Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Shoegazer

℃-ute解散がショック過ぎるので更新停止します

Enslaved 『In Times』

Artist Enslaved
Enslaved2015e-1440x640
Mixing Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『In Times』
jpeg

Tracklist
02. Building With Fire
03. One Thousand Years Of Rain
04. Nauthir Bleeding
05. In Times
06. Daylight

イェンス童貞 ・・・今や”イェンス童貞”じゃないバンドの方が少ないんじゃあないかってくらい、メタル界屈指の売れっ子エンジニアとなったイェンス・ボグレン。あのOpethでもなんでも、イェンスと組んだバンドは一作目のアルバムが名作になるみたいな風潮があって、この北欧ノルウェイの森に棲むクマおじさんこと、Enslavedもイェンスを迎えた2010年作の11thアルバムAxioma Ethica Odiniで、名実ともにOpethMastodonを代表とする一流プログレ・メタル勢の仲間入りを果たした。2012年作の12thアルバムRIITIIRでは、前作から鮮明化したプログレ路線が著しく進むと同時に、Alcest以降のモダンなポストブラック勢からの影響も垣間見せ始め、ケモナーみたいなムッサいムッサい見た目のイメージとは裏腹に、メチャクチャ器用な音楽センスを見せつけていた。で、次はどうでるか?まさか本当にシューゲイザーやっちゃうか?なんつって。まぁ、それは冗談として→そんなEnslavedは約三年ぶり、イェンスと組んでから早くも三作目となる13thアルバム『In Times』をリリースした。

クルゾ...クルゾ...コネー('A`) ・・・結果的に、先ほどの予想は良くも悪くも真っ向から裏切られる形となった。結論から言ってしまえば、この『In Times』はここ最近の近代プログレ・メタル路線から一転して、10アルバム『Vertebrae』以前の不気味さと混沌さ蠢くノルウェイジャン・ブラック、要するに本来のEnslavedの姿へと回帰している。その”違い”は幕開けを飾る#1”Thurisaz Dreaming”から顕著で、Axioma Ethica Odini流れのヴァイキンガーの血が騒ぎ出す勇壮な勢いはそのままに、鍵盤奏者エルブラン・ラーセンによる気だるく幽玄なクリーン・ボイスを披露する中盤、そして本来この展開なら最後に大サビが来るはずなのに何事もなく曲が終わる。なんつーか→「大サビ来るぞ...大サビ来るぞ...コネー('A`)」みたいな、なんだろう、『男の世界』で例えるならフィニッシュする直前に嬢に「はい時間でーす☆」と言われた時の感覚っつーのかな、ある種の”寸止めプレイ”を食らった感覚に陥る。この時点で分かるのは、ここ二作のウリだった急転直下型の緩急を織り交ぜたド派手な展開力は比較的影を潜め、一転して下手にコネクリ回さないシンプルな構成かつ無骨に展開していくイメージが先行すること。それと同時に、ここ最近のプログレ化によって生じた音の軽さや民族的世界観の希薄さなどの弊害から脱し、従来のブラックメタル然としたドス黒い『漆黒の意志』が音に宿り、雄々しくも深みのあるコンセプティブな世界観を形成している。少なくとも、最近のプログレ路線を期待すると肩透かしを食らうのは確か。

