Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Metalcore

SikTh 『Opacities』

Artist SikTh
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EP 『Opacities』
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Tracklist
01. Behind The Doors
02. Philistine Philosophies
03. Under The Weeping Moon
04. Tokyo Lights
05. Walking Shadows
06. Days Are Dreamed

復活 ・・・2001年にイギリスはワトフォードで結成された6人組のSikThは、2002年にEPの『How May I Help You?』で鮮烈なデビューを飾り、2003年には1stフルアルバム『The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild』を発表、そして2006年に傑作と名高い『Death of a Dead Day』をリリースし、その破天荒で複雑怪奇な展開とラップ&ハイトーンのツインボーカルを駆使した、言うなればハチャメチャごった煮エクストリームおっぱいサウンドでリスナーのド肝を抜き、一瞬にしてその名をアンダーグラウンド・メタルシーンに轟かせた。しかし2008年に解散。今なお一部のフアンの中ではカルト的な、一種のレジェンド的なバンドとして崇拝されている。そんなドチャクソ変態クソ野郎が解散から約7年の時を経て、かのPeacevilleから奇跡の復活作となるミニアルバム『Opacities』を発表した。



音合せ ・・・幕開けを飾る#1”Behind The Doors”からして、Textures顔負けのグルーヴィなヘヴィネスを乗せてメタルコアっぽく始まり、ドレッドヘアをチャームポイントとするミキー・グッドマンのラップとバンドの中心人物であるジャスティン・ヒルによるエモいハイトーンボイスが奇妙奇天烈に絡み合い、転調を効かせた中盤以降の展開もSikThらしさに溢れている。次の#2”Philistine Philosphies”では、俄然USヌー・メタル的な縦ノリグルーヴを効かせたモダン・ヘヴィネスとミキーのアヴァンギャルドなラップ、そして今世紀最大のエモーションをブチかますジャスティンの超絶ハイトーン・ボイスに胸を打たれ、そして全盛期のSikThがカムバックしたような転調以降のテクデス然とした展開は、これは紛れもなくシクス、変わらないシクスの完全復活を宣言するかのよう。その後も、今作をリリースした直後に来日公演を行うほどの親日家ぶりを垣間見せる#4”Tokyo Lights”を織り込みながら、初期のマスコア的な要素とアトモスフィアを取り入れた#5”Walking Shadows”、バンドの新機軸を予感させるPost-的要素を取り入れた#6”Days Are Dreamed”まで、流石に復活前のメカニカル感やドが付くほどぶっ飛んだ変態度こそ薄いが、全盛期のシクスと比べると比較的素直というかマジメなグルーヴ・メタルやってて、でも中には新しい試みを垣間見せたりして、そう遠くない未来に出るであろうフルアルバムに俄然期待を持たせる、この全6曲トータル27分に凝縮された音から次作を無限大に妄想させるような一枚だ。というより、彼らにとってこのEPはあくまでも顔合わせ、すなわち音合せ(サウンドチェック)程度の実力に過ぎないのかもしれない。

元祖 ・・・解散から7年の間、この手の界隈には様々な変化が起きた。中でも筆頭なのはDjentの台頭で、シーンを代表するUSのペリフェリーやUKのテッセラクトをはじめ、この手のジャンルやテクデス界隈のバンドでシクスの影響を受けていないバンドなんてこの世に存在しないんじゃないかってくらい(その影響は日本のマキシマム・ザ・ホルモンにまで及ぶ)、スウェーデンのメシュガーとともにDjentの元祖であり、Djentの原型を作り出した偉大なバンドである。彼らが冬眠する間、ペリフェリーやテッセラクトがシーンを牽引し、共に3作目でこれまで"アンダーグラウンド"なジャンルだったジェントを"メインストリーム"にブチ上げることに成功した。もはやシクスが産み落とした子(後継者)が親から授かった使命を貫き通し、切磋琢磨し合いシーンの『未来』を切り拓いていく姿に、子が親という偉大な存在を超えていく姿に、僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

新世界の神 ・・・テッセラクトのフロントマンことダニエル君が『惑星ポラリス』の中で「俺がジェント界の夜神月だ」とシーンに宣言したこのタイミングで、夜神月の「新世界の神」となる『野望』を阻止するため、ニアとメロのツインボーカル率いるシクスは復活したんだ、という風に考察すると俄然この手の界隈が面白く見えてくるかもしれない。ともあれ、このEPは「フルいけるやん!」と確信させるような、文句のつけようがない復活作です。
 
