Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Folk

Gris 『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』 レビュー

Artist Gris
Gris

Album 『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』
À l'âme enflammée, l'äme constellée...

Track List
Disc I
01. L'Aube
02. Les Forges
03. Samsara
04. Igneus
05. Dil

Disc II
01. Moksha
02. Seizième Prière
03. Sem
04. Une Épitaphe De Suie
05. Nadir

『ポストブラックの分類』・・・そもそも、いわゆるポストブラックとかいうジャンルは、大雑把に3つのタイプに分類する事ができるんだが→まず1つ目は【マイブラ系もも色シューゲ×激情系HC】のDeafheavenタイプ、2つ目は【ポストロック/ドリームポップ×ブラゲ】のAlcestLes Discretsタイプ、そして3つ目は【ネオフォーク/アンビエント/ATMS×デプレ・ブラック】のAgallochさんを筆頭とした初期Ulver初期KATATONIAタイプの三種類あって、このカナダを拠点に活動するIcare氏とNeptune氏による二人ポストブラックことGrisは、その分類の中で言うとAgallochタイプとAlcestタイプの美味しいとこ取りした感じのブラックで、その手の好き者に高く評価された1stフルの『Il Était Une Forêt...』から約六年ぶり通算二作目となる本作の『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』、しかも二枚組の幕開けを飾る#1”L'Aube”から只ならぬ情緒感を醸し出すアコギナンバーで、そして約15分ある長尺の#2Les Forgesを聴けば理解できるように、スーサイド願望に満ち溢れたIcareによる悲痛な叫びと、アコギを中心に琴や尺八などの和楽器やチェロやヴァイオリンを擁した壮麗優美なストリングスが、まるで初期Opethを思わせる”美と醜”の対比を強弱を効かせながら表現していく、わかりやすい話→スウェーデンのShining直系のジジジジ...ノイジーなデプレブラックに、本作のジャケを手がけたFursy Teyssier率いるLes DiscretsAlcestを連想させるオリエンタルなフレフレフレンチ感や、USのポストブラックレジェンドAgallochさん直系のタンビ(耽美)エントな要素がしなやかかつエレガントに交錯する、要するにみんな大好きATMS系ポストブラックやってるわけ。ちなみに、アルバムタイトルや曲目を見ればわかるように、全編フランス語の歌詞となっている。

 やはり今作の大きなポイントとして→キュルキュル♪と弦の音が生々しく鳴り響く、ほのかにメランコリックで麗しげなアコギを筆頭に、オーストラリア産のネ・バブリシャス(Ne Obliviscaris)顔負けの、天空を駆け巡るように超絶epicッ!!なヴァイオリンによるネオクラシカルなメロディセンスだろう。もはやこのバンド最大の持ち味と言っていい、それらのアコギやストリングスは、Disc1&2共に約40分トータル80分という作品全編に渡って美しく幻想的に、そして優雅に曲を彩っていて、その中でもDisc1とDisc2最後を締めくくる”Dil”と”Nadir”は涙なくして聴けない。あと#4”Igneus”のアウトロとか聴いたら、マジでネ・バブリシャスと対決させたくなる。で、基本的にDisc1と2も似たような構成で、【オープニング→大作→短いインスト→再び大作→泣きのアコギ】みたいな流れで、どちらも完成度が高く甲乙つけ難い。

 このバンド、単なるAgallochや初期Alcestのコピーバンドというわけではなくて、特に一枚目の名曲#2”Les Forges”の7分以降の展開や、二枚目の#2”Seizième Prière”あたりで垣間見せる、Rosettaなどのポストメタル勢からの影響を巧みに昇華した部分も聴きどころの一つとなっていて、もはやこの手の界隈を代表するその二組に引けをとらない、ヘタしたらそれ以上のポテンシャルを誇っている。間違いなく、今年のポストブラック界隈ではマストな一枚。
 
