Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

ポーランド

Riverside 『Love, Fear and the Time Machine』

Artist Riverside
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Album 『Love, Fear and the Time Machine』
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Tracklist
01. Lost (Why Should I Be Frightened By A Hat?)
02. Under The Pillow
03. #Addicted
04. Caterpillar And The Barbed Wire
05. Saturate Me
06. Afloat
08. Towards The Blue Horizon
09. Time Travellers

R.I.P. ・・・イギリスの奇才、デヴィッド・ボウイが亡くなった。80年代の音楽シーンに多大なる影響を与え、音楽面は元よりビジュアル面から思想に至る所まで、いわゆるPost-Progressive界隈並びに現代プログレ界の第一人者であるスティーヴン・ウィルソンに計り知れないほどの影響を及ぼし、そして"日本のスティーヴン・ウィルソン"こと漫画家荒木飛呂彦の感性および『ジョジョの奇妙な冒険』に絶大なる影響を与えた、その最もたる偉人が亡くなった。この時間旅行は、そのデヴィッド・ボウイに対する壮大な鎮魂曲なのかもしれない。

プログレ回帰 ・・・このポーランド出身のRiversideというのは、かのスティーヴン・ウィルソン主宰の新興レーベルKscopeが提唱する、いわゆる"Post-Progressive"とかいう流行りのシーンに決して流されることなく、個性あふれる独自のプログレッシブ・ロックを構築していることから世界的に高い評価を得ているバンドで、2013年に発表された5thアルバムShrine of New Generation Slavesは、現代に蔓延るブラック企業の社畜という名の『新世界の奴隷』をテーマに、それこそ新世代のスーパーヒーロー『アイアム・ア・ノマド・フリーマン』が現代の行き過ぎた資本主義に警鐘を鳴らすような一枚だった。一方で、その音楽的には往年のクラシック・ロックに対する理解を著しく深めていた彼らだが、前作から約二年ぶりとなる6thアルバム『Love, Fear and the Time Machine』では、そのクラシック・ロックを基にしたサウンドを着実に踏襲しつつも、しかしこれ以上懐古路線に傾倒することなく、いわゆる「超えちゃいけないライン」を超えない程度に、あくまでも"プログレ"として成立させている。正確には"プログレ回帰"した作風となっていて、しかし一言で"プログレ回帰"と言ってみても、これまでとは一味違ったプログレであることは確かで、何を隠そう、これまで意図的にPost-Progressiveという新興ジャンルから一定の距離を保ってきた彼らが遂に、というか、ここに来てようやくPost-Progressiveの世界に介入してきたのである。

(Love) ・・・ここ最近のPost-Progressive界隈では、イギリスのANATHEMAやフランスのAlcestが新しく立ち上げた新興勢力、その名も黄金界隈』が幅を利かせている状況で、この事態を受け、Post-P(ポスト-ピー)界隈の代表取締役社長兼CEOで知られるスティーヴン・ウィルソンも、2015年に発表した自身のソロアルバムHand. Cannot. Erase.の中で、SWなりの黄金の音』というのを黄金界隈』に掲示してみせた。その異常事態を察知した、SWのクローンことマリウス・デューダきゅん率いるRiversideも、敬愛するSWの後を追従するように黄金界隈』からRiversideなりのPost-Progressiveを展開している。まず、今作のタイトルに含まれたLove(愛)」Fear(恐怖)」という2つのワードからして、いわゆる"LovePeace"を最大のテーマとして掲げる黄金界隈』に、彼らRiversideが入門してきたことを意味する。何を隠そう、その『Love(愛)』『Fear(恐怖)』というキーワードは、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』にも深い関わりを持つ。例えば→引力、即ち愛(Love)であることや、おれは「恐怖(Fear)」を克服することが「生きる」ことだと思う。世界の頂点に立つ者は!ほんのちっぽけな「恐怖(Fear)」をも持たぬ者ッ!という三部DIOや、『勇気』とはいったい何か!? 『勇気』とは『怖さ』を知ることッ!『恐怖(Fear)』を我が物とすることじゃあッ!と言い放ったツェペリ男爵の名言を筆頭に、ジョジョに登場するキャラクターの言動および行動原理には、他でもない『Love(愛)』『Fear(恐怖)』という二大概念が存在している。人間は『恐怖』を乗り超えることで『勇気』を得ることができる、その言葉どおり、Riversideはこの6thアルバム『愛・おぼえていますか』の中で、これまで見て見ぬふりをし続けてきたPost-Progressiveと真正面から向かい合い、その『恐怖(Fear)』という名の時空を超えて真実の『愛(Love)』を掴みとっている。

