Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Acoustic

Swallow the Sun 『Songs From The North I, II & III』

Artist Swallow the Sun
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Album 『Songs From The North I, II & III』
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Disc I [Songs From The North I]
Cover

Tracklist 
01. With You Came The Whole Of The World's Tears
02. 10 Silver Bullets
04. Heartstrings Shattering
05. Silhouettes
06. The Memory Of Light
07. Lost & Catatonic
08. From Happiness To Dust

Disc II [Songs From The North II]
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Tracklist
01. The Womb Of Winter
02. The Heart Of A Cold White Land
03. Away
04. Pray For The Winds To Come
05. Songs From The North
06. 66°50´N,28°40´E
07. Autumn Fire
08. Before The Summer Dies

Disc III [Songs From The North III]
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Tracklist
01. The Gathering Of Black Moths
02. 7 Hours Late
03. Empires Of Loneliness
04. Abandoned By The Light
05. The Clouds Prepare For Battle

イェンス・ブーム ・・・スウェーデンのDraconianと並んでメロドゥーム界を牽引するフィンランドのSwallow the Sunも、00年代後半のメタルシーンに突如として巻き起こった【イェンス・ブーム】、そのビッグウェーブに乗ってイェンス・ボグレン【No 実質 Jens!! プロデューサー】に起用した2009年作の4thアルバムNew Moonで、いわゆるメタル界の迷信を説き明かす事に成功したバンドの一つだ。しかし、間もなくイェンスから離れ、再び地元フィンランド人中心の人選でレコーディングされた次作の5thアルバムEmerald Forest And The Blackbirdでは、従来のOpethリスペクトやシンフォブラックなどの他に、アコースティック/フォーク・ミュージックの要素を大胆に取り入れ始めていた。しかし、如何せんイェンス・マジックによって生まれた傑作『New Moon』と比べると、元Nightwishアネット・オルゾンとのフィーチャリング以外これと言って特に見所はなかった気がする。そんな彼らの約三年ぶりとなる6thアルバム『Songs From The North I, II & III』は、何を血迷ったのかCD三枚組トータル約二時間半、軽く映画越えしちゃう超特大ボリュームとなっている。



『Ⅰ』 ・・・まずは一枚目の『Songs From The North I』。幕開けを飾る#1”With You Came The Whole Of The World's Tears”は、まるでX JAPAN”Voiceless Screaming”を彷彿とさせる、寂寥感を煽る80年代のフォーク・ソング顔負けのしみったれたアルペジオから始まり、前作を踏襲したまるでオーロラの如くエメラルドグリーンに、いや瞳のように透き通ったエメラルドブルーに煌めくキーボード、デプレブラック流れのノイズ感というかモダンだが粗暴な轟音ヘヴィネスからはポストブラックとも取れるアプローチを垣間見せ、鬱屈かつ荒涼とした空間が支配する一種のドゥームゲイズが、フィンランドという名の極寒の地に蠢くカオティックな狂気を浮き彫りにする。一枚目のリード・トラックとなる#3”Rooms And Shadows”では、フロントマンであり"ニット帽おにいさん"ことミッコの寂寥感溢れるボーカル・メロディからは、フォーク・ミュージックや北欧民謡の名残を漂わせるし、アウトロのGソロではX JAPAN”THE LAST SONG”に匹敵する泣きメロっぷりを発揮。ex-KATATONIAのノーマン兄弟が加入した事でも知られる、バンドの中心人物であるギタリストJuha RaivioのサイドプロジェクトTrees of Eternityでお馴染みのAleahとフューチャリングした#4”Heartstrings Shattering”、ドイツ出身のSarah Elisabeth Wohlfahrtとフィーチャリングした#6”The Memory Of Light”と#7”Lost & Catatonic”などの女性ボーカルをフューチャーした楽曲は、氷上の女神を司った今作のフェミニンなアートワークを象徴するかのよう。そして、ケルティックな音色とストリングスが優美に氷上を舞い踊るイントロから、雪の結晶の如し繊細なメロディに魅了される”From Happiness To Dust”で、美しくも清らかなエンディングを迎える。

懐メロ ・・・この一枚目は、前作を踏襲したフォーキーなアプローチ、俄然アンビエントな音響空間を意識したより幅広いアレンジが施されたキーボード、LantlôsAlcestをはじめとしたフレンチ産ポスト・ブラック勢からの強い影響下にある轟音ヘヴィネス、そして昭和歌謡を経由したX JAPANばりの歪んだ泣きメロを全面にフューチャーした叙情性と極寒の地の厳しさや孤独感を露わにする暴虐性、その静と動のコントラストを強調した、要するにこれまでのSWSらしいゴシック・ドゥームの王道的な作風となっている。その持ち味とも呼べる静から動への転換がプログレ並にスムーズで、安直に「いつものSWS」とか言いながらも、音の細部には確かな進化を伺わせる。これはフィンランド映画の巨匠アキ・カウリスマキの映画に使われている音楽を聴いて思ったんだが、フィンランド人の音楽的嗜好って日本を含む東アジアの歌謡曲が持つ民謡的で情緒的なメロディに近い、極めて親和性が高いというか、少なくともこの『Ⅰ』の音には、このSWSもそのフィンランド人特有の"懐メロスキー"の継承者である事を証明する、と同時にスオミ人の知性と(気候とは裏腹に)心温かい情念が込められている。

