Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

日本

Cyclamen 『Ashura』 レビュー

Artist Cyclamen
Cyclamen

Album 『Ashura』
Ashura

Track List
1. 破邪顕正 (Haja-Kenshou)
2. 紫電一閃 (Shiden-Issen)
3. 百折不撓 (Hyakusetsu-Futou)
4. 臥薪嘗胆 (Gashin-Shoutan)
5. 悲歌慷慨 (Hika-Kougai)
6. 夢幻泡影 (Mugen-Houyou)
7. 余韻嫋々 (Yoin-Joujou)
8. 疾風怒濤 (Shippu-Dotou)
9. 神武不殺 (Shimbu-Fusatsu)
10. 空即是色 (Kusoku-Zeshiki)

『偶然』・・・最近、ふとCyclamenって今ナニしてるんだっけ?もしシクラメンがBiSに楽曲提供なんかしたら面白いなぁ...とかいうしょーもない妄想に耽っていたそんな矢先、当ブログにシクラメンの創設者である今西勇人氏から直接「新譜がリリースされた」というコメントを頂き、こんな偶然もあるもんだなぁ...と少し驚きながらも、さっそく新譜を聴かせてもらった、というお話の流れ。

『Sikth is God』・・・その前に、あの伝説のUKバンドSikthのメンバーが参加し話題を呼んだデビュー作のSenjyuといえば→まさにSikth直系のブルブルブルータルなテクデスをベースに、マスロックやポストロックに通じるメロゥなインテリズム、今西ニキの刹那的な感情を吐き散らす激情HC直系のカオティックな咆哮やエモーショナルなロキノン系クリーンボイス、そして【怒りと悲しみ】...【絶望と希望】が込められたメッセージ性の強い歌詞が、まさしく『千手観音』の如くエクストリーム合体した結果だった。もはやコレを聴いてない奴はモグリだと断言できるぐらい、それこそCloudkickerBeaconsに匹敵する、これぞ知る人ぞ知るDjent界の隠れた名盤と言える。自分自身、これを期に久々に聴いてみたんだが→コレってやっぱクラスト系ハードコアパンク勢だったり、マスい複雑な変拍子を組み込んだエッグい轟音ギターが波状攻撃のように襲いかかる、この破天荒なハチャメチャ感は初期のProtest the Heroに通じる部分あるよなぁ...と、あらためて謎の感動をおぼえたほど。

『Cyclamen-Sikth=Djent?』・・・そんな、衝撃のデビュー作から約三年ぶりとなる待望の新作、その名も『Ashura』なんだけど、今作でもシクラメンの持ち味であるブルータルな暴虐パートと、『希望』に満ち溢れた感情(エモーション)をエモい歌詞に込めて解き放つ、それこそ”シクラメン”という名の希望の花を咲かせるクリーンパートの対比は建材・・・と言いたいところだが、今回はSikthのメンバーが関わっていないという事もあって、やはり前作とのギャップを感じる。その前作の大きな特徴である、Sikth直系のガッチガチな音質面やメロディのあるクリーンパートに関しても、この『Ashura』では前作を象徴するそれらの要素が消え失せてしまったせいか、とにかく前作よりも”ダーク”で”ヘヴィ”、そして”アグレッシヴ”な作風だなぁ・・・という第一印象を持った。わかりやすい話→前作のような、Sikth直系のデロデロレロレロガッガガッガガッガガッガ...的なバカリズムを刻むテクデス/ジェントというよりは、ほのかにテクニカルなプログレッシブ系メタルコア/デスコア的なアプローチを強めた作風で、その結果→ポストロック/ポストメタル/マスロック成分の減退に繋がっている。

『変化』・・・それらの”変化”もしくは”違和感”は、この『阿修羅』の幕開けを飾る#1”破邪顕正”から顕著で、イマニシ氏によるリアルスクリーモばりにリアルな咆哮や凶暴な低音グロウル、そして全てを焼き尽くすように猪突猛進するシンフォブラばりに邪悪なオープニングから、前作Senjyuとの”違い”をその一瞬で明確化してみせる。と同時に、この曲を聴いた時→「あれ?音がDjentじゃない?ギョンギョンしてない!?」という、漠然とした違和感を感じた。ポストメタル的な立体感のあるソリッドな音だった前作のイメージが強く耳に残っていたせいか、率直な意見として→「これ、音悪すぎない?」って。なんというか、最近のTriviumみたいに、エッジを削がれたモコモコ感のある篭もり気味の音というか・・・。少なくとも、ジェントというジャンルの鉄則すなわちオキテである”音で聴かせる音”ではない、どちらかと言えばオーガニックな音。しかし、今作に対するイマニシ氏のインタビューから『Ashura』のコンセプト/テーマを知り、その作風を理解ッしたらスグに”納得”が生まれ、そして→「これはジェントではない・・・」という結論に至った。なんつーか、Peripheryの1stから2ndまでの”変化”を想像してもらうと分かりやすいかもしれない。

