Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

ATMS

Spotify最強じゃね?

Julianna Barwick 『Will』

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Tracklist
01. St. Apolonia
02. Nebula
03. Bleached
04. Same
05. Wist
06. Big Hollow
07. Heading Home
08. Someway
09. See, Know

USのシンガー・ソングライター事情っていうと・・・実はよく知らないんだが、しかし2011年にデビュー・アルバムのThe Magic Placeをリリースし、「ここまで環境音と一体化した歌声が未だかつて存在しただろうか」あるいは「ここまでネロとパトラッシュの最期の教会で流れてそうな音楽があっただろうか」と、たちまちSSWシーンの間で話題を呼び、昨年には初の来日公演を果たした「21世紀のエンヤ」ことJulianna Barwickの3rdアルバム『Will』

かのDead Oceansからリリースされた前作の2ndアルバム『Nepenthe』では、ビョークやSigur Rosなどのアイスランド界隈でお馴染みのエンジニアBirgir Jón Birgissonとタッグを組み、同時に「ヨンシー親衛隊」で知られるストリングス・カルテットのAmiinaを迎え入れた結果、晴れて「女版シガーロス」の称号を得ることに成功した彼女。しかし今作の『Will』は、1stアルバムの「神々しい世界観」と2ndアルバムで培った「攻めの姿勢」を踏襲しつつも、新境地とも取れる現代的あるいは人間的な要素をはじめ、いつにもなく「楽器」が奏でる音色をフューチャーした作品となっている。
 


それこそ坂本教授こと坂本龍一が手がけた、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『レヴェナント』のサントラを彷彿とさせる、崇高な慈悲に導かれるようなストリングスとジュリアナの天使の囁きの如し聖なるゴッドボイスが、不条理なこの世界を『清らか』に浄化していくオープニング曲の#1”St. Apolonia”、スウェーデンのCarbon Based LifeformsやUSのHammockを連想させる、ミニマル・アンビエントなエレクトロ要素と深海を彷徨うかのようなジュリアナの歌声が織りなす神秘的なATMSフィールドに溺れる#2”Nebula”、今度はその深海の底から響き渡るようなピアノとストリングスがジュリアナのゴッド・ブレスを優しく包み込むように交錯する#3”Beached”、80年代風のシンセをバックにカナダ出身のMas Ysaなる男性ボーカルとフィーチャリングした#4”Same”、再び半透明に澄んだ青い海を美しく遊泳する人魚に擬態させる#5”Wist”、儚くも美しいピアノの旋律に涙する#6”Big Hollow”ANATHEMAFalling Deeperを彷彿とさせるストリングスとピアノが青く澄んだ海中から太陽を見上げるかのような#7”Heading Home”、そしてラストを飾る#9”See, Know”では、まるでチャーチズの新曲かと勘違いするほどミニマルなエレクトロが、未だかつてないほどノリノリなジュリアナの新境地を垣間見せる。
 

今作では、相変わらずアンビエント的な音響空間を軸にした作品でもあるが、それ以上にピアノやストリングスをはじめ、いわゆる人間界の「楽器」という名の道具を積極的に取り入れたことで、イマドキのSSWに大きく歩み寄ったかと思いきや、しかしこのアルバムでもジュリアナは「シンガー」として「歌う」ことを断固として拒否し、あくまでも各楽器が奏でる音色と波長を合わせるように、言霊という名の音霊の一部として存在している。そのモダンな電子音やピアノを駆使した音像は、これまでの『地上』あるいは『天国』の眩いくらいに神々しい音楽というよりも、それこそ深海の神秘に触れているかのような、あるいは日が昇る前の朝焼けや青く澄んだ海をイメージさせる、そこはかとなく”ドープ”な世界観を構築していく。

前作の”One Half”「ほぼ歌イ(キ)かけた」彼女だが、そのリベンジとなる今回の【絶対に歌わせるマン】VS.【絶対に歌わないジュリアナ】のポコタテ対決はジュリアナの勝利で幕を閉じた・・・(完)
 
Will
Will
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Julianna Barwick
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Ghost Brigade 『IV – One With the Storm』

Artist Ghost Brigade
Ghost Brigade

Album 『IV – One With the Storm』
IV – One With the Storm

Tracklist
01. Wretched Blues
02. Departures
03. Aurora
04. Disembodied Voices
05. Electra Complex
06. Stones And Pillars
07. Anchored
08. The Knife
09. Long Way To The Graves
10. Elämä On Tulta