『Ⅱ』 ・・・今時、メタルバンドがアコースティック路線に傾倒する例は決して珍しくない。この手のバンドで代表されるところでは、スウェーデンのKATATONIAやリヴァプールのANATHEMAがそうだ。その時代の流れに取り残されんとばかり、この『Ⅱ』の中でSWSはアコギやピアノ主体のフォーク・ミュージックを展開している。川のせせらぎと共に、真夜中の浜辺でただ独り佇むような悲しみの旋律を奏でるダークなピアノインストの#1”The Womb Of Winter”で幕を開け、アルペジオを駆使した優美でフォーキーなサウンドがフィンランドの雪景色のように純白の心を映し出すような#2”The Heart Of A Cold White Land”KATATONIAのヨナスきゅんや中期ANATHEMAのヴィンセントリスペクトなミッコのボーカル・メロディが俄然フォーキーに聴かせる”Away”、そしてフィンランドのSSWで知られるKaisa Valaとフューチャリングした表題曲の”Songs From The North”では、Kaisa『叙事詩カレワラ』に登場する『大気の処女イルマタル』となってフィン語で優しく歌い上げることで俄然民謡チックに聴かせ、この三部作のハイライトを飾るに相応しい一曲となっている。その後も、Alcestもビックリのリヴァーヴを効かせたデュリーミーな音響空間とトリップ・ホップ的なアレンジを施したオルタナ風のオープニングから、緯度"66°50´N,28°40´E"に位置する北国の幻想的な白夜の静けさを音(インスト)だけで描き出し、An Autumn for Crippled ChildrenHypomanie、そしてCold Body Radiationをはじめとしたダッチ産シューゲイザー・ブラック顔負けの吹雪くような美メロをフューチャーした#7”Autumn Fire”、そしてラストの”Before The Summer Dies”までの後半の流れは、決して「いつものSWS」ではない、言わば新機軸とも呼べるモダンなアプローチや音使いをもって情緒豊かに聴かせる。もはや「こいつらコッチ路線のがいい曲書くんじゃネーか?」ってくらい、モダンな要素と持ち前の懐メロ感を絶妙な具合にクロスオーバーさせている。

『Ⅲ』 ・・・一枚目の『Ⅰ』では「いつものSWS」を、二枚目の『Ⅱ』では「新しいSWS」を、そして三枚組の最終章に当たる三枚目の『Ⅲ』では、メロディを極力排除したフューネラル/デス・ドゥームメタルの王道を展開している。さっきまでの美メロ泣きメロの洪水とは打って変わって、アートワークの下等生物を見下すドSな女神に「もう許して...許してクレメンス・・・」と懺悔不可避な容赦ない破滅音楽っぷりを見せつけ、さっきまでの夢の世界から一転して惨憺たる絶望の淵へと追いやられる。曲の中にも静と動の緩急を織り交ぜるだけでなく、アルバム単位でも音の強弱やギャップを効かせた演出を織り交ぜた謎のスケール感を強調する。

大気の処女イルマタル ・・・やっぱり、この三枚組で最も面白いのは二枚目だ。隣国のスウェーデン人の音楽と比べると、どうしても不器用さが気になってしまうフィンランド人の音楽だが、この二枚目ではフィンランド人なりの器用さを垣間見せている。それこそ、今作のアートワークを冠した女神『大気の処女イルマタル』が身にまとった大気(Atmospheric)を体外に放出するかの如く、とにかく真珠が煌めくような音響空間に対する意識の高さが尋常じゃない。この二枚目で目指した理想像でもある、KATATONIA『Dead End Kings』をアコースティックに再構築したDethroned & Uncrownedとほぼ同じ作風とアレンジだが、Alcestリスペクトな音響/音像をはじめ民謡風のメロディだったり、フィンランド人の根幹にある民族的な土着性とフォーク/アコースティックなサウンドとの相性は抜群で、さすがにヨナスと比較するのはヨナスに失礼かもしれないが、ミッコのボーカル・メロディに関してもイモ臭さは程々によく練られているし、歌い手としてのポテンシャルを過去最高に発揮している。

臨界点 ・・・この手の界隈で比較対象にされるDraconianと同郷のAmorphisイェンス・ボグレンデイビッド・カスティロを起用した、いわゆる【勝利の方程式】を説き明かして今年2015年に勝ちに来た一方で、このSwallow the Sunはこの三枚組の中で、メロドゥームとしての王道路線で対抗すると共に、KATATONIAANATHEMAなどの先人たちにも決して引けを取らない、モダンでアコースティックな路線でも対等に勝負できることを証明した、どの方向性、どのジャンルにも一切の妥協を許さない攻めの姿勢に僕は敬意を表したい。失礼だが、フィンランド人だけでここまでの仕事ができるなんて思ってなかったし、新作が三枚組だと聞いた時は血迷ったなって全く期待してなかったから、いい意味で裏切られた。ある意味、未だ誰も超えたことがなかったスオミ人としての臨界点を超えたと言っていいかもしれない。正直スマンかった。
 
Songs From the North I & II & III
Swallow the Sun
Century Media (2015-11-13)
売り上げランキング: 6,741

Gris 『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』 レビュー

Artist Gris
Gris

Album 『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』
À l'âme enflammée, l'äme constellée...

