Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Live

【3/20】 ねごとワンマンツアー2017 「ETERNALBEAT」@名古屋クワトロ

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いや別に、別に、ステージ上で歌うフロントマンの幸子がBoom Boom Satellitesの川島さんと重なって見えたとか、正直その手のクサい話には一切興味がなくて、でもその『繋がり』を一切無視するなんて事は最新作の『ETERNALBEAT』が許さなくて、それらの諸々のことを含めて色々な想いはあるけれど、それよりも今回のツアーで一番気になる所といえば、Boom Boom Satellitesから受け継いたエレクトロな打ち込みを大胆に取り込んだ新曲陣をライブでどう『表現』し、そしてライブでどう『再現』
するのかに他ならなかった。

確かに、前作の『VISION』ねごとのバンド・サウンドを極めたような傑作で、特にベースの佑とドラムの小夜子のリズム隊が織りなす極上のグルーヴとアンサンブルが、横にも縦にもノラせる一種の魔法のような化学反応を起こしていた。これは仕方ないことだが、そのねごとを支えるキモと言っていい二人の存在は、一転して新作の『ETERNALBEAT』では作風的にも『VISION』ほどの存在感というのはなくて、となるとライブでもバンドの生命線であるグルーヴ&アンサンブルが消滅し、つまり「ロックバンド」としてのブレが生じてしまうのではないか、という一抹の不安は無きにしもあらずだった。が、ライブの幕開けを飾るゆるふわ系の”PLANET”から、ねごとの「特異点」である”DESTINY”から”Ribbon”までの序盤の流れを聴いたら、その不安は一瞬にして吹き飛んだ。二年ぶりに目にしたねごとは、全てが「変わった」ように見えて、何も変わっちゃあいなかったんだ。確かに、新作で「変わった」ところは変わっているのだけど、でもねごとの「ロックバンド」としての根幹の部分は何一つ変わっちゃあいなかった。

新作の『ETERNALBEAT』は、「ロックバンド」としてのねごとを幾倍にも成長させると同時に、一方で「ライブバンド」としてのねごとを目覚めさせたアルバムでもあったんだ。序盤からベースの佑はシンセベースを駆使してバインバインとフロアを揺らすし、ドラムの小夜子は頭まで使ってタイトなドラム鳴らすし、ギターの瑞紀は二年前と比べると「ロックギタリスト」として貫禄が出てきた。そして、このライブで一番印象に残ったシーンは、中盤のハイライトとなる”mellow”の時に、マイクスタンドを外してステージ上を「自由」に動き回って何時にもなく感情的に歌い上げる幸子が、そのバラードな曲調的にも全盛期の大塚愛にしか見えなくて、多分二年前のライブでは「マイクスタンドのまま歌う幸子」という固定の位置でしか見たことなかったから、その「曲中に動く幸子」はもの凄く新鮮だったし、正直その「動く幸子」を見てたら不思議と鳥肌立ったというか、何故か泣きそうになった。その光景は、まさに新作の『ETERNALBEAT』ねごとを「ライブバンド」としてNEXTステージへとブチ上げた一つの証明でもあって、つまり「ロックバンドはこうじゃなきゃいけない」とか「ねごとはこうじゃなきゃいけない」とか、そういった「固定概念」から解放されたねごとのシン化した姿そのものだった。

新作の『ETERNALBEAT』は、ねごとの楽曲面での表現の幅と可能性を大きく広げたアルバムであると同時に、ねごとのライブ面での表現の幅と可能性を無限に広げるようなアルバムでもあったんだ。ライブ序盤はいつも通りの、それこそ二年前と変わらない、彼女たちのウリである「どんとこい横ノリ縦ノリ」なバンド・サウンドが炸裂する曲でテンポよく、コールやクラップを曲の一部としてオーディエンスとの一体感をもってノリノリに盛り上げていくのだが、自分はてっきり『ETERNALBEAT』ツアーだから一曲目から表題曲や”アシンメトリ”を持ってくるセトリだろうと予想してたから、こう序盤~中盤と「二年前とほぼ変わらないねごと」を見せられたことに面食らった。しかし、ライブで聴くと俄然好きになった中盤の”cross motion”から、先ほどの「固定概念」から解放されて「自由」を得たねごとが露となる”mellow”を皮切りに、シティポップみたいな幸子の歌と楽器隊のコーラスワーク、そして照明演出が冴え渡る”君の夢”を聴いたら改めて今のねごとの比較対象って相対性理論だよなって思うし、その流れで新作の鍵を握る曲の一つである”シグナル”を披露して「おやおや?妙に変だなぁ・・・?」ってなって、この次に前作の”endless”を挟んで、からの”アシンメトリ”のイントロがendlessにループし始めて、その瞬間この「ライブハウス」は「クラブハウス」でもあったという真実に気付かされ、そのまま最後に”ETERNALBEAT”の鳴り止まないビートをエンドレスに刻んでいく。

もうなんだろう、「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!俺はねごとのライブを観ていたと思ったら いつの間にか宇宙にいた」ってくらい、新作の『ETERNALBEAT』に込められた『魂』のビート、本日名古屋クワトロでねごとが放ったendlessに鳴り止まないビートは、まさに【2015年5月13日】に名古屋クワトロで観たBoom Boom Satellitesのライブで『体感』した『衝動的』なビート、そして【2015年9月01日】に恵比寿リキッドルームで観たANATHEMAのライブで『体験』した『黄金』のビートと全く同じ波長のビートを刻んでいたんだ。僕は、このライブハウスという不均衡な四次元立方体の中で、ねごとが放つ音の粒子が作り出した三次元と五次元へを繋ぐワームホールの中で、僕が『過去』に観た中野さんと川島さんが歌う姿、そしてANATHEMA「Satellites」を描き出した『過去』のライブを再演していた、というより、もはや僕の『魂』はこのライブハウスという名のワームホールの中で、ねごとが編み出した『サテライツ・ミュージック』を介して『過去』に行っていたんだ。だから今日、僕が観たねごとのライブの中では川島さんは確かに歌っていたし、僕が観たこの約100分ほどのライブの中では確かに命を繋いでいたんだ。しかし、僕マシュー・マコノヒーが『過去』に行って感傷に浸っていた頃、ねごとは自らの『過去』を顧みず、あまりにも前向きで、あまりにもポジティブな、そしてあまりにも眩いくらいの『未来』を見据えていた。

とにかく、二年前とは比べ物にならないくらい激しさマシマシのロックバンド然としてて、ねごとは紛れもなく「ロックバンド」であり、これからも「ロックバンド」としてシン化し続けるバンドだと自己申告するかのようなアツいライブだった。最後のMCで瑞紀も言ってたけど、アルバム毎に変わり続けるねごと、その変わった後の『今のねごと』は『今』しか味わえないし、それこそ「オルタナティブバンド」としてのねごとのシンの姿なんだって。だから、『今のねごと』は絶対に『今』観ておかないと損すると思うし、少なくとも今日のライブは今年の年間BESTライブ確定です(KATATONIAが来日しない限りは)。正直、『今のねごと』ほど追ってて「面白い」と感じるバンドって、少なくとも今の日本にはいなんじゃあないか。

セトリは新作『ETERNALBEAT』『アシンメトリ e.p.』中心のセトリだが、過去の曲も違和感なく馴染んでたと思うし、アンコールではバンド結成10周年とのMCと繋げて”ループ”と新作からラストチューンの”凛夜”を披露した。ところで、新作の『ETERNALBEAT』って中野さんがプロデュースした楽曲が目に見えて「実験的」なイメージを与えるけれど、実は今のねごとにとって新作で最も「実験的」な曲って他ならぬ”凛夜”なんじゃねーかって、今日のライブで聴いてみて俄然そう強く感じたというか、この曲でもマイクスタンドを外して歌う幸子やアコギを靡かせる瑞紀だったり、この曲ほどねごとのNEXTステージ、ねごとの『未来』を予感させる「新機軸」な曲って他にないと思ったくらい。しかし、”endless”から”アシンメトリ”の流れは粋ってレベルじゃないし、独りで「繋がってるぅ!繋がってるってばあああああああああ!!つつ繋がったあああああああああ!!」ってなった。

