Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Post-Rock

Earthside 『A Dream in Static』

Artist Earthside
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Producer/Mixing David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album A Dream in Static
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Tracklist
01. The Closest I've Come 
03. A Dream In Static
04. Entering The Light
05. Skyline
06. Crater
07. The Ungrounding
08. Contemplation Of The Beautiful

勝利の方程式 ・・・ここ最近のメタル界隈には→「今の時代、イェンス・ボグレン単体じゃありきたりだし物足りない...せや!相棒のデイビッド・カスティロも一緒に指名すれば優勝間違いなしや!」みたいな風潮あって、そのいわゆる【Jens Bogren×David Castillo=勝利の方程式】を、なんとデビュー作で説き伏せる掟破りのクソ野郎が現れた。何を話そう、【US】【ニューヘイブン出身】【四人組】ということ以外全てが謎に包まれた、その名もEarthsideの1stアルバム『A Dream in Static』は、その「勝ちたいんや!」精神に溢れた、まるで全てのプログレッシブ・メタルを過去の物にするかのような、そしてオルタナティブ・ヘヴィ界およびプログレッシブ・ヘヴィ界に真正面から殴りこみをかけるような一枚となっている。

「こいつら一体ナニモノなんだ!?」 ・・・その謎は一向に解決せず、こうなったら音源を聴いてみるしか他ない、というわけで、今作の一曲目である”The Closest I've Come”を聴いたら今世紀最大の衝撃が走った。もはやポストロック的ですらあるドリーミーで幻想的なイントロで幕を開け、まるで全盛期のDaniel Liljekvist顔負けのタイム感を刻むドラミングを筆頭に、Tool直系の理知的なキザミリフと世界で初めて【勝利の方程式】が解かれたKATATONIAの歴史的名盤『The Great Cold Distance』直系のオルタナティブ・ヘヴィネス、OSIを彷彿とさせるモダンでダーク・アンビエントな音色を奏でるATMS系キーボード、そして初期Riverside顔負けの薄暗い叙情性が、それこそEarthsideというバンド名が示すとおり地球規模で展開する圧倒的な音のスケールをもって、シネマティックかつドラマティックな無駄のない展開力を爆発させる。少なくとも、このオープニングの一曲だけでこいつらがどれだけヤバいのか、タダモノじゃないのが理解できる。一見「インストバンド?」と思いきや、イントロからThe Moscow Studio Symphony Orchestraによる映画『レ・ミゼラブル』あるいは『指輪物語』ばりの壮大で喜劇的なオーケストレーションを全面にフューチャーした#2”Mob Mentality”では、ゲストにSevendustラジョン・ウィザースプーンを迎え、彼のエモーショナルなボーカル・メロディや絶妙にハスキーな声質も相まって、イギリスのポストハードコアバンドっぽい雰囲気というか、IntervalsThe HAARP Machineでお馴染みのMichael Semeskyを彷彿とさせる。#2を聴いて、「インストバンドじゃない?!」と意表を突かれ、そしてマス系のオシャンティなイントロで始まる#3”A Dream In Static”を聴いたら自分の耳を疑った。なんかTesseractダニエル・トンプキンズ君にクリソツな美しすぎるハイトーンボイスが聴こえてきて笑ったんだが、それがどうやらマジでダニエル君らしいと分かった時が個人的なハイライトで敗北宣言、というか、ダニエル君の声がデイビッドとイェンスという黄金のスウェーデンコンビ】にミックス/マスターされた事の方が地味に凄くね。要するに→【Jens Bogren×David Castillo×Daniel Tompkins=yes!!yes!!Jens!!。再び北野映画すなわち久石譲的な、ゲスト・ミュージシャンのMax ZTが奏でるダルシマーのオリエンタルな音色をフューチャーした#4”Entering The Light”、そして今作のハイライトを飾る#5”Skyline”では、AlcestGod Is an AstronautもビックリのATMS系ポストメタルを展開し、まるで気分は映画『インターステラー』で娘達のビデオメッセージに号泣するマシュー・マコノヒーの如く、宇宙空間(ワームホール)の中に放り出されたような美メロの洪水に涙不可避だ。
 