Track List
Disc I
01. L'Aube
02. Les Forges
03. Samsara
04. Igneus
05. Dil

Disc II
01. Moksha
02. Seizième Prière
03. Sem
04. Une Épitaphe De Suie
05. Nadir

『ポストブラックの分類』・・・そもそも、いわゆるポストブラックとかいうジャンルは、大雑把に3つのタイプに分類する事ができるんだが→まず1つ目は【マイブラ系もも色シューゲ×激情系HC】のDeafheavenタイプ、2つ目は【ポストロック/ドリームポップ×ブラゲ】のAlcestLes Discretsタイプ、そして3つ目は【ネオフォーク/アンビエント/ATMS×デプレ・ブラック】のAgallochさんを筆頭とした初期Ulver初期KATATONIAタイプの三種類あって、このカナダを拠点に活動するIcare氏とNeptune氏による二人ポストブラックことGrisは、その分類の中で言うとAgallochタイプとAlcestタイプの美味しいとこ取りした感じのブラックで、その手の好き者に高く評価された1stフルの『Il Était Une Forêt...』から約六年ぶり通算二作目となる本作の『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』、しかも二枚組の幕開けを飾る#1”L'Aube”から只ならぬ情緒感を醸し出すアコギナンバーで、そして約15分ある長尺の#2Les Forgesを聴けば理解できるように、スーサイド願望に満ち溢れたIcareによる悲痛な叫びと、アコギを中心に琴や尺八などの和楽器やチェロやヴァイオリンを擁した壮麗優美なストリングスが、まるで初期Opethを思わせる”美と醜”の対比を強弱を効かせながら表現していく、わかりやすい話→スウェーデンのShining直系のジジジジ...ノイジーなデプレブラックに、本作のジャケを手がけたFursy Teyssier率いるLes DiscretsAlcestを連想させるオリエンタルなフレフレフレンチ感や、USのポストブラックレジェンドAgallochさん直系のタンビ(耽美)エントな要素がしなやかかつエレガントに交錯する、要するにみんな大好きATMS系ポストブラックやってるわけ。ちなみに、アルバムタイトルや曲目を見ればわかるように、全編フランス語の歌詞となっている。

 やはり今作の大きなポイントとして→キュルキュル♪と弦の音が生々しく鳴り響く、ほのかにメランコリックで麗しげなアコギを筆頭に、オーストラリア産のネ・バブリシャス(Ne Obliviscaris)顔負けの、天空を駆け巡るように超絶epicッ!!なヴァイオリンによるネオクラシカルなメロディセンスだろう。もはやこのバンド最大の持ち味と言っていい、それらのアコギやストリングスは、Disc1&2共に約40分トータル80分という作品全編に渡って美しく幻想的に、そして優雅に曲を彩っていて、その中でもDisc1とDisc2最後を締めくくる”Dil”と”Nadir”は涙なくして聴けない。あと#4”Igneus”のアウトロとか聴いたら、マジでネ・バブリシャスと対決させたくなる。で、基本的にDisc1と2も似たような構成で、【オープニング→大作→短いインスト→再び大作→泣きのアコギ】みたいな流れで、どちらも完成度が高く甲乙つけ難い。

 このバンド、単なるAgallochや初期Alcestのコピーバンドというわけではなくて、特に一枚目の名曲#2”Les Forges”の7分以降の展開や、二枚目の#2”Seizième Prière”あたりで垣間見せる、Rosettaなどのポストメタル勢からの影響を巧みに昇華した部分も聴きどころの一つとなっていて、もはやこの手の界隈を代表するその二組に引けをとらない、ヘタしたらそれ以上のポテンシャルを誇っている。間違いなく、今年のポストブラック界隈ではマストな一枚。
 
L'ame Enflammee, L'ame Constellee
Gris

売り上げランキング: 421,738

KATATONIA 『Dethroned & Uncrowned』 レビュー

Artist KATATONIA
KATATONIA

Album 『Dethroned & Uncrowned』
Dethroned & Uncrowned

Track List
01. The Parting
02. The One You Are Looking For Is Not Here
03. Hypnone
04. The Racing Heart
05. Buildings
06. Leech
07. Ambitions
08. Undo You
09. Lethean
10. First Prayer
11. Dead Letters

