Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

スウェーデン

Draconian 『Sovran』

Artist Draconian
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Producer David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Sovran』
_SL1500_

Tracklist

01. Heavy Lies The Crown
02. The Wretched Tide
03. Pale Tortured Blue
04. Stellar Tombs
05. No Lonelier Star
06. Dusk Mariner
07. Dishearten
08. Rivers Between Us
09. The Marriage Of Attaris
10. With Love And Defiance

実質プロデューサー ・・・ゴシック・ドゥーム界を代表するスウェーデンのDraconianも、他に漏れず「イェンスと組んだ一作目は名作になる」という"メタル界の迷信"を、いわゆる"実質プロデューサー"現象を4thアルバムTurning Season Withinという傑作の中で既に証明していて、続く2011年作の5thアルバムA Rose for the Apocalypseでは、念願叶ってイェンス・ボグレンを本当の"プロデューサー"として迎え入れる事に成功していた。しかし、まさかそれが紅一点ボーカルLisa Johanssonの遺作になるなんて想像もしてなかった。正直、このドラコニアンのセールス・ポイントと言ったら、男Voのアンダース・ヤコブソンのデス声とリサ・ヨハンソンの美しすぎる歌声が織りなす、この世の儚くも美しい部分と破滅的な醜い部分の絶妙なコントラスト/コンビネーションで、そのバンドのキモであるリサが脱退したというニュースを聞いた時は、それはもうガチで終わったというか、それこそドラコニアン解散すんじゃねーかくらいの衝撃だった。しかし、新しくドラコニアンの記事を書いているということは、つまりはそういうことで、バンドの希望であったリサを失った彼らは、直ぐさま新しい嬢として南アフリカ出身のSSWで知られるHeike Langhansを迎え入れ、目出度く約4年ぶりとなる6thアルバム『Sovran』をリリースした。

【勝ち確】 ・・・今のメタル界隈には、イェンス・ボグレンという優勝間違いなしの名将だけじゃあ飽きたらず、その相棒であるデイビッド・カスティロも同時に指名して、いわゆる【勝利の方程式】を解き明かそうと必死で、このドラコニアンもこのビッグウェーブを追従するようにプロデューサーとしてデイビッド・カスティロ、録音エンジニアとしてイェンス・ボグレンを起用するという、まさしく【勝ち確】なメンツで制作されている。だけあって、今作は【勝ち確】と評する以外ナニモノでもない模様。それはイントロからEarthらUSドローン/ドゥーム界隈を彷彿とさせる#1”Heavy Lies The Crown”のメロドゥーム然とした慟哭不可避のメロディから、その#1とシームレスで繋がる#2”The Wretched Tide”のストリングスによる耽美的なメロディと紅一点ヘイケによるWithin Temptationのシャロン顔負けの慈悲なる歌声を聴けば分かるように、ウリである泣きのメロディ・センス、バンドの中心人物であるヨハン・エリクソンのライティング能力は4年経っても不変で、もはやリサ脱退の影響を微塵も感じさせない、むしろ冒頭の三曲でリサの存在を忘れさせるくらいの凄みがある。

【KATATONIA feat.】 ・・・そして今作のハイライトを飾る#7”Dishearten”は、リズムやアレンジ、リフから曲調まで、いわゆる【勝利の方程式】の基礎である『The Great Cold Distance』以降のKATATONIA、中でも『死の王』”Hypnone”リスペクトな一曲で、あの頃のKATATONIAを知り尽くしているデイビッドだからこそ『説得力』が生まれる曲でもあるし、もうなんか【KATATONIA feat. シャロン】みたいになっててウケる。ともあれ、一度は誰もが妄想したであろうこのコラボを擬似的ながらもやってのけた彼らの度胸に僕は敬意を表したい。その流れで本当にUKバンドCrippled Black Phoenixのスウェーデン人シンガーDaniel Änghedeとフィーチャリングしてしまう#9”Rivers Between Us”では、ダニエルの色気ムンムンな男性ボーカルとヘイケの美声がアンニュイなハーモニーを聴かせる。新ボーカルのヘイケは、前任者リサのようなオペラティックなソプラノ歌唱ではなくて、その声質やメロディの作り方からも往年のシャロン・デン・アデルを意識したようにクリソツで、それにより俄然ゴシック℃マシマシな印象を受けるし、より大衆的というか、往年のWTに通じる今のWTが失ったいわゆる"female fronted"なメインストリーム系のメタルへとバンドを昇華させている。少なくとも、いわゆるドゥーム・メタルやゴシック・メタルとかいうサブジャンル以前に、バンドのメタルとしての能力を限界まで引き出すイェンス・プロデュースによる特性が(良くも悪くも)顕著に出ていた前作よりは、まるで教科書通りと言わんばかり、これまでの"ゴシック/ドゥーム・メタル"として本来のドラコニアンらしさへ回帰した佳作だと。
 
