Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Alternative

Marika Hackman 『We Slept At Last』

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Tracklist
01. Drown
02. Before I Sleep
04. Open Wide
05. Skin
06. Claude’s Girl
08. In Words
09. Monday Afternoon
10. Undone, Undress
11. Next Year
12. Let Me In

UKのシンガー・ソングライター事情といえば・・・実はよく知らないんだが、とは言えイングランド南部はハンプシャー州出身のマリカ・ハックマンのデビュー・アルバム『We Slept At Last』が、寂れた郊外のバーで語り弾きする光景が脳裏に浮かびそうなくらいダーティなムード漂う激シブなインディ・フォークやってて、例えるならex-Trespassers WilliamLotte KestnerがUSのChelsea WolfeTrue Widow、あるいはUKの2:54みたいな暗黒面に堕ちたヤンデレ系フォーク・ミュージックやってて、とにかく一見ありがちなインディ・フォークかと思いきや、そこはUK出身ならではの”オルタナティブ”なアレンジ/メロディ・センスを垣間見せたりと、なんとも「イギリスらしいシンガー・ソングライター」としか他に形容しがたいSSWだ。
 

イントロから不協和音にも近い不穏な空気感をまといながら、気だるくも落ち着いた、しかしどこか色気のあるマリカの歌声とアコギのリフレインが、Kayo Dotばりの暗黒物質という名の多彩なアレンジとともに絶妙な距離感で調和し、素直に心地良く、しかしどこか深い闇がある音世界を構築するオープニング曲の”Drown”、いわゆるスティーヴン・ウィルソン界隈を彷彿とさせるArt-Rock然とした音使いと叙情的なストリングス・アレンジの絡みが完全にPost-系のソレな二曲目の”Before I Sleep”Trespassers Williamリスペクトな#3”Ophelia”、そしてもはや確信犯と言っていい四曲目の”Open Wide”では、一転してバンド・サウンドを主体に、USのWarpaint顔負けのダウナーなドリーム・ポップを繰り広げる。この序盤の流れを耳にすれば、彼女のシンガー・ソングライターとしての才能は元より、一人のマルチミュージシャンとしての才能にド肝を抜かれる事ウケアイで、それと同時に彼女が産み落とす音楽が”俺の感性”のド真ん中であるということが理解できる。それすなわち、Warpaint大好き芸人のスティーヴン・ウィルソンが一番のオキニにしそうなSSWである、ということ。



再びダーティなアコギを靡かせながら、ロンドン出身のSivuとかいう男性ボーカルとのデュエットを披露する#5”Skin”、70年代のフォーク・ソングのカバー曲と言われても疑わない#6”Claude’s Girl”、一転してDevin Townsend”Blackberry”ばりのカントリー調でノリよく展開する#7”Animal Fear”、哀愁漂うシンプルな#8”In Words”、遊牧民を誘き出すようなフルートや優美なストリングスを擁した民謡風の曲調からポスト-系の展開力を発揮する#9”Monday Afternoon”、そして後半のハイライトを飾る#10”Undone, Undress”は、そのタイトルどおり、まるで「UKの森田童子」と言わんばかりの、底すらない闇へとどこまでも堕ちていくような、ただそこに蠢くドス黒い狂気の中に彼女の底知れぬ『闇』を垣間見る。Opethミカエル・オーカーフェルトが悶絶しそうなメロトロンとフルートの音色が俄然サイケかつサイコに演出する#11”Next Year”、最後はアコギを片手にドチャシブな歌声を聴かせる。

なんだろう、一見至って普通のシンガー・ソングライターかと思いきや、全然普通じゃない、とにかく闇が深すぎるSSWだった。 ピアノやシンセ、メロトロンやオルガンをはじめ、民族楽器のサーランギーやディルルバまで難なく弾きこなす、それこそプログレ界隈もビックリのマルチな才能が遺憾なく発揮された傑作です。

もはや「UKのSusanne Sundfør」と呼んでも差し支えないレベルだし、もちろん我らがスティーヴン・ウィルソンをはじめ、少しベクトルは違うがUSのRhye、そして近年のUlverOpethなど、そして最終的にはビートルズという偉大な先人をルーツに浮かび上がらせる、そのメランコリーでサイコーパスな音楽性は、普段の日常生活の中に潜む『闇』に気づいたらスッと片足突っ込んじゃってた感すらある。

あとは単純にメロディが素晴らしいのと、何度も言うけど曲の展開が一々ポスト-系のソレでツボ過ぎる。正直、ここまでPost-Progressive系のアーティストとリンクするSSWは他に類を見ない。逆に「繋がり」が一切ない事の方がおかしいレベル。でも逆に「繋がり」がないからこそ「面白い」くもある。
 
We Slept At Last
We Slept At Last
posted with amazlet at 16.07.22
Marika Hackman
Imports (2015-02-24)
売り上げランキング: 272,997

Riverside 『Love, Fear and the Time Machine』

Artist Riverside
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Album 『Love, Fear and the Time Machine』
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Tracklist
01. Lost (Why Should I Be Frightened By A Hat?)
02. Under The Pillow
03. #Addicted
04. Caterpillar And The Barbed Wire
05. Saturate Me
06. Afloat
08. Towards The Blue Horizon
09. Time Travellers

R.I.P. ・・・イギリスの奇才、デヴィッド・ボウイが亡くなった。80年代の音楽シーンに多大なる影響を与え、音楽面は元よりビジュアル面から思想に至る所まで、いわゆるPost-Progressive界隈並びに現代プログレ界の第一人者であるスティーヴン・ウィルソンに計り知れないほどの影響を及ぼし、そして"日本のスティーヴン・ウィルソン"こと漫画家荒木飛呂彦の感性および『ジョジョの奇妙な冒険』に絶大なる影響を与えた、その最もたる偉人が亡くなった。この時間旅行は、そのデヴィッド・ボウイに対する壮大な鎮魂曲なのかもしれない。

プログレ回帰 ・・・このポーランド出身のRiversideというのは、かのスティーヴン・ウィルソン主宰の新興レーベルKscopeが提唱する、いわゆる"Post-Progressive"とかいう流行りのシーンに決して流されることなく、個性あふれる独自のプログレッシブ・ロックを構築していることから世界的に高い評価を得ているバンドで、2013年に発表された5thアルバムShrine of New Generation Slavesは、現代に蔓延るブラック企業の社畜という名の『新世界の奴隷』をテーマに、それこそ新世代のスーパーヒーロー『アイアム・ア・ノマド・フリーマン』が現代の行き過ぎた資本主義に警鐘を鳴らすような一枚だった。一方で、その音楽的には往年のクラシック・ロックに対する理解を著しく深めていた彼らだが、前作から約二年ぶりとなる6thアルバム『Love, Fear and the Time Machine』では、そのクラシック・ロックを基にしたサウンドを着実に踏襲しつつも、しかしこれ以上懐古路線に傾倒することなく、いわゆる「超えちゃいけないライン」を超えない程度に、あくまでも"プログレ"として成立させている。正確には"プログレ回帰"した作風となっていて、しかし一言で"プログレ回帰"と言ってみても、これまでとは一味違ったプログレであることは確かで、何を隠そう、これまで意図的にPost-Progressiveという新興ジャンルから一定の距離を保ってきた彼らが遂に、というか、ここに来てようやくPost-Progressiveの世界に介入してきたのである。