L'ame Enflammee, L'ame Constellee
Gris

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Orphaned Land 『All Is One』 レビュー

Artist Orphaned Land
Orphaned Land
Mixed/Mastered Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『All Is One』
All Is One

Track List
02. The Simple Man
05. Through Fire And Water
06. Fail
07. Freedom
08. Shama'im
09. Ya Benaye
11. Children

『Orphaned Land×イェンス・ボグレン=oh...Jesus Christ!』

イスラエル出身の五人組、Orphaned Landの約三年ぶり通算五作目となる『All Is One』なんだけど、2004年作の3rd『Mabool』でその人気に火がつき、その3rdに感銘を受けたPTSW先生をプロデューサーとして迎えた前作の4thThe Never Ending Way of ORwarriORでは、Opethの名盤『黒水公園』のイスラエルVerをやってみせた彼らだが、今回はもはや当然いや必然であるかのように俺たちのイェンス・ボグレンをミキシング/マスタリングとして迎え入れ...つーか、なんかもう「イェンス・ボグレンはSW先生を超えた」とでも言いたいぐらい、ここ最近の”イェンス祭り”には只々笑うしかないんだけど、まぁ、それはそうとして、本作は名盤3rdや前作の4thで確立した【Orphaned Land=イスラエルのオペにゃん】といったイメージつまりデス/プログ・メタル的な要素は希薄...というより、もはや皆無となっていて、それは本作の【キリスト/ユダヤ/イスラム】という3つのアブラハムの宗教を題材としたコンセプティブな世界観を映像化したMVが見所の#1All Is Oneを耳にすれば理解ッできるように、イスラエルという土地柄を強く匂わせる、伝統的なアラビアン・ミュージックをベースとしたオリエンタルなフォーク・ロックを展開していて、カーヌーンなどのアラブを代表する民族楽器を中心に壮麗優美な旋律(シンフォニー)を奏でるオーケストラやクワイヤ、より一段とクリーンボイスに磨きがかかったフロントマンKobi Farhiによる情緒感に溢れた歌声やアルト/ソプラノ/テノールを駆使した女性ボーカルなどの多彩な演出によって、それこそ映画『アラビアのロレンス』を観ているかのような空前のスケールで描かれる、シネマティックかつドラマティックな世界観を築き上げ、より身近な例え方だと「ようこそクラブ『アラビアンナイト』へ」的な夜の世界へと、ある種の非現実的な空間へと迷い込んだかのような、そんなスパイシーかつエスニックな気分にさせてくれる、とにかく香ばしく味わい深~い作品。で、少なくとも、SW先生によって半ば強制的に『黒水公園』を”やらされてた”感がなくもなかった前作よりは全然違和感なく聴けるというか、まるで「あの頃の僕たちは少しおかしかったのさ。やりたくないことを強制的にやらされていたんだ。あいつらはまるでナチスのようだったよ・・・」もしくは「俺たちはオペにゃんのモノマネ芸人なんかじゃないんだッ!」とジーザスに訴えかけるような、むしろ自分達が本当にやりたかったオリジナル(土着)の音楽やってる感がスゴい。ちなみに、本作のアートワークはMetastazisによるもので、コンセプトのキリスト教=十字架、ユダヤ教=六芒星、イスラム教=三日月というアブラハムの宗教のシンボルマークが合体したものとなっている。

  『Orphaned Landはキリストを超えた』

 本作、彼らに対して何を求めるかによって、その評価というのが大きく変わってきそう。名盤の3rdや4thのプログレ/デス路線を期待している人には総スカンを食らいそうだが、リフそのものは至ってシンプルな作りで、過去最高に民族性を強調したバリバリの歌モノ歌謡曲やってる所からして、いわゆるクサメタル好きにはウケが良さそうな感じはする。特に#9”Ya Benaye”以降は昭和の時代にタイムスリップしたかのような、まるでさだまさしを聴いてるかのような錯覚を憶えるほど、いい意味で古臭くもありどこか新しくもある、まるでイスラエル人としてのアイデンティティが開放された時のような”生命エネルギー”が宿りし民謡音楽は、もはや『Orphaned Landはキリストを超えた』とかいう超新約聖書を執筆しながら「キリスト復活の時間だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」とかナントカ隆法総裁の如く叫びたいナニがある。

