Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

フランス

℃-ute解散がショック過ぎるので更新停止します

Gojira 『Magma』

Artist Gojira
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Album 『Magma』
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Tracklist
01. The Shooting Star
03. The Cell
04. Stranded
05. Yellow Stone
06. Magma
07. Pray
08. Only Pain
10. Liberation
 
東宝の人気特撮シリーズ『ゴジラ』から名付けられた、デュプランティエ兄弟率いるフランスのGojiraといえば→今作に伴うツアーのサポートに抜擢されたUKのTesseractなどのDjent界隈をはじめ、海外もとい日本国内では「GJ!」「Good Job!」の略ではなく「GJira」「GJ!」だと言うくらいのBABYMETALやゴジラと間接的に関わりのあるDIR EN GREY、そして今をトキメクUSのDEAFHEAVENにも強い影響を与え、時代や世代を超えて常に「現代エクストリーム・ミュージックのキホン」あるいはその「象徴」としてシーンの頂点に君臨し続ける獣王だ。

そんな彼らを伝説の巨大クジラ『白鯨』としてその名を世界に知らしめる事となった、2005年作の3rdアルバム『From Mars to Sirius』では、この手のエクストリーム・ミュージック界の旗手として欧州での人気を確固たるものにした。そして欧州の覇者となった呉爾羅が次に襲来したのがアメリカだった。2008年作の4thアルバム『The Way of All Flesh』では、現レーベルメイトのLamb Of GodGODZILLAと同じく「クジラ大好き芸人」のMastodonをはじめとした、現代のアメリカを代表する「アメリカのメタル」を一飲で喰らい尽くし、そしてレーベルをロード・ランナーに移して発表された2012年作の5thアルバム『L'enfant sauvage』では、4thアルバムに引き続きアメリカ流の「モダン・コア化」が著しく進行し、徐々に本来のデス・メタルをルーツとしたスタイルからの脱却を図ろうとしていた。それらUSを代表する猛獣を喰い尽くすことに飽き飽きした怪獣ゴジラが次なる獲物として目をつけたのが、他ならぬUSのプログレ/ヘヴィ・ミュージック界の”タブー”こと『邪神』Toolだった。



4年ぶりに地上へと姿を現した巨大怪獣は、何もかも全てが新しい『シン・ゴジラ』へと突然変異という名の進化を遂げていた。その『変化』は、幕開けを飾る#1”The Shooting Star”から顕著で、『The Hunter』Mastodonを彷彿とさせる、地に足の着いたモダンでポストスラッジーな轟音ヘヴィネスやフロントマンジョー・デュプランティエのサイケデリックなクリーンボイス、そして刻んでるのか刻んでないのかすらわからない空キザミからしても、これまでの「世界一美しくセンセーショナル」と称されたジョーの獣性むき出しの咆哮や「エクストリーム・ミュージックのキホン」とも謳われた粗暴さや速さが抑えられた、意図的に暴虐性なアグレッションや持ち前のスラッシュ・メタル的なキザミ要素を排除したミドルテンポの曲となっている。
 


そのMastodonLamb Of Godがエクストリーム合体したようなモダン・メタルコアの#2”Silvera”デュプランティエ(弟)ことマリオのインテリズムが炸裂する変則的なドラムビートに乗せて、高速テンポで小刻みに刻むスリリングなキザミで始まり、気づけばゴジラの同胞でありインテリキチガイの一角を担うMeshuggahDeftonesなどの現代モダン・ヘヴィネスをも体内に取り込んでいた#3”The Cell”、もはや「スラッシュ・メタルへのアンチ・テーゼ」とも取れるインテリ気取ったリード・シングルで、『ゴジラ』という名の巨大クジラが起こす巨大津波の衝撃波のようなリフから、オーディエンスにシンガロングさせるボーカル・メロディとオーガニックなヘヴィメタルスタイルのリフで展開し、そして今は亡きAgalloch直系の哀愁ただようクリーン・パートへと繋がる#4”Stranded”は、まさに【反知性主義】万歳の暴虐性と叙情性のコントラストを効かせたプログレ然としたナンバーだ。