(Love) ・・・ここ最近のPost-Progressive界隈では、イギリスのANATHEMAやフランスのAlcestが新しく立ち上げた新興勢力、その名も黄金界隈』が幅を利かせている状況で、この事態を受け、Post-P(ポスト-ピー)界隈の代表取締役社長兼CEOで知られるスティーヴン・ウィルソンも、2015年に発表した自身のソロアルバムHand. Cannot. Erase.の中で、SWなりの黄金の音』というのを黄金界隈』に掲示してみせた。その異常事態を察知した、SWのクローンことマリウス・デューダきゅん率いるRiversideも、敬愛するSWの後を追従するように黄金界隈』からRiversideなりのPost-Progressiveを展開している。まず、今作のタイトルに含まれたLove(愛)」Fear(恐怖)」という2つのワードからして、いわゆる"LovePeace"を最大のテーマとして掲げる黄金界隈』に、彼らRiversideが入門してきたことを意味する。何を隠そう、その『Love(愛)』『Fear(恐怖)』というキーワードは、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』にも深い関わりを持つ。例えば→引力、即ち愛(Love)であることや、おれは「恐怖(Fear)」を克服することが「生きる」ことだと思う。世界の頂点に立つ者は!ほんのちっぽけな「恐怖(Fear)」をも持たぬ者ッ!という三部DIOや、『勇気』とはいったい何か!? 『勇気』とは『怖さ』を知ることッ!『恐怖(Fear)』を我が物とすることじゃあッ!と言い放ったツェペリ男爵の名言を筆頭に、ジョジョに登場するキャラクターの言動および行動原理には、他でもない『Love(愛)』『Fear(恐怖)』という二大概念が存在している。人間は『恐怖』を乗り超えることで『勇気』を得ることができる、その言葉どおり、Riversideはこの6thアルバム『愛・おぼえていますか』の中で、これまで見て見ぬふりをし続けてきたPost-Progressiveと真正面から向かい合い、その『恐怖(Fear)』という名の時空を超えて真実の『愛(Love)』を掴みとっている。

恐怖(Fear)  ・・・人は誰しもが【変わる】ことに恐怖(Fear)し、世界的に【新しい】異分子となるものを排除する潮流にあり、その【新しい】異分子が原因で起こる問題に人々は恐怖(Fear)する。おいら、以前からPost-Progressive界の第一人者スティーヴン・ウィルソン荒木飛呂彦は限りなく近い、【≒】の存在であると考えていて、なお且つ黄金界隈』の創始者でありPost-P界の幹部でもあるANATHEMA"オルタナティブ"な音楽遍歴と黄金の精神』を提唱する『ジョジョ』の"オルタナティブ"な冒険遍歴も【≒】の存在であるという独自解釈を持っている。そもそも、『ジョジョの奇妙な冒険』というのは音楽漫画でありプログレ漫画でもある、という前置きはさておき、【ANATHEMA≒ジョジョ】であるという根拠の一つに、ANATHEMAが2014年に発表したDistant Satellitesを象徴する”The Lost Song”という組曲にも、他でもない『Love(愛)』『Fear(恐怖)』の二大概念がテーマに組み込まれていて、中でも”The Lost Song Part 1”のラストシーンにあるThe Fear is Just an Illusionつまり恐怖なんて幻想に過ぎないんだという『ジョジョ』然とした人間讃歌あふれる歌詞(セリフ)を筆頭に、ジョジョ8部『ジョジョリオン』「呪い(ANATHEMA)を解く物語」であること、バンド名を冠した"ANATHEMA"即ち"呪い"の中には『Love(愛)』が込められていること、そのANATHEMAがまさかの来日公演を果たしたこと、そして今回満を持してRiverside"LovePeace"即ち黄金の精神』を描き始めたこと、全てが糸のように繋がっている気がしてならないんだ。現代日本の"リアル"を暴き出していくジョジョ8部『ジョジョリオン』の中で、全く【新しいジョジョ】を切り拓かんとする荒木飛呂彦恐怖(Fear)は想像を絶するものがあるが、しかしその恐怖(Fear)を乗り超えられたならば、歴代最低の評価を受けている『ジョジョリオン』は晴れて傑作の評価を得ることになるだろう。
 

Love:12g⇄Fear:11g ・・・愛(Love)恐怖(Fear)よりも重いのだろうか・・・?人は恐怖(Fear)を乗り超えることで愛(Love)を知るのだろうか・・・?この『愛・おぼえていますか』を司る『Fear(恐怖)』『Love(愛)』、そして『Peace』という3つのワードが一つに集約され、リリックビデオとして先行公開された”Discard Your Fear”からして、アンニュイでメロマンティックな世界観やThe Cure”Fascination Street”をオマージュしたベースラインをはじめ、"オルタナティブ"なクリーン・トーン中心のフレーズやバッキング・ギターに魅了される。そして何よりも→Fear of new life Fear of days of the unknown No more fear of loveという、今作のコンセプトその本質を表した歌詞が全てを物語っている。その80年代のUK音楽リスペクトな耽美的なムードは、オープニングを飾る#1”Lost”から惜しげもなく発揮されていて、前作のリード・トラックである”Celebrity Touch”を彷彿とさせるクラシック・ロック譲りのリフ回し、今作のアートワークの如しどこまでも続く地平線に淡色に揺らめく夕焼けを映し出すようなリヴァーヴィでドリーミーなメロディ、そしてデビュー作『Out Of Myself』の頃にファスト・トラベルさせる抒情的かつ幽玄な旋律を奏でるギター・ワークまで、まさに彼らの『過去』へとタイムトラベルするかのような、今作の幕開けを飾るに相応しい一曲だ。で、ANATHEMAがPost-P界隈の仲間入りを果たし、いわゆる黄金界隈』創設に至る大きなキッカケとなった傑作『We're Here Because We're Here』直系のクリーン・ギターを擁したミニマルなリフで始まり、中盤からエキセントリックなハモンド・オルガンやメロトロンを駆使してグッと場を盛り上げてから、後半にかけて「キング・オブ・プログレ」としか例えようがないPost-然とした展開力を発揮する#2”Under The Pillow”、そして【新しい】ことに対する『Fear(恐怖)』と対峙する#3”#Addicted”は、イントロからPorcupine Tree”Fear of a Blank Planet”を彷彿とさせるポップなビート感に度肝を抜かれ、そのリズムからギター・フレーズ、そしてマリウスきゅんのフェミニンなボーカルを筆頭に、ニュー・ウェーブ/ゴシック・ロックが一世を風靡した80年代のイギリス音楽愛即ちLoveに溢れた、それこそ「ロマンスがありあまる」ような名曲だ。そして、この曲のアルペジオが入ってくるアウトロの場面転換というか、それこそ"イェンス・マジック"により化けたMoonspell”Medusalem”を彷彿とさせる、要するに80年代のUK音楽と現代的プログレを邂逅させたこの瞬間というのは、このRiversideがPost-Progressive界入りを宣言した歴史的瞬間でもあった。
 