 「イェンス・ボグレンはSW先生を超えた」

 ハッキリ言って、SW先生のミックスよりもイェンス兄さんが手がけたミックスのが相性いいです。SW先生が手がけた前作の音には妙な”違和感”というのがあったけど、今回はイェンスが得意とするオーガニックな音作りとOrphaned Landのオリエンタルな音楽性との相性が驚くほど抜群で、もはやある種の洗練さというか大物感すら感じられるほど。その運命的な出会いは、まるで『アダムとイヴ』のような関係性だ。それにしても、今やメタル界一の売れっ子エンジニアとなったイェンスのここ最近の仕事っぷりを拝見して彼ら、間違いなく「oh...Jesus Christ!(おお...神よ!)」と思っただろうね。つうか、なんかアレだな、このタイミングでイェンスを迎えるってのも過去のオペにゃんと丸っきり同じなんだよなぁ・・・分かりすい話→オペにゃんの名盤『Still Life』=『Mabool』スティーヴン・ウィルソン先生に見っかっちゃった結果→そのSW先生をPに迎えた次作の『黒水公園』=『The Never Ending Way of ORwarriOR』でその名声を確固たるものとし、そして『Ghost Reveries』=本作の『All Is One』で目出度くイェンス・墓愚連隊の一員となる...というお話。なんだ、やっぱオペにゃん大好きなんじゃんw

All Is One
All Is One
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Orphaned Land
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Xanthochroid 『Blessed He With Boils』 レビュー

Artist Xanthochroid
Xanthochroid

Album Blessed He With Boils
Blessed He with Boils

Track List
01. Aquatic Deathgate Existence
02. Blessed He With Boils
03. Winter's End
04. Long Live Our Lifeless King
05. Deus Absconditus: Part I
06. Deus Absconditus: Part II
07. The Leper's Prospect
08. In Putris Stagnum
09. "Here I'll Stay"
10. Rebirth Of An Old Nation

USはカルフォルニア州レイクフォレスト出身の五人組、その名もXanthochroidの1stフル『Blessed He With Boils』がヤバ過ぎる件。自身でも”Cinematic/epicッ!!-Black Metal”と謳っているように、Blind Guardianもビックリの大仰なクワイア&シンフォニックな肉厚のサウンドスケープが超絶epicッ!!かつ超絶壮大に演出する、EmperorDimmu Borgir直系のノルウェイゲン・シンフォブラ/メロブラを基本の世界に、そこへ露骨に『Still Life』期のOpeth大好き♥なアコギやフルートのフォーキーな音色が醸し出す郷愁の香りを自然な形で溶け込ませた、”静と動”のメリハリを効かせたいわゆる”オペにゃんスタイル”を展開すると同時にAgallochライクなアトモスブラック/ポストブラック的な要素も持ち合わせ、そして極めつけにあのイェンス・ボグレンがマスタリングを担当するという、まさにUS版Ne Obliviscarusという他に例えようがないエクストリーム・プログレッシブ・ブラックを繰り広げている。で、本作の内容はなんつーかもう”コイツらスゴ過ぎィ!”としか言い様がない傑作です。去年聴いてたら間違いなくBESTに入ってたというか、俺の中でNe ObliviscarusBorknagarの新譜を超えた。今コレ聴かなきゃ他にナニ聴くのってレベル。それぐらいブッ飛んでる(ゴメンちょっとだけ盛った)。 Opethを筆頭にICS Vortex=BorknagarWintersunIhsahn...要するにありとあらゆる”ソレ系”のバンドを連想させる楽曲ばっかなんだけど、もはやモノマネがどうとかなんて事はどうでもよくなるレベルの説得力があって、もはや”オリジナル”とその”フォロワー”という概念を超越した先の世界にいるのが、この”愛すべきバカメタル”ことXanthochroidなんだ。