      『死の王、復活するってよ』

あの日、KATATONIA死の王を産み落としたあの日、長きにわたって築き上げてきた”俺の界隈”は腐海へと沈んだ。2011年、スウェーデンの皇帝KATATONIAがリリースした『死の王』によって、いわゆる俺の界隈の崩壊すなわちサード・インパクトが起きた事は、読者も既にご存知のはずだが、それについてを詳細に記した愛のある肩叩きの中で、”オルタナ/トリップ系がやりたいのかメタルがやりたいのかハッキリしない(あいまいなのは『男』じゃあない)”と言う吉良吉影のような事や、アレンジャーのフランク・デフォルトの異常なゴリ押し感を聴いて、もういっそのこと”ニカバンド”になってくれたほうがよかったンゴ...とかナントカ書いたりした。しかし本作を耳にした時→あの『死の王』というのは元々トリップ系にすることを前提に作られた作品だったんじゃあないか?本来はコッチがKATATONIAの”本性”だったんじゃあないか?というような疑問がまず頭を過ぎった。もしそうだとすれば、レビューにも書いたヨナスの歌に関する違和感や俺たちのイェンス・ボグレンを左遷した結果→音の凡個性化を筆頭に、フランク・デフォルトのゴリ押しノーマン兄弟の脱退など、あの時に感じたありとあらゆる疑問や謎に納得ッが生まれる、というか、『死の王』のレビューに記した事に対する約一年越しの伏線()回収だと解釈すれば、それら全ての辻褄が合ってくる。それこそ、まるで日本語で書かれたその”肩叩き”の内容をKATATONIAが理解ッしたように、『死の王』をアコースティック/アンプラグド風に再構築(リメイク)したのが、この新作『Dethroned & Uncrowned』というわけ。

    ANATONIA

 確か...あれは8thの傑作Night Is the New Dayがリリースされた頃のインタビューだったかな、アンダースヨナス「俺たちはニカバンドにはならないよ(キリッ」とドヤ顔で答えた結果、今回→「嘘ンゴ。カタトニクス最高ンゴ」というアツい手のひら返し・・・もとい、これまでのお話の展開その着地点=”答え”となった、この度のKscopeからの運命的なリリースに一瞬は驚きながらも、一方では”やっぱり”と思う冷静な自分がいた。おいら、LovePeaceの提唱者こと秘密結社Kscopeの皇帝であり黄金の精神を持つANATHEMA『死の王』として知られる”漆黒の意思”を持つKATATONIAは一心同体の存在、すなわち【ANATHEMA(ジョニィ・ジョースター) × KATATONIA(吉良吉影)=ANATONIA(東方定助)】という、日本一のジョジョヲタとしての考察および独自の解釈を持っていて、当然、それはジョジョ8部『ジョジョリオン』の物語に関係する部分ではあるんだけれど、まぁ、それはそうとして→今回のKscopeKATATONIA”引かれ合い”は、まさに俺のキング・クリムゾンが予測していた通りの出来事で、ある程度の予測はしていても実際に起こってみるとやっぱ!?ってなるし、あの時ありのまま素直に”肩叩き”したことは何一つ間違っちゃあいなかったんだと、正しい行動だったんだと、この『Dethroned & Uncrowned』が産み落とされた今となっては、あの時の自分を”よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし”とチョコラータ風に褒めてやりたいぐらいだ。つまり、『死の王』という俺の界隈を崩壊させた元凶を再構築すること、それすなわち”俺の界隈の再構築”と全く同じ意味を持ち、要するにこの『D&U』の存在というのは、あの時の自分と今の自分を繋ぎ合わせる”救世主”であると同時に、”あの日”を境に絶望の淵へと追いやられた俺の界隈に棲む廃人に対するKATATONIAからの鎮魂歌でもある、それこそANATHEMAWeather Systemsという黄金のシンボル”が光り輝く俺の界隈を再び漆黒色に染め上げるかのような、そんな様々な意味合いを持つ一作。しかも、今年で25歳になった僕が活動25周年を迎えたKATATONIAの復活作を聴いている、そしてこのタイミングでANATHEMAのライブ作品『Universal』Kscopeからリリースされ、更には『ジョジョ』生誕25周年を祝う荒木飛呂彦先生の画集『ジョジョベラー』も同時に発売されるとか・・・なんて...なんて面白すぎる出来事なんだッ!これはもう『運命』としか言いようがないッ!これこそ”俺の界隈の再構築”の答えだッ!つうか、そんなことより、さっさとヨナスヴィンセントの薄い本はよ!

