Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Progressive

茜のドラムヤバくない?

Pain of Salvation 『In The Passing Light Of Day』

Artist Pain of Salvation
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Producer/Mixing Daniel Bergstrand
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Album 『In The Passing Light Of Day』
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Tracklist
01. On A Tuesday
02. Tongue Of God
04. Silent Gold
05. Full Throttle Tribe
07. Angels Of Broken Things
08. The Taming Of A Beast
09. If This Is The End
10. The Passing Light Of Day

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「こんばんわ、稲川VR淳二です。」

 稲川VR淳二

new_スクリーンショット (34)「ところで最近、私が長年応援してきたスウェーデンのペイン・オブ・サルヴェイションが新しいアルバムを出したって言うんでね、さっそく買って自前の音楽プレイヤーで再生してみたんですよ。」

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「するとねぇ、一曲目のイントロからポリリズムを多用した、それこそメシュガーみたいなモダン・ヘヴィネスが聴こえてきて、妙に変だなぁ・・・って、だっておかしいじゃない、PoSの新作を再生したはずなのにガーガーとメシュガーガーが聴こえてくるんだもん。」

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「そんでもって、遂には亡者の囁きみたいな声が聞こえてきて、うわ~ヤダなぁ~怖いなぁ~って、グワァ~!っと身の毛もよだつほどの鳥肌が立った瞬間、私ねぇ・・・気づいちゃったんですよ」

「あぁ、これPoS復活したんだって」 
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1984年にスウェーデン南部の都市エシルストゥーナで結成された、奇才ダニエル・ギルデンロウ率いるPain of Salvationは、1997年に1stフルアルバムの『Entropia』でプログレ・メタル界の未来を背負っていく期待の新星として華々しいデビューを飾り、初期の頃はプログレ・メタル界の旗手として順調にキャリアを重ね、2000年代に入ると3rdアルバム『The Perfect Element I』と2002年作の4thアルバム『Remedy Lane』というプログレ・メタル界のみならずメタル界屈指の名盤と評される二枚の歴史的な金字塔を打ち立て、遂には「アメリカのDream Theater、北欧のPain of Salvation」とまで称されるまで、このシーンにおける確固たる地位を確立した。しかし、順風満帆に見えた彼らの音楽人生は前途多難のものだった。そのDTの名盤『Metropolis Pt. 2: Scenes From a Memory』と対をなす二枚の傑作から、バンドの中心人物であり奇才ダニエル・ギルデンロウの「変態性」および「アヴァンギャルド」な嗜好が顕著に作中に露見していたが、それ以降はダニエルの独創的かつ奇抜で破天荒なセンスとオルタナティブ方面への嗜好が優先されるようになり、その後は「ダニエル、お前と音楽やるの息苦しいよ・・・」という真っ当な理由から幾度とないメンバーチェンジを経て発表された2004年作の5thアルバム『蜂』と問題作となる『スカシッペ』というスランプ期ならぬメンヘラ期を経験し、これまでも多種多様な音楽遍歴を辿ってきた彼らは、2010年代に差しかかるとクラシックなヴィンテージ・ロックに目覚めた『塩1』『塩2』を立て続けにドロップする。しかし、十数年間もの間休みなく創作活動を続けてきた無理がたたって、ダニエルに病魔が襲いかかる。どうやら原因は塩分の過剰摂取みたいで、それを期に意識高い系健康オタクとなったダニエルは、糖質制限ダイエットとライザップによって鍛え上げられた鋼の肉体を手に入れることに成功し、その体脂肪率2パーセントまで絞り上げられたダニエルの背中に「鬼の貌=オーガ」が宿りし時、Pain of Salvationは奇跡の完全復活を遂げる(ここまで全部嘘)。これは、『死』という人生最大の危機に直面し、そして『死』に立ち向かった男の、『魂』揺さぶる奇跡のカムバック物語だ。 その男の名は・・・

「サンシャイィィィィン!!」
「ダニエ゛ル゛ッ!!」
「ギルデン゛ッ!!」
「ロ゛ォウ゛ゥ!!」

「イエエエエェェエエエエエェェエィイ!!」
kakaka

ごめん、このブックレットにある今にも飛び出してきそうな疾走感溢れるダニエルの写真見て笑わんかった奴おる?僕は笑った。とにかく、そのダニエル・ギルデンロウの範馬勇次郎顔負けの肉体が音像化したように、一曲目の”On a Tuesday”からMeshuggah×Gojiraなポリリズムを駆使したポスト-スラッシュ系のゴリゴリなキザミ&ヘヴィネス、『死』という人生最大の危機に直面した男の『心の闇』に迫るパーソナルな歌詞を、それこそ一人二役も三役もこなすダニエル・ギルデンロウ主演の前衛的な演劇ばりにコンセプチュアルに歌い上げ、そしてアイスランドの雄大な自然と崇高な雪景色が一面に広がるようなフォーキーなメロディと内省的なピアノの音色が、まるで『死』という悪夢と『生命』への渇望が激しくせめぎ合うように、『静=(生)』と『動=(DIE)』のメリハリを効かせながら場の緊張感を繋いでいき、そしてまさに映画のクライマックスシーンを飾るスケール感マシマシのアウトロまで、そのリリカルでドラマティックな世界観が重くのしかかる。