Opacities
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Sikth
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Darkest Hour 『Darkest Hour』

Artist Darkest Hour
Darkest Hour

Album 『Darkest Hour』
Darkest Hour

Tracklist
01. Wasteland
02. Rapture In Exile
04. Infinite Eyes
05. Futurist
06. The Great Oppressor
07. Anti-Axis
08. By the Starlight (feat. Draemings)
09. Lost For Life
10. The Goddess Figure
11. Beneath The Blackening Sky
12. Hypatia Rising
13. Departure

血迷ったスメリアン ・・・デビュー当初はAt the Gates直系のデスラッシュで、中期の4thアルバム『Undoing Ruin』や最高傑作と名高い『Deliver Us』では、Dark Tranquillity直系のイエテボリスタイルに則ったモダンナイズされたメタルコアへと変化を遂げ、今やメタルコア界の重鎮にまで成り上がったDarkest Hourの約三年ぶり通算8作目でセルフタイトルを冠した『Darkest Hour』が、いま最もイケてるレーベルことSumerianに移籍してのリリースと聞いて→「遂に血迷ったかスメリアン・・・」とか思ったけど、このアルバムを聴いてそれが間違いではなかった事を知る。



わあ!ビックリした! ・・・元々このDarkest Hourってのは、北欧が生み出したメロデスあるいはイエテボリ・スタイルを大胆に取り入れたメタルコアで、作品を重ねるに連れて俄然メロディックに俄然エモ寄りに日和ってく他のメタルコアバンドをヨソに、流行りに流されないあくまでも硬派なメタルコアを貫いており、どちらかと言えばメタルコア勢よりもメロデス勢から高く評価されているバンドなんだ。が、そんなDHの新作がキッズからの絶大な人気を誇るスメリアンからリリースされるとなると、そこはかとない不安感がないと言えば嘘になる。まず、幕開けを飾る#1”Wasteland”から、フロントマンのキモロンゲことジョンによる「僕はキモヲタなんかじゃなあああああああああああああああい!!」とばかりの、過去最高にブチギレたスクリームとモダンなヘヴィネスでミドルに聴かせる、持ち前の疾走感を抑えた重厚感のある曲で、明らかにこれまでのDHとは違った雰囲気を持った楽曲だ。で、続く#2”Rapture In Exile”は初っ端からConvergeTrap Themを連想させる、重戦車の如しブラッケンド・ハードコア直系の攻撃性およびド低音ヘヴィネスとdtInsomnium直系の勇壮な単音リフによるエピカルな叙情性がクロスオーバーした、まさしくこれまでのDHを司るような名曲で→「あれ?スメリアンに移籍した影響なし?むしろ攻めまくってんじゃん!」なーんて思ったのもつかの間、次のリードトラックとなる#3”The Misery We Make”を聴いて→「わあ!ビックリした!」。つい「BFMVかな?」って勘違いしそうなピロピロしまくりのメロディアスなツインギターとジョンの”エモ”系のボーカルを耳にして→「わあ!ビックリした!」んだ。と同時に→「汚いなさすがスメリアン汚い」と、なぜ本作がスメリアンからリリースされたのか?を理解した瞬間でもあった。それすなわち、”エモくない硬派なメタルコア”が”エモい今風のメタルコア”に日和った瞬間でもあった。



メタル界の電車男 ・・・そのリードトラックの”The Misery We Make”をはじめ、もはや「だってほら、俺たちって超イケてる超チャラいメタルコアじゃん?」と言わんばかりの#5”Futurist”、モダンな叙情派メタルコアの#6”The Great Oppressor”、ジェント・リーなリズム刻むモダンなリフとATMS系の耽美なキーボードをフューチャーした#7”Anti-Axis”、更には「なんたって俺たちはリア充だから女の子ともデュエットしちゃうぜ!」とばかりの#8”By The Starlight”で、これには僕→「おいおいメタルコア界のジェイムス・ブレイクかい?HAHA」とか半笑いしつつも→僕「ハッ!?この瞬間こそDHこと童貞アワーのナニが一皮むけて本物のダーケスト・アワーへと脱童貞した決定的瞬間ッ!?」なのかと深く頷いた。ここまで”歌モノ系メタルコア”と言っても過言じゃあない中盤のモダンナイズされた流れから、再びコンヴァージばりに猪突猛進する#9”Lost For Life”、往年のDHらしい単音リフで疾走する#10”The Goddess Figure”#11”Beneath The Blackening Sky”、今にも昇天しそうなストリングスとBFMVのマットあるいはリンキン・パークのチェスター顔負けのVoジョンのエモいクリーンボイスをフューチャーした#13”Departure”を最後に、アキバ系のキモヲタがリア充へと成り上がっていく、その童貞小説『メタル界の電車男物語』は遂に完結を迎える...。