タイムトラベル ・・・自らの原点である『過去』や自らの音楽的なルーツでもある80年代の音楽シーンに回帰した彼らは、今度は2ndアルバム『Second Life Syndrome』と3rdアルバム『Rapid Eye Movement』の頃にタイムトラベルする。暗鬱で内省的な世界観やポスト系のキザミで構成されたリフ回しをはじめ、中期のPorcupine TreeあるいはThe Pineapple Thiefを連想させる、それこそイギリスの空模様のようにソフト&ウェットな、それこそPost-Progressive然としたアコギを織り込みながら、ラストは一種の小宇宙を形成するようなエピカルなバンド・アンサンブルでキメる。次はそのメタリックな側面を更に追い求めるかのように、すなわち4thアルバムAnno Domini High Definitionへとタイムトラベルする#5”Saturate Me”は、プログレ・メタル然としたアクティヴでテクニカルなインストをはじめ、マリウスきゅんによるミカエル・オーカーフェルト顔負けの抒情的なボーカル・メロディとキーボードのエピカルでスペイシーな演出とともに、カタルシスを誘うアウトロのアルペジオまで揺るぎない音のスケールで繰り広げる。悪夢を見ているかのようなダーティで物哀しいマリウスきゅんのボーカルをメインに聴かせる#6”Afloat”Alcest顔負けの美しいアルペジオとアート・ロック志向のピアノ、そしてマリウスきゅんのヨンシーばりの繊細な歌声をもって恍惚感に溢れた幕開けを飾る#8”Towards The Blue Horizon”は、そのアルプスの遊牧民と化す幕開けから一転して、Opethの名曲”Bleak”Riversideなりに再解釈した猟奇的なギター・フレーズから徐々に暗黒面に堕ちていく曲で、というより、Pale Communion”River”をイントロから見せ場のスリラーなインストパートまで丸々オマージュしたような曲調で、あらためてOpethがマリウスきゅんおよびRiversideに与えた影響、その大きさを物語っている。そのタイトルどおり、それこそLet's go back to the world That was 30 years ago And let's believe this is our timeと繰り返される歌詞にあるように、『現在』から30年前の『過去』へとタイムトラベルした長旅の疲れを癒やすような、その思い出話に花を咲かせるようなフォーキーなアコギ中心の#9”Time Travellers”、そしてPink Floyd”High Hopes”をオマージュしたようなMVの映像美が見所の#10”Found”を最後に、デヴィッド・ボウイと並びPost-Progressiveの一つのルーツであるフロイドに敬意を表することで、これにてRiversideのPost-P界入りが正式に『許可』される。



再構築 ・・・「僕たちが愛した音楽、そのルーツがどこにあるのか?」を過去30年まで遡って彼らが導き出した答え、「僕たちの音楽」がこの『Love, Fear and the Time Machine』なのだ。マリウスが子供の頃に夢中になった80年代のイギリス音楽、大人になったマリウスが夢中になったPorcupine Treeおよびスティーヴン・ウィルソンOpethおよびミカエル・オーカーフェルト、それらを含むマリウス・デューダが愛した世界中の音楽との再会、つまりタイムトラベルの後遺症により"Lost"した記憶(思い出)をトリモロス(再構築)する音の時間旅行なのだ。子供の頃の記憶を取り戻し、大人になって成長した今の自分を紡ぎ出すことに成功した主人公マリウスは、右手には愛(Love)を左手には勇気(Pluck)を持って、Post-Progressiveという未知なる恐怖(Fear)に立ち向かい、その恐怖(Fear)を乗り超えた先で掴みとった【新しいRiverside】の姿が今作に刻み込まれている。そもそも、往年のクラシック・ロックの音作りでガチのプログレやるパティーンというのは、最近ではMastodon『Crack the Skye』CynicKindly Bent to Free Us、そしてOpethPale Communionが記憶に新しいが、紛れもなくこの『Love, Fear and the Time Machine』もそれらの作品と同じ系譜にあるアルバムと言える。中でも、スティーヴン・ウィルソンが手がけた『Pale Communion』は、今作に多大な影響を及ぼした一枚なのは確かで、Opeth自身もそのアルバムの中で自らの『過去』を再解釈/再構築していたが、このRiversideの場合は自らの『過去』を経由して、更にそこから30年前の音楽を再構築するという、それはまるでスティーヴン・ウィルソンミカエル・オーカーフェルトの間に生まれたマリウス・デューダという名の子供が、親の離婚という『未来』を変えるために『過去』へタイムトラベルして再構築を目指すような、それはまるで未知なる惑星へと向かう途中、ガルガンチュア内部に突入する恐怖(Fear)時空(Spacetime)を超えて究極の親子愛(Love)に辿り着いた、映画『インターステラー』マシュー・マコノヒーばりに前代未聞の事を成し遂げている。そして子(マリウス)が親(SW&MO)という絶対的な存在を超越した瞬間、気がつくと僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

繋ぎの意識 ・・・今作、とにかく曲展開の"繋ぎ"とアウトロに対する意識の高さが尋常じゃない。その繋ぎやアウトロといえば→デフヘヴンの新しいバミューダ海峡が一種のプログレに通じていたのは、他でもない展開の繋ぎとアウトロの意識の高さにあって、今作のRiversideも例外はなく、繋ぎのメリハリを強調することによりプログレという名の様式美/構成美が刻まれていく。そして、いかに今作がOpeth『Pale Communion』をお手本にしてるのかが分かる。特に、#2,#3,#4のクライマックスで垣間見せる、四人の個が互いに高め合いながら一つになり、ナニモノも立ち入ることを許さない"四人だけのセカイ"を構築する孤高のバンド・アンサンブル、それは現代のプログレと称されるポストロック的ですらある、まさにポストでモダン、リリカルでエピカルなPost-Progressive然とした展開力、ある種の「静寂の中にある狂気」は息を呑むほどに「ロマンスがありあまる」。もはやバンドとしての一体感は、ポスト界隈の幹部勢を優に超えたものがあるかもしれない。