北欧フィンランドの音楽といえば→Sonata ArcticaStratovariusなどのコッテコテなヘヴィメタルバンドを数多く輩出している国というイメージが強いが、この2005年にフィンランドはユヴァスキュラで結成された6人組のGhost Brigadeは、その名をシーンに知らしめた2ndアルバムIsolation Songsでは、全盛期Opethに匹敵するリフ回しを中心とした幽玄かつ荒涼感のある音使いをもって、同郷のCallistoの影響下にある”静と動”のコントラストで聴かせる美しくも儚い”覇道のPost-Metal”を展開していた。続く3rdアルバムUntil Fear No Longer Defines Usでは、Insomnium直系のエピカルな叙情性やAlcestKATATONIA流れのオルタナ感を高めつつ、ポストメタルはポストメタルでも隣国のCult of LunaNeurosisを連想させる、よりモダンでドゥーミーに洗練された”進撃のPost-Metal”を繰り広げていた。つまり、伝統的なフィニッシュ・メタルと現代的なポストメタルがクロスオーバーした、言うなれば”メロデスラッジ”みたいな面白い立ち位置にいる、自分の中では新世代メタルの一つとして認識しているバンドで、個人的にもフィンランドでは一番お気に入りのバンドだ。そんな前フリがあって、前作の『UFNLDU』から約二年ぶりの4thアルバム『IV - One With The Storm』は、傑作だった『Isolation Songs』を彷彿とさせるアートワークで、その内容も2ndの再来を期待させる。

リッピング失敗したかと思った→オリジナルメンバーのベーシストが脱退し、新しくベーシストとキーボーディストを迎えて6人組体勢になったことが、バンドサウンドに大いに影響している。オープニングナンバーの#1”Wretched Blues”を聴けばわかるように、確かに雪国フィンランドの情緒漂うInsomnium譲りのエピカルな叙情性は不変だが、以前までのスラッジーな重さというより硬くてソリッドな低音リフに、そして高音がキツ過ぎる音質の悪さに嫌な予感が頭をよぎる。なんだろう、次の#2”Departures”を聴いたら納得した。Opeth?Insomnium?Cult of Luna?Neurosis?・・・コイツら一体誰の後継者なんだ?って、この曲でわかった気がする。コイツらKATATONIAの後継者だわ。この高音のシャリシャリ感は『Last Fair Deal Gone Down』リスペクトだと半ば強引に考えれば納得できるし、そうかコイツら”オルタナティブ・ヘヴィ”だったんだな・・・って思い知らされた気分だ。確かに、2ndや3rdの時点でフィンランドらしからぬ”オルタナティブ”なセンスを垣間みせていたし、今作ではそれが表面化してきている。あえりえなくもなかったけど、でも少し意外な方向転換をしてきた。新しくキーボーディストを迎えたことで、音響的(ATMS)なアレンジ面での確かな成長は伺えるし、いい意味でも悪い意味でも音を含めて全ての音がモダンに洗練されている。でもボク思うんスよ、この手の音楽やりたいんならさっさとイェンス・ボグレン引っ張ってこいやって、ボク思うんスよ。いや、僕が言いたいのはただ一つで→隣国Dark TranquillityConstruct聴いてから出直してこい、っつーわけです。なんだろう、フィンランド人って深いところで”オルタナティブ・ヘヴィ”をナメてる気がする。なんだろう、田舎もんの大学生が都会に出てきて大学デビューに失敗したみたいな、こっ恥ずかしいノリすらある。ボートラにドヤ顔でリミックス入れちゃうあたりもうホントにスベってる。なんだろう、全体的に無理しちゃってる感じ。

  「GBよ、お前はANATONIAにはなれない...」


とにかく音の悪さ→それと相性の悪さも相まって、第一印象は過去最悪だった。当然、これは意図的にやってるんだろうけど、いかんせん音が致命的過ぎる。少なくとも、僕にとっては何回も聴きたいと思う音ではなかった。是非ともフィンランドのエンジニアには【オルタナティブ・ヘヴィ 音作り】で検索してほしいって思っちゃったんだからしょうがない。しかし、楽曲自体は前作からスラッジーなヘヴィネスを取り払って、中期ANATHEMAあたりのオルタナ方面へと大きく舵を切ってて、それはむしろ個人的に大好きな方向性ではあるし、メロディの充実度や完成度という点では前作を軽く凌駕しているのは確かだ。でも自分は前々作や前作ほど俺の感性に響かなかった。これはただ音の”進化”からなる音の”変化”に僕が順応できなかっただけかもしれない。それともガチでリッピング失敗しただけなのかもしれない。それでもやっぱり、この手の音楽の最上級はKATATONIAの最高傑作『Last Fair Deal Gone Down』ANATHEMA『Judgement』だと信じてやまない自分としては、頼むからこの手の”オルタナティブ”がやりたかったらイェンス連れてきてくれって、本当にただそれだけなんですね。もしイェンスがミックスしてたらまた違った結果になったのかな~とか、考えるだけ無駄だけど。