恐怖(Fear)  ・・・人は誰しもが【変わる】ことに恐怖(Fear)し、世界的に【新しい】異分子となるものを排除する潮流にあり、その【新しい】異分子が原因で起こる問題に人々は恐怖(Fear)する。おいら、以前からPost-Progressive界の第一人者スティーヴン・ウィルソン荒木飛呂彦は限りなく近い、【≒】の存在であると考えていて、なお且つ黄金界隈』の創始者でありPost-P界の幹部でもあるANATHEMA"オルタナティブ"な音楽遍歴と黄金の精神』を提唱する『ジョジョ』の"オルタナティブ"な冒険遍歴も【≒】の存在であるという独自解釈を持っている。そもそも、『ジョジョの奇妙な冒険』というのは音楽漫画でありプログレ漫画でもある、という前置きはさておき、【ANATHEMA≒ジョジョ】であるという根拠の一つに、ANATHEMAが2014年に発表したDistant Satellitesを象徴する”The Lost Song”という組曲にも、他でもない『Love(愛)』『Fear(恐怖)』の二大概念がテーマに組み込まれていて、中でも”The Lost Song Part 1”のラストシーンにあるThe Fear is Just an Illusionつまり恐怖なんて幻想に過ぎないんだという『ジョジョ』然とした人間讃歌あふれる歌詞(セリフ)を筆頭に、ジョジョ8部『ジョジョリオン』「呪い(ANATHEMA)を解く物語」であること、バンド名を冠した"ANATHEMA"即ち"呪い"の中には『Love(愛)』が込められていること、そのANATHEMAがまさかの来日公演を果たしたこと、そして今回満を持してRiverside"LovePeace"即ち黄金の精神』を描き始めたこと、全てが糸のように繋がっている気がしてならないんだ。現代日本の"リアル"を暴き出していくジョジョ8部『ジョジョリオン』の中で、全く【新しいジョジョ】を切り拓かんとする荒木飛呂彦恐怖(Fear)は想像を絶するものがあるが、しかしその恐怖(Fear)を乗り超えられたならば、歴代最低の評価を受けている『ジョジョリオン』は晴れて傑作の評価を得ることになるだろう。
 

Love:12g⇄Fear:11g ・・・愛(Love)恐怖(Fear)よりも重いのだろうか・・・?人は恐怖(Fear)を乗り超えることで愛(Love)を知るのだろうか・・・?この『愛・おぼえていますか』を司る『Fear(恐怖)』『Love(愛)』、そして『Peace』という3つのワードが一つに集約され、リリックビデオとして先行公開された”Discard Your Fear”からして、アンニュイでメロマンティックな世界観やThe Cure”Fascination Street”をオマージュしたベースラインをはじめ、"オルタナティブ"なクリーン・トーン中心のフレーズやバッキング・ギターに魅了される。そして何よりも→Fear of new life Fear of days of the unknown No more fear of loveという、今作のコンセプトその本質を表した歌詞が全てを物語っている。その80年代のUK音楽リスペクトな耽美的なムードは、オープニングを飾る#1”Lost”から惜しげもなく発揮されていて、前作のリード・トラックである”Celebrity Touch”を彷彿とさせるクラシック・ロック譲りのリフ回し、今作のアートワークの如しどこまでも続く地平線に淡色に揺らめく夕焼けを映し出すようなリヴァーヴィでドリーミーなメロディ、そしてデビュー作『Out Of Myself』の頃にファスト・トラベルさせる抒情的かつ幽玄な旋律を奏でるギター・ワークまで、まさに彼らの『過去』へとタイムトラベルするかのような、今作の幕開けを飾るに相応しい一曲だ。で、ANATHEMAがPost-P界隈の仲間入りを果たし、いわゆる黄金界隈』創設に至る大きなキッカケとなった傑作『We're Here Because We're Here』直系のクリーン・ギターを擁したミニマルなリフで始まり、中盤からエキセントリックなハモンド・オルガンやメロトロンを駆使してグッと場を盛り上げてから、後半にかけて「キング・オブ・プログレ」としか例えようがないPost-然とした展開力を発揮する#2”Under The Pillow”、そして【新しい】ことに対する『Fear(恐怖)』と対峙する#3”#Addicted”は、イントロからPorcupine Tree”Fear of a Blank Planet”を彷彿とさせるポップなビート感に度肝を抜かれ、そのリズムからギター・フレーズ、そしてマリウスきゅんのフェミニンなボーカルを筆頭に、ニュー・ウェーブ/ゴシック・ロックが一世を風靡した80年代のイギリス音楽愛即ちLoveに溢れた、それこそ「ロマンスがありあまる」ような名曲だ。そして、この曲のアルペジオが入ってくるアウトロの場面転換というか、それこそ"イェンス・マジック"により化けたMoonspell”Medusalem”を彷彿とさせる、要するに80年代のUK音楽と現代的プログレを邂逅させたこの瞬間というのは、このRiversideがPost-Progressive界入りを宣言した歴史的瞬間でもあった。
 


