Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Djent

BABYMETAL 『METAL RESISTANCE』

Artist BABYMETAL
new_CnsZZ-KUIAAm1zw

Album 『METAL RESISTANCE』
Metal-Resistance-artwork

Tracklist
01. Road of Resistance
02. KARATE
03. あわだまフィーバー
04. ヤバッ!
05. Amore-蒼星-
06. META!メタ太郎
07. シンコペーション
08. GJ!
09. Sis.Anger
10. NO RAIN, NO RAINBOW
11. Tales of The Destinies
12. THE ONE

久しくベビメタを追ってなかった僕が、偶然話題になっていたYUI-METALの激痩せ画像を目にした時は、それはそれは「もうYUIちゃんを解放してやれよ・・・いい加減に朝ドラヒロイン路線に進ませてやれよ・・・」と切実に思った次第で、そんなBABYMETALといえば→2013年のサマソニ大阪のライブで「いま最も勢いのあるアイドル」だと確信させる圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、そして2014年には「デビュー・アルバムにして最高傑作」と名高いBABYMETALをドロップした。それと同時に、極東の島国を震源地に各所で「ベビメタはメタルorメタルじゃない論争」を巻き起こし、またたく間にその名を世界中に轟かせた。それなのに今のベビメタときたら、まるで誰にでも股を開くクソビッチのように海外アーティストとのチェキ会ならぬ媚を売っているときた。確かに、いわゆる「アイドル」っつー職業自体、キモヲタと握手するか業界のお偉いさんのナニと握手するかの違いでしかなくて、ところでおいら、この手の「私たち有名人と仲いいですよ、認められてますよ」と半ば脅しに近いような、全方位に媚を売っていくスタイルの事を「クソビッチ型マーケティング」と呼んでて、シンプルな話、国民的アイドルのももクロが日本で展開してきたその「クソビッチ型マーケティング」をそのまま海外で展開して成功した例がこのベビメタだ。その誰にでも股を開く姿は、まさしくイエローキャブさながらだ。おいら、この手の「クソビッチ型マーケティング」って生理的に受け付けなくて、しかし今のベビメタは全盛期のももクロ以上に度が過ぎる下賤なイエローキャブっぷりで、ただただ嫌悪感しか沸かなかった。しかしプロデューサーのコバメタルは、なぜここまでマーケティングに力を入れ始めたのか?ふと僕は考えた。真っ先に思いついたのが、デビュー・アルバムにして最高傑作のBABYMETALを超える「曲が書けなくなった」、あるいは「書くことを放棄」したんじゃあないかって。それなら、今のベビメタが執拗に海外アーティストに認められてますよアピールに勤しむのにも合点がいく。まぁ、こうやってディスるにしても、約二年ぶりに発表された2ndアルバム『METAL RESISTANCE』を聴いてからでも決して遅くはないんじゃあないか?ということで、全世界同時発売となる4月1日=FOX DAYに買って聴いてみた。

『ベビメタ軍VS.アグネス(ラム)軍』
kannsei

この『METAL RESISTANCE』というアルバムタイトルを司る”Road of Resistance”から、極東の島国を舞台に約300人のロリコンモッシュメイト率いるベビメタ軍と国内最大のアンチベビメタ勢力であり俺の感性率いる約一万のアグネス(ラム)軍が睨み合い、両軍の怒号や咆哮が激しく飛び交う中、「さあ、時は来た」とばかり法螺を吹き上げる宣戦布告の合図、そしてSU-MOA-YUI-METALの三姉妹の『母』=『マザー』であり、映画『300(スリーハンドレッド)』のレオニダス王の『王妃』すなわち『クイーン』、あるいは今最も面白い海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のサーセイ役ことレナ・ヘディの顔芸を合図に、この「ロリコンの威信」もとい「メタルの威信」を賭けた戦いの火蓋は切って落とされる。この曲は、まずベビメタ軍の援軍として、BPM最大で颯爽と戦場に現れたDragonForceのイケメンことハーマン・リサムによる中華風ツインギター・メロディ、ついつい合間にビール瓶を片手に一気飲みしたくなるGソロがミョ~ンミョ~ンと炸裂する典型的なメロスピなのだが、そもそも前作の『BABYMETAL』が世界で高く評価された理由及び「ベビメタの面白さ」って、海外のメタルバンドとは一線を画したJ-POPと国産ラウドロックを融合させたミクスチャー、その他にはないユニークさだったと考えているのだけど、しかしこの曲に限っては露骨に欧州メタルというかドラフォリスペクトな曲だ。・・・戦況は、俺の感性率いるアグネス(ラム)軍の一万の矢にも勝る先制dis攻撃により、ベビメタ軍を一瞬にして壊滅状態に追いやる。しかし瀕死状態のベビメタ軍は、スパルタ王と王妃の娘であり随一の戦乙女であるSU-METALによるウォーオーオーオー!ウォーオーオーオー!という雄叫び(シンガロング)からのイケメンGソロによって再びモッシュメイトを鼓舞し、そして命が続く限り 決して 背を向けたりはしないという最後まで諦めないスパルタの不屈の精神と戦う『勇気』が込められた『魂』のリリックが、北欧神話の『神』オーディンを深い眠りから呼び覚まし、北欧イエテボリ・スタイル直系の殺傷リフが古代の聖剣『ヴァルハラソード』へとその姿を変え、右手にその聖剣を授かりし戦乙女は、アグネス(ラム)軍の屈強な兵士たちをバッタバッタとなぎ倒し、そして狂喜乱舞する。戦場に取り残されたSUMETALYUIMETALMOAMETALの三人は、レジスタンス!レジスタンス!ジャスティス!フォーエバー!と戦場の中心で高らかにメタル愛を叫び、『マザー』であるヘナ・レディとの約束と使命を果たす・・・。
 