『コンセプトは”怒り”』・・・ジャケからイメージされるように、前作の『Senjyu』が”祈り”もしくは”希望”をコンセプトとした作品ならば、今作の『Ashura』は”怒り”をコンセプトとした作品で、その”怒り”を一点に込めて激昂する今西氏の咆哮中心のボーカルパートを筆頭に、とにかく曲展開からリフまで全ての音エネルギーが、それこそ『阿修羅』の如く憤怒し、激しく怒り狂っている。そのエゲツナイ音の塊が映し出す絶望的な光景は、まるでガンツの仏像編を読んでいるかのようだ。それはオープニングを飾る#1”破邪顕正”をはじめ、フュージョン系のGソロやリフからジェント的な匂いを感じる#2”紫電一閃”、前作譲りのカオティックなハチャメチャ感のある#3”百折不撓”、そしてエモくて力強い歌詞が聞き手に訴えかける#4”臥薪嘗胆”までは、いわゆるオペにゃんを長としたプログレッシヴ・ヘヴィ直系の殺傷力の高いリフで曲を組み立てていく。それ以降は、前作の”Hope”の続編と言っていい#5”悲歌慷慨”やメッセージ性の強い#6”夢幻泡影”、特に本作のハイライトを飾る#9神武不殺のようなインテリ感のある曲は前作を彷彿とさせたりして、これこそ”俺たちがシクラメンに求めていた”と言える名曲だし、Cloudkickerを彷彿とさせるアコギをフューチャーしたラストの#10”空即是色”までシッカリと聴かせる。さすがに三部作というだけあって、前作との関連性や対比を要所で垣間見せながら、今作のコンセプトである”怒り”を厳格に、生々しく表現している。また、曲のタイトルが仏教語となっているところも、この作品のコンセプト、そのメッセージ性をより強く表している。

『NoDjent』・・・確かに、音のプロダクションを含めて全てが”Djentそのもの”だったSenjyuのようなSikthリスペクトな作風を期待すると肩透かしを食らいそうだが・・・しかし、”日本のベン・シャープ”こと今西勇人氏を中心とした、激情と静寂の間で揺れ動くエモーショナルな歌と極楽浄土のブルータリティ、そして仏教の教えに沿った”生と死”を深裂に映し出す歌詞まで、全てにおいてスケール感が増した現代的なヘヴィネス、計算されたプログレスに納得ッさせられる一枚。もはやジェントだ、いやジェジェジェ!?だ、いやジェントじゃないはどうでもいい、それぐらい総合的な完成度では前作を凌ぐ勢いがある。

『三部作』・・・現在はタイで活動していると言う今西氏のインタビューによると、既に次回作のタイトルは『AMIDA』と決まっていて、どうやら三部作として繋がっているらしく、物語的には『ASHURA』から『SENJYU』に進んで、次の『AMIDA』が最終章という構成、とのこと。何にせよ、DIY精神をもって音楽に取り組む今西氏の姿勢にあらためて感銘を受けたし、Sikthが解散してしまった今(なにやら復活するという噂もあるが)、彼らの精神と音を受け継ぐ存在となり得るのは、唯一このシクラメンしかいないと勝手に思っているので、是非ともシクラメンにはCloudkickerのBen Sharpニキとの対バンを日本で実現してもらいたいです(願望)
 
Ashura
Ashura
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Realising Media (2013-10-13)

Acid Black Cherry 『2012』 レビュー

Artist Acid Black Cherry
Acid Black Cherry

Album 『2012』
Acid Black Cherry

Track List
01. ~until~
02. Fallin' Angel
03. in the Mirror
04. ピストル
05. 少女の祈りIII ~『2012』ver.~
06. Re:birth
07. 指輪物語
08. CRISIS
09. ~the day~
10. その日が来るまで
11. so…Good night.
12. doomsday clock
13. 蝶
16. ~comes~

