Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Post-Black

Deafheaven 『新しいバミューダ海峡』

Artist Deafheaven
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Album 『New Bermuda』
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Tracklist

01. Brought To The Water
02. Luna
03. Baby Blue
04. Come Back
05. Gifts For The Earth

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BUKKAKE ・・・おいら、あのサンベイザーが発表された時に一つだけやり残したことがあって、それというのも、「日本のAVのジャンルで世界的に有名なBUKKAKE、そのコンピレーション(総集編)のBGMに”ドリーム・ハウス”を編集して某XV◯DEOSにアップする」という謎の背徳行為で、というのも、あの『サンベイザー』というのは、AVで【BUKKAKEられる側】のAV女優の激情的な感情と【BUKKAKEる側】の汁男優の「イカなきゃ」という一種の使命感と刹那的な焦燥感が複雑に混ざり合い、白濁色の音の粒がラブシャワーとなって聴き手を白濁汁の渦に引きずり込むような、それこそ男なら一度は妄想し羨んだであろうBUKKAKE願望、その『男の夢』を擬似的に叶えてくれる歴史的名盤であり、男が射精に至るまでのメカニズムを音楽の世界で解き明かした、言うなれば一種の"セックス・ミュージック"でもあった。その『サンベイザー』がPitchforkをはじめ大手音楽メディアから高く評価された彼らDeafheavenは、俺たち"ファッションホモ"のアイドル(アイコン)として崇められ、その勢いで遂にはiPhoneの広告塔にまで成り上がることに成功した。しかし、その一方で全方位から「Pitchforkに魂を売ったホモバンド」と蔑まれるようになってしまった。

『新しいバミューダ海峡』 ・・・しかし、その傑作『サンベイザー』の翌年にリリースしたシングルの”From the Kettle Onto the Coil”で、彼らは面白い変化を遂げていた。基本的には『サンベイザー』路線を踏襲しながらも、キザミリフをはじめとしたポストメタリックな要素を垣間見せつつあって、その微量な"変化"は伏線として今作の『New Bermuda』に大きく反映されている。シングルのアートワークと油彩画タッチで描かれた新作のアートワークがそれを示唆していると言っても過言じゃなくて、まるで【BUKKAKEられる側】のAV女優の恍惚な表情の裏に潜むドス黒い漆黒の闇、あるいはAV男優吉村卓に顔面を舐め回された後に行方をくらましたレジェンドAV女優桃谷エリカの心の闇を暴き出すッ!そんな彼女が飛んだ『謎』を解き明かしたのが、この『新しいバミューダ海峡』だ・・・ッ!

繋ぎの意識 ・・・彼らD F H V Nが今作で遂げた進化は、一曲目の”Brought To The Water”から顕著だ。荒廃した教会の鐘が神妙に鳴り響く、まるでDIR EN GREY”Un deux”をフラッシュバックさせるエキセントリックな幕開けから、まるでBUKKAKEられるAV女優の白濁色に染まった顔の裏に潜む闇、あるいはバミューダ海峡に引きずり込まれる瞬間の焦燥感と絶望感が込められた、ドロドロにまとわり付くドゥーミーなヘヴィネスとともに、シングルと同じBPMでブラストを刻み始め、スラッシュ・メタル然としたソリッドなリフをはじめMogwai直系の美メロ、サンバイザー日和の燦々とした陽射し照りつける西海岸の風を運んでくるGソロ、後半からはポスト・ハードコア然としたキッズライクなリフを主体に、あの恍惚感に満ち溢れた『サンベイザー』とは一線を画したドス黒い世界観を繰り広げていく。もはや粒状(シューゲイザー)と言うより固形状(メタリック)のリフ回し、もはやポスト・メタルというよりスラッシュ・メタル特有のキザミをメインリフに曲を構築している事実にまず驚かされる。とにかく、中盤のブルージーなGソロからMogwai譲りの美メロパートへと移行する"繋ぎ"のセンスが俄然増してるし、『サンベイザー』では一つの曲として独立していた”Irresistible”を彷彿とさせるアウトロのピアノも、今作では一曲の中に組み込まれている。この曲で明らかなのは、基本的なスタイルは『サンベイザー』以降の流れにありながも、一方で『サンベイザー』とは一線を画した暗黒的で対極的な要素を内包している、ということ。

「イカなきゃ(使命感)」 ・・・そんな汁男優のはやるキモチを表したかのような、Mastodonブラン・デイラー顔負けのドラミングとメタリカばりのキザミリフで始まる二曲目の”Luna”は、まるで子供が「オモチャ カッテ...カッテクレナキャ...イヤア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」と聖夜の夜に泣き叫ぶような、フロントマンジョージ・クラークによる『サンベイザー』譲りの通称ダダコネボイスを乗せて、随所にポスト・ハードコア的な要素を散りばめながらブラストで突っ走り、一旦フィニッシュしたと思ったら中盤から再びグラインドコア顔負けの破天荒な怒音を合図に、ドス黒い暗黒物質を周囲にBUKKAKEながら高速ピストン、終盤は徐々にBPMを落としてバンド・アンサンブルを活かしたポストメタリックな轟音を響かせる、という怒涛の展開を見せる。一曲目と同様に、この曲のポイントに"キザミ"ともう一つ”繋ぎ”の要素があって、この曲ではBPMの落差を最小限に抑えつつ、あくまでも段階的に激情パートから美メロパートへと"繋ぐ"意識、在りし日のマシンガン打線ばりに"繋ぐ"意識の高さを垣間見せる。例えるなら→あの『サンベイザー』が【急転直下型BPM】だとするなら、今作は【可変型BPM】というか、それこそのコントラストを効かせた油絵テイストのアートワークのような、もしくはアヘ顔デフヘヴン状態(動)からの賢者タイム(性)みたいな、とにかく【静()↔動(黒)】"繋ぎ"が自然体になったことで、より曲の世界観に入り込みやすくなった。