イラストレーターのHibiki Miyazaki氏が手がけたアートワークのように、一向に捕鯨を禁止しようとしない日本に対する『怒り』が爆発、つまりマグマのように頭が噴火し、遂にインテリこじらせすぎて頭パープリンになってしまったゴジラを、インテリ系エクストリーム・メタルバンドの境地へと、それこそ「フランスのトゥール」と呼ばざるをえない絶対的な存在へと押し上げたのが、他ならぬ表題曲の”Magma”だ。チャルメラ屋さんの例の音頭が謎の妖術によってラリったようなギターの旋律が、まるでフランスのアニメ映画『ファンタスティック・プラネット』ばりに70年代風サイケデリックかつ幽玄な世界観を構築し、前作で培った出自がスラッシュ・メタル畑だからこそ成せる黄金のキザミ』をはじめ、近年のBaronessを彷彿とさせるソロワークや楽曲構成力からは、それこそマストドンの名盤『Crack the Skye』に匹敵する凄みを感じさせる。ある意味、この曲このアルバムは、フレンチ産プログレッシブ・ロック界のレジェンドであるMagmaに対するGojiraなりのリスペクトなのかもしれない。今思うと、Lamb Of Godに近づいてアメリカ市場に本格参入した本当の目的は、アメリカのヘヴィミュージック界の最高権力者であるToolに接近する為の布石でしかなかったんだ、ということ。
 

その未開の部族の妖しげな宴に導かれるように、フルートの音色を擁するオリエンタルなイントロから、メシュガーの”Bleed”直系のリフをはじめ、それこそメシュガーの産物であるDjentにも、しまいには『ADHD』期のRiversideなどのモダン・ヘヴィネス勢の影響を垣間見せる#7”Pray”や#8”Only Pain”、気づけば北欧ノルウェーの獣神Enslaved(のエルブラン・ラーセン)も喰らっていた#9”Low Lands”、そしてアコギとパーカッションの組み合わせに一瞬耳を疑う#10”Liberation”のインスト最後に、この映画『シン・ゴジラ』は幕を下ろす。

これは『怒り』を原動力にしていた初代のゴジラでもなく、魔改造されたメカニカルでテクニカルなメカゴジラでもなく、『インテリ』を気取った平成の呉爾羅でもなく、アメリカ産のGODZILLAでもない。今の時代に突然変異して産まれた『シン・ゴジラ』である。どの組織にも、どのジャンルにも属さない、当然(ポスト)スラッシュ・メタルでもなければ、もはやエクストリーム・ミュージックですらないが、しかし現代的(モダン)であり一方でクラシックでもある。これまでエクストリーム・ミュージックの舞台で戦ってきたゴジラとは一線を画した、特に『Crack the Skye』以降のマストドンをはじめ、ここまであらゆる方面からの『影響』を直に感じさせる作品は歴代のゴジラの中でも初めてだ。もちろん賛否両論はあるが、ある意味もの凄く実験的なアルバムというか、これは世界の獣神を喰らい尽くし、もう喰らうモノがなくなった末、つまり極限まで飢えに飢えたゴジラが辿り着いた一つの境地と言える。同時に全てが『新しい』ようにみえて、全てが『過去』のオマージュでもある。個人的に、これはこれで「面白い」と思うし、むしろ正統な進化なのかもしれない。

『変化』には代償が付き物だ。その『変化』を恐れず『シン・ゴジラ』へと変貌した勇気は素直にリスペクトできるし、そこが本作を面白くしている一番の要因でもある。『変異』というと、北欧のEnslavedOpeth、そしてKATATONIAなども同じような『変異』を遂げた。今作ではテッド・ジェンセンをマスタリングに迎え、ジョーがセルフでミキシングしている。このモダンなメタルやりたいのかプログレやりたいのかハッキリしない曖昧なプロダクションをはじめ、まるで死の灰を撒き散らす『シ・ゴジラ』みたいな死鳥をシンボルとして掲げたKATATONIA『死の王』を彷彿とさせる、灰色の荒廃した世界観にあの時のトラウマが蘇って「うっ、頭が・・・!」ってなる。でもインテリこじらせすぎてインディ・フォーク化する最後の曲とか、もう一体何のバンド聴いてんのかわけわからなくなるし、それこそ「これはもうシン・ゴジラだ」としか他に例えようがなかった。KATATONIA『死の王』は紛れもなく駄作だったが、この『Magma』KATATONIA『死の王』でやりたかった事を自由にやってると感じた。

最後に従来のファンの目線を代弁すると→やっぱりGojiraといえばゴジラの鳴き声SEのように、Gojiraの専売特許である、クジラが尖頭銛でぶっ刺された時に鳴き叫ぶような「キュルルゥゥ!!」というあの鳴き声ギターが俺たちは聞きてぇンだよ!今のインテリ気取ったGojiraにはクジラの血が足りねぇ!もっともっと日本は捕鯨しろ!そしてモリを片手にこう叫べッ!

「KILL 'EM WHALE!!
 