KATATONIA×KSCOPE

 『再構築』ということで、スウェーデン一の”ゆるふわ系男子”ことヨナスきゅんのボーカルだけはオリジナル版の音源を使っていて、バックのトラックがヘヴィなギターに替ってアコギやストリングスやシンセ、ドラムに替わってパーカッションを用いた、わかりやすい話→KATATONIAANATHEMA『Hindsight』的な事やってみた、というわけ。で、オリジナル版『死の王』の一曲目”The Parting”を初めて聴いた時は→日本一のカタヲタを自称している自分ですら全く耳に馴染まなかったというか、初っ端の”In the weak light”というヨナスのボーカルの入れ方からして「ナニかがおかしい...こんなことは許されない・・・」と、漠然とした違和感を感じていた。しかし、再構築された本作の”The Parting”は異常なほど耳に馴染むというか、まるで「プログレッシブな俺たちかっけええええええええええ!!」というアンダースのドヤ顔が浮かんできそうなほど、クソみたいにダサいGリフがないだけでここまで変わるなんて・・・ちょっと想像した以上だったし、あらためて『死の王』という作品がいかにして”Bサイド向け”に作られていたか、という真実が理解ッできた瞬間は素直に嬉しかった。で、The GatheringSilje Wergelandがゲストとして参加した#2”The One You Are Looking For Is Not Here”ではフェミニンなアンビエンス空間に包み込まれ、続く#3”Hypnone”は原曲でも鍵を握っていたキーボードの儚いメロディを主体としながら、歪みが抑えられた泣きのGソロにKATATONIAの本質というのを痛烈に感じつつ、 原作の中でも唯一これだけは名曲だと認めざるを得なかった#4”The Racing Heart”では、Bサイド屈指の名曲”Sold Heart”風すなわちフランク・デフォルト特有のアレンジが施された結果→もはや原曲を超えるある種の”凄み”を放っていて、内側に内側にヒシヒシと燃えたぎる『灼熱の魂』が外側へと開放されるようなヨナスの歌声は、それこそKATATONIAの本性と共にカタトニクスの真髄をまざまざと見せつけられた気分にさせる。これぞBサイドのセカイだと...ッ! そして...原作では”捨て曲四兄弟”だった#5”Buildings”,#6”Leech”,#7”Ambitions”,#8”Undo You”という中盤の変貌っぷりには、いい意味で驚かされた。原作『死の王』が駄作だと確信させたレベルのクッソダサいリズム刻みやがるGリフが消え失せ、同郷の盟友Opethを彷彿とさせるダーティなアコギがダークジャズ風の耽美なムードを形成する#5、ジャジーなピアノとヨナスの叙情的な歌声がレトロちっくに織りなすアダルティなダンディズムに心酔する#6、アンプラグド化したGソロの残響音が漆黒という亜空間の中を幽玄に揺らめく#7、どこか懐かしいキモチにさせるドラクエ的な謎の郷愁感とSWソロ風の童話ちっくなアレンジが聴きどころの#8まで、原作では死んでいた中盤の楽曲が今回のリアレンジによってズキュウウウンという擬音と共に”漆黒の意思”が注入され、死に体から息を吹き返した結果→まさにこの『Dethroned & Uncrowned』こそが真の『死の王』だという事を確信させ、同時に『死の王の復活』を宣言するかのような凄みすらある。中でも”Ambitions”の化けっぷりには度肝を抜かれたね。で、終盤の#9”Lethean”,#10”First Prayer”,#11”Dead Letters”までの、原作では”あと一歩”の印象だった曲も見事に化けている。#9は前作の”Day and then the Shade”をルーツとする曲だったんだなぁとか、#11はBサイドは元よりKATATONIA史上最高傑作”Unfurl”風のアレンジが際立っていたりとか、あらためて『死の王』を真正面から見つめ直し、より深い視点から楽しむことができた。なんかこれを聴いてると、まるで腐海に沈んだ極東の島国の畔で、東京五輪という名の死のカーニバル、暗黒舞踏会を繰り広げるかのような情景が浮かんでくる。なんにしても、今回は『死の王』を丸々リメイクというのが一番のポイントだと思う。

 いやはや、あのクッソダサいリフとピロピロ系Gソロという名の”雑音”が存在しない、つまり『死の王』特有のダサさがなくなった、というか薄くなっただけなのに、ここまで別物に聴こえるなんて想像もしていなかった。しかも、ただのアコギアレンジで終わらせるんではなくて、曲それぞれに合ったアレンジの仕方をしてて、それにより原曲とは比べものにならないほどの味わい深さとシブ味が増したことで、尚さら原作とは全く別の作品として聴くことができる。単純に、音そのものの作りがオリジナル版『死の王』のような異物感がない。ある意味、我流の【ATMSフィールド】を身にまとった”雰囲気バンド”としての本領を最大限に発揮してる作品なのかも。あと、これは原作に対する自分の印象が悪く過ぎたせいもあるだろうけど、リメイク版はヨナスの歌声や吐息がより近く明瞭に、より生々しい表現として聞こえる。極端な話→もはやヨナスのソロアルバムかと思うぐらい、ここまで素直にヨナニーできるメランコリックなKATA作品は他にないんじゃないかって。まさに”染みわたる”という言葉以外、僕の浅い知性では他に表現する言葉が見当たらないし、こうやって改めてヨナスのボーカルを中心に聴いてみると→ヨナスのボーカルメロディ自体は決して悪いモノではないし、むしろ過去最高に”ボーカリスト”としてのポテンシャルを発揮しているように思う。ということは・・・オリジナル版『死の王』を駄作にした戦犯は、やっぱり当時スカイリムやりまくってたリーダーのアンダースだったんだな...って。要するにアンダース許すまじ!

 俺たちカタヲタがKATATONIAに”求めているもの”であると同時に、俺たちカタヲタがKATATONIAに”求めていないもの”でもある本作品、しかしあの時に”愛のある肩叩き”をした自分は本作を”求めていたもの”として聴くことができる。そして、この『D&U』を誰よりも理解ッし、誰よりも楽しんで聴いているに違いないと、日本一のカタヲタを自称している今の自分にはハッキリとわかる。結局のところ、原作の『死の王』を聴いた時点で、KATATONIAKscopeに取り込まれてBサイド的な作品をリリースする未来をどれだけの人が予測できたんだろう...と。これが予測できたのは、少なくとも日本では自分だけだと思う。だからこそ、当ブログWelcome To My ”俺の感性”2013年度BEST頂点にこの『D&U』を掲げる、という行為に大きな意味や説得力が生まれるというか、『D&U』俺の界隈頂点にすることによって、栄冠(魂)を取り戻した『死の王』は腐海の底から目覚め、これにて俺の界隈の再構築の最終フェーズが完了する...そして...一度は王の称号(王冠)を失った『死の王』が...これにて俺の界隈皇帝に再即位するッ!!