黄金のキザミ』 ・・・序盤の二曲とは一転して、ミニマルに揺らめくポストロッキンな美メロで始まる三曲目の”Baby Blue”は、持ち前のブラストは封印してBlackgaze然とした轟音とクライマックスへの伏線を忍ばせたエモーショナルなGソロで中盤を繋ぎ、そして今作のハイライトと言っても過言じゃあない、キザミ界の皇帝Toolが提唱する黄金比』で形成された黄金のキザミ』を継承するかのような、ある一定のBPMを保って刻まれる低速キザミリフをタメにタメてから、そしてBUKKAKEられたAV女優の恍惚な表情の裏に潜むドス黒い漆黒の狂気、あるいは吉村卓に顔面ベロチューされまくった桃谷エリカの心の叫びを代弁するかのようなジョージのスクリームと魑魅魍魎の如し悲痛に歪んだギターが今世紀最大のエモーションとなって聴き手に襲いかかり、その今にも胸が張り裂けそうな"存在の耐えられないエモさ"に、僕は「あゝ激情...あゝ激情...」という言葉とともに溢れだす涙を堪えることができなかった。これが、これがバミューダ海峡を超える人類最大の『謎』ッ!これが桃谷エリカが飛んだ真相ッ!これが桃谷エリカの漆黒の闇だッ!

 この”Baby Blue”には更に面白い伏線が仕込んであって、それというのは、終盤まで黄金のキザミ』のままフェードアウトさせてからCAのアナウンスを使ったSEがフェードインしてくるアウトロで、それこそ1stアルバムユダ王国への道の名曲”Violet”のイントロをはじめ、ex-Deafheavenニック・バセット君率いるWhirr桃尻女とシューゲイザーを連想させ、それはまるで高速道路から眺める街のネオンがホログラム状に映し出されるような、それこそトム・ハーディ主演の映画『オン・ザ・ハイウェイ』の世界観とリンクさせる、初期デッへ界隈のシューゲイザー然としたモノクロームでフェミニンなアンビエント空間を形成し、その懐かしい匂いを漂わせながら「あの頃のデフヘヴンが帰ってくる」をウリ文句に、ドラマの次回予告風に言うと→Episode#5「D F H V N is Come Back...」

「Come Back ・・・文字通りカムバック。あの『サンベイザー』のようなメジャー感は微塵も感じさせない、まさしくアンダーグランドな混沌と蠢く雰囲気をまとった、「グワアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」っと地獄の底から血肉が湧き上がるようなBlackgaze然としたサウンドと初期を彷彿とさせるジョージの極悪ボイス、この時点で在りし日のD F H V Nにカムバックした事を各界隈に知らしめる。と同時に、この曲にも今作のキーワードの一つである”キザミ”が取り入れられていて、ここまで【メタリカ→マストドン→トゥール】という黄金リレーでバトンを繋いできたが、この流れで最後のアンカーに任されたのがエクストリーム・メタル界の帝王ゴジラだ。そのゴジラばりのデッヘボン史上最も”ヘヴィ”なキザミを最大の見せ場にしつつ、後半からは一転して初期デフヘヴンを彷彿とさせるアコースティックな音使いをもって、まるで真夜中の淫夢を彷徨うかの如しドリーミーな音世界を繰り広げ、その淫夢から朝目覚めてふと鏡を見たら吉村卓の姿になっていた。他にカムバックした所では、全5曲トータル約46分という潔さも1stアルバムをフラッシュバックさせる。しかし「安心してください、どの曲も10分近くある長尺ですよ」とばかり、無駄な贅肉を削ぎ落とした隙のない展開や構成は過去最高にシンプルながらも、音のスケール感を損なわないダイナミクスと音の説得力に溢れている。

「ファッ◯ンピッチ!」 ・・・その昔、デフヘヴンの中心人物であるケリージョージには親友がいた。その友の名はニック・バセット。元デフヘヴンでもある彼は、WhirrNothingを率いてデフヘヴン包囲網を指揮する先駆者だ。親友だった三人の友情に大きな亀裂が生じる事となったのが、他でもないあの『サンベイザー』だ。ニックはアンダーグランド・シーンで地道に音楽を楽しみたかった。しかしケリーとジョージにはメインストリーム・シーンに自分たちの音楽を認めさせる大きな野望があった。念願叶って、2ndアルバムの『サンベイザー』は大手音楽メディアPitchforkから高い評価を得ることに成功した。【Deafheaven>>>Whirr,Nothing】という現実を突きつけられたニックは「ファッ◯ンピッチ!」と罵った。こうなると三人の関係はもう修復不可能だ。『野望』を叶えた一方で、全方位から「Pitchforkに魂を売ったホモバンド」と蔑まれたデッヘボンは、ただ独り孤独を叫んでいた。そのデブヘブンがカムバックしたのだ。カムバックした彼らが”原点”に立ち返って導き出した答え、それが五曲目の”Gifts For The Earth”だ。この曲では、まだ三人の友情に亀裂が生じる前、ジョージとケリー、そしてニックが夢見た「もう一つの未来」を描き出すような、「もしニックがダボヘブンを脱退していなかったら」という"もしも"すなわちifの世界を実現させている。現在のWhirrNothingを連想させるオルタナティブの感性と初期デッヘのサウンドがクロスオーバーしたような、それこそジョージとケリーが旧友ニックに贈る、紛れもなく"カムバック"した今のデフヘヴンの姿だった。あの『サンベイザー』で、第一次ポストブラックブームの仕掛け人であるAlcestのネージュを引き連れて、「安心してください、ブチ上げますよ」とばかりPost-Black/Blackgazeとかいう"アンダーグラウンド"なジャンルを"メインストリーム"に引き上げるという『野望』、その使命を果たした彼らは、今度はこの『新しいバミューダ海峡』の中で仲違いした旧友ニックの想いを表舞台に引き上げている。最高にエモい、エモすぎる・・・。まるで深い絆で結ばれた三人が長い年月を経て運命の再開を果たしたみたいな...それこそ『栄光と挫折』の物語みたいな...なんだこの漫画みたいな展開...こんなん映画化決定ですやん。なんつーか、まるでメタル界の『デビルマン』、あるいはメタル界のダークヒーローってくらいかっこ良すぎる。・・・で、まるで聖夜を彩るピアノやタンブリンやマラカスを交えた、Alcest顔負けのアコースティックなエンディングでは、遊牧民と化した吉村卓と桃谷エリカが、ニックとネージュが、ケリーとジョージが手を取り合って、一面に広がるお花畑の中で恍惚な表情を浮かべながら仲睦まじくピクニックを楽しむ様子が描かれる。まるで気分は「生きてるって素晴らしい」。