Sovran
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Soilwork 『The Ride Majestic』

Artist Soilwork
Soilwork

Producer/Mixing/Mastering Jens Bogren

Jens Bogren
Recording/Engineer David Castillo
David Castillo

Album 『The Ride Majestic』
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Tracklist
01. The Ride Majestic
02. Alight In The Aftermath
03. Death In General
04. Enemies In Fidelity
05. Petrichor By Sulphur
06. The Phantom
07. The Ride Majestic (Aspire Angelic)
08. Whirl Of Pain
09. All Along Echoing Paths
10. Shining Lights
11. Father And Son, Watching The World Go Down

ビョーン「イェンス先生、復活したいです・・・」

イェンス「ならテメーら大人しく俺の言うこと聞いとけや」

ビョーン「は、はい・・・」

イェンス「ソイルよ、モダン(アメリカ)の時代は終わった!北欧魂を取り戻せ!」

ビョーン「うおおおおお!!ピロピロピロピロピロ♪ランランララランランラン♪」

勝利の方程式 ・・・いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信には、時として例外も存在する。厳密には、時としてイェンス・ボグレンは迷走したベテランの進路修正役としてその任務を果たしたり、時としてイェンス・ボグレンは落ち目バンドを蘇らせる"復活請負人"としての役割を担う事がある。元嫁が怪談作家の宍戸レイで知られる、フロントマンビョーン・スピード・ストリッド率いるこのSoilworkも例外ではなく、2007年作の7thアルバム『Sworn to a Great Divide』をリリースした時は、00年代以降のモダン・メタルコア/メロデスブームの終焉を告げる近年メタル界三代駄作の一つで、もはや「こいつらこれからどーすんの...」ってくらい、事実解散する可能性すら否定できない謎の絶望感すらあって、しかしその解散危機を回避する為にSoilworkが"復活請負人"として選んだ人物こそが、他でもないイェンス・ボグレンだ。イェンスとのなりそめは、世紀の駄作から約三年ぶりとなる2010年作の8thアルバムThe Panic Broadcastで、この時点ではまだミキシングエンジニアとしての関係だったが、二枚組の大作となった次作の9thアルバムThe Living Infiniteで、本格的にプロデューサーとして初タッグを組んだ結果、かつての栄光を失ったSoilwork『イェンスという名の電車』に乗って、見事メタルシーンに返り咲く事に成功するのである。実質的に、「イェンスと組んで3作目」となるSoilworkの10thアルバム『The Ride Majestic』は、いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を只の迷信で終わらせるような、一時はどん底まで堕ちたバンドには到底思えないほど、「This is Melodeathッ!!」な傑作となっている。それもそのはず、彼らは遂にイェンスだけじゃ飽きたらず、MoonspellLeprousの新譜でもお馴染みのDavid Castilloをエンジニアとして迎えており、つまり今作は【Jens Bogren×David Castillo=勝利の方程式】が実現した、約束された傑作なのだ。

集大成 ・・・オープニングを飾る表題曲#1”The Ride Majestic”のストリングスを交えたメッロメロなイントロから、ビョーンのクリーン・ボイスが炸裂するサビメロや叙情的なGソロまで、俺たちがソイルに求めている要素が凝縮された楽曲で、ダークという名のブラストに乗ってカオティックに展開する#2”Alight In The Aftermath”、ここにきてボーカリストとしてのポテンシャルを限界突破していくビョーンのクリーン・ボイスが冴え渡る#3”Death In General”、そして今作のハイライトを飾る#4”Enemies In Fidelity”までの序盤だけでガッツポーズ不可避だ。しかしそれ以降も走るのなんの。中でもメロブラ然としたブルータリティ溢れる#6、Rolo Tomassiみたいなマスコア風のオシャンティな単音リフを擁した裏表題曲の#7、その勢い最後まで衰えるばかりか、まるで今の脂が乗った彼らのように増すばかりだ。それこそ、"メロデス"とかいうサブジャンルとしての彼ら以前に、"北欧メタル"として"北欧メタル"であるべき真の姿を取り戻すかのよう。なんだろう、イェンスから「とりあえず走れ」「とりあえず弾け」「とりあえず歌え」という3つのシンプルな指令があったんじゃあないかってくらい、いま最もメタル界隈でキテるエンジニアが一同に集結した、そして「イェンスと組んで3作目」の円熟からなる近年ソイルの集大成であり最高傑作だ。
 