タイムトラベル ・・・自らの原点である『過去』や自らの音楽的なルーツでもある80年代の音楽シーンに回帰した彼らは、今度は2ndアルバム『Second Life Syndrome』と3rdアルバム『Rapid Eye Movement』の頃にタイムトラベルする。暗鬱で内省的な世界観やポスト系のキザミで構成されたリフ回しをはじめ、中期のPorcupine TreeあるいはThe Pineapple Thiefを連想させる、それこそイギリスの空模様のようにソフト&ウェットな、それこそPost-Progressive然としたアコギを織り込みながら、ラストは一種の小宇宙を形成するようなエピカルなバンド・アンサンブルでキメる。次はそのメタリックな側面を更に追い求めるかのように、すなわち4thアルバムAnno Domini High Definitionへとタイムトラベルする#5”Saturate Me”は、プログレ・メタル然としたアクティヴでテクニカルなインストをはじめ、マリウスきゅんによるミカエル・オーカーフェルト顔負けの抒情的なボーカル・メロディとキーボードのエピカルでスペイシーな演出とともに、カタルシスを誘うアウトロのアルペジオまで揺るぎない音のスケールで繰り広げる。悪夢を見ているかのようなダーティで物哀しいマリウスきゅんのボーカルをメインに聴かせる#6”Afloat”Alcest顔負けの美しいアルペジオとアート・ロック志向のピアノ、そしてマリウスきゅんのヨンシーばりの繊細な歌声をもって恍惚感に溢れた幕開けを飾る#8”Towards The Blue Horizon”は、そのアルプスの遊牧民と化す幕開けから一転して、Opethの名曲”Bleak”Riversideなりに再解釈した猟奇的なギター・フレーズから徐々に暗黒面に堕ちていく曲で、というより、Pale Communion”River”をイントロから見せ場のスリラーなインストパートまで丸々オマージュしたような曲調で、あらためてOpethがマリウスきゅんおよびRiversideに与えた影響、その大きさを物語っている。そのタイトルどおり、それこそLet's go back to the world That was 30 years ago And let's believe this is our timeと繰り返される歌詞にあるように、『現在』から30年前の『過去』へとタイムトラベルした長旅の疲れを癒やすような、その思い出話に花を咲かせるようなフォーキーなアコギ中心の#9”Time Travellers”、そしてPink Floyd”High Hopes”をオマージュしたようなMVの映像美が見所の#10”Found”を最後に、デヴィッド・ボウイと並びPost-Progressiveの一つのルーツであるフロイドに敬意を表することで、これにてRiversideのPost-P界入りが正式に『許可』される。



再構築 ・・・「僕たちが愛した音楽、そのルーツがどこにあるのか?」を過去30年まで遡って彼らが導き出した答え、「僕たちの音楽」がこの『Love, Fear and the Time Machine』なのだ。マリウスが子供の頃に夢中になった80年代のイギリス音楽、大人になったマリウスが夢中になったPorcupine Treeおよびスティーヴン・ウィルソンOpethおよびミカエル・オーカーフェルト、それらを含むマリウス・デューダが愛した世界中の音楽との再会、つまりタイムトラベルの後遺症により"Lost"した記憶(思い出)をトリモロス(再構築)する音の時間旅行なのだ。子供の頃の記憶を取り戻し、大人になって成長した今の自分を紡ぎ出すことに成功した主人公マリウスは、右手には愛(Love)を左手には勇気(Pluck)を持って、Post-Progressiveという未知なる恐怖(Fear)に立ち向かい、その恐怖(Fear)を乗り超えた先で掴みとった【新しいRiverside】の姿が今作に刻み込まれている。そもそも、往年のクラシック・ロックの音作りでガチのプログレやるパティーンというのは、最近ではMastodon『Crack the Skye』CynicKindly Bent to Free Us、そしてOpethPale Communionが記憶に新しいが、紛れもなくこの『Love, Fear and the Time Machine』もそれらの作品と同じ系譜にあるアルバムと言える。中でも、スティーヴン・ウィルソンが手がけた『Pale Communion』は、今作に多大な影響を及ぼした一枚なのは確かで、Opeth自身もそのアルバムの中で自らの『過去』を再解釈/再構築していたが、このRiversideの場合は自らの『過去』を経由して、更にそこから30年前の音楽を再構築するという、それはまるでスティーヴン・ウィルソンミカエル・オーカーフェルトの間に生まれたマリウス・デューダという名の子供が、親の離婚という『未来』を変えるために『過去』へタイムトラベルして再構築を目指すような、それはまるで未知なる惑星へと向かう途中、ガルガンチュア内部に突入する恐怖(Fear)時空(Spacetime)を超えて究極の親子愛(Love)に辿り着いた、映画『インターステラー』マシュー・マコノヒーばりに前代未聞の事を成し遂げている。そして子(マリウス)が親(SW&MO)という絶対的な存在を超越した瞬間、気がつくと僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