【ピッチ度高>>>>>>>>>>>>>ピッチ度低
【メタリカ>>>マストドン>>>トゥール>>>ゴジラ

媚び ・・・あの『サンベイザー』が、子供の頃にあらゆる煩悩を経て初めて精通に至った時の"ファースト・インパクト"だとするなら、この『新しいバミューダ海峡』は大人になって初めて童貞を卒業した時の"セカンド・インパクト"と言える。あらためて、今作のポイントには”繋ぎ””キザミ”の2つの要素があって、まず前者の"繋ぎ"は静(白)から動(黒)へのコントラスト(対比)と【可変型BPM】による緩急の操り方が格段に向上したことで、より音のギャップやメリハリが鮮明となり、ドラマティックな展開力が体感的に増したように感じる。それと同時に、曲構成が過去最高に様式的というか、メタル耳にも馴染みやすいザックリとしたメリハリのある展開美とでも言うのか、しかしそれによって必然的にシューゲっぽさやオシャンティな感覚は薄れている。一方で後者の"キザミ"は、アンダーグラウンド・シーンで名を馳せたLudicraなどのブラック・メタルをはじめ、スラッシュ・メタル界のレジェンドメタリカ、新世代メタル界の雄マストドン、キザミ界の皇帝トゥール、そしてポスト・スラッシュ界の破壊神ゴジラ、それらのキザミ界の頂点に君臨するモンスターバンドに決して引けを取らない圧倒的なキザミ意識、それすなわちスラッシュ・メタルへの意識、全編に渡って繰り広げられる"キザミ"に対する意識、"キザミ"に対する『愛』が込められている。俄然面白いと思ったのは、一言でキザミと言っても同じキザミは一つもないところで、#1ではオールド・スクール・スラッシュ・メタル流のソリッドな"キザミ"、#2ではポスト・スラッシュ流の"キザミ"、#3では黄金比』で形成された黄金のキザミ』、#4ではエクストリーム・スラッシュ流の"キザミ"まで、その"キザミ"のバリエーションの豊富さは元より、とにかく一つ一つの"キザミ"に感動させられる。この"キザミ"に関する要素から重大な情報を得ることができる。デフヘヴンというバンドは決して普通のいわゆる"メタルバンド"ではない。しかし、今作の"キザミ""メタル"と称する他に例えようがなくて、このアルバム自体過去最高にヘヴィでメタラーにも十分アピールできる要素を持っている。しかし、いわゆる"メタル"に歩み寄るにしてもピッチフォーク贔屓のメタルとでも言うのか、つまりピッチフォークの機嫌を損なわない程度のメタルとはナニか?を、オタクならではの審美眼で見極めている。その答えはピッチ度が最も低いバンドでもメタリカフォロワーのゴジラって時点で察し。その"キザミ"主導の中、時おり顔を覗かせるポップなポスト・ハードコアリフが今作を華やかに彩る絶妙な調味料となっているのも事実。つまり、ピッチフォークへの"媚び"とメタラーへの"媚び"、そしてコアキッズへの"媚び"を絶妙なバランスで均衡させており、あの『サンベイザー』で一気にキッズ・ミュージックに振り切って、つまりメタラーを切ってキッズやピッチ厨を引き寄せてから、このタイミングで一気にメタル路線に手のひら返しする彼らの勇気と度胸、音楽的な柔軟性と器用さは、まるで「大事なのはソングライティング」だけじゃあないとばかり、現代の音楽シーンで生き残るために必要な知恵と地頭の良さ、そして彼らの"したたかさ"を証明している。まるであの『サンベイザー』の次にどこへ行けばいいのか?その落とし所を熟知していたかのよう。いわゆる「分かる人だけに分かればいい」の方向性へと進んだLiturgyとは裏腹に、この『新しいバミューダ海峡』で全方位にあからさまな"媚び"を振りまいたデッヘ、僕は考える間もなくデッへを支持する。あの『サンベイザー』で全方位からディスられて日和った結果、とは僕は微塵も思わない。むしろ「ディスれるもんならディスってみろや」感っつーか、あの『サンベイザー』を批判したピッチ以外の全方位のシーンに真っ向から喧嘩売ってます。

『桃谷エリカと吉村卓』 ・・・楽曲の曲順からして、”From the Kettle Onto the Coil”『サンベイザー』『Roads to Judah』『桃尻女とシューゲイザー』へと、現在から過去へと徐々にカムバックしながら、最後は旧友ニックの想いまで全てを引っ括めた全デフヘヴンのダークヒーロー物語だ。言わばメインストリームからアンダーグラウンドへの橋渡し的な、アンダーグラウンドからメインストリームへ自由に行き来できるくらい、今の彼らはバンドとして成熟した余裕が音から感じ取れる。ブラストを使ったBPMゴリ押しだけに頼らない、グルーヴ感のあるバンド・サウンドも今作の大きなポイントだ。もはや今のデフヘヴンはケリージョージのツーマンバンドではなく、ダニエルシヴ、そしてステファンを含めた五人組のD F H V N、そのバンドとしてのポテンシャルが開花した結果が本作だ。一言で「いいとこ取り」と言ったら矮小化して聞こえるかもしれないが、でもそれ以外他にシックリくる表現が見当たらないからこれはもうしょうがない。初期のアングラ性と『サンベイザー』で確立したメジャー感溢れるメロディセンスとファッショナブルに垢抜けた展開力、アキバ系ギタリストケリー・マッコイのソングライターとしての才能は元より、『本物のオタク』すなわちクリエイターとしてのバランス感覚、そしてバンドのプロデュース能力に感服すること請け合いだ。あらためて、どこまでも型破りなバンドだと思い知らされた次第で、前作であれだけハードルをブチ上げたにも関わらず、こんなディスる隙間のないアルバム聴かされちゃあもう何も言えねぇ。確かに、衝撃度という点では過去作に分があるかもしれないが、バンドの生い立ちから現在までの歴史と濃厚な人間ドラマに溢れた、「もうイケませェん!」と咽び泣きながら上からも下からも涙ちょちょぎれ不可避な名盤だ。これを聴き終えたあと、何故か僕は吉村卓に「ありがとう...桃谷エリカの笑顔をトリ(レ)モロしてくれてありがとう...」と心から感謝していた。これはもはや『桃尻女とシューゲイザー』ならぬ『桃谷エリカと吉村卓』の物語なのかもしれない。そんなわけで、最後はとっておきの謎かけでお別れ→