変わる ・・・初期二作のクサメロ全開の辺境プログレっぷりから、一転して3rdアルバムではTool直系のモダン/オルタナ化したと思えば、次の4thアルバムではメタリックなモダン・ヘヴィネス化したりと、元々Riversideって【変わる】ことを決して恐れないバンドではあるのだけど、この『Love, Fear and the Time Machine』における【変わる】の意味は、これまでの【変わる】とは意味合いがまるで違う。ピョートル(兄)のギター・ワークからアコギおよびアルペジオをはじめ、それに伴う曲作り/曲構成、そしてリリック面に至るまで、全ての音のトーンが完全にポスト化へとシフトしている。いわゆる洗練されたとかモダン化したとか、そんなベクトルの話とは違くて、ただただ「これがプログレなんだ」感しかない。マリウス&ミシャのインテリコンビとガチムチ系ピョートル兄弟からなる、この凸凹過ぎるギャッピーなビジュアルからは想像つかないほどの、音楽に対する柔軟性や器用さを過去最高レベルで発揮している。中心人物であるマリウスきゅんはマリウスきゅんで、クリエイターとしての才能とソングライターとしての才能を過去最高に高い次元で爆発させている。そして過去最高にSW愛に満ち溢れた作品でもあって、ソロプロジェクトのLunatic Soulで垣間見せたSW愛をそのままバンドに持ち込んだような形とも言える。僕は今作における【変わる】の意味に対して、「軸がブレた」とか、「オリジナリティが薄れた」とは微塵も思わない。むしろSWの正統なクローンだからこそ実現可能にした、紛れもなく真のオリジナリティだ。
 
Love, Fear & the Time Machine
Love, Fear & the Time Machine
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Riverside
Imports (2015-09-11)
売り上げランキング: 29,288

椎名林檎 『日出処』

Artist 椎名林檎
new_Land+of+the+Rising+Sun+2014

Album 『日出処』
日出処

Tracklist
01. 静かなる逆襲
02. 自由へ道連れ
03. 走れゎナンバー
04. 赤道を越えたら
05. JL005便で
06. ちちんぷいぷい
07. 今
08. いろはにほへと
09. ありきたりな女
10. カーネーション
11. 孤独のあかつき
12. NIPPON
13. ありあまる富

Post-Progressive界の第一人者 ・・・事の発端は、昨年リリースされた赤い公園猛烈リトミック、そしてきのこ帝国フェイクワールドワンダーランドで、今年に入ってからは相対性理論のライブを皮切りに、tricotねごとはじめとした、それらのガールズ・ロックおよび女性ボーカルバンドの楽曲を聴いてもの凄く痛感した事があって、それは椎名林檎という一人のババアもとい一人の女性アーティストの存在が、いかに日本の音楽シーンに多大な影響を与えてきたのかという事で、それに伴って→【なぜ日本におけるPost-Progressiveが女性的なジャンルであるのか?】という疑問にブチ当たった。何を話そう、その疑問に対する答えは、既に約10年以上前の椎名林檎が証明していると言っても過言じゃあなくて、それこそ昨年リリースされたオリジナル・アルバムとしては約5年半ぶりとなる5thアルバム『日出処』は、この椎名林檎が日本におけるPost-Progressive界の第一人者であるという事実を物語るような一枚となっている。
 

音楽の王道』=『黄金の道 ・・・まるで椎名林檎が執り仕切るキャバレーの開演を知らせる合図の如く、トランペットやサックスが織りなすダーティなブラスとジャジーでアダルトな世界観を繰り広げていく#1静かなる逆襲”は、初っ端の「東京なんてのは危険なトコよ」とかいう歌詞をはじめ"らしさ"のあるシニカルな歌詞からして、つい最近きのこ帝国のアンダーグラウンドからメインストリームへの移行を目の当たりにした身には痛く染みるほど、もはやソレに対する皮肉にも聞こえて俄然面白いし、お得意の転調から巻き舌風にオラオラと捲し立てる大サビまでのポスト-な展開力にはぐうの音も出ない。で、まるでRATMばりのUSヘヴィロック然とした縦ノリグルーヴで幕開けを飾り、ハードロック調のアッパーなノリで展開していく#2自由へ道ずれ”は、それこそアルバムのリード・トラックと呼ぶに相応しい、驚くほどストレートでシンプルかつキャッチーな、そして作品の明確なツカミとしてその大胆不敵な存在感を放っている。一転してフルートのエスニックな音色とファンキーなバンド・サウンドが、初期の傑作勝訴ストリップ虚言症”をフラッシュバックさせるワチャワチャしたリズム&グルーヴを刻んでいく#3走れわナンバー”、それに負けじとイヴァン・リンスのボイスとトロンボーンをフューチャーしたジャズナンバーの#4”赤道を越えたら”、また一転してエレクトロな打ち込みと壮麗優美なストリングスがシリアスに交錯する、それこそPost-Progressiveに精通するオルタナチューンの#5JLOO5便”、まるで気分は怪盗ルパン三世あるいはカウボーイビバップな映画音楽顔負けのスケール感溢れるブラスとド派手なストリングス、そしてGrimesSusanne SundførをはじめとしたSSW/海外アート・ポップ勢に負けず劣らずな日本人らしいコピー能力の高さを発揮する林ンゴのオリエンタルなボーカル、極めつけは「テレッテッテッテーテレレテーレレレ…Ringo!!」とかいうアゲアゲなコーラスに草木生える#6”ちちんぷいぷい”、また一転してケルティックなアレンジと壮麗なストリングスを擁したドラマティックなバラードナンバーの#7”今”、若作りに必死なババアの激萌えボーカルとチェンバロの摩訶不思議な音色が織りなす、一種のおとぎ話のようにアンニュイでメルヘンチックな世界へと聴く者を誘い込んで行き、そして転調に次ぐ転調を見せる後半の展開、そのポスト-な展開力をはじめギターの音使いからも、林ンゴのプログレッシブ・ミュージックに対する見識の広さを垣間見る事ができる#8”いろはにほへと”、ピアノ一本で聴かせるシンプルなバラードかと思いきや、間もなく高鳴る心臓の鼓動のように力強くテンポアップして純情的かつ情熱的な歌声を披露する#9”ありきたりな女”、終盤は朝ドラのOPでお馴染みの#10”カーネーション”、この手の打ち込みメインの英詞曲やらせたら菅野よう子の右に出る者は椎名林檎しかいないと思わせる#11”孤独のあかつき”、そして「フエ~フエ~ニッポンハエ~」こと#12”NIPPON”から、児童合唱団による清らかなコーラスを駆使したクラシック/アコースティックなシットリ系バラードの#13”ありあまる富”まで、林ンゴ自ら「もう王道のことしかしたくない」と語るように、 オルタナとしてもプログレとしても普遍的なJ-POPとしても聴けちゃう懐の深さ、アヴァンギャルドに見せかけて『王道』、奇をてらったように見せかけて『王道』、これぞ『王道、まさに王道中の『王道』を行く『王道音楽だ。本来、王道だけの音楽って面白くもなんともないハズなのに、むしろ『王道』のことしかやってないのに、それこそ王道的なことの面白さ、素晴らしさを突き詰めたような一枚と言える。つまりこの『日出処』には、椎名林檎なりの『王道の道、すなわち黄金の道』が描かれている。もはや椎名林檎とかいう女は、『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦『インターステラー』クリストファー・ノーランが映画あるいは漫画という創作場の中で描き出している『王道映画』及び『王道漫画』を、この椎名林檎は音楽の世界で『王道音楽』として表現しようとしているのかもしれない。
 


