Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

カナダ

パスコーーーード!!

Protest the Hero 『Pacific Myth』

Artist Protest the Hero
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EP 『Pacific Myth』
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Tracklist

01. Tidal
02. Ragged Tooth
03. Cold Water
04. Cataract
05. Harbinger
06. Caravan
07. Tidal(Instrumental)
08. Ragged Tooth(Instrumental)
09. Cold Water(Instrumental)
10. Cataract(Instrumental)
11. Harbinger(Instrumental)
12. Caravan(Instrumental)

や映画業界やアニメ/ゲーム業界はじめ、アイドル界隈やらフェス界隈やらを引っ括めた音楽業界など、多岐の分野に渡って「クラウドファンディング」を活用した創作現場の「新しい形」が徐々に広がりを見せている。その流れはとどまることを知らず、もはや「主流」となる勢いだ。中でも、この音楽の世界でいち早く「クラウドファンディング」を駆使した、全く新しい「音楽制作の現場」をシーンに指し示したのが、カナダ生まれの「Kick-Ass!!」「スーパーヒーロー」ことProtest the Heroだ。そんな彼らが「クラウドファンディング」でアルバムの制作資金を募って完成させたのが、2013年にリリースされた4thアルバムのVolitionだ。

しかし、その2013年から現在の間に、この日本でもSpotifyApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスが続々とローンチし、それにより僕たち音楽リスナーを取り巻くリスニング環境は大きく一変した。もはや何が正しい音楽活動なのか?今の時代に「アルバム」としてリリースする意味はあるのか?彼らは、21世紀における音楽活動および音楽制作の現場に疑問を呈していた。そんな意識の高さに定評のあるカナダ人の先進的かつリベラルな考え方は、音楽の世界でも遺憾なく発揮されている。前作から約三年ぶりとなる今回のEPも「クラウドファンディング」で制作資金を募り、今度は「アルバムの時代は終わった」、これからは「シングル」=『アルバム』であるという新定義を掲げ、毎月連続して新曲をリリースするという、またしても彼らは斬新かつ画期的な「音楽制作」のあり方をシーンに提示してみせた。

しかし、彼らの画期的なアイデアと斬新な発想に賛同するファンや同業のミュージシャン達の英知が集結し、それが奇跡の賜物となって完成した前作のVolitionを発表した直後に、主要なソングライターでありドラマーのが、その翌年にはベーシストのアリフが脱退し、バンド結成時からのオリジナルメンバーの二人がバンドを去り、もはや基本的な音楽活動すらままならない存続の危機に陥った今の彼らは、まさに「崖っぷちのスーパーヒーロー」だ。そんな期待と不安が蠢く中で幕開けを飾る#1”Tidal”から、フロントマンのロディ・ウォーカーによるスクリーム系のボイスを排除したポップでキャッチーな歌を主体に、PtHらしいBPM指数の高いテクニカルなサウンドをはじめ、PtHなりに「Djentとはナニか」を解釈して応用したインストパートからドラマティックな曲構成まで、この目まぐるしい展開力は嘘偽りなくPtHそのものだが、しかしどこか「年老いた感」は否めない。その#1以上に転調/変拍子/ポリリズムを複雑に織り交ぜながら、よりプログレスに展開する#2”Ragged Tooth”Scale the SummitPolyphiaなどのインスト系バンドを連想させる叙情的なフレーズを用いて奇想天外に展開する#3”Cold Water”「スーパーヒーロー」だったあの頃の栄光を追いかけるような#4”Cataract”まで・・・

二人のオリメンを欠いた「スーパーヒーロー」は、ベーシスト不在のまま、2013年から交友のあるドラマーのミカエルを正式メンバーとして迎え入れ、現状の戦力とスキルで可能な限りを尽くして「過去のスーパーヒーロー」に少しでも近づけるように、最善かつ最大の努力を惜しむことなく発揮している。が、「スーパーヒーロー」の専売特許である急転直下型の緩急を織り交ぜた鬼気迫る展開や予測不能でドラマティックな曲構成は、初期すなわち全盛期の頃と比べるともはや天と地の差がある。しかし、それは「全盛期と比較して」の話で、あくまで全盛期と比べると「様式美的」に感じるというだけであって、「過去のスーパーヒーロー」と比較さえしなければ十分に質の高いプログレ・メタルに違いない。