繋ぎの意識 ・・・今作、とにかく曲展開の"繋ぎ"とアウトロに対する意識の高さが尋常じゃない。その繋ぎやアウトロといえば→デフヘヴンの新しいバミューダ海峡が一種のプログレに通じていたのは、他でもない展開の繋ぎとアウトロの意識の高さにあって、今作のRiversideも例外はなく、繋ぎのメリハリを強調することによりプログレという名の様式美/構成美が刻まれていく。そして、いかに今作がOpeth『Pale Communion』をお手本にしてるのかが分かる。特に、#2,#3,#4のクライマックスで垣間見せる、四人の個が互いに高め合いながら一つになり、ナニモノも立ち入ることを許さない"四人だけのセカイ"を構築する孤高のバンド・アンサンブル、それは現代のプログレと称されるポストロック的ですらある、まさにポストでモダン、リリカルでエピカルなPost-Progressive然とした展開力、ある種の「静寂の中にある狂気」は息を呑むほどに「ロマンスがありあまる」。もはやバンドとしての一体感は、ポスト界隈の幹部勢を優に超えたものがあるかもしれない。

変わる ・・・初期二作のクサメロ全開の辺境プログレっぷりから、一転して3rdアルバムではTool直系のモダン/オルタナ化したと思えば、次の4thアルバムではメタリックなモダン・ヘヴィネス化したりと、元々Riversideって【変わる】ことを決して恐れないバンドではあるのだけど、この『Love, Fear and the Time Machine』における【変わる】の意味は、これまでの【変わる】とは意味合いがまるで違う。ピョートル(兄)のギター・ワークからアコギおよびアルペジオをはじめ、それに伴う曲作り/曲構成、そしてリリック面に至るまで、全ての音のトーンが完全にポスト化へとシフトしている。いわゆる洗練されたとかモダン化したとか、そんなベクトルの話とは違くて、ただただ「これがプログレなんだ」感しかない。マリウス&ミシャのインテリコンビとガチムチ系ピョートル兄弟からなる、この凸凹過ぎるギャッピーなビジュアルからは想像つかないほどの、音楽に対する柔軟性や器用さを過去最高レベルで発揮している。中心人物であるマリウスきゅんはマリウスきゅんで、クリエイターとしての才能とソングライターとしての才能を過去最高に高い次元で爆発させている。そして過去最高にSW愛に満ち溢れた作品でもあって、ソロプロジェクトのLunatic Soulで垣間見せたSW愛をそのままバンドに持ち込んだような形とも言える。僕は今作における【変わる】の意味に対して、「軸がブレた」とか、「オリジナリティが薄れた」とは微塵も思わない。むしろSWの正統なクローンだからこそ実現可能にした、紛れもなく真のオリジナリティだ。
 
Love, Fear & the Time Machine
Love, Fear & the Time Machine
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Riverside
Imports (2015-09-11)
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Lunatic Soul 『Walking on a Flashlight Beam』

Artist Lunatic Soul
Lunatic Soul

Album 『Walking on a Flashlight Beam』
Walking on a Flashlight Beam

Tracklist
01. Shutting Out The Sun
02. Cold
03. Gutter
04. Stars Sellotaped
05. The Fear Within
06. Treehouse
07. Pygmalion's Ladder
08. Sky Drawn In Crayon
09. Walking On A Flashlight Beam