 まるで『スカイリム』や『ダークソウル』、剣と魔法のファンタジー映画『指輪物語』さながらの圧倒的なスケール感と幻想的な世界観を構築するイントロの#1”Aquatic Deathgate Existence”=”病み村”に迷い込んだ結果→”人間性”を失った主人公は亡者となり、そのイントロに次ぐ#2”Blessed He With Boils”を耳にした瞬間に”ファッ!?”とかいう衝撃を受ける。出足からメロブラ然とした暴虐性を惜しげもなくさらけ出し、”オペにゃん”大好き♥なアコギやフルートが織りなす哀愁のハーモニーが目まぐるしい展開の中で自然に溶け込む中盤からの~突如”ICS Vortex化”する終盤のハイトーンボーカルに全てを持っていかれる、超絶ドラマティックかつ超絶epicッ!!な名曲。で、この衝撃は全盛期の”オペにゃん”の曲を初めて聴いた時のような感覚に近いナニがあった。アコギとフルートそして民謡的なボーカルが織りなす郷愁のハーモニーが、壮絶な戦いが待ち受ける過酷な旅路の途中で、一時の安らぎと癒しを施すかのような#3”Winter's End”、エクストリーム系プログレ・メタル風のリフと鳴り止むことのないエレクトリカルかつヒロイックなkeyの音色が激しく狂喜乱舞する勇姿にEmperorやIhsahnの影を嫌でも連想させ、そして一番の聴こどころとなる中盤からの不安感を煽るようなアトモス/アンビエント世界に精神が侵食される#4”Long Live Our Lifeless King”、再びアコギ主体の幻想的な曲で今度はAgallochやFenらのポストブラ勢を連想させる#5からの~可憐に響き渡るkeyと壮麗なクワイヤがキ・モ・チをウキウキに高める#6までの組曲”Deus Absconditus”は本作のハイライト。そして壮絶な幕切れに相応しい#10”Rebirth Of An Old Nation”の泣きメロとドラマティックな展開に感極まった主人公は遂に”人間性”をトレモロスッ!!・・・だいたいこんな感じの物語。で、不思議な魅力を醸し出す恵まれたこのジャケから恵まれたこの楽曲...う~ん、スバラスイィィ~。US産とは言えど音は完全にEUモノのクッサイクッサイ系のソレで、そのギャップがばくわら。それじゃあ皆で、あの葉加瀬太郎の満面の笑みが脳裏に浮かんできそうな”情熱大陸メタル”ことNe Obliviscarusよりも、愛すべきバカのXanthochroidをドヤ顔で推して通な人になろう(提案) なにはともあれ、昨年に衝撃的なデビューを飾ったこの二組の若武者の登場は、ブラックメタル界にとって非常に大きな朗報だったに違いない。同時になんつーか、やっぱボグボグってスゲーわ、って。言わずもがな、この手のジャンルが好きならマストなんで、気になった人は彼らのBandcampで全曲聴いて、どうぞ。ちなみに、EPのオススメは三曲目。



Blessed He With Boils
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Erthe and Axen Records (2012-12-21)

