Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

DOOM

℃-ute解散がショック過ぎるので更新停止します

Swallow the Sun 『Songs From The North I, II & III』

Artist Swallow the Sun
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Album 『Songs From The North I, II & III』
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Disc I [Songs From The North I]
Cover

Tracklist 
01. With You Came The Whole Of The World's Tears
02. 10 Silver Bullets
04. Heartstrings Shattering
05. Silhouettes
06. The Memory Of Light
07. Lost & Catatonic
08. From Happiness To Dust

Disc II [Songs From The North II]
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Tracklist
01. The Womb Of Winter
02. The Heart Of A Cold White Land
03. Away
04. Pray For The Winds To Come
05. Songs From The North
06. 66°50´N,28°40´E
07. Autumn Fire
08. Before The Summer Dies

Disc III [Songs From The North III]
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Tracklist
01. The Gathering Of Black Moths
02. 7 Hours Late
03. Empires Of Loneliness
04. Abandoned By The Light
05. The Clouds Prepare For Battle

イェンス・ブーム ・・・スウェーデンのDraconianと並んでメロドゥーム界を牽引するフィンランドのSwallow the Sunも、00年代後半のメタルシーンに突如として巻き起こった【イェンス・ブーム】、そのビッグウェーブに乗ってイェンス・ボグレン【No 実質 Jens!! プロデューサー】に起用した2009年作の4thアルバムNew Moonで、いわゆるメタル界の迷信を説き明かす事に成功したバンドの一つだ。しかし、間もなくイェンスから離れ、再び地元フィンランド人中心の人選でレコーディングされた次作の5thアルバムEmerald Forest And The Blackbirdでは、従来のOpethリスペクトやシンフォブラックなどの他に、アコースティック/フォーク・ミュージックの要素を大胆に取り入れ始めていた。しかし、如何せんイェンス・マジックによって生まれた傑作『New Moon』と比べると、元Nightwishアネット・オルゾンとのフィーチャリング以外これと言って特に見所はなかった気がする。そんな彼らの約三年ぶりとなる6thアルバム『Songs From The North I, II & III』は、何を血迷ったのかCD三枚組トータル約二時間半、軽く映画越えしちゃう超特大ボリュームとなっている。



『Ⅰ』 ・・・まずは一枚目の『Songs From The North I』。幕開けを飾る#1”With You Came The Whole Of The World's Tears”は、まるでX JAPAN”Voiceless Screaming”を彷彿とさせる、寂寥感を煽る80年代のフォーク・ソング顔負けのしみったれたアルペジオから始まり、前作を踏襲したまるでオーロラの如くエメラルドグリーンに、いや瞳のように透き通ったエメラルドブルーに煌めくキーボード、デプレブラック流れのノイズ感というかモダンだが粗暴な轟音ヘヴィネスからはポストブラックとも取れるアプローチを垣間見せ、鬱屈かつ荒涼とした空間が支配する一種のドゥームゲイズが、フィンランドという名の極寒の地に蠢くカオティックな狂気を浮き彫りにする。一枚目のリード・トラックとなる#3”Rooms And Shadows”では、フロントマンであり"ニット帽おにいさん"ことミッコの寂寥感溢れるボーカル・メロディからは、フォーク・ミュージックや北欧民謡の名残を漂わせるし、アウトロのGソロではX JAPAN”THE LAST SONG”に匹敵する泣きメロっぷりを発揮。ex-KATATONIAのノーマン兄弟が加入した事でも知られる、バンドの中心人物であるギタリストJuha RaivioのサイドプロジェクトTrees of Eternityでお馴染みのAleahとフューチャリングした#4”Heartstrings Shattering”、ドイツ出身のSarah Elisabeth Wohlfahrtとフィーチャリングした#6”The Memory Of Light”と#7”Lost & Catatonic”などの女性ボーカルをフューチャーした楽曲は、氷上の女神を司った今作のフェミニンなアートワークを象徴するかのよう。そして、ケルティックな音色とストリングスが優美に氷上を舞い踊るイントロから、雪の結晶の如し繊細なメロディに魅了される”From Happiness To Dust”で、美しくも清らかなエンディングを迎える。

