヘアをチャームポイントとするミキー・グッドマンのラップとバンドの中心人物であるジャスティン・ヒルによるエモいハイトーンボイスが奇妙奇天烈に絡み合い、転調を効かせた中盤以降の展開もSikThらしさに溢れている。次の#2”Philistine Philosphies”では、俄然USヌー・メタル的な縦ノリグルーヴを効かせたモダン・ヘヴィネスとミキーのアヴァンギャルドなラップ、そして今世紀最大のエモーションをブチかますジャスティンの超絶ハイトーン・ボイスに胸を打たれ、そして全盛期のSikThがカムバックしたような転調以降のテクデス然とした展開は、これは紛れもなくシクス、変わらないシクスの完全復活を宣言するかのよう。その後も、今作をリリースした直後に来日公演を行うほどの親日家ぶりを垣間見せる#4”Tokyo Lights”を織り込みながら、初期のマスコア的な要素とアトモスフィアを取り入れた#5”Walking Shadows”、バンドの新機軸を予感させるPost-的要素を取り入れた#6”Days Are Dreamed”まで、流石に復活前のメカニカル感やドが付くほどぶっ飛んだ変態度こそ薄いが、全盛期のシクスと比べると比較的素直というかマジメなグルーヴ・メタルやってて、でも中には新しい試みを垣間見せたりして、そう遠くない未来に出るであろうフルアルバムに俄然期待を持たせる、この全6曲トータル27分に凝縮された音から次作を無限大に妄想させるような一枚だ。というより、彼らにとってこのEPはあくまでも顔合わせ、すなわち音合せ(サウンドチェック)程度の実力に過ぎないのかもしれない。

元祖 ・・・解散から7年の間、この手の界隈には様々な変化が起きた。中でも筆頭なのはDjentの台頭で、シーンを代表するUSのペリフェリーやUKのテッセラクトをはじめ、この手のジャンルやテクデス界隈のバンドでシクスの影響を受けていないバンドなんてこの世に存在しないんじゃないかってくらい(その影響は日本のマキシマム・ザ・ホルモンにまで及ぶ)、スウェーデンのメシュガーとともにDjentの元祖であり、Djentの原型を作り出した偉大なバンドである。彼らが冬眠する間、ペリフェリーやテッセラクトがシーンを牽引し、共に3作目でこれまで"アンダーグラウンド"なジャンルだったジェントを"メインストリーム"にブチ上げることに成功した。もはやシクスが産み落とした子(後継者)が親から授かった使命を貫き通し、切磋琢磨し合いシーンの『未来』を切り拓いていく姿に、子が親という偉大な存在を超えていく姿に、僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

新世界の神 ・・・テッセラクトのフロントマンことダニエル君が『惑星ポラリス』の中で「俺がジェント界の夜神月だ」とシーンに宣言したこのタイミングで、夜神月の「新世界の神」となる『野望』を阻止するため、ニアとメロのツインボーカル率いるシクスは復活したんだ、という風に考察すると俄然この手の界隈が面白く見えてくるかもしれない。ともあれ、このEPは「フルいけるやん!」と確信させるような、文句のつけようがない復活作です。
 
Opacities
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Sikth
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Ghost Brigade 『IV – One With the Storm』

Artist Ghost Brigade
Ghost Brigade

Album 『IV – One With the Storm』
IV – One With the Storm

Tracklist
01. Wretched Blues
02. Departures
03. Aurora
04. Disembodied Voices
05. Electra Complex
06. Stones And Pillars
07. Anchored
08. The Knife
09. Long Way To The Graves
10. Elämä On Tulta