IV: One With the Storm
IV: One With the Storm
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Ghost Brigade
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Intervals 『A Voice Within』

Artist Intervals
Intervals

Album A Voice Within
A Voice Within

Tracklist
01. Ephemeral
02. Moment Marauder
03. Automaton
04. The Self Surrendered
05. Breathe
06. The Escape
07. Atlas Hour
08. Siren Sound
09. A Voice Within

【インターバルス!】・・・Djent界のアイドルことスパイスボーイズもといTesseracTの元ボーカルダニエル・トンプキンズ君の出戻りや”ターバンおじさん”ことAbdullah Al Mu'min率いるThe Haarp Machineの件を見ても、あらためてDjent界のボーカリストはDTもビックリの”使い捨て”すなわち”雇われ”だと再確認した次第で、そのThe Haarp Machineから脱退した元ボーカリストMichael "Mike" Semesky擁するカナダはトロント出身の4人組、Intervalsの1stフル『A Voice Within』がレーベル無所属とは思えないほどのクオリティしてる件。

【歌モノ系かと思いきや】・・・その音楽性としては→何といっても、The Haarp Machineでもお馴染みのVoマイケルのFuneral for a Friendを筆頭としたUKメロコアバンド風の爽やかな”歌える系”のボーカル/コーラスを中心とした、音はジェント・リーやマスいリズム刻むテクニカルなリフ回しを組み込んだモダンなプログレッシブ・ヘヴィで、一曲目の”Ephemeral”や三曲目の”Automaton”を聴く限りではメロディックでキャッチーな”歌モノ系”だと断定できるが、The Haarp Machine直系のテクニカルなリフと雰囲気のあるジャジーなメロゥパートが靭やかに交錯する#2”Moment Marauder”や大作の#4”The Self Surrendered”sleepmakeswavesばりの多幸感に溢れたポストロッキンなATMSフィールドを展開する#7”Atlas Hour”やクライマックスを飾る#9”A Voice Within”で聴けるような、いわゆる”静と動”の緩急を駆使したシアトリカルでスケール感のあるベッタベタな展開を、「ちょっと通りますよ」ってレベルじゃないくらい恥ずかしげもなくブッ込んでくる大胆不敵な”意外性”もある。一方で、ALCEST顔負けのポスト-系インストの#5”Breathe”で光り輝く確かなメロディセンスも忘れちゃあならない。このポスト-系に通じる【ATMS系】のメロディこそ、彼らの大きな持ち味だと言っても過言じゃあない。とにかくクセのないボーカル主体のメロディアスなDjentではあるが、どの曲にも一捻りが加えられた(ニヤリ)とさせるフレーズや「おっ」と耳を惹く展開、そして遊び心も感じさせる叙情的なソロワークなどが聴きどころとして存在している。プログレ・メタルとしての”メタル感”を意識しつつも、一方でDjentとしてあるべき最低限の要素を全て兼ね備えている、そのバランス感覚も秀逸。わかりやすく言えば→ソフトタッチなThe Human Abstractといった感じで、カナダ出身だけどボーカルのエモいメロディがモロにUKバンドのソレだから全体的にUKバンドっぽさある。

【化ける可能性】・・・正直、第一線で活躍するDjentlmenと大差ない、少なくとも楽曲面の及第点は優に超えている。しかし、Djent界の貴公子ことトシン・アバシ率いるAnimals As LeadersThe Joy of Motionを聴いて脳が活性化された後では、どうしてもミックスや音作りに脆さを感じてしまう。そこが唯一の難点。それこそ、スメリアンあるいはProsthetic Recordsから声がかかれば大きく化ける可能性大だし、そのポテンシャルは既にこのアルバムで証明している。今年のDjent界ではアニマルと合わせて聴いといて損はない一枚だ。
 
A Voice Within
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Intervals
Imports (2014-04-10)
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Woods of Desolation 『As the Stars』

Artist Woods of Desolation
Woods of Desolation

Album 『As the Stars』
As the Stars

Tracklist
01. Like Falling Leaves
02. Unfold
03. And If All The Stars Faded Away
04. This Autumn Light
05. Anamnesis
06. Withering Field
07. Ad Infinitum

