Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Progressive

Persefone 『Aathma』

Artist Persefone
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Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Aathma』
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Tracklist

01. An Infinitesimal Spark
02. One Of Many...
03. Prison Skin
04. Spirals Within Thy Being
05. Cosmic Walkers
06. No Faced Mindless
07. Living Waves
08. Vacuum
09. Stillness Is Timeless
10. Aathma
    1 - Part I. Universal Oneness
    2 - Part II. Spiritual Bliss
    3 - Part III. One With The Light
    4 - Part IV. ...Many Of One

昨年、フランスの貴公子ネージュ率いるAlcest宮﨑駿の映画『もののけ姫』からインスパイアされたKodamaという名の「ビッグ・イン・ジャパン」アルバムをドロップしたことが記憶に新しいが、このフランスとスペインに挟まれた国家アンドラ公国出身のPersefoneも、2009年に発表された『真剣 / Shin-ken』という「ジャパニーズ・サムライ魂」をテーマにしたアルバムが、この日本でもネタ的な意味で話題を呼んだ。一見、辺境の地に生息するB級メタルバンドにありがちな典型的なネタバンドかと思いきや、その音楽性はドチャクソ大真面目なエクストリーム・メロデスやってて、そんな彼らが俺たちのイェンス・ボグレンを迎えて約4年ぶりに放つ通算5作目となる『Aathma』がイェンス節全開で笑う。

とりあえず、『Aathma』というタイトルが『ANATHEMA』に空耳したって話はわりとどうでもいい、それよかモダン・プログレ界のLGBT代表ことCynicポール・マスヴィダルLeprousのギタリストØystein Landsverkをゲストに迎えた今作は、Cynicの2ndアルバム『Traced In Air』を彷彿させるボコーダーを効かせたポール・マスヴィダルによるナレーションから幕を開ける一曲目の”An Infinitesmal Spark”から察するとおり、これまでの典型的な辺境脳筋メロデスから一転して、2015年にイェンス・ボグレンとの邂逅が実現したBTBAMComa Eclipticみたいな音の変化というか、それこそ2ndアルバムのCitadelネ・BTBAM化した、つまり「コア化」したイェンス界隈でお馴染みのNe Obliviscaris(ネ・バブリシャス)的なプログレ・メタルへと鞍替えしている。

その言うなれば音の「インテリ化」は4曲目の”Spirals Within Thy Being”を聴けば明白で、Gojira”Toxic Garbage Island”を彷彿させるテクニカルなパートを皮切りに、他にもMastodonMachine Headを代表するアメリカのプログレ・メタル/グルーヴ・メタルやMeshuggahTexturesライクなDjent/テクニカル・メタルからの強い影響を伺わせる、いわゆる変拍子マシマシな「リズム重視」のインテリ系プログレ・メタル特有の知的アピールを惜しげもなく披露している。それ以降も、イェンス・ボグレンOpethの初邂逅によって生まれた名盤『Ghost Reveries』を彷彿させる、ピアノの美メロをフィーチャーしたジャズのアプローチを覗かせるATMS系インストの5曲目”Cosmic Walkers”、ゲストに迎えたポール・マスヴィダルによるLGBTボイスと持ち前のギターソロをフィーチャーした曲で、間奏部ではAnimals As Leadersばりのキレッキレなインテリジェンスを堪能させる7曲目の”Living Waves”Riversideあるいはマリウス・デューダ君のソロ初期を彷彿させるインストの8曲目”Vacuum”、Djent然としたモダンなイントロから今度は「Persefone」「Periphery」を空耳する9曲目の”Stillness Is Timeless”、ここまではDream Theaterを長とするプログレ・メタル勢をはじめ、シニックを長とするゴジラ&メシュガー=メシュゴジ系のテクニカル・メタル、そしてペリフェリーやAALを代表とするDjent系のモダンなバンド達が一同に会するような、よりモダンでタイトな、よりピアノの美メロをフィーチャーした「メロディ重視」の洗練されたサウンドを展開していく。そして最後は全4部構成となる20分ジャストの大作で表題曲の”Aathma”で、まず幕開けを飾るパート1はボーカルのエイナル歌唱やポリリズムを駆使したPost-Djentなサウンドまで全てがLeprousリスペクトな曲で(もしかしてシークレットゲストとしてマリウス・デューダ君が参加してる?)、パート2はアトモスフェリックかつスピリチュアルな雰囲気で聴かせ、パート3は持ち前のクラシカルなギターワークを垣間見せ、ラストのパート4はノルウェーの女性ボーカリストMerethe Soltvedtによるバラードタッチな美しい歌声とピアノの音色で感動的なラストを迎える。

実は、AlcestKodamaよりもだいぶ先に『もののけ姫』のスピリチュアルな世界観に精通するコンセプチュアルな音楽アルバムって、他ならぬCynic『Traced In Air』だと思うのだけど、その神々しいアートワークや一種の民族的な世界観まで全てがシシ神様をモチーフにしていると言っても過言じゃあなくて、そのスピリチュアルな世界観にも精通する「東洋哲学」をバックグラウンドに持つこのPersefoneが今回、Cynicポール・マスヴィダルを迎えて意図的に『Traced In Air』の世界観を踏襲したのは、とても大きな意味があったと言える。