懐メロ ・・・この一枚目は、前作を踏襲したフォーキーなアプローチ、俄然アンビエントな音響空間を意識したより幅広いアレンジが施されたキーボード、LantlôsAlcestをはじめとしたフレンチ産ポスト・ブラック勢からの強い影響下にある轟音ヘヴィネス、そして昭和歌謡を経由したX JAPANばりの歪んだ泣きメロを全面にフューチャーした叙情性と極寒の地の厳しさや孤独感を露わにする暴虐性、その静と動のコントラストを強調した、要するにこれまでのSWSらしいゴシック・ドゥームの王道的な作風となっている。その持ち味とも呼べる静から動への転換がプログレ並にスムーズで、安直に「いつものSWS」とか言いながらも、音の細部には確かな進化を伺わせる。これはフィンランド映画の巨匠アキ・カウリスマキの映画に使われている音楽を聴いて思ったんだが、フィンランド人の音楽的嗜好って日本を含む東アジアの歌謡曲が持つ民謡的で情緒的なメロディに近い、極めて親和性が高いというか、少なくともこの『Ⅰ』の音には、このSWSもそのフィンランド人特有の"懐メロスキー"の継承者である事を証明する、と同時にスオミ人の知性と(気候とは裏腹に)心温かい情念が込められている。

『Ⅱ』 ・・・今時、メタルバンドがアコースティック路線に傾倒する例は決して珍しくない。この手のバンドで代表されるところでは、スウェーデンのKATATONIAやリヴァプールのANATHEMAがそうだ。その時代の流れに取り残されんとばかり、この『Ⅱ』の中でSWSはアコギやピアノ主体のフォーク・ミュージックを展開している。川のせせらぎと共に、真夜中の浜辺でただ独り佇むような悲しみの旋律を奏でるダークなピアノインストの#1”The Womb Of Winter”で幕を開け、アルペジオを駆使した優美でフォーキーなサウンドがフィンランドの雪景色のように純白の心を映し出すような#2”The Heart Of A Cold White Land”KATATONIAのヨナスきゅんや中期ANATHEMAのヴィンセントリスペクトなミッコのボーカル・メロディが俄然フォーキーに聴かせる”Away”、そしてフィンランドのSSWで知られるKaisa Valaとフューチャリングした表題曲の”Songs From The North”では、Kaisa『叙事詩カレワラ』に登場する『大気の処女イルマタル』となってフィン語で優しく歌い上げることで俄然民謡チックに聴かせ、この三部作のハイライトを飾るに相応しい一曲となっている。その後も、Alcestもビックリのリヴァーヴを効かせたデュリーミーな音響空間とトリップ・ホップ的なアレンジを施したオルタナ風のオープニングから、緯度"66°50´N,28°40´E"に位置する北国の幻想的な白夜の静けさを音(インスト)だけで描き出し、An Autumn for Crippled ChildrenHypomanie、そしてCold Body Radiationをはじめとしたダッチ産シューゲイザー・ブラック顔負けの吹雪くような美メロをフューチャーした#7”Autumn Fire”、そしてラストの”Before The Summer Dies”までの後半の流れは、決して「いつものSWS」ではない、言わば新機軸とも呼べるモダンなアプローチや音使いをもって情緒豊かに聴かせる。もはや「こいつらコッチ路線のがいい曲書くんじゃネーか?」ってくらい、モダンな要素と持ち前の懐メロ感を絶妙な具合にクロスオーバーさせている。

『Ⅲ』 ・・・一枚目の『Ⅰ』では「いつものSWS」を、二枚目の『Ⅱ』では「新しいSWS」を、そして三枚組の最終章に当たる三枚目の『Ⅲ』では、メロディを極力排除したフューネラル/デス・ドゥームメタルの王道を展開している。さっきまでの美メロ泣きメロの洪水とは打って変わって、アートワークの下等生物を見下すドSな女神に「もう許して...許してクレメンス・・・」と懺悔不可避な容赦ない破滅音楽っぷりを見せつけ、さっきまでの夢の世界から一転して惨憺たる絶望の淵へと追いやられる。曲の中にも静と動の緩急を織り交ぜるだけでなく、アルバム単位でも音の強弱やギャップを効かせた演出を織り交ぜた謎のスケール感を強調する。

