Artist deathcrash
Album 『Return』
Tracklist
01. Sundown
02. Unwind
03. Horses
04. American Metal
05. Matt's Song
06. Wrestle With Jimmy
07. Metro I
08. Slowday
09. Was Living
10. What To Do
11. Doomcrash
12. The Low Anthem
一見、陰キャのイギリス人男性ならではのヒョロガリ系オルタナサウンドとは裏腹に、それこそバンド名のdeathcrashや“American Metal”はもとより、#11の“Doomcrash”というタイトルが示す絶望感に苛まれた重厚感溢れるメタル然としたサウンドも陰キャを構成するアイデンティティの一つで、そのモグワイ的なノイズ/ハードコアネスおよびオルタナイズムの繊細かつ内向きな側面と、90年代に活躍し2020年に復活を遂げたUSオルタナのHumや40 Watt Sunを連想させるドゥーム/ポストメタル的な破天荒かつ外向きな側面が表裏一体化した、そんな彼らなりの存在証明が記された傑作です。見方によってはHumの亜種として認識できなくもないし、同じく初期のドゥームメタルを経て新作でスロウコア化した40 Watt Sunと聴き比べたいタイムリーな逸品。間違いなく今年の年間BEST級。
Album 『Return』
Tracklist
01. Sundown
02. Unwind
03. Horses
04. American Metal
05. Matt's Song
06. Wrestle With Jimmy
07. Metro I
08. Slowday
09. Was Living
10. What To Do
11. Doomcrash
12. The Low Anthem
UKはロンドン出身のdeathcrashの1stアルバム『Return』が掘り出し物で凄い。いわゆる90年代のemo(イーモゥ)の影響下にある寂寥感むき出しのアルペジオ・リフと内省的という概念を超えた衰弱した小動物のように弱々しい倦怠感むき出しのボーカルが支配するウェットな雰囲気、一方でポストハードコアならではの感情的な側面、そしてポストロックならではのリリシズムを内包したセンチメンタルなスロウコアを展開しており、例えるならスコットランドのレジェンドMogwaiの名盤『Rock Action』あたりの作品に精通するハードコアmeetポストロックをスロウコアmeetエモ寄りに振り切ったようなイメージで、その90年代のオルタナ愛に溢れたサウンド・プロデュースは1stアルバムにして既に非凡な才能を開花させている。
モグワイ顔負けのポストロック~スロウコアラインのローテンポな気怠い雰囲気から、ギア転調を繰り返してエモ~ポストハードコアラインへとプログレスに場面を切り替えていく自己紹介がてらの#1“Sundown”を皮切りに、常にローテンションの陰キャが全力で腹から声出した結果みたいなUKバンドらしいエモいボーカルメロディをフィーチャーした#2“Unwind”、オルタナ志向の強い#3“Horses”、ゴリゴリのアメリカンメタルと見せかけてゴリゴリリカルなポストロックの#4“American Metal”、ローファイ宅録系アコギ男子みたいな#5“Matt's Song”、内側に溜まりに溜まった鬱屈した感情を外側に全て吐き出すかのようなハードコア然とした咆哮すらも存在感(影)の薄い#6“Wrestle With Jimmy”、Bennett Theissenなる人物のボイスを導入した#7“Metro I”も実にモグワイ的というか、あるいは後期のana_themaを彷彿とさせるし、これが本当のアメリカンメタルとばかりのポストメタル然としたヘヴィネスと静寂パートのコントラストに面舵いっぱい切った#9“Was Living”、2010年に自ら命を絶ったUSインディロック・バンドSparklehorseのマーク・リンカスの(自死の引き金となった“Gun”のワードを捉えた)肉声インタビューを収録した#10“What To Do”、彼の自死に対する孤独と哀しみに苛まれるセンチメンタルな序盤から一転、この終わりのない悪夢のような世界に絶望するドゥームメタル然としたヘヴィネスを叩き込む後半の流れは何とも示唆的で、それは同時に彼らの内に秘めた危うさをも浮き彫りにしている。
モグワイ顔負けのポストロック~スロウコアラインのローテンポな気怠い雰囲気から、ギア転調を繰り返してエモ~ポストハードコアラインへとプログレスに場面を切り替えていく自己紹介がてらの#1“Sundown”を皮切りに、常にローテンションの陰キャが全力で腹から声出した結果みたいなUKバンドらしいエモいボーカルメロディをフィーチャーした#2“Unwind”、オルタナ志向の強い#3“Horses”、ゴリゴリのアメリカンメタルと見せかけてゴリゴリリカルなポストロックの#4“American Metal”、ローファイ宅録系アコギ男子みたいな#5“Matt's Song”、内側に溜まりに溜まった鬱屈した感情を外側に全て吐き出すかのようなハードコア然とした咆哮すらも存在感(影)の薄い#6“Wrestle With Jimmy”、Bennett Theissenなる人物のボイスを導入した#7“Metro I”も実にモグワイ的というか、あるいは後期のana_themaを彷彿とさせるし、これが本当のアメリカンメタルとばかりのポストメタル然としたヘヴィネスと静寂パートのコントラストに面舵いっぱい切った#9“Was Living”、2010年に自ら命を絶ったUSインディロック・バンドSparklehorseのマーク・リンカスの(自死の引き金となった“Gun”のワードを捉えた)肉声インタビューを収録した#10“What To Do”、彼の自死に対する孤独と哀しみに苛まれるセンチメンタルな序盤から一転、この終わりのない悪夢のような世界に絶望するドゥームメタル然としたヘヴィネスを叩き込む後半の流れは何とも示唆的で、それは同時に彼らの内に秘めた危うさをも浮き彫りにしている。
一見、陰キャのイギリス人男性ならではのヒョロガリ系オルタナサウンドとは裏腹に、それこそバンド名のdeathcrashや“American Metal”はもとより、#11の“Doomcrash”というタイトルが示す絶望感に苛まれた重厚感溢れるメタル然としたサウンドも陰キャを構成するアイデンティティの一つで、そのモグワイ的なノイズ/ハードコアネスおよびオルタナイズムの繊細かつ内向きな側面と、90年代に活躍し2020年に復活を遂げたUSオルタナのHumや40 Watt Sunを連想させるドゥーム/ポストメタル的な破天荒かつ外向きな側面が表裏一体化した、そんな彼らなりの存在証明が記された傑作です。見方によってはHumの亜種として認識できなくもないし、同じく初期のドゥームメタルを経て新作でスロウコア化した40 Watt Sunと聴き比べたいタイムリーな逸品。間違いなく今年の年間BEST級。