 「“帝王”はこのKATATONIAだッ!!依然変わりなくッ!



 この最新インタビューを聞いてもわかるように、なぜ『死の王』をリメイクしたのか?という質問に対して、ヨナスとアンダースは二人共に『死の王』のポテンシャル(可能性)と自らを試す(チャレンジ)だと語っていて、いつ頃リメイクしようと決めたのか?という問いには→『死の王』をミキシングしている時だと答えてたり、なぜPeacevilleではなくKscopeからリリースしたのか?という問いに対して→Kscopeが掲げる音楽的思想と『D&U』の作風がマッチしていて、尚且つジャンルレスなレーベルだからと答え、Kscopeのバンドで好きなバンドは?という問いに→共にSW先生の名を挙げ、更にPTやパイナップル泥棒そしてANATHEMAの名前を挙げていたのが興味深かった。

 案の定、既に従来のKATAファンからは”愛のない肩叩き”がなされているみたいなんだが、しかしKATATONIA自身は【オリジナル VS, リメイク】という対立構造なんかクソくらえ、という声明を早くも出していて、これにはあくまでも”別作品”として聴いてくれという彼らの明確な意思が感じ取れる。ちなみに、アートワーク/デザインを手がけたのは毎度のトラヴィス・スミス氏。そして当然ながら、本作のクレジットにはイェンス・ボグレンという名前は刻まれておらず、あらためて近年KATA作品のアレンジャーとして知られるフランク・デフォルトとエンジニアのデイビッド・カスティロが中心となって生まれた作品なんだと、それは本作の内容を聴けば嫌でも理解ッできると同時に、悲しいかな...これはイェンス・ボグレンとの決別を意味してるんだと思う。

    DIR EN GREYを食らうKATATONIA

 ところで『再構築』といえば、KATATONIAの実子に当たるDIR EN GREYも今年の初めに初期の楽曲をリメイクしたTHE UNRAVELINGをリリースした事が記憶に新しく、そのアンラべでは親であるKATATONIAを豪快に食らう様子を見せていた。しかし、今回では「我が子を食らうサトゥルヌス」ならぬ「DIR EN GREYを食らうKATATONIA」という逆パターンの食らい返しが実現し、まるで「DIR EN GREYよ、これが再構築だ」と言わんばかりの、親が子に威厳を示すかのようなお話の流れがあって実に面白い。当然、DIR EN GREYKATATONIAの影響を受けているバンドの一つだし、既に本作の『Dethroned & Uncrowned』もチェックしているんだろうけど、そんな当たり前なことよりも、DIR EN GREYの秋ツアー『TOUR2013 GHOUL』の会場BGMとして、この『D&U』の楽曲を流すor流さないかが気になって仕方ない。・・・と、まだチケ取ってない自分が言うのもアレなんだが、正直ライブの内容よりもその事が気になって夜も眠れない。だって、DIR EN GREYがこの『D&U』から学ぶことって意外とたくさんありそうな気がしたからね。特に#3と#7のGソロは薫きゅんに是非とも聴いて学んでほしい(いや、既に聴いてるか?)。そんな風に、KATATONIADIR EN GREY漆黒の関係性を考察していてふと思った、もしフランク・デフォルトがDIR EN GREYの楽曲をアンプラグド化したらどうなるんだろう...ってね。

 さて、これからのKATATONIAについてなんだが、このままKscopeの傀儡としてゾンビのように生きていくのか、それとも従来のオルタナティブ・ヘヴィ路線に戻るのか、彼らの今後が今から楽しみで仕方がないし、それこそガチでBサイド路線やってくれたら面白いとは思うけどね。けど、もう二度と『死の王』みたいなオリジナル&リメイクという、どっちつかずでハッキリしない(あいまいなのは『男』じゃあない)と、『ジョジョリオン』の吉良吉影が激おこプンプンしそうな作品だけはやめてほしい。方向性をどちらか一本に絞ることができれば、KATATONIAは本当の意味で復活できると思うよ。まぁ何にせよ、ノーマン兄弟というバンドの”核”を失い、首の皮一枚で繋がった瀕死状態って時に、この絶妙なタイミングでKscopeに救済を求めたのは懸命だったというか、こうなることはもはや『運命』で決まっていたと言わざるをえない。何にしても、KATATONIAの作品にKscopeという文字が刻まれているというだけで、自分は問答無用にアヘ顔デフヘヴン状態になりますけどね。どうやら今後、リリースから10周年を記念して6th『Viva Emptiness』のリメイク/リマスターも予定しているらしいので、そちらも期待して待ちたい。最後に一言→この度、『死の王』の再構築という名の俺の界隈の再構築すなわちフォース・インパクトを起こしたKATATONIAには、 本当に…本当に…「ありがとう」…それしか言う言葉がみつからない…。

Dethroned & Uncrowned
Dethroned & Uncrowned
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Katatonia
Kscope (2013-09-05)
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Ulver 『Childhood's End』 レビュー