鬼の顔

『死』に直面し、数ヶ月の入院生活を余儀なくされたダニエルの孤独な精神状態がリアルに反映された、「I cry in the shower And smile in the bed」と繰り返し何度も連呼する憂鬱で病んだ歌詞と、魑魅魍魎がネッチョリと身体にまとわり付くかのようなヌー・メタル風のダークなヘヴィネスで展開する#2”Tongue of God”、そしてシングルの#3”Meaningless”のイントロのもはや人間の声にすら聞こえる奇才ならではのフォーキーな美メロを聴けば、あらためてPoSが完全復活したことを実感する・・・というより、実はこの曲の原曲がイケメンギタリストのRagnar Zolbergがフロントマンを担うアイスランドのバンドSign”Rockers Don't Bathe”という曲のカバーで、原曲の方はもっとヌメヌメして病んだイメージだが、PoS版だとラグナルの「美しすぎるハイトーンボイス」をフィーチャーした、全体的にその「メロディの美しさ」にフォーカスしている。 
 


2013年に加入したアイスランド人の超絶イケメンギタリストRagnar Zolbergを筆頭に、2014年作のカバーアルバム『Falling Home』を除くと、ダニエル以外の他のメンバーが加入してからは初のオリジナルアルバムということで、その中でもやはりダニエルとともに今作のコ・プロデューサー(Co-producer)を務めたイケメンRagnar Zolbergの本作における役割、その存在感というのは絶大なものがあって、彼の出身地であり、それこそシガーロスにも精通するアイスランドの雄大な自然を雪化粧で染め上げるような、繊細かつスケール感溢れるPost-系サウンドを繰り広げていく。とにかく、ラグナルが今作のコ・プロデューサーを担っている影響が、そのPost-系のサウンドをはじめ、コーラス/ボーカル面などの各パートから否応にも伺うことができる。これにはラグナル「抱かれたい」と妄想しちゃう腐女子続出だ。



中盤のハイライトを飾る大作の#5”Full Throttle Tribe”は、往年のPoSおよび往年のダニエルを彷彿とさせるボーカルワーク、それよりもレーベルメイトのJollyって今何してんの?って思っちゃったんだからしょうがないというか、とにかくアウトロの伏魔殿が降臨して世界に破壊と混沌をもたらすかのような鬼ヘヴィネスがヤバい。「メタル回帰」を堂々宣言する#6Reasonsは、ゴジラやメシュガーは元より、レーベルメイトのLeprousTesseractをはじめとした、イマドキの若手がやってるPost-Djent界隈からの影響を強く伺わせる。超絶怒涛のギターソロが炸裂する#7”Angels of Broken Things”、ミニマルに繰り返されるキーボードとダニエルのダーティな歌声をフィーチャーした#8”The Taming of a Beast”、ルーテやツィターなどの弦楽器やアコーディオンを駆使したダーティなスロウコア風のパートと、本棚の裏という五次元空間へと堕ちたマシュー・マコノヒーばりに「STAY!」と咆哮するヘヴィネスパートが激しく交錯する#9”If This Is the End”、そしてこのカムバック物語のクライマックスを飾る約15分の大作の#11”The Passing Light of Day”には、ここまでの痛みと恐怖に支配された苦難の道から解放され、再び「光」という名の「生命」を取り戻し、「神」への信仰心と「神」からの赦しを得たダニエルが再び歩み始めたその先には、「清らか」な心と「幸福」に満ち溢れた「未来」の世界が広がっていた。

やってることは思った以上に、音使いやアレンジも至ってシンプルで、PoSというよりダニエル・ギルデンロウがここまで洗練されたド直球のアルバム作るなんて逆に新鮮だし、これまではあらゆる音楽ジャンルを巧みに吸収し、それを変態的な感性をもってエクストリーム合体させてきたが、今作ではそれこそダニエルの鋼のような肉体のごとし、無駄な要素(贅肉)を身体から削ぎ落とした実にソリッドでヘヴィなメタルを展開している。『死』を目の前にして極限まで研ぎ澄まされた感覚と肉体が気高い精神となって音に宿り、それこそ「プログレッシブ」で「オルタナティブ」、そして「メタル」な往年のPoSが現代に蘇ったかのような、PoSにしか出せないセンスの塊みたいな、紛れもなくPoSの音世界である。実際、もう10年以上もヘンテコな音楽やってきて、ただでさえブランクの長いバンドに対して、いざまた「メタルやれ」って言われてもそう簡単に出来るもんじゃあないです。でも、それを軽くやっちゃう辺りが天才集団たる所以で、でも今回は音が変態というより、その音楽性に合わせて己の肉体を鍛え上げちゃうダニエルが一番変態だわ。