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Alcest 『シェルター』 レビュー

Artist Alcest
Alcest

Album 『Shelter』
Shelter

Tracklist
01. Wings
02. Opale
03. La Nuit Marche Avec Moi
04. Voix Sereines
05. L'Eveil Des Muses
06. Shelter
07. Away [feat. Neil Halstead]
08. Délivrance
09. Into The Waves

【元々ブラックメタルなんか興味なかったのさ、あの頃の僕はどうかしてたんだ】・・・そんなネージュのホンネが込められているような、先行シングルとなる”Opale”をこの世に解き放ち、自身が生み出したポストブラックなる一つのジャンルに終止符を打った、ポストブラ界のアイドルことネージュ率いるAlcestの約二年ぶり通算四作目となる『Shelter』がリリースされた。まず、この実にShoegazer然としたラブいジャケが暗示するとおり、あのANATHEMAとのツアーを経験し、あの名盤Weather Systemsが発する黄金色に光り輝く生命エネルギーをズキュゥゥゥン!!と浴びてしまったLove & Peaceなアートワークから全てを察する事ができるんだが、結論から言ってしまうと→ネージュ「俺はポストブラックをやめるぞジョジョー!」と高らかに宣言するような、いわゆるポストブラックと称されるジャンルの一時代を築き上げてきた自身の過去との決別を宣言するかのような、北国からの風をうけて新たに生まれ変わったアルセストが奏でる極上のサウンドスケープが、そよ風にのって優しく心の中に吹き込んでくるかのような一枚となっている。



【Post-Black is DEAD】
・・・まず、翼の生えた天使が舞い降りてくるかのような、まるで気分は「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ...」な神々しいイントロの#1で幕を開け、その流れで始まる#2”Opale”が今作の『シェルター』を象徴していると言っても過言じゃあない。”オパール”という名の【幸運の石】が意味する→【人生の暗闇に希望をもたらすような明るさに満ちた石であり、憂鬱を払い、何事にも囚われない柔軟さや人に左右されない自分自身の核を作る】・・・そんなオパールに秘められたヒーリング効果をフルに発揮するかのような、これまでの少し内向的だったAlcestとは一線を画した、まるでSigur Rós直系の優雅なグロッケンシュピール(鉄琴)を用いたポストロッキンな音使いと、まるでANATHEMAヴィンセント&リー・ダグラス黄金コンビを想起させる、貴公子Neige【幸福】を呼び寄せる清らかな歌声とBillie Lindahlの天使のようなコーラスが織りなす黄金のハーモニーと共に、まるで生まれたての赤子のように純粋無垢なメロディとLove & Peaceな多幸感に満ち溢れた、眩いくらいの音の洪水にMy Heart is Happy!! しかし、なぜこの『シェルター』がここまでシガロリスペクトなのか?その答えは至って簡単だ→なんと今作のミキシング&プロデューサーには、数多くのシガロ作品を手がけてきた重鎮Birgir Jón Birgissonを迎え、そのシガロをはじめSólstafirKontinuumらのアイスランド勢の作品を世に送り出してきた、アイスランドが誇るSundlaugin Studioでレコーディングされた作品だからだ。更に、チェロやヴァイオリンなどのストリングス勢もヨンシーの親衛隊として知られるAmiinaの4人組を起用しており、様々な面においてシガロ界隈でお馴染みの人材で揃えてきている所に、もうワンランク上のおっさんを目指したいという、アルセすなわちネージュのクリエイティヴ!!な音楽に対する貪欲な姿勢と揺るぎない強い意志、そして今作に対する本気度を伺わせる。ちなみに、今作のマスタリングにはDIR EN GREYやくしまるえつこの新曲でも知られる、世界一の売れっ子エンジニアことテッド・ジェンセン擁する世界最高峰のマスタリングスタジオ、STERLING SOUNDJoe LaPortaが担当している。まさしく最強の布陣だ。

 地球のみんな!オラに力を分けてくれ!