Artist Ulver
new_Ulver

Album(Compilation) 『Childhood's End』
Childhood's End

Track List
1. Bracelets Of Fingers
2. Everybody's Been Burned
3. The Trap
4. In the Past
5. Today
6. Can You Travel in the Dark Alone
7. I Had Too Much to Dream (Last Night)
8. Street Song
9. 66-5-4-3-2-1
10. Dark Is the Bark
11. Magic Hollow
12. Soon There'll Be Thunder
13. Velvet Sunsets
14. Lament of the Astral Cowboy
15. I Can See the Light
16. Where Is Yesterday

北欧ノルウェイに凄む生きる伝説ことUlverの昨年リリースされたWars Of The Rosesから約一年ぶりの最新作で、ベトナム戦争で有名な”あの一枚”をアートワークとして掲げた『Childhood's End』は、主に60年代に活躍したバンドの楽曲を今のUlver流の解釈で再構築したコンピレーション・アルバムで、その内容は実にサイケデリックかつフォーキー、レトロでダンディな温かいムードに満ち溢れたexperimentalな聖域へと聞き手をトリップさせるんだけど、これが想像した以上に心地よい件。今なお流動的な音楽を創造し続けるUlverと、その中心人物であるノルウェイの森のエロぃクマさんことKristoffer Ryggという人物の頭の中に秘められたユニークな感性の一部を覗き見してるかのような一枚。で、恥ずかしながら原曲を一曲も知らないぐらいクラシックな音楽には疎いおいら、今回のような機会がなかったら60sの音楽を聴くチャンスは今後一生なかったかもしれない。少し大袈裟だが、それほどまでに、かなり貴重な音楽体験だと思う。この場を借りて、このような機会を与えてくれたUlverには素直に感謝したい。で、個人的に気に入ったのは、奇想天外でポップな場面と東欧風味の暗鬱感を醸し出すメロディとのギャップがイカす#1”Bracelets Of Fingers”、トリップホップ/ポストロック的な穏やかな音使いでシブくてジャジーなエロいムードを形成する#2”Everybody's Been Burned”、エレクトリカルな#3、ポップ&フォークな#4、そして特に#5” Today ”なんかを耳にすると、Opethのミカエル・オーカーフェルトが如何にクラシック・ロック・ヲタクなのかを理解ッできる気がする。それほどまでに、この曲からは名盤『Still Life』のような”オトコの哀愁”を感じざるを得なかった。で、プログレ~サイケな音階を交互に行き来する#6、オトコのフォーク・ロック的なシブい#7、アコギ主体の#10” Dark Is the Bark ”の中盤からの展開とかマジで壮麗優美ニキ。他にもアコギ/サイケ/フォーク/トラッド調の楽曲が最後までムーディな雰囲気を演出している。しかしながら60年代の曲が原曲なのにも関わらず、あまり60sという古臭い印象を受けないのは、やはりクリストファーのセクシャル&ダンディズムに満ち溢れた深みのある歌唱法のお陰だったり、いわゆる”俺の界隈”に属するバンドを連想させる音が自然な形で耳に馴染んでくれたお陰か、全体的にポップでキャッチーなテイストがあって思いの外聴きやすかった。少なくとも聴きづらさは一切なかった。そんな感じで、ミカエル・オーカーフェルトがアヘ顔しそうな楽曲ばかりなんで、特にOpethの最新作Heritageとか、その手の界隈のリスナーは聴いてみるといいかもしれない。なかなかに面白い発見があるかも!?

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Ulver
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Baroness 『Yellow & Green』 レビュー

Artist Baroness
new_Baroness

Album Yellow & Green
Yellow & Green

Track List
Disc I
01. Yellow Theme
03. March To The Sea
04. Little Things
05. Twinkler
06. Cocainium
07. Back Where I Belong
08. Sea Lungs
09. Eula

Disc II
01. Green Theme
02. Board Up The House
03. Mtns. (The Crown & Anchor)
04. Foolsong
05. Collapse
06. Psalms Alive
07. Stretchmarker
08. The Line Between
09. If I Forget Thee, Lowcountry