・・・で、流石にもうこれ以上驚く要素ないでしょと気を抜いた矢先、「なんかビョーンっぽいな...でもビョーンより上手いな」と思ったらマジでSoilworkのビョーンがゲスト参加してた#6”Crater”、ポーランドのWidekを彷彿とさせるATMS系DjentにKATATONIAのセッション・ミュージシャンでお馴染みのJP AsplundによるパーカッションやHenrik Gennertによる流麗なGソロをフューチャーした#7”The Ungrounding”、そしてUSオルタナFace the KingEric Zirlingerをゲストに迎えた曲で、今やエクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するLeprousばりのシンフォニック狂騒曲の#8”Contemplation Of The Beautiful”まで、Dream TheaterToolをはじめとしたUSプログレッシブ/オルタナティブ・ヘヴィ界隈、ToolフォロワーのSoenや皇帝KATATONIAをはじめ、AtomaEnshineを筆頭としたスウェーデン産ATMSの新興勢力、そしてTesseractTo-MeraなどのUKモダン・ヘヴィ/アンダーグラウンド・メタル界隈からRiversideをはじめとした辺境プログレ界隈まで、ポストロックやジェントなどのモダンな音像から往年のプログレ・メタルならではの泣きのメロディまで全てを飲み込み、まるで一本の大作映画を観ているかのような、いわゆる"プログレ・メタル"と呼ばれるジャンルの醍醐味が一つに凝縮された、一切の隙も妥協もない実にProgressiveなアルバムだ。

メタル界のタブー ・・・ここにきてデビュー作から【勝利の方程式】を解くという、言わば"メタル界のタブー"を犯した彼ら自身相当な批判を受ける『覚悟』があったはずだ。しかし、それらの批判やヒネクレ野郎ばかりのプログレ界隈の住人に有無を言わせず『納得』させてしまうこのアルバムは、Soilworkなど今年イェンスが関わった作品は元より、ダニエル君が復帰したTesseractRiversideの新作に喰ってかかるほど、正体不明の出自も相まって未知数なポテンシャルに溢れている。普通にInside Out辺りからリリースされてもおかしくない傑作だ。 しかし、こう言っちゃあアレだが、無名バンドでも「kawaiiは作れる」ならぬ流行りの【勝利の方程式】は作れる、という真実が暴かれたのはプログレ・メタル界にとって大きな損失、はたまた大きな収穫か・・・?
 
A Dream in Static
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Enslaved 『In Times』

Artist Enslaved
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Mixing Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『In Times』
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Tracklist
02. Building With Fire
03. One Thousand Years Of Rain
04. Nauthir Bleeding
05. In Times
06. Daylight

イェンス童貞 ・・・今や”イェンス童貞”じゃないバンドの方が少ないんじゃあないかってくらい、メタル界屈指の売れっ子エンジニアとなったイェンス・ボグレン。あのOpethでもなんでも、イェンスと組んだバンドは一作目のアルバムが名作になるみたいな風潮があって、この北欧ノルウェイの森に棲むクマおじさんこと、Enslavedもイェンスを迎えた2010年作の11thアルバムAxioma Ethica Odiniで、名実ともにOpethMastodonを代表とする一流プログレ・メタル勢の仲間入りを果たした。2012年作の12thアルバムRIITIIRでは、前作から鮮明化したプログレ路線が著しく進むと同時に、Alcest以降のモダンなポストブラック勢からの影響も垣間見せ始め、ケモナーみたいなムッサいムッサい見た目のイメージとは裏腹に、メチャクチャ器用な音楽センスを見せつけていた。で、次はどうでるか?まさか本当にシューゲイザーやっちゃうか?なんつって。まぁ、それは冗談として→そんなEnslavedは約三年ぶり、イェンスと組んでから早くも三作目となる13thアルバム『In Times』をリリースした。