デビュー当時からシーンの流れを先読みして、いち早くヘヴィメタルにラップやヌー・メタルおよびオルタナティブ・メタル的な要素を取り入れ、常にシーンの流行りを的確に捉え、前衛的かつ先進的な音楽スタイルを貫き通してきた彼らだが、しかし今回ばかりは多少のブランクはあるものの、現代的なオルタナティブメタルとされるMeshuggah的なモダン・ヘヴィネスを取り入れ始めたのは、「オルタナティブバンド」としてもはや必然的な引かれ合いだったのかもしれない。そのように、メシュガーの存在が90年代のヌー・メタルに代わる「現代のオルタナティブ・メタル」と解釈すれば、もはやダニエル・ギルデンロウにしてみれば「メインストリーム音楽」同然で、むしろ赤子の手をひねることのように簡単な事だったのかもしれない。

「オルタナティブバンド」として、常に「新しいメタル」、常に「新しい音」を追い求めてきたPoSが、本格的に「メタル」から離れ始めてからというもの、21世紀の「新しいメタル」として最もシーンを賑わせたのが、他ならぬメシュガーやシン・ゴジラの音で、それは後にDjentなる新興ジャンルを生み出すことになるのだが、数ヶ月ものあいだ病室のベッドの上に拘束され精神的にも肉体的にも衰弱しきったダニエルは、ふと「若さ」を羨み、ふと「若さ」を嫉み、そして「若い音」への強い渇望が目覚め、そしてダニエルは若かりし頃の自分=「メタル」こそ「生命の源」であることに気づく。『死』から解き放たれた彼は、若くて新しい血に飢えて飢えてしょうがなかったのか、カラッカラなダニエルの喉の渇きを潤すかのように、すかさず「若いイケメン」という「新しい血」を新メンバーとして迎え入れ、そして「新しいメタル」という名の「生命エネルギー」ズキュウウウン!!と己の身体とバンドに注入している。 結果、老人ホームで流れてるようなヨボヨボなクラシック・ロックの印象から一転して、イマドキのお肌ツヤツヤでエネルギッシュな音に若返っている。もはやダニエルは「メタル界のディオ」だ。

今でこそスウェーデンを代表する、いやメタル界を代表するエンジニア/プロデューサーといえばイェンス・ボグレンだが、しかしイェンスがエンジニアとしてまだ駆け出しの頃、90年代から00年代初頭のスウェーデンのエンジニアの頃と言ったら、今作のプロデュースを担当したダニエル・バーグストランドに他ならなくて、彼はMeshuggahをはじめ、BehemothIn Flamesなどの誰もが知るエクストリーム系メタルバンドのプロデュースを数多く手がけたエンジニア界屈指の重鎮で、その良くも悪くもメタルシーンがある意味最も面白かった時期に活躍した彼とダニエル・ギルデンロウという「二人のダニエル」が、一世紀の時を経て遂に邂逅した、何とも感慨深い作品である。それこそ、メシュガーをよく知る一人、というより、メシュガーをここまでの怪物バンドにまで育て上げた生みの親と言うべき、繁忙期のメタルシーンを語る上で欠かせない偉大な人物の一人だ。比較的オールラウンダーに何でもこなすイェンス・ボグレンと違って、エクストリーム系バンドに特化したトガッた音作りに定評のあるダニエルのエンジニアリング・スタイルは、21位世紀となった今でも色あせることなく、常に最先端の音であり続けている。

しっかし、90年代のフレドリック・ノルドストロームに始まって、00年代のダニエル・バーグストランド、 そして10年代のイェンス・ボグレンという、昔と今のメタルシーンを『裏』から支え続けてきた3人の名エンジニア、そしてダニエル・ギルデンロウを生み出したスウェーデン人ってやっぱ音楽の天才だわ。
 
イン・ザ・パッシング・ライト・オヴ・デイ
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Fallujah ‎『Dreamless』

Artist Fallujah
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Album 『Dreamless』
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Tracklist
01. Face Of Death
02. Adrenaline
03. The Void Alone
05. Scar Queen
06. Dreamless
07. The Prodigal Son
08. Amber Gaze
09. Fidelio
10. Wind For Wings
11. Les Silences
12. Lacuna

BAND-MAIDの一体ナニが凄いって、その「こいつらただのメイドじゃない。こいつ怖い。こいつ危ない。」と確信づけるような、メジャー1stフルアルバムJust Bring Itの幕開けを飾るDon't you tell ME歌波のカナミョ~~~ンとした泣きのギターソロを耳にした時に、まず最初にOpethのフロントマンミカエル・オーカーフェルトが脳裏に過ぎったのと、でもそのギターソロの導入部のATMSチックな空間表現的な部分からもう一つ別のバンドが頭を過ぎったのも事実で、それというのも、このFallujahとかいうサンフランシスコ出身のテクデスバンドのギタリストスコット・カーステアーズも、2ndアルバム天使と悪魔の中でミカエル・オーカーフェルト顔負けの流麗なギタープレイを披露していて、つまり先ほどのDon't you tell MEのギターソロを聴いて脳裏にフラッシュバックしたもう一つのバンド、もう一人のギタリスト、その正体こそFallujahスコット・カーステアーズだったのだ。
 