リア充願望 ・・・あれだけ硬派を気取っていたハズの、北欧という田舎に染まりきっていたヲタクの兄ちゃんが脱ヲタして最終的にリア充へと成り上がるまでのキョロ充人生を見ているようで、ただただ諸行無常の響きありなんだけど、ただこのアルバムに対して「日和ってんじゃねーよメーン?」と突っ込むのはナンセンスというか、むしろこの柔軟性こそDHのウリであって、なんだかんだ筋が通ってるからこそ生まれる説得力っつーか、その感覚は間違いなくある。現に、メタルコアというジャンルを支えてきた重鎮が死に絶えていく中で、このDHだけは独自のスタイルを貫き通し、今だに進化し続けているってのがとにかくシブすぎるし、なんか普通にリスペクトできるクソカッコイイ生き様をまざまざと見せつけられた気分だ。まさに”継続は力なり”を地で行ってる。こいつら、なんかスゲー楽しそうなバンド人生送ってる感すら、もはやメタル界唯一の勝ち組ってDHなんじゃねーかってくらい。もうなんかDHのバンド人生そのものが真の意味でエモーショナルだし、もはやメタルコアの歴史は全てDHが知っていると言っても過言じゃあない。実際メタルコアというフィールドでここまで色んな事やったバンドって他に存在しないし、そういった意味では唯一無二のバンドだと思う。つまり本作は、メタルコアとかいうジャンルがオワコン化した今だからこそ再評価されるべきバンドだという事、メタルコアとかいうジャンルがアズ・アイ・レイ・ヨメ・ダイングの嫁キラーによって終止符が打たれたからこそ赦される、DHなりの懺悔なんじゃあないかってね。だからこそ、今キッズの間で最もキテるレーベルのスメリアンからセルフタイトルを冠した『Darkest Hour』をリリースする意味、その説得力、そしてヲタクのリア充願望、つまり「俺たち本当はリア充メタルコアが羨ましかったんだよ!」という嫉妬にも近いホンネが込められている。とにかく、結成から20年を迎えようとしているベテランであるにも関わらず、若手有望株の登竜門でも知られるスメリアンにドヤ顔で移籍しちゃう、その柔軟性こそ長生きの秘訣なのかもしれない。あぁ、こいつらメタル界を”生き残る術”を知ってるなって。

ヲタク界の絶対的アイコン ・・・ここで音的な話をすると→ 本作はハードコア・パンク系のカオティクなリフから「スメリアンさんちょっとスイマセン、今時のイケてるモダンヘヴィネス使わせてもらいますよ...」的なさり気ないリフ回しが主体で、当然これまでのメロデスあるいはイエテボリ・スタイル感は至極薄くなってて、代わりにエモーショナルでキャッチーな要素、すなわち大衆性を身につけている。ボーカル面では→#5や#11ではDTのラブリエを思わせる哀愁を帯びた歌メロを披露したり、#3をはじめ中盤の曲からラストの#13などで発揮されている、”ボーカリスト”としての謎のポテンシャルに笑いを禁じ得なかった。今作でメタルコアヲタク界のアイコン的存在であるジョンのカリスマ性は更に高まったように思う。その”怒りのTVタックル出演”待ったなしのジョンのボーカルだけじゃあない、持ち前のジョジョ~的なツインギターも負けじと冴え渡っている。それらバンドメンバーのポテンシャルをはじめ、ソングライティングにも及ぶベテランらしい安定感は、彼らが今なお支持され続けている最大の理由としてその存在を示している。個人的に、ここ最近の作品の中では一番ドラマを感じたし、色々な意味で一番面白かった。