4曲目を聴き終えたあたりで、「いつ解散してもおかしくない瀕死の状態で良くやってるよ」と慰めというよりは同情の言葉を発しかけたその時、次の#5”Harbinger”とラストの#6”Caravan”を聴いて僕は耳を疑った。まだ「スーパーヒーロー」だった初期のブルータルな攻撃性とカナダ人特有の変態性とインテリジェンスが融合した、ここまでの4曲とは明らかにクオリティが違い過ぎる曲で、特に約9分ある大作の#6ではヘヴィでスリリングなリフ回しとロディの「やんちゃボーイ」全開のボーカルパフォーマンスをはじめ、そして彼らの最高傑作と名高い2ndアルバム『Fortress』を彷彿とさせるストリングスをぶっ込んでくる演出面を含めて、「これだ、これが俺たちが聴きたいスーパーヒーローだ。まだ解散の二文字を出すのは時期尚早だ。まだまだやれるやん!」そう思わせる名曲だ。

これは、在りし日に一世を風靡した「スーパーヒーロー」が再び翼を広げ、21世紀の現代に飛び立つカムバック物語だ。 当時(全盛期)のメンバーの半数が去った「崖っぷちのスーパーヒーロー」は、21世紀の複雑で流動的な音楽シーンをどう見極め、そしてどう生き抜いていくのだろう。しかし『希望』は、この『Pacific Myth』の中にある。僕は、映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のラストで『奇跡』を目撃したエマ・ストーンと全く同じ表情をしながら、次のフルアルバムを聴いていることを強く願うとともに、「スーパーヒーロー」の完全復活を期待したい。
 
Pacific Myth
Pacific Myth
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Protest the Hero
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Intervals 『The Shape of Colour』

Artist Intervals
バルス

Album 『The Shape of Colour』
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Tracklist
01. I'm Awake
02. Sure Shot
03. Fable
04. Sweet Tooth
05. Black Box
06. Slight Of Hand
07. Meridian
08. Libra

バルス! ・・・カナディアンジェント、Intervalsの2ndアルバム『The Shape of Colour』。2014年に発表したデビュー作A Voice Withinは、現Raunchyのボーカリストでex-The Haarp Machineで知られるマイクのUKメロコア然としたハスキーでエモーショナルなボーカル・パフォーマンスと、ジャズ/フュージョンやPost-系をはじめ多彩なアレンジを効かせたオシャンティなプログレッシブ系ジェントが高次元で融和した、それこそ2015年に解散を発表したUKエモ/ポストハードコア界のレジェンドFuneral for a Friendをジェント化したような、すこぶる良質なジェントコア作品だった。

雇われ ・・・オワコンと囁かれる昨今のジェント界を盛り上げるウレピー出来事といえば→界隈を牽引するUKのTesseracTが”ジェントは雇われ”というオキテを忠実に守り、目出度くダニエル・トンプキンス君が復帰したことだ。そんな追い風を受けて、そのジェント界で引っ張りダコの雇われ系男子ことMichael "Mike" Semesky擁するIntervalsの新作には俄然期待がかかる。まず1曲目の”I'm Awake”から、現代のギターヒーロートシン・アバシ率いるAnimals As Leadersをソフト&カジュアルにしたような、スタイリッシュなリフ回しで聴かせる爽やかなインストで、次の曲に期待がかかる。2曲目の”Sure Shot”は、前作でも垣間見せた静と動のコントラストを効かせたソリッドなインストで、次の曲に俄然期待がかかる。3曲目の”Fable”は、いわゆる「3度目の正直」ということで、今度こそマイクの歌声が入ってきた思ったらケニー・Gもビックリのサックスだった。4曲目の”Sweet Tooth”は、バケツ野郎ことBuckethead顔負けのユニークなギターの中にアコースティックなアレンジが光るインストで、次の曲に期待がかかる。5曲目の”Black Box”は、メロデスばりのハモリを見せる叙情的なツインギターが聴きどころのインストで、次の曲に期待がかかる。6曲目の”Slight of Hand”は、再び音のメリハリとアコギを取り入れた、そして見せ場のGソロからのアウトロの美メロという繋ぎの展開が見所のインストで、次の曲に期待がかかる。7曲目の”Meridian”は、まるで真っ白なキャンパスにアー写のようにカラフルな絵の具をぶち撒けたようなドチャクソエピカルなインストで、次こそはボーカル入の曲に期待がかかる。ラストを飾る”Libra”は、中盤のアトモスフェリックな音響パート以降の展開が素晴らしいインストで・・・