確かに、これまでのシンフォニックがかったテクデス/メロデスのブルータルな殺傷力はないし、いわゆる速弾き系ギタリストならではのクラシカルなフレーズも影を潜め、その代わりにジャズ/フュージョン的なインテリジェンス方面への意識を高めたスタイルへと変化している。だからメロデサーには受けが悪いかもしれない、しかしメシュゴジラをはじめ今流行のDjent系のモダンなプログレ/テクニカル・メタルが好きな人には、特にイェンサーにはこれ以上ないほどの傑作に聴こえるハズだ。個人的に、この路線変更は全然Welcomeだし、むしろ今のメタルシーンを的確に捉えた結果と解釈すれば、至極正しい方向性のように思う。

Aathma
Aathma
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Persefone
Vicisolom Production (2017-02-24)
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Mastodon 『Emperor of Sand』

Artist Mastodon
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Album 『Emperor of Sand』
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Tracklist

03. Precious Stones
04. Steambreather
05. Roots Remain
06. Word To The Wise
07. Ancient Kingdom
08. Clandestiny
09. Andromeda
10. Scorpion Breath
11. Jaguar God

確かに、ことマストドンって、2012年に突如として現れメタルシーンに衝撃を与えたデビューアルバムの『Remission』から、Rushなどのクラシック・ロックや70年代のプログレヲタクを唸らせた歴史的名盤と名高い2009年作の4thアルバムCrack the Skyeまでは、確かに「神がかり的」な勢いで「神がかり的」な名盤を立て続けにリリースし、瞬く間にアメリカの現代メタルシーンを代表する「レジェンド」と称されるまでの地位へと上り詰めた。しかし、その歴史的な名盤の次に発表された2011年作の5thアルバムThe Hunterでは、玄人向けだった前作から一転して、パーリーピーポーみたいなチャラくてポップでポストハードコア的な、「売れ線」というよりは「キッズ向け」のパリピ・サウンドを展開し、これまでのフアンから総スカンを喰らってしまう。しかし、この玄人向けのクラシックなスタイルから一転してティーンエージャー向けのポップなスタイルへと様変わりする、様々なスタイルに変幻自在なところもマストドンの魅力であり、そこがマストドンというバンドが高く評価される理由、マストドンというバンドの「面白さ」たる所以でもあった。

そんなパリピアルバムの次の作品として、ある意味で注目された2014年作の6thアルバムOnce More 'Round the Sunは、十分に「良作」の部類に入る作品ではあったものの、あくまでも「全盛期のマストドンを彷彿とさせるレベル」の、しかしどこか「パチモン」っぽい感じが拭えなかったのも確かで、事実その曲構成からリフ回しをはじめとしたソングライティングの面から、そしてマストドンの生命線であるオリジナリティの面でも全盛期からはほど遠い内容で、やはり「神がかり的」だった彼らの求心(神)力は、歴史的名盤および最高傑作と名高い4thのCrack the Skyeを最後に綺麗サッパリ消失してしまった、その事実を皮肉にも裏付けるような作品でもあった。なんだろう、ただ過去作の美味しいところを寄せ集めただけの、言うなれば全方位中途半端なアルバムというか、単純にアルバムの核となる「コンセプト」の部分が脆弱的で、そういった「コンセプト」という点ではまだ『The Hunter』の方がトガッた作風だったと言える。それこそ、超絶テクいドラム叩きながら歌っちゃう俺かっけーみたいな、単にブラン・デイラーが自己主張し過ぎた結果とも言えなくもない。そのブラン・デイラーによるワンマンバンド化が著しく進行し、それにウンザリしたベスボのトロイ・サンダースとギタボのブレント・ハインズ、そしてリード・ギタリストのビル・ケリアーの3人は、それぞれ個々でサイドプロジェクトに手を伸ばし始め、終いにはフォロワーであり盟友のBaronessにまでブチ抜かれたマストドンは、いよいよバンド崩壊の前夜を漂わせていた。

それらのネガティブ要素が取り巻く今のマストドンが放つ、約三年ぶり通算7作目となる『Emperor of Sand』『砂の王』は、いわゆる「神がかり的」マストドンを象徴する歴史的名盤Crack the Skyeを手がけた名プロデューサーブレンダン・オブライエンとの再タッグが実現、彼と同じアトランタ出身のマストドンの相性は今作で更なる飛躍を遂げている。