シブみ ・・・近年Enslavedの功労者であり鍵盤奏者エルブラン・ラーセンが主役を務める#2”Building With Fire”では、過去二作でもはや”歌モノ”と呼んでいいくらい叙情的なメロディ重視だった彼のクリーンボイスは、今作では一転して浮遊感重視の幽玄なクリーンボイスを披露している。前作、前々作みたく存在感が浮くぐらいガッツリメロディを歌い上げるというわけじゃなくて、以前と同じような立ち位置/スタイルであくまでもコーラス役に徹している点も、過去二作との大きな”違い”と言える。あくまでも無駄を削ぎ落としたスタイリッシュでオーガニックなノルウェー流のブラックメタルを目指した、そんな彼らの明確な意思が感じ取れる。確かに、一聴した時のインパクトでは最近の二作に劣る。しかしシブい、とにかく”シブみ”は過去最高にあって、どこの誰にも媚びないベテランらしい一枚でもある。全6曲トータル約53分という潔さも、本作の”シブみ”に拍車をかけている。いくら過去二作とは毛色が”違う”とは言っても、#4”Nauthir Bleeding”では初期Alcest顔負けの遊牧民的で民謡チックなムードをアピるし、#6”Daylight”では暗転パート以降のガチでポストロック/シューゲイザーやっちゃう、ノルウェイの森のクマさんという名の五人の天使が織りなす繊細な美メロフレーズと、北欧神話の雷神トールが地上に降り立ったかの如し五人のケモナーが大地を轟かすメタリックなヘヴィネスとのギャップ萌えに男泣き不可避だ。一聴して今作が”スルメ盤”であることが分かるが、随所で過去二作で培ったモダンな要素を本来の姿に統合させる事に成功しており、つまり持ち前のライティング能力、その器用さは一層に磨きがかっている。そして、何と言っても表題曲の”In Times”は、民族楽器を使ったイントロのポロ~ン♪からスケール感溢れる展開力と幽玄の極みとばかりの深淵な世界観、これまで溜めに溜め込んだエモーショナルな感情をここぞとばかりに爆発するさせるエルブランのボーカルまで、ここ最近のEnslavedが築き上げてきた玄人スタイルの一つの終着点と言っても過言じゃあない名曲だ。とにかく、序盤は”寸止めプレイ”みたいな楽曲が続いてなかなかイケない(フィニッシュできない)状態に陥るが、しかし男の色気が出てくる4曲目以降、特に表題曲とラストの存在感を前にすれば全てを許してしまう。それくらいインパクトある。

・・・しかし何度も書くけど、今作は過去二作のプログレ路線が好きな人向けというより、それこそブラックメタル...それ以前に”メタル”が好きな人に強くオススメしたい。一抹の不安だったイェンスと組んで三作目というジンクス/マンネリ感は心配するに至らなくて、もはや彼らの集大成と呼んじゃっていいレベルの力作だと。やっぱその辺の器用なバランス感覚はベテランならではの業だと思うし、改めてなんやかんやスゲーおっさん達だと。
 
In Times
In Times
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Enslaved
Imports (2015-03-17)
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Pinkshinyultrablast 『Everything Else Matters』

Artist Pinkshinyultrablast
Pinkshinyultrablast

Album 『Everything Else Matters』
Everything Else Matters

Tracklist
01. Wish We Were
02. Holy Forest
03. Glitter
04. Metamorphosis
05. Umi
06. Land's End
07. Ravestar Supreme
08. Marigold
09. Glitchy Kiss Goodnight
10. Sparkle Outburst
11. Marshmallow Ghost

Pinkshinyultrablast ・・・2009年にEP『Happy Songs for Happy Zombies』でデビューを飾った、紅一点のVoリュボーフィ率いるロシアはサンクトペテルブルク出身の5人組、Pinkshinyultrablast(ピンクシャイニーウルトラブラスト)の1stフルアルバム『Everything Else Matters』が、初期WhirrNothingに真っ向からケンカ売りにキテる件。