「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」

バルス

オシャの会 ・・・気づくのおせーよって?へへへ。とにかく、またしてもジェントのボーカルは雇われの身であることを裏付けるような脱退劇で、しかもボーカルのマイクだけに留まらず他のメンバーも脱退し、残るは中心人物であるギタリストのアーロンただ独り。今作は、そのアーロンによるインストアルバムで、言うなればScale the Summitをはじめ、ジャニーズ系インストのPolyphiaPomegranate Tiger、今作にもゲスト参加しているPliniSithu Aye、そしてCHONなど、近頃賑わいを見せ始めているこの手のインスト集団、すなわち"オシャ会"の仲間入りを果たした一枚であると同時に、歌なしのインストでもイケちゃうバルス!のポテンシャルを垣間見せた一枚でもある。まるで十人十色ならぬの百人百色な図形が積み重なって、シャープなデザインと現代的な音像をもってカラフルなモダンアートを、それはまるで希望の虹を白いキャンパスに描き出し、そして万華鏡の如し無限に輝き放つ。とにかく純粋で前向きなメロディ、とにかく明るい安村ばりのメロディ重視のメロコア系インストで、確かにジェント成分は控えめだが、オシャフレーズや前作で随所に垣間見せていた流麗なソロワークを織り交ぜながら、約34分一気に駆け抜ける様は爽快感しかない。それもそもはず、Protest The Heroで知られるベーシストとex-Periphery現Darkest Hourのドラマーという実績のあるメンツをスタジオメンバーとして迎えているだけあって、音のグルーヴやアンサンブル、キレと疾走感を生み落とすその演奏技術にはぐうの音も出ない。正直なところ、ジェント界の良作請負人またの名をジェントクラッシャーことマイクがバンドを去って、一時はどうなるかと思ったけど、いざ蓋を開けてみると「安心してください、普通にカッコええインストやってますよ」。

Devin Townsend Project 『Z²』

Artist Devin Townsend Project
Devin Townsend Project

Album 『Z²』
Z²

Tracklist
Disc I [Sky Blue]
01. Rejoice
02. Fallout
03. Midnight Sun
04. A New Reign
05. Universal Flame
06. Warrior
07. Sky Blue
08. Silent Militia
09. Rain City
10. Forever
11. Before We Die
12. The Ones Who Love

Disc II [Dark Matters]
01. Z²
02. From Sleep Awake
03. Ziltoidian Empire
04. War Princess
05. Deathray
06. March Of The Poozers
07. Wandering Eye
08. Earth
09. Ziltoid Goes Home
10. Through The Wormhole
11. Dimension Z

『Z²』 ・・・いわゆる”ロックオペラ”と称されるメタル界屈指のプロジェクト/バンドといえば→オランダはアルイエン・アンソニー・ルカッセン主宰のAyreon、ドイツはEdguyトビアス・サメットが主宰するAVANTASIA、スウェーデンはクリストフェル・ユンソンによるTherionなどが挙げられるが、それらに対抗してカナダから奇才デヴィン・タウンゼンド率いるDevin Townsend Projectが”ロックオペラ”を称するアルバム、その名も『Z²』をリリースしてきた。このアルバムは二枚組で、一枚目の『Sky Blue』Devin Townsend Project名義で、二枚目の『Dark Matters』が”プロジェクト”ではないデヴィンのソロ=Ziltoid(ジルトイド)名義で、2007年にリリースされた『Ziltoid The Omniscient』の続編として位置づけられている。