要するに、BAND-MAID歌波もこのFallujahスコットも、そしてOpethミカエル・オーカーフェルトも尊敬してやまないカルロス・サンタナスティーヴ・ヴァイをはじめ、数々の伝説的な名ギタリストを”ルーツ”とする泣き系およびピロピロ系のギタープレイを特徴とする、その三者を結ぶ大きな共通点があって、もっと面白いのは、歌波がリスペクトするカルロス・サンタナミカエル・オーカーフェルトPRSのシグネイチャー・モデルを発表するくらいPRSを溺愛していて、そして遂に歌波も今年に入ってからPRSを愛用するようになったのだ(なお、スコットKiesel Guitarsの模様)。

「BAND-MAIDにおける歌波」「Opethにおけるミカエル」と同じく、【コンポーザー】【リズム・ギタリスト】【リード・ギタリスト】をマルチにこなすプレイスタイルなので、その歌波がこれからメジャーでやっていくにあたって比較的万能とされるPRSを使い始めるのはもはや必然と言えるし、その相性は今年発表されたJust Bring Itを聴けば一目瞭然だ。これってつまり、バンメが海外フェスでミカエル・オーカーフェルトOpethと共演するフラグであると同時に、バンメの次作で歌波がアコギ鳴らし始めるフラグでもある。だから、BAND-MAIDのメンバーで一番凄いのって普通に歌波だと思う(なんの話だ)。どうでもいいけど、この写真に使われてる画像がどう見てもミカエルじゃなくてフレドリックなのがクソ笑える。パチモン疑われてもしょうがないレベルw

その数々の伝説的なギターヒーローを”ルーツ”とするスコット・カーステアーズの空前絶後の超絶怒涛のギタープレイが、メタル最大手レーベルのNuclear Blastに見出されたスコット率いるFallujahは、このたび約二年ぶりとなる3rdアルバムの『Dreamless』をリリースした。まず前作の天使と悪魔は、テクデス然としたブルータルな暴虐性とスコットの流麗かつ妖艶なギタープレイと女性ボーカルを擁する美メロが絶妙なバランスで噛み合った傑作だったが、今作も前作同様、相変わらずスコットの華麗なるギタープレイを全面にフィーチャーした、それこそ持ち前の美メロ(天使)とデス(悪魔)が融合したハイブリットなテクデスと言いたいところだが、というよりも、その天使顔負けのスピリチュアルな神秘性を内包した、Tori LetzlerKatie Thompsonという二人の女性ボーカルを中心に、ANATHEMAもビックリの打ち込みやアトモスフェリックな空間表現をフィーチャーした美メロ方面に振り切った、あくまでもメロディ重視のアンビエント・メタル的な作風で、初期と比較するとデス・メタル的な要素はもはや限りなく希薄だ。バンドのウリだった天使と悪魔のバランス感覚は、傑作だった前作には遠く及ばないかもしれないが、その代わりにメタル最大手のNuclear Blastに移籍して、半ば強制的に要求される(た)メジャー感とでも言うのか、とにかく洗練された雰囲気は凄いある。
 

超絶怒涛の宇宙スケールの幕開けを飾るオープニング曲の”Face Of Death”、そして2曲目の”Adrenaline”では、スコット・カーステアーズのカナミョ~ンギターをリードに、テクデスラッシュ然としたブルータルな展開からアンビエント感マシマシになるオシャンティなアウトロまで、全ての面で前作からの着実な深化を伺わせる。そのメロウなムードを引き継いで、ポストロック的な美メロと女性ボーカル陣のウィスパーボイスを前面に押し出した#3”The Void Alone”と#4”Abandon”Misery Signalsっぽい叙情派ハードコアの#5”Scar Queen”、そして超絶怒涛のスピリチュアルなイントロからスコットの超絶怒涛のソロワークが炸裂する表題曲の#6”Dreamless”を聴けば、本作がいかに「メロディ派」をガッツポーズさせるために作られたアルバムなのかを理解できるハズだ。それ以降も、スコットの超絶怒涛のギタープレイが堪能できる#8”Amber Gaze”、もはや完全に最初期のWhirrみたいなアンビエント/シューゲイザー曲の#9”Fidelio”ex-インターバルス!マイク・セメスキーがゲスト参加した#10”Wind For Wings”、そしてスウェーデンのCarbon Based LifeformsANATHEMA”Distant Satellites”ばりに超絶怒涛の打ち込みソングの#11”Les Silences”は、まぎれもなく今作を象徴する一曲と言える。ちなみに、表題曲にはex-Cynicシモンがゲスト参加。