クルゾ...クルゾ...コネー('A`) ・・・結果的に、先ほどの予想は良くも悪くも真っ向から裏切られる形となった。結論から言ってしまえば、この『In Times』はここ最近の近代プログレ・メタル路線から一転して、10アルバム『Vertebrae』以前の不気味さと混沌さ蠢くノルウェイジャン・ブラック、要するに本来のEnslavedの姿へと回帰している。その”違い”は幕開けを飾る#1”Thurisaz Dreaming”から顕著で、Axioma Ethica Odini流れのヴァイキンガーの血が騒ぎ出す勇壮な勢いはそのままに、鍵盤奏者エルブラン・ラーセンによる気だるく幽玄なクリーン・ボイスを披露する中盤、そして本来この展開なら最後に大サビが来るはずなのに何事もなく曲が終わる。なんつーか→「大サビ来るぞ...大サビ来るぞ...コネー('A`)」みたいな、なんだろう、『男の世界』で例えるならフィニッシュする直前に嬢に「はい時間でーす☆」と言われた時の感覚っつーのかな、ある種の”寸止めプレイ”を食らった感覚に陥る。この時点で分かるのは、ここ二作のウリだった急転直下型の緩急を織り交ぜたド派手な展開力は比較的影を潜め、一転して下手にコネクリ回さないシンプルな構成かつ無骨に展開していくイメージが先行すること。それと同時に、ここ最近のプログレ化によって生じた音の軽さや民族的世界観の希薄さなどの弊害から脱し、従来のブラックメタル然としたドス黒い『漆黒の意志』が音に宿り、雄々しくも深みのあるコンセプティブな世界観を形成している。少なくとも、最近のプログレ路線を期待すると肩透かしを食らうのは確か。

シブみ ・・・近年Enslavedの功労者であり鍵盤奏者エルブラン・ラーセンが主役を務める#2”Building With Fire”では、過去二作でもはや”歌モノ”と呼んでいいくらい叙情的なメロディ重視だった彼のクリーンボイスは、今作では一転して浮遊感重視の幽玄なクリーンボイスを披露している。前作、前々作みたく存在感が浮くぐらいガッツリメロディを歌い上げるというわけじゃなくて、以前と同じような立ち位置/スタイルであくまでもコーラス役に徹している点も、過去二作との大きな”違い”と言える。あくまでも無駄を削ぎ落としたスタイリッシュでオーガニックなノルウェー流のブラックメタルを目指した、そんな彼らの明確な意思が感じ取れる。確かに、一聴した時のインパクトでは最近の二作に劣る。しかしシブい、とにかく”シブみ”は過去最高にあって、どこの誰にも媚びないベテランらしい一枚でもある。全6曲トータル約53分という潔さも、本作の”シブみ”に拍車をかけている。いくら過去二作とは毛色が”違う”とは言っても、#4”Nauthir Bleeding”では初期Alcest顔負けの遊牧民的で民謡チックなムードをアピるし、#6”Daylight”では暗転パート以降のガチでポストロック/シューゲイザーやっちゃう、ノルウェイの森のクマさんという名の五人の天使が織りなす繊細な美メロフレーズと、北欧神話の雷神トールが地上に降り立ったかの如し五人のケモナーが大地を轟かすメタリックなヘヴィネスとのギャップ萌えに男泣き不可避だ。一聴して今作が”スルメ盤”であることが分かるが、随所で過去二作で培ったモダンな要素を本来の姿に統合させる事に成功しており、つまり持ち前のライティング能力、その器用さは一層に磨きがかっている。そして、何と言っても表題曲の”In Times”は、民族楽器を使ったイントロのポロ~ン♪からスケール感溢れる展開力と幽玄の極みとばかりの深淵な世界観、これまで溜めに溜め込んだエモーショナルな感情をここぞとばかりに爆発するさせるエルブランのボーカルまで、ここ最近のEnslavedが築き上げてきた玄人スタイルの一つの終着点と言っても過言じゃあない名曲だ。とにかく、序盤は”寸止めプレイ”みたいな楽曲が続いてなかなかイケない(フィニッシュできない)状態に陥るが、しかし男の色気が出てくる4曲目以降、特に表題曲とラストの存在感を前にすれば全てを許してしまう。それくらいインパクトある。

・・・しかし何度も書くけど、今作は過去二作のプログレ路線が好きな人向けというより、それこそブラックメタル...それ以前に”メタル”が好きな人に強くオススメしたい。一抹の不安だったイェンスと組んで三作目というジンクス/マンネリ感は心配するに至らなくて、もはや彼らの集大成と呼んじゃっていいレベルの力作だと。やっぱその辺の器用なバランス感覚はベテランならではの業だと思うし、改めてなんやかんやスゲーおっさん達だと。
 