デヴィン・タウンゼンド・プロジェクトVS.ジルトイド

『デヴィンジャーズ』 ・・・まず一枚目の『Sky Blue』は、とにかくスケールがデカい、無駄にデカすぎる。幕開けを飾る#1”Rejoice”と#2”Fallout”を聴けばわかるように→2009年にリリースされたAddictedでもお馴染みのアネク・ヴァン・ガースヴァーゲン姐さんをヒロインとして迎え入れ、主演男優を務めるデヴィン・タウンゼンド総裁のイケメン・クリーンボイスをはじめ獣性むき出しの咆哮やオペラ歌唱などの多種多様なボーカル・スタイルと至ってシンプルなモダン・ヘヴィネス、そして本作の”ウリ”である約2000人ものプーザーズの声で作成された肉厚の”ファン・クワイア”が一つの大きな地球規模の塊となって、その塊を光の速さを超える勢いで豪速球を耳に投げ込んでくるかのような、それはまるで海馬社長に滅びのバーストストリームをブッ放されたような、それはまるで映画『メランコリア』の壮絶なラストシーンを目の当たりにしているかのような、それはまるでガンダムEz-8の全弾発射を食らったような、それはまるで『マーブルVS.カプコン』のサイクロップスとリュウのコンボ攻撃を食らったような、それはまるでアメコミ界のスーパーヒーローが一挙集結した映画『アベンジャーズ』のアメコミワールドを音楽で表現したような、それはさながらオペラミュージカル『デヴィンジャーズ』の如し空前絶後のスケールで描かれる、今世紀最大のサウンドスケープに只々圧倒され、ツルッツルに禿げ上がるくらい脳が活性化された僕は、ふと気づくとデヴィンと同じ顔になっていたのだ。で、音のイメージとしては→初めてアネクを迎えたkawaii系ポップ・メタル、それこそディズニー・メタルやってた『Addicted』を何十倍もスケールアップさせ、同時に『Ki』Ghostで培ったアンビエント(環境音楽)/オルタナ風のアレンジを加えたような、確かにメロディやソングライティングは『Addicted』と比べて少し劣るかもしれないが、これまでのプロジェクト名義でやってきた実験的な音からポップな音まで全て飲み込んだ、後期のソロ作品を思わせる音の分離感を無視した音圧全開の音の塊、音の波状攻撃を容赦なく僕たちプーザーズにBUKKAKEてくる。中でもクライマックスを飾る#11”Before We Die”の音の核爆発っぷりったらなくて、とにかく、それらのライブ感あふれる楽曲陣、俄然コンセプティヴで俄然スケール感マシマシな作風的にも、スタジオ音源ではなくライブで体験してナンボな作品と言えるのかもしれない。

『大乱闘デヴィンブラザーズ』 ・・・デヴィンソロ=ジルトイド名義の作品となる二枚目の『Dark Matters』は、一転してダークでミステリアスな作風となっていて、DP作品で言うところのDeconstructionを彷彿とさせるアヴァンギャルディなエクストリーム・メタルといった感じで、声劇のようなSEを使って俄然ミュージカルっぽさやコンセプト色を強調したシネマティックな演出を駆使しながら、実にデヴィンらしいコミカルでファンキー、そしてシュールでファニーな奇想天外アメコミワールドを、それこそエイリアンやクリチャーやモンスターやプーザーズがブリュブツチブリリイリブゥゥゥッとかいう汚い擬音とともにクソを垂れ流しながらカオスに入り乱れる、その名も『大乱闘デヴィンブラザーズ』を繰り広げている。さすがにジルトイド名義というだけあって、一枚目の『Sky Blue』よりもメタル感マシマシで、そのサウンド面から演出面もフリーダムになっていて、これはもうデヴィン流の『レ・ミゼラブル』ならぬコメディ映画『レ・ミゼラブブブ』と言っても過言じゃあない、映画さながらのサウンドトラックを展開している。総裁が新たに立ち上げたプロジェクトCasualties of Coolをはじめ、とどまることを知らないデヴィンの創作意欲にあらためて感銘を受けるし、この『Dark Matters』は音楽家/コンポーザーとしてのデヴィン・タウンゼンドというより、もはやコメディアン兼総合演出家としてのデヴィン・タウンゼンドに脱帽するアルバムだ。なんだかんだ、『Sky Blue』にはジルトイドっぽい所があって、この『Dark Matters』には”プロジェクト”っぽい所があるから、なぜ名義別の作品を『Z²』として一つにまとめたのか、その疑問に納得する事ができる。二枚ともそれぞれ違った視点から、まるで映画館の最前列で3D体験しているかのような、濃厚なデヴィンワールドに身震いさせられること請け合いだ。この曲は誰々から影響を受けたとか、例えば”Ziltoid Goes Home”では、Soilworkからinfluenced=影響を受けたと律儀にクレジットする辺りも実にデヴィンらしいというか、この人の面白さだと思った。ちなみに、三枚組仕様のディスク3には『Dark Matters』の声劇SEをオフにした『Dark Matters - Raw』が収録されている。