相変わらずベースの佑は一番小さいのに一番ノリノリで楽しそうにピョンピョンしてたし、ドラムの小夜子も何か新しい試みっぽいことしてたし、ギターの瑞紀もやっぱスゲー存在感あったし、でも今回ばかりは幸子の存在感サマサマな所があったのは間違いない。自分はフロア後方から真正面に幸子が見えるポジションから観てた事もあって、特にマイクスタンドを外して歌った”アシンメトリ””ETERNALBEAT””mellow””凛夜”での幸子は本当にエモ過ぎたし、とにかく今日の幸子のパフォーマンスはガチでグッときた。中でも”mellow”聴いた時とか、「ちょっと待って、幸子めっちゃエモいやん!」ってなった。あと幸子がインタビューで「いいメロディを作る、いい曲を作る」と語るとおり、新作の【ダンスミュージック×ねごと】という目に見えて新しい『変化』に注目するのもいいが、それよりも改めてねごとが持つメロディセンスに注目すべきライブなんじゃあないかって。あと今日の幸子見てたらいつかガチでツインドラムやり始めるだろこれって思った。

ちなみに、今日のライブで瑞紀が使ってたギターはかのZEMAITISで、ZEMAITISといえばご存じBAND-MAID当て振り鳩女こと小鳩ミクちゃんもZEMAITIS使いなのだが、瑞紀がZEMAITISを持って弾いている時の「型」と当て振り鳩女ZEMAITISを持ってアテフリしてる時の「型」、同じZEMAITISでもこうも違うのかよと、それこそ「プロの型」と「ドシロウトの型」というか、「本物」と「ニセモノ」の違いというか、やっぱりギタリストってギター抱える立ち絵=「型」だけでその人の技量が雰囲気として出ますね。今日のバッリバリの「ロックギタリスト」としてシン化した瑞紀の「型」と比べると、当て振り鳩女はその辺の量産型アイドルに初めてギターを持たせたみたいな立ち絵のソレで、そもそも瑞紀と当て振り鳩女を比べること自体瑞紀に失礼なんだが、要するに同じZEMAITIS使いとして当て振り鳩女は瑞紀にギター教えてもらえよ。つうか、ねごとのツアーファイナル行って勉強してこいよ。わかったか、当て振り鳩女。いや、でも、やっぱ瑞紀推せるわ~と再確認。

【3/20】セットリスト 
01. PLANET
02. DESTINY
03. Ribbon
04. holy night
(MC)
05. 天使か悪魔か
06. school out
07. シンクロマニカ
08. cross motion
09. mellow
(MC)
10. メルシールー
11. 君の夢
12. シグナル
13. endless
14. アシンメトリ
15. ETERNALBEAT

(MC)
16. ループ
17. 凛夜

【3/5】 EASTSIDEROCKERZ pre PUNK AROUND THE WORLD VOL.78

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「えー本日私はですねぇ、名古屋県は豊橋市に来ています」

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「と言うのはですねぇ、ここ徳川家康ゆかりの地である豊橋には、1853年のペリー来航時にペリーが徳川幕府への手土産として一人のメイドをこの地に残したという、そんな嘘かホントかわからない逸話があることで有名でしてね」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「しかし、ペリーの無理難題な要求に激怒した徳川幕府はですねぇ、その手土産のメイドを惨殺したっていう恐ろしい話があるんですよ」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「その無残にも惨殺されたメイドの怨念とでも言いましょうかねぇ、そのメイドの『呪い』が徳川ゆかりの地に降り掛かった、この豊橋という地には、そんな言い伝えが密かに今でも残ってるんですねぇ」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「その嘘かマコトかわからない都市伝説の真相を確かめに、私ははるばる豊橋にやって来たというわけです」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「そんでもって、夜な夜なメイドの格好をした幽霊が現れるっていう豊橋clubKNOTとかいうライブハウスがここです」 

new_スクリーンショット (36)

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「うわぁっ!入り口に近づいただけでもの凄い寒気というか、見てくださいこの鳥肌。やだな~怖いな~」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「しかし中は至って普通のライブハウスといった感じですねぇ。ざっと見積もってキャパは150~200人くらいですか。意外にも広いです。」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「あぁ、ちなみに今日はパンクイベントの『PUNK AROUND THE WORLD VOL.78』が開催されている日でして、ちょうどオープニングアクトが登場する時間ですが・・・あっ、来ました来ました」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「うわぁっ!ボーカルが腕に入れ墨してるぅ!だめだだめだだめだ。こいつだめだ。こいつ怖い。こいつ危ない。」

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「噂によるとですねぇ、そろそろメイド姿の霊が出没するという時間帯ですが・・・」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「うわぁっ!でました!メイドのバンドです!しかも五人!うわうわうわ、よく見れば五人の内の二人は黒っぽい衣装でメイドっぽくないですが、それはともかくもの凄い激しい音を奏でています!まるでメイドの怨念が音霊となって現れてるようです!」 

  ???
new_スクリーンショット-2016-10-29-2「萌え萌え!キュンキュン!」

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「うわぁっ!呪われるぅ!やだな~怖いな~...というよりイタいな~...だっておかしいじゃない、推定アラサー付近のいい年した女がメイド服のコスプレして「くるっぽ~」とか「萌え萌え!キュンキュン!」とか言い出すんだもん。だめだだめだだめだ。こいつだめだ。こいつ怖い。こいつ危ない。」 

ぼく稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「しかしこのメイド、喋る他にもギターも弾くんですねぇ・・・おや?妙に変だなぁ・・・?私ねぇ、ナニかおかしいと思って、下手側のメイドの手元をジ~~ッと、念入りにジ~~~ッと見てて、そしたら私ねぇ、気づいちゃったんですよ」 

new_スクリーンショット (35)
「あぁ、こいつが妖怪当て振り鳩女だって」 
                                                 

そもそも、パンク系の対バンイベントにBAND-MAIDって、誰もがただの客寄せパンダならぬ客寄せメイドだって思うかもしれないが、それは全くの勘違いで、実はインディ時代のバンメってめちゃくちゃパンクっぽいことやってて、だから今回のパンクイベントで一番気になる所はセットリストで、「パンク」のイベントだけあってインディ時代の『New Beginning』縛りのセトリでくるのか、はたまた5月からのツアーを想定して新曲多めでくるのか、でもそれだと「パンクのイベント」に出る立場としてどうなの?みたいな所はあるのだけど、結果から言ってしまえば、「パンク?何それおいしいの?」みたいな新曲+代表曲を織り交ぜた全10曲を披露した。

【3/5】 BAND-MAID
セットリスト
01. REAL EXISTENCE
02. Don’t let me down
03. Don't you tell ME
04. Unfair game
05. LOOK AT ME
06. secret My lips
07. the non-fiction days
08. FREEDOM
09. YOLO
10. alone