「AV女優とかけまして、バミューダ海峡と解きます
その心は、どちらも闇が深いです

お後がよろしいようでw
 
New Bermuda
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Deafheaven
Imports (2015-10-09)
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Swallow the Sun 『Songs From The North I, II & III』

Artist Swallow the Sun
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Album 『Songs From The North I, II & III』
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Disc I [Songs From The North I]
Cover

Tracklist 
01. With You Came The Whole Of The World's Tears
02. 10 Silver Bullets
04. Heartstrings Shattering
05. Silhouettes
06. The Memory Of Light
07. Lost & Catatonic
08. From Happiness To Dust

Disc II [Songs From The North II]
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Tracklist
01. The Womb Of Winter
02. The Heart Of A Cold White Land
03. Away
04. Pray For The Winds To Come
05. Songs From The North
06. 66°50´N,28°40´E
07. Autumn Fire
08. Before The Summer Dies

Disc III [Songs From The North III]
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Tracklist
01. The Gathering Of Black Moths
02. 7 Hours Late
03. Empires Of Loneliness
04. Abandoned By The Light
05. The Clouds Prepare For Battle

イェンス・ブーム ・・・スウェーデンのDraconianと並んでメロドゥーム界を牽引するフィンランドのSwallow the Sunも、00年代後半のメタルシーンに突如として巻き起こった【イェンス・ブーム】、そのビッグウェーブに乗ってイェンス・ボグレン【No 実質 Jens!! プロデューサー】に起用した2009年作の4thアルバムNew Moonで、いわゆるメタル界の迷信を説き明かす事に成功したバンドの一つだ。しかし、間もなくイェンスから離れ、再び地元フィンランド人中心の人選でレコーディングされた次作の5thアルバムEmerald Forest And The Blackbirdでは、従来のOpethリスペクトやシンフォブラックなどの他に、アコースティック/フォーク・ミュージックの要素を大胆に取り入れ始めていた。しかし、如何せんイェンス・マジックによって生まれた傑作『New Moon』と比べると、元Nightwishアネット・オルゾンとのフィーチャリング以外これと言って特に見所はなかった気がする。そんな彼らの約三年ぶりとなる6thアルバム『Songs From The North I, II & III』は、何を血迷ったのかCD三枚組トータル約二時間半、軽く映画越えしちゃう超特大ボリュームとなっている。



『Ⅰ』 ・・・まずは一枚目の『Songs From The North I』。幕開けを飾る#1”With You Came The Whole Of The World's Tears”は、まるでX JAPAN”Voiceless Screaming”を彷彿とさせる、寂寥感を煽る80年代のフォーク・ソング顔負けのしみったれたアルペジオから始まり、前作を踏襲したまるでオーロラの如くエメラルドグリーンに、いや瞳のように透き通ったエメラルドブルーに煌めくキーボード、デプレブラック流れのノイズ感というかモダンだが粗暴な轟音ヘヴィネスからはポストブラックとも取れるアプローチを垣間見せ、鬱屈かつ荒涼とした空間が支配する一種のドゥームゲイズが、フィンランドという名の極寒の地に蠢くカオティックな狂気を浮き彫りにする。一枚目のリード・トラックとなる#3”Rooms And Shadows”では、フロントマンであり"ニット帽おにいさん"ことミッコの寂寥感溢れるボーカル・メロディからは、フォーク・ミュージックや北欧民謡の名残を漂わせるし、アウトロのGソロではX JAPAN”THE LAST SONG”に匹敵する泣きメロっぷりを発揮。ex-KATATONIAのノーマン兄弟が加入した事でも知られる、バンドの中心人物であるギタリストJuha RaivioのサイドプロジェクトTrees of Eternityでお馴染みのAleahとフューチャリングした#4”Heartstrings Shattering”、ドイツ出身のSarah Elisabeth Wohlfahrtとフィーチャリングした#6”The Memory Of Light”と#7”Lost & Catatonic”などの女性ボーカルをフューチャーした楽曲は、氷上の女神を司った今作のフェミニンなアートワークを象徴するかのよう。そして、ケルティックな音色とストリングスが優美に氷上を舞い踊るイントロから、雪の結晶の如し繊細なメロディに魅了される”From Happiness To Dust”で、美しくも清らかなエンディングを迎える。

懐メロ ・・・この一枚目は、前作を踏襲したフォーキーなアプローチ、俄然アンビエントな音響空間を意識したより幅広いアレンジが施されたキーボード、LantlôsAlcestをはじめとしたフレンチ産ポスト・ブラック勢からの強い影響下にある轟音ヘヴィネス、そして昭和歌謡を経由したX JAPANばりの歪んだ泣きメロを全面にフューチャーした叙情性と極寒の地の厳しさや孤独感を露わにする暴虐性、その静と動のコントラストを強調した、要するにこれまでのSWSらしいゴシック・ドゥームの王道的な作風となっている。その持ち味とも呼べる静から動への転換がプログレ並にスムーズで、安直に「いつものSWS」とか言いながらも、音の細部には確かな進化を伺わせる。これはフィンランド映画の巨匠アキ・カウリスマキの映画に使われている音楽を聴いて思ったんだが、フィンランド人の音楽的嗜好って日本を含む東アジアの歌謡曲が持つ民謡的で情緒的なメロディに近い、極めて親和性が高いというか、少なくともこの『Ⅰ』の音には、このSWSもそのフィンランド人特有の"懐メロスキー"の継承者である事を証明する、と同時にスオミ人の知性と(気候とは裏腹に)心温かい情念が込められている。