今作は死刑を宣告された人が舞台となる神話をモチーフにしたコンセプトアルバムで、それこそPain of Salvationダニエル・ギルデンロウじゃあないが、『死』を宣告された人間の限られた時間と余命を『砂の王』という名の死神が独断でジャッジメント!する、そのコンセプティブな世界観を司るようなイントロで幕を開ける1stシングルの#1”Sultan's Curse”から、マストドンらしい怒涛の砂波が押し寄せるソリッドなキザミ系のヘヴィネス、トロイの獣性むき出しの遠吠え、ブレントの爺猫ボイス、そしてブランの歌によるトリプルボーカルの掛け合い、そして歴史的名盤『Crack the Skye』を彷彿とさせるキーボードがスペース/サイケデリックな世界観を構築し、まさしくそれは『高い砂の城の男』を築き上げるかの如しだ。開幕と同時にShow Yourself Show Yourselfとコマーシャルかつキャッチーに歌い上げるブランと「はざまけんじ」でお馴染みのビートルズの”Eleanor Rigby”のサビを彷彿とさせるトロイの歌メロでとことんキャッチーに展開する2ndシングルの#2”Show Yourself”、タンバリンを抱えながら疾走する#3”Precious Stones”、そして盟友Baroness”Shock Me”に対するからの答えの如しトロイのキャッチーなボーカル・メロディをフィーチャーしたサビをはじめ、オルタナ系のモダン・ヘヴィネスを通過した重厚なリフとキーボードのサイケデリックなアレンジで妖しさを醸し出す#4”Steambreather”まで、ここまでの序盤は比較的モダンなエッセンスを効かせた「いつものマストドン」と言った感じの、ツカミとしては決して悪くないシンプルかつキャッチーな流れで聴かせる。

しかし、今作のハイライトを飾る5曲目の”Roots Remain”では、妖しげにフェードインしてくるアコースティックなイントロから、重圧のようにのしかかるヘヴィなリフとオルタナ系のモダンなリフで骨太な地盤を組み立てながら、名盤『Crack the Skye』を象徴する名曲”The Czar”の続編あるいは延長線上にある深淵な世界へとトリップさせる、キーボードやトライアングルを駆使したサイケなサウンド・アプローチをもってプログレッシブに展開し、そして「DON is Back...」を高らかに宣言するブレントの超絶怒涛のGソロからアウトロのピアノまで、それこそ「神がかり的」な時代のマストドンにしか書けないような楽曲だ。

初期の頃を彷彿とさせる変拍子を交えたリフ回しと、トロイとブレントによる攻撃的なボーカルワーク、そしてけたたましく鳴り響くサビの轟音ヘヴィネスへと繋がる#6”Word to the Wise”、名盤『Crack the Skye』の系譜にあるキザミ系のリフとタンバリン主体で聴かせる#7”Ancient Kingdom”、3rdアルバム『Blood Mountain』”Circle of Cysquatch”をフラッシュバックさせる宇宙人ボイスとテレサ・テンばりの哀愁よろしゅうな間奏パートが目玉の#8”Clandestiny”、2ndアルバム『Leviathan』をフラッシュバックさせるスリリングなインストとブレント&トロイのハードコア然とした咆哮が炸裂する”Andromeda”、その猛烈な勢いのまま、最初期の頃の混沌蠢く破天荒かつカオティックなマストドンへと回帰した#10”Scorpion Breath”、そして約8分ある大作の#11”Jaguar God”では、シブいアコギのイントロから優美なピアノとA7X風のブレントのムーディな歌声で哀愁よろしゅうな幕開けを飾り、今度はギアチェンしてタイトなビートを刻むベースラインにブランの歌を乗せて進行し、再びギアチェンしてトロイの咆哮とスラッジーなリフで大胆不敵に展開し、トドメは2ndアルバム『Leviathan』の名曲”Megalodon”のスリリングな展開とリフのセルフオマージュをやってのけ、そのまま最後までテクニカルなリフの波状攻撃、そしてブレントによる名曲”The Czar”の血が通った泣きのGソロを最期に、『高い砂の城の男』である『砂の王』との契約により、マストドンは再びNWOAHMの頂点に君臨する。

あの名盤『Crack the Skye』というのは、鍵盤をフィーチャーしたスペース/サイケ・ロックにはなり切らない絶妙なサイケ風アレンジがキモであり、『Crack the Skye』を歴史的な名盤たらしめた最もたる要素、その所以でもあって、今作でも名曲”The Czar”の世界観を更に深く掘り下げるような鍵盤が全編にわたって鳴り響いている。とにかく、アルバム前半はバロにゃんことBaronessに「格の違い」を見せるけるようなバロにゃん煽りでキャッチーに展開し、しかしアルバム後半からは往年のマストドン、それこそ「神がかり的」だった頃=1stアルバム~4thアルバムまでのマストドン全盛をフラッシュバックさせるような、リフメーカーことビルの『Crack the Skye』直系のキザミ系のリフを筆頭に、2ndアルバム『Leviathan』や3rdアルバム『Blood Mountain』を連想させるテクニカルな怒涛のリフ攻め、最初期のスラッジ/ハードコア然とした獰猛なヘヴィネス、名曲”The Czar”をルーツとするブレントの超絶epicッ!!な泣きのGソロとトロイのハードコア然とした咆哮、そして何よりもタンバリンとトライアングルという最強装備を身につけたマストドンに敵なしだ。とにかく、3人のボーカル面とインスト面のガチっぷりは近作にはない、それこそ「神がかってた」時代の初期衝動が『砂の王』の力によって現代のマストドンに憑依したかのような、久々に年間BESTの可能性を大いに感じさせる怪作、というより「復活作」と表記した方が的確かもしれない一枚だ。