大気の処女イルマタル ・・・やっぱり、この三枚組で最も面白いのは二枚目だ。隣国のスウェーデン人の音楽と比べると、どうしても不器用さが気になってしまうフィンランド人の音楽だが、この二枚目ではフィンランド人なりの器用さを垣間見せている。それこそ、今作のアートワークを冠した女神『大気の処女イルマタル』が身にまとった大気(Atmospheric)を体外に放出するかの如く、とにかく真珠が煌めくような音響空間に対する意識の高さが尋常じゃない。この二枚目で目指した理想像でもある、KATATONIA『Dead End Kings』をアコースティックに再構築したDethroned & Uncrownedとほぼ同じ作風とアレンジだが、Alcestリスペクトな音響/音像をはじめ民謡風のメロディだったり、フィンランド人の根幹にある民族的な土着性とフォーク/アコースティックなサウンドとの相性は抜群で、さすがにヨナスと比較するのはヨナスに失礼かもしれないが、ミッコのボーカル・メロディに関してもイモ臭さは程々によく練られているし、歌い手としてのポテンシャルを過去最高に発揮している。

臨界点 ・・・この手の界隈で比較対象にされるDraconianと同郷のAmorphisイェンス・ボグレンデイビッド・カスティロを起用した、いわゆる【勝利の方程式】を説き明かして今年2015年に勝ちに来た一方で、このSwallow the Sunはこの三枚組の中で、メロドゥームとしての王道路線で対抗すると共に、KATATONIAANATHEMAなどの先人たちにも決して引けを取らない、モダンでアコースティックな路線でも対等に勝負できることを証明した、どの方向性、どのジャンルにも一切の妥協を許さない攻めの姿勢に僕は敬意を表したい。失礼だが、フィンランド人だけでここまでの仕事ができるなんて思ってなかったし、新作が三枚組だと聞いた時は血迷ったなって全く期待してなかったから、いい意味で裏切られた。ある意味、未だ誰も超えたことがなかったスオミ人としての臨界点を超えたと言っていいかもしれない。正直スマンかった。
 
Songs From the North I & II & III
Swallow the Sun
Century Media (2015-11-13)
売り上げランキング: 6,741

Draconian 『Sovran』

Artist Draconian
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Producer David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Sovran』
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Tracklist

01. Heavy Lies The Crown
02. The Wretched Tide
03. Pale Tortured Blue
04. Stellar Tombs
05. No Lonelier Star
06. Dusk Mariner
07. Dishearten
08. Rivers Between Us
09. The Marriage Of Attaris
10. With Love And Defiance

実質プロデューサー ・・・ゴシック・ドゥーム界を代表するスウェーデンのDraconianも、他に漏れず「イェンスと組んだ一作目は名作になる」という"メタル界の迷信"を、いわゆる"実質プロデューサー"現象を4thアルバムTurning Season Withinという傑作の中で既に証明していて、続く2011年作の5thアルバムA Rose for the Apocalypseでは、念願叶ってイェンス・ボグレンを本当の"プロデューサー"として迎え入れる事に成功していた。しかし、まさかそれが紅一点ボーカルLisa Johanssonの遺作になるなんて想像もしてなかった。正直、このドラコニアンのセールス・ポイントと言ったら、男Voのアンダース・ヤコブソンのデス声とリサ・ヨハンソンの美しすぎる歌声が織りなす、この世の儚くも美しい部分と破滅的な醜い部分の絶妙なコントラスト/コンビネーションで、そのバンドのキモであるリサが脱退したというニュースを聞いた時は、それはもうガチで終わったというか、それこそドラコニアン解散すんじゃねーかくらいの衝撃だった。しかし、新しくドラコニアンの記事を書いているということは、つまりはそういうことで、バンドの希望であったリサを失った彼らは、直ぐさま新しい嬢として南アフリカ出身のSSWで知られるHeike Langhansを迎え入れ、目出度く約4年ぶりとなる6thアルバム『Sovran』をリリースした。