『Ⅱ』 ・・・今時、メタルバンドがアコースティック路線に傾倒する例は決して珍しくない。この手のバンドで代表されるところでは、スウェーデンのKATATONIAやリヴァプールのANATHEMAがそうだ。その時代の流れに取り残されんとばかり、この『Ⅱ』の中でSWSはアコギやピアノ主体のフォーク・ミュージックを展開している。川のせせらぎと共に、真夜中の浜辺でただ独り佇むような悲しみの旋律を奏でるダークなピアノインストの#1”The Womb Of Winter”で幕を開け、アルペジオを駆使した優美でフォーキーなサウンドがフィンランドの雪景色のように純白の心を映し出すような#2”The Heart Of A Cold White Land”KATATONIAのヨナスきゅんや中期ANATHEMAのヴィンセントリスペクトなミッコのボーカル・メロディが俄然フォーキーに聴かせる”Away”、そしてフィンランドのSSWで知られるKaisa Valaとフューチャリングした表題曲の”Songs From The North”では、Kaisa『叙事詩カレワラ』に登場する『大気の処女イルマタル』となってフィン語で優しく歌い上げることで俄然民謡チックに聴かせ、この三部作のハイライトを飾るに相応しい一曲となっている。その後も、Alcestもビックリのリヴァーヴを効かせたデュリーミーな音響空間とトリップ・ホップ的なアレンジを施したオルタナ風のオープニングから、緯度"66°50´N,28°40´E"に位置する北国の幻想的な白夜の静けさを音(インスト)だけで描き出し、An Autumn for Crippled ChildrenHypomanie、そしてCold Body Radiationをはじめとしたダッチ産シューゲイザー・ブラック顔負けの吹雪くような美メロをフューチャーした#7”Autumn Fire”、そしてラストの”Before The Summer Dies”までの後半の流れは、決して「いつものSWS」ではない、言わば新機軸とも呼べるモダンなアプローチや音使いをもって情緒豊かに聴かせる。もはや「こいつらコッチ路線のがいい曲書くんじゃネーか?」ってくらい、モダンな要素と持ち前の懐メロ感を絶妙な具合にクロスオーバーさせている。

『Ⅲ』 ・・・一枚目の『Ⅰ』では「いつものSWS」を、二枚目の『Ⅱ』では「新しいSWS」を、そして三枚組の最終章に当たる三枚目の『Ⅲ』では、メロディを極力排除したフューネラル/デス・ドゥームメタルの王道を展開している。さっきまでの美メロ泣きメロの洪水とは打って変わって、アートワークの下等生物を見下すドSな女神に「もう許して...許してクレメンス・・・」と懺悔不可避な容赦ない破滅音楽っぷりを見せつけ、さっきまでの夢の世界から一転して惨憺たる絶望の淵へと追いやられる。曲の中にも静と動の緩急を織り交ぜるだけでなく、アルバム単位でも音の強弱やギャップを効かせた演出を織り交ぜた謎のスケール感を強調する。

大気の処女イルマタル ・・・やっぱり、この三枚組で最も面白いのは二枚目だ。隣国のスウェーデン人の音楽と比べると、どうしても不器用さが気になってしまうフィンランド人の音楽だが、この二枚目ではフィンランド人なりの器用さを垣間見せている。それこそ、今作のアートワークを冠した女神『大気の処女イルマタル』が身にまとった大気(Atmospheric)を体外に放出するかの如く、とにかく真珠が煌めくような音響空間に対する意識の高さが尋常じゃない。この二枚目で目指した理想像でもある、KATATONIA『Dead End Kings』をアコースティックに再構築したDethroned & Uncrownedとほぼ同じ作風とアレンジだが、Alcestリスペクトな音響/音像をはじめ民謡風のメロディだったり、フィンランド人の根幹にある民族的な土着性とフォーク/アコースティックなサウンドとの相性は抜群で、さすがにヨナスと比較するのはヨナスに失礼かもしれないが、ミッコのボーカル・メロディに関してもイモ臭さは程々によく練られているし、歌い手としてのポテンシャルを過去最高に発揮している。

臨界点 ・・・この手の界隈で比較対象にされるDraconianと同郷のAmorphisイェンス・ボグレンデイビッド・カスティロを起用した、いわゆる【勝利の方程式】を説き明かして今年2015年に勝ちに来た一方で、このSwallow the Sunはこの三枚組の中で、メロドゥームとしての王道路線で対抗すると共に、KATATONIAANATHEMAなどの先人たちにも決して引けを取らない、モダンでアコースティックな路線でも対等に勝負できることを証明した、どの方向性、どのジャンルにも一切の妥協を許さない攻めの姿勢に僕は敬意を表したい。失礼だが、フィンランド人だけでここまでの仕事ができるなんて思ってなかったし、新作が三枚組だと聞いた時は血迷ったなって全く期待してなかったから、いい意味で裏切られた。ある意味、未だ誰も超えたことがなかったスオミ人としての臨界点を超えたと言っていいかもしれない。正直スマンかった。
 
Songs From the North I & II & III
Swallow the Sun
Century Media (2015-11-13)
売り上げランキング: 6,741

Ne Obliviscaris 『Citadel』

Artist Ne Obliviscaris
Ne Obliviscaris
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Citadel』
Citadel

Tracklist
01. Painters Of The Tempest (Part I): Wyrmholes
02. Painters Of The Tempest (Part II): Triptych Lux
03. Painters Of The Tempest (Part III): Reveries From The Stained Glass Womb
04. Pyrrhic
05. Devour Me, Colossus (Part I): Blackholes
06. Devour Me, Colossus (Part II): Contortions

ネ・バブリシャス ・・・今やAC/DCに次いでOGを代表するバンドにまで成り上がったメルボルン出身の六人組、ネ・バブリシャスことNe Obliviscarisの2ndアルバム『Citadel』は、その成り上がりを実現させた陰の立役者であり、近年のメタル界では五本指に入るんじゃないかくらいの衝撃をシーンに与えた1stアルバムPortal of Iでもお馴染みの超売れっ子エンジニア、スウェーデン人のイェンス・ボグレンを迎えて制作されている。その前作の一曲目に収録された"Tapestry Of The Starless Abstract"は、近年のベストメタルアンセムと言っても過言じゃあない名曲で、言うなればOpeth『Ghost Reveries』がノルウェイゲン・ブラック化したようなプログ・スタイルに、まるで葉加瀬太郎が雄大な自然の中を満面の笑みで無邪気に走り回る姿が脳裏に浮かび上がるような、天空を駆け巡るJ-RPG顔負けのクラシカルなヴァイオリンを豪快にブッ込んだ、まさしく超絶epicッ!!なエクストリーム・メタルを繰り広げていた。そんなデビュー作がデビュー作だけに、期待と不安が入り混じりった2ndアルバムなんだけど・・・