北欧フィンランドの音楽といえば→Sonata ArcticaStratovariusなどのコッテコテなヘヴィメタルバンドを数多く輩出している国というイメージが強いが、この2005年にフィンランドはユヴァスキュラで結成された6人組のGhost Brigadeは、その名をシーンに知らしめた2ndアルバムIsolation Songsでは、全盛期Opethに匹敵するリフ回しを中心とした幽玄かつ荒涼感のある音使いをもって、同郷のCallistoの影響下にある”静と動”のコントラストで聴かせる美しくも儚い”覇道のPost-Metal”を展開していた。続く3rdアルバムUntil Fear No Longer Defines Usでは、Insomnium直系のエピカルな叙情性やAlcestKATATONIA流れのオルタナ感を高めつつ、ポストメタルはポストメタルでも隣国のCult of LunaNeurosisを連想させる、よりモダンでドゥーミーに洗練された”進撃のPost-Metal”を繰り広げていた。つまり、伝統的なフィニッシュ・メタルと現代的なポストメタルがクロスオーバーした、言うなれば”メロデスラッジ”みたいな面白い立ち位置にいる、自分の中では新世代メタルの一つとして認識しているバンドで、個人的にもフィンランドでは一番お気に入りのバンドだ。そんな前フリがあって、前作の『UFNLDU』から約二年ぶりの4thアルバム『IV - One With The Storm』は、傑作だった『Isolation Songs』を彷彿とさせるアートワークで、その内容も2ndの再来を期待させる。

リッピング失敗したかと思った→オリジナルメンバーのベーシストが脱退し、新しくベーシストとキーボーディストを迎えて6人組体勢になったことが、バンドサウンドに大いに影響している。オープニングナンバーの#1”Wretched Blues”を聴けばわかるように、確かに雪国フィンランドの情緒漂うInsomnium譲りのエピカルな叙情性は不変だが、以前までのスラッジーな重さというより硬くてソリッドな低音リフに、そして高音がキツ過ぎる音質の悪さに嫌な予感が頭をよぎる。なんだろう、次の#2”Departures”を聴いたら納得した。Opeth?Insomnium?Cult of Luna?Neurosis?・・・コイツら一体誰の後継者なんだ?って、この曲でわかった気がする。コイツらKATATONIAの後継者だわ。この高音のシャリシャリ感は『Last Fair Deal Gone Down』リスペクトだと半ば強引に考えれば納得できるし、そうかコイツら”オルタナティブ・ヘヴィ”だったんだな・・・って思い知らされた気分だ。確かに、2ndや3rdの時点でフィンランドらしからぬ”オルタナティブ”なセンスを垣間みせていたし、今作ではそれが表面化してきている。あえりえなくもなかったけど、でも少し意外な方向転換をしてきた。新しくキーボーディストを迎えたことで、音響的(ATMS)なアレンジ面での確かな成長は伺えるし、いい意味でも悪い意味でも音を含めて全ての音がモダンに洗練されている。でもボク思うんスよ、この手の音楽やりたいんならさっさとイェンス・ボグレン引っ張ってこいやって、ボク思うんスよ。いや、僕が言いたいのはただ一つで→隣国Dark TranquillityConstruct聴いてから出直してこい、っつーわけです。なんだろう、フィンランド人って深いところで”オルタナティブ・ヘヴィ”をナメてる気がする。なんだろう、田舎もんの大学生が都会に出てきて大学デビューに失敗したみたいな、こっ恥ずかしいノリすらある。ボートラにドヤ顔でリミックス入れちゃうあたりもうホントにスベってる。なんだろう、全体的に無理しちゃってる感じ。

  「GBよ、お前はANATONIAにはなれない...」


とにかく音の悪さ→それと相性の悪さも相まって、第一印象は過去最悪だった。当然、これは意図的にやってるんだろうけど、いかんせん音が致命的過ぎる。少なくとも、僕にとっては何回も聴きたいと思う音ではなかった。是非ともフィンランドのエンジニアには【オルタナティブ・ヘヴィ 音作り】で検索してほしいって思っちゃったんだからしょうがない。しかし、楽曲自体は前作からスラッジーなヘヴィネスを取り払って、中期ANATHEMAあたりのオルタナ方面へと大きく舵を切ってて、それはむしろ個人的に大好きな方向性ではあるし、メロディの充実度や完成度という点では前作を軽く凌駕しているのは確かだ。でも自分は前々作や前作ほど俺の感性に響かなかった。これはただ音の”進化”からなる音の”変化”に僕が順応できなかっただけかもしれない。それともガチでリッピング失敗しただけなのかもしれない。それでもやっぱり、この手の音楽の最上級はKATATONIAの最高傑作『Last Fair Deal Gone Down』ANATHEMA『Judgement』だと信じてやまない自分としては、頼むからこの手の”オルタナティブ”がやりたかったらイェンス連れてきてくれって、本当にただそれだけなんですね。もしイェンスがミックスしてたらまた違った結果になったのかな~とか、考えるだけ無駄だけど。