Darkest Hour
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Wovenwar 『Wovenwar』

Artist Wovenwar
Wovenwar

Album 『Wovenwar』
Wovenwar

Tracklist
01. Foreword
02. All Rise
03. Death To Rights
04. Tempest
05. The Mason
06. Moving Up
07. Sight Of Shore
08. Father/Son
09. Profane
10. Archers
11. Ruined Ends
12. Identity
13. Matter Of Time
14. Prophets
15. Onward

ロリペド VS, 嫁キラー ・・・ここ最近、20世紀後半のロック界が生み出した凶悪犯罪者といえば→Lostprophetsのボーカリストでありロリペドクソ野郎ことイアン・ワトキンス、いわゆるメタルコアとかいうジャンルにガチで終止符を打ちやがったAs I Lay Dyingのボーカリストであり嫁殺人(未遂)野郎ことティム・ランベシスという、現代のロック界およびメタル界を代表する二人のボーカリストの一騎打ちだろう。で、このWovenwarというバンドは→アズ・アイ・レイ・ヨメ・ダイングの取り残された4人のメンバーが、ex-BtBaMのギタリストでありOh, SleeperのボーカリストShane Blayを引き入れて結成された新バンドで、そのWovenwarというバンド名を冠したデビュー作が名門Metal Bladeからリリースされた。

アズアイ-暴虐性+シェーン= ・・・イントロ(#1)を引き継いで幕を開ける#2”Foreword”から、当然ながらアズアイの面影を直に感じさせる、(スラッシュ/ブルータルな暴虐性を排除した)よりメロディックに振り切ったツインギターによるキュルキュルっとした叙情性とボーカリストShane Blayのエモーショナルで力強いキャッチーな歌メロをフューチャーした、それこそこのWovenwarを象徴するかのような楽曲で、元々アズアイ自体メロディセンスはあったし、まさしくそれを再確認させるようなキラーチューンとなっている。その#2をはじめ、基本はシェーンの歌声からなるアメリカン・ハードロック直系の素直なメロディを、面影はあるが確実に一線を画したアズアイ生き残り勢によるメロディックなサウンドがバックを支えるという、あくまでもガッツリ歌えるタイプのVoシェーンの説得力ある歌声を最大限に活かしたシンプルな楽曲を中心に、途中H.I.Mばりの耽美なゴシック感を醸し出す#8”Father/Son”やロリペドプロフェッツに対抗するような#9”Profane”をアクセントとして挟みながら、各楽曲に施されたアレンジにより微妙に表情を変化させていく安定感のあるソングライティングとバンドの確かなテクニックに裏打ちされた、質の高いメロディックなロックアルバムとして楽しませる。そのスタイルは、KeEのセルフタイトルやex-KsEのハワード率いるDevil You Knowを彷彿とさせる。他にも→#5や#11のメッロメロなギターは大きな聴きどころで、まるで「メタルコアはクソだ!」と言わんばかりの、完全に吹っ切れちゃってる叙情的なギターからは色々な事が想像できて面白い。で、アズアイでもその確かな存在感を示していた、ベーシストJosh Gilbertのハイトーンコーラスはバンドが変わっても健在で、しかも#13”Matter Of Time”ではメインボーカルを張っていて、なんか「もうお前が歌えばいいじゃん」って思っちゃったんだからしょうがない。
 
Wovenwar
Wovenwar
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Protest The Hero 『Volition』 レビュー

Artist Protest The Hero
Protest The Hero

Album 『Volition』
Volition

Track List
02. Drum-Head Trial
03. Tilting Against Windmills
04. Without Prejudice
05. Yellow Teeth
06. Plato’s Tripartite
07. A Life Embossed
08. Mist
10. Animal Bones
11. Skies