正直、全7曲の大作志向というガチなプログレやってた『Crack the Skye』とは打って変わって、今作は全11曲で曲尺も至って普通の長さで、となるともう聴く前からその内容が全く想像できなかった。しかし、久しぶりのコンセプト・アルバム、そして初めて過去作と同じプロデューサーを起用したことで危惧していた、いわゆる二番煎じに陥ることもなく、クラシック・ロックというよりはモダンな音を多用した実に現代的な『Crack the Skye』とでも言うんだろうか、とにかく彼らが求心(神)力を失った『The Hunter』のウェイ!系のパリピ感が完全に消え去ったことが何よりの進歩で、小細工なしの基本的なリフとメロディ、そして複雑な展開/構成力で聴かせる、言うなればオーガニックなマストドンに回帰したことが何よりも嬉しい。あと、やっぱりって事前にガッチリコンセプト決めて曲書いたほうがいいバンドだと再認識させられた。じゃなきゃこいつら5thや6thみたいに好き勝手やり過ぎるからなw
 
エンペラー・オブ・サンド
マストドン
ワーナーミュージック・ジャパン (2017-03-31)
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Pain of Salvation 『In The Passing Light Of Day』

Artist Pain of Salvation
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Producer/Mixing Daniel Bergstrand
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Album 『In The Passing Light Of Day』
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Tracklist
01. On A Tuesday
02. Tongue Of God
04. Silent Gold
05. Full Throttle Tribe
07. Angels Of Broken Things
08. The Taming Of A Beast
09. If This Is The End
10. The Passing Light Of Day

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「こんばんわ、稲川VR淳二です。」

 稲川VR淳二

new_スクリーンショット (34)「ところで最近、私が長年応援してきたスウェーデンのペイン・オブ・サルヴェイションが新しいアルバムを出したって言うんでね、さっそく買って自前の音楽プレイヤーで再生してみたんですよ。」

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「するとねぇ、一曲目のイントロからポリリズムを多用した、それこそメシュガーみたいなモダン・ヘヴィネスが聴こえてきて、妙に変だなぁ・・・って、だっておかしいじゃない、PoSの新作を再生したはずなのにガーガーとメシュガーガーが聴こえてくるんだもん。」

 稲川VR淳二
new_スクリーンショット (34)「そんでもって、遂には亡者の囁きみたいな声が聞こえてきて、うわ~ヤダなぁ~怖いなぁ~って、グワァ~!っと身の毛もよだつほどの鳥肌が立った瞬間、私ねぇ・・・気づいちゃったんですよ」

「あぁ、これPoS復活したんだって」 
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1984年にスウェーデン南部の都市エシルストゥーナで結成された、奇才ダニエル・ギルデンロウ率いるPain of Salvationは、1997年に1stフルアルバムの『Entropia』でプログレ・メタル界の未来を背負っていく期待の新星として華々しいデビューを飾り、初期の頃はプログレ・メタル界の旗手として順調にキャリアを重ね、2000年代に入ると3rdアルバム『The Perfect Element I』と2002年作の4thアルバム『Remedy Lane』というプログレ・メタル界のみならずメタル界屈指の名盤と評される二枚の歴史的な金字塔を打ち立て、遂には「アメリカのDream Theater、北欧のPain of Salvation」とまで称されるまで、このシーンにおける確固たる地位を確立した。しかし、順風満帆に見えた彼らの音楽人生は前途多難のものだった。そのDTの名盤『Metropolis Pt. 2: Scenes From a Memory』と対をなす二枚の傑作から、バンドの中心人物であり奇才ダニエル・ギルデンロウの「変態性」および「アヴァンギャルド」な嗜好が顕著に作中に露見していたが、それ以降はダニエルの独創的かつ奇抜で破天荒なセンスとオルタナティブ方面への嗜好が優先されるようになり、その後は「ダニエル、お前と音楽やるの息苦しいよ・・・」という真っ当な理由から幾度とないメンバーチェンジを経て発表された2004年作の5thアルバム『蜂』と問題作となる『スカシッペ』というスランプ期ならぬメンヘラ期を経験し、これまでも多種多様な音楽遍歴を辿ってきた彼らは、2010年代に差しかかるとクラシックなヴィンテージ・ロックに目覚めた『塩1』『塩2』を立て続けにドロップする。しかし、十数年間もの間休みなく創作活動を続けてきた無理がたたって、ダニエルに病魔が襲いかかる。どうやら原因は塩分の過剰摂取みたいで、それを期に意識高い系健康オタクとなったダニエルは、糖質制限ダイエットとライザップによって鍛え上げられた鋼の肉体を手に入れることに成功し、その体脂肪率2パーセントまで絞り上げられたダニエルの背中に「鬼の貌=オーガ」が宿りし時、Pain of Salvationは奇跡の完全復活を遂げる(ここまで全部嘘)。これは、『死』という人生最大の危機に直面し、そして『死』に立ち向かった男の、『魂』揺さぶる奇跡のカムバック物語だ。 その男の名は・・・