【最後のノイズ・・・そんな、今作を象徴する”オパール”が解き放つ、まるで水晶球のように一点の曇りのない光がこの世界を明るく照らし出しながら、次の”La Nuit Marche Avec Moi”へと物語は続いていく。この曲では、ほのかに前作の匂いを感じさせるアンニュイでありながら優しく繊細なメロディをもって、極上のリヴァーヴを効かせた美しきドリーム・スケープを展開していく。そして、今作のハイライトであり、アルセストの過去と今を象徴かつ証明するかのような#4の”Voix sereine”は、まるで朝日が登り始める合図(イントロ)から、情緒感に溢れたネージュの歌声とヨンシー親衛隊による優美なストリングスや鉄琴、それらの繊細なタッチで丁寧に紡がれていくリリカルなメロディをもって、まるで「地球のみんな!オラに力を分けてくれ!」と言わんばかりの『愛』『勇気』『希望』が込められた活力みなぎる力強い音の生命エネルギーを蓄積させながら、まるで過去との別れを惜しむかのような、まるで『ジョジョ』のツェペリ一族が最期に「JOJOーーーおれの最後の波紋(ノイズ)だぜーーーうけとってくれーーッ」という魂の叫びが込められた『人間の魂』と、まるでX次元へようこそでネコ化したやくしまるえつこと同調するかのようなネージュの「ニャ~ニャ~ニャ~♪」というコーラスを交えながら、押し寄せる恍惚感とepicッ!!な胸の高鳴りと共に、中盤からクライマックスにかけてエモーショナルな感情を爆発させていく圧倒的なダイナミズムは、まさしくANATHEMAの名曲”Untouchable, Part 1”に直結するドラマティックでシネマティックなソウル・ソサエティを形成し、この世の【不幸】を洗い流し、そして全てを浄化していく...。この世界中から呼び込んだ生命エネルギーを一つにした元気玉こそ、ネージュが歩んできた音楽人生すなわち物語の一つの終着点であり、この北風と太陽のような『光』の塊こそネージュの黄金の精神』なんだと僕は悟った。

メディアブック

黄金期のジャンプ】・・・あらためて、この#4”Voix sereine”で披露している、初期のポストメタルミュージックへの回帰が込められた、これまで内側に溜め込んでいたヒキコモリエネルギーを、これみよがしに一気に外側に解放するかの如しノイジーなギターは、過去の自分を捨てて、『希望』に向かって未来へと一歩前へ踏み出すような、今にも溢れ出しそうなネージュの内向きではなく前向きな願いと想いが込められている。僕はこのノイズという名の幸福の渦に身を任せ、そのノイズの渦に贅沢に溺れる中で、Alcestとの出会いから今までの思い出が走馬灯のように頭を駆け巡り、そして気づくと僕は→「ありがとう」...それしか言う言葉が見つからない...と呟きながら、ただただ流れる涙を抑えることができなかった。それほどまでに、今までネージュが心の奥底に密かに封印しておいた『シェルター』という名の『ココロのトビラ』を開き、ネージュが求めていた輝かしき栄光の光を掴み取る瞬間・・・すなわちナポレオンの復活!を目の当たりにしているような感動すら憶えた。そして僕は、この”Voix sereine”が解き放つ恍惚感あふれるエモーションと「左手はそえるだけ...」みたいな桜木花道的なアートワークに、ジョジョ8部『ジョジョリオン』の最終話もしくはラストシーンを垣間見たような気がした。要するに、今作のテーマは→さしずめ黄金期のジャンプ』ミュージックといった所か。

【Shoegazerへの憧憬】・・・過去のAlcestに別れを告げ、リバーブの効いた冷たい北風が地肌を儚く刺激するドリーム・ハウスの中で、再びネージュとBillie Lindahlによる黄金のハーモニーを披露する#5”L'Eveil Des Muses”、まるで太陽のような輝きを放つイントロからアコースティックな音色を使ってハートフルなエネルギーを放出する表題曲の#6”Shelter”、そしてネージュのShoegazerに対する意識の高さ、すなわち『LOVE』を#7の”Away”で再確認する事となる。デフヘヴンの2nd『サンベイザー』にネージュを迎え入れたように、それこそネージュの『シェルター』を開く鍵すなわち黄金の回転エネルギーとして、マイブラと並んでShoegazerというジャンルの絶対的アイコンである伝説のシューゲイザー・バンド、Slowdiveニール・ハルステッドをリードボーカルとして迎え、ヨンシーの追っかけことAmiinaの優美なストリングスとアコースティックなフォーキーな音色を引き連れて、アイスランドの雄大な大地と情緒に溢れた自然豊かな『メランコリア』を描き出している。その、まるでネージュが「貴方が僕の『シェルター』の鍵です。私の心の扉を開くのはあな~た~♪」と言わんばかりのエモい流れから、本編ラストの約10分ある大作の”Délivrance”へと物語は進んでいく。終盤のハイライトを飾るこの曲は、まるで映画『メランコリア』の壮大かつ壮絶なラストシーンをリアルに体感しているかのような、それこそネージュという一人の人間の『真実の物語』を深裂に描き出すかのような名曲で、ネージュによる民謡風のコーラスや真綿のように繊細緻密なメロディをもってリリカルに展開しながら、特にクライマックスを飾る終盤での壮観なスケールを目の前にした僕は為す術がなく、燃えさかる灼熱の太陽に手をかざしながら、一刻一刻と迫りくる感動の渦にただただ身を委ねるしかなかった。まるで、この世に蠢く全てのカタストロフィを『無』にするかのような、それこそ『清らか』な遺体で構築された賛美歌を最期に、これにてネージュという名の聖人が後世に残した『人間賛歌』は堂々の完結を迎える。