In Times
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Enslaved
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tricot 『爆裂トリコさん』&『小学生と宇宙』

Artist tricot
tricot

1st mini Album 『爆裂トリコさん』
爆裂トリコさん

Tracklist
01. 爆裂パニエさん
02. bitter
03. 42℃
04. アナメイン
05. slow line
06. Laststep (Acoustic)

2nd mini Album 『小学生と宇宙』
小学生と宇宙

Tracklist
01. G.N.S
02. 夢見がちな少女、舞い上がる、空へ
03. しちならべ
04. ひと飲みで
05. フレミング
06. MATSURI

ガールズ・ロック界のBABYMETAL ・・・あのインスタグラムからも一目置かれ始め、着々と"ガールズ・ロック界のBABYMETAL"への道を辿りつつある京都発の変拍子(オカン顔)ガールこと、tricotの2ndアルバムA N Dと1stアルバムのT H Eが思いのほか俺の感性のツボにハマって、特に最新作の『A N D』は盟友赤い公園の名盤『猛烈リトミック』に一矢報いるかのような、それこそUK発祥の"Post-Progressive"とかいう新興ジャンルが(少なくともこの日本では)"女性的"なジャンルである事を立証するかのような一枚だった。となると、これだけじゃ飽きたらず最初期の音源も気になってくるのは必然的な流れで、何よりも二度目の正直的なノリでBOOM BOOM SATELLITESのサポート・ライブの予習がてら、2011年にリリースされた1stミニ・アルバム『爆裂トリコさん』をリマスターして再発された昨年の音源と、2012年にリリースされた2ndミニ・アルバム『小学生と宇宙』を聴いてみた。
 

『爆裂トリコさん』 ・・・オープニングを飾る”爆裂パニエさん”はトリコ屈指の名曲とされる曲で、ウリとする爆裂変拍子やイッキュウによるお得意の似非ラップ・パートを織り交ぜながら、まだ初々しさの残る不安定なリズム感と荒削りなサウンドが独特のアンサンブルを形成していく、それこそトリコの音楽を象徴するかのような一曲だ。で、シュールなコーラス主体の”bitter”やマスロック然としたインスト曲の”アナメイン”、そして惜しくも解散した宇宙コンビニ辺りに強い影響を与えていそうな”42℃”やパニエさんと並んで初期の名曲として知られる”slow line”などのオルタナ風のエモーショナルな楽曲からアコースティックな”Laststep”まで、ミニ・アルバムであるのにも関わらず、この頃から既にユニークなライティング能力や濃厚なバンド・アンサンブル&グルーヴ、そしてメンバーの高いポテンシャルを発揮している。こりゃ話題になるわけだ。

・・・この頃のクレジットを見ると、基本的にキダモティフォことキダ先輩が作曲を担当していて、その作風としてもキダ先輩のギター主導からなる教科書通りのマスロック曲で構成されている。確かに、リズム面やボーカルを含めた演奏技術はまだまだ発展途上といった感じは否めないが、コピバン軽音サークル上がりみたいなシロウト臭い雰囲気は初期の特権と言えるし、一点の曇もない純度100%のエモさは初期音源ならではの味がある。フルアルバムのように肩肘張ったバッキバキな変拍子の押し売りは一切なくて、このEPではあくまでもバンドのアンサンブルを重視した作品、バンドが今やれることを凝縮した最初期ならではの一枚となっている。こうして遡って音源を聴いていくと、俄然komaki♂の存在の大きさを痛感するばかりで、まぁ、それはしょうがない小宮山。ともあれ、この『爆裂トリコさん』赤い公園で言うところの黒盤レベルの完成度はあります。



『小学生と宇宙』 ・・・その翌年にリリースされたのが『小学生と宇宙』で、まずリマスターされた『爆裂トリコさん』と比べるとデモ音源かと思うくらい露骨に音質が悪い。でもって、このジャケが意味不明過ぎて笑える。そのジャケが醸し出すオモロいイメージとは裏腹に、イッキュウによるウィスパーボイスとドリーミーな世界観が織りなす"オルタナティブ宇宙"みたいな”G.N.S”で幕を開け、いわゆる"非・踊れる系"を宣言するかのような”夢見がちな少女、舞い上がる、空へ”をはじめ、オシャンティな側面を垣間見せる”しちならべ”『A N D』”QFF”の原形とも取れるような”フレミング””庭”の原形となるような”MATSURI”まで、前作とは一転して今作ではロキノン系ライクなノリとポストロッキンなメロさの側面をフューチャーした作風となっている。ちなみに、この作品から作曲はtricot標記に変わってたりする。