椎名林檎はプログレ ・・・このアルバム、ほぼ全曲にタイアップが付いている。よってその音に一貫性というのは皆無で、しかしバラバラの楽曲コンセプトを一つにパッケージングしてアルバム『日出処』として一つの物語を完結させてしまう、もはや音楽の枠組みを超えた1人のクリエイターとしての椎名林檎にリスペクト不可避だし、同時に「ババア最高だ・・・ってなる。とは言え、なんだかんだ東京事変で培ったジャジーでアヴァンギャルドなサウンドを聴かせる序盤、そんな中で"自由へ道連れ"のようなベッタベタなロックチューンを2曲に配置する曲順も実に王道的だし、そのアダルトな雰囲気から赤道を越えたら”→JLOO5便”→”ちちんぷいぷい”までの流れは本作のハイライトで、この椎名林檎がなぜオルタティブババアと称されるのか?なぜアヴァンギャルド変態ババアと称されるのか?その所以を垣間見る事ができる。中盤以降は、総勢数十名を超えるストリングスを全面にフューチャーしたプログレ度マシマシな楽曲が続き、その極めつけに【椎名林檎はプログレ】である事を証明するかのような曲で、そして【なぜ日本におけるPost-Progressiveが女性的なジャンルであるのか?】の答えを指し示すかのようないろはにほへと”の存在感ったらなくて、もはや森は生きているの岡田君がブヒりそうな気配すらある名曲だ。しかし、今作から醸し出される謎のプログレ感はそれだけじゃあなくて、それは今作の曲と曲の繋ぎが驚くほど自然(スムーズ)な所で、その音の繋ぎの異常な"こだわり"や細かな気配りが過去最高に研ぎ澄まされた結果、アルバム終盤の朝ドラOPすら例の「ニッポンハエ~」すらもアルバム曲として違和感なく馴染んでいる。というより、アルバムを通して聴いた時の違和感というか異物感を最小限に抑える事を最大限に考慮した曲順が功を奏していて、つまり全13曲まとめて一曲として聴かせる林ンゴの熟した身体に巻かれた一枚の絵巻物、それこそデカパイ(擬乳)もといプログレだ。これはプログレ以外ナニモノでもないのだ。
 

椎名林檎≒ANATHEMA ・・・昨今、かのスティーヴン・ウィルソンを中心とした本場イギリスのPost-Progressive界も、大所帯のストリングスを積極的に曲に組み込む流れがあるのを読者はご存知のはずだが、結論から言ってしまえば→待望の来日公演が決まったANATHEMAの『Distant Satellites』はPost-JPOPであるという俺の解釈を、このJ-POP界の女王すなわち卑弥呼である椎名林檎が身をもって証明してくれたのだ。おいら、一般的なJ-POPの嫌な所って、とりあえずサビでストリングス鳴らしときゃエエやろ的な、全く必然性の感じられないストリングスを平然と使い回すのが本当に嫌で、もはやバカにされているような気分になってしまうのだけど、しかしこの『日出処』の中で展開されるストリングスというのは、(これだけ過剰にストリングスぶっ放してんのにも関わらず)ダメな邦楽にありがちなストリングスの安売りとは正反対のソレで、それこそANATHEMA『Distant Satellites』と同じように必然的かつ必要不可欠な音として存在している。また面白いのは、この『日出処』とかいうタイトルの意味で、一見【日出ずる国のシンボルを背にしたブロンドヘアーの日本人】という皮肉の効いたジャケや「ニッポンハエ~」とかいうネトウヨマーケティングを狙った曲からも日本を指す語だと考えがちだが、林ンゴいわく「陽の光」をイメージして付けられたタイトルとの事で、そんな所からも俄然ANATHEMAの音楽性及び世界観と椎名林檎の親和性を見出す事ができる。

かつお
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中嶋

邦楽界のスティーヴン・ウィルソン ・・・もちろん初期の毒素やヤンデレ感は皆無に近いが、とは言えこれは紛れもなく椎名林檎のアルバムだ。しかし、それ以前にJ-POPのお手本のようなアルバムでもあって、今作の中にはJ-POPの王道を知っている人の素晴らしいメロディとJ-POPの『王道』を知っている人の素晴らしいソングライティング以外の概念は存在しない。それこそ現代の『勝訴ストリップ』、というより漢字とカタカナを組み合わせたタイトルからも分かるように、津野米咲自身が意図的にソレを狙って作った赤い公園猛烈リトミックも、実にバラエティに富んだ傑作アルバムだった。が、この『日出処』は更にその上をいく、 楽曲のコンセプトや和洋ごちゃ混ぜのオリエンタルな林ンゴのボーカルやバックの音使い的にも、まさに本当の意味でバラエティ&バラエティなアルバムと言えるのかもしれない。洋楽は大手女性SSW、かたや邦楽菅野よう子から森は生きているに至るまで、もはや邦楽界のスティーヴン・ウィルソンと呼ぶに相応しい日本人らしい咀嚼能力の高さと器用過ぎる創作技術を、いわゆる椎名林檎ごっこに余念がない昨今のガールズ系バンドに格の違いを見せつけるような、かつ今の日本に対する林ンゴらしい皮肉が込められた隙のない傑作だ。

「お~い佐藤~!椎名林檎ごっこしようぜ~!」
かつお2
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「アホくせぇ」
かつお3

椎名林檎ごっこ ・・・と言えば→まず赤い公園は、2ndアルバム『猛烈リトミック』の楽曲プロデュースをはじめ、遂には津野米咲が亀田のおっさんとバンド組み始めたり、このタイミングでねごとのドラマー澤村小夜子も亀田のおっさんプロデュースのGLAYの新曲に参加したり、一方でtricotは2ndアルバム『A N D』の中でこの 『日出処』にも参加しているex-東京事変のドラマー刄田綴色H ZETT Mことヒイズミマサユ機とコラボしてたり、一方できのこ帝国林ンゴの背中を追うようにしてEMIからメジャーデビューを果たし、そして最新シングルの桜が咲く前にでは名盤『勝訴ストリップ』を手がけた井上うにをエンジニアとして迎え入れ、その楽曲もポスト-椎名林檎を襲名するかのような作風だった。そのようにして、椎名林檎が生まれた1978年から十年後の1988年に自分をはじめ(えっ)、きのこ帝国佐藤千亜妃tricotヒロミ・ヒロヒロが誕生し(定期的にヒロミ・ヒロヒロを推していくスタイル)、その世代が成長して音楽を聴く側から創る側になった結果、どのバンドも何かしらどこかしらの部分で林ンゴからの影響を著しく受けている現状からも、あらためて椎名林檎が当時の音楽シーンに与えた衝撃、その計り知れない大きさを物語っている。全盛期が過ぎ去った今も、これからも椎名林檎常に邦楽界の最先端を行く唯一無二の存在、J-POP界のセックスシンボルすなわちSUNNYであり続けるのだろう。