ライド・マジェスティック
ソイルワーク
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KATATONIA 『サンクティテュード』

Artist KATATONIA
KATATONIA

Live 『サンクティテュード』
サンクティテュード

Tracklist
01. In The White
02. Ambitions
03. Teargas
04. Gone
05. A Darkness Coming
06. One Year From Now
07. The Racing Heart
08. Tonight's Music
09. Sleeper
10. Undo You
11. Lethean
12. Day
13. Idle Blood
14. Unfurl
15. Omerta
16. Evidence
17. The One You Are Looking For Is Not Here

電撃加入 ・・・最近のKATATONIA関連のニュースで驚いた事といえば→昨年、「ギャラの取り分少ねーよ(家族との時間を優先したい)」という理由のため、惜しまれつつKATATONIAを脱退したドラマーのDaniel Liljekvistが、以前から僕が贔屓にしている同郷のIn Mourningに電撃加入!?という今世紀最大のビッグニュースで、てっきりもう二度と彼のドラムを聴くことはないと失望してたもんだから、この衝撃ニュースが飛び込んできた時は大喜びしたと同時にクソ笑った。そんな古参メンバーであるダニエルノーマン兄弟が脱退した後のKATATONIAは、Bloodbathで知られるギタリストのペル・エリクソンとベースのニクラス・サンディンを新メンバーとして迎え入れたが、ダニエルが脱退すると間もなくペルも脱退する事となり、現時点のメンバーはアンダースヨナス、そしてニクラスの三人体制となっている。その三人体制で、昨年にロンドンの歴史的な教会として知られるユニオン・チャペルで行われた、アコースティック・ライブの様子を収めた映像作品『サンクティテュード』が発表された。

KATATONIA第二章 ・・・良くも悪くもKATATONIAに大きな変化をもたらした問題作『死の王』こと『Dead End Kings』を発表した事で、KATATONIA第一章は終わりを告げ、その『死の王』を再解釈/再構築し、新たにKATATONIA第二章として産声を上げた『Dethroned & Uncrowned』に伴うツアーを収めたライブ作品で、その『D&U』の楽曲を中心に、歴代アルバムの名曲がアコースティック・アレンジで甦る、それこそKATATONIAファンが待ち望んだ夢のようなライブとなっている。サポート・メンバーには、ヨナスとのコラボ(Wisdom of Crowds)でも知られ、先日初来日を果たしたThe Pineapple Thiefブルース・ソードとアルバム『D&U』でもお馴染みのJPがパーカッションとして参加している。結果論ではあるが、もしギタリストのペルが脱退していなかったら、今回のブルースとカタトニアによる夢のコラボは実現する事はなかったと思うとアレ。

雰囲気ライブ ・・・まるで聖者(死の王)の復活を祝う信者の集いの如く、リーダーのアンダースはバリトン・アコースティック・ギターを、ヨナスはエレキ・ギターを抱えて椅子に腰掛けながら演奏し、そのメンバーと対等に観客も着席スタイルのライブとなっている。それ即ち、ギターを弾くヨナスの姿がまじまじと見ることができる大変貴重なライブとも言える。ヨナスはMCで「緊張している」と連呼する割には、体形的な意味でも歌声的な意味でも共にベスト・コンディションで、そこにアンダースとブルースのコーラスが重なって、あまりにも贅沢過ぎる絵面が生まれている。で、さすがにユニオン・チャペルという伝統的な教会だけあって、そのステージ上には淡色に揺蕩うキャンドルの灯火と暗闇の中を射すひとひらの光の如しライトアップによって、まるで『ブラッドボーン』の世界の如し荘厳かつ耽美的な世界観をシンプルに演出してみせる。その神聖な会場から醸し出される独特の空気感とアコースティックな楽器の音が繊細かつ優美に、そして生々しく会場に響きわたる。とはいえ、やっぱり基本的に映像は暗いです。それこそ『LIFE!』女優の石橋杏奈ちゃんが嬉し泣きしそうな最高の"雰囲気音楽"、すなわち"雰囲気ライブ"の極みで、しかしその雰囲気をブチ壊すような観客のガヤが時たま入るのが、海外ライブらしいというかフリーダムな感じで嫌いじゃないですw