今の、いわゆるATMS界隈の頂点に君臨してるのって、他ならぬハンス・ジマーであり『Interstellar B.S.O.』だと思うのだけど、最近ではDjent界隈の四次元立方体ことTesseractハンス・ジマーという五次元空間に挑んだPolarisなる作品をドロップしたことが記憶に新しい。その同じ若手に負けじと、このATMS界隈の次世代を担う期待の新生Fallujahも、今作でATMS界の幹部で知られるANATHEMAに殴り込みをかけている。まさにATMS新時代の幕開けだ。あっ、ちなみに、BAND-MAID当て振り鳩女こと小鳩ミクちゃんのギターはかのZEMAITISで、それこそ「アテフリ」するにはモッテコイのギターですw
 
Dreamless
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Fallujah
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Animals as Leaders 『The Madness of Many』

Artist Animals as Leaders
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Album 『The Madness of Many』
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Tracklist

02. Ectogenesis
03. Cognitive Contortions
04. Inner Assassins
05. Private Visions Of The World
06. Backpfeifengesicht
07. Transcentience
08. The Glass Bridge
10. Aepirophobia

昨今の洗脳ブームの火付け役といえば、M A S A Y Aに洗脳されたX JAPANToshiこと出山ホームオブハート利三だが、最近では朝ドラ女優の能年玲奈が生ゴミおばさんこと女版M A S A Y Aに洗脳されて「のホームオブハートん」に改名した事が記憶に新しい。その能年玲奈「のホームオブハートん」に改名したことで、能年玲奈と今や世界的なギタリストとなったトシン・アバシのジェントユニット「あにまるず・あず・りーだーずっ!」はコンビ解消を余儀なくされ、その傷心した想いをアルバムに込めたと語る、トシン・アバシ率いるAnimals as Leadersの通算4作目となる『The Madness of Many』は、「生身の人間は裏切る!二次元なら・・・いや、AI(アンドロイド)なら僕を裏切らない!」という、数理物理学を極めすぎて頭がおかしくなった天才物理学者の歪んだ愛情と苦悩が、まるで古代エジプトの迷宮の如し複雑怪奇に描かれている。

その天才物理学者の「数字恐怖症」が臨界点に達する時、出口のない迷宮の入り口が開かれる#1Arithmophobia、今度は8bit系レトロゲームみたいな電脳世界へと誘うミニマルなエレクトロニカがヒトの脳幹部に侵入し、そこから身体の神経回路へと、そしてヒトの遺伝子情報を書き換えていく、それこそ「遺伝子組み換え音楽」としか例えようがない#2”Ectogenesis”、更に深いところでスピリチュアルな電脳世界を構築していく#3”Cognitive Contortions”、前作The Joy of Motion”Ka$cade”をPost-Djent化したような#4”Inner Assassins”、気分を一転して西海岸系の爽やかでオシャンティなギター・メロディの中にMeshuggahGojiraばりの鬼グルーヴ/モダン・ヘヴィネスを織り込んだ#5”Private Visions of the World”、基本的なジェント・リフとモダン・ヘヴィネス、エレクトロニカとアトモスフェリックなATMSフィールドを駆使して目まぐるしくスリリングに展開する#6”Backpfeifengesicht”、前半プログレ・メタルっぽくて後半ジャズっぽくオシャンティに展開する#7”Transcentience”トシン・アバシの流麗なソロワークが際立つ#8”The Glass Bridge”、アコギの流麗なメロディをフィーチャーした#9The Brain Dance、この出口のない迷宮の中で深層心理を操られ記憶も遺伝子も書き換えられた天才物理学者は、「この世界はループループしているのか?」という宇宙の真理にたどり着き、絶望した彼は「無限恐怖症」へと陥り、そしてゴールド・エクスペリエンス・レクイエムのスタンド攻撃を喰らって「終わりがないのが終わり」と悟り精神崩壊してしまう最後の”Aepirophobia”まで、まるでヒト=ニンゲンがAIチップならぬ音チップを脳に埋め込まれ、ヒトからアンドロイドへと変わっていく様を精密機器の如く繊細緻密に描き出していく、それこそ人工知能の脅威をリアルに描いたアリシア・ヴィキャンデルちゃん主演の傑作SF映画『エクス・マキナ』を彷彿とさせる、人工知能の発達によりニンゲン社会が徐々に侵食され、徐々に歪んでいく一種の恐怖映像を見せられているかのよう。

AALって、奇数ナンバリングの比較的わかりやすい(わかるとは言ってない)プログ・メタル/ジェント主体のパワー系路線と2ndアルバムWeightlessみたいな難解至極なインテリキチガイ系路線に分類できるのだけど、偶数ナンバリングとなる本作は、2ndアルバムのPost-Djentならぬソフト-ジェント路線を素直にアップデイトさせた作風で、エレクトロ志向が更に強まった事で俄然ゲーム音楽っぽくなってる。コンセプティブなギミック面とジェント/モダン・ヘヴィネス成分のバランスとまとまりが良くて、ハッキリ言って2ndよりも格段に完成度が高いです。とにかく、某都市伝説芸人が「信じるか信じないかはあなた次第です」とか言いながら聴いてそうな音楽ですw
 