まずはステージの幕が開くと、ちょっとシャレたSEを挟んで、メタリカをはじめ80年代のスラッシュ・メタル顔負けのオープニングのリフが鳴り響き、「バンメの曲にこんなリフあったっけ?」と思ったら、まさかの二番手としてバンメンバーが登場。正直、バンメの出番は三番手だと勝手に思い込んでたから、まさかの二番手で驚いた。そして、彩姫さんの「お給仕はじめます」の決めゼリフを皮切りに、まずは自己紹介がてら”REAL EXISTENCE”とパンクスの反応も上々な”Don’t let me down”というインディ時代に培ったバンメのパンク精神をブチかまし、「これは初期縛りのセトリか?」と思ったのも束の間、続いて新譜から”Don't you tell ME”から、シングル『YOLO』のカップリング曲の”Unfair game”のイントロの「ハァッ!?」ってSEが聞こえてきた時は「え、マジか」って声が漏れた。この曲をライブで演るとは全く想像してなくて不意を突かれたというか、この曲はやっぱり彩姫さんのパンチの効いた歌が凄くハマってるし、あと歌波の不気味なリフと超絶ギターソロがヤバ過ぎた。で、コテコテのハードロック曲の”LOOK AT ME”から、再び新譜のクライマックスを飾る曲であり個人的にもオキニの”secret My lips”を、ここで、このタイミングでやっちゃうんだって、再び私は虚を突かれた思いがした。この曲はちょっとDjentっぽいモダンさがあって、音源では彩姫さんのエコーがかった序盤のボーカルが晴れる瞬間の気持ちよさがサイコーにエモーショナルな曲だ。でもやっぱり、この曲のイメージって傑作だった新譜のラストを飾る、つまり「ライブでも最後に聴きたい曲」みたいなイメージが自分にはあったから、いやこれは最後にやってナンボだろってなった。逆に”YOLO”を出し惜しみし過ぎじゃねーかと思ったけど、でもそれだけ大事な曲ってことなんだろうなって、今回のセトリの曲順を見て感じた。で、名曲の”the non-fiction days”の後に当て振り鳩女のMCという名の”おまじないタイム”が入って、客のパンクスと「萌え萌え!キュンキュン!」の掛け合いしだして素で「なんだこいつ・・・」ってなったし、その当て振り鳩女のMCを彩姫さんが「忘れて」とクールにアシラってから始まる、個人的にバンメの曲で一番再生回数が多い”FREEDOM”は単純にアガった。この曲の彩姫さんクソカッコイイからマジで。

正直、個人的にはあくまでも5月10日から始まるワンマンツアーに標準を合わせていて、でも5月は未来過ぎるということで、そのワンマン前にザックリとしたイメージでも知っておくのも悪くないと、どうやら3月に名古屋県は豊橋市でパンクイベントに出演すると聞いて速攻でチケを取って、この度は約一時間かけて豊橋まで足を運んだ次第だ。決して、「彩姫さんを一日でも早くこの目で見たい」という下僕的な下心ではなく、あくまでもバンメの全体的なイメージ像を少しでも知っておきたいという至極真っ当な理由だ。と言ってみても、それこそ「バンメを知らない稲川淳二」みたいなキャラ設定で挑むつもりが、いざ生彩姫さんを目の前にして見ると流石に素でテンション上がったし、何よりも楽器隊の安定感に溢れたパフォーマンスに驚かされた。

自分はフロアの後方から、しかし彩姫さんが真正面にくる立ち位置からまったりとライブを見させてもらったのだけど、ぼく下僕が彩姫さんに対して懸念を感じていた「ハスキーボイスはニッチ」に対する回答は、ライブでは全くと言っていいほど「ハスキーさ」はないし、むしろライブだと低域が強調されたイメージも薄くて、逆に高域までしっかりと声が出てて普通に上手かった。それなりにフィジカルとメンタルと歌唱力を必要とされる音楽性だけに、鬼ごっついバンド・サウンドに彩姫さんの声が埋もれてしまわないかと心配してたけど、全然そんなことはなかった。というより、楽器隊が彩姫さんに対して相当気を使ってるというか、楽器隊の優しさを垣間見た気がした。それは音圧的な意味でも同じだ。とにかく、僕はなんて余計な心配をしていたんだと自分を恥じた。確かに、初めの数曲は声が安定しないパートも所々あったけど、「YOLO」カップリング曲の”Unfair game”から急速に安定感が増していった。なんだろう、あらためて彩姫さんに調教されたい願望が強くなった。その「安定感」で言えば、MISAと茜のリズム隊の安定感、特に茜のドラミングはちょっと尋常じゃない巧さだった。なんだろう、「特別に意識せずとも茜のドラムは常にそこに存在する」みたいな安心感が凄かった。

下僕達の天敵である当て振り鳩女は、MCの時は一人で目立ってるけど、曲になるととたんに空気みたいに目立たなくなる。そもそも歌ってる時よりもMCの時の方が声量あって笑う。つうか、小鳩ミク一人でMCやって一人だけ自己紹介するって逆にスゲーっつーか、そんなバンド今まで見たことなかった。だから強烈な闇を感じたわ。あと最初のMCで今年一番テンションが高いとか言い出して、こいつ危険ドラッグでもやってんじゃねーかって、いやそこはパンクだけに「当て振りダイブ」しろよってツッコんだ。でも流石にワンマンでは彩姫さんのMCあるよね?というか、頑なに小鳩ミク以外にMCさせない理由ってなんだ?他のガルバンとの差別化?ミステリアスなキャラ付け?それともただ小鳩ミクがMCの独占権を取得してるから?まぁ、小鳩ミクのユルいMCもいいけど、メンバーのMCからバンドの内情を知ることができたりするから、そろそろ他のメンバーがどんな考えでやってるとか、ライブの意気込みだとか、そういった内面的な部分をもっと出していくべき時期なんじゃあないかって。要するに、MCの部分にもバンメのウリである「ギャップ萌え」に対するこだわりが欲しい。だって普通に歌波のMCとか聞きたくない?

この日のBAND-MAIDは二番手の登場で、一番手のOAを務めた地元豊橋のバンドであるsolid red styleは、やけに気のいいボーカルのあんちゃんが煽り上手で、バンメの前に会場をいい具合に温めてくれた。バンメを挟んで、三番手は名古屋出身のスリーピースバンドENTHで、どうやらギターの子が豊橋出身で今日のライブにも親族が観に来てて、だからかやけに気合の入ったギターをブチ鳴らしてた。あと童貞臭いギタボのキモロンゲが「くるっぽ~」をネタにしてた。音は良質なメロコアだった。そして、本イベントのトリを飾るのはNAMBA69で、ご存じハイスタの難波さん率いるジャパニーズ・パンク界のレジェンドだ。と言いながらも、自分の中でNAMBA69って「名前は聞いたことある」くらいの知識しかなくて、でも本当にパンク・ロックが好きなんだなってのが十二分に伝わってくるクソアツいパフォーマンスを、それこそ「パンクとはナニか」と、言わば「パンクの真髄」とやらを見せつけられたライブだった。中でも客のパンクスをステージに上げて、逆に難波さんがフロアに降りて演奏し始めた時は「これがパンクや!」としか他に言いようがないブッ飛んだ光景だった。いくら初期のバンメがパンクっぽいと言ってみても、やっぱり本職でパンクロックやってる人らにはパンクスに対する煽り方を含めて敵わない。

そのNAMBA69は、4月5日にミニアルバム「HEROES」をリリースするとのことで、今日のライブでお披露目された2つの新曲も、一曲はデスボイス入りの鬼ごっついハードコアチューンで、もう一曲はスカを取り入れたスカダンス推奨曲で、どっちも激しくノレるキラーチューンだった。なお、ギターの人が加入して初の作品らしく、特に一曲目はメタル/ハードコア担当である彼の音楽的嗜好がより強く出ていた。あとMCでバンメと楽屋が一緒だったらしく、バンメの着替えの時に気を使った話とか、素直に羨ましかった。今のメイドってそんなサービスしてんのかよ!

今日のバンメのライブを見たら俄然5月のワンマンが楽しみになったし、今回のガチパンク勢との対バンはバンメにとっても大きなプラスになったに違いない。でも散々、1月にアルバムをリリースして5月にツアーとか遅すぎだろって思ってたけど、小鳩ミクがワンマンツアーの宣伝の時に「5月10はメイドの日っぽ~」みたいなこと言ってて、妙に納得したような納得しないような・・・。つうか、豊橋の駅前にメイド喫茶があって笑った。小鳩ミクの次の就職先かな? つうか、豊橋ってもはや名古屋県じゃなくて浜松っつーか静岡だよなって。あと、あの彩姫さんが「トヨハシ~!」ってクソ田舎の地名を口にした瞬間は間違いなくこの日最大の「ギャップ萌え」だったわ。この二ヶ月後に「ナゴヤ~!」って大田舎の地名を口にする彩姫さんを想像しただけで夜も眠れない。だからワンマンは前方狙っていきたい。良番こいこいこいこい。こいつだめだ。こいつ怖い。こいつ危ない。

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【9/19,20】 BABYMETAL WORLD TOUR 2016 LEGEND - METAL RESISTANCE - RED NIGHT & BLACK NIGHT@東京ドーム

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昨年、ANATHEMAの奇跡の初来日公演、しかも2デイズという長年の『夢』が叶ってから早一年、その『夢』という名の『人生のピーク』がまさかBABYMETALによって新たに更新されるなんて、それこそ『夢』にも思わなかった。そんなこんなで、9月19日と20日に東京ドームで行われた、ワールドツアーのファイナルを飾るBABYMETAL第四章「LEGEND - METAL RESISTANCE - RED NIGHT & BLACK NIGHT」に参戦した感想をば。

そもそも、僕が初めてBABYMETALのライブを見たのは約三年前のサマソニ大阪で、あの時は「いま最も勢いのあるアイドル」と確信したものの、まさかその三年後に東京ドーム2デイズをSOLD OUTさせるほどのビッグアーティストに化けるなんて、さすがに僕のキング・クリムゾンですら予測不可能な出来事だった。ちなみに、僕は両日ともジョジョTシャツで参戦。そんな事決まってるだろォッーーーがッ!