「サンシャイィィィィン!!」
「ダニエ゛ル゛ッ!!」
「ギルデン゛ッ!!」
「ロ゛ォウ゛ゥ!!」

「イエエエエェェエエエエエェェエィイ!!」
kakaka

ごめん、このブックレットにある今にも飛び出してきそうな疾走感溢れるダニエルの写真見て笑わんかった奴おる?僕は笑った。とにかく、そのダニエル・ギルデンロウの範馬勇次郎顔負けの肉体が音像化したように、一曲目の”On a Tuesday”からMeshuggah×Gojiraなポリリズムを駆使したポスト-スラッシュ系のゴリゴリなキザミ&ヘヴィネス、『死』という人生最大の危機に直面した男の『心の闇』に迫るパーソナルな歌詞を、それこそ一人二役も三役もこなすダニエル・ギルデンロウ主演の前衛的な演劇ばりにコンセプチュアルに歌い上げ、そしてアイスランドの雄大な自然と崇高な雪景色が一面に広がるようなフォーキーなメロディと内省的なピアノの音色が、まるで『死』という悪夢と『生命』への渇望が激しくせめぎ合うように、『静=(生)』と『動=(DIE)』のメリハリを効かせながら場の緊張感を繋いでいき、そしてまさに映画のクライマックスシーンを飾るスケール感マシマシのアウトロまで、そのリリカルでドラマティックな世界観が重くのしかかる。

鬼の顔

『死』に直面し、数ヶ月の入院生活を余儀なくされたダニエルの孤独な精神状態がリアルに反映された、「I cry in the shower And smile in the bed」と繰り返し何度も連呼する憂鬱で病んだ歌詞と、魑魅魍魎がネッチョリと身体にまとわり付くかのようなヌー・メタル風のダークなヘヴィネスで展開する#2”Tongue of God”、そしてシングルの#3”Meaningless”のイントロのもはや人間の声にすら聞こえる奇才ならではのフォーキーな美メロを聴けば、あらためてPoSが完全復活したことを実感する・・・というより、実はこの曲の原曲がイケメンギタリストのRagnar Zolbergがフロントマンを担うアイスランドのバンドSign”Rockers Don't Bathe”という曲のカバーで、原曲の方はもっとヌメヌメして病んだイメージだが、PoS版だとラグナルの「美しすぎるハイトーンボイス」をフィーチャーした、全体的にその「メロディの美しさ」にフォーカスしている。 
 


2013年に加入したアイスランド人の超絶イケメンギタリストRagnar Zolbergを筆頭に、2014年作のカバーアルバム『Falling Home』を除くと、ダニエル以外の他のメンバーが加入してからは初のオリジナルアルバムということで、その中でもやはりダニエルとともに今作のコ・プロデューサー(Co-producer)を務めたイケメンRagnar Zolbergの本作における役割、その存在感というのは絶大なものがあって、彼の出身地であり、それこそシガーロスにも精通するアイスランドの雄大な自然を雪化粧で染め上げるような、繊細かつスケール感溢れるPost-系サウンドを繰り広げていく。とにかく、ラグナルが今作のコ・プロデューサーを担っている影響が、そのPost-系のサウンドをはじめ、コーラス/ボーカル面などの各パートから否応にも伺うことができる。これにはラグナル「抱かれたい」と妄想しちゃう腐女子続出だ。



中盤のハイライトを飾る大作の#5”Full Throttle Tribe”は、往年のPoSおよび往年のダニエルを彷彿とさせるボーカルワーク、それよりもレーベルメイトのJollyって今何してんの?って思っちゃったんだからしょうがないというか、とにかくアウトロの伏魔殿が降臨して世界に破壊と混沌をもたらすかのような鬼ヘヴィネスがヤバい。「メタル回帰」を堂々宣言する#6Reasonsは、ゴジラやメシュガーは元より、レーベルメイトのLeprousTesseractをはじめとした、イマドキの若手がやってるPost-Djent界隈からの影響を強く伺わせる。超絶怒涛のギターソロが炸裂する#7”Angels of Broken Things”、ミニマルに繰り返されるキーボードとダニエルのダーティな歌声をフィーチャーした#8”The Taming of a Beast”、ルーテやツィターなどの弦楽器やアコーディオンを駆使したダーティなスロウコア風のパートと、本棚の裏という五次元空間へと堕ちたマシュー・マコノヒーばりに「STAY!」と咆哮するヘヴィネスパートが激しく交錯する#9”If This Is the End”、そしてこのカムバック物語のクライマックスを飾る約15分の大作の#11”The Passing Light of Day”には、ここまでの痛みと恐怖に支配された苦難の道から解放され、再び「光」という名の「生命」を取り戻し、「神」への信仰心と「神」からの赦しを得たダニエルが再び歩み始めたその先には、「清らか」な心と「幸福」に満ち溢れた「未来」の世界が広がっていた。

やってることは思った以上に、音使いやアレンジも至ってシンプルで、PoSというよりダニエル・ギルデンロウがここまで洗練されたド直球のアルバム作るなんて逆に新鮮だし、これまではあらゆる音楽ジャンルを巧みに吸収し、それを変態的な感性をもってエクストリーム合体させてきたが、今作ではそれこそダニエルの鋼のような肉体のごとし、無駄な要素(贅肉)を身体から削ぎ落とした実にソリッドでヘヴィなメタルを展開している。『死』を目の前にして極限まで研ぎ澄まされた感覚と肉体が気高い精神となって音に宿り、それこそ「プログレッシブ」で「オルタナティブ」、そして「メタル」な往年のPoSが現代に蘇ったかのような、PoSにしか出せないセンスの塊みたいな、紛れもなくPoSの音世界である。実際、もう10年以上もヘンテコな音楽やってきて、ただでさえブランクの長いバンドに対して、いざまた「メタルやれ」って言われてもそう簡単に出来るもんじゃあないです。でも、それを軽くやっちゃう辺りが天才集団たる所以で、でも今回は音が変態というより、その音楽性に合わせて己の肉体を鍛え上げちゃうダニエルが一番変態だわ。