過去三作品≠『A N D』 ・・・トリコはこの2枚のミニ・アルバムを経て、その翌年に自身初のフルアルバムとなる『T H E』へと繋がっていくのだが、なんやかんやトリコがやってる事(やりたいこと)は初期の頃から一貫して変わっていないのがわかる。つまり、前作の『爆裂トリコさん』で表の顔を披露してから、次作の『小学生と宇宙』で裏の一面を垣間見せ、そしてその二作を表裏一体化させて素直にアップデイトさせたのが1stアルバムの『T H E』みたいな、シッカリと段階を踏んだ上で誕生した1stアルバムだという事が理解できる。この2枚のEPは、フルアルバムへの伏線やトリコの音の原点が詰まった作品であり、良くも悪くも中嶋イッキュウの歌唱力は今と比べても大して変わってないので、お陰で今の音源と聴き比べてもそこまで古い音源という違和感はない。しかし、その"やりたいこと"に顕著な変化が訪れたのが最新作の『A N D』とかいう存在で、この2枚のミニ・アルバムから1stフル『T H E』までの一貫したサウンド・スタイルからの脱却を図り、俄然ソリッドに洗練されたサウンドへと著しい変化を見せたこのアルバムは、それこそPost-Progressiveに精通するオシャンティなアレンジやポスト-プログレスな展開力に磨きをかけた、つまり音楽的な面白さを見出すことに成功した、と同時に"オルタナティブ・バンド"としての可能性を示した"攻め"の作品だった。このアルバムでトリコの音楽性、その振り幅は間違いなく広がったし、シングル『E』のカップリング曲でベースのヒロミ・ヒロヒロが初めて作詞作曲とボーカルを担当した”ダイバー”では、一種の激情系胸キュンポストブラックみたいな事やってたりと、個々のメンバーがそれぞれマルチな才能を多方に発揮し始めているのも実に興味深い(ヒロミ・ヒロヒロのソロデビュー不可避)。ともあれ、今月の赤い公園のマンマンツアーの前に何としてもヒロミ・ヒロヒロをこの目で確かめねば!なお、ライブ当日は台風が直撃する模様・・・
 
爆裂トリコさん
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小学生と宇宙
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BAKURETSU RECORDS (2012-05-09)
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Pinkshinyultrablast 『Everything Else Matters』

Artist Pinkshinyultrablast
Pinkshinyultrablast

Album 『Everything Else Matters』
Everything Else Matters

Tracklist
01. Wish We Were
02. Holy Forest
03. Glitter
04. Metamorphosis
05. Umi
06. Land's End
07. Ravestar Supreme
08. Marigold
09. Glitchy Kiss Goodnight
10. Sparkle Outburst
11. Marshmallow Ghost

Pinkshinyultrablast ・・・2009年にEP『Happy Songs for Happy Zombies』でデビューを飾った、紅一点のVoリュボーフィ率いるロシアはサンクトペテルブルク出身の5人組、Pinkshinyultrablast(ピンクシャイニーウルトラブラスト)の1stフルアルバム『Everything Else Matters』が、初期WhirrNothingに真っ向からケンカ売りにキテる件。