ベビメタが2ndアルバムをリリースするとの情報を得た僕は、この”KARATE”トレイラーで初めて「セイヤ!ソイヤ!」という掛け声を耳にした時は「ベビメタ終わってた...」と呟いた。まず曲が書けていないという致命的な要素から、まるで(空手が正式種目として採用された)2020年の東京五輪を見据えた【五輪マーケティング】安倍マリオ率いる日本政府主導のクールジャパンに陽動されて【クソビッチ型マーケティング】せざるを得ない状況にまでベビメタ軍は追い詰められていた。それこそ「メタルレジスタンス」が政府の傀儡化するなんて最高の皮肉だな!って。しかし、フル音源で聴いてみたらそのネガティヴなイメージが一転した。欧州メタル、ドラフォ然とした一曲目とは打って変わって、「海外」は「海外」でもメタルの暗黒期と呼ばれた90年代のUSメタルバンドが得意とするミドル・テンポの曲調で、全世界で初めて【アイドル×Djent】をやってのけた前作の”悪夢の輪舞曲”みたいなPeripheryライクなイマドキのDjentではなく、そのDjentの生みの親として知られるMeshuggahリスペクトな鬼グルーヴと重厚なモダン・ヘヴィネス主体で展開していく。この手の「捨て曲」になりがちな曲を、アリーナ級それこそ東京ドーム級のライブ会場に響き渡るかのような、それこそアミューズの先輩であるPerfumeリスペクトなアトモスフェリックな空間/残響表現を意識したアレンジで化かしている。この曲をアルバムのリード曲としてMVカット&二曲目に持ってきたのは、もはや今のベビメタは日本ではなく「海外」が主戦場であること・・・いや、「ガラパゴス」という言葉を隠れ蓑に世界と「戦う」ことから逃げ続けている企業や国内アーティストに向けて、セイヤ!ソイヤ!と日本人としての誇りを胸に世界で戦っていく、そんな五輪選手ばりに強い『意志』『覚悟』を見せつけるような曲でもあるし、同時にメタル暗黒期と呼ばれた時代に一世を風靡したグランジやモダン・ヘヴィネスを意図的に排除してきた日本の某メタル雑誌を皮肉るかのような曲でもある。正直、深刻な「ライティング不足」により話題性や【五輪マーケティング】にぶん投げする路線にしか見えなくて「ベビメタ終わってた」とドヤ顔でdisったら違った、むしろ「曲が書け過ぎ」てて笑った。

「ベビメタのピーク」っていつ?と聞かれたら、誰もが「ギミチョコのMVがyoutubeにアップされた時」と答えるのが容易に想像できるくらい、正直あれが世界中のベビメタ人気に火をつけた感あるし、正直あれがなかったらベビメタの現状はありえなかっただろうし、事実それ以降のベビメタは誰も手が届かない『メイド・イン・ヘブン』ばりの勢いとスピードで世界中を駆け抜けていったのは、既に読者もご存じのことだろう。その同作曲者である上田剛士氏が手がけたガムソングこと”あわだまフィーバー”は、その”ギミチョコ”を踏襲したサイバーパンク/インダストリアルな曲調で、結局のところ「ギミチョコというピーク」を超えられない二番煎じソングかと思いきや...バッキングのクリーン・トーンのギター・フレーズをはじめ、次作でベビメタがポスト・ブラック化する事を示唆するかの如し、それこそ今をトキメクDEAFHEAVENばりのノイジーなアウトロを耳にした時は「ン゛ン゛ッ゛!?」って変な声が漏れた。”KARATE”と同様、細部にまで”こだわり”が行き渡った音のアレンジやメロディ/フレーズにここでも驚かされ、それは依然曲が書けているという一つの大きな根拠にも繋がっている。

一転して、いい意味で小学校低学年レベルのkawaii歌詞やクラップを取り入れた、ついついサイリウムを振り回しながら振りコピ不可避なファンキーでファニーなノリで展開する”ヤバッ!”は、まるで中年のオッサンがデリヘル呼んでホテルで嬢と初対面した時→「なんか(パネルと)違う なんか(パネルと)違う」みたいな刹那的かつ切実なキモチを謳ったサビも然ることながら、ピコリーモ風のアレンジや極悪なブレイクダウンを織り交ぜながら展開するパリピチューンで、特にラストの「でもね 違うー!」と連呼しまくるセンセーショナルな怒涛の展開力には脳天ブチヌカれること必須。

アンチ・ベビメタ軍の指揮官である僕がベビメタを認めるライン、それは過去にベビメタを初めて記事にした時既に書き記していて、それこそメタル界屈指のエンジニアとして知られるイェンス・ボグレンBABYMETALの邂逅だ。その時はきたのが今回の『METAL RESISTANCE』であり、この”アモーレ長友”もとい”Amore-蒼星-”だ。そのタイトルから想像できるように、この曲は前作の”紅月-アカツキ-”と対になる曲で、”紅月”といえばX JAPANをオマージュした疾走ナンバーだが、この”アモーレ長友”もメロスピの元祖であるHalloweenの名曲”Eagle Fly Free”をはじめ、X JAPAN”Silent Jealousy””Dahlia”を筆頭とした疾走曲の系譜を受け継ぐ曲と言える。アモーレ感あふれる叙情詩的な歌詞の中に「24時間走り続ける」、それを有言実行してきた今のベビメタを示唆する前向きな歌詞を、また一段と”ボーカリスト”としての才能を開花させた感のあるSU-METALの歌声、その存在感にひれ伏す曲だ。SU-METALがここまで素直なボーカル・メロディを歌うことって恐らく初めてだと思うし、特に中盤の見せ場である「もしも君を~」のパートは、彼女のベビメタ史上最も美しく自然体の「いい声」が録音されている。当然、彼女の「いい声」の魅力を最大限に引き出した功労者であり、SU-METALを一人のボーカリストとして、大人だから子供だからって、男だから女だからって、イエローだからって関係ない、SU-METALを「一人のメタルボーカリスト」としてリスペクトした、何よりも「神バンドのフロントマン」としてフォーカスしたイェンス・ボグレンのエンジニア技術に、そして彼の黄金のリベラリズム」を感じ取った僕は涙で明日が見えなくなった。国内エンジニアがミックスした他の楽曲と比較しても一目瞭然で、単純に場数と経験の差が音に現れている。それはSU-METALの歌声と神バンドの絶妙な距離感だったり、声をイタズラに加工せずまさに素材の良さを活かすような、とにかく歌い手の『声』を第一に考えたイェンス・ミックスの特徴が最大限に活かされている。そういった意味でも、この曲はSU-METALが生まれて初めて「VOCALIST」として認められた歴史的瞬間と言えるのかもしれない。

あらためてBABYMETALイェンス・ボグレンが、SU-METALイェンス・ボグレンが邂逅した歴史的事実に猛烈な感動を憶えながらも、僕はもう一つ忘れてはならない「ある事実」に気がついた。これは実質的に【BABYMETAL(≒X JAPAN)×イェンス・ボグレン=『夢』】なんじゃあないか、ということ。今年に入って、なぜX JAPANが日本人初となるウェンブリー・アリーナ公演のライブを急遽キャンセルし、本来は3.11にリリースされるハズだった新作までお流れする事になったのか?なぜ日本人初のウェンブリー・アリーナ公演を実現させるハズだったX JAPANを差し置いて、言わばその代役としてこのBABYMETALが選ばれたのか?なぜこのタイミングでベビメタがアルバムをリリースしたのか?それはある意味、いや実質的にYOSHIKIがベビメタをX JAPANの後継者として正式に認めたことを意味していて、その真実に気づいた僕は、なぜベビメタがBABYMETAL JAPANを襲名したのか、その意味を心の底から『理解』することができた。つまり、日本人初のウェンブリー公演を行ったのがBABYMETAL JAPANであればこそ、それは実質的にX JAPANが演った事と同意で、むしろそうじゃなきゃX JAPANとコルセットクソ野郎ことYOSHIKIのメンツは保たれないし、そうじゃなきゃまたYOSHIKIがヘラって「I leave X JAPAN...」とか言い出しかねない。まぁ、それはともかくとして、この曲はイェンス・ボグレン×実質X JAPANという僕が28年間生きてきた中で『夢』にまで見たコラボを擬似的に、いや奇跡的に実現させている。
 