THE MADNESS OF MANY
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Protest the Hero 『Pacific Myth』

Artist Protest the Hero
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EP 『Pacific Myth』
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Tracklist

01. Tidal
02. Ragged Tooth
03. Cold Water
04. Cataract
05. Harbinger
06. Caravan
07. Tidal(Instrumental)
08. Ragged Tooth(Instrumental)
09. Cold Water(Instrumental)
10. Cataract(Instrumental)
11. Harbinger(Instrumental)
12. Caravan(Instrumental)

や映画業界やアニメ/ゲーム業界はじめ、アイドル界隈やらフェス界隈やらを引っ括めた音楽業界など、多岐の分野に渡って「クラウドファンディング」を活用した創作現場の「新しい形」が徐々に広がりを見せている。その流れはとどまることを知らず、もはや「主流」となる勢いだ。中でも、この音楽の世界でいち早く「クラウドファンディング」を駆使した、全く新しい「音楽制作の現場」をシーンに指し示したのが、カナダ生まれの「Kick-Ass!!」「スーパーヒーロー」ことProtest the Heroだ。そんな彼らが「クラウドファンディング」でアルバムの制作資金を募って完成させたのが、2013年にリリースされた4thアルバムのVolitionだ。

しかし、その2013年から現在の間に、この日本でもSpotifyApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスが続々とローンチし、それにより僕たち音楽リスナーを取り巻くリスニング環境は大きく一変した。もはや何が正しい音楽活動なのか?今の時代に「アルバム」としてリリースする意味はあるのか?彼らは、21世紀における音楽活動および音楽制作の現場に疑問を呈していた。そんな意識の高さに定評のあるカナダ人の先進的かつリベラルな考え方は、音楽の世界でも遺憾なく発揮されている。前作から約三年ぶりとなる今回のEPも「クラウドファンディング」で制作資金を募り、今度は「アルバムの時代は終わった」、これからは「シングル」=『アルバム』であるという新定義を掲げ、毎月連続して新曲をリリースするという、またしても彼らは斬新かつ画期的な「音楽制作」のあり方をシーンに提示してみせた。

しかし、彼らの画期的なアイデアと斬新な発想に賛同するファンや同業のミュージシャン達の英知が集結し、それが奇跡の賜物となって完成した前作のVolitionを発表した直後に、主要なソングライターでありドラマーのが、その翌年にはベーシストのアリフが脱退し、バンド結成時からのオリジナルメンバーの二人がバンドを去り、もはや基本的な音楽活動すらままならない存続の危機に陥った今の彼らは、まさに「崖っぷちのスーパーヒーロー」だ。そんな期待と不安が蠢く中で幕開けを飾る#1”Tidal”から、フロントマンのロディ・ウォーカーによるスクリーム系のボイスを排除したポップでキャッチーな歌を主体に、PtHらしいBPM指数の高いテクニカルなサウンドをはじめ、PtHなりに「Djentとはナニか」を解釈して応用したインストパートからドラマティックな曲構成まで、この目まぐるしい展開力は嘘偽りなくPtHそのものだが、しかしどこか「年老いた感」は否めない。その#1以上に転調/変拍子/ポリリズムを複雑に織り交ぜながら、よりプログレスに展開する#2”Ragged Tooth”Scale the SummitPolyphiaなどのインスト系バンドを連想させる叙情的なフレーズを用いて奇想天外に展開する#3”Cold Water”「スーパーヒーロー」だったあの頃の栄光を追いかけるような#4”Cataract”まで・・・

二人のオリメンを欠いた「スーパーヒーロー」は、ベーシスト不在のまま、2013年から交友のあるドラマーのミカエルを正式メンバーとして迎え入れ、現状の戦力とスキルで可能な限りを尽くして「過去のスーパーヒーロー」に少しでも近づけるように、最善かつ最大の努力を惜しむことなく発揮している。が、「スーパーヒーロー」の専売特許である急転直下型の緩急を織り交ぜた鬼気迫る展開や予測不能でドラマティックな曲構成は、初期すなわち全盛期の頃と比べるともはや天と地の差がある。しかし、それは「全盛期と比較して」の話で、あくまで全盛期と比べると「様式美的」に感じるというだけであって、「過去のスーパーヒーロー」と比較さえしなければ十分に質の高いプログレ・メタルに違いない。

4曲目を聴き終えたあたりで、「いつ解散してもおかしくない瀕死の状態で良くやってるよ」と慰めというよりは同情の言葉を発しかけたその時、次の#5”Harbinger”とラストの#6”Caravan”を聴いて僕は耳を疑った。まだ「スーパーヒーロー」だった初期のブルータルな攻撃性とカナダ人特有の変態性とインテリジェンスが融合した、ここまでの4曲とは明らかにクオリティが違い過ぎる曲で、特に約9分ある大作の#6ではヘヴィでスリリングなリフ回しとロディの「やんちゃボーイ」全開のボーカルパフォーマンスをはじめ、そして彼らの最高傑作と名高い2ndアルバム『Fortress』を彷彿とさせるストリングスをぶっ込んでくる演出面を含めて、「これだ、これが俺たちが聴きたいスーパーヒーローだ。まだ解散の二文字を出すのは時期尚早だ。まだまだやれるやん!」そう思わせる名曲だ。