『バカテククソ野郎』・・・2008年にリリースされた2nd『Fortress』”俺の感性”に与えた衝撃と影響は計り知れないものがある。そんな、カナダ出身のKick-Assッ!!なスーパーヒーローことProtest The Heroの約二年ぶり通算四作目『Volition』なんだけど、どうやら本作はクラウドファンドIndiegogoで$125,000以上の資金集めに成功し制作された作品らしい。しかし、レコーディング前にオリメンであるドラマーのMoe Carlsonが脱退するというバンド生命に関わる危機が訪れた・・・が、その絶体絶命の危機を救ったKick-Assッ!!なスーパーヒーローChris Adler(Lamb Of God)を臨時ドラマーとして迎えた今作は、「やっぱこいつら頭おかしいってマジでwww」とかいうキッズみたく無邪気にハシャギたくなるぐらい、まさしく俺たちの”バカテククソ野郎”なPTHが帰ってきてる。

Fortressが与えた衝撃・・・その年のBESTにもランクインするほどの衝撃を受けた『Fortress』の焼き直しというか、全体的に平坦な印象があった前作の3rdScurrilousと比較すると、初期二作のPTHらしい破天荒なハッチャケっぷりが戻ってきてる・・・ような気がする。PTHの絶対的フロントマンRody Walkerのオペラティックなハイトーンボイスを筆頭に、ギターワークに関しても2ndを彷彿とさせるピロピロしまくりのメロディとギョーンギョーンディグディグディグディグしたDjentちっくな今風のリフ回しが随所で垣間見れる。なんつーか、前作の『Scurrilous』を手がけたCameron McLellanを再びプロデューサーとして迎えた影響もあるのか、あくまでも『Scurrilous』を踏襲したタイトなサウンドをベースに、そこへ初期の面影をフラッシュバックさせるノリやリズムやフレーズを組み込んだ感じの作風で、特に#10の”Animal Bones”は2ndの”Sequoia Throne”を再解釈したようなフレーズが楽しめる。とか言うても、いくら初期のPTHに”回帰”したと言っても、正真正銘の初期衝動が込められたデビュー作の『Kezia』や2ndの傑作『Fortress』と比べると、あらゆる面において刺激が弱い。なんていうんだろう、初期のPTHが粗削りなエッジの効いたマスコア/ハードコア/パンクをベースにした中二病真っ盛りのハーコーキッズのスーパーヒーローならば、前作からのPTHは”スケール感”を意識したプログレッシブ系メタルコアをベースとしたメタルヘッズのスーパーヒーローというか・・・要するに→初期のウェーイwwwwみたいなお馬鹿なノリと予測不能な急転直下型緩急が影を潜め、まるでDQNが急激に優等生化したみたいに、前作からは洗練された様式的なプログレ・メタルやってる感。

『ツカミは◯』・・・MVで馬鹿やってる...もといヒーローごっこやってる感じが実にPTHらしい、オープニングを飾る#1のClarityから前作の”C'est la Vie”を彷彿とさせ、ゲストのKayla Howranとロディの掛け合いがepicッ!!なエモーションを解き放つ#2Drum-Head Trialまでのツカミは強烈で文句なしなんだが、それ以降は特に際立ったリフや展開もなく・・・僕がPTHの最高傑作だと思ってる『Fortress』の「ワシのリフは百八式まであるぞ」と言わんばかりのリフ地獄、まるでショットガンの如く咲き乱れる怒涛の展開、そして扇情的なシンフォニックアレンジまで、全ての音が脳内にインプットされている身としては、やはり刺激が足りない。これは前作にも言える事なんだけど、序盤の勢いが後に続かないというか、単純に聴いてて楽しくないというか、単純に音が耳に入ってこないというか、単純にマスくないというか、単純にブルータル/カオティックな暴虐性も皆無で、むしろ逆に過去最高にポップな作風なんじゃねーかってぐらいエモいし、バカみたいな遊び心も少ないというか・・・残念ながら”マジメ”もしくは優等生なイメージを払拭するまでには至っていない。しかし、今作のハイライトを飾る”A Life Embossed”では、『Fortress』を彷彿とさせるクラシカルなアプローチを垣間見せたり、その流れでメロコア風の#8”Mist”、一転して疾走し始める#9”Underbite”、2ndリスペクトな#10”Animal Bones”、そしてラストの#11”Skies”まで、程よいスケール感を放ちながら一気に突き進む展開は、まるで一つのミュージカルを観ているかのような錯覚をおぼえるほどで、この辺りはPTHならではで流石だと思う。