nakamoto

まるで「ベビメタのマーチ」と言わんばかりの#6”META!メタ太郎”は、高校野球の応援歌みたいな某行進曲を北欧ヴァイキングメタル的な民謡風アレンジで仕立てあげた、これまでのガチメタった流れとは一転してベビメタらしい”kawaii”を押し出した、今作の中で唯一ソングライティングよりもユーモラスを優先した曲だ。再びイントロからSOILWORKばりのブラストと叙情的なギターで疾走する#7”シンコペーション”は、まるでアニメ『バジリスク』の神OPでお馴染みの陰陽座の神曲”甲賀忍法帖”をオマージュしたかのような、それこそSU-METALがニャンニャン♪と黒猫のように凛々しくも妖艶に歌い上げるファストナンバーで、それと同時に高鳴るビート 燃えるほど 震えて ほどけないというアツい歌詞からは、ジョジョ一部の主人公ジョナサン・ジョースターの名言を彷彿とさせ、そして曲の方でも隙あらば間奏でPeriphery型のハーマン・リーもといジェント・リーなパートをぶっ込んでくるという隙のなさ。

一般ピープルの世界では、いわゆる「GJ!」と言ったら「Good Job!」の略が定説だが、しかしこの鋼鉄世界の「GJ!」は欧州の破壊神「GoJira」「GJ!」であることを、まるで伝説の巨大クジラ『白鯨』が起こす巨大津波の衝撃波のような「バンッバンッバンッ!!」から「キュルルゥゥ!!」とかいう白鯨がモリにぶっ刺された時の鳴き声オマージュのイントロからGojiraリスペクトな#8”GJ!”、某レジェンドの”St. Anger”をオマージュした#9”Sis.Anger”は、それこそブルデス然とした暴虐性とYUI-MOAが持つ"kawaii"をフューチャーしたギャップ萌えがハンパない曲で、正直いまのGojiraよりもGojiraやってるエクストリーム・メタルナンバー。

『ぼくマシュー・マコノヒー』
new_スクリーンショット (11)
↓↓↓
「セイヤ!ソイヤ!」
masyu
↓↓↓
「東京ドーム2デイズい゛ぎま゛ずぅ゛...」
new_スクリーンショット (16) 

前作の不満点として槍玉に挙げられたのは、他ならぬバラードの不在で、ベビメタが「本物のメタルバンド」を名乗るにはX JAPAN”Forever Love””Endless Rain”に匹敵するメタルバラードの存在が不可欠だった。これが「ベビメタなりのラストソング」とでも言うのか、それはX JAPAN”The Last Song”の歌詞にある終わらない雨すなわち”Endless Rain”を、この”NO RAIN, NO RAINBOW”の中で止まない雨という歌詞を擁してXに対するリスペクト&オマージュを実行している。それこそ”Endless Rain”を彷彿とさせるピアノとストリングスが織りなす美旋律から始まり、まるで出山ホームオブハート利三ことTOSHIの魂が乗り移ったかのような、それこそSU-METAL中元ホームオブハートすず香となって魂を込めて歌い上げ、そして今は亡きPATAHIDEの魂が神バンドに乗り移ったかのような”Say Anything”をオマージュしたGソロ、そしてクライマックスを飾る”Tears”をオマージュしたGソロまで、これはもう天国のPATAHIDEへの鎮魂歌だと解釈した僕は「もうこれわかんねぇ・・・」と小声で呟きながら、それこそ映画『インターステラー』マシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。もっとも「面白い」のは、X JAPANの疾走ナンバーの系譜にある”Amore-蒼星-”Xのバラード曲をオマージュした”NO RAIN, NO RAINBOW”イェンス・ボグレンがエンジニアとして関わっている所で、ここでも僕の『夢』が叶っている。しかし、この曲が本当に凄いところって、それは1番のサビが終わった後の「二度と会えないけど 忘れないでいたいよ」の裏で聴こえるバッキングのヘヴィネスで、それこそイェンス・ボグレンAmorphisの引かれ合いが実現した昨年の『Under the Red Cloud』の中で描かれた黄金のヘヴィネス』そのもので、そのヘヴィネスはまるでイェンス・ボグレン黄金のリベラリズム」に共鳴したかのような音だった。ただでさえ再び僕の『夢』が叶った名曲なのにも関わらず、それ以上に驚くようなフレーズやギミックをさり気なく取り入れられている今作のライティングセンスはちょっと異常だし、普通のメタルチューンならまだしもバラード曲のバッキングでサラッと聴かせちゃう訳の分からなさに、とにかく脱帽。僕には見える、ベビメタのラストライブでこの曲で三人が抱き合う姿を・・・ッ!

「僕らは思い出す、BABYMETALがアイドル界のDIR EN GREYだということを」

最近のYOSHIKIは頻りにDIR EN GREYに対する感謝の言葉を述べていて、その想いはベビメタだって同じだ。アルバムのクライマックスを飾る最後の二曲には、DIR EN GREYの近作でもお馴染みのチュー・マッドセンをミックスとして迎えている。そもそも初めて日本の【アイドル】【プログレ・メタル】を融合させた曲って、某マーティ・フリードマンがゲストで参加したももクロ”猛烈宇宙交響曲”だと思うんだが、しかしベビメタの”Tales of The Destinies”は、所詮は「ニセモノ」のももクロに対して「ホンモノ」のプログレ・メタルとはなんたるかを見せつけるような曲となっていて、それこそTDEPProtest the Heroをはじめ、USプログレ・メタル界の頂点に君臨するDream Theaterばりのテクニカルでアヴァンギャルドな変態神バンドと新生アイドル3376ばりのアイドル・パワーがエクストリーム合体した凄まじい曲だ。これまた驚かされるのがSU-METALの歌で、通常ならボーカリストとしてプログレ・メタルとかいう変拍子を駆使したオタク・ジャンルを歌うことなんてありえないわけで、その難題とも呼べる課題および試練をSU-METALは若干17歳にして神から与えられ、しかし彼女はそれを難なく歌いこなしていて、あらためて今作のSU-METALは、ボーカリストとしてどれだけ成長したのか、どれだけの試練を乗り越えたのか、もはや想像を絶するものがある。