Unplugged ・・・おいら、何度でも言うけど『死の王』は元々"アンプラグド化"する事を前提に制作されたアルバムだと信じてやまなくて、実際このライブ音源を聴いてしまうと、もうアンプラグド版の方が"オリジナル"にしか聴こえない。それくらい、KATATONIAの楽曲と"Unplugged"の相性はバツグンである事を証明している。そもそもKATATONIAといえば、メタリックなヘヴィネスと儚くも美しいメロディが絶妙なバランスで共存した音楽をウリとするバンドだが、このライブではバンドの一番のウリと言っても過言じゃあない天性のメロディセンス、そしてヨナスによる魅惑的なボーカル・メロディがより鮮明かつ表面的に、より繊細かつ濃厚に堪能することができる。ライブ・アレンジが加えられたヨナスのボーカルをはじめ、五感に沁み渡るようなメロディの洪水に、まるで割礼の儀を受けているかの如し『清らか』な音空間が静かに拡がっていく。あらためて、元々フォーキーで情緒的なメロディを持ち味とするKATATONIAが、このようなアコースティック・ライブを敢行するなんて事は、意外でもない想定内の出来事だった。特に”The Racing Heart”から”Tonight's Music”の流れは本公演のハイライトだし、涙なしには見れない初期の名曲”Day””Idle Blood”→本編ラストを飾る”Unfurl”までの終盤は実に感動的。アンコールの”The One You Are Looking For Is Not Here”では、アルバムにも参加したThe Gatheringのシリエが登場してヨナスとのディエットを披露する。いわゆる"Bサイド"と呼ばれる近年の楽曲や過去の名曲のアコギ・アレンジ、プロフェッショナルな他アーティストとのコラボレーション、そしてカタトニアの"音響"に対する"こだわり"を垣間見せるような、文字どおり"スペシャル"なライブとなっている。それこそ過去のKATATONIA今のKATATONIAを繋ぎ合わせるような、カタトニアの"オルタナティブ"な音楽性に何一つのブレもない、揺るぎない信念が貫かれた音楽であることを証明するかのようなライブだった。アコースティック・ライブとしては十分な曲数と演奏時間だと思うし、何よりもヨナスきゅんのパーカッション姿が見られるのはこのライブだけ!平成ヨナス合戦ぽんぽこ!

ANATONIA ・・・ANATHEMA『Universal』というライブ作品をリリースしているが、音楽的にもバンドイメージ的にも陰と陽を象徴する対極であり対等なバンドが、一方のANATHEMAが大仰なオーケストラを擁し、一方でKATATONIAが静かなアコースティックをフューチャーするという、このようにライブでも対極的な景色を描き出しているのはとても興味深いし、本当に面白いと思う。ANATHEMA『Universal』がロックバンドとしてのダイナミクスを全面に押し出した、圧倒的な多幸感と激情的なエモーションに溢れた世界的なショーなら、このKATATONIAは絶望の中に希望を見出すような、地域密着型の庶民的で温かいアトモスフィアを形成していく。ライブでも双方の違いを証明すると同時に、互いに引かれ合う存在=ANATONIAとして確かに"リンク"する場面が見えてくる。流石に映像の質やカメラワークの演出的な部分ではANATHEMAに劣るが、チョイと酒を引っ掛けながら作業用BGMに近い感覚で気軽に観られるのは断然KATATONIAの方だ。しかし、まさか『Damnation』みたいな作品を出している盟友のOpethより先にアコースティック・ライブを映像化するなんて、10年前じゃまず考えられなかった事だろう。