【キーワードはJulianna Barwick】・・・主に#1,#2,#5,#8でコーラスを担当している、スウェーデン出身のインディ・フォーク系SSWPromise and the MonsterBillie Lindahlをリードボーカルとして迎えた、世界で3000枚限定のハードカバーブック盤に収録されているボートラの#9”Into The Waves”の破壊力ったらない。本編ではネージュと共に崇高なコーラス/ハーモニーを披露することで、今作をより映画のサントラ的なスケールを与え、その聖歌隊の如し神聖なるコーラスが一つのキモとなっている所からも、USのJulianna Barwickを想起させるヒーリング・ミュージック的な意識が強い作品と言える。なんつーか、インディ寄りとでも言うのかな。そんな彼女の歌声だが、このボートラではチャーチズローレンたそを少しウィスパーにした天使のような萌声を全面にフューチャーしており、それこそCD一枚に一曲という贅沢させちゃうのにも十分納得してしまうほどの良曲となっている。正直、このボートラを聴くか聴かないかによって、今作に対する評価が180度変わってしまうんじゃあないか?ってレベル。なんにしても、アルセストの新譜といいウォーペイントの新譜といい、それらを紐解く鍵となるのが、この『シェルター』と同じBirgir Jón Birgissonがエンジニアとして携わった、新作(2nd)を昨年リリースしたジュリアナ・バーウィックってのが俄然面白いね。いつぞやに彼女のデビュー作をレビューした記憶があるが、まさかそれがこの伏線()だったなんて・・・。

  シェルター
 
【ネージュの『ユメ』『夢』】・・・あらためて、今作の『シェルター』ではBlackgaze特有の無骨なブラストやノイジーなギター、そしてネージュの怒りが込められたスクリームやプログレスな展開力も影を潜め、ありのまま素直にShoegazerやってる。まるで一種の桃源郷、いや黄金にでも迷い込んだかのような幻夢的(二次元的)な世界観は皆無に近く、その薄霧がかった幻想的な森を抜けると『シェルター』という名の現実空間(三次元)への入り口が目の前に現れ、その扉を黄金の回転を使ってこじ開けると、そこには『ユメ』ではなく『夢』の世界が広がっていたんだ。それこそ、初期作品で空想という名の『ユメ』の中で『夢』を一貫して描き続け、子供の頃から憧れ続けていたネージュの『夢』が真の意味で現実となった瞬間なんだと。正直、この『シェルター』を解き放つことを使命に、ネージュはこの世に生を受けたんだと思う。しかも、かつて”オパール”【不幸の石】と呼ばれた時代もあったってんだから尚さら面白い。この言葉の意味が、ネージュの音楽人生の全てを象徴していると言っても過言じゃあない。これぞ『人間賛歌』だと。

【Pitch-Blackへの憧憬】・・・そんなネージュのアツい想いが込められた『シェルター』だが、彼らの最も身近なピッチミュージックといえば...そう、今やiPhoneの広告塔にまで成り上がった、いわゆるファッション・サブカル系男子のアイドルことDEAFHEAVENが存在する。昨年、そのD F H V Nサンベイザーが大手音楽メディアPitchforkに高く評価された結果→言わば後輩であるハズのデフヘヴン人気が、先輩のアルセスト人気を大きく上回るという逆転現象が起こった。少なくとも前作までは、根暗のニワカブラックメタラーを相手に阿漕な商売をしながら自身の立ち位置を確立してきたアルセストだが、このまさかの逆転現象に流石のネージュも「アカン」と感づいたらしく、今作ではD F H V Nに負けじと音響ライクな音作りやメロディの質、プロデューサーやゲスト陣から録音面まで全てがリア充仕様もといメジャー仕様に合わせてきてる。この変化をナニかに例えるなら→あの頃のヒキコモリ系男子がシュガーロス・ダイエットによって生まれ変わり、まるでアニヲタが脱ヲタに成功したような、まるで田舎から上京したての大学生のような、まるでキョロ充のような雰囲気すら漂っている。要するに→いくら来日公演ができるほどの人気があると言ったって、所詮はニッチな界隈でしか評価されない...そんなインディ界隈すなわちピッチメディアに対してサイレント・ジェラシーを感じていたネージュの”メタラーとしてのコンプレックス”が炸裂してしまった作品、そんな皮肉めいた受け取り方もできなくないわけだ。あらためて、”コンプレックス”というモノは人をクリエイティヴッ!!にする大きな源だと再認識した次第で。なお、ピッチのレビューではボロクソの模様。