デビュー当時からシーンの流れを先読みして、いち早くヘヴィメタルにラップやヌー・メタルおよびオルタナティブ・メタル的な要素を取り入れ、常にシーンの流行りを的確に捉え、前衛的かつ先進的な音楽スタイルを貫き通してきた彼らだが、しかし今回ばかりは多少のブランクはあるものの、現代的なオルタナティブメタルとされるMeshuggah的なモダン・ヘヴィネスを取り入れ始めたのは、「オルタナティブバンド」としてもはや必然的な引かれ合いだったのかもしれない。そのように、メシュガーの存在が90年代のヌー・メタルに代わる「現代のオルタナティブ・メタル」と解釈すれば、もはやダニエル・ギルデンロウにしてみれば「メインストリーム音楽」同然で、むしろ赤子の手をひねることのように簡単な事だったのかもしれない。

「オルタナティブバンド」として、常に「新しいメタル」、常に「新しい音」を追い求めてきたPoSが、本格的に「メタル」から離れ始めてからというもの、21世紀の「新しいメタル」として最もシーンを賑わせたのが、他ならぬメシュガーやシン・ゴジラの音で、それは後にDjentなる新興ジャンルを生み出すことになるのだが、数ヶ月ものあいだ病室のベッドの上に拘束され精神的にも肉体的にも衰弱しきったダニエルは、ふと「若さ」を羨み、ふと「若さ」を嫉み、そして「若い音」への強い渇望が目覚め、そしてダニエルは若かりし頃の自分=「メタル」こそ「生命の源」であることに気づく。『死』から解き放たれた彼は、若くて新しい血に飢えて飢えてしょうがなかったのか、カラッカラなダニエルの喉の渇きを潤すかのように、すかさず「若いイケメン」という「新しい血」を新メンバーとして迎え入れ、そして「新しいメタル」という名の「生命エネルギー」ズキュウウウン!!と己の身体とバンドに注入している。 結果、老人ホームで流れてるようなヨボヨボなクラシック・ロックの印象から一転して、イマドキのお肌ツヤツヤでエネルギッシュな音に若返っている。もはやダニエルは「メタル界のディオ」だ。

今でこそスウェーデンを代表する、いやメタル界を代表するエンジニア/プロデューサーといえばイェンス・ボグレンだが、しかしイェンスがエンジニアとしてまだ駆け出しの頃、90年代から00年代初頭のスウェーデンのエンジニアの頃と言ったら、今作のプロデュースを担当したダニエル・バーグストランドに他ならなくて、彼はMeshuggahをはじめ、BehemothIn Flamesなどの誰もが知るエクストリーム系メタルバンドのプロデュースを数多く手がけたエンジニア界屈指の重鎮で、その良くも悪くもメタルシーンがある意味最も面白かった時期に活躍した彼とダニエル・ギルデンロウという「二人のダニエル」が、一世紀の時を経て遂に邂逅した、何とも感慨深い作品である。それこそ、メシュガーをよく知る一人、というより、メシュガーをここまでの怪物バンドにまで育て上げた生みの親と言うべき、繁忙期のメタルシーンを語る上で欠かせない偉大な人物の一人だ。比較的オールラウンダーに何でもこなすイェンス・ボグレンと違って、エクストリーム系バンドに特化したトガッた音作りに定評のあるダニエルのエンジニアリング・スタイルは、21位世紀となった今でも色あせることなく、常に最先端の音であり続けている。

しっかし、90年代のフレドリック・ノルドストロームに始まって、00年代のダニエル・バーグストランド、 そして10年代のイェンス・ボグレンという、昔と今のメタルシーンを『裏』から支え続けてきた3人の名エンジニア、そしてダニエル・ギルデンロウを生み出したスウェーデン人ってやっぱ音楽の天才だわ。
 
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Fallujah ‎『Dreamless』

Artist Fallujah
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Album 『Dreamless』
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Tracklist
01. Face Of Death
02. Adrenaline
03. The Void Alone
05. Scar Queen
06. Dreamless
07. The Prodigal Son
08. Amber Gaze
09. Fidelio
10. Wind For Wings
11. Les Silences
12. Lacuna