おいら、高校の頃はほぼジャンヌダルクやXばかり聴いてた思い出しかないんだが(特にJDAは俺の中では”もはや”アイドルだった)、そのJDAが2007年に”活動休止=事実上の解散”を発表して以来、メンバーのソロ活動には全くといっていいほど興味がなかった。しかし、せめてyasuニキのソロだけは聴いておこうと思い、このAcid Black Cherryの1stがリリースされた時はうれうれと飛びついたが、(その1stを聴いた時、心の何処かで”コレジャナイ感”を感じとったのか)ナゼか続く2ndはスルーしていた。あれほどジャンヌにハマったのにも関わらず、ABCや他メンのソロに対するこれほどまでの興味の沸かなさは(今は少し異なる立ち位置にいるせいか)、やっぱ俺はJanne Da Arcというバンドが好きだったんだなぁと、シミジミと実感させる所でもあった。で、前作から約二年半ぶり通算三作目となる『2012』は、5ヶ月連続シングルを含む計七曲のシングルが収録された作品というわけで、このABCのスタイルといえば、インダストリアルな味付けを効かせたポップなヘヴィロックをやってて、今回もyasuニキの艷ェのある歌声とエロぃ歌詞をフューチャーした楽曲を中心に、本家JDAから”Vっ気”を抜いたような、”至ってシンプル”なロックを展開している。もはや後期JDAの延長線上にあるといってもいいかもしれない。そして、本作を聴いて改めてyasuの声ってエエなぁと再確認したと同時に、ジャンヌの凄さというのを改めて実感する事ができた。どうしても比較する対象としてJDAの名を例に出さざるをえないんだが、(当然っちゃ当然だが)やはり楽曲のバラエティ/クオリティは明らかにジャンヌのが上。しかしシングル曲はJDAに匹敵するレベル。だが、やっぱyasu一人では限界があるなぁ、と。つまり、そろそろジャンヌダルクの復活、どうぞ(願望)

 この幻想的な物語の幕を開け的な役割を果たす#1” ~until~ ”、サビがJDAの” answer ”っぽいというか、程よい叙情性と中期JDAを彷彿とさせる艶やかで儚げな雰囲気で楽しませるミドルチューンの#2” Fallin' Angel ”、一転してノリの良いハードなロックナンバーの#3” in the Mirror ”、ABCらしいエロさを押し出したアッパーな#4、そして90sアニソン並に綺羅びやかかつポップでキャッチーな9thシングルの#6” Re:birth ”、仄かなオルタナ感を身にまといながら歌謡ちっくなレトロなムードに酔いしれる#7” 指輪物語  ”、ヘヴィロック調のイントロで始まりJDAライクなフックに富んだ歌謡風メロディック・ロックチューンの14thシングル#8” CRISIS ”までの中盤の盛り上がりは本作一で、ジャンヌのアルバム『Another Story』的なファンタジックな雰囲気を醸し出すバラードの#10”その日が来るまで”なんかでは特に嫌でも俺の琴線に触れてくる。序盤~中盤のハードな曲調から一変してほのぼの系の曲が中心の後半では、昭和歌謡のカバー曲かと思うほどレトロ風味な13thシングルの#13”  ”、再びJDAっぽい15thシングルの#14” イエス ”はなかなか良い。という感じで、JDAにしか興味がないキリッとか、そんなこと言いつつも、やっぱこのABCの曲も好きっちゃ好きなんだよなぁ・・・。特にシングルの#6や#8はJDA好きなら歓喜する事ウケアイよ。シングル以外では#2が一番好き。そんなわけで、完全に思い出補正ですけど、今年のBEST候補の一つですコレ。つうか、フッツーに良いアルバムですわ。