「お~い津野~!椎名林檎ごっこしようぜ~!」 
かつお4
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っっっg

林檎フェス  ・・・昨年の後半から今年に入ってからも漠然としたままガールズ系バンドの尻を追っかけてきて、しかしその先に一体何があるのか?一体どんなオチがつくのか?と自分でも不安に思っていたけど、結局そのオチは他でもない椎名林檎のデカパイ(擬乳)だった、というわけです。決して今の林ンゴを聴かず嫌いしていたというわけじゃあないけど、いかんせん勝訴ストリップ 信者の自分は今作を積極的に聴こうという気持ちにはなれなくて、確かになぜ今更みたいに思うかもしれないが、むしろ逆に今このタイミングだからこそ意味があったと、上半期の流れを汲んで満を持して聴いたからこそ得ることができた感動なのかも知れないそれくらい、今の自分の耳に驚くほどマッチングする内容だったし、それこそ上半期の流れを総括するかのような、それと同時に、あらためて【音楽即ち引力だという事を確信させるような音楽体験だった。で、この音楽体験から予測できる事があるとすれば、それは近い将来、椎名林檎主宰の林檎フェス開催される可能性で、そのフェスを成功させて初めて椎名林檎は日出ずる処のシンボル、すなわち卑弥呼として邦楽界の頂点に即位し、そして腐海に沈んだ日出ずる国は真のクリエイティブ 国家として復活を遂げるッ!林ンゴよ、今こそ貴様が与えられた使命を全うする時だ...ッ!
 
日出処
日出処
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椎名林檎
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Boom Boom Satellites 『Shine Like a Billion Suns』

Boom Boom Satellites

Album 『Shine Like a Billion Suns』
Shine Like a Billion Suns

Tracklist
01. Shine
02. Only Blood
03. Complicated
05. Vanishing
06. Back In Black
07. The Moth (Attracted to the Flame)
08. Blind Bird
09. Overcome
10. Stain
11. Emergence
 
BBS≒NEXT-ANATHEMA ・・・俺的ラブメイト・ランキング暫定トップのヒロミ・ヒロヒロ擁するtricotを目当てに行った、Boom Boom SatellitesのライブツアーFRONT CHAPTER Vol.4を観たことで、最新作の『Shine Like a Billion Suns』がいかに驚異的で先進的なアルバムだったのかを、心の底から理解することができた。まず何が驚いたって、ライブでもその幕開けに相応しい神秘的な存在感を放っていた、アルバムのオープニングを飾る”Shine”からして、それこそANATHEMAの10thアルバム『Distant Satellites』の表題曲、あるいは7thアルバムの『A Natural Disaster』を彷彿とさせるレディオ・ヘッド流れのUKサウンドにニヤリとさせ、まずここで「ANATHEMAの『Distant Satellites』はPost-JPOPだッ!」という俺の解釈を暗に証明してみせる。そして、先日のライブでも序盤のハイライトを飾った”A Hundred Suns”では、それこそ【テクノ×Djent】の融合という他に類を見ない前代未聞の事をやってのけ、これだけでBBSが只者じゃないバンドだという事を証明する。実際に、先日のライブで聴いても「やっぱこれDjentだわ」って思ったのだけど、あらためて音源で聴いてもDjent以外ナニモノでもない名曲で、しかもこのCynicTexturesを連想させる"ジェント・リーズム"を叩いてるのが福田洋子さんとかいう女性ドラマーってのが更に驚きで、どうせだから今回の縁を機にtricotの次のアルバムに参加してガチのDjentやって欲しいと思っちゃったんだからしょうがなくない?・・・で、続く5曲目の”Vanishing”では、スティーヴン・ウィルソン”Harmony Korine”を彷彿とさせる、空間の響きを意識した轟音的なダイナミズムを展開し、今作で最もヘヴィなリフを主体としたインダストリアル・ロックの”Back In Black”、そして”Only Blood””A Hundred Suns”とともにライブのハイライトを飾った”Blind Bird”では、それこそSWのサイドプロジェクトNo-Man等のPost-Progressive勢をはじめとした、いわゆるPost-Musicに精通する幽玄かつ繊細緻密な展開力を発揮していき、このアルバムのハイライトとしてその絶対的な存在感を誇示する。で、まるでCynicばりの恍惚感溢れる神秘的な輝きを解き放つボーカル曲の”Stain”、その流れを汲んだアルバムの終わりを迎えるに相応しい”Emergence”まで、個々の楽曲で聴かせる部分は勿論のこと、【神秘的な序盤/ハイライトを飾る中盤/恍惚と余韻を残す終盤】という起承転結を効かせた一つの作品としての完成度は、活動休止を余儀なくされた彼らが復活を遂げるまでのエモい物語とオーバードライブするかのような、その圧倒的な音(生命)エネルギーに集約されている。
 

引力、即ち音楽ッ! ・・・ロックバンドとしてのドライブ感かつタイトな側面とエレクトロ使いとしてのシャレオツなグルーヴ&ダンス・ビート感を絶妙なバランスで両立させた、実に巧妙かつポスト-センスフルなオルタナティブ・ミュージックを展開している。このアルバム、とにかく”Post-Progressive”に精通する要素が驚くほど多くて、それこそKscopeに所属してても全くおかしくない内容で、もはやANATHEMAと対バンしても違和感ないくらいだ。しかしこうなってくると、このアルバムのサウンド・コンセプトというか、音のバックグラウンドが気になって気になってしょうがない小宮山。そして何よりも、随所で垣間見せる福田洋子さんのDjent然としたドラム・ビートにド肝を抜かれること請け合いの一枚だ。つまるところ、表向きは(そのサウンド・ステージには違いはあるが)いわゆる"踊らせ系"同士の共演でありながら、裏では"Post-系"同士の共演でもあった、だからBBSのライブにtricotが呼ばれるのは必然的な出来事だったと、このアルバムを聴いたら妙に納得してしまった。そして、そのライブに日本における”Post-Progressive”界の宣教師()である僕が導かれた、というのは果たして偶然だろうか・・・?いや...引力、即ち音楽だッ!