BABYMETAL『鋼鉄神』から託された使命、それはバラバラになった「世界を一つ」にすること。この”THE ONE”は、Arch Enemy”Nemesis”でも有名なONE FOR ALL,ALL FOR ONEの精神を謳った曲で、それこそ【メロスピ】【Djent】【インダストリアルメタル】【プログレ・メタル】【ヴァイキングメタル】【ヌーメタル】【ブルデス】という鋼鉄世界の7大ジャンル+【V系】【アイドル】【J-POP】という日本三大珍味を「一つ」に、そしてメタル発祥の地である【イギリスのメタル】から始まり、【北欧のメタル】【欧州のメタル】【アメリカのメタル】【アジアのメタル】、そして【日本のメタル】という6王国を一つにする壮大な旅の目的地に辿り着き、そしてBABYMETALによって「一つ」に統一されたこの世界で、BABYMETALの三人が『鉄の王座』へと腰を下ろし、『鋼鉄の処女』として鋼鉄世界の新皇帝に即位する。

 ok

---------------------------------------------------------------

このレビューを書く上で、一つのキーワードとして掲げたのがアンチベビメタ」なる存在で、今回はその「アンチ」の目線に立ってイエローキャブという言葉が閃いた瞬間、このレビューの勝機が見えた気がする。このように、いわゆるアンチの目線を通して聴いてもベタ褒めせざるを得ない傑作ですこれ。正直、このアルバムをディスれる人って、それこそピーター・バラカンみたいな批評家くらいです。少なくとも、X JAPAN『JEALOUSY』のカセットテープを音楽の原点および俺の感性の原点としている僕みたいなネットの末端で活動するレビュアーごときが叩けるようなシロモノじゃあないです。しかしどうだろう、バラカン氏がこのBABYMETALを批評する上で、今のベビメタに対する知識やメタルというジャンルに対する知識や知性、そして物事を「正当に評価」できる感性を持ち合わせているのか?と懐疑的になってしまうのも事実だ。例えば、ベビメタとX JAPANの関係性をはじめ、四年後の東京五輪を見据えた今回の「五輪マーケティング」や現代のメタルシーンを深いところまで理解しているとは到底思えない。結局のところ一体ナニが言いたいかって、この『METAL RESISTANCE』を全世界で最も正当に評価しているのは他ならぬ僕で、もはや「ベビメタの文句は俺に言え」とばかり、気づくと僕は「日本一のジョジョオタ兼日本一のBABYOTA(通称俺メタル)」を襲名していた。 

いま思うとデビュー作の『BABYMETAL』って、あくまでも【メタルとアイドルの融合】をコンセプトにしていたこともあって、単一メタルとして聴くとどうしても未熟な部分が露見してたし、イザとなったら「私たちアイドルですから!」みたいに誤魔化しが効く状態だったのも事実で、同時にアイドル/J-POPと国産ラウドロックのミクスチャーみたいなB級コミックソング感が海外でウケた大きな理由だったのも事実だ。しかし、今作は『METAL RESISTANCE』という名に相応しいクソマジメなメタルやってて、これ聴いちゃったら1stアルバムには二度と戻れないくらい、ソングライティングやアレンジをはじめ、神バンドおよびSU-METALYOSHIKIにダメ出し食らいそうな英詩の発音をはじめとした”ボーカリスト”としての著しい成長、そしてテッド&イェンスらのエンジニア面まで、一枚の「メタルアルバム」として一切隙のない完成度を誇っている。とにかく、今作はメタル>>>アイドルってくらいにメタル方面に全ソースを集中している。その中でも、単純に一つのフレーズで聴かせる余裕というか、いい意味で”アソビ”を覚えた事が前作との大きな違いで、アイドルとして誤魔化すことなく単純に曲の良さで勝負してきている。曲調やアルバム構成などの前作の良さを素直に踏襲しつつ、ハーマン・リーやらジェント・リーやらのモダン・ヘヴィネスをはじめ、五輪競技のように多種多様な「世界のメタル」を余すことなく盛り込んで、全ての面に置いて前作から格段にアップデイトされている。

今作、そのSU-METALの歌い手としての成長も然ることながら、もはや今作における1番の立役者と言っても過言じゃあないのが、他ならぬ神バンドの存在だ。今作がいかに曲が書けているのかを裏付けるような、「おっ」と聴き手の耳を引き寄せる楽器隊の一つ一つのフレーズや各ソロパートを筆頭に、個人の技術力の向上や俄然「(神)バンド」としての一体感(アンサンブル)すなわち音の厚みとスケール感/重厚感がマシマシ、それ故にあらゆるメタルのサブジャンルに柔軟に対応できたからこそ、実質神バンドのお陰で自由に曲が書けているとも言える。その神のバンド・サウンドの完成度を含めて、今のベビメタをB級メタルからA級メタルの極上クオリティへと導いている。だてに「神バンド」名乗ってないなという「プロフェッショナル」な職人芸を披露している。あとはやっぱり、ドラフォやSOILWORKをはじめ、近年のイェンスがプロデュースしたバンドの影響がピロピロ系のメロディや要所のフレーズに表れている気がする。つまり、神バンドのサウンドがイェンスの上質なミキシングに耐えうる極上レベルまで到達したというわけでもあって、どうせならDIR EN GREY『UROBOROS』みたいに、1stアルバムを全曲イェンスにミックスさせた「イェンス盤」リリースして欲しいくらい。

『KOBAMETAL=MASAYA説』

いま思うと、前作の時に「2ndアルバムはカレーが辛くてブチギレた人にプロデュースさせろ!」と言った自分がいかに馬鹿で間違っていたのかがわかる。このアルバムで分かった、違う、そうじゃない、KOBAMETALがYOSHIKIだったんだ、コバメタルこそシン・ヨシキだったんだって。今作のコンセプト・ワードでもある「世界を一つにする」という『野望』の中に、まさか「世界のメタルを一つにする」という意味と「東京五輪で世界を一つにする」という2つの意味が込められていたなんて想像もしてなかった。コバメタルの意識は既に四年後の東京五輪に向かっていたんだ。そしてコバ自身が実質MASAYAもとい実質YOSHIKIすなわちシン・ヨシキとなって、実質MASAYAプロデュースもとい実質YOSHIKIプロデュースとして、このBABYMETALBABYMETAL(X)JAPANとして、この『METAL RESISTANCE』を本来は3.11にリリースされるはずだったX JAPANの幻の復活アルバムとして全世界にドロップしたんだ。その結果が、X JAPANYOSHIKIが志半ばで断念した世界進出、そして坂本九『スキヤキ』以来約53年ぶり、坂本龍一以来約33年ぶりの米ビルボードTOP40入りという快挙を、その「坂本姓」の系譜を継ぐものである坂本三姉妹a.k.aBABYMETALa.k.aBABYMETAL(X)JAPANが成し遂げた事実に、再び僕は涙を禁じ得なかった。そして僕のスタンド能力『キング・クリムゾン』は、四年後に開催される東京五輪の開会式で坂本九&坂本龍一&坂本三姉妹=坂本一家&YOSHIKI&シン・ゴジラで何かしらのアクションを起こす『未来』を予測してしまった・・・というのは冗談で、でもリオ五輪の閉会式で披露された「トーキョーショー」の演出にベビメタが出なかったのは、まだ「KARATE」が完成してなかった頃に企画されたからだと思うし、きっと今ごろ総合演出の椎名林檎は後悔してるに違いない。もはや今のベビメタは日本という国を語る上で欠かせない『日本の象徴=アイコン』になってしまったのだから。いや、しかし本当にコバ凄い。そのうちアミューズの社長やるんじゃねーかレベル。だから今のうちにコバにゴマすっとこ!