BAND-MAIDの一体ナニが凄いって、その「こいつらただのメイドじゃない。こいつ怖い。こいつ危ない。」と確信づけるような、メジャー1stフルアルバムJust Bring Itの幕開けを飾るDon't you tell ME歌波のカナミョ~~~ンとした泣きのギターソロを耳にした時に、まず最初にOpethのフロントマンミカエル・オーカーフェルトが脳裏に過ぎったのと、でもそのギターソロの導入部のATMSチックな空間表現的な部分からもう一つ別のバンドが頭を過ぎったのも事実で、それというのも、このFallujahとかいうサンフランシスコ出身のテクデスバンドのギタリストスコット・カーステアーズも、2ndアルバム天使と悪魔の中でミカエル・オーカーフェルト顔負けの流麗なギタープレイを披露していて、つまり先ほどのDon't you tell MEのギターソロを聴いて脳裏にフラッシュバックしたもう一つのバンド、もう一人のギタリスト、その正体こそFallujahスコット・カーステアーズだったのだ。
 


要するに、BAND-MAID歌波もこのFallujahスコットも、そしてOpethミカエル・オーカーフェルトも尊敬してやまないカルロス・サンタナスティーヴ・ヴァイをはじめ、数々の伝説的な名ギタリストを”ルーツ”とする泣き系およびピロピロ系のギタープレイを特徴とする、その三者を結ぶ大きな共通点があって、もっと面白いのは、歌波がリスペクトするカルロス・サンタナミカエル・オーカーフェルトPRSのシグネイチャー・モデルを発表するくらいPRSを溺愛していて、そして遂に歌波も今年に入ってからPRSを愛用するようになったのだ(なお、スコットKiesel Guitarsの模様)。

「BAND-MAIDにおける歌波」「Opethにおけるミカエル」と同じく、【コンポーザー】【リズム・ギタリスト】【リード・ギタリスト】をマルチにこなすプレイスタイルなので、その歌波がこれからメジャーでやっていくにあたって比較的万能とされるPRSを使い始めるのはもはや必然と言えるし、その相性は今年発表されたJust Bring Itを聴けば一目瞭然だ。これってつまり、バンメが海外フェスでミカエル・オーカーフェルトOpethと共演するフラグであると同時に、バンメの次作で歌波がアコギ鳴らし始めるフラグでもある。だから、BAND-MAIDのメンバーで一番凄いのって普通に歌波だと思う(なんの話だ)。どうでもいいけど、この写真に使われてる画像がどう見てもミカエルじゃなくてフレドリックなのがクソ笑える。パチモン疑われてもしょうがないレベルw

その数々の伝説的なギターヒーローを”ルーツ”とするスコット・カーステアーズの空前絶後の超絶怒涛のギタープレイが、メタル最大手レーベルのNuclear Blastに見出されたスコット率いるFallujahは、このたび約二年ぶりとなる3rdアルバムの『Dreamless』をリリースした。まず前作の天使と悪魔は、テクデス然としたブルータルな暴虐性とスコットの流麗かつ妖艶なギタープレイと女性ボーカルを擁する美メロが絶妙なバランスで噛み合った傑作だったが、今作も前作同様、相変わらずスコットの華麗なるギタープレイを全面にフィーチャーした、それこそ持ち前の美メロ(天使)とデス(悪魔)が融合したハイブリットなテクデスと言いたいところだが、というよりも、その天使顔負けのスピリチュアルな神秘性を内包した、Tori LetzlerKatie Thompsonという二人の女性ボーカルを中心に、ANATHEMAもビックリの打ち込みやアトモスフェリックな空間表現をフィーチャーした美メロ方面に振り切った、あくまでもメロディ重視のアンビエント・メタル的な作風で、初期と比較するとデス・メタル的な要素はもはや限りなく希薄だ。バンドのウリだった天使と悪魔のバランス感覚は、傑作だった前作には遠く及ばないかもしれないが、その代わりにメタル最大手のNuclear Blastに移籍して、半ば強制的に要求される(た)メジャー感とでも言うのか、とにかく洗練された雰囲気は凄いある。
 

超絶怒涛の宇宙スケールの幕開けを飾るオープニング曲の”Face Of Death”、そして2曲目の”Adrenaline”では、スコット・カーステアーズのカナミョ~ンギターをリードに、テクデスラッシュ然としたブルータルな展開からアンビエント感マシマシになるオシャンティなアウトロまで、全ての面で前作からの着実な深化を伺わせる。そのメロウなムードを引き継いで、ポストロック的な美メロと女性ボーカル陣のウィスパーボイスを前面に押し出した#3”The Void Alone”と#4”Abandon”Misery Signalsっぽい叙情派ハードコアの#5”Scar Queen”、そして超絶怒涛のスピリチュアルなイントロからスコットの超絶怒涛のソロワークが炸裂する表題曲の#6”Dreamless”を聴けば、本作がいかに「メロディ派」をガッツポーズさせるために作られたアルバムなのかを理解できるハズだ。それ以降も、スコットの超絶怒涛のギタープレイが堪能できる#8”Amber Gaze”、もはや完全に最初期のWhirrみたいなアンビエント/シューゲイザー曲の#9”Fidelio”ex-インターバルス!マイク・セメスキーがゲスト参加した#10”Wind For Wings”、そしてスウェーデンのCarbon Based LifeformsANATHEMA”Distant Satellites”ばりに超絶怒涛の打ち込みソングの#11”Les Silences”は、まぎれもなく今作を象徴する一曲と言える。ちなみに、表題曲にはex-Cynicシモンがゲスト参加。