・・・これは余談だけど、あのねごともソニー関連でこのBBSもソニーで、ANATHEMAも過去にソニー傘下のMFNに在籍していたって事を考えると、何か面白い事実が見えてくるんじゃないかって。ちなみにおいら、ねごとがここから更に化けるには、ANATHEMA”Distant Satellites”みたいな徹底してミニマル宇宙な曲が書けるかがカギになると思ってて、今のねごとにはそれが実現可能な高いポテンシャルに満ち溢れている。
 
SHINE LIKE A BILLION SUNS(初回生産限定盤)
ブンブンサテライツ
SMR (2015-02-04)
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tricot 『A N D』

Artist tricot
tricot

Album 『A N D』
A N D

Tracklist
1. Noradrenaline
2. 走れ
3. E
4. 色の無い水槽
5. 神戸ナンバー
6. 消える
7. ぱい~ん (A N D ver.)
8. 食卓
9. 庭
10. CBG
11. QFF
12. Break

ガールズ・ロック界のメタリカ ・・・自分の中で、京都発の変拍子大好きスリーピース・ガールズ・ロックバンドことtricotは、先日のライブツアーのチケットを発券したにも関わらず、音源を事前に予習できなかったり平日だったりというしょーもない理由で結局行くのやめたレベルの関心しかなくて、そもそもパンクというジャンルが好きじゃあないので、これからも一生聴くことはないんだろうと思った矢先、最近ようやく1stアルバムのT H Eと約二年ぶりとなる2ndアルバム『A N D』を聴く時間ができて、しかもこれが思いのほか良くて、「あ~やっぱり無理してでもライブ行っときゃよかった・・・」って後悔させるほどの内容なのだ。まず何が驚いたって→今作のリード・トラック担う”E”の冒頭部分が、あまりにもメタリカ”Master of Puppets”の「デッ デッデッデーンwwwwwwwwwwwww」という、あの世界的に有名な冒頭を彷彿とさせたもんだから、僕は思わず・・・

こんな風に↓↓
ベビメタ大好きおじさん

あるいはこんな風に↓↓
ベビメタ大好きおじさん2

・・・まるで"ベビメタ大好きおじさん"ことラーズ・ウルリッヒばりに高らかにガッツポーズしていた。つまり何を隠そう、メタリカがヘヴィメタルにパンクを持ち込んだ偉大なバンドならば、このtricotは日本のガールズ・ポップに80年代初期スラッシュ・メタルのハードコア・パンク精神を持ち込んだ偉大なバンドなのかもしれない、ということ。
 


デッ デッデッデーン ・・・この『A N D』は、1stアルバムT H Eのように初期衝動的な勢いで最初から最後まで青臭く駆け抜ける作風ではなくて、想像した以上にアレンジ面に力を入れたアルバムとなっていて、これぞヘタウマな中嶋イッキュウの刹那的な爆裂ボーカルをはじめ、キダ モティフォの俄然マスロック/ポストハードコア然としたリフ回し、ヒロミ・ヒロヒロによるガチ恋不可避なベースプレイ、そしてプログレ度マシマシな楽曲展開まで、ありとあらゆる面でバンドの進化と個人の成長が著しい作品となっている。で、オープニングを飾る#1”Noradrenaline”こそ1stアルバムの流れを素直に踏襲した、持ち前のコーラスを駆使した比較的ストレートな疾走感溢れるセカイ系の青春パンクではあるが、次の”走れ”以降はtricot"進化"をまざまざと見せつけられる事になる。この”走れ”は、1stアルバムの中でも一際異彩を放っていたトリコ屈指の名曲”art sick”を彷彿とさせるリヴァーヴィな雰囲気とオルタナティブ/アート・ロック的なアレンジが光る曲で、イントロからヒロミ・ヒロヒロのガチ恋不可避な妖しいベースが冴え渡り、特に2:13秒の不意をつくベースの絶妙な入り以降に繰り返されるミニマルな曲展開は、トリコの魅惑的な作曲センスと"Post-Progressive"に対する意識の高さを伺わせるし、同時に1stアルバムとの明確な違いと着実な進化を確信づけるような一曲と言える。で、例の「デ...デッデッデーンwwwwwwwwww」を合図に、トリコ流のマスパペやってのける”E”では、トリコの純粋な変拍子愛を適度な緊張感とタイトな疾走感を伴って爆発させる。俄然ポストハードコア然としたリフ回しでノリよく展開する”色の無い水槽”相対性理論”品川ナンバー”ならぬ”神戸ナンバー”では、一転してイッキュウの「アタシ超サブカルkawaii」アピールがウザいくらいに光るシティ・ポップ的な一面を垣間見せ、そして再びさり気ないアレンジや予測不能な展開力を発揮する”消える”で前半の流れを締めくくる。

スティーヴン・ウィルソン
スティーヴン・ウィルソン・・・「WOW!! I Like Ikkyu Nakajima. Welcome to Kscope!!」

中嶋イッキュウ
中嶋イッキュウ・・・「Kyaaaaaaa----(照)」 

   ぼく
ゲスニックマガジンの西条・・・「OK. I Like Hiromi Hirohiro」

ヒロミ・ヒロヒロ
ヒロミ・ヒロヒロ・・・「No Thank You」

キダ モティフォ
キダ モティフォ・・・「LOL」

   ぼく
ゲスニックマガジンの西条・・・「LOL」 

おっぱい~ん ・・・ここまではtricotの持ち味を活かした楽曲が続いたが、しかしこの『A N D』がより面白く、トリコの"進化"が顕著に表れるのは後半からで、まずジャズィでエレガントなピアノを大胆に取り入れ全面にフューチャーした”ぱい~ん”は、一瞬スティーヴン・ウィルソン”Luminol”が始まったのかと錯覚するレベルのスリリングなドラミングへと繋がる幕開けから、再びトリコのArt-Rock/Post-Progressiveに対する見識の広さを垣間見せ、そして1stアルバムの”おちゃんせんすぅす”の流れを汲んだ、ジェント/フュージョン然としたオシャンティーなアプローチを効かせた”食卓”までの流れは今作のハイライトで、そのセンスフルなアレンジ力およびユニークな作曲能力の高さを実証している。で、一転して「サンバ!」という掛け声を合図に、中嶋イッキュウがシュールなリリックを激しくまくしたてながら、リズミカルなサウンドにノッてロキノン系キッズがバカになって踊り狂うような”庭”は、それこそ自称"非・踊らせ系"がメジャーな大衆性を帯びたイマドキの踊らせ系に擦り寄った一曲で、一種のヌー・ロック的な曲調は面白いけど、このロキノン系みたいなノリだけは賛否両論ありそう。なんかもう「もうどうにでもなれ」感すごい、エモい。で、一際バッキングのコーラスがカッコイイ”CBG”、雰囲気のあるスロー・バラードかと思ったら後半からピアノを使って軽快にテンポアップする”QFF”、そしてシングルの”Break”まで、後半の曲は新機軸とも取れる流行りのノリやオシャンティーな雰囲気重視の曲が中心で、持ち前の粗暴な勢いは少し抑えられて比較的ゆったりと"音楽的"に"曲"を聴かせにくる。