正直、前作で「デビュー作にして最高傑作」を作って、後はどうベビメタを終わらせるか?を考える時期に入ると思ってただけに、このアルバムを聴いたらむしろ逆にその勢いは増すばかりで、まるで留まることを知らなかった。このままベビメタは四年後の東京五輪までノンストップで走り続けるんだと思う。当然、ベビメタがNEXTステージに進むには『ゲーム・オブ・スローンズ』の壮大なスケールおよび重厚な世界観との結合ならびに坂本三姉妹『母』であるレナ・ヘディ『マザー』として迎え入れることが必要不可欠だ。そして、2020年に極東の島国でバラバラになったこの世界を「一つ」にする救世主こそ、このBABYMETALという三人の美少女たちなのかもしれない。だからYUIちゃん!まだまだ「朝ドラヒロイン」路線には行かせませんよ~~~!!

METAL RESISTANCE(通常盤)
METAL RESISTANCE(通常盤)
posted with amazlet at 16.09.04
BABYMETAL
トイズファクトリー (2016-04-01)
売り上げランキング: 493

Deftones 『Gore』

Artist Deftones
new_dbbff5b063bd43e7b8e239e3a8bd7974

Album 『Gore』
jpeg

Tracklist
01. Prayers/Triangles
02. Acid Hologram
03. Doomed User
04. Geometric Headdress
05. Hearts and Wires
06. Pittura Infamante
07. Xenon
08. (L)MIRL
09. Gore
10. Phantom Bride
11. Rubicon

欧州最大の怪獣であり、現在エクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するGojira『MAGMA』は、Lamb of GodMastodonをはじめとした、いわゆる「アメリカのメタル」を喰らい尽くした末、遂に『シン・ゴジラ』へと突然変異を遂げた。そのゴジラが喰らった「アメリカのメタル」の中には、90年代から現代アメリカのモダン・ヘヴィネス界隈の繁栄に大きく貢献してきた「デブ豚」ことDeftonesの姿があった事を、あの日の僕達はまだ知らない。

デブ豚がアメリカの現代ヘヴィネスを更新し続ける一方で、遠い北欧スウェーデンの魔神Meshuggahが独自の解釈で新時代のモダン・ヘヴィネスを創り上げ、そして遂にDjentとかいうメタルの新しいサブジャンルが確立、辺境界隈の中で小規模ながらも爆発的なムーブメントを起こしていた。そのシーンの変化に危機感を覚えたデブ豚は、「アメリカのメタル」を代表してメシュガーへの回答として、ベーシストチ・チェンの悲劇を乗り越えた末に誕生した6thアルバムのDiamond Eyesをドロップした。その二年後、デブ豚は7thアルバムの『恋の予感』とかいう謎アルバムをリリースする。今作の『Gore』は、その前作から約4年ぶりとなるフルアルバムだ。



幕開けを飾る#1”Prayers / Triangles”からして、前作の恋の予感を踏襲した「男のフェミニズム」全開の色気ムンムンなシンプルなロックナンバーで、しかしかき鳴らし系のギターや全体的な音使いは、ダイヤモンドのように硬いガッチガチなヘヴィネスを鳴らした過去二作と比べると軽めだ。 一転して『Diamond Eyes』を彷彿とさせるスラッジーな轟音ヘヴィネスやGojira顔負けのクジラのように「キュルルゥゥ!!」と鳴くギターをフューチャーした#2”Acid Hologram”、今度はMastodon顔負けの動きがアクティブなリフ回しを披露したかと思えば、転調してプログレッシブなアプローチを垣間見せる#3”Doomed User”、Post-Djentなリズムで攻める#4”Geometric Headdress”、正直ここまでは現代ヘヴィネス勢の影響を感じさせる曲が続く印象で、過去二作と比べても存外アッサリした感じ。 某”U, U, D, D, L, R, L, R, A, B, Select, Start”のポストロック系譜にある、ここにきてようやくデブ豚らしいセンセーショナルなメロディセンスを発揮する#5”Hearts / Wires”だが、しかし如何せんイントロがクライマックス感は否めない。

中盤もパッとしない、そんな中で今作が如何にイマドキのモダン・ヘヴィネスから影響を受けているのかを証明するのが、他ならぬ表題曲の#9”Gore”で、この曲ではDjent然とした軽快なグルーヴを存分に取り入れている。シューゲイザーかじってた5thアルバム『Saturday Night Wrist』の頃を彷彿とさせる曲構成と、これまでセンセーショナルな感情を押し殺していたチノがここにきてようやく本気を出し始める#10”Phantom Bride”、そしてDIR EN GREYが大喜びしそうな音響アレンジが際立ったラストの#11”Rubicon”まで、中盤までの曲と違って終盤の三曲は明らかに本気度というか、気の入りようが違う。つうか、本気出すのおせぇ・・・。

基本的なバンドの音使い自体は近年のデブ豚を踏襲つつも、曲の雰囲気的には5thアルバム『Saturday Night Wrist』への回帰を予感させる、つまり脱力感のある”Alternative”なロックへの回帰を予感させるノリというか、過去二作にあった張り詰めたような独特の緊張感みたいなのは薄くなって、良くも悪くも聴きやすくはなった。これは別に過去二作と比べて地味だとか、手抜きだとか決してそういうわけじゃあないが、しかしどこか徹底したナニかに欠けて聴こえてしまうのも事実。例えば『Diamond Eyes』のように 徹底してゴリゴリのモダン・ヘヴィネス貫くわけでもなし、前作のように『恋の予感...!』不可避なエッチなフェロモンを色気ムンムンに醸し出すわけでもなく、となると今作の『Gore』にはどこか一貫した”コア”の部分がゴッソリと抜け落ちている気がしてならない。それはフロントマンチノ・モレノの歌メロを筆頭に、アレンジ含むメロディや肝心のリフに関しても、極端に突出しないどっちつかずな、悪く言えば中途半端な、良く言えば変に取り繕ってない自然体で素直な”Alternative”やってた本来のデブ豚への回帰、いわゆるシューゲイザーかじった掻き鳴らし系ロックバンドへの回帰と捉えることも出来なくもない。一貫した”ナニか”がない分、逆に アレンジやリフの種類が豊富に楽しめる利点もあるし、完成度という点ではそこまで過去作に引けを取っているわけではない。例えるなら、『Diamond Eyes』が脂ギットギトの豚骨ラーメンだとすると、今作は脂控えめなアッサリ系の豚骨ラーメンみたいな。