 なにわともあれ、今年の当ブログのキーワードの一つでもある『2012』年の今ッ!!、”俺の感性”と必然的に引かれ合う”引力”を秘めたバンドらにより構成された、いわゆる”俺の界隈”に属した音楽を聴くワケッ理由ッ答えッというのは、全てジャンヌダルクにあると言うても決して過言じゃなくて、その”キッカケ”となった”引かれ合い”を演出してくれたJDAには、今ここで最大限の感謝ッと最大限の敬意ッを表したい。そして、本作『2012』を聴く事により”俺の感性”の原点そして今の立ち位置、その根本的な部分を改めて身近に感じ、なお一層に理解ッすることができた。もし、その”原点”がラルクだったらまた違った感性/嗜好になってたと思う。そう、全ては”ジャンヌ・ダルク”から始まったからこそ今ッがあり、その今ッ俺が聴いている音楽との確かな繋がりを、本作から嫌でも感じる事ができるんだ。サンキューヤッス。

『2012』(DVD付A)
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Acid Black Cherry
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Dir en grey 『UROBOROS [Remastered & Expanded]』 レビュー

Artist Dir en grey
67207832

Album 『UROBOROS [Remastered & Expanded]
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Track List
1. SA BIR
2. VINUSHKA
3. RED SOIL
4. 慟哭と去りぬ
5. 蜷局
6. GLASS SKIN
7. STUCK MAN
8. 冷血なりせば
9. 我、闇とて・・・
10. HYDRA 666
11. BUGABOO RESPIRA
12. BUGABOO
13. 凱歌、沈黙が眠る頃
14. DOZING GREEN
15. INCONVENIENT IDEAL

新年が明けて早くもが経ち、正月ボケからなかなか抜け出せない今日この頃、みなさんいかがお過ごしですか?

本作品は、2008年にリリースされたDir en greyの最高傑作『Uroboros』を最新作Dum Spiro Speroを手掛けたチュー・マッドセンによりRemasterが施された作品ということで、まず本作を一聴しただけでその”音の変化”が分かるんだけど、原盤の濁りに濁った音質と比べて全体的にクリアに、一つ一つの音が明瞭に響き渡り、特にドラムの音が大きく変わっているのが印象的で、更にギターのソリッドな感覚やVo京の歌(歌詞)がハッキリと聞き取りやすい感じになり、原盤のあの”ディル的に考えれば良い意味でキモい不快な音質”も悪くはなかったんだが(内容が良いので逆に味わいがあった)、海外エンジニアで足場を固めた『Dum Spiro Spero』を経て、改めて最高傑作であるウロボロスを(良い意味でも悪い意味でも聴きやすく)手直しされた音質で、”俺の感性とウロボロスの引かれ合い”という衝撃的な感動を再びッ楽しめるというのは、聞き手にとっちゃあ只々嬉しい限り。なんだが、昨年に新作を出したばかりだってのに大丈夫なん?って思う所も正直ある。だけどまぁ、この作品が自身の最高傑作だという事を暗に認めたようなもんだろう。

 収録されている内容も若干の変更があって、#1の”SA BIR”がロングバージョンに変わり、日本語歌詞の#6”GLASS SKIN”と#14”DOZING GREEN”、アナログ盤にだけ収録されていた#11”BUGABOO RESPIRA”、そして『DOZING GREEN』のカップリング曲である#10”HYDRA 666”が追加で収録されている、つまり”ウロボロス完全版”ですね。それにしても、チューさんがRemasterした本作を聴くと如何にディムがウロボロスの恩恵を受けているかというのが嫌でも分かりますね。ディムからは感じることができない、ウロボ独特の幽玄かつ耽美な雰囲気や凄みもしっかりと保たれてはいるので、原盤が好きすぎる人にも、これからディルを聴こうと思ってる人には特に打って付けだし、Remasterされた本作から最新作の『Dum Spiro Spero』を聴いてもらえれば、”今のDir en grey”というのがより理解ッできると思うよ。

A

UROBOROS[Remastered&Expanded]
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DIR EN GREY
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DIR EN GREY 『Dum Spiro Spero』 レビュー

Artist DIR EN GREY
57051973

Album 『Dum Spiro Spero』
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Track List
1. 狂骨の鳴り
2. THE BLOSSOMING BEELZEBUB
3. DIFFERENT SENSE
4. AMON
5 .「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨
6. 獣慾
7. 滴る朦朧
9. DIABOLOS
10. 暁
11. DECAYED CROW
12. 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
13. VANITAS
14. 流転の塔

日本を代表するヘヴィ・ロックバンド、Dir en greyの約2年半ぶり通算8作目となる待望の最新作『Dum Spiro Spero』は、3rdシングルDIFFERENT SENSEを手がけたチュー・マッドセンがミックスを、マスタリングにはアラン・ドーチェスらの海外エンジニアを迎えての布陣。