【LEGEND -METAL RESISTANCE- RED NIGHT】
9月19日セットリスト
01. Road of Resistance
02. ヤバッ!
03. いいね!
04. シンコペーション
05. Amore -蒼星-
06. GJ!
07. 悪夢の輪舞曲
08. 4の歌
09. Catch me if you can
10. ギミチョコ!!
11. KARATE
12. Tales of The Destinies
13. THE ONE - English ver. -

ツアーファイナル初日(19日)は、スーパー台風接近に伴い、東京の空模様はあいにくの雨すなわち「止まない雨」が降り注いでいた。しかし、これは今思うと『レジェンド』すなわち『伝説』が生まれる前触れに過ぎなかった事を、この時の僕たちは知る由もなかった。ツイッターのハッシュタグ#BABYMETALの情報によると、どうやら4時の開場だったのが30分くらい押してて、この時すでに開演が遅れることを予想するメイトは少なくはなかった。事実、その情報を信じて余裕ブチかましてた僕が、本来の開演時間である6時の10分前にドームに着いてもまだ入場列が続いていた。自分は23ゲートからの入場で、発券すると『RED NIGHT』&『BLACK NIGHT』ともにレフトスタンド側の2階席の一桁列の座席だった。6時に着席した時にはすでに開場は満員御礼で、これから約5万5千人のロリコンが狂喜乱舞するなんて想像しただけで恐怖に近いものがあった。そして気になるステージ構成は、いわゆるセンターステージと呼ばれるもので、ドームのど真ん中に巨大なセット&スクリーンがあって、そこから三本の矢のように花道が伸びた感じのやつ。

謎のコルセットを首に巻いて座席についてまた少し経ってから、ようやく開演。すると同時に、真ん中のスクリーンにショッカーみたいなホネホネロックマンが現れて、キツネ様からのお告げ「このツアーファイナルは『RED NIGHT』&『BLACK NIGHT』の2日間で構成/完成され、1stアルバム『BABYMETAL』と2ndアルバム『METAL RESISTANCE』の曲を全部奏でるって約束したけど、一度奏でた曲は二度と演らないよーん」みたいな説明が終わると、続いて恒例の紙芝居がスクリーンに映し出される。先日、僕が書いた『METAL RESISTANCE』のレビューを見た人なら気づいた人もいるかも知れないが、オープニングの紙芝居演出でシン・ゴジラネタをオマージュして怪獣シン・ベビメタが登場した時、心のなかで「yes!!yes!!jens!!」とガッツポーズしたのは僕だけじゃあないはずだ。実はこの東京ドーム2デイズに参戦するにあたって、四年後の東京五輪に向けたナニかしらの伏線を見つけ出すという一つの目的があって、それがまさかメンバーが登場する前、曲が始まる前の演出でそのシン・ゴジラとBABYMETALが東京五輪でコラボする可能性(伏線)を示唆するなんて思っても見なかった。

そして、満を持してBABYMETALの三人と神バンドが登場し、一瞬にして会場は爆発的な盛り上がりをみせる。予想どおり、一曲は今年リリースされた『METAL RESISTANCE』のオープニングナンバーである”Road of Resistance”だった。まさにこれからロリコンモッシュメイト率いるベビメタ軍と俺の感性率いるアグネス(ラム)軍の合戦が行われるかの如し壮大なイントロから、神バンドのドラフォ然とした演奏をバックにSU-METALの力強く伸びやかな歌声とMOA-METALとYUI-METALによるキレキレなダンスパフォーマンスがまたたく間に露見する。それこそ開演前は→「ロリコンベビメタ軍のロリ根性を叩き潰すッ!」とばかりイキってたが、しかし初っ端からBABYMETAL&神バンドが織りなす圧倒的なサウンドスケールにド肝を抜かれたアグネス(ラム)軍はロリコン化し、気づけばベビメタ軍と一緒になって「ウォーオーオーオーウォーオーオーオー」とメタル魂を昂ぶらせながらシンガロングしていた。そう、俺たちアグネス(ラム)軍は一瞬のうちにして戦乙女SU-METALの傀儡と化してしまたのだ。

二曲目はまさかの”ヤバッ!”で、この立て続けに新譜からの流れはヤバッいくらいアツい。なんかイメージしたとおりのダンスのフリで萌え死ぬかと思ったし、ライブだと終盤の怒涛の展開はヤバッ過ぎた。一転して、アイドルらしい”kawaii”をフューチャーした1stアルバムから”いいね!”では、さっきまでの「メタルバンド」としてのBABYMETALではなく、「アイドル」としてのBABYMETALの側面を垣間見せ、それこそ一瞬にして東京ドームがアイドル現場と化し、ドルヲタらしくいいね!コールや合いの手入れまくってブヒりまくる。この振り幅こそベビメタならではの醍醐味か。再び、新譜からジョジョ一部リスペクトな歌詞と陰陽座の黒猫化するSU-METALが凛々しく歌い上げる”シンコペーション”、からの”Amore -蒼星-”では、まるで「翼をください」とばかり巨大な白い翼が中央のスクリーンに映し出されるとともに、その翼の生えたSU-METALが巨大なステージの最上部へと飛び立ち、言うなれば使徒SU-METALとなって世界の中心で、東京の中心で「愛の言葉」を叫ぶ姿は、それこそシン・エヴァンゲリオンのフォース・インパクトと言っても過言じゃあないくらいの衝撃を与えた。あとはやっぱり「もしも君を~」の部分の歌は感動した。

Gojira顔負けの例の「バン!バン!バン!」に合わせて繰り返し手拍子を要求する、YUI&MOAをフューチャーした”GJ!”、再びSU-METALの妖艶な歌声が響き渡る”悪夢の輪舞曲”、再びYUI&MOAがメインの”4の歌”は19日のハイライトで、YUI&MOAが「ヨンヨン!」と煽りまくるくらい4の応酬はもはやオトナの教育テレビ的なノリすらあった。終盤は名曲の”ギミチョコ!!”から”KARATE”、クライマックスは”Tales of The Destinies”から”THE ONE”へと繋がる組曲で終わるのだが、”ToTD”を難なく歌いこなすSU-METALとプロフェッショナルさを見せつける神バンドに感心しつつも、英語版の”THE ONE”が始まる前に首に巻かれたコルセットが一斉に光を放ち始め、その「世界を一つにする」という2ndアルバムのコンセプトどおり、東京ドーム約5万5千人のメタル魂を一つにする演出に、会場は異様なざわめきと歓喜に包まれた。この演出を見越したセンターステージであることに納得すると同時に、会場が光と言う名の希望に包まれて「世界が一つになる」光景を目の当たりにして、一瞬素に戻って感極まった表情を浮かべたYUIMETALを僕はきっと忘れない。