【勝ち確】 ・・・今のメタル界隈には、イェンス・ボグレンという優勝間違いなしの名将だけじゃあ飽きたらず、その相棒であるデイビッド・カスティロも同時に指名して、いわゆる【勝利の方程式】を解き明かそうと必死で、このドラコニアンもこのビッグウェーブを追従するようにプロデューサーとしてデイビッド・カスティロ、録音エンジニアとしてイェンス・ボグレンを起用するという、まさしく【勝ち確】なメンツで制作されている。だけあって、今作は【勝ち確】と評する以外ナニモノでもない模様。それはイントロからEarthらUSドローン/ドゥーム界隈を彷彿とさせる#1”Heavy Lies The Crown”のメロドゥーム然とした慟哭不可避のメロディから、その#1とシームレスで繋がる#2”The Wretched Tide”のストリングスによる耽美的なメロディと紅一点ヘイケによるWithin Temptationのシャロン顔負けの慈悲なる歌声を聴けば分かるように、ウリである泣きのメロディ・センス、バンドの中心人物であるヨハン・エリクソンのライティング能力は4年経っても不変で、もはやリサ脱退の影響を微塵も感じさせない、むしろ冒頭の三曲でリサの存在を忘れさせるくらいの凄みがある。

【KATATONIA feat.】 ・・・そして今作のハイライトを飾る#7”Dishearten”は、リズムやアレンジ、リフから曲調まで、いわゆる【勝利の方程式】の基礎である『The Great Cold Distance』以降のKATATONIA、中でも『死の王』”Hypnone”リスペクトな一曲で、あの頃のKATATONIAを知り尽くしているデイビッドだからこそ『説得力』が生まれる曲でもあるし、もうなんか【KATATONIA feat. シャロン】みたいになっててウケる。ともあれ、一度は誰もが妄想したであろうこのコラボを擬似的ながらもやってのけた彼らの度胸に僕は敬意を表したい。その流れで本当にUKバンドCrippled Black Phoenixのスウェーデン人シンガーDaniel Änghedeとフィーチャリングしてしまう#9”Rivers Between Us”では、ダニエルの色気ムンムンな男性ボーカルとヘイケの美声がアンニュイなハーモニーを聴かせる。新ボーカルのヘイケは、前任者リサのようなオペラティックなソプラノ歌唱ではなくて、その声質やメロディの作り方からも往年のシャロン・デン・アデルを意識したようにクリソツで、それにより俄然ゴシック℃マシマシな印象を受けるし、より大衆的というか、往年のWTに通じる今のWTが失ったいわゆる"female fronted"なメインストリーム系のメタルへとバンドを昇華させている。少なくとも、いわゆるドゥーム・メタルやゴシック・メタルとかいうサブジャンル以前に、バンドのメタルとしての能力を限界まで引き出すイェンス・プロデュースによる特性が(良くも悪くも)顕著に出ていた前作よりは、まるで教科書通りと言わんばかり、これまでの"ゴシック/ドゥーム・メタル"として本来のドラコニアンらしさへ回帰した佳作だと。
 
Sovran
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Draconian
Napalm (2015-10-30)
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Paradise Lost 『The Plague Within』

Artist Paradise Lost
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Producer/Mixing/Mastering Jaime Gomez Arellano
Jaime Gomez Arellano

Album 『The Plague Within』
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Tracklist
01. No Hope In Sight
02. Terminal
03. An Eternity Of Lies
04. Punishment Through Time
06. Sacrifice The Flame
07. Victim Of The Past
08. Flesh From Bone
09. Cry Out
10. Return To The Sun

メタル界の迷信 ・・・一度イェンス童貞を捨ててしまうと、その流れのままズルズルと付き合っていくパターンのバンドが多い中で、このParadise Lostは、イェンス・ボグレンはあくまでも通過点に過ぎない存在として捨て去った、勇気あるバンドの一つだ。かのイェンス・ボグレンを初めてプロデューサーに迎えた2009年作の12thアルバムFaith Divides Us - Death Unites Usは、いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を裏付けるような傑作で、引き続きイェンスと交際した次作の13thアルバムTragic Idolは、それこそゴシック・メタルとかドゥーム・メタルとかいうサブジャンルとして以前に、そのバンドの"メタル"としてのトラディショナルで普遍的な要素を限界まで引き出すイェンスのプロデュース能力が極まった結果で、しかしその内容は、皮肉にも「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を裏付ける一枚でもあった。