『ゲスト祭り』 ・・・今作は、おいおい同郷のデヴィン総裁リスペクトかってぐらい過去最多のゲストとフィーチャリングした作品でもあって、#1,#4,#5,#6では前作の”Hair-Trigger””Termites”でお馴染みの女性VoJadea Kellyを迎え、まるでEpicaのシモーネかと思うほどの美声を披露し、#2では同郷の女性カントリーミュージシャンのKayla Howranを、#6ではMark Iannelliを、#2や#8のヴァイオリン/フィドル奏者にはRaha Javanfarを、#9ではTodd Kowalskiを、ラストの#11では計三人のボーカルをゲストで迎えている。そして、もはや今作の目玉と言っていい、脱退した萌ちゃんの替りにLOGのクリスがドラムを叩いてるってのが大きなポイントで、破壊力のあるクリスのドラミングが作品全体にメタリックな重厚感と俄然タイトなリズム感を与えていて、その結果→より”メタルバンド”としてのPTHを強く印象づける。特に#1はそれが顕著に出ていると思う。それにしても、今回ゲスト多すぎだな~。

『Fortress最強説』・・・今作を聴いて、あらためて『Fortress』のドラフォおよびDTリスペクトを初めとした垢抜けないB級アクション映画っぽい、それこそKick-Assッ!!なスーパーヒーロー的な感覚や、まるで洪水のように虹色の音の粒が降り注ぐ異常な展開力の高さ、その完成度の高さに惚れ惚れしてしまうわけなんだが、まぁ、それはそうとして→以上のことから、やはりPTHの本質は初期のハーコー精神にあると思うわけです。そのキチガイじみた精神性が根幹にあって、はじめてプログレッシブな要素がエッセンスとして活きるわけです。だって、はなっから「僕たちプログレやりま~す!」って宣言してる奴の音楽ほどツマラナイものはないからね。これは『Volition』がツマラナイと言ってるわけでは決してなくて、あくまでも個人的な意見として『Fortress最強説』を唱えているだけであって、確かにその頃とは違って少し落ち着いちゃってるかもしれないが、少なくともこの『Volition』は前作の『Scurrilous』と同等、いや、それ以上の完成度を誇っているのは確か。で、僕が自信を持って言えるのは→「前作が好きならマスト」、この一言だけです。

『クラウドファンディングのススメ』・・・ここ最近、Misery Signalsの新作Absent Lightをはじめ、クラウドファンディングなるインターネットを経由してファンから音楽の制作資金を乞食...もといかき集めるという、音楽制作の現場で大きな変化が起きている。この手の界隈ではわりと大物であるハズのProtest The Heroですら、この手法に頼らざるをえない様々な事情があったというのは、なかなか考えもので。近頃のA Day To Rememberと所属するVictory Recordsの裁判沙汰のように、レーベルとバンドの対立によって新作がリリースできない事態も時として起こりうるわけだ。そんな事になるんだったら、このクラウドファウンディングを利用して不自由なく音楽を作ったほうがエエやん?という流れが徐々に音楽シーンに浸透していき、これから急激に増え続けていくんだと容易に予測できる。
 本来、この日本の場合はジリ貧状態のアニメ業界からそういった運動が巻き起こる可能性が高いんだが、どうやら調べによると既にクラウドファウンディングを利用したプロジェクトが動き始めているらしい。これは今後の展開が楽しみだし、音楽産業と並び斜陽産業である日本のアニメ業界がこれからどういった変貌を遂げるのか、非常に興味深い所ではある。これにより、日本の音楽業界はアニメ業界以下の存在でしかないのがわかります。もっとわかりやすい話→日本の音楽業界はニコ生主以下の存在というわけですw・・・おっと、少し話が逸れたが、はたしてガラパゴス化した日本のクサレ音楽業界で、その世界的(グローバル)な潮流が巻き起こるとは到底思えないが・・・なんにせよ、これからの音楽制作の主流はクラウドファンディングを活用したものだと、僕はそう確信している(キリッ)
 
Volition
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Born of Osiris 『Tomorrow We Die ∆live』 レビュー

Artist Born of Osiris
Born of Osiris

Album 『Tomorrow We Die ∆live』
Tomorrow We Die ∆live

Track List
02. Divergency
04. Exhil∆r∆te
05. ∆bsolution
06. The Origin
07. ∆eon III
08. Im∆gin∆ry Condition
09. Illusionist
10. Source Field
11. Venge∆nce