 本作品の第一印象としては、やはり前々から噂されていたとおりに”聴きづらい”、というか”聞き苦しい”っつーのが的確な表現か、パッと聴いた感じだとそんな印象を受けた。その”聴きづらい”というのがハッキリと”理解ッ”できる#2”THE BLOSSOMING BEELZEBUB”からして、色々な意味で”重い想い”感情を吐き捨てるポスト・ドゥーム的ナンバーで、次いでシングルの#3”DIFFERENT SENSE”で一刻テンションを上げるものの、#4の”Amon”で再び本作のキーワードである”聴きづらい”という奇妙な不快感をまたしても聞き手に与え、デブ豚ライクなヘヴィネスでゴリゴリとミドルに進む”えげつない”曲かと思いきや中盤からイミワカラン展開を見せる#5”「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨”、色々と複雑に詰め込まれすぎて息苦しい#6、怪奇な#7ときてシングルの#8”Lotus” でやっと一息できる”安息”が入る感じ。で、とりあえずここまでの流れで分かることは、前作のように要所要所でアルバムの”カギ”となる言わば”聴かせどころ”となるキラー曲を置いて・・・というのは今回は存在せず、人息つく暇なんて一切与えない、ある一定の”重く暗い雰囲気”がアルバム全体を覆い隠し、その起伏に乏しい曲の流れからはやはり”聴きづらい”という作品のイメージをより強くさせる。要は雰囲気的なバラエティに欠けるし、音的にもヘヴィでゴリゴリしたギターを全面に擁していたりと、音色のメリハリも感じづらくなり後半に進むに連れて徐々に息苦しさが増していく。なんというか、本作品の色というのが至極掴みづらいというか、変な例えだけど”無印良品”みたいな感覚。正直、明確な”ツカミ”というのは無いに等しく、一見複雑に聴こえる”DIFFERENT SENSE”ですら”キャッチー”に聴こえるほどで、聴く人によっちゃあ”ダラダラ”と平坦な流れに感じるかもしれない。兎に角、その妙な”聴きづらさ”が本作のポイントです。・・・約10分ある曲でインダストリアルなアレンジを効かせた#9”DIABOLOS” は美暴を兼ね備え神妙に展開する名曲。で、”いともたやすく行われるえげつない行為”の如く暴虐を極めた#11は”海外メタル勢”からの影響が強い、要は”らしさ”が全くもって感じられない・・・。んでシングルの#12”激闇”なんだけど・・・ギターの音質が酷く改悪されてて泣いた(というか笑った)。イェンスが担当した原曲と比べてキレと勢いがなさすぎる。こりゃシングルVerのが間違いなくイイです。あとサビのバッキングが若干変わってる。これは”Lotus”にも言えるけど、シングル曲のアルバムVerはライブ感が増したミックスになってて、”Lotus”は原曲のグルーヴ感が減退した分俄然ヘヴィに、ベースのバギバギ感やボーカルの分離が良くなりVo京の歌が耳元で反響して聴こえる感じが良いです(V系的なナル度アップみたいな)。話を戻して 、前作の”Red Soil”や”我、闇とて・・・”に通じる和の世界観を持つ#13”VANITAS”は本作の中で一番”ディルらしい”というか、”NEXTの世界”を予感させるバラードで、震災が続く中で書いたとされるGソロも鎮魂歌のように儚げに泣いている。前作の名曲”Vinushka”は超えていないものの、本作の中ではイチバン好きな曲。んで思った、やっぱディルには”VANITAS”タイプの”過去のDIR EN GREYを真っ向から肯定するッ”かのような、ベッタベタな歌モノがアルバムに最低2,3曲は欲しいなと(#7か#10の代わりにでも)。そのヴァニタスが名曲すぎる分、ラストの#14は意外と地味様・・・。
 まぁ何はともあれ”凄まじい”の一言で、今ある”Dir en Greyの全て”が一点に詰め込まれてる分”窮屈”に感じてしまうが、遅いところはトコトン遅く、速いところはトコトン速く、要はオンとオフの切り替えが忙しい、まさしく”複雑怪奇”と呼ぶに相応しいケイオス×プログレッシヴな勢いに只々絶句する事ウケアイ。しかし、あくまでもウロボが最高傑作だと思ってるオイラが思うに、ゴリゴリかつヘヴィなのは理解ッできるが、シングル以外のGリフがイマイチパッとしないのが心残りだった。要するに重けりゃイイってもんじゃあないです。少なくとも、”完璧”とは決して言えないアルバム。むしろ”完璧”という言葉は、今の彼らに対しては侮辱に値する言葉で、その言葉には”敬意”がない。