【Post-Black is Not DEAD】・・・自分の中で、ずっとアルセストとデフヘヴンって”全くベクトルの違うポストブラック”という認識があったから、この両者の関係を考察しようなんて気持ちは微塵も湧かなかったけれど、昨年の『サンベイザー』と今作の『シェルター』を聴き比べてみたら、その愚かな考えを改めざるを得なくなった。デフへが二作目で、アルセストがその倍の四作目にしてようやくポストブラックというジャンルにおける最終目的地『メイド・イン・デフヘヴン』に到達し、お互いに引かれ合い、影響を受け与えながらも最後は互いに笑顔で歩み寄った、その良きライバルであると同時に良き理解者、もはや師弟や兄弟というような概念を超越した関係性こそ、まるでディオとジョジョのような黄金の関係性』と言えるのかもしれない。そうなんだ、『シェルター』の中で『サンベイザー』というサウンドスケープに包まれている瞬間だけが、ぼっちの僕がリア充気分になれる唯一の瞬間なんだ。僕は今、浜辺でいちゃつくリア充カップルのようにウキウキでラブラブなんだ...。というわけで、一時はポストブラックは終焉を迎えたように見えた・・・が、どうやら間違いだったようだ→俺たちポストブラックの戦いはこれからだッ!

遠回りこそ一番の近道

【遠回りこそ一番の近道】・・・正直、前作を聴いて”終わりの始まり”を感じたというか(だから年間BESTにも入れてない)、曲展開やメロディそのものが少しあざとく聴こえてしまい、その漠然としたポストブラックやめたい感・・・そんなネージュの心の揺らぎが顕著に表れてしまった前作は、初期の名作と比べるとどうしてもネタ切れ感が拭いきれなかった。しかし、そのメロディに込められた黄金の音エネルギーは着実に今作の楽曲に活かされていて、例えばOpethで言うところのWatershedを深く突き詰めた結果がHeritageである事と全く同じように、前作のLes voyages de l'âmeがあってこその『シェルター』だと僕は思う。だから、今作を聴いて「初めからShoegazerやっとけばよかったのに」というクソみたいなニワカ発言には一切興味なくて、それこそジョジョ7部のジャイロが放った名言のように、ネージュにとっても【遠回りこそ一番の近道】だったんだ。事実、前作と同じ意識のままだったら駄作しか生まれなかった、つまりオワコン化不可避だっただけに、そんな中で吹っ切れた、潔い行動を取ったアルセストを僕は素直に正しく評価したい。そして何よりもネージュの覚悟に敬意を表したい。

【引かれ合い】・・・このように、全ては”俺の界隈”の頂点に君臨するANATHEMA黄金の精神、すなわち俺の界隈の中心へと”引かれ合う”ように集まってくる。昨年のKATATONIAも、今年のAlcestも必然的に...いや、運命的にね。なんにせよ、後輩のD F H V Nの奇跡の再来日(伝説の名古屋公演)が再び決まったからには、このアルセストにも来日して頂かないとナニも始まらないしナニも面白くならない・・・と思った矢先に来日キター!
 
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Hacride 『Back to Where You've Never Been』 レビュー

Artist Hacride
Hacride

Album 『Back To Where You've Never Been』
Back To Where You've Never Been

Track List
01. Introversion
02. Strive Ever To More
03. Synesthesia
04. Overcome
05. Edification Of The Fall
06. To Numb The Pain
07. Ghosts Of The Modern World
08. Requiem For A Lullaby