マリウス・デューダ≒京 ・・・おいら、DIR EN GREY”サVカル系男子”こと率いるsukekiyoに最も親和性のあるバンドって、実はRiversideのフロントマンマリウス・デューダ君のソロ・プロジェクト、Lunatic Soulなんじゃねーかと思ってるんだが、例えばsukekiyoの1stアルバム『IMMORTALIS』の一曲目”elisabeth addict”Lunatic Soulの1stアルバム『S/T』だとするなら、二曲目の”destrudo”Lunatic Soulの2ndアルバム『Lunatic Soul II』みたいなイメージを持っていて、このLunatic Soulといえば→初期こそアコギ/パーカッション/ピアノを中心に、フルート/カホン/カリンバ/古筝などのオリエンタルな楽器を擁して多彩なアレンジを効かせた、いわゆる”Post-Progressive”然とした音響意識の高いアンビエント・ロックやってて、しかし3rdの『Impressions』からは初期二作のロック色は薄まって、俄然アンビエント寄りのモダンでアトモスフェリックなミニマル・ミュージックへと変化していった。そして、前作から約二年ぶりとなるこの4thアルバム『Walking on a Flashlight Beam』では、まさしくマリウス・デューダという人間のPorcupine Tree愛、すなわちスティーヴン・ウィルソン愛がバクハツするかのような、それこそSWの一番弟子としてのポテンシャルが宇宙の如く無限大に広がるような、前作のアンビエント路線が更に極まって、俄然スケール感が増した力作となっている。

SW愛 ・・・彼マリウス・デューダSW愛というのは、本家のRiversideを聴けば嫌ってほど分かるし、当然これまでのソロ作品にもその影響はあった。しかし、ここまで露骨なSW愛が込められたアルバムはなかったように思う。そんな彼の異常なまでのSW愛は、この『Walking on a Flashlight Beam』の幕開けを飾る”Shutting Out the Sun”を聴けば顕著で、それこそ彼が敬愛しているPTの1stアルバム『The Sky Moves Sideways』や2nd『Signify』を連想させる、さざ波のSEをバックにモダンなエレクトロが荘厳かつ神秘的な雰囲気を醸し出し、聴き手を誘惑するかのようなマリウスの深みのある歌声と実験音楽的な音使いをもって、それらを全て飲み込んで宇宙規模のATMSフィールを広域に展開していく。次の#2”Cold”では、より仏教的な音響やレーベルメイトの某TesseracTの名曲を彷彿とさせるアルペジオを駆使した、トリップ感あふれるミニマルなエレクトロニカ/アンビエント・ミュージックを繰り広げ、独特の”ウネり”を効かせた持ち前のグルーヴィなギター・ベースを軸に、マラカスなどのエスニックな楽器や胸に染みわたるマリウスの叙情的な歌声が妖艶に絡み合い、それこそTool直系の妖しい呪術を唱えるかのような#3”Gutter”、まるで気分は宇宙空間を彷徨うサンドラ・ブロックなATMS系インストの#4”Stars Sellotaped”、いくつもの狂気的な音響が重なりあって小さなブラックホールを形成するかのような、まるで地下鉄に一人取り残されたような不安感に苛まれる#5”The Fear Within”、レーベルメイトの中期ANATHEMAやレディへを連想させるUKミュージック的なモダンな音使いとレトロフューチャー感のあるオルガンが織りなす#6”Treehouse”は、初期椎名林檎†††に通じるフェミニンでアンニュイなムードを纏った、それこそ薄暗い雲に覆われた始まりから徐々に優美な光が差し込むような、これぞPost-Progressiveな、まさしくK-Scopeサウンドを垣間みせる。その流れを継いで、艶美なエレクトロとOpethあるいはStorm Corrosion譲りのダーティなアコギが暗黒街主催のエレクトリカルパレードを奇しく彩る行進曲のような#7”Pygmalion's Ladder”への流れは今作のハイライトで、そのままアルペジオ主体の#8”Sky Drawn In Crayon”から、再びIsisばりの”Post-感”あふれるモダンな音響主体の表題曲の#9”Walking On A Flashlight Beam”を最後に、この物語『SW♥LOVE♥ビーム!』は幕を閉じる。