 さてさて、結局のところ何が”聴きづらい”って、恐らくそれはアルバムの流れに”リズム”がないから”聴きづらい”という表現になるんだと思う。”俺の感性”らしく擬音で表現してみるとだ、ウロボロスがトトントントン・・・トトントントン・・・ドンッ!なら、本作DSSはドンッ!ドンッ!ドンッ!っつー感覚。

 『化けるぞ・・・化けるぞ・・・』というザワ・・・ザワ感から、ありのままに”化け”てみせたウロボロスには”本物のDir en grey=凄み”を感じたが、本作は悪く言えば”意図的に作られた”感があるというか、”似非”みたいな感覚があったり。良いのか悪いのか、本作はとにかくゴリゴリと”へヴィ”な音一辺倒で、ウロボはあくまで”V系ロック”の音でその耽美なセカイを創り上げていたが、今回は完全に”メタル界隈”という舞台に上がって、過去最高にえげつない音を鳴らしている。まさかここまでメタル寄りになるとは予想外だったって人も結構居そう。そうやって”メタル路線”の作風になったのは、やはりウロボリリース後からの”海外進出”が著しく加速し、数多くの海外勢と共演した”引かれ合い”から生まれた”影響”なんだろう。そうなんだ、本作はあらゆる所から”海外”を意識させる要素があって、つまりは”和”と”洋”がおしくらまんじゅうしている、今の世界情勢ばりに不均衡な状態にあるっつーか。更にメリハリに乏しいアルバムの流れからも”海外メタル的”な印象を与え、そういった意味では前作の『Uroboros』っつーのは実に”日本的”な作品だったんじゃねーのかなぁと。だからこその”最高傑作”なわけで。そーえば、よく”最新作が最高傑作”って言われてるけども、そのセリフは今回以降使えなくなったなーと。そう、”カテゴライズ不能、カテゴライズ不要”とかよく目にするけど、前作ウロボにはそのセリフは使えたけども、しかし本作は何かしらの”型”にハマっているのは確かで、神秘的もしくは宗教的という風に表現される”Dirらしさ”=オリジナリティも俄然ウロボのがあった気がする。要するに前作の方が”雰囲気バンド”としてのそのexperimentalな雰囲気はある(それは音質的な意味も含めて)。つーか、#2や#5を筆頭にしたこの手の”ポスト・ドゥーム”っぽい作風ならKataの『Night Is the New Day』っぽい音質にすれば存外マッチして、もっとイイ雰囲気が出せたんじゃねェ、って個人的に妄想したりするんだがデュフフwww。。。ウネるグルーヴを効かせたGリフが多いだけに尚更。ホント、そこだけが惜しい。あとドラムの音も前作のが良かった。とか言うても、なんだかんだ曲の粒は前作よりもデカいし(ただしウィヌ除く)、”凄み”という点では前作に劣るが、総合力では圧倒的に本作のが上で、曲の作り方を”理解ッ”したかのような楽曲からは余裕すら伺わせる。毎回の事だけど、数回聴いただけじゃ”理解ッ”することは到底不可能です。ちなみに本作、かのビューンでは94点だったらしいけど、そうやって安易に高得点が付くアルバムじゃないのは確かで、あらゆる意見や賛否が過去最高に飛び交いそうな、今後とも話題に欠かない作品となりそうです。つーわけで、とりあえず”激闇”のアルバムVerは出直してくるように。あーゆーのは何か”違う”。そして本作の楽曲をライヴで難なくこなせるかと聞かれれば、それはまた、別のお話(byレオ)・・・つーか、これからっしょ!