はじめにホネホネロックからアナウンスされたとおりMCなしアンコールなしの約一時間半、あっという間でもあり、しかし公演時間以上に濃密な世界観と圧倒的なサウンドスケールに終始息を呑むことしかできなかった。三年前のサマソニ大阪で見たBABYMETALとは何もかもが桁違いに違っていたし、つまり【たった十メートルもない距離で見たBABYMETAL×三年=東京ドーム2階席の距離で見たBABYMETAL】と考えたら感慨深いものとナニかこみ上げてくるものがあった。このサマソニ【大阪】から【東京】ドームの距離の間に、彼女たち三人が経験してきた数多くの試練は、いわゆる普通の人間が送るであろう普通の人生を何百倍にも凝縮した濃密な三年間だったに違いないし、たった三年でもう手が届かない距離まで成長した彼女たちの勇姿に僕は敬意を表したい。

つうか、そんなことより、この初日はMOAMETALも大好きな℃-uteの愛理が観に来てたって知ってマジかよ!?ってなった(愛理のブログ参照)。本来は見られる側、ステージに立つ側の人と一緒に観客として見れた事の方がデカい。ワンチャン愛理がコルセット巻いてた可能性を想像しただけで俄然ガチ恋に発展しそうになるし、これにはMOAMETALもそれこそ「幸せの4」を猛烈に感じているに違いない。なんかもう愛理が良いっていうんだから良いライブだったに違いないし、その辺の素人よりもステージに立つ側の人間に評価されることほどの名誉はないだろう。しっかし、ここ数年℃から離れてたせいか、およそ55000人の中に愛理のオーラを感じ取れなかったのは一生の不覚だわマジで・・・。


【LEGEND -METAL RESISTANCE- BLACK NIGHT】9月20日セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. あわだまフィーバー
03. ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
04. META!メタ太郎
05. Sis. Anger
06. 紅月 -アカツキ-
07. おねだり大作戦
08. NO RAIN, NO RAINBOW
09. ド・キ・ド・キ☆モーニング
10. メギツネ
11. ヘドバンギャー!!
12. イジメ、ダメ、ゼッタイ

二日目の【BLACK NIGHT】は、初日のように開場が押すこともなかったので、早めに会場入りすると、会場のBGMにはドリムシやメイデン、メタリカやドラフォにBMTHが流れていた。しかもメイデンのFear Of The Darkで客がシンガロングしてて笑った。しかし、あらためてバックネット裏の最上段までギッシリ人が埋まっていく光景は壮観だなと眺めてたら開演時間の7時になる。

新譜中心のセットリストだった【RED NIGHT】に対して、二日目の【BLACK NIGHT】は1stアルバム中心のセットリストで展開していく。花道の先端から十字架に磔にされた状態で地上に現れた三人の使徒は、初っ端の”BABYMETAL DEATH”から会場のボルテージを一気にブチ上げる。その勢いのまま、新譜から”あわだまフィーバー”、続いて”ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト”、「ウォーオーオーオー」とシンガロングさせる”META!メタ太郎”、映画『インターステラー』を彷彿とさせる「怒れ!怒れ!」という紙芝居演出からブルータルな”Sis. Anger”へと繋がり、そしてX JAPANの”紅”をオマージュしたSU-METALによる「アカツキだーーーーー!」という掛け声から、彼女の天性の歌声がドームに響き渡る”紅月 -アカツキ-”では、恐らく両日合わせても最高峰のボーカルパフォーマンスを見せつけ、その説得力のある「ボーカリスト」としてのSU-METALをまざまざと見せつけられた僕は、感動のあまり心のなかで・・・

(出山ーーーーーーーーーーーッ!!)
(ホームオブハーーーーーーートッ!!)
(すず香ッ!!)

・・・と叫び声を上げた。

更にYUI&MOAをフューチャーした”おねだり大作戦”を挟んでから、自分の座席のちょうど目の前にあるレフトスタンド側(すなわちBOHさん側)の花道の先端地下からSU-METALが現れる。そして”NO RAIN, NO RAINBOW”のイントロが始まるとともに、円形のコンベアに乗って中央ステージ最上部へと導かれていく。いま思えば、この連日のスーパー台風の影響による「止まない雨」も粋な演出として組み込まれていたのかと思うくらい。そしてX JAPANのギタリストPATAhideの魂が天国から舞い降りてきたようなツインGソロにまたしても涙してしまった僕は、ふとドームの天上を見上げながら・・・

天国のPATAへ、お元気ですか?
近頃は読売巨人軍が賭博球団化してしまい
熱狂的な巨人フアンのPATAは天国でさぞかし悲しんでいることでしょう
そんな巨人大好き芸人のPATAも思い出のある東京ドームで
X JAPANが数多くの『伝説』を残してきた東京ドームで
本日、また一つ『レジェンド』=『伝説』が生まれました
その『伝説』を残したアーティストこそBABYMETALです」 

・・・と心のなかで呟いた。 

で、”ドキモニ”からSU-METALあらため出山ホームオブハートすず香がキツネのお面ととともに登場する”メギツネ”、初日の【RED NIGHT】が4連呼なら二日目の【BLACK NIGHT】はヘドバン連呼とばかりYUI&MOAが「ヘドバン!ヘドバン!」と延々と煽りまくる”ヘドバンギャー!!”、そして初日のフォース・インパクトによって地球を紅に染め上げるかのように、首に巻かれたコルセットが一斉に赤く点灯しはじめ、YOSHIKIにダメ出しくらいそうな出山ホームオブハートすず香による英語の語りとともに、その流れでワールドツアーファイナルのラストを飾ったのは他ならぬ”イジメ、ダメ、ゼッタイ”だ。曲が終わると出山ホームオブハートすず香による「ウィーアー!」からの「ベビーメタル!」の掛け合いによって、三度東京ドームのオーディエンスは「一つ」になる。しかし、この「ウィーアー!」という出山ホームオブハートすず香の掛け声に対して「ベビーメタル!」ではなく「エーックスッ!」と叫んだのは僕だけじゃあないはず・・・いや、僕だけかもしれない。なぜなら、この東京ドーム2デイズは、僕にとって子供の頃にDVDの映像でしか見たことがなかった、十数年遅れてきたX JAPANの『THE LAST LIVE~最後の夜~』だからであり、それこそ十数年の時を経て伝説の解散ライブの熱狂を追体験するかのよう。少なくとも、この東京ドームのステージに立って演奏しているのは、BABYMETALという名の怪獣きぐるみを着たシン・エックス・ジャパンにしか見えなかったし、僕には最初から最後までSU-METAL出山ホームオブハート利三にしか見えなかった。

最後はステージの最上階へと上り、「3,2,1」の合図でSU-METALが銅鑼を鳴らすと同時に爆発音が鳴り響き、これにてBABYMETAL第四章は幕を閉じる。そして、中央のスクリーンに「BABYMETALの旅は続く」的な演出が入るのだが、この『続く』という言葉を聞いてホッと胸をなでおろしたモッシュメイトは少なくないだろう。このシン・BABYMETAL『THE LAST LIVE~最後の夜~』を迎えるにはまだ時期尚早だ。そんなことよりも、次章となるBABYMETAL第五章で一体どんな仕掛けや驚きを魅せてくれるのか、そして体験させてくれるのか、早くも楽しみになってきた。そのためには、『ゲーム・オブ・スローンズ』レナ・ヘディ『マザー』として迎え入れ、そして「世界を一つ」にしたBABYMETAL『鉄の王座』へと即位する未来のために、俺の感性率いるアグネス(ラム)軍は彼女たち三人の『鋼鉄の処女』を守り抜く下僕として仕えることを今ここに誓うのであった(完)

オープニング映像のホネホネロックマンが忠告したとおり、一日目の【RED NIGHT】は新譜メインで、二日目の【BLACK NIGHT】は1stアルバム中心のセトリで、本当にバランスの良いセトリで、甲乙つけがたいです。両日ともSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETAL、そして神バンド含めてメンバーそれぞれに見せ場があって、炎やレーザーを駆使した演出面も余すことなく披露された。個人的には、二日目の【BLACK NIGHT】のほうが落ち着いて冷静に見れたこともあって、MOAMETALの愛理顔負けのキレッキレなダンス、約5万5千人の視線をスクリーンに釘付けにするYUIMETALの「朝ドラヒロイン」感、そして連日、むしろ二日目の方が歌唱力が増してたんじゃねーかレベルのSU-METALの「ボーカリスト」としての成長性にはただただ脱帽するしかなかった。あとはやっぱり、自分の中で”紅月 -アカツキ-””NO RAIN, NO RAINBOW”の共演は、ちょっとどころじゃないちょっとした大事件だった。