ネ・BTBAM ・・・収録曲を見ればわかるように、#1~#3までの三部構成となる組曲"Painters of the Tempest"、#4の"Pyrrhic"、#5~#6の二部構成となる"Devour Me, Colossus"まで、実質3曲でトータル約48分という、前作とは少し構成が違った俄然コンセプティヴな作風となっている。で、聴く前にCDに【BTBAMファンにオススメ!】とかいうウリ文句が書いてあって、「おいおい、さすがにネ・バブリィBTBAMは全然スタイルが違うだろ・・・」って思ったけど、実際にこのアルバムを聴き終えた後には、呆然としながら「こ...これはもはやネ・BTBAMだ・・・」と呟いていた。まず、三部構成となる"Painters Of The Tempest"のパート1から、Vampillia"tasogare"を彷彿とさせる哀しげなピアノと舞台役者のように慟哭するヴァイオリンの歪みが織りなす、意表を突くような迫真のプロローグから聴き手をその世界へと引きずり込み、そして本作の目玉となる約17分の大作のパート2へと繋がる。まず驚くのが、初っ端からDeathObscuraを連想させる転調しまくりのテクデス然としたカオティックな展開だったり、低音デス主体のボーカル・パートだったりと、この時点で前作のようなOpeth系ノルウェイゲン・ブラック感は薄まって、それこそUSのBTBAMを想起させる"コア"なスタイルに変化しているのが分かる。前作に引き続き、相変わらず葉加瀬太郎の笑みが溢れるようなヴァイオリンの音色をフューチャーした曲ではあるが、特に7分以降から始まるDream Theaterの名盤『Images And Words』をリスペクトした美メロなクリーン・パート一つ取っても、先ほどの"US"あるいは"コア"っぽいイメージに拍車をかけている。この先が読めない目まぐるしい展開力や俄然リリカルでドラマティックな音のスケール感・・・とにかく、前作の弱点だった展開の乏しさやリフの単調さを克服してきている。そのパート2のエンディング的な役割を担うパート3では、葉加瀬太郎の情熱的なヴァイオリンとアコギが優雅に舞い踊る。デスラッシュ気味に突っ走るブルータルな前半から急激にポストブラック化する後半へと繋がる、実にツウ好みな展開を垣間みせる#4"Pyrrhic"、今作の中では最もOpe-Styleをベースにした曲で、かつAlcestっぽい癒し系アコギ・パートを盛り込んだ#5"Devour Me, Colossus (Part I): Blackholes"、そのエンディングを担うパート2では、悲劇のヒロインが泣き崩れるような歪んだ音色を奏でる葉加瀬太郎もといヴァイオリンに慟哭不可避だ。

ネ・葉加瀬太郎

ネ・葉加瀬太郎 ・・・今作、特にクリーン・パートのバリエーションが広がったのと音の表現力が格段に増したのが大きくて、それはAlcestDTリスペクトな美メロだったり、NeurosisIsisあるいはDEAFHEAVENを連想させる”Post-系”のモダンな空間能力を発揮する場面だったりと、なんだろう音のメリハリの効かせ方が実にUS的というか、様々な面でEU的というよりもUS的な音に歩み寄っているのは確かで、正直デビュー作だけの一発屋になるかと思っていた僕を真っ向から否定するかのような、めざましい進化を遂げている。まさかここまで柔軟性のある、ここまで器用で繊細なバンドだとは微塵も思ってなくて、USのバンドが出せないEUの音とEUのバンドが出せないUSの音を併せ持つ、それこそ新世代のメタル界を担う救世主こそ、このネ・バブリシャスなのかもしれない。また、バンドの生命線であるヴァイオリンからの脱却に成功した、バンドとしても確かな進化を感じさせる一枚でもあって、つまり"バンド・サウンド"が一段と高まったことで、よりヴァイオリンの音色が際立っているし、むしろ逆にヴァイオリンの存在が他の楽器を引き立てながら、互いに良い相乗効果を生んでいる。そして今作では全編を通してベースが活きているのが分かる。そんな様々な変化が巻き起こっている中でも、持ち前の葉加瀬太郎もといヴァイオリンが奏でる叙情的なメロディは不変で、しかし前作で言うところの”Tapestry Of The Starless Abstract””Forget Not”をはじめとした、あざと可愛いくらいの葉加瀬太郎の満面の笑顔ほとばしるエピカルなJ-RPG成分が少し薄まったのは賛否あるかもしれないし、大手のテクデス勢や流行りのポストブラック勢と似たようなスタイルになってバブリシャスらしさが消えたとも言われかねないが(もはや好みの世界)、それらのプラスマイ要素を引っ括めても、その完成度は前作に勝るとも劣らない傑作である事には違いない。とにかく、このアルバムを届けてくれた葉加瀬太郎には感謝の言葉しかない。ありがとう葉加瀬太郎、フォーエバー葉加瀬太郎

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Ne Obliviscaris
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Sólstafir 『Ótta』

Artist Sólstafir
マイルドヤンキー

Album Ótta
Ótta

Tracklist
01. Lágnætti
02. Ótta
03. Rismál
04. Dagmál
05. Miðdegi
06. Nón
07. Miðaftann
08. Náttmál