ぼく「えぇ!?ラントロス君がポストブラックをやめるだってぇ!?」
廃材君「えぇ!?ラントロス君がポストブラックをやめるだってぇ!?」

ぼく「よっしゃ!NEXT-ALCESTは廃材君に決まりや!」 
廃材君「よっしゃ!ラントロス君に習って俺たちも初期アルセ化や!」

ぼく「えっ」
廃材君「えっ」 

【ブラゲの極み乙女】・・・ポストブラック界の皇帝アルセスト『シェルター』でポストブラックを超越したとなると、じゃあその空いたポストに誰が入るの?という話で、その”ポスト-アルセスト”に最も近い存在こそ、このオーストラリア出身のD.氏によるWoods of Desolationなんだ。2011年作の2ndTorn Beyond Reasonを初めて聴いた時の衝撃ったらなくて、正直あのDEAFHEAVENよりも先に激情系ブラゲ/ポストブラックやってたのがこの廃材君なんだ。そのポストブラック界に名を残す名盤だった前作から約三年ぶり通算三作目となる『As the Stars』なんだけど、その幕開けを飾る#1”Like Falling Leaves”を再生すると同時に、無骨で粗暴なブラストとともに解き放たれるジジジ...ノイジーなギターの音使いから確信犯で、続く#2と#3などのポストロック流れにある気品漂うポジティヴなメロディを聴けば分かるように、まるでアルセが”ポストブラックをやめる”ことを予見していたかのような、まるで「俺たちがアルセだ」と言わんばかりの、それこそ初期アルセの代表作である『Le Secret』の再来を予感させる、これぞまさしく”ブラゲの極み乙女”なポストブラックを展開している。

【スーサイド系男子】・・・ふと胸を掻きむしりたくなるほどの衝動に襲われる、自傷行為イイネ☆系デプレブラックだった前作、それを何倍にもキレた印象を与えていた張本人である→時として激情的、時としてビャアアアアアアアアアアアアアア!!とかいう金切り声を聴かせていたTim "Sorrow" Yatras氏が惜しくも脱退し、今回は初期のデモ音源でボーカルを担当していたThrydwulf(Old)がバンドに出戻りした形となっている。彼は前任者のティムと違って、どちらかと言えば高音ではなく低音を効かせたイヴェ゛アアアアアアアアアアアアアア!!みたいな金切り声を特徴としていて、言うなればスウェーデンのShiningのスーサイド系男子ことNiklas Kvarforthを彷彿とさせ、それによってバンドのキモであるデプレッシヴな激情感およびepicッ!!な勇壮感が著しく減退している。このボーカル交代は、バンドの致命傷になるのではないかと少し心配していたが、その躁鬱感溢れる焦燥感と終末感が入り乱れた『幸福』な音世界に触れてしまうと、あたらめてD.氏の音作りと作曲能力の高さに脱帽させられる。確かに、ここ最近のポストブラック界隈で著しく流行っているシューゲイザー化の煽りを多少なりとも食らってはいるものの、しかしこれはポストブラ特有の儚くも淡いメランコリックな一面が露骨に表面化した結果であり、その音の根幹にある精神性は不変で、その著しく洗練された音使いと楽曲からは、少なくともダッチ産あたりのポストブラとは一線を画した確かな説得力がある。それこそ霧の季節20世紀メディアあたりと契約してもオカシクないレベルだと。

【ポストブラックの先駆け】・・・おいら、以前にも少し書いたが→KATATONIA『Brave Murder Day』はポストブラックの先駆けだと確信していて、今作の『As the Stars』では初期アルセは元より、そのKATATONIAの名盤『Brave Murder Day』を彷彿とさせる、ドゥーム/デプレッシブ・ロックな音を積極的に取り入れている所も大きなポイントだろう。それは#6”Anamnesis”を耳にすれば、いかにしてKATATONIA『Brave Murder Day』が、USのレジェンドAgallochをはじめとしたポストブラック界隈に与えた影響、その大きさを痛感する事になるだろう。そんな印象もあって、よりShining (Swe)っぽい鬱系ブラック感を与えている。