USはシカゴ出身の天空竜、Born of Osirisの約二年ぶり通算四作目『Tomorrow We Die ∆live』なんだけど、とりあえずオープニングを飾る#1”M∆chine”のイントロから完全に出オチで、もはや「Misery Signalsよ、俺がストリングスだ」と言わんばかりの、それこそ映画『指輪物語』『パシフィック・リム』さながらの空前絶後のビッグスケールに度肝を抜かれ、更にはThe HAARP Machineを彷彿とさせるエスニックなキーボードの音色で楽曲をオリエンタルに彩りながら、とにかく「Djentよ、滅びよ」と言わんばかりの謎の世紀末感を醸し出すほどの、まるで海馬社長が滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)を放つようなシンフォニックかつダイナミックなサウンドスケープに力でねじ伏せられるし、なんかよく分かんないけど「もう許した」とでも言いたい気分になる。要するに本作は、ここ最近のABRMisery Signalsの新譜でストリングスをフューチャーした流れ、言わば”ストリングス三部作”の最終章を飾るかのような力作となっている。

 で、前作の3rdThe Discoveryといえば、ギタリストLee MckinneyによるDjent節全開の変拍子/リズムをソリッドに刻むキッレキレなリフやネオクラシカルに弾き倒すピロピロ系Gソロ、そして鍵盤奏者Joe Burasによるミステリアスでメルヘンチックな魅惑のメロディセンスを核とした、その年のBESTにランクインするほどのアヘアヘキッズ世界を構築していた。しかし本作では、BoOのキーマンであるギタリストLee Mckinneyの存在を差し置いて、キーボーディストJoe Burasが奏でる近未来感を施したインダストリアルなメロディが主役と言っても過言じゃないほど、今回はキーボードの自己主張っぷりがハンパない。それは#1と#2を聴くだけでも分かるように、基本的には前作を踏襲したスタイルではあるが、リフ回しに前作ほどのキレやフックはないし、テクデス的な極端な複雑さもないし、むしろ曲の構成や展開は”至ってシンプル”な印象が強く、つまりキーボードのシアトリカルなメロディや壮大なオーケストラをフューチャーした映画のサントラ系メタルコア、といった感じ。
 
 少なくとも前作の名曲Recreateみたいな、イントロから世界中のキッズのテンションが最高にハイ!になるようなリフやメロディを今回は書けてない。要するに、音にBoO特有のドゥンドゥンギョンギョン感やグルーヴ感がなくてノリづらい。前作と比べるとリフが全く耳に入ってこないというか、これはBoOの特徴的な部分だったFear Factoryリスペクト感が薄らいだのが大きな原因かも。あと単純にプログレッシブ/アンビエントな感度が低い。つまり→前作はその類まれなセンスをフルに発揮していたからこそ生まれた”凄み”のある傑作なんだと、本作を聴いて妙に納得できた。なんつーか、今回の”変化”はこの手の界隈にありがちな”変化”だよなぁ...と。少々キツい言い方をしちゃうと、ストリングスでスケール感が増したというよりは、リフやソロが書けなくなったのを言い訳にストリングスやキーボードに逃げた、という表現がなされても致し方なさそう。それぐらいキーボード主体の作品、その裏付け的なナニか。特に#2のダブステ系の音や、アブストラクト・ヒップホップ的な#6のチルいイントロなんかは新鮮で聴きどころだと思う。シアトリカル感丸出しのラストの#11も斜め上の方向にアバンギャルド感出しててアホ面白い。

 前作みたくアルバムの”流れ”を利用してドラマティックに盛り上げていく感じも皆無で、なんか本作の楽曲は一曲の中で物語が完結しちゃってる感じ。しかし、全11曲トータル約42分というコンパクトにまとまった、冗長感は一切感じさせない作品で、捨て曲らしき曲はあるっちゃあるが、主要な曲は前作に劣らない完成度。けど音のプロダクションは3rdThe Discoveryのが荒削りな感あって好き(新作の音はDjentやるのに特化した無骨な音)。結論として→悪くはないけど特別良いってわけでもない・・・けどなんかスゲー面白いッ!そんな摩訶不思議な魅力を持った、色々な意味でBoOらしさの詰まった一枚。∆


 
Tomorrow We Die Alive
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Born of Osiris
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