ブラックメタル界のシガーロス・・・そんな異名を持つ、1994年にアイスランドは大レイキャヴィークで結成されたマイルドヤンキーこと、Sólstafirの約三年ぶりとなる5thアルバム『Ótta』がリリースされた。アヴァンギャルディでヤンキーなマイルド・ブラックメタルやってた初期から異質な存在としてマニアの間で話題を呼んでいた彼らだが、その名を一躍有名にしたのが2009年にリリースされた3rdアルバムの『Köld』で、轟音ポストロックやアトモスラッジやノイズやシューゲイザーやポストパンクなど、ありとあらゆる要素を持ち前のアヴァンギャリズムとクロスオーバーさせた、それこそ”アイスランドのAmesoeurs”かってくらい今流行りの激情系ポストブラックへとその姿を変えた。その二年後、かの霧の季節に移籍してリリースされた4thアルバムSvartir Sandarでは、着実に3rdのオルタナ路線を引き継ぎながら、同郷のシガーロスに対する想いの強さ、そして母国アイスランドに対する郷土愛に目覚めていた。そんな前フリがあっての本作『Ótta』は、これまでの流れからも予想できたように、もう完全にポストロック化していると言っても過言ではなくて、それはヨンシー親衛隊ことamiinaをはじめ、前作同様に数多くのシガロ作品で知られる重鎮Birgir Jón Birgissonをプロデュース/ミックスに迎えているのが、何よりの”答え”みたいなもんで→

Sigur Rós→Sólstafir→ANATHEMA ・・・今年、僕たちはamiinaBirgir Jón Birgissonという名前に見覚えがあるハズだ...そう、Alcestシェルターを手がけたアイスランド勢だ。まず、オープニングの#1”Lágnætti”の音使いを耳にすれば全てを理解することができる。それはシガーロス直系のストリングスとピアノの壮麗優美な音色が織りなす、それこそアイスランドの雄大な自然と大地をモノクロームに描き出すかのような、まるで深夜のドキュメンタリー映像集を観ているかのような力強いドラマティックな展開力に、その壮観な景色を目の前にして僕は只々唖然とするしかなかった。その流れを引き継いで、雄大な自然の育み(自然エネルギー)...生命の神秘(生命エネルギー)に満ち溢れた、アイスランドの歴史という名のホワイトシルクロードを、アイスランドという名の雪国が作り出す真っ白なキャンパスに描き映すかのような#2”Ótta”は、まさしく”ブラックメタル界のシガーロス”という異名を確かなものとする、セルフタイトルを冠するに相応しい名曲で、これはもうポストロック以外なにものでもない、ただひたすらに美しいリリカルで壮大な抒情詩に、ヴァイキングの末裔である俺たちの魂がアツく揺さぶられる...ッ!・・・あらためて、そのヴァイキンガーとしての民族性とアイスランディックな土着性を繰り返し煽るバンジョーのオリエンタルな音色をアクセントに、ここぞとばかりにフロントマンAðalbjörn Tryggvasonのヴァイキング魂が解放される魂の叫びから超絶epicッ!!なヴァイオリンへと繋がるクライマックスの展開に男泣き不可避な楽曲で、これこそアイスランドという小さな独立国家が歩んできた長年の歴史と文化、そのホワイトシルクロードとともに歩んできた音楽人生の中で、常に新しいモノへと”深化”してきた彼らが導き出した一つの”答え”であり一つの”終着点”だ。正確には”ポストロック化”というより”シガロ化”と言ったほうが的確で、あらためて今年のメタル界のトレンドはホモもといシュガーロス・ダイエットだなーなんて思いつつ、それはまるで現代の人間社会に生じる大きなヒズミのように、人間の闇を...人間の業を...人間の尊厳を深裂に抉りだすかのようなストリングスや音響意識の高いポピュラーなピアノ、そしてレディオヘッドばりにモダンな音使いを全面にフューチャーした、いわゆる”Art-Rock”に対する意識を高めてきたという点では、なぜ本作がANATHEMAファンなら間違いなし!みたいなウリ文句で大々的にプッシュされているのか?そのワケが実によーくわかる。・・・ん?ちょっと待てよ、これってつまり→ブラックメタル界隈からANATHEMASigur Rósを繋ぎ始めたってことか・・・?もうわけわからん...このマイルドヤンキー頭おかしいわ。その無人の荒野を彷徨う浮浪者ばりにダーティな姿は、さしずめデンマークの奇才ラース・フォン・トリアー黒澤明『七人の侍』をリメイクしたヤンキー映画『四人のSAMURAI』といった所か。

Vampilliaの上位互換 ・・・おいら、今年の初めに【Sigur Rós→Vampillia→Alcest】てな感じに、日本のサブカル左翼芸人ことVampilliaSigur RósAlcestを繋ぐ黄金の架け橋だ!なんーて例えたが、どうやら違ったみたいだ。アイスランドの至宝Sigur Rósとフランスの皇帝Alcestを繋ぐ真の架け橋こそ、このマイルドヤンキーSólstafirなんだって、この『Ótta』を聴いて確信することができた。近年で例えると→先ほどのVampilliaUlverあるいはKayo Dotにも精通する、experimentalismすなわち狂気イズムが込められた歪んだストリングス主体の”オルタナティブ”な音使いからは、なんつーかVampilliaが1stアルバムmy beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darknessで本当に描きたかった音がこの『Ótta』に詰まっているような気がして、やはり”ニセモノ”の吉本芸人Vampilliaとはスケール感がまるで違うというか、単純に音の説得力が違いすぎる(自分の中で、Vampilliaといえば→the divine moveということもあって)。当然、その説得力はアイスランド生まれだからこそ成せる技みたいなもんで、邦楽のVampilliaにソレすなわち”ホンモノ”や”リアル”を求めること自体ナンセンスか。何にしても僕たちは今、”ホンモノ”を見極める真の審美眼が試されているのかもしれない。