ゴジラの『MAGMA』もそうだったけど、今作はそのゴジラや「アメリカのメタル」の象徴であるマストドンをはじめ、現代モダン・ヘヴィネスの最先端であるDjentからの影響が著しい作品でもあって、そういった側面から分析すると、この『Gore』はかなりパンピーやキッズ向けのアルバムと言えるのかもしれない。当然、それはイマドキのモダン・ヘヴィネスをベテランなりに解釈した結果でもあるし、常に「最先端の音楽」を臆せず自分たちの音楽に取り入れてきた、実にデブ豚らしい好奇心旺盛な作品でもある。しかしそれ故に、精神面での弱さが目立つというか、これまでのメンタルエグってくるような音のギミックは稀少。ウリである「存在の耐えられないエモさ」ではなく「存在の耐えられない(音の)軽さ」、むしろデブ豚がカモメのように空を飛べるくらいの「軽さ」がキモになっている。フアンの中には、四年かけてこの内容は正直キツいと難色を示す人も少なからず居るはず。しかしこれだけは言えるのは、過去二作の中ではDIR EN GREYが一番のオキニにしそうなアルバムだということ。あとやっぱ丼スゲーなみたいな話。

Gore
Gore
posted with amazlet at 16.08.11
Deftones
Repri (2016-04-08)
売り上げランキング: 13,062

Gojira 『Magma』

Artist Gojira
new_73533f5d61c7d648e84cec8b618be1f5

Album 『Magma』
1000x1000

Tracklist
01. The Shooting Star
03. The Cell
04. Stranded
05. Yellow Stone
06. Magma
07. Pray
08. Only Pain
10. Liberation
 
東宝の人気特撮シリーズ『ゴジラ』から名付けられた、デュプランティエ兄弟率いるフランスのGojiraといえば→今作に伴うツアーのサポートに抜擢されたUKのTesseractなどのDjent界隈をはじめ、海外もとい日本国内では「GJ!」「Good Job!」の略ではなく「GJira」「GJ!」だと言うくらいのBABYMETALやゴジラと間接的に関わりのあるDIR EN GREY、そして今をトキメクUSのDEAFHEAVENにも強い影響を与え、時代や世代を超えて常に「現代エクストリーム・ミュージックのキホン」あるいはその「象徴」としてシーンの頂点に君臨し続ける獣王だ。

そんな彼らを伝説の巨大クジラ『白鯨』としてその名を世界に知らしめる事となった、2005年作の3rdアルバム『From Mars to Sirius』では、この手のエクストリーム・ミュージック界の旗手として欧州での人気を確固たるものにした。そして欧州の覇者となった呉爾羅が次に襲来したのがアメリカだった。2008年作の4thアルバム『The Way of All Flesh』では、現レーベルメイトのLamb Of GodGODZILLAと同じく「クジラ大好き芸人」のMastodonをはじめとした、現代のアメリカを代表する「アメリカのメタル」を一飲で喰らい尽くし、そしてレーベルをロード・ランナーに移して発表された2012年作の5thアルバム『L'enfant sauvage』では、4thアルバムに引き続きアメリカ流の「モダン・コア化」が著しく進行し、徐々に本来のデス・メタルをルーツとしたスタイルからの脱却を図ろうとしていた。それらUSを代表する猛獣を喰い尽くすことに飽き飽きした怪獣ゴジラが次なる獲物として目をつけたのが、他ならぬUSのプログレ/ヘヴィ・ミュージック界の”タブー”こと『邪神』Toolだった。



4年ぶりに地上へと姿を現した巨大怪獣は、何もかも全てが新しい『シン・ゴジラ』へと突然変異という名の進化を遂げていた。その『変化』は、幕開けを飾る#1”The Shooting Star”から顕著で、『The Hunter』Mastodonを彷彿とさせる、地に足の着いたモダンでポストスラッジーな轟音ヘヴィネスやフロントマンジョー・デュプランティエのサイケデリックなクリーンボイス、そして刻んでるのか刻んでないのかすらわからない空キザミからしても、これまでの「世界一美しくセンセーショナル」と称されたジョーの獣性むき出しの咆哮や「エクストリーム・ミュージックのキホン」とも謳われた粗暴さや速さが抑えられた、意図的に暴虐性なアグレッションや持ち前のスラッシュ・メタル的なキザミ要素を排除したミドルテンポの曲となっている。
 


そのMastodonLamb Of Godがエクストリーム合体したようなモダン・メタルコアの#2”Silvera”デュプランティエ(弟)ことマリオのインテリズムが炸裂する変則的なドラムビートに乗せて、高速テンポで小刻みに刻むスリリングなキザミで始まり、気づけばゴジラの同胞でありインテリキチガイの一角を担うMeshuggahDeftonesなどの現代モダン・ヘヴィネスをも体内に取り込んでいた#3”The Cell”、もはや「スラッシュ・メタルへのアンチ・テーゼ」とも取れるインテリ気取ったリード・シングルで、『ゴジラ』という名の巨大クジラが起こす巨大津波の衝撃波のようなリフから、オーディエンスにシンガロングさせるボーカル・メロディとオーガニックなヘヴィメタルスタイルのリフで展開し、そして今は亡きAgalloch直系の哀愁ただようクリーン・パートへと繋がる#4”Stranded”は、まさに【反知性主義】万歳の暴虐性と叙情性のコントラストを効かせたプログレ然としたナンバーだ。

イラストレーターのHibiki Miyazaki氏が手がけたアートワークのように、一向に捕鯨を禁止しようとしない日本に対する『怒り』が爆発、つまりマグマのように頭が噴火し、遂にインテリこじらせすぎて頭パープリンになってしまったゴジラを、インテリ系エクストリーム・メタルバンドの境地へと、それこそ「フランスのトゥール」と呼ばざるをえない絶対的な存在へと押し上げたのが、他ならぬ表題曲の”Magma”だ。チャルメラ屋さんの例の音頭が謎の妖術によってラリったようなギターの旋律が、まるでフランスのアニメ映画『ファンタスティック・プラネット』ばりに70年代風サイケデリックかつ幽玄な世界観を構築し、前作で培った出自がスラッシュ・メタル畑だからこそ成せる黄金のキザミ』をはじめ、近年のBaronessを彷彿とさせるソロワークや楽曲構成力からは、それこそマストドンの名盤『Crack the Skye』に匹敵する凄みを感じさせる。ある意味、この曲このアルバムは、フレンチ産プログレッシブ・ロック界のレジェンドであるMagmaに対するGojiraなりのリスペクトなのかもしれない。今思うと、Lamb Of Godに近づいてアメリカ市場に本格参入した本当の目的は、アメリカのヘヴィミュージック界の最高権力者であるToolに接近する為の布石でしかなかったんだ、ということ。
 