IV: One With the Storm
IV: One With the Storm
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Ghost Brigade
Season of Mist (2014-11-10)
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Wovenwar 『Wovenwar』

Artist Wovenwar
Wovenwar

Album 『Wovenwar』
Wovenwar

Tracklist
01. Foreword
02. All Rise
03. Death To Rights
04. Tempest
05. The Mason
06. Moving Up
07. Sight Of Shore
08. Father/Son
09. Profane
10. Archers
11. Ruined Ends
12. Identity
13. Matter Of Time
14. Prophets
15. Onward

ロリペド VS, 嫁キラー ・・・ここ最近、20世紀後半のロック界が生み出した凶悪犯罪者といえば→Lostprophetsのボーカリストでありロリペドクソ野郎ことイアン・ワトキンス、いわゆるメタルコアとかいうジャンルにガチで終止符を打ちやがったAs I Lay Dyingのボーカリストであり嫁殺人(未遂)野郎ことティム・ランベシスという、現代のロック界およびメタル界を代表する二人のボーカリストの一騎打ちだろう。で、このWovenwarというバンドは→アズ・アイ・レイ・ヨメ・ダイングの取り残された4人のメンバーが、ex-BtBaMのギタリストでありOh, SleeperのボーカリストShane Blayを引き入れて結成された新バンドで、そのWovenwarというバンド名を冠したデビュー作が名門Metal Bladeからリリースされた。

アズアイ-暴虐性+シェーン= ・・・イントロ(#1)を引き継いで幕を開ける#2”Foreword”から、当然ながらアズアイの面影を直に感じさせる、(スラッシュ/ブルータルな暴虐性を排除した)よりメロディックに振り切ったツインギターによるキュルキュルっとした叙情性とボーカリストShane Blayのエモーショナルで力強いキャッチーな歌メロをフューチャーした、それこそこのWovenwarを象徴するかのような楽曲で、元々アズアイ自体メロディセンスはあったし、まさしくそれを再確認させるようなキラーチューンとなっている。その#2をはじめ、基本はシェーンの歌声からなるアメリカン・ハードロック直系の素直なメロディを、面影はあるが確実に一線を画したアズアイ生き残り勢によるメロディックなサウンドがバックを支えるという、あくまでもガッツリ歌えるタイプのVoシェーンの説得力ある歌声を最大限に活かしたシンプルな楽曲を中心に、途中H.I.Mばりの耽美なゴシック感を醸し出す#8”Father/Son”やロリペドプロフェッツに対抗するような#9”Profane”をアクセントとして挟みながら、各楽曲に施されたアレンジにより微妙に表情を変化させていく安定感のあるソングライティングとバンドの確かなテクニックに裏打ちされた、質の高いメロディックなロックアルバムとして楽しませる。そのスタイルは、KeEのセルフタイトルやex-KsEのハワード率いるDevil You Knowを彷彿とさせる。他にも→#5や#11のメッロメロなギターは大きな聴きどころで、まるで「メタルコアはクソだ!」と言わんばかりの、完全に吹っ切れちゃってる叙情的なギターからは色々な事が想像できて面白い。で、アズアイでもその確かな存在感を示していた、ベーシストJosh Gilbertのハイトーンコーラスはバンドが変わっても健在で、しかも#13”Matter Of Time”ではメインボーカルを張っていて、なんか「もうお前が歌えばいいじゃん」って思っちゃったんだからしょうがない。
 
Wovenwar
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Metal Blade (2014-08-05)
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