・・・まるでJulianna Barwick顔負けの賛美歌の如し聖なる歌声が天から舞い降りてくるかのような、すこぶる神聖な幕開けを飾る#1”Wish We Were”から、シアトリカルなシンセやスタイリッシュなエレクトロを織り込みながら、マイブラに代表される90年代シューゲイザーの流れを汲んだ紅一点ボーカリストリュボーフィによる透明感溢れるゆるふわ系の歌声とロシアとかいう極寒の地に降り注ぐ雪の結晶のように煌めくエピカルなメロディとノイジーな轟音が雪崩のように襲いかかり、そのバンド・サウンド然とした衝動的な勢いにノッて甘酸っぱい疾走感と焦燥感を内包したエモーショナルなビートを刻んでいく。その「LOVE!LOVE!Lovelessズッキュン!」なユラメキ☆トキメキ☆キラメキ☆は、まさしくWhirrの名盤『桃尻女とシューゲイザー』に追従する勢いだ。マスロック的ミニマルなリフ回しで始まる#2”Holy Forest”は、オリエンタルなシンセ・ポップ風のメロディやノイジーなギター、そしてクラップをフューチャーしながらアップテンポに展開していき、クライマックスでは美しすぎる轟音の渦に飲み込まれ、気がつくと「パダーチャ!ミャ~~~チ!」とかいう意味不明な言葉を叫びながら恋のSOS信号を発信している。で、ハードコアなリフの反復によるラウド感とライブ感が気持ちいい#3”Glitter”、まるでスウェーデンのPostiljonenを彷彿とさせるドリーム・ポップ・チューンの#4”Metamorphosis”、リヴァーヴを効かせたドリーミーなイントロから青々とした海のように澄み切ったメロディとリュボーフィのポップなボーカル・メロディが織りなすラブモーションにズキュウウウン!!とハート射抜かれる日本語タイトル曲の#5”Umi”、イタリアのKlimt 1918を彷彿とさせるオルタナティブなメロディやマスロック然としたリフ回し、そして予測不可能かつ劇的な展開を繰り広げる#6”Land's End”、約9分ある本編ラストの#8”Marigold”のクライマックスでは、それこそAlcest”Délivrance”に匹敵する謎の神々しさ解き放ってて笑うし、もうなんかこいつらマジスゲーですとしか。で、Vinyl Junkieからリリースされた国内盤にはボートラが3曲追加で収録されてて、その中でも#9は敬愛する宮﨑駿に愛を込めて日本語に挑戦した曲らしく、『魔女の宅急便』の主題歌”やさしさに包まれたなら”の一節を引用しているが、正直なんとも言えない気分になった。他の二曲は本格的にエレクトロ色の濃い打ち込み曲となっている。これは次作でシューゲイザーやめるフラグか・・・?

シューゲイザー×?? ・・・なんというか、一見ありがちなシューゲイザーかと思いきや、初期WhirrNothingを連想させるUSハードコア精神、スウェーデンの新星Postiljonenを彷彿とさせる80年代シンセ・ポップ/ドリーム・ポップや同郷のPowder! Go Awayを彷彿とさせるスーパー・シネマティック・ポストハードコア系ポストロック、後期WhirrRingo Deathstarrを連想させるノイズ・ポップ然としたkawaiiポップネスがクロスオーバーしたハイブリットなプーチン・サウンド、要するに"美味しいとこ取り"なオルタナやってて、それこそロシアにはない幻の海(Umi)という『夢』を描き出すようなサウンドスケープに胸キュン死不可避だ。時にダイナミック、時にドラマティック、そして時に初期赤い公園ばりのPost-Progressiveな展開力を目の当たりにすれば、このピンクシャイニーウルトラブラストが他のシューゲイザーバンドとは一線を画した存在だという事がわかるし、この手のジャンルにありがちな単調なイメージとは無縁だ。とにかく、そのメロディセンスが非凡で、懐かしのシンセ・ポップ的なメロディとシューゲイザー・サウンドの掛け合いはとてもユニークだし、聴いていて素直に楽しい。この"オルタナティブ"な音使いは、赤い公園津野米咲が好きそうなソレだし、【シューゲイザー×??】のハイブリットという意味では、日本のThe fin.きのこ帝国とやってることは同じかもしれない。



彼らのセルフライナーノーツによると、ステレオ・ラブやコクトー・ツインズ、ポニーテールやアストロブライトをはじめ、90年代のヒップホップやデスメタルからも影響されているとの事で、歌詞の大部分は映画『燃えよドラゴン』や『スネーキーモンキー 蛇拳』に影響を受けているらしく、実際にMVを見れば彼らのユニークな嗜好回路が理解できるハズだ。かなりの日本贔屓という事もあって、とにかくライブ観たさしかない。
 
EVERYTHING ELSE MATTERS
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PINKSHINY ULTRABLAST
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2:54 『The Other I』

Artist 2:54
2:54

Album 『The Other I』
The Other I

Tracklist
1. Orion
3. In The Mirror
4. No Better Prize
5. Sleepwalker
6. Tender Shoots
7. The Monaco
8. Crest
9. Pyro
10. South
11. Glory Days
12. Raptor