 つー感じで、まだなんか書き足りないような気がするし、DIR EN GREYというバンドらしく”ハッタリ”をかました感想になりましたが、最高傑作と呼ぶに相応しいウロボロスほどの衝撃っつーのはないけど、その名を世界に知らしめたソレを経験しての本作品は色々な意味でも、恐慌が迫る世界情勢的な意味でも実に”重い”作品となっている。前作(人間)は超越(魑魅魍魎化)していないにしろ、ソレと並ぶポテンシャルを誇る作品なのは確かです。これはまだ、”完全なる魑魅魍魎”と化す前の序章に過ぎない・・・

   これはまだ、”NEXTの世界”の入り口に過ぎない・・・

B

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DIR EN GREY 『DIFFERENT SENSE』 感想

Artist Dir en grey


Single 『DIFFERENT SENSE』


Track List
01. DIFFERENT SENSE
02. 罪と規制
03. RED SOIL [LIVE]

一昨年の年末に”NEXT DIR EN GREY”の初お披露目となった1stシングル『激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇』、んで今年の一月には2ndシングルの『LOTUS』ときて、そして8月に待望の新作『DUM SPIRO SPERO』をリリースするDir en greyの約5カ月ぶりの3rdシングル『DIFFERENT SENSE』なんだけど、この曲のミックスを担当したのはAugust Burns Redなどを手がけたチュー・マッドセン、マスタリングにはThe Black Dahlia Murderなどで知られるアラン・ドーチェスが担当した新曲。

 早速、新曲となる”DIFFERENT SENSE”聴いてみての印象なんだけど、1st『激闇』と2nd『Lotus』と聴き比べてみると確かに”聴きづらい”という感覚があり(スグに聴き慣れるが)、1st&2ndシングルとは確実に一線を画した俄然”プログレッシヴ”な曲展開を繰り広げ、激闇のファストなアグレッションとLotusの繊細なメロディを同時に持ち合わせた、実に”Dirらしい”と呼ぶ事のできる”暴虐×妖美”+”和”のエッセンスを調合した、ソリッドかつ複雑怪奇な曲をやってのけている。しかも自身初?なのかは知らないが、叙情派メタル顔負けの”ベッタベタ”な泣きのGソロも収録されているってんだから、そら”NEXT DIR EN GREY”を嫌でも感じざるを得ないわけです。まさかまさか、あのDirがここまでベタなソロを弾くとは・・・なんとも驚きと衝撃。今までDirの曲にGソロが必要か否かとかそんなこと一切考えたことなかったけど、今回のソロを聴いてみるに意外と悪くないかもしれない。あくまで個人的には”いらない派”ではあるんだが。リアル仏陀=京のゲロゲロェグロウルは相変わらずキレまくりで、もはや荘厳な雰囲気すらあります。

 さて、もはや恒例となる”音質”に関してなんだが、今回の音質もイイです。というか、イチバン良いんじゃなかろうか。オペ某とその周辺の仲間たちの音源担当であるイェンス・ボグレン氏の『激闇』、USメタルコア勢を手がけたジェイソン氏の『Lotus』はそれぞれに音の個性がしっかりとあって、実際Dirとの相性も悪くはなかった。んだが、必要以上に”個性”が出過ぎな感じも正直あったわけだ。リスナーっつーのは、やっぱり”Dir en Greyの曲”を楽しみたいわけで。正直”音質”なんていうもんは二の次三の次なわけだ。んで、今回の音質なんだが、個性というかクセが強かった1st&2ndシングルと比べるとかなり”自然”に聴かせる印象で、イェンスやジェイソンの音みたく変に”特徴的”に感じさせない音っつーのかな。やっぱ、これといって大きな特徴がない音の方が、”Dir en Greyの曲”とやらをより密接に生々しく体験できるというか、なんというか。とか言うてみても、前作のウロボロスやウィザ、そしてマロウの音質だって相当”クセ”のある音質だったわけで、つまりDirと”クセ音質”は切っても切り離せない存在なわけで、今回のように”極めてまとも”な音質は果たして”Dir en Greyらしい”と言えるのか・・・そう考えるともうどうにでもなれ状態ッ。個人的には、音的にも曲的にも前シングルの『Lotus』がイチバン好きなんだが、予想するに8月の新作『DUM SPIRO SPERO』の音は恐らく今回の音で決まりなんだろうなぁと。っつーか、まさか全曲バラバラの音質だったり?その辺の情報が未だに皆無ってのが謎過ぎる。

       ”NEXTの世界”に辿り着くその時、Dir en greyは魑魅魍魎となる・・・


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