Z
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Devin Townsend Project
Inside Out U.S. (2014-10-27)
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Intervals 『A Voice Within』

Artist Intervals
Intervals

Album A Voice Within
A Voice Within

Tracklist
01. Ephemeral
02. Moment Marauder
03. Automaton
04. The Self Surrendered
05. Breathe
06. The Escape
07. Atlas Hour
08. Siren Sound
09. A Voice Within

【インターバルス!】・・・Djent界のアイドルことスパイスボーイズもといTesseracTの元ボーカルダニエル・トンプキンズ君の出戻りや”ターバンおじさん”ことAbdullah Al Mu'min率いるThe Haarp Machineの件を見ても、あらためてDjent界のボーカリストはDTもビックリの”使い捨て”すなわち”雇われ”だと再確認した次第で、そのThe Haarp Machineから脱退した元ボーカリストMichael "Mike" Semesky擁するカナダはトロント出身の4人組、Intervalsの1stフル『A Voice Within』がレーベル無所属とは思えないほどのクオリティしてる件。

【歌モノ系かと思いきや】・・・その音楽性としては→何といっても、The Haarp Machineでもお馴染みのVoマイケルのFuneral for a Friendを筆頭としたUKメロコアバンド風の爽やかな”歌える系”のボーカル/コーラスを中心とした、音はジェント・リーやマスいリズム刻むテクニカルなリフ回しを組み込んだモダンなプログレッシブ・ヘヴィで、一曲目の”Ephemeral”や三曲目の”Automaton”を聴く限りではメロディックでキャッチーな”歌モノ系”だと断定できるが、The Haarp Machine直系のテクニカルなリフと雰囲気のあるジャジーなメロゥパートが靭やかに交錯する#2”Moment Marauder”や大作の#4”The Self Surrendered”sleepmakeswavesばりの多幸感に溢れたポストロッキンなATMSフィールドを展開する#7”Atlas Hour”やクライマックスを飾る#9”A Voice Within”で聴けるような、いわゆる”静と動”の緩急を駆使したシアトリカルでスケール感のあるベッタベタな展開を、「ちょっと通りますよ」ってレベルじゃないくらい恥ずかしげもなくブッ込んでくる大胆不敵な”意外性”もある。一方で、ALCEST顔負けのポスト-系インストの#5”Breathe”で光り輝く確かなメロディセンスも忘れちゃあならない。このポスト-系に通じる【ATMS系】のメロディこそ、彼らの大きな持ち味だと言っても過言じゃあない。とにかくクセのないボーカル主体のメロディアスなDjentではあるが、どの曲にも一捻りが加えられた(ニヤリ)とさせるフレーズや「おっ」と耳を惹く展開、そして遊び心も感じさせる叙情的なソロワークなどが聴きどころとして存在している。プログレ・メタルとしての”メタル感”を意識しつつも、一方でDjentとしてあるべき最低限の要素を全て兼ね備えている、そのバランス感覚も秀逸。わかりやすく言えば→ソフトタッチなThe Human Abstractといった感じで、カナダ出身だけどボーカルのエモいメロディがモロにUKバンドのソレだから全体的にUKバンドっぽさある。

【化ける可能性】・・・正直、第一線で活躍するDjentlmenと大差ない、少なくとも楽曲面の及第点は優に超えている。しかし、Djent界の貴公子ことトシン・アバシ率いるAnimals As LeadersThe Joy of Motionを聴いて脳が活性化された後では、どうしてもミックスや音作りに脆さを感じてしまう。そこが唯一の難点。それこそ、スメリアンあるいはProsthetic Recordsから声がかかれば大きく化ける可能性大だし、そのポテンシャルは既にこのアルバムで証明している。今年のDjent界ではアニマルと合わせて聴いといて損はない一枚だ。
 
A Voice Within
A Voice Within
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Intervals
Imports (2014-04-10)
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Protest The Hero 『Volition』 レビュー

Artist Protest The Hero
Protest The Hero

Album 『Volition』
Volition

Track List
02. Drum-Head Trial
03. Tilting Against Windmills
04. Without Prejudice
05. Yellow Teeth
06. Plato’s Tripartite
07. A Life Embossed
08. Mist
10. Animal Bones
11. Skies