フランスの西部はポアティエ出身の四人組、Hacrideの約四年ぶりとなる最新作で、ノルウェイの王手Indie Recordingsからリリースされた通算四作目『Back To Where You've Never Been』なんだけど、同郷のKloneと並び”Gojiraのフォロワー”として知られる彼らだが、前作『Lazarus』までのボーカルとドラマーの二人が脱退したとはいえ(新メンにKloneのドラマーFlorent Marcadetを迎えている)、オープニングの#1”Introversion”のオリエンタルな神秘性やUSグルーヴ/モダンヘヴィネスそして新ボーカリストLuiss RouxによるUSハーコー勢リスペクトな縦ノリ系の雄叫び、#2”Strive Ever To More”での変拍子を多用したエクストリーム・プログ/テクニカルなスタイルを耳にする限りでは、十分に本来の”Hacrideらしさ”を感じる実にダイナミズムかつexperimentalismに溢れた作風ではあるし、しかも#3”Synesthesia”では初期The Oceanもしくは初期Cult of Lunaを彷彿とさせるスラッジーな轟音ヘヴィネスを大地にズッシーンズッシーン轟かせていて、(あれっ?コイツらこんな音楽性だったっけ?イケるやん!)と度肝を抜かれた。そして中盤のインストがヤケにカッコイイ#4”Overcome”、Toolishなオルタナティブ・ヘヴィ成分およびDjent成分配合の鬼グルーヴが凄まじい#5”Edification Of The Fall”、インスト主体の#6、再びジェントライクなゴリゴリなリフ&モダンヘヴィネスを擁しながら怒涛の展開力を見せる#7”Ghosts Of The Modern World”、再びトゥーリッシュなラストの#8まで、いわゆる【大作志向】で全7曲トータル約1時間という妙な冗長さを感じた前作とは違い、全8曲トータル約42分というコンパクトに凝縮された作風かつ今時のDjent成分配合のシンプルでモダンなエクストリーム・メタルやってる本作すき。なんつーか、前作みたいなネットリ感のある混沌とした雰囲気は薄くなって、存外サッパリとした音に変わったというか、#6を筆頭にCynicTexturesそしてToolを連想させるオルタナ/プログレ成分配合のスペーシーな音響系【ATMS】空間の形成に意識を向けた作品、そんな印象。要するに、その手の好き者にグッと訴えかけるナニかがある。まぁ、この手の”流行り”の音に合わせてくる辺りは流石のIndie Recordingsといった所。良作。
 
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GOJIRA 『L'enfant sauvage』 レビュー

Artist Gojira
Gojira

Album 『L'enfant sauvage』
L'Enfant Sauvage

Track List
01. Explosia
03. The Axe
04. Liquid Fire
05. The Wild Healer
06. Planned Obsolescence
07. Mouth Of Kala
08. The Gift Of Guilt
09. Pain Is A Master
10. Born In Winter
11. The Fall

ジョー(Vo,Gt)&マリオ(Dr)のデュプランティエ兄弟率いる、フランスはアキテーヌ地方オンドル出身の”シーシェパード・メタル”こと、Gojiraの約四年ぶりとなる通算五作目『L'enfant sauvage』なんだけど、かのロードランナーへ移籍して第一弾となる本作でも前作の4th『The Way Of All Flesh』同様、テクデス/スラッシュ/スラッジ・メタルの影響下にある轟音系のスタイルを基本の世界に、まるでハイエロファントグリーンの触手となって人の脳内へと侵食し精神の自律神経を食い散らかすような、インダストリアルなオルタナ的センスを取り入れたエクストリーム・プログレッシブ・メタルは不変ではあるものの、今回、メジャーのRRへ移籍した影響やメタリカとの共演に一層の刺激を受けたのか、彼らのルーツであるデスメタル成分は更に希薄となり、より俄然スラッシュ嗜好を高めながら、同時に幽玄なパート/メロディを積極的に取り入れた事により聴きやすさが増した、要するに”先の展開がキング・クリムゾンばりに予測できるようになった”プログレ・メタル、といった印象が強く、特に#1” Explosia ”と#2” L'Enfant Sauvage ”の頭二曲に本作の全てが詰まっていると言うても過言じゃなくて、まず#1で垣間見せる”あのキザミ”=”黄金のキザミ”の血脈を感じるタイトでグルーヴ感のあるリフのキザミなんかを見るに、正直かなりIn Mourningの名盤1stや最新作の3rdを彷彿とさせる、モダンなポストスラッシュに至極接近した感覚を一番に与え、そして続く#2を聴けば嫌でも理解ッできるとおり、ゴジラとも交流の深いリアル殺人鬼ことランディ率いる近年のLamb Of Godを筆頭とした、いわゆる”RR製メタルコア”的なキッズ向けの音作りとでも言うんだろうか、ラムがRRへ移籍した時と同じデジャブを感じるような、つまり”メタルコア化したゴジラ”という解釈がなされた一枚、と言い切っていい本作品。