初期回帰・・・パラロス自身でイェンスとの関係、この"メタル"路線の限界を感じたのかなんて知る由もないけど、イェンスと別れて今作で新たなパートナーとして迎えたのが、スウェーデンのGhostやUKレジェンドのCathedralをはじめ、Altar of PlaguesUlver界隈でも知られるJaime Gomez Arellanoってんだから、あらためて彼らの審美眼、その鋭さに感心するばかりだ。そんなParadise Lostの約三年ぶりとなる14thアルバム『The Plague Within』は、オープニングを飾る#1”No Hope In Sight”を聴けば分かるように、お爺ちゃん顔負けの貫禄ならぬ還暦溢れる"オールド・ニック"=フロントマンニック・ホームズのデス声や、喪に服すような限りなく動き(感情)を抑えたミニマルな暗黒リフ、殺傷能力の高いリフで粗暴な暴虐性を覗かせる#2”Terminal”を挟んで、バロック音楽によるゴシック然としたイントロで始まる#3”An Eternity Of Lies”では、迷走期から脱しゴシック・メタル路線へと回帰した中期の表題作を彷彿とさせるニックの寂寥感溢れる歌声、そして表題作からお馴染みとなったHeather Thompsonによるエモーショナルなコーラスワークまで、つまるところ、ゴシック・メタル特有の荘厳さや粗暴さを併せ持つ初期の王道的なゴシック/デス・メタル路線に回帰している。イェンス期の【メタルとしてのパラダイス・ロスト】に対して漠然としながら「ナニかが足りない」と感じていたが、その"ナニか"の答えが彼女の存在であったり、表情の少ない憂鬱なGリフだったり終末的かつ暗黒的な世界観であり、とにかく今作は音の聴かせ方がゴシック・メタル然としている。

三代目D Soul Brothers ・・・中盤以降は、イェンス期のメタリックなノリを感じる#4”Punishment Through Time”、"遅くて重い"というドゥーム・メタルの基本を押さえた#5”Beneath Broken Earth”、再び荘厳なストリングスを中心に展開する#6”Sacrifice The Flame”、そして今作のハイライトを飾る曲で、中期の名曲”Forever After”ライクなニックの幽玄な歌声が妖しく響き渡る#7”Victim Of The Past”、そして今作のデス・メタル路線回帰の象徴とも言える#8”Flesh From Bone”では、最新作の『Grand Morbid Funeral』Black Breathばりの重戦車型デスロール化したBloodbathの影響を強く感じさせる。このデス・メタル路線回帰への伏線というか予兆は事前にあって、それはBloodbath三代目Death Soul Brothersのフロントマンに任命された時、つまり認知症のお爺ちゃん=”オールド・ニック”Bloodbath聴かせたらデス声に目覚めてしまったのが全ての元凶だ。

真のパラロス ・・・オーケストラみたく決して大仰ではない、二種類の弦楽器による整然としたストリングスも、今作のゴシック・メタル感を著しく強めている。そのストリングスや女性ボーカルなどの余計な音を極力排除して、バンドの自力だけでどこまで表現できるかを探求していくイェンスのプロデュース・スタイルとは違って、今作のプロデューサーであるJaime Gomez Arellanoは、【メタルとしてのパラダイス・ロスト】ではなくドゥーム/ゴシック/デス・メタルなどの【サブジャンルとしてのパラダイス・ロスト】こそ真のパラロスであると証明するかのような、全ての面において往年のパラダイス・ロストを取り戻すことに成功している。一時期の迷走期を経て、イェンスとの作品で自身の中にある"メタル"と向き合ったことで、本来の姿と本来の立ち位置が明確化したのかもしれない。その結果が本作であり、イェンスはそういった迷走したベテランの進路調整役としての能力に長けているのかも。言うなれば、イェンスはエンジニア界のドーピング人間といった所か。そんな本作品は、あらゆる可能性を経て、一周回って本来の姿に立ち返ったような、これぞパラロスとしか他に例えようがない復活作であると同時に集大成でもある、謎のロマンに満ち溢れた文句なしの力作だ。
 
Plague Within
Plague Within
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Paradise Lost
Century Media (2015-06-02)
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Pallbearer 『Foundations of Burden』

Artist Pallbearer
Pallbearer

Album 『Foundations of Burden』
悪魔城ドラキュラ

Tracklist
01. Worlds Apart
02. Foundations
03. Watcher In The Dark
04. The Ghost I Used To Be
05. Ashes
06. Vanished