これは、在りし日に一世を風靡した「スーパーヒーロー」が再び翼を広げ、21世紀の現代に飛び立つカムバック物語だ。 当時(全盛期)のメンバーの半数が去った「崖っぷちのスーパーヒーロー」は、21世紀の複雑で流動的な音楽シーンをどう見極め、そしてどう生き抜いていくのだろう。しかし『希望』は、この『Pacific Myth』の中にある。僕は、映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のラストで『奇跡』を目撃したエマ・ストーンと全く同じ表情をしながら、次のフルアルバムを聴いていることを強く願うとともに、「スーパーヒーロー」の完全復活を期待したい。
 
Pacific Myth
Pacific Myth
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Protest the Hero
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Gojira 『Magma』

Artist Gojira
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Album 『Magma』
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Tracklist
01. The Shooting Star
03. The Cell
04. Stranded
05. Yellow Stone
06. Magma
07. Pray
08. Only Pain
10. Liberation
 
東宝の人気特撮シリーズ『ゴジラ』から名付けられた、デュプランティエ兄弟率いるフランスのGojiraといえば→今作に伴うツアーのサポートに抜擢されたUKのTesseractなどのDjent界隈をはじめ、海外もとい日本国内では「GJ!」「Good Job!」の略ではなく「GJira」「GJ!」だと言うくらいのBABYMETALやゴジラと間接的に関わりのあるDIR EN GREY、そして今をトキメクUSのDEAFHEAVENにも強い影響を与え、時代や世代を超えて常に「現代エクストリーム・ミュージックのキホン」あるいはその「象徴」としてシーンの頂点に君臨し続ける獣王だ。

そんな彼らを伝説の巨大クジラ『白鯨』としてその名を世界に知らしめる事となった、2005年作の3rdアルバム『From Mars to Sirius』では、この手のエクストリーム・ミュージック界の旗手として欧州での人気を確固たるものにした。そして欧州の覇者となった呉爾羅が次に襲来したのがアメリカだった。2008年作の4thアルバム『The Way of All Flesh』では、現レーベルメイトのLamb Of GodGODZILLAと同じく「クジラ大好き芸人」のMastodonをはじめとした、現代のアメリカを代表する「アメリカのメタル」を一飲で喰らい尽くし、そしてレーベルをロード・ランナーに移して発表された2012年作の5thアルバム『L'enfant sauvage』では、4thアルバムに引き続きアメリカ流の「モダン・コア化」が著しく進行し、徐々に本来のデス・メタルをルーツとしたスタイルからの脱却を図ろうとしていた。それらUSを代表する猛獣を喰い尽くすことに飽き飽きした怪獣ゴジラが次なる獲物として目をつけたのが、他ならぬUSのプログレ/ヘヴィ・ミュージック界の”タブー”こと『邪神』Toolだった。



4年ぶりに地上へと姿を現した巨大怪獣は、何もかも全てが新しい『シン・ゴジラ』へと突然変異という名の進化を遂げていた。その『変化』は、幕開けを飾る#1”The Shooting Star”から顕著で、『The Hunter』Mastodonを彷彿とさせる、地に足の着いたモダンでポストスラッジーな轟音ヘヴィネスやフロントマンジョー・デュプランティエのサイケデリックなクリーンボイス、そして刻んでるのか刻んでないのかすらわからない空キザミからしても、これまでの「世界一美しくセンセーショナル」と称されたジョーの獣性むき出しの咆哮や「エクストリーム・ミュージックのキホン」とも謳われた粗暴さや速さが抑えられた、意図的に暴虐性なアグレッションや持ち前のスラッシュ・メタル的なキザミ要素を排除したミドルテンポの曲となっている。
 


そのMastodonLamb Of Godがエクストリーム合体したようなモダン・メタルコアの#2”Silvera”デュプランティエ(弟)ことマリオのインテリズムが炸裂する変則的なドラムビートに乗せて、高速テンポで小刻みに刻むスリリングなキザミで始まり、気づけばゴジラの同胞でありインテリキチガイの一角を担うMeshuggahDeftonesなどの現代モダン・ヘヴィネスをも体内に取り込んでいた#3”The Cell”、もはや「スラッシュ・メタルへのアンチ・テーゼ」とも取れるインテリ気取ったリード・シングルで、『ゴジラ』という名の巨大クジラが起こす巨大津波の衝撃波のようなリフから、オーディエンスにシンガロングさせるボーカル・メロディとオーガニックなヘヴィメタルスタイルのリフで展開し、そして今は亡きAgalloch直系の哀愁ただようクリーン・パートへと繋がる#4”Stranded”は、まさに【反知性主義】万歳の暴虐性と叙情性のコントラストを効かせたプログレ然としたナンバーだ。