アイスランド・サガ ・・・ここ最近の二作と比べてもかなり分かりやすい、まるでアイスランドの風土や匂いが漂ってくるようなシットリした音作りで、これまでの曲は大作志向が強く、収録時間も1時間越えが当たり前だったが、今回は従来の大作志向その傾向は少し弱まってトータル約57分という、あらゆる面で非常にシンプルかつコンパクトにまとめられている。しかし初期から一貫しているのは、アイスランド特有の静観な雪景色やその繊細な空気感を鮮明に、しかし幻想的に描写していくアトモスフェリックなセンスで、本作はそれがより顕著に表面化した実に”Post”な作風だ。その一貫した”らしさ”と多数の弦楽器を用いたamiinaによるストリングス・メロディが恐ろしいくらい自然に融け込んでいる。Sólstafirの総長もといフロントマンAðalbjörn Tryggvasonのパフォーマンスとしては→まるでアイスランド語を話す田舎のヤンキーが啖呵を切るような、粗暴なヤンデレ系ハイトーンボイスは少し抑えめになっていて、確かに初期や近作ほどの轟音や焦燥感や激情感を煽るエモーションは希薄だが、民謡テイストに溢れた抒情的なメロディを中心に、この北欧神話『アイスランド・サガ』のいち語り部となって聴き手を黄泉の国へと誘っていく。まるでスコットランド独立が叫ばれるこの時期に触発されたように、彼らの母国愛は極地に達した結果→彼らにしか成し得ない孤高の音世界、その唯一無二の世界観、その圧倒的な存在感は、それこそ北欧映画『孤島の王』との親和性を感じるほど気高い芸術性を放っている。こうしてアイスランドの音楽/映画/文化を一つの音に落とし込んで誕生したのが、この歴史的芸術作品『Ótta』であり、そして昨年36歳の若さで亡くなったフランスのブラックメタルバンド、Vorkreist他の女性ベーシストMarianne Séjournéに捧げる鎮魂歌(レクイエム)なのである。

Otta
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Woods of Desolation 『As the Stars』

Artist Woods of Desolation
Woods of Desolation

Album 『As the Stars』
As the Stars

Tracklist
01. Like Falling Leaves
02. Unfold
03. And If All The Stars Faded Away
04. This Autumn Light
05. Anamnesis
06. Withering Field
07. Ad Infinitum

ぼく「えぇ!?ラントロス君がポストブラックをやめるだってぇ!?」
廃材君「えぇ!?ラントロス君がポストブラックをやめるだってぇ!?」

ぼく「よっしゃ!NEXT-ALCESTは廃材君に決まりや!」 
廃材君「よっしゃ!ラントロス君に習って俺たちも初期アルセ化や!」

ぼく「えっ」
廃材君「えっ」 

【ブラゲの極み乙女】・・・ポストブラック界の皇帝アルセスト『シェルター』でポストブラックを超越したとなると、じゃあその空いたポストに誰が入るの?という話で、その”ポスト-アルセスト”に最も近い存在こそ、このオーストラリア出身のD.氏によるWoods of Desolationなんだ。2011年作の2ndTorn Beyond Reasonを初めて聴いた時の衝撃ったらなくて、正直あのDEAFHEAVENよりも先に激情系ブラゲ/ポストブラックやってたのがこの廃材君なんだ。そのポストブラック界に名を残す名盤だった前作から約三年ぶり通算三作目となる『As the Stars』なんだけど、その幕開けを飾る#1”Like Falling Leaves”を再生すると同時に、無骨で粗暴なブラストとともに解き放たれるジジジ...ノイジーなギターの音使いから確信犯で、続く#2と#3などのポストロック流れにある気品漂うポジティヴなメロディを聴けば分かるように、まるでアルセが”ポストブラックをやめる”ことを予見していたかのような、まるで「俺たちがアルセだ」と言わんばかりの、それこそ初期アルセの代表作である『Le Secret』の再来を予感させる、これぞまさしく”ブラゲの極み乙女”なポストブラックを展開している。

【スーサイド系男子】・・・ふと胸を掻きむしりたくなるほどの衝動に襲われる、自傷行為イイネ☆系デプレブラックだった前作、それを何倍にもキレた印象を与えていた張本人である→時として激情的、時としてビャアアアアアアアアアアアアアア!!とかいう金切り声を聴かせていたTim "Sorrow" Yatras氏が惜しくも脱退し、今回は初期のデモ音源でボーカルを担当していたThrydwulf(Old)がバンドに出戻りした形となっている。彼は前任者のティムと違って、どちらかと言えば高音ではなく低音を効かせたイヴェ゛アアアアアアアアアアアアアア!!みたいな金切り声を特徴としていて、言うなればスウェーデンのShiningのスーサイド系男子ことNiklas Kvarforthを彷彿とさせ、それによってバンドのキモであるデプレッシヴな激情感およびepicッ!!な勇壮感が著しく減退している。このボーカル交代は、バンドの致命傷になるのではないかと少し心配していたが、その躁鬱感溢れる焦燥感と終末感が入り乱れた『幸福』な音世界に触れてしまうと、あたらめてD.氏の音作りと作曲能力の高さに脱帽させられる。確かに、ここ最近のポストブラック界隈で著しく流行っているシューゲイザー化の煽りを多少なりとも食らってはいるものの、しかしこれはポストブラ特有の儚くも淡いメランコリックな一面が露骨に表面化した結果であり、その音の根幹にある精神性は不変で、その著しく洗練された音使いと楽曲からは、少なくともダッチ産あたりのポストブラとは一線を画した確かな説得力がある。それこそ霧の季節20世紀メディアあたりと契約してもオカシクないレベルだと。

【ポストブラックの先駆け】・・・おいら、以前にも少し書いたが→KATATONIA『Brave Murder Day』はポストブラックの先駆けだと確信していて、今作の『As the Stars』では初期アルセは元より、そのKATATONIAの名盤『Brave Murder Day』を彷彿とさせる、ドゥーム/デプレッシブ・ロックな音を積極的に取り入れている所も大きなポイントだろう。それは#6”Anamnesis”を耳にすれば、いかにしてKATATONIA『Brave Murder Day』が、USのレジェンドAgallochをはじめとしたポストブラック界隈に与えた影響、その大きさを痛感する事になるだろう。そんな印象もあって、よりShining (Swe)っぽい鬱系ブラック感を与えている。

【Post-Black is Love】・・・本人達はこう呼ばれる事に不満を持つかもしれないが、このWoods of Desolationこそ”NEXT-ALCEST”と呼ぶに相応しい、その最もたる存在であることを皮肉にも証明してみせた一枚なんじゃあないか、って。現にラストを飾る#7”Ad Infinitum”は、それを確信的なモノにするくらい、とてつもなくラヴリィ♥な多幸感をまき散らしている。その超絶epicッ!!な光景は・・・まるでAlcestの名盤『Souvenirs d'un autre monde』の幼女が浜辺で戯れているかのような、それこそ「Post-Black is Love」のセカイだ。
 
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