【Post-Black is Love】・・・本人達はこう呼ばれる事に不満を持つかもしれないが、このWoods of Desolationこそ”NEXT-ALCEST”と呼ぶに相応しい、その最もたる存在であることを皮肉にも証明してみせた一枚なんじゃあないか、って。現にラストを飾る#7”Ad Infinitum”は、それを確信的なモノにするくらい、とてつもなくラヴリィ♥な多幸感をまき散らしている。その超絶epicッ!!な光景は・・・まるでAlcestの名盤『Souvenirs d'un autre monde』の幼女が浜辺で戯れているかのような、それこそ「Post-Black is Love」のセカイだ。
 
As the Stars -Digi-
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Vattnet Viskar 『Sky Swallower』 レビュー

Artist Vattnet Viskar
Vattnet Viskar

Album 『Sky Swallower』
Sky Swallower

Tracklist
01. New Alchemy
02. Fog Of Apathy
03. Monarch
05. Ascend
06. Mythos
07. As I Stared Into The Sky
08. Apex

【VV】・・・チェコの新星██████、またの名をnicも今年のポストブラック界隈では要注目のバンドだったが、USはニューハンプシャーにも、かの老舗レーベルCentury Mediaから1stフル『Sky Swallower』をリリースした、その名もVattnet Viskarという四人組が存在する。先に言っておくけど、映画のV for Vendettaでもサブカル御用達のVillage Vanguardでも、もちろんVやねん!でもないよ。ちなみに、今作のジャケはWhirrのシングル『June』を手がけた人らしいよ。

【持ち味】・・・その音楽性としては→初期のAltar of Plagues直系のATMS系ポストブラックや、NeurosisUlcerateを連想させる渦々しく蠢くスラッジーな轟音を織り交ぜた激動パートから、今はなきIsisや初~中期Cult of Lunaを連想させるポストロッキンな静寂パートへと、あくまでも自然な流れで緩やかかつ靭やかに交錯していく、いわゆる”ポスト”スタイルで、もはやこのVattnet Viskarの本質や曲作りに対する意識の比重は9割方静寂パートにあると断言できるほど、今はなきIsisなどの王道的ポストメタルがウリとしている”静と動”の対比およびコントラストを持ち味とした、一言でいえば意識の高いポストブラックをやってるんだ。

【意識の高い静寂パート】・・・彼らの”静寂”に対する異常なまでの執着心は、幕開けを飾る#1から顕著だ。再生すると同時に、雄々しい勇壮成分配合のトレモロンDと猛獣じみた凶悪な咆哮を乗せた粗暴なブラストで疾走し、そして全てをなぎ倒すようなスラッジーな轟音から、寂寥感を煽るポストロックライクな静寂パートへと移り変わっていく。この、まるでIsis顔負けの静から動へと美しく流れるようにスムーズな場面の切り替えから、彼らのATMS空間作りに対する意識の高さが伺えると同時に、このVVが決して並みのバンドじゃあないという事が理解できる。次の#2は、イントロからアンビエンス効果を加えたエモーショナルな静寂を生み出し、そして突如トレモロリフと共に凶暴な咆哮から、再び寂寥感を煽る儚いメロディが織りなす静寂パートへと交互に交錯していく。彼らの”持ち味”が冴えわたる#4は、中盤からのニューロシス直系のダーティな静寂パートから、突如破天荒な轟音をブッ放す混沌とした音塊に飲み込まれる。

【インストも聴きどころ】・・・今作では、#3,#5,#7に短いインストを挟んで作品に小気味よいメリハリを与えている。Jesu風の#3をはじめ、#5ではリバーブを効かせた儚くも美しいメロディを聴かせ、次のブラゲ然とした#6へと繋ぐ重要な架け橋となっている。そして、和楽器の琴を使った#7の聞き手の意表をつく和風な演出に、そこはかとないファッションセンスを感じさせながら、メロドゥーム風のメロディをフューチャーしたラストの#8を迎える。この曲はアウトロの荒涼としたアコギをはじめ、終始ドゥーミッシュな音の感触はUSBM界のレジェンドことAgallochさんを彷彿とさせる。

【俺は今、最高の静寂の中にいるんだ...】・・・要するに→Isisやニューロシスがブラックメタル化したのがこのVVで、ポストブラックというよりはATMSブラック寄りのスタイルだが、そのわりに存外シンプルに聴かせる。ヘタに10分を超えるような長尺曲がないのは、かの大手メタルレーベルCentury Media所属だからなのかと邪推。兎にも角にも、けたたましい轟音から限りなく無音に近い静寂の隙間に入り込む、いや溶け込む瞬間の意識の高さが異常なんで、一度だけでも聴いてみる価値はあります。

 
Sky Swallower
Sky Swallower
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Vattnet Viskar
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