それこそ愛理の言うとおり、ただただ圧倒されるばかりだった。ライブが終わってホテルの部屋に戻ってみても、さっきまでのアレは『現実』だったのか、それとも『夢』だったのか、でもそれは『現実』でもあり、同時に僕の『夢』でもあったんだ。今でもその余韻が「止まない雨」のように心に降り注ぐ。むしろ終演後にあのライブの凄さを徐々に実感していった。

ところで、後日の早朝ニュースで「奇抜なおっさん大集合」とかいう風に紹介されてて笑ったんだが、でもベビメタって本当に老若男女に支持されてんだなって実感したちょっとしたエピソードがある。それは初日の19日、僕は午後二時くらいに某ホテルにチェックインしようと、案の定長蛇の列を作っている黒いベビメタTシャツを着たベビメタ勢の後ろに並んだわけ。僕の前には至って普通の旅行者みたいな風貌をした40代後半から50代前半の美人なマダムが並んでて、僕は「このマダムもこんな時に災難だな~っ!」って思ったら急に話しかけられて→

マダム「あの~、この列の人達ってライブの人たちですか?」

ぼく「えーっと、多分そうですね」 

マダム「・・・(謙遜しながら)実は私もそうなんですよ」

ぼく「あっ、そーなんですか!?(マジかよ承太郎!)」

マダム「今日の開演って6時ですけど、一時間前くらいにドームに行けば大丈夫ですかね?」

ぼく「ん~~多分そのくらいで大丈夫だと思います(このマダム...できるッ!!)」 

マダム「・・・あっ、ありがとうございます(ペコリ)」 

ぼく「うん」
 

実はこんな他愛もないエピソードがあって、だからといってドヤ顔で「ベビメタは外国人や老若男女に人気ある!」というわけじゃあないが、事実こんな会話をマダムと交わした僕は、その件に関しては少なからず好意的なイメージで語ってもイイんじゃあないか?
 

【5/13】 Boom Boom Satellites 『FRONT CHAPTER Vol.4』@名古屋CLUB QUATTRO

Boom Boom Satellites 『FRONT CHAPTER Vol.4』

ほんの少しタイミングが合わなかったばかりに、「雨が降ってる」とか「音源の予習ができなかった」とか「平日ライブに行きたくない病」など様々な事情が重なった結果、tricotの4月のワンマンツアーを発券したのにも関わらずスルーしてしまった事は、実際に音源を聴いてドハマりした今となっては悔やんでも悔やみきれない大失態で、しかし赤い公園のマンマンツアー前にどうにかしてtricotのライブが観たい・・・と思った矢先に、Boom Boom Satellitesのツアーのゲストにトリコが出演するとの情報を小耳に挟み、この上ないタイミングでトリコのライブが観れる事になり、トリコ参戦が決定した瞬時に二度目の正直的な勢いでチケットを取って、色々な意味で晴れて念願のトリコのライブを名古屋クワトロで観てきた、というわけ。

で、「遂に俺的ラブメイトランキング暫定トップのヒロミ・ヒロヒロが生で拝めるぜ!!」というウッキウキ気分のまま、本公演の会場となる名古屋クワトロを擁する栄のパルコに6時50分に到着。7時の開演前に何としても間に合わせねばと、急ぎ足で会場がある8階(最上階)へと階段を使って上る俺。1階...2階...3階...4階...着実に階を重ねて行く俺。その決死の姿はまるで『24』のジャック・バウアーさながらだ。しかし、ここで妙な出来事が起こる。5階から6階にかけて長蛇の列ができているではないか。はじめは「妙に変だなぁ?まだ入場終わってないのか?でもツイッターによるとSOLDOUTしたらしいし、ちょっと時間押してんのかなー?」という割りと呑気な事を考えながら、その長蛇の列の最後列に並んだんですよ。しかし一向に列が進まない。妙に変だなぁ・・・この列の人みんなタワレコの袋持ってる。しかも袋持ってる人が再び最後列に並び始めている。妙に変だなぁ・・・。気づくと開演時間の7時。そろそろ本格的に稲川淳二ばりに険しい顔をしながら「妙に変だなぁ・・・」って思い始めたんですよ。ここでふと耳を澄ますと、最上階からtoricot”E”らしきライブの音漏れが耳を優しく刺激した。その瞬間、そこで私、気づいちゃったんですよ→あっ、これクワトロ行きの列じゃないわ。これアイドルの複数買いの列だわ」って。この驚愕の事実に気づいた瞬間の俺→「ちょっとまってちょっとまってお兄さーーーーんwwwwwwwwファッ◯ンゴレライwwwwwwwファッ◯ンゴレライwwwwwww」とナニカに対してツッコミながら、あるいは「こんな階段付近でCD即売なんかするんじゃあない!このクソカスがああああああああああああ!!」とか心の中で叫びながら人混みを回避して急いでクワトロへと向かい、遂に入場するが・・・時スデにお寿司!この日はSOLD OUTというだけあって、会場は既に後方まで観客でギッシリ、ステージではトリコが”E”を演奏している真っ最中! 「うおおおおおお!!近くて遠い俺とヒロミ・ヒロヒロの距離ッ!!まるで一次元(俺)と五次元(ヒロミ・ヒロヒロ)の関係の如く永遠に届くことのない距離!!クソおおおおおおおおおおおおおおおお!!タワレコ許すまじ!」。おいおいマジでギャグ漫画の主人公かナニカかよ・・・我ながら笑ったわ。

tricot
セットリスト
01. E
02. ぱい~ん
03. アナメイン
04. おちゃんせんすぅす
05. おもてなし
06. pool side
07. POOL
08. 庭
09. 99.974℃
10. Break

話を戻して、まず気になるのはセトリだ。ワンマンツアーではないし、BBSのファンに対してどんなセトリを組むのか俄然気になる所だ。言わずもがな、最新作となる『A N D』のリードトラックでもある”E”でスタートダッシュを決め込み、同じく『A N D』からシングル版の”ぱい~ん”というアルバムの中でもキーマンを担う楽曲で怒涛な勢いで攻め立てる。ここでギアチェンジして、1stミニ・アルバム『爆裂トリコさん』からインストの”アナメイン”と1stアルバム『T H E』から”おちゃんせんすぅす”の二曲を続けて披露し、トリコのユニークなライティングセンスとオシャンティなメロディセンス、そして遊び心に満ち溢れた、と同時に憎たらしくもある"ライブバンド"としての演出力の高さを垣間見せ、目の前のBBSフアンをトリコワールドにグッと引き込んでいく。再びギア・チェンジして始まる”おもてなし”以降は、”pool side""POOL”という1stアルバムの名曲をブチかまし、会場が程よく温まってきた所でイッキュウが「普段はカッコつけてるけど、この曲はそうじゃない」的なたどたどしいMCを引き継いで、キダモティフォの「長澤まさみがハマっているらしい・・・サンバ!」という合図で一旦メンバーが袖にはけて、サポートドラマーの山口美代子さんの紹介から再びメンバーが戻ってきたと思ったら、そこには信じられない光景が広がっていた。ホイッスルを咥えたモティフォが「ピーピーピピッ!ピーピーピピッ!」とか吹きながら登場すると同時に、中嶋イッキュウはマラカスをフリフリシェイクし始めたりと、とにかくモティフォのインパクトが出オチ過ぎて→「なんやこいつら・・・アホすぎる・・・アホすぎて最高だ・・・」ってなった。もはや推しメンであるヒロミ・ヒロヒロの存在を忘れるくらいだった。音源だとノリがロキノン系クサ過ぎるけど、ライブだとパフォーマンスの"面白さ"が最優先になるから、この曲はライブで演ってナンボだなーと。で、ライブも終盤、中嶋イッキュウの「本性見せちゃっていいすか?名古屋かかってこいよぉぉーー!!」とかいう煽りから、”MATSURI”の轟音イントロから繋いでトリコ屈指の名曲”99.974℃”を披露し、それこそ会場のボルテージを”99.974℃”までブチアゲる。ラストはお馴染みの”Break”でユルリと締める。記憶違いじゃないければ全10曲でジャスト45分キッカリだった。セトリは新旧織り交ぜた、初めてトリコのライブを観るであろうBBSフアンに向けて、トリコの魅力を45分に凝縮して伝えるのに最も適したバランスの良いセトリで、トリコ目当ての自分としても(初ライブにしては)十分満足のいくセトリだった。正直”アナメイン”は予想外の選曲だったし、イッキュウの「ウオーオーオーオーオー」とかいうボイスも迫力あったし、とにかくライブのアレンジが異常にカッケーかった。もはやキダモティフォの独壇場と言っても過言じゃあない”おもてなし”は、モティフォのキッレキレなパフォーマンスに目が釘付けになったし、特に例のプログレッシブ・デスメタル・リフの部分はヤバい。というか、基本的にライブだとモティフォがヤバい。推しメンのヒロミ・ヒロヒロそっちのけで、モティフォキモティフォな動きを目で追ってしまうくらいにヤビャい。ステージのド真ん中に構えるヒロミ・ヒロヒロは終始ピョンピョンしてた。バンドの演奏やイッキュウのボーカルも終始安定してたし、そして何よりも山口美代子さんのドラム鬼スゲーと思った。あとイッキュウはMCで「BBSのライブに呼んでもらえて、他のバンドに羨ましがれてる」的な事を、ツイッターのツイートとほぼ同じことを何度も繰り返し言っていた。対バン相手に対するリスペクトを忘れない姿勢は好印象。当然、会場にいる大半はブンブン目当てってのもあって、いわゆる暴れ系の曲でもモッシュやダイバーなどはなく、比較的大人しめに盛り上がっていた。欲を言うなら”走れ””slow line”も聴きたかった感。