Storm Corrosion 『Storm Corrosion』 レビュー

Artist Storm Corrosion
Storm Corrosion

Album 『Storm Corrosion』
『Storm Corrosion』

Track List
2. Storm Corrosion
3. Hag
4. Happy
5. Lock Howl
6. Ljudet Innan

かのスティーヴン・ウィルソン先生とミカエル・オーカーフェルトによるコラボが遂にッ実現した本プロジェクトの名はStorm Corrosion、気になるその音楽性としては、まるで『世にも恐ろしいグリム童話』のような二次元世界へとトリップした錯覚を覚えるほど、鬱々しく狂気的なMVが見所の#1”Drag Ropes”や《美と狂気が反響する奇人たちの晩餐会》を描いたタイトルトラックの#2”Storm Corrosion”をパッと聴いた感じ、SWソロ最新作Grace For Drowningを踏襲した形に見せかけつつも、それ以降は内省的かつサイケデリックそしてexperimentalな、どちらかと言えばSWソロ1stInsurgentesを想起させる、病的で陰鬱なキモkawaii世界観に重きを置いた感じで、さすが約十年来の付き合いがあるこの二人だけあって(意味深)、互いに共鳴し合う感性が嫌味なく融け合うことにより、深淵に潜む幽玄世界からヌーっとその姿を覗かせる”奇妙奇天烈”な味わい深き音世界は、ANATHEMAの新譜Weather Systemsでもお馴染みのデイヴ・スチュワートによるアレンジが施されたロンドン・セッション・オーケストラの凛としたストリングスやSWの1stを想起させる内省的な暗鬱感を醸し出すAmbient的な音使い、そしてOpethの中期を彷彿とさせるアコギを中心としたフォーキーな香りと二人の男達が醸し出す大人のフェミニズムが神業的に調和した結果、『シブイねェ・・・ まったくおたくシブイぜ・・・』と言わざるをえない、実にアダルティな作品に仕上がっている。

 本プロジェクトの主導権はやはりSW先生側にあり(特に#3や#4そして#5なんかはSWの独壇場)、本作は一応ボーカル入りではあるが、PTやOpethからイメージされる”歌っている”といった印象は至極薄くて、ストリングスやアコギの流れるようなインストで構成された奇妙な物語に身を任せる感じで音と同化したイメージ。で、劇的な展開だったりとかそういった派手な場面は一切なくて、 マッタリとジックリと聴かせるタイプのリスニング音楽というか、人によっちゃあ”退屈”だと思われそうな感は正直あるが、この二人がコラボして”全く新しいこと”をやろうと思って実際にやってみたら”自然とこうなった”感じは凄い伝わってくる。だいぶ前に”ニセ”の音源を聴いた時は、Opeth『Damnation』みたいな曲でイイやんッ!!って見事に騙されたんだが、”俺の界隈”の重役を担うこの二人からなるStorm Corrosionが繰り広げるその音世界は確かに、PTOpethそしてSWソロとは確実に一線を画した無二の音世界が存在している。期待したほどの衝撃はないかもしれないが、この二人にしか成し得ない”少しだけ玄人向け”の音世界が楽しめます。当然オススメ。ちなみに本プロジェクト、噂ではマイク・ポートノイも参加する予定だったらしいが、今回残念ながらそれは実現せず、本作のドラムはPTでお馴染みのギャビンさんです。



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Les Discrets 『Ariettes oubliées...』 レビュー

Artist Les Discrets
Les Discrets

Album 『Ariettes oubliées...』
Ariettes oubliées...

Track List
01. Linceul d'hiver
02. La traversée
03. Le mouvement perpétuel
05. La nuit muette
06. Au creux de l'hiver
07. Après l' ombre
08. Les regrets