ドキュメンタリー ・・・ライブ本編以外には、ヨナスとアンダースがインタビューに質問形式で答える、約60分に及ぶドキュメンタリーが収録されている。 今回のアコースティック・ライブについての質問が大半を占める中、数多くある質問の中で、僕が特に興味深いと思ったのは→「ライブが音楽業界の主な収入源となっていること」に対する答えと、「フランク・デフォルトがカタトニアに与えた影響と賛否両論」という鋭い質問で、以前から近年KATATONIAに与えたフランクの影響、その大きさに言及してきた僕としては非常に興味深い話だった。今は関係良好のまま互いに別の道を行くことに決めたらしく、今後はフランクとのコラボの可能性はないとも答えている。確かに、このライブにフランクが参加していない時点でナニか違和感あるし、そのことについてもアンダースは残念だと嘆いている。そして古参メンバーの脱退、特にダニエルの脱退を非常に残念がっていて、あらためてフランクとダニエルがバンドに与えた影響、その存在の大きさが見て取れる。そんな中、既に新作のアイデアを集めているという嬉しい情報もあり、そして作曲における"色"の大事さや、「作曲しながらアニメーションを作っている感覚」というアンダースの創作技術を暴露する回答もあったりして、ファンとしてはとても面白い話ばかりだった。あと「余計なものを削ぎ落した」というヨナスとアンダースの言葉で思い出すのは、昨年リリースされたDIR EN GREY(一巡)の9thアルバム『ARCHE』の存在で、お互いに表現方法こそ明確な違いはあるものの、やはりKATATONIADIR EN GREYは血縁関係にある事を再認識させた。ライブ本編はMCらしいMCはなくテンポよく進むので、ライブ本編だけ観られればいいという人は無理に字幕付きの国内盤を買う必要はないです。でもドキュメンタリーまでジックリ見たいって人は、字幕付きの国内盤をオススメします。本作、本当に素晴らしいライブ作品なのだけど、やはりダニエルがこの夢のような絵面の中に存在しないのが唯一の残念だ。なお、ダニエルはIn Mourningで先輩風吹かせながら音楽活動をエンジョイしている模様w

【11/27】 Dirty Loops 『"HIT ME" JAPAN TOUR 2014』@名古屋ダイアモンドホール



『ジョジョの奇妙な冒険』
荒木飛呂彦がアルバム・ジャケットを手がけた、スウェーデン王立音楽アカデミー出身の三人組ダーティ・ループスの来日公演、実は直前まで行くか迷ってて、そんな僕に行く決意をさせたのが、某赤い人のとある会話(ツイート)だった。


・・・さすがじぇいぽっぱー(笑)としか言いようがなくて、実際10月は赤い公園のライブの予習がてら名盤猛烈リトミックと過去作を集中して聴いている合間に合間に、飛呂彦がジャケを描いたDirty Loopsのデビュー作『Loopified』を聴いていた個人的な事情もあって、しかし偶然にしてはなかなか面白い出来事だったので、そして何時ぞやの当ブログの検索ワードに【Dirty Loops ジョナ ゲイ】とかいう謎の検索ワードがあって、それが気になって気になって夜も眠れない状態だったので、その真相を確かめるため、僕は一人のホモもとい一人のジョジョヲタとして今回の来日公演に行く決意をしたのだ。初めは自分も"なぜ赤い公園メンバーが!?"って思ったけど、「ダーティ・ループスの音楽はある意味J-Pop」というようなニュアンスをLoopifiedのレビュー記事にも書いたように、一見複雑そうに難解そうに見えてその本性はドチャクソ"ポップ"みたいな・・・それこそ赤い公園のコンポーザーである津野米咲が目指す、あるいは求めている"J-Pop"の一つの完成形がこのダーティ・ループスの音楽なんじゃあないかって。そう考察すると→赤い公園メンバーの音楽に対する意識の高さが伺えるようで、「やっぱこいつらおもしれー」ってなったし、もっと言えば2ndアルバムの『猛烈リトミック』が日本レコード大賞の優秀アルバム賞を受賞し、その同賞に飛呂彦がジャケを手がけた石川さゆり『X-Cross II-』も受賞しているのを見て、「もしかして...こいつら『ジョジョの女たち』なのかもしれない」って・・・そんなわけアルケー(伏線)