・・・まるでJulianna Barwick顔負けの賛美歌の如し聖なる歌声が天から舞い降りてくるかのような、すこぶる神聖な幕開けを飾る#1”Wish We Were”から、シアトリカルなシンセやスタイリッシュなエレクトロを織り込みながら、マイブラに代表される90年代シューゲイザーの流れを汲んだ紅一点ボーカリストリュボーフィによる透明感溢れるゆるふわ系の歌声とロシアとかいう極寒の地に降り注ぐ雪の結晶のように煌めくエピカルなメロディとノイジーな轟音が雪崩のように襲いかかり、そのバンド・サウンド然とした衝動的な勢いにノッて甘酸っぱい疾走感と焦燥感を内包したエモーショナルなビートを刻んでいく。その「LOVE!LOVE!Lovelessズッキュン!」なユラメキ☆トキメキ☆キラメキ☆は、まさしくWhirrの名盤『桃尻女とシューゲイザー』に追従する勢いだ。マスロック的ミニマルなリフ回しで始まる#2”Holy Forest”は、オリエンタルなシンセ・ポップ風のメロディやノイジーなギター、そしてクラップをフューチャーしながらアップテンポに展開していき、クライマックスでは美しすぎる轟音の渦に飲み込まれ、気がつくと「パダーチャ!ミャ~~~チ!」とかいう意味不明な言葉を叫びながら恋のSOS信号を発信している。で、ハードコアなリフの反復によるラウド感とライブ感が気持ちいい#3”Glitter”、まるでスウェーデンのPostiljonenを彷彿とさせるドリーム・ポップ・チューンの#4”Metamorphosis”、リヴァーヴを効かせたドリーミーなイントロから青々とした海のように澄み切ったメロディとリュボーフィのポップなボーカル・メロディが織りなすラブモーションにズキュウウウン!!とハート射抜かれる日本語タイトル曲の#5”Umi”、イタリアのKlimt 1918を彷彿とさせるオルタナティブなメロディやマスロック然としたリフ回し、そして予測不可能かつ劇的な展開を繰り広げる#6”Land's End”、約9分ある本編ラストの#8”Marigold”のクライマックスでは、それこそAlcest”Délivrance”に匹敵する謎の神々しさ解き放ってて笑うし、もうなんかこいつらマジスゲーですとしか。で、Vinyl Junkieからリリースされた国内盤にはボートラが3曲追加で収録されてて、その中でも#9は敬愛する宮﨑駿に愛を込めて日本語に挑戦した曲らしく、『魔女の宅急便』の主題歌”やさしさに包まれたなら”の一節を引用しているが、正直なんとも言えない気分になった。他の二曲は本格的にエレクトロ色の濃い打ち込み曲となっている。これは次作でシューゲイザーやめるフラグか・・・?

シューゲイザー×?? ・・・なんというか、一見ありがちなシューゲイザーかと思いきや、初期WhirrNothingを連想させるUSハードコア精神、スウェーデンの新星Postiljonenを彷彿とさせる80年代シンセ・ポップ/ドリーム・ポップや同郷のPowder! Go Awayを彷彿とさせるスーパー・シネマティック・ポストハードコア系ポストロック、後期WhirrRingo Deathstarrを連想させるノイズ・ポップ然としたkawaiiポップネスがクロスオーバーしたハイブリットなプーチン・サウンド、要するに"美味しいとこ取り"なオルタナやってて、それこそロシアにはない幻の海(Umi)という『夢』を描き出すようなサウンドスケープに胸キュン死不可避だ。時にダイナミック、時にドラマティック、そして時に初期赤い公園ばりのPost-Progressiveな展開力を目の当たりにすれば、このピンクシャイニーウルトラブラストが他のシューゲイザーバンドとは一線を画した存在だという事がわかるし、この手のジャンルにありがちな単調なイメージとは無縁だ。とにかく、そのメロディセンスが非凡で、懐かしのシンセ・ポップ的なメロディとシューゲイザー・サウンドの掛け合いはとてもユニークだし、聴いていて素直に楽しい。この"オルタナティブ"な音使いは、赤い公園津野米咲が好きそうなソレだし、【シューゲイザー×??】のハイブリットという意味では、日本のThe fin.きのこ帝国とやってることは同じかもしれない。



彼らのセルフライナーノーツによると、ステレオ・ラブやコクトー・ツインズ、ポニーテールやアストロブライトをはじめ、90年代のヒップホップやデスメタルからも影響されているとの事で、歌詞の大部分は映画『燃えよドラゴン』や『スネーキーモンキー 蛇拳』に影響を受けているらしく、実際にMVを見れば彼らのユニークな嗜好回路が理解できるハズだ。かなりの日本贔屓という事もあって、とにかくライブ観たさしかない。
 
EVERYTHING ELSE MATTERS
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Esben and the Witch 『A New Nature』