自分の中で、Boom Boom Satellitesという名前から連想されるイメージっつーと→主要な邦楽フェスの常連で、今回のようにイケイケな若手バンドとも積極的に対バンしたり、ニコ生でキッズに媚び売ったり、最近では日テレに特集組まれた?りと、要するに最近の邦楽バンドにありがちな"節操ないバンド"の一つ、みたいなネガティブなイメージが少なからずあって、思うに『邦楽ロックバンドはダサい』と言われる理由の一つに、その"節操のなさ"が根底にあると思うのだけど、その"節操ないバンド"が量産された結果、どのフェスも結局は似たり寄ったりなメンツになる、というダサさスパイラル。

そもそも、このライブでBBSのフアンがtricotの音源を予習するという行為は至って普通の行為だが、でも自分はtricot目当てで逆にメインのBBSを予習してきた圧倒的少数派の人間で、予習と言っても今年リリースされた最新作の『Shine Like a Billion Suns』だけ、しかも時間の都合で一周しか聴けなかった自分が、先述したようにBBSに対してあまり良いイメージを持っていない僕が、初めてBBSのライブを観て一体何を感じ取ったのか?結論から言っちゃえば→「近年ANATHEMA感すごい」だ。

このツアーは最新作の『Shine Like a Billion Suns』に伴うツアーとのことで、そのアルバムのオープニングを担う”Shine”という、このライブの幕開けに相応しい曲でスタートする。この曲では、まるでANATHEMA『A Natural Disaster』『Distant Satellites』”Distant Satellites”のような、というより往年のレディオ・ヘッドを彷彿とさせるコテコテのUKサウンドを展開していき、その流れでエレクトロなビート感とエモーショナルなボーカル、そしてバンドのダイナミクスが激しく共鳴する”Only Blood”へと繋ぐ。序盤は最新作の曲を立て続けに披露し、その中でもテクノ調のシャレたサウンドに心躍る”A Hundred Suns”からアルバムのカギを握る”Blind Bird”へと繋がる展開は個人的なハイライトで、特に前者の”A Hundred Suns”はDjentに精通するドラム・パートが異様にカッコよくて、しかもブンブンのドラマーもtricotと同じく女性と知って更に驚いたのだけど、つまり今日の演者8人中5人が女性と考えたら何かスゲーなって。ハッ!これが女性Shine!のチカラなのか・・・ッ!?

いかんせん新作しか予習してこなかった自分は、どうしても後半の常連曲とかになると反応が鈍りがちで、とは言え基本的に、というか、それこそANATHEMAと同じく何よりも"メロディ"を大切にした楽曲が中心で、初見でもそれなりにノレちゃう懐の深い音楽性を垣間見せていた。一瞬にして会場をダンスフロアへと変える一方で、シッカリと聴かせる場面もあって、かなりメリハリの効いたライブだったように思う。終盤あたりは恍惚感溢れるサウンドスケープに溺れるようにして、気づけば身を任せるようにしてドップリと浸かっていた。ライブだと俄然ロック・バンドとしての側面が浮き彫りとなって、音のダイナミクスがより表面化していくイメージ。

しかし今まで全く意識したことなかったBoom Boom Satellitesのライブで、ANATHEMAの未来?を予感させるなんて思っても見なかった。もし4月のtricotのワンマンツアーに行ってたら、この日こうやってBBSの音楽に触れることはなかったと思うと、トリコのワンマンをスルーした失態がむしろポジティブな出来事に見えてくる不思議!でもガチでANATHEMAが次作でブンブン化したらクソ面白くなりそうだし、むしろ今日の出会い即ち引かれ合いはその伏線()だった!?そんな妄想が捗るくらい、もはや「アナセマならどんなボーカル乗っけるかなー?」とか想像しながら聴いていた。

結果として、予想だにしない収穫を得ることができた。ある意味、Boom Boom Satellites(未来のANATHEMA?)=と日本のPost-Progressive界を代表する新鋭tricotの次元を超えた対バンが実現したというわけだから。むしろブンブンとアナセマの対バン形式でいいから日本に呼んで欲しい。ナニワトモアレ、この出会いという名の引かれ合いの機会を与えてくれたトリコには感謝しかない。唯一悔いが残る事と言えば→”E”の例の「デッ デッデッデッデーンwwwwwwwww」をリアルタイムで目撃できなかったこと。でもヒロミ・ヒロヒロがピョンピョンが観れたのでセーフ(えっ)

KATATONIA 『サンクティテュード』

Artist KATATONIA
KATATONIA

Live 『サンクティテュード』
サンクティテュード

Tracklist
01. In The White
02. Ambitions
03. Teargas
04. Gone
05. A Darkness Coming
06. One Year From Now
07. The Racing Heart
08. Tonight's Music
09. Sleeper
10. Undo You
11. Lethean
12. Day
13. Idle Blood
14. Unfurl
15. Omerta
16. Evidence
17. The One You Are Looking For Is Not Here

電撃加入 ・・・最近のKATATONIA関連のニュースで驚いた事といえば→昨年、「ギャラの取り分少ねーよ(家族との時間を優先したい)」という理由のため、惜しまれつつKATATONIAを脱退したドラマーのDaniel Liljekvistが、以前から僕が贔屓にしている同郷のIn Mourningに電撃加入!?という今世紀最大のビッグニュースで、てっきりもう二度と彼のドラムを聴くことはないと失望してたもんだから、この衝撃ニュースが飛び込んできた時は大喜びしたと同時にクソ笑った。そんな古参メンバーであるダニエルノーマン兄弟が脱退した後のKATATONIAは、Bloodbathで知られるギタリストのペル・エリクソンとベースのニクラス・サンディンを新メンバーとして迎え入れたが、ダニエルが脱退すると間もなくペルも脱退する事となり、現時点のメンバーはアンダースヨナス、そしてニクラスの三人体制となっている。その三人体制で、昨年にロンドンの歴史的な教会として知られるユニオン・チャペルで行われた、アコースティック・ライブの様子を収めた映像作品『サンクティテュード』が発表された。