2:54 ・・・この2:54というコレットとハンナのサーロー姉妹率いるロンドン出身のバンドも、黒盤あたりの赤い公園と親和性を見出だせるバンドの一つで、PJハーヴェイの作品でも知られるロブ・エリスをプロデューサーに迎え、ミックスにはマイブラを手掛けたアラン・モウルダーを起用し話題を呼んだ2012年のデビュー作でセルフタイトルの2:54では、ポストパンク/シューゲイザー/ゴシック/ドリームポップなど多数の要素を内包した、それこそUKバンド然とした幽玄かつ陰鬱な雰囲気を纏ったダークなオルタナやってて、個人的にその年のBESTに挙げるほどツボにハマった。そんな2:54の約二年ぶりとなる、イギリスのロマン派詩人の詩からインスパイアされたという2ndアルバム『The Other I』は、プロデューサーにレディオヘッドとの仕事でも知られるジェイムス・ラトリッジを迎えてパリとロンドンで制作され、レーベルはBella Unionからリリースされている。

インディロック化したANATHEMA ・・・これは"ナイトメアポップ"ことEsben and the Witchも同じなんだけど、それなりの良作を出した後に著名なプロデューサーを迎えてガラッと作風を変えてくる、そう・・・あのやり方です。この2:54にも全く同じことが起こっていて、それは幕開けを飾るリードトラックの#1"Orion"を聴けば分かるように、デビュー作みたいな荘厳な雰囲気やホラー映画ばりにオドロオドロしい空気感は希薄となって、言うなればThe Joy FormidableEsben and the Witchを連想させる、ポストロック然とした音のダイナミズム/スケール感とアンニュイでミニマルなメロディ主体のいわゆる"Post-系"に大きく振り切っていて、ザックリと例えるなら"インディロック化したANATHEMA"みたいになってる。まるでイギリスの空模様のように不安定かつ不吉に揺らめくエレクトロニカとピアノを使って音響意識を植え付ける二曲目の"Blindfold"では、フロントマンのコレットに"ボーカリスト"としての自覚が芽生えていることに気づく。で、前作を踏襲したデュリーミィでイーサリアルなムードの上にレディへ風の不穏なキーボード・アレンジが施された#3"In the Mirror"、続く#4"No Better Prize"では、後期Porcu pine Treeを思わせるプログレッシヴ・ヘヴィ的な音使いや後期ANATHEMAを彷彿とさせる耽美的なバッキングをもって俄然メタリックな展開力を発揮し、同時に「あっ...これ前作より好きなやつかも」ってなった。ストリングスをフューチャーした#5"Sleepwalker"では、CoL『Vertikal』を思わせるディストピア的なアレンジを効かせながら、終盤にサバス顔負けのドゥーミーなヘヴィネスをぶっ放す。で、ここからは少し雰囲気が違って、一転して"新機軸"とも取れる楽曲が続いていく。まずWarpaintS/Tで言うところの"Disco//Very"的な立ち位置にある、コレットの"ボーカリスト"としての自覚を再確認させるような聖歌さながらの神々しいボーカル曲の#6"Tender Shoots"、シューゲ然とした淡い空気感を醸し出すイントロの裏をかくようにカントリー調の陽気なノリ&リズムで展開する#7"The Monaco"、焦燥感あふれる不安定なビートを刻みながら疾走する#8"Crest"、一転して"らしさ"のある力強いリズムやヘヴィなリフと叙情的なメロディが妖しく交錯する#9"Pyro"、そして終盤のハイライトを飾る#10"South"は、それこそ赤い公園”副流煙”ANATHEMAWe're Here Because We're Here直系の美メロ成分(光属性)をズキュウウゥン!!と注入したような名曲で、赤い公園"副流煙"がタバコの煙ならこの"South"はマイナスイオンの蒸気といった所か。再びコレットのボーカリスト意識の高さが伺える#11"Glory Days"、そして和楽器を駆使した荘厳な始まりから"Post-Progressive"然としたスケールのある展開を見せるラストの#12"Raptor"まで、全12曲トータル約50分。前半の曲はプロデューサーの色が顕著に出ていて、あらためてこの手の音楽とレディへの相性はバツグンだと再認識させる。後半からはこれまでの2:54にはなかった、新機軸的なArt-Rock志向の強い音使いで聴かせる。