Artist Esben and the Witch
Esben and the Witch

Album A New Nature
A New Nature

Tracklist
01. Press Heavenwards!
02. Dig Your Fingers In
03. No Dog
04. The Jungle
05. Those Dreadful Hammers
06. Wooden Star
07. Blood Teachings
08. Bathed In Light

UKの相対性理論 ・・・アイスランドのマイルドヤンキーことSólstafirと対バンすると聞いた時は、魔女が"俺の界隈"の一員である事を証明しているようで面白かったんだが、そんな"ナイトメアポップ"を称するUKはブライトン出身の三人組、Esben and the Witchの約一年ぶりとなる3rdアルバム『A New Nature』は、音楽専門クラウドファンディングPledgeMusicにて制作資金を募り、プロデューサーにはNirvanaやPJ Harveyとの仕事で知られる重鎮スティーヴ・アルビ二を迎えてレコーディングされた作品で、自身で新たに立ち上げたレーベルNostromo Recordsからリリースされている。で、前作のWash the Sins Not Only the Faceでは、それこそ"イギリス郊外でパラレルワールド"ならぬ"イギリス郊外でねるねるねるね"やってて、言うなればUKの相対性理論みたいなシティ・ポップ作品だった。

!!! ・・・その前作から一年ぶりの3rdアルバム『A New Nature』は、プロデューサーにスティーヴ・アルビニというだけあって、前作とは確実に一線を画した作風にガラッとその姿を変えている。初っ端から10分を超える#1"Press Heavenwards!""!"の部分からも垣間見える(えっ)、自らの"ルーツ"であるGodspeed You! Black EmperorSwansへのアツいリスペクトが込められた、まるで一本のロードムービーを観ているかのようなポストロック然とした音のスケール感とノイズロック然とした荒々しい轟音ヘヴィネスが一体化した作風となっている。それは前作の幾つかの曲を聴けば分かるように、もともと轟音ポストロックライクな嗜好を持っていた彼らだが、本作ではその"Post-系"に対する"憧れ"みたいなナニカが露骨に表面化している。中でも、Subrosa顔負けのシブいトランペットをフューチャーした14分を超える大作の#4"The Jungle"では、Earth界隈直系のダーティなムードと自然マジリスペクトなスケール感を併せ持つ昂然たるポストロックやってて、続く#5"Those Dreadful Hammers"ではUlver&Sunn O)))顔負けのドローン/ドゥーム系の歪んだ轟音ヘヴィネスにド肝を抜かれる。そして徐々にシブ味が増していくようなミニマルなメロディで聴かせる#6"Wooden Star"までの流れは本作のハイライトで、それはまるで聖地巡礼へと向かう崇高な旅路を、朽ち果てた荒野を一歩一歩力強く踏みしめていくような、人間の尊厳を深裂に描き出していくような重厚かつ荘厳な音に只々圧倒される。まるで気分は映画『ザ・ロード』のヴィゴ・モーテンセンだ。

Post-系 ・・・とにかく、前作のメルヘンチックなメンへラ系サブカル音楽からは到底想像できない、一線を超えちゃったエクスペリメンタルでオーガニックな、アメリカンナイズされた骨太な轟音とのギャップに"ねるねるねるね"のババアも→「エスベンと魔女は、ヘっへっへ。ねればねるほど色が変わって...ギョエエエエエエエエエ!?」ってなるくらい様変わりしている。例えるなら→か弱いサブカル女子が屈強な女ボディビルダーに変貌したような感覚あるし、そして何よりもエスベンと魔女のアーティストとしてのポテンシャルに驚かされる。要するに、いわゆる"俺の界隈"とは少し距離のあるノイズ/ドローン界隈の立ち位置から音を鳴らしている。個人的な嗜好は置いといて、その完成度は前作を遥かに凌駕している。確かに、そもそも魔女がこれをやる必要があるのか?という疑問は残る。が、むしろ魔女がやるからこそ"面白さ"が見出だせるアルバムなんじゃあないかと思う。特に、UKミュージック愛に溢れた2:54The Other Iと聴き比べると俄然面白い事になる。しっかし、これだけヘヴィでアグレッシヴな、それこそIsisにも精通しそうな音響系ヘヴィロック、ある種の"ポストメタル"とも取れる音を出している所を見ると、あのマイルドヤンキーと対バンするのにも自然と納得がいく。
 
A New Nature
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Esben and the Witch
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