その未開の部族の妖しげな宴に導かれるように、フルートの音色を擁するオリエンタルなイントロから、メシュガーの”Bleed”直系のリフをはじめ、それこそメシュガーの産物であるDjentにも、しまいには『ADHD』期のRiversideなどのモダン・ヘヴィネス勢の影響を垣間見せる#7”Pray”や#8”Only Pain”、気づけば北欧ノルウェーの獣神Enslaved(のエルブラン・ラーセン)も喰らっていた#9”Low Lands”、そしてアコギとパーカッションの組み合わせに一瞬耳を疑う#10”Liberation”のインスト最後に、この映画『シン・ゴジラ』は幕を下ろす。

これは『怒り』を原動力にしていた初代のゴジラでもなく、魔改造されたメカニカルでテクニカルなメカゴジラでもなく、『インテリ』を気取った平成の呉爾羅でもなく、アメリカ産のGODZILLAでもない。今の時代に突然変異して産まれた『シン・ゴジラ』である。どの組織にも、どのジャンルにも属さない、当然(ポスト)スラッシュ・メタルでもなければ、もはやエクストリーム・ミュージックですらないが、しかし現代的(モダン)であり一方でクラシックでもある。これまでエクストリーム・ミュージックの舞台で戦ってきたゴジラとは一線を画した、特に『Crack the Skye』以降のマストドンをはじめ、ここまであらゆる方面からの『影響』を直に感じさせる作品は歴代のゴジラの中でも初めてだ。もちろん賛否両論はあるが、ある意味もの凄く実験的なアルバムというか、これは世界の獣神を喰らい尽くし、もう喰らうモノがなくなった末、つまり極限まで飢えに飢えたゴジラが辿り着いた一つの境地と言える。同時に全てが『新しい』ようにみえて、全てが『過去』のオマージュでもある。個人的に、これはこれで「面白い」と思うし、むしろ正統な進化なのかもしれない。

『変化』には代償が付き物だ。その『変化』を恐れず『シン・ゴジラ』へと変貌した勇気は素直にリスペクトできるし、そこが本作を面白くしている一番の要因でもある。『変異』というと、北欧のEnslavedOpeth、そしてKATATONIAなども同じような『変異』を遂げた。今作ではテッド・ジェンセンをマスタリングに迎え、ジョーがセルフでミキシングしている。このモダンなメタルやりたいのかプログレやりたいのかハッキリしない曖昧なプロダクションをはじめ、まるで死の灰を撒き散らす『シ・ゴジラ』みたいな死鳥をシンボルとして掲げたKATATONIA『死の王』を彷彿とさせる、灰色の荒廃した世界観にあの時のトラウマが蘇って「うっ、頭が・・・!」ってなる。でもインテリこじらせすぎてインディ・フォーク化する最後の曲とか、もう一体何のバンド聴いてんのかわけわからなくなるし、それこそ「これはもうシン・ゴジラだ」としか他に例えようがなかった。KATATONIA『死の王』は紛れもなく駄作だったが、この『Magma』KATATONIA『死の王』でやりたかった事を自由にやってると感じた。

最後に従来のファンの目線を代弁すると→やっぱりGojiraといえばゴジラの鳴き声SEのように、Gojiraの専売特許である、クジラが尖頭銛でぶっ刺された時に鳴き叫ぶような「キュルルゥゥ!!」というあの鳴き声ギターが俺たちは聞きてぇンだよ!今のインテリ気取ったGojiraにはクジラの血が足りねぇ!もっともっと日本は捕鯨しろ!そしてモリを片手にこう叫べッ!

「KILL 'EM WHALE!!
 
MAGMA
MAGMA
posted with amazlet at 16.08.06
GOJIRA
ROADR (2016-06-17)
売り上げランキング: 13,755

Intervals 『The Shape of Colour』

Artist Intervals
バルス

Album 『The Shape of Colour』
png

Tracklist
01. I'm Awake
02. Sure Shot
03. Fable
04. Sweet Tooth
05. Black Box
06. Slight Of Hand
07. Meridian
08. Libra

バルス! ・・・カナディアンジェント、Intervalsの2ndアルバム『The Shape of Colour』。2014年に発表したデビュー作A Voice Withinは、現Raunchyのボーカリストでex-The Haarp Machineで知られるマイクのUKメロコア然としたハスキーでエモーショナルなボーカル・パフォーマンスと、ジャズ/フュージョンやPost-系をはじめ多彩なアレンジを効かせたオシャンティなプログレッシブ系ジェントが高次元で融和した、それこそ2015年に解散を発表したUKエモ/ポストハードコア界のレジェンドFuneral for a Friendをジェント化したような、すこぶる良質なジェントコア作品だった。

雇われ ・・・オワコンと囁かれる昨今のジェント界を盛り上げるウレピー出来事といえば→界隈を牽引するUKのTesseracTが”ジェントは雇われ”というオキテを忠実に守り、目出度くダニエル・トンプキンス君が復帰したことだ。そんな追い風を受けて、そのジェント界で引っ張りダコの雇われ系男子ことMichael "Mike" Semesky擁するIntervalsの新作には俄然期待がかかる。まず1曲目の”I'm Awake”から、現代のギターヒーロートシン・アバシ率いるAnimals As Leadersをソフト&カジュアルにしたような、スタイリッシュなリフ回しで聴かせる爽やかなインストで、次の曲に期待がかかる。2曲目の”Sure Shot”は、前作でも垣間見せた静と動のコントラストを効かせたソリッドなインストで、次の曲に俄然期待がかかる。3曲目の”Fable”は、いわゆる「3度目の正直」ということで、今度こそマイクの歌声が入ってきた思ったらケニー・Gもビックリのサックスだった。4曲目の”Sweet Tooth”は、バケツ野郎ことBuckethead顔負けのユニークなギターの中にアコースティックなアレンジが光るインストで、次の曲に期待がかかる。5曲目の”Black Box”は、メロデスばりのハモリを見せる叙情的なツインギターが聴きどころのインストで、次の曲に期待がかかる。6曲目の”Slight of Hand”は、再び音のメリハリとアコギを取り入れた、そして見せ場のGソロからのアウトロの美メロという繋ぎの展開が見所のインストで、次の曲に期待がかかる。7曲目の”Meridian”は、まるで真っ白なキャンパスにアー写のようにカラフルな絵の具をぶち撒けたようなドチャクソエピカルなインストで、次こそはボーカル入の曲に期待がかかる。ラストを飾る”Libra”は、中盤のアトモスフェリックな音響パート以降の展開が素晴らしいインストで・・・