今の、いわゆるATMS界隈の頂点に君臨してるのって、他ならぬハンス・ジマーであり『Interstellar B.S.O.』だと思うのだけど、最近ではDjent界隈の四次元立方体ことTesseractハンス・ジマーという五次元空間に挑んだPolarisなる作品をドロップしたことが記憶に新しい。その同じ若手に負けじと、このATMS界隈の次世代を担う期待の新生Fallujahも、今作でATMS界の幹部で知られるANATHEMAに殴り込みをかけている。まさにATMS新時代の幕開けだ。あっ、ちなみに、BAND-MAID当て振り鳩女こと小鳩ミクちゃんのギターはかのZEMAITISで、それこそ「アテフリ」するにはモッテコイのギターですw
 
Dreamless
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Animals as Leaders 『The Madness of Many』

Artist Animals as Leaders
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Album 『The Madness of Many』
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Tracklist

02. Ectogenesis
03. Cognitive Contortions
04. Inner Assassins
05. Private Visions Of The World
06. Backpfeifengesicht
07. Transcentience
08. The Glass Bridge
10. Aepirophobia

昨今の洗脳ブームの火付け役といえば、M A S A Y Aに洗脳されたX JAPANToshiこと出山ホームオブハート利三だが、最近では朝ドラ女優の能年玲奈が生ゴミおばさんこと女版M A S A Y Aに洗脳されて「のホームオブハートん」に改名した事が記憶に新しい。その能年玲奈「のホームオブハートん」に改名したことで、能年玲奈と今や世界的なギタリストとなったトシン・アバシのジェントユニット「あにまるず・あず・りーだーずっ!」はコンビ解消を余儀なくされ、その傷心した想いをアルバムに込めたと語る、トシン・アバシ率いるAnimals as Leadersの通算4作目となる『The Madness of Many』は、「生身の人間は裏切る!二次元なら・・・いや、AI(アンドロイド)なら僕を裏切らない!」という、数理物理学を極めすぎて頭がおかしくなった天才物理学者の歪んだ愛情と苦悩が、まるで古代エジプトの迷宮の如し複雑怪奇に描かれている。

その天才物理学者の「数字恐怖症」が臨界点に達する時、出口のない迷宮の入り口が開かれる#1Arithmophobia、今度は8bit系レトロゲームみたいな電脳世界へと誘うミニマルなエレクトロニカがヒトの脳幹部に侵入し、そこから身体の神経回路へと、そしてヒトの遺伝子情報を書き換えていく、それこそ「遺伝子組み換え音楽」としか例えようがない#2”Ectogenesis”、更に深いところでスピリチュアルな電脳世界を構築していく#3”Cognitive Contortions”、前作The Joy of Motion”Ka$cade”をPost-Djent化したような#4”Inner Assassins”、気分を一転して西海岸系の爽やかでオシャンティなギター・メロディの中にMeshuggahGojiraばりの鬼グルーヴ/モダン・ヘヴィネスを織り込んだ#5”Private Visions of the World”、基本的なジェント・リフとモダン・ヘヴィネス、エレクトロニカとアトモスフェリックなATMSフィールドを駆使して目まぐるしくスリリングに展開する#6”Backpfeifengesicht”、前半プログレ・メタルっぽくて後半ジャズっぽくオシャンティに展開する#7”Transcentience”トシン・アバシの流麗なソロワークが際立つ#8”The Glass Bridge”、アコギの流麗なメロディをフィーチャーした#9The Brain Dance、この出口のない迷宮の中で深層心理を操られ記憶も遺伝子も書き換えられた天才物理学者は、「この世界はループループしているのか?」という宇宙の真理にたどり着き、絶望した彼は「無限恐怖症」へと陥り、そしてゴールド・エクスペリエンス・レクイエムのスタンド攻撃を喰らって「終わりがないのが終わり」と悟り精神崩壊してしまう最後の”Aepirophobia”まで、まるでヒト=ニンゲンがAIチップならぬ音チップを脳に埋め込まれ、ヒトからアンドロイドへと変わっていく様を精密機器の如く繊細緻密に描き出していく、それこそ人工知能の脅威をリアルに描いたアリシア・ヴィキャンデルちゃん主演の傑作SF映画『エクス・マキナ』を彷彿とさせる、人工知能の発達によりニンゲン社会が徐々に侵食され、徐々に歪んでいく一種の恐怖映像を見せられているかのよう。

AALって、奇数ナンバリングの比較的わかりやすい(わかるとは言ってない)プログ・メタル/ジェント主体のパワー系路線と2ndアルバムWeightlessみたいな難解至極なインテリキチガイ系路線に分類できるのだけど、偶数ナンバリングとなる本作は、2ndアルバムのPost-Djentならぬソフト-ジェント路線を素直にアップデイトさせた作風で、エレクトロ志向が更に強まった事で俄然ゲーム音楽っぽくなってる。コンセプティブなギミック面とジェント/モダン・ヘヴィネス成分のバランスとまとまりが良くて、ハッキリ言って2ndよりも格段に完成度が高いです。とにかく、某都市伝説芸人が「信じるか信じないかはあなた次第です」とか言いながら聴いてそうな音楽ですw
 
THE MADNESS OF MANY
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