プログレ界のBABYMETAL ・・・光の戦士こと南條愛乃やBSニュースの堤真由美キャスター、そして中嶋イッキュウみたいなこの手のダメ男にDVされてそうな絵面が似合う、俗にいう"DV映え"する顔に弱い男って僕だけじゃないと思うのだけど(中嶋イッキュウが可愛いという風潮)、その中嶋イッキュウが自身で赤い公園ファン担当と謳っているだけあって、初期の赤い公園をはじめ椎名林檎や初期の凛として時雨ライクな少しシニカルな雰囲気もあるのだけど、それこそ1stアルバムの『T H E』赤い公園の通称をリスペクトしたような、時にシュールに、時にカオティックに、時にエモーショナルに、時にションベン臭い青春パンクみたいな、ちょっとサブカル入った特に珍しくもない音楽性で、なんというか初期の赤い公園を洋楽視点で捉えるとこうなる、みたいな雰囲気すらあった。しかし、メンバーの技量的にも音的にもまだまだ未熟な所が多々あって、執拗に騒がれるようなバンドではなかった。で今作、衝動的な勢いに身を任せて、やりたいことが明確化していた1stアルバムとは違って、何を血迷ったのか結構突拍子もない事やってる、悪く言えば流れもクソもない阪神タイガースの打線ばりにチグハグでまとまりのないアルバムなのだけど、でもそれはドラムが辞めて解散一歩手前の危機的状況を打開するための、バンドの可能性を模索し色々と試行錯誤した結果と思うので、これはこれで納得できるし、むしろ逆に"もがいてる"感あってスゲーエモいです。だから完成度という点では『T H E』の方が上だし、本能的というより理性的、しかし野性的なのは相変わらずだが、持ち前の粗暴な勢いは抑制されてリズム重視の作曲意識が強く、同時にトリコの一つの魅力だった"エモさ"も減ったが、今作での中嶋イッキュウは"ボーカリスト"としての自覚が芽生え始めているし、その表現力は幾倍にも増している。個々の技量的な意味でも楽曲のアレンジ的な意味でもその成長は顕著だ。しかしまだアレンジの単調さは否めないし、あらゆる面で成長段階といった感じだが、”走れ””消える”のような聴き手の意表を突く予測不能な曲展開だったり、おっ”ぱい~ん””QFF”で聴けるようなアート志向の強いピアノの導入だったり、とにかく”Post-Progressive”然とした作曲センスに終始驚かされっぱなしで、正直ここまで次作への期待がかかるバンドは他にないってくらい、クソ面白いアルバムだと思う。もしこの流れでメジャー行ったら絶対に面白くなるというか、むしろトリコみたいなバンドが、逆にこういうバンドこそメジャーに行って化けるパターンを期待したい。同時に海外からも注目を集めるトリコだが、そろそろKerrang!あたりに取り上げられて、ダウンロード・フェス参戦からのKscopeデビューして欲しいと思っちゃったんだからしょうがない。そしてガールズ・バンド初のDjentやって欲しい。というか、これはマジにメタリカのマスパペカバーして欲しい。まぁ、それは冗談として→海外メディア的にはメルトバナナの後釜にしたい所だろうし、今後の海外展開の行末も俄然楽しみでしょうがない。目指すは"プログレ界のBABYMETAL"だ!

   ぼく
ゲスニックマガジンの西条・・・「おいイッキュウ!トリコは”art sick”みたいな曲も書けるのが強みだって事を忘れるんじゃあない!」 

中嶋イッキュウ
中嶋イッキュウ・・・「庭には二羽のニワトリが踊り続けた!庭には二羽のニワトリがずっとそこで踊り続けた!」 

   ぼく
ぼく・・・「庭には二羽ニワトリがいる!庭には二羽ニワトリがいる!」 

超えちゃいけないライン ・・・驚いた。こんな"音楽的"に面白いバンドやったのかと、聴かず嫌いしていた以前までのイメージとのギャップに驚いた。これは昨年に赤い公園の名盤猛烈リトミックを聴いた時と同じ体験、というかデジャヴだった。その猛烈リトミックのレビューの中で→「僕はtricotなんか聴かない(キリッ)」とか発言してからほんの数ヶ月でトリコの虜になってて笑う。それでは、この『A N D』赤い公園『猛烈リトミック』に取って代わるような名盤かと聞かれたら、その答えはノーだ。このアルバムを聴く限り、中嶋イッキュウ赤い公園の1stアルバム公園デビューが相当好きなんだろうという事が伝わってくる。でも次作の猛烈リトミックで露骨に大衆性を帯びたメインストリーム向けのサウンドに舵を切った事で、初期赤い公園からの影響をモロに受けている中嶋イッキュウは一体ナニを思うのだろう。しかし、この『A N D』から漂う"わてメジャー行きたいどす感"は、どちらかと言えば最近メジャーに行ったきのこ帝国フェイクワールドワンダーランドのソレに近くて、そのフェイクワールドワンダーランドと同じでこの『A N D』は別に”売れなきゃいけないアルバム”ではないけど、恐らく次のアルバムでは"売りにくる"と予測できる。名盤『猛烈リトミック』に習って次作で化けるかどうか、その可能性とバンドのポテンシャルは今作で十二分に証明している。そこでようやくDV中嶋津野米咲とタイマン張れるレベルになるんじゃあないか?だからこそ、このトリコには"エモさ"を忘れたロキノン厨もといニワトリのようなバカにはなって欲しくはないんだ。今後、もし”庭”みたいなロキノン厨に媚びを売るような方向に行ったら、こいつら本当に終わりだと思う。前作の”art sick”を取るか今作の”庭”を取るか、はたまた”超えちゃいけないライン”に入るか、、、色々な意味で今後のトリコに目が離せない。

めちゃ後悔だよなぁ

tricot×sukekiyo ・・・おいら、バンドで一番重要なパートってドラムだと思ってる人で、それこそtricotのドラムが辞めたって風のウワサで聞いた時は、リアルに「こいつら終わったな」って思ったのだけど、どうやらこの『A N D』を聴く限りでは余計な心配だった模様。今作、脱退したドラムに代わって五人のドラマーがゲスト参加していて、そのドラマー陣がまた良い仕事してます。相対性理論との仕事でも知られる千住宗臣氏やex-東京事変で現ニートの刄田綴色氏をはじめとした豪華なメンツの中でも、凛として時雨TKがリミックスしたsukekiyo”zephyr”でドラムを叩いてるBoBo氏が#3#7で叩いてるとのことで、まさかこんな所でsukekiyoと繋がるとは思ってなかったし、とにかく人脈および人選が無駄に面白かった。どうせだからsukekiyotricotで対バンして欲しいと思っちゃったんだからしょうがない。それこそ【変態男VS.変態女】みたいなノリで、頼むぜン゛ギョウ。ともあれ、変拍子とかいうどうでもいいようなギミックに頼らず、この『A N D』で純粋に楽曲で勝負しにきた、しかしそこにはまだ未熟な部分や課題も沢山あるが、ドラマー脱退という鬱屈した状況を打開しようとあらゆる方向性と多方への可能性を模索しながら、ガムシャラにもがき苦しみながらも攻めに攻めてきたトリコに僕は盛大な拍手を送りたい。少なくとも今年のガールズ・ロックでは、ねごとVISIONと並んでマストアイテムです。ちなみに、僕はDV中嶋よりもベースのヒロミ・ヒロヒロ派です(ヒロヒロ派ならシングルカップリング曲の”ダイバー”は必聴です)。
 
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