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この出来事は、この僕が何故「日本一のジョジョヲタ」を自称しているのかを証明するかのような出来事だった。

これはクソみたいな女兄弟がいる人なら共感してくれると思うのだけど、おいら、子供の頃は暇さえあれば姉が読んでいた『リボン』『マーガレット』をはじめとした、いわゆる「少女漫画」をパラパラと読みふけっていた、それこそ小学生の頃に『ジョジョの奇妙な冒険』と出会うよりもまず先に「少女漫画」に触れていた子供だった。いつだったかな、確か相対性理論『天声ジングル』のレビュー記事の中で、僕はジョジョは男が読む少女漫画であるしたがって「女はジョジョを理解することができないのに何故読むのか?女は女向けの少女漫画を読んでいればいい」からの僕が認めるジョジョヲタはやくしまるえつこだけとも書いたことがあって、それこそ今回の『ジョジョの奇妙な冒険』=『岸辺露伴は動かない』シリーズと「少女漫画」の運命いや必然的な引かれ合いは、まさにその証明としか言いようがない出来事だった。

今回の裏表紙の岸辺露伴を見てもそうなのだけど、最近の、というよりジョジョ7部『スティール・ボール・ラン』の終盤以降の荒木飛呂彦先生が描く絵というのは、それこそ「少女漫画」に連載されていてもおかしくないくらい、どこか物凄く「中性的」いや「女性的」な、すなわち「ジェンダーフリー」の精神がその現代的な画風から滲み出ていて、それこそ常に絵柄が変化していく「オルタナティブ漫画家」であることでも知られる飛呂彦だが、この件について「日本一のジョジョヲタ」の僕が思うに、飛呂彦って基本的に男女問わず全ての主要なキャラクターを描く時に、まず足がかりにあの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」を描くイメージをもって、本来意図するキャラへと近づけていく漫画家であると。ではなぜ「モナ・リザ」なのか?ご存知な人もいるかと思うが、「モナ・リザ」の絵にまつわる『謎』は幾つもあって、その諸説の一つに実は「モナ・リザ」のモデルって「男性」「ダ・ヴィンチの愛人」であるという一説は特に有名な話で、つまりはそれがこの話の「答え」で、要するにキャラクターを描く時に始めに「モナ・リザ」をイメージして描くことで、最終的に「男性」にも「女性」にもペンを動かす事ができる、例えば描き始めは「モナ・リザ」で絵が完成するまでの過程でジョジョ8部『ジョジョリオン』の主人公東方定助とヒロインの広瀬康穂、そのどちらの「性別」=「SEX」にも持っていけるというわけ。この「モナ・リザ」の話は、飛呂彦自身がどこかの雑誌のインタビューでそれっぽい事を語っていたような気もするし、それはただの僕の捏造かもしれないのであしからず。

で、今回の『岸辺露伴は動かない』シリーズのエピソード9を読んでみての感想なんだけど、流石にいつもと違って「少年(青年)漫画」ではなく「少女漫画」に記載されるというだけあって、今回のテーマは人の「D・N・A」にまつわる「奇妙」で「運命的」な、露伴シリーズらしからぬ?露伴シリーズ初となる「恋バナ」となっている。これまでの露伴シリーズにはなかった「恋」をテーマにしているので、果たして飛呂彦に「恋バナ」が描けるのであろうか?『ジョジョの奇妙な冒険』「恋バナ」と言うとジョジョ1部のジョナサンとエリナ、ジョジョ2部のジョセフとスージーQ、ジョジョ4部の広瀬康一と山岸由花子、ジョジョ5部のジョルノとミスタ、ジョジョ6部の徐倫とアナスイか、、、う~ん・・・と懐疑的に思ったフアンも少なくないはずだが、そこはさすがの飛呂彦の奇妙な感性と科学的な嗜好と知識をもって「荒木飛呂彦なりのラブストーリー」を、これはもはや「荒木飛呂彦なりの『君の名は。』」を描き出すことに成功している。