-これは、今年のトレンドはホモだという事を改めて確信させる出来事だった-

今年のトレンドはホモ ・・・今年はCynicポール・マスヴィダルOpethミカエル・オーカーフェルトが共に”ホモ”をカミングアウトしてメタル界隈に衝撃を与えた事が記憶に新しいが、ご存知のとおり、その”ホモセクシャル”の流れは昨年の音楽シーンを最も賑わせたDEAFHEAVENサンベイザーから始まったと言っても過言じゃあない。昨年、2013年のヘヴィ・ミュージックシーンで最もブレイクしたアーティストがDEAFHEAVENなら、今年のネクストブレイクはコイツラだ!と流行に敏感なキッズの間で噂されているのが、2012年にProfound Loreから鮮烈なデビューを飾り、一躍アンダーグラウンド・ミュージック界のホープとなったUSはリトルロック出身の4人組、その名もPallbearerだ。そのポールベアラーの約二年ぶりの2ndアルバム『Foundations of Burden』は、Agalloch,Neurosis,Amenra,Swansを手がけた重鎮ビリー・アンダーソンをプロデューサーに迎えている。

オジェー・オジェボーン ・・・アンダーグラウンドシーンに衝撃を与えたデビュー作のSorrow and Extinctionは、それこそヘヴィ・ミュージック界の重鎮Earth界隈の一員だという事を強烈に印象づける、荒涼感と寂寥感を伴った荒廃した世界から奏でるBlack Sabbath直系の土葬クサい古典的なドゥームだった。で、この2ndアルバム『Foundations of Burden』は、確かに一曲目の”Worlds Apart”を聴く限りでは、大地を揺るがすズッシリ重厚なヘヴィネスの舞台で呪術を唱えるかのようなオジーリスペクトなボーカル、持ち味であるスカンジナビアの風を背に受けた北風小僧の寒太郎が奏でる哀愁のメロディ、その幽玄かつ叙情的なメロディは俄然スカンジナビアン然とした妖艶な色気を身にまとい、そしてエピカルなギター・ソロには「オヤジ、焼酎一杯...」と語り始めたくなる激シブな男の哀愁を背中から醸し出している。一言で言っちゃえば→前作の延長線上にある雄大なトラディショナル・ドゥームって感じなんだけど、まるで天国(メイド・イン・ヘブン)への階段を登るかのような、そのまま天に召されそうな前作流れのフューネラリズムは少し後退し、よりクラシックスタイルのヘヴィロック的というか、初期Mastodon的ですらあるスラッジーなリフ回しを主体に、リフからリフへと積極的に”動き”のあるヘヴィなリフを持ち込んでいる。しかし、僕たちが本当に驚かされるのは次の#2”Foundations”だろう。

-時は20世紀末期-

デスメタラー
デスメタラー「ゴシックメタルが堕ちたか...」

ブラックメタラー
ブラックメタラー「フフフ...奴は我らメタル四天王の中で最弱なメタルよ・・・」

ドゥームメタラー
ドゥームメタラー「メタル界の面汚しめぇ!」

(この数年後、まさかあんな事になるとはこの時は誰も知る由もなかった...)


オシャンティ ・・・そもそも、このアルバムはDEAFHEAVEN『サンベイザー』を抜きに語れないわけです。事の発端となったのは、もはやスラッジの如く重厚なヘヴィネスが雪崩のように押し寄せる#2”Foundations”の中盤以降の展開で、それこそ「デフヘヴンの『サンベイザー』かな?」って「シューゲイザーかな?」ってレベルのラヴリィ♥&エモーショナルな静寂パートを耳にした僕は→「アヒ~ン...」と呟きながら無事にメイド・イン・デフヘヴンに到達し、ほぼイキかけたまま昇天してしまったのである。言うなれば【荒廃した世界に逞しく咲き誇る一輪の花】感...、その”Post”な音使いに...いや、これはもう”ファッキンピッチ!”な音使いと言ったほうが正しいか、その”ポスト・ドゥーム”あるいは”インディ・ドゥーム”と称すべき伝統的なトラディショナリズムと現代的なモダニズムがクロスオーバーした、まさに新時代のドゥーム・メタルを目の当たりにして唖然とした僕は→「My Heart is アヒ~ン...」としか言葉が出なかった。とにかく、空間能力の高さが完全に”Post-系”に匹敵するソレで、この”Post-感”を古典的なドゥームへと難なく取り込む事ができたのは、ひとえに”若さゆえ”の柔軟な発想からなのかもしれない。しかし、これによって懐古主義者から「メタル界最後の砦であるドゥーム界隈に”オシャンティ”な音を持ち込んだ異端者」と蔑まれること不可避だが、その”オシャンティなドゥーム”というメタル界の絶対的なオキテを破り、それこそ”禁断の地”をへと辿り着いてしまった彼らの大いなる勇気とその覚悟に僕は敬意を表したい。