マリウス×SW ・・・今思うと、本家Riversideの5thアルバム『Shrine of New Generation Slaves』のボートラとして収録された、実験的なインストナンバーの”Night Session”が今作への伏線だったのかもしれない。UKミュージック風のモダンなエレクトロを大胆に取り込むことで、大幅な音の洗練とスケール・アップが図られ、1stアルバムの”Out on a Limb”をルーツとしたLunatic Soulらしいダーティなオリエンタリズムと、その首謀者マリウス・デューダとかいう人物に宿る深い闇がクロスオーバーした末に産み落とされた、それこそトラヴィス・スミスが手がけたアートワークのように、無数の音がクロスしてパノラマの如く眩い光を放つイメージが直に伝わってくるかのような、まるでスティーヴン・ウィルソンに対するマリウス君の歪んだ愛情がそのまま歪んだAtmosphereへと変貌したかのような一作だ。その長年のSW愛が認められたのか、遂にマリウス君とスティーヴン・ウィルソンのコラボが実現するに至った。これは26歳の若さで亡くなったアレックという青年(ファン)のリクエストがキッカケで、アレックが歌詞をマリウスが曲を書いて、それをSWに持ち寄って実現したコラボだ。しかし残念ながら、このコラボ曲が完成する前にアレックは他界。。。ともあれ→このLunatic Soulは1st以降右肩下がりな感じが否めなかったが、このアルバムでまた挽回してきた感じする。それくらい、かなりのSW愛即ちLOVEが込められた力作なんです。

Walking on a Flashlight..
Walking on a Flashlight..
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Lunatic Soul
Kscope (2014-10-27)
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Widek 『Outside the Universe』

Artist Widek
Widek

Album 『Outside the Universe』
Outside the Universe

Tracklist
01. The Space Between Us
02. Above The Sky
03. Spiral
04. Galaxy
05. Aries (feat. Gru)
06. Stargaze
07. Orion
08. Cosmic Ocean (feat. Tomas Raclavsky)
09. ION
10. Saturn (feat. Sithu Aye)
11. Celestial
12. Falling Universe (feat. Gru)
13. The Last Day on Earth
14. Ursa Major (feat. Gru)
15. Enter Through The Sun (feat. Matthieu Romarin & Gru)
16. The Astronaut

【ジェント界のオールスター】・・・いわゆるDjentっつージャンルって、開祖Meshuggahをルーツとする正統派からプログレ・メタルに歩み寄ったDjentから女ボーカルのkawaii-Djent、メタルコアを乗っ取ったDjentからスパイス・ボーイズ系のikemen-Djentまで、一見アンダーグラウンドでニッチなジャンルのようで実はとっても幅広くて奥深いジャンルなんだけど、このポーランド出身のWidekはアンビエント/アトモスフェリック系の独りDjentで、アトモスフェリック×ポストメタルなDjentといえば真っ先にフランスのUneven Structureを彷彿とさせるが、このWidekの1stフル『Outside the Universe』は、そのUneven StructureのボーカルMatthieu Romarinや同郷のGruやビルマ(ミャンマー)出身のSithu Ayeなどの著名なDjentlmenをゲストに迎えた、ある意味でジェント界のオールスター的な作品となっている。

【Shoegazer×Djent=Shoedjent】・・・オープニングを飾る#1”The Space Between Us”から、スウェーデンのCarbon Based Lifeformsを思わせる超宇宙なアンビエント空間の中で、Hammockを思わせるポストロック流れの情緒感あふれるリリカルなメロディが華やかに美しく、そして力強くエモーショナルに咲き乱れる曲で、この時点でWidekのアトモスフェリック・ミュージックや”ポスト-系”に対する意識の高さが伺える。更に次の#2”Above The Sky”では、このWidekがやっぱりタダモノじゃない事を痛感することになる。AmbientとDjentの組み合わせは”Ambidjent”と呼ばれるくらいには有名だけど、この曲はShoegazerとDjent=Shoedjentという今までにありそうでなかった珍しい組み合わせ...というより、ジェント界隈の人間がシューゲっぽい曲やってる事にまず「シュゲー!!」って驚く。・・・で、再びポストロック流れのミニマルでエピカルなメロディをフューチャーした#3”Spiral”なんかは、それこそOGのsleepmakeswavesがジェント化したような感覚すらあって、続く#4”Galaxy”のジェント然としたガーガーガーガーガーニキガーニキガーニキ的なリフを耳にして初めて→「あっ、これってジェントだったんだ!」ってなるくらい、そのアンビエント/ポストロックの流れを汲んだ淡く繊細なメロディセンスは、少なくともこのジェント界隈では頭ひとつ抜きん出ている。