イラストレーターのHibiki Miyazaki氏が手がけたアートワークのように、一向に捕鯨を禁止しようとしない日本に対する『怒り』が爆発、つまりマグマのように頭が噴火し、遂にインテリこじらせすぎて頭パープリンになってしまったゴジラを、インテリ系エクストリーム・メタルバンドの境地へと、それこそ「フランスのトゥール」と呼ばざるをえない絶対的な存在へと押し上げたのが、他ならぬ表題曲の”Magma”だ。チャルメラ屋さんの例の音頭が謎の妖術によってラリったようなギターの旋律が、まるでフランスのアニメ映画『ファンタスティック・プラネット』ばりに70年代風サイケデリックかつ幽玄な世界観を構築し、前作で培った出自がスラッシュ・メタル畑だからこそ成せる黄金のキザミ』をはじめ、近年のBaronessを彷彿とさせるソロワークや楽曲構成力からは、それこそマストドンの名盤『Crack the Skye』に匹敵する凄みを感じさせる。ある意味、この曲このアルバムは、フレンチ産プログレッシブ・ロック界のレジェンドであるMagmaに対するGojiraなりのリスペクトなのかもしれない。今思うと、Lamb Of Godに近づいてアメリカ市場に本格参入した本当の目的は、アメリカのヘヴィミュージック界の最高権力者であるToolに接近する為の布石でしかなかったんだ、ということ。
 

その未開の部族の妖しげな宴に導かれるように、フルートの音色を擁するオリエンタルなイントロから、メシュガーの”Bleed”直系のリフをはじめ、それこそメシュガーの産物であるDjentにも、しまいには『ADHD』期のRiversideなどのモダン・ヘヴィネス勢の影響を垣間見せる#7”Pray”や#8”Only Pain”、気づけば北欧ノルウェーの獣神Enslaved(のエルブラン・ラーセン)も喰らっていた#9”Low Lands”、そしてアコギとパーカッションの組み合わせに一瞬耳を疑う#10”Liberation”のインスト最後に、この映画『シン・ゴジラ』は幕を下ろす。

これは『怒り』を原動力にしていた初代のゴジラでもなく、魔改造されたメカニカルでテクニカルなメカゴジラでもなく、『インテリ』を気取った平成の呉爾羅でもなく、アメリカ産のGODZILLAでもない。今の時代に突然変異して産まれた『シン・ゴジラ』である。どの組織にも、どのジャンルにも属さない、当然(ポスト)スラッシュ・メタルでもなければ、もはやエクストリーム・ミュージックですらないが、しかし現代的(モダン)であり一方でクラシックでもある。これまでエクストリーム・ミュージックの舞台で戦ってきたゴジラとは一線を画した、特に『Crack the Skye』以降のマストドンをはじめ、ここまであらゆる方面からの『影響』を直に感じさせる作品は歴代のゴジラの中でも初めてだ。もちろん賛否両論はあるが、ある意味もの凄く実験的なアルバムというか、これは世界の獣神を喰らい尽くし、もう喰らうモノがなくなった末、つまり極限まで飢えに飢えたゴジラが辿り着いた一つの境地と言える。同時に全てが『新しい』ようにみえて、全てが『過去』のオマージュでもある。個人的に、これはこれで「面白い」と思うし、むしろ正統な進化なのかもしれない。

『変化』には代償が付き物だ。その『変化』を恐れず『シン・ゴジラ』へと変貌した勇気は素直にリスペクトできるし、そこが本作を面白くしている一番の要因でもある。『変異』というと、北欧のEnslavedOpeth、そしてKATATONIAなども同じような『変異』を遂げた。今作ではテッド・ジェンセンをマスタリングに迎え、ジョーがセルフでミキシングしている。このモダンなメタルやりたいのかプログレやりたいのかハッキリしない曖昧なプロダクションをはじめ、まるで死の灰を撒き散らす『シ・ゴジラ』みたいな死鳥をシンボルとして掲げたKATATONIA『死の王』を彷彿とさせる、灰色の荒廃した世界観にあの時のトラウマが蘇って「うっ、頭が・・・!」ってなる。でもインテリこじらせすぎてインディ・フォーク化する最後の曲とか、もう一体何のバンド聴いてんのかわけわからなくなるし、それこそ「これはもうシン・ゴジラだ」としか他に例えようがなかった。KATATONIA『死の王』は紛れもなく駄作だったが、この『Magma』KATATONIA『死の王』でやりたかった事を自由にやってると感じた。

最後に従来のファンの目線を代弁すると→やっぱりGojiraといえばゴジラの鳴き声SEのように、Gojiraの専売特許である、クジラが尖頭銛でぶっ刺された時に鳴き叫ぶような「キュルルゥゥ!!」というあの鳴き声ギターが俺たちは聞きてぇンだよ!今のインテリ気取ったGojiraにはクジラの血が足りねぇ!もっともっと日本は捕鯨しろ!そしてモリを片手にこう叫べッ!

「KILL 'EM WHALE!!
 
MAGMA
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