現代のナポレオンことネージュ率いるフレンチ・シューゲイザーの長Alcestの兄弟分であり、伝説的ポストブラックAmesoeursのメンバーで構成された、文字通り”芸術家”のFursy Teyssierを中心とする三人組、Les Discretsさんの約2年ぶりの二作目『Ariettes oubliées...』なんだけど、Fursy氏お手製のフレンチアニメを音で表現したかのような、まるでガラス細工のようにきめ細かなタッチで描かれた芸術的音世界を創造し、この手の界隈に衝撃を与えた2010年作の1stフルSeptembre et ses dernières penséesとは一味違った肌触りを持つ本作品、まず一番に気づくのはFursy氏の歌い方の変化や本格派ダーク・フォーク/ドゥーム・シューゲリフを擁した、終末思想を唱える破滅的/暗黒的ドゥームネスの減退だったりと、その荒涼感を伴った寂しく孤独な空間が存在した1stよりは俄然美術的/芸術的な方向へと立ち位置を変えたというか、南フランスの温かな情緒を肌で感じる和音を擁した神々しいまでの耽美なメロディや、慟哭/昂揚感を煽る実にepicッ!!なメロディを取り入れたことにより、俄然彩り豊かで絢爛な音に変わったというか、まるでルーヴル美術館に飾ってある絵画の世界へと迷いこんだような、”繊細” ”優雅” ”気品”に溢れた音が靭やかに反響する夢と芸術のファンタジアへ、主催FursyとAudreyによる闇夜に徘徊する亡魂たちの霊妙な舞踏会へと聞き手を誘い込み、要は全体的に兄貴分のAlcestライクな淡い儚系ポストロック/シューゲへと歩み寄った感が強く、中でもその”アルセ化”を俄然象徴する長編の#2”La traversée”や#4”Ariettes oubliées I: Je devine à travers un murmure...”を耳にすれば理解ッできるハズだが、まるでフレンチ映画を観ているかのような(#4のMV的に考察すれば『シルビアのいる街で』ライクな)、一つ一つのシーンを自然体のまま且つ情緒的に演出するリリカルな感動と共にざわめき始める心のカタルシスに、俺たちは胸を掻き毟りたくなるほどの衝動を抑えきれないまま、”幸”と”不幸”が複雑に交錯する淡い思ひでの中を、無我夢中で駆け抜け、永遠と彷徨った末に辿り着いた彼女の墓前を目の前にして、徐々に薄らいで行く彼女と過ごした記憶が瞬く間に甦り、背徳感を背負いつつ喪に服しながらそっと天を仰いだ後、俺たちは胸が張り裂ける想いを我慢する事ができずに、恥じらいもなくその場で只々うなだれ、声を大きくして泣き崩れる・・・ゥワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 本作を一言で表すなら”慟哭”という言葉で、その”慟哭”感というのを強く印象づける#6”Au creux de l'hiver”(作曲はAudrey Hadorn)の名曲っぷりや、映画好きにはたまらないドラマ仕立てのMVになってる#4からは特に、本作の”凄み””epicッ!!”な精神性を感じる事ができる。結論としては、前作にはあった無二の独創的な音楽性=オリジナリティというのは薄れたかもしれないが(音質面に関してもそれは言える)、それらのマイナス面を補うほどのシネマティックな世界観と完成度を誇っている。アバウトな例えだが、イメージ的には二次元的なのが前作で、三次元的なのが本作。もはや、Fursy Teyssier氏の”表現者”としての才能が開花したといっても過言ではない。それほどに充実した一枚だ。当然至極、あるけすとの新譜より良いです。俺達があるけすとの新譜に期待していた”凄み”が本作にはあります。前作で既に感じた人も居るかも知れないが、改めて本作にて、Les DiscretsがAlcestの存在を超えた瞬間を目の当たりにし、そう、Les Discretsさんこそ、ヒップスター界の真の皇帝ナポレオンとなる・・・。

 ところで、Fursy Teyssier氏が手掛けたGhost BrigadeMVも良かったが、それを上回る今年のBESTMV賞となるであろう#4についてちょっとなんだが、主演男優にFursy、女優にAudrey、そして助演男優にWinterhalterが演じる本MVは、序盤のストーキングシーンのカメラワークは『シルビアのいる街で』の手法を応用してるんだが、すれ違う恋心をより儚くそしてリアルに表現する3分3秒の絶妙な途切れ方の演出も実に巧くて、トドメは4分50秒でのWinterhalterの圧倒的な窓際族的存在感が、要するに実にMerci、実にBonjour、実にBonsoir、というわけなんだ。

主演男優賞: Fursy Teyssier 女優賞: Audrey Hadorn 助演男優賞: Winterhalter


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