首がダルビッシュ聖子 ・・・それはさておき→前日に寝違えて首がダルビッシュ聖子になってショッキングな当日、イヤ~な気分のまま名古屋公演の会場となるダイアモンドホールに向かった。が、やはり微妙に遅刻して開演5分後くらいに会場に入った。「やべえ...もしかして”Hit Me”終わっちゃったか・・・?」という不安をヨソに入場するやいなや、ジョナのソウルフルなハイトーンボイス、ヘンリックのバッキバキにウネリまくるベースライン、そしてアーロンの正確無比なドラミングが織りなす、まるで"Groove!!Groove!!&Groove!!"とばかりのグルーヴィでダンサンブルなサウンドにガシッと心を鷲づかみされる。で、ヤバイ(YABAI!!)とかいう片言系の日本語を使ったユニークなMCをはじめ、ライブ独自のアレンジや各メンバーのソロパートを織り交ぜながら、ライブはダーティ・ループスのサウンドのようにリズミカルにテンポよく進んでいく。デビュー作Loopifiedの楽曲を惜しげもなく披露していく流れの中で、特に中盤のバラード”It Hurts”から”Wake Me Up”を挟んで”Sexy Girls”までの流れはハイライトで、”It Hurts”は演歌歌手ばりのコブシを効かせたジョナの歌声に聴き惚れるし、”Wake Me Up”はオシャンティな幕開けから突如EDM化する後半へと繋がる破天荒な楽曲だし、そして”Sexy Girls”で導入されるアーロンのドラム・ソロは尋常じゃない凄さで、もはやジョナとヘンリックのホモホモしい小芝居がどうでもよくなるくらい、アーロンの鬼ドラムを中心としたドリーム・シアター顔負けのダイナミックな展開力に只々圧倒された。ああ見えてアーロンはとてもチャーミングな人のようで、もはやスウェーデン出身でex-KATATONIAダニエルex-Opethマーティン・ロペスに次いで好きになったドラマーかもしれない。ヘンリックはヘンリックで、もはやベースで鳴らせる音全部出してるんじゃあねぇかって、「はっ!?ベースってこんな音まで出せんの?絶対嘘ですやん・・・それ絶対ギターの音ですやん・・・」みたいなドシロウトな感想しか出てこなくて、兎に角これまで聴いてきた音楽の常識を覆すような、それこそ『プロフェッショナル ホモの流儀』的な"プロ"のライブを繰り広げていた。ここで改めて気づかされる...ダーティ・ループスは音楽の天才なのだと。で、一回目のアンコールでは宇多田ヒカルの”Automatic”とジャスティン・ビーバーのカバー曲を披露し、二回目のアンコールでは携帯の光を演出として利用した曲から、最後はこれまたアーロンの鬼ドラムが炸裂する曲を披露する。それこそライブのクライマックスを飾るに相応しいラストで(既にアレンジ凄すぎて原曲わかんねぇ状態)、「あぁ...やっぱり”Hit Me”は一曲目に演っちゃって聴けないオチかぁ・・・」と思いきや、まさかまさかラストのラストに”Hit Me”・・・キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!もはや首がダルビッシュ聖子であることを忘れるくらいテンションがブチアガったのは言うまでもない。ただでさえ名曲なのに、ライブだと更に化けてて最高スギタ。他の曲ももっと予習しとけばよかった(反省)


今年のトレンドはホモ ・・・総括すると→会場は普通に隅まで埋まってたし、思いのほか年齢層は高め、男女比は半々くらいで、とにかくリア充オサレミュージックっぷりがハンパなかった。まるで英会話教室のようなノリで、初めはヲタクの僕には「いや~キツイっす」みたいな所もあったけど、ライブが進むに連れて→「そんなん関係ねえ!俺は今ッ!最高にリア充だッ!」←こんな気分になった。それぐらい楽しいライブだったし、もはや"ガールズロック界のスティーヴ・ハリス"こと赤い公園藤本ひかりがヘンリックの生の超絶ベースプレイに触発されて、赤い公園の次の新曲がフュージョンっぽくなったらどうしよう・・・って心配になった(えっ)。いや、むしろアリか、アリだな・・・。俺たちの藤本ひかりなら・・・【フュージョン×メタル=Djent!!】赤い公園の中でやってくれるんじゃあないかって。ハッ!?もしかして藤本ひかりは、このダーティ・ループスに只ならぬ"ホモ"の匂いを嗅ぎつけたからライブを観に行った可能性・・・?こ、こいつ腐ってやがる・・・。

Dirty Loops 『Loopified』

Artist Dirty Loops
Dirty Loops

Album 『Loopified』
Loopified

Tracklist

1. Hit Me
2. Sexy Girls
3. Sayonara Love
4. Wake Me Up
5. Die For You
6. It Hurts
7. Lost In You
8. Take On the World
9. Accidentally In Love
10. The Way She Walks
11. Crash and Burn Delight
12. Roller Coaste
13. Automatic (Utada Hikaru Cover)
14. Got Me Going