『バカテククソ野郎』・・・2008年にリリースされた2nd『Fortress』”俺の感性”に与えた衝撃と影響は計り知れないものがある。そんな、カナダ出身のKick-Assッ!!なスーパーヒーローことProtest The Heroの約二年ぶり通算四作目『Volition』なんだけど、どうやら本作はクラウドファンドIndiegogoで$125,000以上の資金集めに成功し制作された作品らしい。しかし、レコーディング前にオリメンであるドラマーのMoe Carlsonが脱退するというバンド生命に関わる危機が訪れた・・・が、その絶体絶命の危機を救ったKick-Assッ!!なスーパーヒーローChris Adler(Lamb Of God)を臨時ドラマーとして迎えた今作は、「やっぱこいつら頭おかしいってマジでwww」とかいうキッズみたく無邪気にハシャギたくなるぐらい、まさしく俺たちの”バカテククソ野郎”なPTHが帰ってきてる。

Fortressが与えた衝撃・・・その年のBESTにもランクインするほどの衝撃を受けた『Fortress』の焼き直しというか、全体的に平坦な印象があった前作の3rdScurrilousと比較すると、初期二作のPTHらしい破天荒なハッチャケっぷりが戻ってきてる・・・ような気がする。PTHの絶対的フロントマンRody Walkerのオペラティックなハイトーンボイスを筆頭に、ギターワークに関しても2ndを彷彿とさせるピロピロしまくりのメロディとギョーンギョーンディグディグディグディグしたDjentちっくな今風のリフ回しが随所で垣間見れる。なんつーか、前作の『Scurrilous』を手がけたCameron McLellanを再びプロデューサーとして迎えた影響もあるのか、あくまでも『Scurrilous』を踏襲したタイトなサウンドをベースに、そこへ初期の面影をフラッシュバックさせるノリやリズムやフレーズを組み込んだ感じの作風で、特に#10の”Animal Bones”は2ndの”Sequoia Throne”を再解釈したようなフレーズが楽しめる。とか言うても、いくら初期のPTHに”回帰”したと言っても、正真正銘の初期衝動が込められたデビュー作の『Kezia』や2ndの傑作『Fortress』と比べると、あらゆる面において刺激が弱い。なんていうんだろう、初期のPTHが粗削りなエッジの効いたマスコア/ハードコア/パンクをベースにした中二病真っ盛りのハーコーキッズのスーパーヒーローならば、前作からのPTHは”スケール感”を意識したプログレッシブ系メタルコアをベースとしたメタルヘッズのスーパーヒーローというか・・・要するに→初期のウェーイwwwwみたいなお馬鹿なノリと予測不能な急転直下型緩急が影を潜め、まるでDQNが急激に優等生化したみたいに、前作からは洗練された様式的なプログレ・メタルやってる感。

『ツカミは◯』・・・MVで馬鹿やってる...もといヒーローごっこやってる感じが実にPTHらしい、オープニングを飾る#1のClarityから前作の”C'est la Vie”を彷彿とさせ、ゲストのKayla Howranとロディの掛け合いがepicッ!!なエモーションを解き放つ#2Drum-Head Trialまでのツカミは強烈で文句なしなんだが、それ以降は特に際立ったリフや展開もなく・・・僕がPTHの最高傑作だと思ってる『Fortress』の「ワシのリフは百八式まであるぞ」と言わんばかりのリフ地獄、まるでショットガンの如く咲き乱れる怒涛の展開、そして扇情的なシンフォニックアレンジまで、全ての音が脳内にインプットされている身としては、やはり刺激が足りない。これは前作にも言える事なんだけど、序盤の勢いが後に続かないというか、単純に聴いてて楽しくないというか、単純に音が耳に入ってこないというか、単純にマスくないというか、単純にブルータル/カオティックな暴虐性も皆無で、むしろ逆に過去最高にポップな作風なんじゃねーかってぐらいエモいし、バカみたいな遊び心も少ないというか・・・残念ながら”マジメ”もしくは優等生なイメージを払拭するまでには至っていない。しかし、今作のハイライトを飾る”A Life Embossed”では、『Fortress』を彷彿とさせるクラシカルなアプローチを垣間見せたり、その流れでメロコア風の#8”Mist”、一転して疾走し始める#9”Underbite”、2ndリスペクトな#10”Animal Bones”、そしてラストの#11”Skies”まで、程よいスケール感を放ちながら一気に突き進む展開は、まるで一つのミュージカルを観ているかのような錯覚をおぼえるほどで、この辺りはPTHならではで流石だと思う。