【スペースノイドマン】・・・その後も→”Stargaze”やや”The Astronaut”などのアンビエント系から、”Orion””Cosmic Ocean”などのGod Is An AstronautもしくはAtomaがジェント化したような曲、TesseracT風のアルペジオを駆使した”ION””Saturn”など、時に夜空に煌めく星のように、時に天体観測からの「あっ!あれオリオン座じゃない?」と独り言いってみたり、時に宇宙の果ての銀河に放り出されて→「あたしサンドラ・ブロック、ガチで宇宙空間を漂流中」を再現したり、かと思えば一転して深海の神秘に惹き込まれたり、時に夢のようにシネマティックな音世界を独り旅してみたり、時に独りで『惑星ソラリスとの交信』をしてみたり、時に映画『地球最後の日』あるいは『メランコリア』の壮絶なラストシーンを疑似体験させたりと、孤独死不可避な喪男だからこそ捻り出せるそれらのキモーショナルなメロディを自在に操る、まるでNHK宇宙チャンネル『コズミックフロント』を観ているかのようなサウンド(ドリーム)スケープを目の当たりにしたら最後、気づくと私はスペースノイドと化していたのだッ!・・・(続く)

【Djent化したCBL】・・・一概にジェントと言っても、基本は短尺(約3分)の曲で構成されたチルいインストアルバムで、しかしインストに感じないくらい豊富なメロディの洪水にはぐうの音も出ない。現にUneven Structureのボーカルをゲストに迎えた”Enter Through The Sun”を聴いて、ようやくこのWidekがインストだという事に気づいた(おそ)。まぁ、それは冗談だけど→ジェントには”必ずしもボーカルは必要でない”という事を証明するかの如く、孤独感に苛まれた喪男の腐敗した心を浄化するような聖なる清らかなメロディに満ち溢れ、それはまるで地球外生命体すなわちエイリアンが繭の中で孵化していく絶望的でありどこか神秘的な姿を映し出すかのよう。もはや、あのSadistik”ヒップ・ホップ化したCarbon Based Lifeforms”だとするなら、このWidek”ジェント化したCarbon Based Lifeforms”だ。メロディ以外の面では、ヘタにジェントジェントしたリフを多用するのではなくて、あくまでもマスいリズムに重きを置いた一種のポストメタルあるいはモダンなヘヴィロックとも取れるリフ回しを得意としている。 今年、ジェント界におけるオモテのBESTアルバムがAnimals As LeadersThe Joy of Motionならば、このWidekの1stアルバム『Outside the Universe』はウラのBESTアルバムと言っていい。それほどまでに、今や星の数ほど存在するDjentlmenの中でも、このWidekはペリフェリーをはじめとしたジェント界の重鎮にも決して引けをとらない、実はもの凄く先鋭的なDjentを体現しているスーパーDjentlmenなんじゃあないかって。
 

Tides From Nebula 『Eternal Movement』 レビュー

Artist Tides From Nebula
Tides From Nebula
Producer/Mixing Christer-André Cederberg
Christer-André Cederberg

Album 『Eternal Movement』
Eternal Movement

Tracklist
01. Laughter Of Gods
03. Satori
04. Emptiness Of Yours And Mine
05. Hollow Lights
06. Now Run
07. Let It Out, Let It Flow, Let It Fly
08. Up From Eden

ボグボグばかり聴かないで・・・今年はボグボグボグボグ...と、いわゆる俺の界隈のアイドルことイェンス・ボグレンの年と散々言ってきたが、今年の初めに俺の界隈の裏方としてイェンスと共に紹介した”彼”の存在を忘れてはいけない。そう、ANATHEMAの名盤Weather Systemsをこの世に産み落とし、そしてライブ作品のUniversalを手がけたノルウェイ人のChrister-André Cederbergの存在だ。今年、彼が関わった作品は幾つかあって、その中の一つに、このポーランド出身のTides From Nebulaの新作『Eternal Movement』がある。最近では、あのThe Oceanとのツアーをはじめ、KATATONIACult of Lunaが参加した今年のDamnation Festivalにも出演したりと、今や東欧が誇るポストロック界のホープと言っても過言じゃあない、このTFN。そんな彼らの新作に、あのChrister-André Cederbergをプロデューサーとして迎えたという話を聞いた時は少し意外な気もしたが、しかし前作の2ndEarthshineでなかなかのポテンシャルを発揮していたし、とにかくこのタイミングでChrister-André Cederbergを迎え入れたTFNは、とても素晴らしい審美眼の持ち主だと言える。