漫画『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦がこれまでに手がけたCDジャケットは幾つかあって、SUGIURUMNSOUL'd OUTなどの邦楽アーティストをはじめ、最近では演歌界の大御所石川さゆりのアルバムカバーを描き下ろした事が記憶に新しい。その様々な仕事の中でも、Base Ball Bearというバンドの『BREEEEZE GIRL』のジャケットには、描き下ろしではないが山岸由花子のイラストが起用されていたり、鉄ヲタで知られるモデルの市川紗椰が山岸由花子役を演じたMVもジョジョ愛に満ち溢れてたりするんだけど、実はこのBase Ball Bear小出祐介という人物は、(赤い公園津野米咲に負けじと)℃-ute矢島舞美が推しメンなことでも知られているらしく、個人的に【℃-ute=ジョジョの女】という謎の解釈を持っている日本一のジョジョヲタを自称する僕としては、なかなか面白い繋がりだなーって今さらながら思ったりするわけで。

特典ポスター

そしてこの度、飛呂彦が新たにジャケを手がける事となったアーティストこそ、2010年にスウェーデンはストックホルムで結成された、ボーカルのジョナ・ニルソンとベースのヘンリック・リンダーとドラムのアーロン・メレガルドからなる三人トリオ、その名もDirty Loopsだ。じゃあ一体ダーティループスとは何ぞや?というわけで→早い話、彼らは名門のスウェーデン王立音楽アカデミー出身の音楽エリートが意気投合して、レディガガの曲をカバーしたパフォーマンスをyoutubeにアップするやいなや、バックストリート・ボーイズで知られる売れっ子プロデューサーに目をつけられ、しまいにはスティーヴィー・ワンダーやデイビッド・フォスターまで彼らに魅了され、そしてデイビッドが会長を務めるジャズの名門Verveレーベルと契約するに至る。まさに現代だからこそ生まれた話題のバンド、というわけ。で、とりあえずスウェーデン映画『ドラゴン・タトゥーの女』の女主人公あるいはショーン・ペン主演の映画『きっと ここが帰る場所』の主人公を彷彿とさせる、ベーシストのヘンリックのゴス/パンクなビジュアルが自分がイメージする典型的なスウェーデン人みたいな感じでほんと好きなんだけど、このキャラクター性ってジョジョそのものというか、そもそもメンバーがジョジョファンであった事から今回のコラボが実現したらしいので、もしかしたらわざと”ジョジョっぽさ”を意識してたりするのかもしれない。そこに『ジョジョ』との親和性を感じて、飛呂彦もジャケを描き下ろそうと快く受諾したのかもしれない。これは意外だったんだが、飛呂彦が洋楽アーティストのジャケを手がけるのは今回が初めてらしい。とにかく、ウチのブログでも贔屓にしてるスウェーデンと荒木飛呂彦のコラボが実現したってのが、個人的に何よりも嬉しい出来事だった。しっかし、最近の飛呂彦の中では”承太郎ポーズ”が流行りなのね。スウェーデンの国旗をモチーフにした衣装をはじめ、ダーティ・ループスだけにメビウスの輪のように”ループ”したパンツの柄や足元の花に飛呂彦の遊び心が感じられる。過去の例からすると、現在連載中のジョジョ8部『ジョジョリオン』にダーティ・ループスという名のスタンドが登場するフラグかも?



そんなDirty Loopsのデビュー・アルバム『Loopified』なんだけど、とりあえず一曲目の”Hit Me”を聴いた時の衝撃ったらなかった。まるでTOTOを彷彿とさせる80年代風のシンセを中心としたダンサンブルなEDMサウンドとジャズ/フュージョン意識の高いドラムとベースのリズム隊、そして”キング・オブ・ポップ”ことマイケル・ジャクソン顔負けのファンキーでソウルフルなボーカルが絶妙なアンサンブルと抜群のケミストリーを起こし、もはやボーカルの歌唱力が高いとかベースがドラムがバカテクだとかそんな次元の話ではなくて、それら全てを飲み込んで最終的に極上のポップ・ミュージックへと昇華していく、それこそ『ディスコの神様』を称するに相応しい名曲だ。確かに、名門アカデミー出身という肩書に裏打ちされた楽器隊の確かな技術と複数の音楽界の重鎮から見出されたクソ上手いボーカルが織りなす、スリリングでエキサイティングなテクニカル・サウンドにどうしても注目が集まるが、そんな肩書きや技術的な面よりも単純に聴いてて楽しい気分にさせる、そんな音楽として本来あるべき姿を”シンプル”に鳴らしている。部分的には複雑に聴こえるが、全体で見るとやってることは至ってシンプル・・・そのバランス感覚が彼らの最も優れた所なんじゃあないか?って、それが”Hit Me”を聴いた率直な感想だった。つうか、菅野よう子とか相対性理論やくしまるえつことかゼッテー好きでしょこの曲。だってこれ、完全に”X次元へようこそ”じゃんw