『ゲスト祭り』 ・・・今作は、おいおい同郷のデヴィン総裁リスペクトかってぐらい過去最多のゲストとフィーチャリングした作品でもあって、#1,#4,#5,#6では前作の”Hair-Trigger””Termites”でお馴染みの女性VoJadea Kellyを迎え、まるでEpicaのシモーネかと思うほどの美声を披露し、#2では同郷の女性カントリーミュージシャンのKayla Howranを、#6ではMark Iannelliを、#2や#8のヴァイオリン/フィドル奏者にはRaha Javanfarを、#9ではTodd Kowalskiを、ラストの#11では計三人のボーカルをゲストで迎えている。そして、もはや今作の目玉と言っていい、脱退した萌ちゃんの替りにLOGのクリスがドラムを叩いてるってのが大きなポイントで、破壊力のあるクリスのドラミングが作品全体にメタリックな重厚感と俄然タイトなリズム感を与えていて、その結果→より”メタルバンド”としてのPTHを強く印象づける。特に#1はそれが顕著に出ていると思う。それにしても、今回ゲスト多すぎだな~。

『Fortress最強説』・・・今作を聴いて、あらためて『Fortress』のドラフォおよびDTリスペクトを初めとした垢抜けないB級アクション映画っぽい、それこそKick-Assッ!!なスーパーヒーロー的な感覚や、まるで洪水のように虹色の音の粒が降り注ぐ異常な展開力の高さ、その完成度の高さに惚れ惚れしてしまうわけなんだが、まぁ、それはそうとして→以上のことから、やはりPTHの本質は初期のハーコー精神にあると思うわけです。そのキチガイじみた精神性が根幹にあって、はじめてプログレッシブな要素がエッセンスとして活きるわけです。だって、はなっから「僕たちプログレやりま~す!」って宣言してる奴の音楽ほどツマラナイものはないからね。これは『Volition』がツマラナイと言ってるわけでは決してなくて、あくまでも個人的な意見として『Fortress最強説』を唱えているだけであって、確かにその頃とは違って少し落ち着いちゃってるかもしれないが、少なくともこの『Volition』は前作の『Scurrilous』と同等、いや、それ以上の完成度を誇っているのは確か。で、僕が自信を持って言えるのは→「前作が好きならマスト」、この一言だけです。

『クラウドファンディングのススメ』・・・ここ最近、Misery Signalsの新作Absent Lightをはじめ、クラウドファンディングなるインターネットを経由してファンから音楽の制作資金を乞食...もといかき集めるという、音楽制作の現場で大きな変化が起きている。この手の界隈ではわりと大物であるハズのProtest The Heroですら、この手法に頼らざるをえない様々な事情があったというのは、なかなか考えもので。近頃のA Day To Rememberと所属するVictory Recordsの裁判沙汰のように、レーベルとバンドの対立によって新作がリリースできない事態も時として起こりうるわけだ。そんな事になるんだったら、このクラウドファウンディングを利用して不自由なく音楽を作ったほうがエエやん?という流れが徐々に音楽シーンに浸透していき、これから急激に増え続けていくんだと容易に予測できる。
 本来、この日本の場合はジリ貧状態のアニメ業界からそういった運動が巻き起こる可能性が高いんだが、どうやら調べによると既にクラウドファウンディングを利用したプロジェクトが動き始めているらしい。これは今後の展開が楽しみだし、音楽産業と並び斜陽産業である日本のアニメ業界がこれからどういった変貌を遂げるのか、非常に興味深い所ではある。これにより、日本の音楽業界はアニメ業界以下の存在でしかないのがわかります。もっとわかりやすい話→日本の音楽業界はニコ生主以下の存在というわけですw・・・おっと、少し話が逸れたが、はたしてガラパゴス化した日本のクサレ音楽業界で、その世界的(グローバル)な潮流が巻き起こるとは到底思えないが・・・なんにせよ、これからの音楽制作の主流はクラウドファンディングを活用したものだと、僕はそう確信している(キリッ)
 
Volition
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