【ポストロック四天王】・・・このポーランドはワルシャワ出身のTides From Nebulaといえば→MogwaiやGodspeed You! Black Emperor、Explosions in the SkyやMonoらの通称ポストロック四天王の王道的なスタイルをリスペクトしながらも、 持ち前のオルタナセンスや東欧産らしいクラシカルかつ幻想的なピアノを中心に、時にポストメタル的なダイナミズムを交錯させて華々しくエモーショナルに、まるで後光がさすほどの希望に満ちた生命エネルギーを放出していく。そして無数の音の光が反射し合いながら、まるで天体観測のような音のパノラマ百景を描き出していく。

【ポイントはキーボード】・・・オープニングを飾る#1のイントロから前作との違いを見せつける。epicッ!!なメロディと大仰なキーボードが複雑にプリズムするド派手な演出によって、音の空間に広がりと奥行きを与えながら、まるで宇宙空間を彷徨うようなATMSフィールドを形成していく。特に#3のニューロシスばりの轟音ヘヴィネスとキーボードの掛け合いは聴きどころ。あと、これはChrister-André Cederbergによるものだと推測するが、前作と比べると音に深みが増したというか、単純に音の質感が格段に良くなった気がする。つまり、クリステルの腕によって洗練されたダイナミックな展開、それこそANATHEMAWeather Systems直系と呼べる心が晴れやかに浄化されるような、クリステルの腕によって洗練されたメロディが激情的な感情を解き放ち、そして時折epicッ!!な轟音ギターが只ならぬ昂揚感を呼び起こす。

【メタル系ポストロック】・・・あらためて、Tides From Nebulaの音楽性を細かに紐解いていくと→いわゆる王道的なポストロックのようにゆるやかに展開するのではなく、極端な話→今回はクリステルのプロデュースによって、まるでプログレ・メタルのように大胆かつド派手な展開力を身につけ、例えるならドイツのLong Distance Callingの3rd『S/T』に近いプログレッシブなアプローチを持った、簡単にポストメタルと呼ぶんではなくて、言うなれば”メタル系ポストロック”とでも言うんだろうか、そんなイメージがある。今作では、そのLDC化が著しく、チルいエレクトロニカを駆使した#4を聴けば65daysofstaticやOG産のSleepmakeswavesを、ATMSフォールド全開の#6を聴けばIf These Trees Could TalkOur Ceasing Voiceを、#7のダイナミズムはGod Is An Astronautを彷彿とさせる。

【お・も・て・な・し】・・・本来ならば、過去にANATHEMAのヴィンセントやKATATONIAのヨナスをゲストとして起用した事のあるLDCの方が、このChrister-André Cederbergと組んでもおかしくなかった。でも、LDCは新譜で作風が少しばかり変化したから、そのLDCの2ndと3rdの路線を受け継いでいるこのTFNが、あのChrister-André Cederbergと一緒になることは意外でもなんでもなかった。当然、その内容も文句なしで、今年クリステルが”お・も・て・な・し”した仕事の中では上位にくる作品だと思う。
 
Eternal Movement
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Entropia 『Vesper』 レビュー

Artist Entropia
Entropia

Album 『Vesper』
Vesper

Track List
01. Dante
02. Gauss
03. Pascal
04. Vesper
05. Tesla
06. Marat 

ポーランドはドルヌィ・シロンスク出身の五人組、その名もEntropiaの1stフル『Vesper』が、【ポストロック/ポストメタル/スラッジ】成分配合のプログレッシブなポストブラックやってて地味にツボな件。で、いわゆるこの手の【ATMS】系ポストブラ/ブラゲとは少し毛色が違って、なんつーか、いかにも”ポーランドらしい”としか言いようがないオルタナ的センスというか、プログラミングやkey/シンセなどの内省的で幽玄なメロディやスラッジーな暗黒ヘヴィネスを擁しながら、扇情的かつ大胆不敵そしてドラマティックな展開を見せるエクストリームなスタイルで、特に#3”Pascal”や#4”Vesper”ではそのポストメタル/ポストロックからの影響を強く感じさせる。それにしても、デビュー作にしてはヤケに重厚な音質および曲の完成度してんなぁと思ったら、どうやら本作のレコーディング・エンジニアには本国の重鎮BehemothBlindeadそしてObscure Sphinxとの仕事で知られるKuba Mańkowski氏が関わってるらしい。なるほど、どーりでスゲーわけだ。しかもあの帝王Altar of Plaguesともスデに対バン済みってのもなかなか面白い。もはやデビュー作にして最高傑作と呼びたいぐらいの完成度。とりあえずポストブラ好きなら聴いて損はないハズ。さすがポリッシュ勢、侮りがたし。
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