露伴シリーズは基本的にジョジョ4部の世界線もしくはパラレルワールドの話で、今回のエピソードには懐かしの山岸由花子が登場する。今回の露伴ちゃんは野球好きのセクハラキャラと化していて、今の画風で描かれる山岸由花子はもはや別人、というより実写映画版で山岸由花子役を演じている小松菜奈に寄せて描いたのかもしれない、と噂されるくらいには似ている。正直、読み終えた率直の感想としては、これまでのエピソードと比較してもかなり面白い部類に入ると思った。登場する子供の「逆さまの言葉」ネタとか最近の探偵ナイトスクープであった気がするし、「5センチのシッポ」が生えているとか、「皮膚が保護色化する」とかメタルギアかな?ってなるし、その流れで「それが原因で子供がイジメられる」からの「普通の規準」の話に繋がって、結論として露伴はそれが子供の「個性」であると、その子供の「個性」を尊重する場面は実に露伴らしいクールなカッコよさがあるし、そもそも露伴自体が「普通」ではない「個性」の塊なので、露伴は自分とその子供に共通するシンパシーを感じたに違いない。露伴の名言「だが断る」も登場するし、山岸由花子の口の悪さも相変わらずでサイコーだし、とにかくジョジョ4部フアンにはたまらない話かもしれない。話の後半は、テーマとなる「D・N・A」が指し示す『運命の引かれ合い』すなわち『LOVE』へと展開していく。特に、今回のキーセリフとなるきっといいヤツを、逆さまの言葉しか喋れない子供が生まれて初めて「普通」に喋るシーンとかベタな伏線回収だけど好きな演出。他の露伴シリーズと比べて話自体はわりとシンプルな感動モノで、それこそ『マーガレット』読者をはじめ初見の人でも理解できて楽しめるような内容にはなってる。素直に泣けるっちゃ泣けるくらいシンプル。皮肉な話だけど、少女漫画特有の男には到底理解不能なブッ飛んだ話の展開と比べたら、逆に超マジメな話に見えるかもしれない。でもこれ本当に映画『君の名は。』に近い「運命論」の話で、もはや『君の名は。』を観たと飛呂彦が宣言しているようなもんで、中でもクライマックスのきっといいヤツ」=「君の名はみたいなシーンは間違いなく確信犯です。そういった意味でも、この「恋バナ」を「少女漫画雑誌」で描いたのは大きな意義があったと思う。これで「少女漫画」を制覇したとならば、今度は「ホラー漫画」かな?いや、ジョジョそのものが「ホラー漫画」だからないか。

絵的にも普段連載している本家ウルトラジャンプの『ジョジョリオン』よりも丁寧に描いている印象で(皮肉)、正直『ジョジョリオン』よりもジョジョっぽい絵柄を意識して戻しているのが分かる。絵の構図やコマ割り、セリフ回しや演出面でも、いつも以上に気を使って丁寧に、しかし飛呂彦らしく「リズム」にノッて楽しく描いているのがよく分かる。普段のウルトラジャンプや漫画本のモノクロ仕様だが、青紙のジョジョは初めて?だと思うので、自分自身約20年ぶりに『マーガレット』を読んで懐かしく感じたと同時に、ジョジョの絵柄と青紙が醸し出す雰囲気は、より少女漫画チックで最高にマッチしているし、何よりも新鮮だった。とにかく、ジョジョフアンならマストバイの一冊です。

勿論、ここまでの話は全て僕の「日本一のジョジョヲタ」アピール以外ナニモノでもなくて、改めて子供の頃に少女漫画を通過した人間の方がより『ジョジョの奇妙な冒険』という名の「男が読む少女漫画」を理解できるんじゃあないかって、だから今度は「日本一のジョジョヲタの僕が実写版ジョジョの映画を観た」って記事書いちゃってもイイっすか~?だって僕、きっといいヤツなんで!