USはジョージア州サバンナ出身の四人組、Baronessの約三年ぶり通算三作目Yellow & Greenなんだけど、CD2枚組のボリュームがどうとか以前に、まずはその作風その内容に驚いた。言うなれば、Mastodonの5thThe Hunterの”市場”を意思した”キャッチー&メジャー”な要素と歴史的名盤の4thCrack The Skyeの”クラシック&サイケデリック”なスタイルを、バロネス流の考えで解釈し仕立てあげ恋してみました的な感じで、サイケデリックやストーナー、オルタナやアコギ、そしてクラシックなHRテイスト溢れる男臭い歌による叙情的な要素をバロネス流のヘヴィサイケに落とし込んだ結果、今までにないバロネスの創造、新たなる世界を切り開いたバロネスの勇気ある行動に、僕は敬意を表するッ!!ってくらい、アメリカの雄大な大地と情緒が織りなす叙情美を、荒野に立つ”クリント・イーストウッド=空条承太郎”バリのシッブイシッブイ”男の哀愁”に変えて、イエロー・テンパランスVSハイエロファント・グリーンとかいうディスク二枚にコンパクトに凝縮した、まるでアメリカ大陸をバスで(時に大クラッシュしながら)横断するかのような(笑えねえ...)、まるでUS産ロードームービーでもあるかのようなビッグスケールで描かれる、そのハードボイルドな”男の世界”に俺たちの♡はウキウキしっぱなしよ。個人的に、丼の5thはドコか”コレジャナイ感”があって受け付けなかった、がしかしソレと全く同じ事をやってるハズの本作には不思議と嫌悪感はなく、むしろ好意的な感情が湧き上がった。丼のアレは無理矢理やらされてる感があったが、ソレみたいな不自然さがコレにはなくて、”NEXT-Baroness”が特に黄色の中で繰り広げる楽曲には、今やMastodonとの立場は逆転したといっても過言じゃあない、バロネスというバンドの確かな実力に裏打ちされた、聞き手に有無を言わすことのない、絶対的な”説得力”がそこにはある。その”説得力”に今回”大変貌”を遂げたバロネスに対しての”納得”というのが生まれるわけだ。つまり『納得』は全てに優先するぜッ!! 正直なところ、今までのバロネスの作品には”丼の亜種”とかいう漠然としたイメージしかなくて、心の底からハマりきれないでいたけど、この新作で初めてバロネスのことを本気で”好き”だと言える。とか言うても、1stや2ndのようなプログレメタル/マス的なテクや己の獣性を剥き出しにする咆哮そしてスラッジー流れの重厚なヘヴィネスは微塵もなくて、男の哀愁を帯びた叙情的なメロディに満ち溢れた、あくまでもクラシックでサイケデリック、オーガニックでキャッチーな作風なんで、賛否両論あるのは至極当然だが、ここまで思い切ったバロネスの覚悟ッ!!意外ッ!!性は評価すべきトコです。丼のアレが何故ダメで、この×が何故イイのか、その違いが分かる人にはハッキリと分かりますね。

    『ありがとう』...それしか言う言葉がみつからない

 まず、黄色盤の方は・・・フワフワとゆったりとしたイントロの#1で始まり、クラシックなHR調の曲で”テーィクマーイボ~~~ンズウェイッ!!”とかいうクッソ暑苦しいくらいにノリノリでつい一緒に歌いたくなるサビがイカす#2”Take My Bones Away”、一転して”男の哀愁”に満ちたキャッチーな歌とメロディに酔いしれる#3”March To The Sea”、とりあえずこの二曲だけでも今回のバロネスの変貌が嫌でも伺える。で、緩やかなメロディがユラリ揺らめくオルタナチューンの#4、フォーキーなアコギが醸し出す温かな郷愁とシミジミとした哀愁が胸に染み入る#5”Twinkler”、スペース×サイケ×70sプログレッシブが交錯したレトロな香り漂う#6”Cocainium”と#7”Back Where I Belong”では深~くてシブ~い叙情的な世界へと誘い、そのユル~い流れからの~トドメは超絶epicッ!!なHRチューンの#8”Sea Lungs”、そしてついつい”男泣き”してしまいそうなほど、クッソシッブイメロディとドリーミーな雰囲気に酔いしれる序盤から徐々にヘヴィサイケ化していく#9”Eula”で第一章の幕を閉じる。で、盤の方は・・・まるでCloudcikerやUSポストメタルを思わせるような、アメリカ西海岸に吹く風を肌で感じるインストの#1で幕を開け、”よりもユルくてアダルティなシブさを醸し出す”を象徴するかのような#2”Board Up The House”、アコギによるシンミリした哀愁ほとばしるオルタナ曲の#3”Mtns. (The Crown & Anchor)”、もはや60年バリにレトロでオトナの色気全開の雰囲気に飲まれる#4”Foolsong”、#4の流れを汲んだスペーシーな#5、まるでアメリカ西海岸的な”あの情緒”ある景色を脳裏に描写させるほど、Bucketheadバリにキモティアコギインストの#7”Stretchmarker”、の中で一番激しくそして浮いた存在の#8”The Line Between”、再びッ!!Cloudciker的なアンビエント系インストの#9で夢心地な気分のまま終幕を迎える。そんな感じで、黄(40分)緑(35分)トータル約75分にも関わらず、全てを聞き終えた後、その長旅の疲れを感じさせないほど、むしろ逆に晴れやかな充実感すなわち”『ありがとう』...それしか言う言葉がみつからない”というような一種のカタルシスを得ることができる。特に黄色の方はマジでスゲーです。捨て曲が無いのは言わずもがな、クラシックなハードロックもしくは70sプログレ好きにはドツボにハマること請け合いな楽曲の連続。で、一方のの方は、黄色よりユル~い雰囲気で少し大人びた感じの、例えるならBucketheadHelms AleeもしくはPelicanを彷彿とさせるような、サイケ一辺倒な音世界の中からほとばしる”アメリカ西海岸”臭がこれまたイイッ!!アメリカニシカイガンガーアメリカニシカイガンガーアメリカニシカイガンガー
 
 そんなわけで、そこまで思い入れのあるわけでもないバロネスに対して、まさかここまで感動させられるとは思ってもみなかった・・・これは意外ッ!!そして今ッ!!猛烈にライブが観たくなったッ!! それほどまでに、本作Yellow & Greenでバロネスがやってる音楽というのは、まさしく”俺の界隈”の”音”そのもの、なんだ。これはEnslavedの新作RIITIIRでも書いたけど、”脱メタル化”して”プログレ化”した成功例がまた一つ。

Yellow & Green
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