???「ゴラあああああああ!!誰がパクリじゃボケえええええええええ!!」

確かに、”Hit Me”の一発屋と言われかねないくらいソレのインパクトが強すぎてアレだが、スパイス・ガールズなどの90年代のアイドル・ポップスを彷彿とさせるキャッチーなボーカルをもって、それこそダーティ・ループス流のEDMを展開する#2”Sexy Girls”とエレクトロ・ポップ色の強い#3”サヨナラ・ラブ”をはじめ、ジャズ/フュージョン的なオサレムードを高めつつJ-Popにも通じる綺羅びやでファンキーなアレンジをもって大胆な展開美を披露する#4”Wake Me Up”、再びPerfume顔負けのバッキバキなクラブ系EDMサウンドを展開する#5”Die For You”、シリアスなイントロから一転して音楽エリートである彼らのクラシック音楽に対する素養を伺わせる#6”It Hurts”は、まるで演歌のような哀愁駄々漏れのバラードナンバーで、これには日本人の心が揺さぶられること必須だ。このフロントマンのジョナによる舞台役者のように情感あふれるハイトーンボイス、なんかデジャブを感じるというか誰かに似てると思ったらLeprousエイナルっぽいんだ。とにかく、ジョナの有無を言わせぬ圧倒的な歌唱力その表現力には、音楽界の重鎮から認められるだけの確かな説得力がある。そして中盤以降も、ミニマルなアレンジとオーケストラが融合したマイナー・コード主体の#8”Take On the World”、往年の曲のカバーかな?って勘違いするくらい懐かしさを感じる#9”Accidentally In Love”、ピアノ主体の哀愁バラードの#11”Crash and Burn Delight”、終盤はジャスティン・ビーバーや宇多田ヒカルの名曲をダーティ・ループス流の解釈でカバーして自らのポテンシャルを証明し、最後はオリジナル曲の#14”Got Me Going”で締めくくる。とにかく、ジャス/フュージョン/ファンク/エレクトロの要素を一つの”ポップ・ミュージック”として昇華していく、ある意味J-Pop的なアーティストというか、ジャンルの壁を三人が奏でる黄金の音エネルギーで突き破っていくような、まさしくジャンルレスなハイブリット・ポップを展開している。それこそ”日本人好み”という言葉がよく似合う、そのポップなアレンジやメロディセンスに、スウェーデン人が持つポップ・センスには只々脱帽するばかりで、これはプログレやメタル界隈でもそうなんだが、ヲタククサいニッチなジャンルの中でポップスを表現するセンスというか、様々な音を一つにハイブリット化するスウェーデン人の音楽センスはノーベル音楽賞に値するだろう。

確かに、音的には特に目新しいものではないし、いい意味でチープというかB級感あふれえるアレンジが、逆に懐かしのアイドル・ポップスやMTV全盛のポップ・ミュージックを連想させる。MTV全盛の時代を経験し、自身の作品にもその影響を取り入れている荒木飛呂彦も、このダーティ・ループスが奏でる音を懐かしみながら聴いているに違いない。なんだろう、新しい音楽ネタを全てやり尽くした今の閑散した音楽シーンに一つのキッカケを与えるかのような、往年のポップ・ミュージックに回帰していく波が邦楽洋楽問わず世界的にキテいるのかもしれない。しかし、洋楽を普段聴かない日本人にも馴染みやすいキャッチーなメロディや”Sayonara Love”とかいうタイトルをはじめ、メンバーがジョジョファンだったり宇多田ヒカルのカバーを見ても分かるように、かなり日本贔屓のアーティストであるのは確かで、正直ありがちなビッグ・イン・ジャパン現象・・・そんなイメージがどうしても否めない。なんだろう、第二のt.A.T.u.じゃあないけど、いわゆる”二匹目のどじょう”を狙った、レコード会社の思惑が透けて見える売り方というか。耳の肥えていない日本人相手ならまだしも、耳の肥えた地域の人がこのダーティ・ループスの音を聴いてどう反応するのか?ソコ気になる所ではある。何にせよ、菅野よう子がヒャッハー!!しちゃいそうな、懐かしのポップスにノスタルジーを感じてみてはいかがでしょう?

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