KATATONIA第二章 ・・・良くも悪くもKATATONIAに大きな変化をもたらした問題作『死の王』こと『Dead End Kings』を発表した事で、KATATONIA第一章は終わりを告げ、その『死の王』を再解釈/再構築し、新たにKATATONIA第二章として産声を上げた『Dethroned & Uncrowned』に伴うツアーを収めたライブ作品で、その『D&U』の楽曲を中心に、歴代アルバムの名曲がアコースティック・アレンジで甦る、それこそKATATONIAファンが待ち望んだ夢のようなライブとなっている。サポート・メンバーには、ヨナスとのコラボ(Wisdom of Crowds)でも知られ、先日初来日を果たしたThe Pineapple Thiefブルース・ソードとアルバム『D&U』でもお馴染みのJPがパーカッションとして参加している。結果論ではあるが、もしギタリストのペルが脱退していなかったら、今回のブルースとカタトニアによる夢のコラボは実現する事はなかったと思うとアレ。

雰囲気ライブ ・・・まるで聖者(死の王)の復活を祝う信者の集いの如く、リーダーのアンダースはバリトン・アコースティック・ギターを、ヨナスはエレキ・ギターを抱えて椅子に腰掛けながら演奏し、そのメンバーと対等に観客も着席スタイルのライブとなっている。それ即ち、ギターを弾くヨナスの姿がまじまじと見ることができる大変貴重なライブとも言える。ヨナスはMCで「緊張している」と連呼する割には、体形的な意味でも歌声的な意味でも共にベスト・コンディションで、そこにアンダースとブルースのコーラスが重なって、あまりにも贅沢過ぎる絵面が生まれている。で、さすがにユニオン・チャペルという伝統的な教会だけあって、そのステージ上には淡色に揺蕩うキャンドルの灯火と暗闇の中を射すひとひらの光の如しライトアップによって、まるで『ブラッドボーン』の世界の如し荘厳かつ耽美的な世界観をシンプルに演出してみせる。その神聖な会場から醸し出される独特の空気感とアコースティックな楽器の音が繊細かつ優美に、そして生々しく会場に響きわたる。とはいえ、やっぱり基本的に映像は暗いです。それこそ『LIFE!』女優の石橋杏奈ちゃんが嬉し泣きしそうな最高の"雰囲気音楽"、すなわち"雰囲気ライブ"の極みで、しかしその雰囲気をブチ壊すような観客のガヤが時たま入るのが、海外ライブらしいというかフリーダムな感じで嫌いじゃないですw

Unplugged ・・・おいら、何度でも言うけど『死の王』は元々"アンプラグド化"する事を前提に制作されたアルバムだと信じてやまなくて、実際このライブ音源を聴いてしまうと、もうアンプラグド版の方が"オリジナル"にしか聴こえない。それくらい、KATATONIAの楽曲と"Unplugged"の相性はバツグンである事を証明している。そもそもKATATONIAといえば、メタリックなヘヴィネスと儚くも美しいメロディが絶妙なバランスで共存した音楽をウリとするバンドだが、このライブではバンドの一番のウリと言っても過言じゃあない天性のメロディセンス、そしてヨナスによる魅惑的なボーカル・メロディがより鮮明かつ表面的に、より繊細かつ濃厚に堪能することができる。ライブ・アレンジが加えられたヨナスのボーカルをはじめ、五感に沁み渡るようなメロディの洪水に、まるで割礼の儀を受けているかの如し『清らか』な音空間が静かに拡がっていく。あらためて、元々フォーキーで情緒的なメロディを持ち味とするKATATONIAが、このようなアコースティック・ライブを敢行するなんて事は、意外でもない想定内の出来事だった。特に”The Racing Heart”から”Tonight's Music”の流れは本公演のハイライトだし、涙なしには見れない初期の名曲”Day””Idle Blood”→本編ラストを飾る”Unfurl”までの終盤は実に感動的。アンコールの”The One You Are Looking For Is Not Here”では、アルバムにも参加したThe Gatheringのシリエが登場してヨナスとのディエットを披露する。いわゆる"Bサイド"と呼ばれる近年の楽曲や過去の名曲のアコギ・アレンジ、プロフェッショナルな他アーティストとのコラボレーション、そしてカタトニアの"音響"に対する"こだわり"を垣間見せるような、文字どおり"スペシャル"なライブとなっている。それこそ過去のKATATONIA今のKATATONIAを繋ぎ合わせるような、カタトニアの"オルタナティブ"な音楽性に何一つのブレもない、揺るぎない信念が貫かれた音楽であることを証明するかのようなライブだった。アコースティック・ライブとしては十分な曲数と演奏時間だと思うし、何よりもヨナスきゅんのパーカッション姿が見られるのはこのライブだけ!平成ヨナス合戦ぽんぽこ!

ANATONIA ・・・ANATHEMA『Universal』というライブ作品をリリースしているが、音楽的にもバンドイメージ的にも陰と陽を象徴する対極であり対等なバンドが、一方のANATHEMAが大仰なオーケストラを擁し、一方でKATATONIAが静かなアコースティックをフューチャーするという、このようにライブでも対極的な景色を描き出しているのはとても興味深いし、本当に面白いと思う。ANATHEMA『Universal』がロックバンドとしてのダイナミクスを全面に押し出した、圧倒的な多幸感と激情的なエモーションに溢れた世界的なショーなら、このKATATONIAは絶望の中に希望を見出すような、地域密着型の庶民的で温かいアトモスフィアを形成していく。ライブでも双方の違いを証明すると同時に、互いに引かれ合う存在=ANATONIAとして確かに"リンク"する場面が見えてくる。流石に映像の質やカメラワークの演出的な部分ではANATHEMAに劣るが、チョイと酒を引っ掛けながら作業用BGMに近い感覚で気軽に観られるのは断然KATATONIAの方だ。しかし、まさか『Damnation』みたいな作品を出している盟友のOpethより先にアコースティック・ライブを映像化するなんて、10年前じゃまず考えられなかった事だろう。

ドキュメンタリー ・・・ライブ本編以外には、ヨナスとアンダースがインタビューに質問形式で答える、約60分に及ぶドキュメンタリーが収録されている。 今回のアコースティック・ライブについての質問が大半を占める中、数多くある質問の中で、僕が特に興味深いと思ったのは→「ライブが音楽業界の主な収入源となっていること」に対する答えと、「フランク・デフォルトがカタトニアに与えた影響と賛否両論」という鋭い質問で、以前から近年KATATONIAに与えたフランクの影響、その大きさに言及してきた僕としては非常に興味深い話だった。今は関係良好のまま互いに別の道を行くことに決めたらしく、今後はフランクとのコラボの可能性はないとも答えている。確かに、このライブにフランクが参加していない時点でナニか違和感あるし、そのことについてもアンダースは残念だと嘆いている。そして古参メンバーの脱退、特にダニエルの脱退を非常に残念がっていて、あらためてフランクとダニエルがバンドに与えた影響、その存在の大きさが見て取れる。そんな中、既に新作のアイデアを集めているという嬉しい情報もあり、そして作曲における"色"の大事さや、「作曲しながらアニメーションを作っている感覚」というアンダースの創作技術を暴露する回答もあったりして、ファンとしてはとても面白い話ばかりだった。あと「余計なものを削ぎ落した」というヨナスとアンダースの言葉で思い出すのは、昨年リリースされたDIR EN GREY(一巡)の9thアルバム『ARCHE』の存在で、お互いに表現方法こそ明確な違いはあるものの、やはりKATATONIADIR EN GREYは血縁関係にある事を再認識させた。ライブ本編はMCらしいMCはなくテンポよく進むので、ライブ本編だけ観られればいいという人は無理に字幕付きの国内盤を買う必要はないです。でもドキュメンタリーまでジックリ見たいって人は、字幕付きの国内盤をオススメします。本作、本当に素晴らしいライブ作品なのだけど、やはりダニエルがこの夢のような絵面の中に存在しないのが唯一の残念だ。なお、ダニエルはIn Mourningで先輩風吹かせながら音楽活動をエンジョイしている模様w

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