あざと過ぎる熊 ・・・とにかく、前作と比べものにならないくらい”メロディ”の充実っぷりが凄くて、それと同時にドラマティックな展開力、それに伴うソングライティングの向上が顕著に見受けられる。その充実感がよく表れている#3”Watcher In The Dark”のギターが奏でる叙情性、そのメロディセンスに只々驚かされる。そしてキーボードの耽美なメロディを駆使した#4”The Ghost I Used To Be”からも新機軸すなわち”Post-”の匂いを感じさせ、トドメは懐古主義者の老害メタラーをSATSUGAIするかのような、まるで子守唄のように夢心地なチルいアンビエントナンバーの#5”Ashes”で、もはや「あざといポールベアラーあざとい」と男泣きするくらいエモーショナルメロディとKATATONIAのBサイドばりに淡く儚いアレンジ...これには”男のフェミニズム”を感じざるを得なかった。そして、本作のハイライトを飾るような”ポスト”なセンスを際立たせた耽美なメロディとドゥーム然としたヘヴィネスが地鳴りの如く共鳴するラストの#6”Vanished”まで、まるで宗教テイストに溢れた亜空間の中で黒魔術を唱えるかのような、より大作志向を強めた空前のスケールで贈る男泣き不可避の新世代ドゥームメタル、その未来を着実に切り拓いている。

-時は21世紀初頭-

ヴィンセント・カヴァナー
??「遂にゴシックメタルとドゥームメタルとデスメタルが堕ちたか...(epicッ!!)」

ミカエル・オーカーフェルト
??「遂にプログレッシブ・デスメタルが堕ちたか...(アーアーアーアーアー♪)」

ポール・マスヴィダル
??「遂にテクニカル・デスメタルが堕ちたか...(ウッフン♥)」

ジョージ・クラーク
??「遂にブラックメタルが堕ちたか...(ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!)」

キング・ベアラー
??「ククク..遂にトラディショナル・ドゥームが我らの手に堕ちたか(暗黒微笑)」

ドゥームリバイバル ・・・中には「こいつらピッチフォークにナニ吹きこまれたんだ?」って思う人もいるかもしれない。しかし、あの前作すら凌駕する怒涛のリフ地獄をはじめ、著しく洗練された叙情的なメロディ、予測不可能な展開力、そして何といっても”Post-系”に対する意識の高さを前にすれば、伝統至上主義のメタラーが何を言おと戯言でしかない。全てにおいて”洗練”されたという点では、デフヘヴンの1st『ユダ王国への道』から2nd『サンベイザー』への流れを見事に踏襲している。典型的なポストブラックの傑作だったデフヘヴンの1stと典型的なドゥームだったポールベアラーの1st、そしてピッチフォークのプロデュースもとい”Post-系”に大きく歩み寄ることで大化けしたデフヘヴンの2ndと、それと同じように数多くの”Post-勢”を手がけてきたビリー・アンダーセン”Post-”なプロデュース・センスを取り込むことで大化したポールベアラーの2ndは、全く同じベクトルで語られるべき作品だ。その化けっぷり、楽曲のオリジナリティをはじめとした(1st→2ndまでの)完成度の振り幅はデッへより断然上だ。とにかく、前作からの音使いに対する大きな”意識変化”に著しいステップアップを感じさせ、それと同時にクラシックなドゥーム・メタルと”Post-系”の親和性、その高さを見事に証明してみせた。それこそ、DEAFHEAVENがシューゲイザーとブラックメタルをクロスオーバーさせたように、オヤジ臭い伝統的なドゥームメタルと今流行の”ポストミュージック”をクロスオーバーさせる事に成功した、もはやメタル界における歴史的な一枚と言っても決して過言じゃあない。つまり、ブラックメタルとかいう孤高のジャンルに”大衆性”を見い出すことに成功した革命家がDEAFHEAVEN『サンベイザー』だとすると、ドゥームメタルとかいうBlack Sabbathだけのジャンルに再び大衆の目を惹き寄せる一つのキッカケを作り出した、それこそ”ドゥームリバイバル”を予感させるドゥーム界の革命児がこのPallbearerであり、この歴史的名盤『Foundations of Burden』なのである。また、レトロな横スクロールアクションゲームあるいはファミコン版『悪魔城ドラキュラ』のパッケージをオマージュしたかのようなアートワークも俄然名作らしさを印象づける。