 あのMastodonTesseracTなどの若いバンドにも多大な影響を与えたであろう前作でも思ったけど、やっぱりこの人ら俺が求めるキモティ・・・”あのキザミ”知ってますわ。要するに、おいら、これはこれで嫌いじゃあないです。とか言うても、本作特有の”RR製メタルコア”っぽく聴こえる所は賛否両論あると思うし、彼らの名を一躍有名にした3rd『From Mars to Sirius』で垣間見せたような、捕鯨に対するクジラさんの怒りを体現したようなスゴ味ッや、超スケールの名曲” The Art Of Dying ”を擁する前作4thの高い完成度と比較すると、その質は明らかに劣ってはいるものの、メジャーにステップアップしても素直に”カッコイイ”という感想がまず一番に出てくるあたり、やっぱ彼らが創り出す音楽は”格”そのものが他と違うんだと思う。つうか、”ゴジラってなんでこんなに人気あんの?”という疑問を抱いてる人はコレを聴いて判断すればいいと思うよ。彼らの作品の中では最も取っ付きやすい、つまり”至ってシンプル”な作風となってるんで、今までゴジラに対して妙な偏見があるorあった人こそ聴くべき一枚だと思う。一方、往年のゴジラヲタ目線だと、3rdや4thと比較すると色々な面で若干の物足りなさを感じるかもだが、しかし最低限の”らしさ”は失われてはいないので、少なくともそれなりには楽しるハズです。おいらみたく、”3rdより4th派”なら聴いて損はなさそう。

 前作に収録されたゴジラ史上屈指の名曲” The Art Of Dying ”を超える楽曲は当然というか残念ながら存在しないが、まるでイルカさんの実に知的な鳴き声みたいなキュルゥゥ♡とかいう超絶kawaiiギター音とスラッジーな轟音ヘヴィネスがクジラさんの潮吹きの如くけたたまましい雄叫びを上げる始まりから、VoジョーのGoッ!!という合図とともに超キモティ・・・”あのキザミ”が怒涛に押し寄せる#1” Explosia ”を筆頭に、なんだかんだでジョーの地響きが生まれるほど獣じみた咆哮はクッソカッコイイですわと切実に思わせるタイトルトラックの#2” L'Enfant Sauvage ”、往年のゴジラっぽさを感じる#3、前作的なインダストリアリズムとリフのキザミを効かせた#4” Liquid Fire ”、なんかクセになるインストの5、初っ端からクッソ激しく展開する前半と癒されるほどの安らぎ感がハンパないアウトロとのギャップが聞き所の#6” Planned Obsolescence ”までは”サスガ”に安定した曲で楽しませる。しかし、前半と比べると後半の曲の存在感が薄いと感じてしまうトコはご愛嬌か。その中でも、再びッ!!キザミを擁したプログ・メタルの#9は面白い。で、今回は大作と呼べる曲は一つもなく、あくまでも”コンパクト”さを意識した楽曲が多い印象で、しかもボートラ抜きだと収録時間がヒッジョーに短くなるので、その点からも俄然”至ってシンプル”さを強く印象づける・・・というわけで、本作品はゴジラというバンドを初めて知るには打って付けの作品だし、In Mourningを筆頭とするポストスラッシュ好きなら聴いてみればいいと思うよ。おいら自身、正直#1の為だけに聴いてるようなもんだし。俺の中では、もうゴジラは#1の路線を極めてくれるだけで十分です。

L'enfant Sauvage: Limited
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Eths 『III』 レビュー

Artist Eths
Eths

Album 『III』
III

Track List
01. Voragine
02. Harmaguedon
04. Gravis Venter
05. Inanis Venter
06. Sidus
07. Proserpina
08. Hercolubus
09. Praedator
10. Anatemnein

フランスはマルセイユ出身の五人組、Ethsの約五年ぶりとなる通算三作目『III』は、霧の季節へと移籍して初のアルバムで、その作風としては、一昔前の叙情派メタルコアっぽい俄然モダンなサウンドへと歩み寄っている感があるものの、紅一点Voキャンダイスのゲロゲロゲボゲボ~なマジキチシャウトやヤンデレ系ボイスやヌー・メタル~オルタナティブ・ヘヴィライクなGリフなど、持ち味であるマジキチ度が減ってキレイめなEthsになってはいるが、Ethsらしい病的なまでにエグいフレンチフェミニン的世界観は不変で、というより、The Agonistっぽくなったっつー例えが一番分かりやすいか。そんな感じで、過去二作は90sヌー・メタの後追いで、今回は00sのメタルコアの後追いをやってる感がいかにもフランスのバンドってな感じで、おいら嫌いじゃないです。



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