「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」

バルス

オシャの会 ・・・気づくのおせーよって?へへへ。とにかく、またしてもジェントのボーカルは雇われの身であることを裏付けるような脱退劇で、しかもボーカルのマイクだけに留まらず他のメンバーも脱退し、残るは中心人物であるギタリストのアーロンただ独り。今作は、そのアーロンによるインストアルバムで、言うなればScale the Summitをはじめ、ジャニーズ系インストのPolyphiaPomegranate Tiger、今作にもゲスト参加しているPliniSithu Aye、そしてCHONなど、近頃賑わいを見せ始めているこの手のインスト集団、すなわち"オシャ会"の仲間入りを果たした一枚であると同時に、歌なしのインストでもイケちゃうバルス!のポテンシャルを垣間見せた一枚でもある。まるで十人十色ならぬの百人百色な図形が積み重なって、シャープなデザインと現代的な音像をもってカラフルなモダンアートを、それはまるで希望の虹を白いキャンパスに描き出し、そして万華鏡の如し無限に輝き放つ。とにかく純粋で前向きなメロディ、とにかく明るい安村ばりのメロディ重視のメロコア系インストで、確かにジェント成分は控えめだが、オシャフレーズや前作で随所に垣間見せていた流麗なソロワークを織り交ぜながら、約34分一気に駆け抜ける様は爽快感しかない。それもそもはず、Protest The Heroで知られるベーシストとex-Periphery現Darkest Hourのドラマーという実績のあるメンツをスタジオメンバーとして迎えているだけあって、音のグルーヴやアンサンブル、キレと疾走感を生み落とすその演奏技術にはぐうの音も出ない。正直なところ、ジェント界の良作請負人またの名をジェントクラッシャーことマイクがバンドを去って、一時はどうなるかと思ったけど、いざ蓋を開けてみると「安心してください、普通にカッコええインストやってますよ」。

SikTh 『Opacities』

Artist SikTh
new_6a16f8b94d6c4607c6820fb96846ca0f

EP 『Opacities』
jpeg

Tracklist
01. Behind The Doors
02. Philistine Philosophies
03. Under The Weeping Moon
04. Tokyo Lights
05. Walking Shadows
06. Days Are Dreamed

復活 ・・・2001年にイギリスはワトフォードで結成された6人組のSikThは、2002年にEPの『How May I Help You?』で鮮烈なデビューを飾り、2003年には1stフルアルバム『The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild』を発表、そして2006年に傑作と名高い『Death of a Dead Day』をリリースし、その破天荒で複雑怪奇な展開とラップ&ハイトーンのツインボーカルを駆使した、言うなればハチャメチャごった煮エクストリームおっぱいサウンドでリスナーのド肝を抜き、一瞬にしてその名をアンダーグラウンド・メタルシーンに轟かせた。しかし2008年に解散。今なお一部のフアンの中ではカルト的な、一種のレジェンド的なバンドとして崇拝されている。そんなドチャクソ変態クソ野郎が解散から約7年の時を経て、かのPeacevilleから奇跡の復活作となるミニアルバム『Opacities』を発表した。



音合せ ・・・幕開けを飾る#1”Behind The Doors”からして、Textures顔負けのグルーヴィなヘヴィネスを乗せてメタルコアっぽく始まり、ドレッドヘアをチャームポイントとするミキー・グッドマンのラップとバンドの中心人物であるジャスティン・ヒルによるエモいハイトーンボイスが奇妙奇天烈に絡み合い、転調を効かせた中盤以降の展開もSikThらしさに溢れている。次の#2”Philistine Philosphies”では、俄然USヌー・メタル的な縦ノリグルーヴを効かせたモダン・ヘヴィネスとミキーのアヴァンギャルドなラップ、そして今世紀最大のエモーションをブチかますジャスティンの超絶ハイトーン・ボイスに胸を打たれ、そして全盛期のSikThがカムバックしたような転調以降のテクデス然とした展開は、これは紛れもなくシクス、変わらないシクスの完全復活を宣言するかのよう。その後も、今作をリリースした直後に来日公演を行うほどの親日家ぶりを垣間見せる#4”Tokyo Lights”を織り込みながら、初期のマスコア的な要素とアトモスフィアを取り入れた#5”Walking Shadows”、バンドの新機軸を予感させるPost-的要素を取り入れた#6”Days Are Dreamed”まで、流石に復活前のメカニカル感やドが付くほどぶっ飛んだ変態度こそ薄いが、全盛期のシクスと比べると比較的素直というかマジメなグルーヴ・メタルやってて、でも中には新しい試みを垣間見せたりして、そう遠くない未来に出るであろうフルアルバムに俄然期待を持たせる、この全6曲トータル27分に凝縮された音から次作を無限大に妄想させるような一枚だ。というより、彼らにとってこのEPはあくまでも顔合わせ、すなわち音合せ(サウンドチェック)程度の実力に過ぎないのかもしれない。

元祖 ・・・解散から7年の間、この手の界隈には様々な変化が起きた。中でも筆頭なのはDjentの台頭で、シーンを代表するUSのペリフェリーやUKのテッセラクトをはじめ、この手のジャンルやテクデス界隈のバンドでシクスの影響を受けていないバンドなんてこの世に存在しないんじゃないかってくらい(その影響は日本のマキシマム・ザ・ホルモンにまで及ぶ)、スウェーデンのメシュガーとともにDjentの元祖であり、Djentの原型を作り出した偉大なバンドである。彼らが冬眠する間、ペリフェリーやテッセラクトがシーンを牽引し、共に3作目でこれまで"アンダーグラウンド"なジャンルだったジェントを"メインストリーム"にブチ上げることに成功した。もはやシクスが産み落とした子(後継者)が親から授かった使命を貫き通し、切磋琢磨し合いシーンの『未来』を切り拓いていく姿に、子が親という偉大な存在を超えていく姿に、僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

新世界の神 ・・・テッセラクトのフロントマンことダニエル君が『惑星ポラリス』の中で「俺がジェント界の夜神月だ」とシーンに宣言したこのタイミングで、夜神月の「新世界の神」となる『野望』を阻止するため、ニアとメロのツインボーカル率いるシクスは復活したんだ、という風に考察すると俄然この手の界隈が面白く見えてくるかもしれない。ともあれ、このEPは「フルいけるやん!」と確信させるような、文句のつけようがない復活作です。
 
Opacities
Opacities
posted with amazlet at 16.02.20
Sikth
Imports (2015-12-11)
売り上げランキング: 21,096
記事検索