40 Watt Sun ・・・もの事とは至ってシンプルな話で→要は今作の音に潜む”Post-”なセンスを見抜けるか、そうでないかの世界で、個人的には40 Watt Sunのデビュー作に匹敵するドゥームアルバムだった。当然、それは40 Watt SunPallbearerに共通する叙情的な部分に確かな親和性を見い出せたからであって、少なくとも今年、ピッチフォークをはじめ世界的に高く評価されるメタルアルバムの一つであることには違いない。勿論、昨年にデフヘヴンの『サンベイザー』を年間BESTに挙げていたファッション・サブカル系男子は、今年はポールベアラーを挙げてドヤ顔すること請け合いだ。

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Pallbearer
Profound Lore (2014-08-19)
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Lycus 『Tempest』 レビュー

Artist Lycus
Lycus

Album 『Tempest』
Tempest

Track List
01. Coma Burn
02. Engravings
03. Tempest

Deafheavenのメンバー率いる、USはオークランド出身の四人組、Lycusの1stフル『Tempest』が、全3曲トータル約42分という、わりとガチなフューネラル・ドゥームやってる件について。わかりやすい話→「なに?元Deafheavenのメンバーが在籍してるって?それなら聴いて損はないっしょ~」と思い、さっそく聴いてみた結果→「死・・・死・・・死・・・」と嘆きながらひたすら重く、それこそ『地獄でなぜ悪い』と逆に開き直るかのような、とてつもない”負のオーラ”を身にまとったお葬式ミュージックなんですがそれは・・・。

 今やアップル(iPhone 5s)の広告塔として活躍するほどの売れっ子ファッションモンスター(ブラック)となった本家デフヘヴン速くてLOVEい音楽性とは対極にある遅くてDEATHい音楽性で、基本的にはいわゆるフューネラル/デス・ドゥームと呼ばれるジャンル、その比較的オーソドックスなスタイルを元にしているんだけど、そんな中、本家デフヘヴンとの類似点を少し強引に挙げるとすれば、それは間違いなくデプレッシブ成分配合のメロディだろう。例えば、#2の6:30秒から聴かせるような、全てが滅び荒廃した世界に咲く一輪の花、もしくは安息地という名の静寂パートなんかはモロにデフヘヴンのソレだし、他にもポスト-〇〇直系のアンビエンス空間や重厚かつ荘厳なストリングスを用いたりと、低音/高音デスと神々しくも幽玄な聖歌風低音ボイスが織りなす、絶望的でありながらもどこか幻想的なこの死界の中で、その確かなメロディセンスを発揮している。特に、本作の目玉でありタイトルトラックの大作”Tempest”は、ブラストを使ったブラックメタル然とした場面からの仄かにスウィーティなシューゲ風メロディ、そして後半10分間のダークアンビエントっぷりが聴きどころ。

 そんなわけで→【シューゲ×ハードコアの代表格がDeafheavenならば、元メンバー率いるこのLycus【ドゥーム×シューゲ】という新たなジャンルを確立している・・・と言いたいところだが、実はそういった攻めた音楽性ではなくて、あくまでも王道的なフューネラル/ドゥームといった感じで(最近だとPallbearerLoss)、つまり【ドゥーム×シューゲ】が聴きたけりゃ40 Watt Sunを聴いて、どうぞ。
 
Tempest
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