Post-系 ・・・確かに、デビュー作にあった"オリジナリティ"という点ではパンチに欠けるが、その艶美な音響を駆使した多彩なアレンジとリリカルで緻密な展開力に、それはまるで一種の"Post-Progressive"と言わんばかりの表現力に驚かされる。これはプロデューサーの影響だろうけど、いい意味で腐女子臭かった前作と比べてもアレンジが著しくオサレに洗練されていて、同時にさざ波のように打ち寄せられるザラザラしたシューゲイズ感や凛々しくも荘厳なゴス/ヘヴィロック感、そして男勝りのフェミニズム思想が弱体化する一方でポストロック譲りの繊細な表現力がマシマシ、独特の温かみやアンニュイな色気が音に宿っている。それはまるで鋼鉄の処女が女性としての柔らかさ温かさ、すなわち母性を身につけて非処女になったみたいな感覚、あるいは人気アイドルにスキャンダルが発覚してキモヲタを振り落とす感覚に近くて、その処女喪失する瞬間を捉えたいジャケのアヘ顔が今作の全てを物語っていると言っても決して過言じゃあない。もはや前作の2:54とは別人と言っていいくらいで、でも僕はこの"変化"が"ポップス"あるいは"メジャー"に日和ったとはこれっぽっちも思わなくて、妹のハンナによる不気味なコーラスを交えた妖艶な雰囲気や音の根幹にあるい狂気性は不変だし、なんというか中期ANATHEMA後期ANATHEMAの美味しいとこ取りみたいな感覚すら、むしろ"俺の界隈"に大きく歩み寄ってきた感すらあって、とにかく曲の展開や音に様々なアイデアが施されたバラエティ豊かな楽曲陣は、単純に聴いてて面白いし、そして何よりも楽しい。なんだろう、前作はポストパンク型の力強いビートを効かせた一種の"雰囲気音楽"として楽しんでいた部分もあったけど、逆に今作は一つ一つの音や楽曲として"聴かせる"意識が今までになく強い気がする。少なくとも、それぞれ全く違うベクトルで楽しめる良作である事は確かだ。

『The Other I』=『猛烈リトミック ・・・そんな鬼女系腐女子の脱801感に溢れている本作なんだけど、なんか俄然エスベンと魔女や俄然赤い公園っぽくなってるし、そして何よりも"イギリスのWarpaint"という名に恥じないバンドにまでなってる感ある。むしろ本家超えてんじゃねえかって。でも向こうは2ndアルバムのWarpaintでシガロ界隈のPを迎えてたりするし、なんだかんだ棲み分けはできている。しっかし、ウォーペイントといいこのトゥー・フィフティーフォーといい、俗にいう"二作目のジンクス"を地で行ってる感じでスゲー面白いね。その"二作目"といえば→立川にある"クリムゾン・キングの公園"こと赤い公園も2ndアルバム猛烈リトミックで文字どおり"J-Pop"になってるし、そういった意味でも赤い公園はUKミュージック的なナニヵを感じる。著名なプロデューサーを迎えて、い部分とい部分がクロスオーバーしているという点では、2:54『The Other I』赤い公園猛烈リトミックは限りなく近い、似た作品と言えるかもしれない。あとエスベンと魔女がアイスランドのマイルドヤンキーことSólstafirと対バンするってんなら、この2:54ANATHEMAと対バンする可能性があったって全然不思議じゃないし、むしろ日本のHostess2:54と一緒にANATHEMAを連れて来いってんだ。いや、連れてきてくださいお願いします。

Other I
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Whirr 『Sway』

Artist Whirr
Whirr

Album 『Sway』
Sway

Tracklist
01. Press
02. Mumble
03. Dry
04. Clear
05. Heavy
06. Sway
07. Lines
08. Feel

Deafheaven VS, ex-Deafheaven ・・・昨年、メタルシーンを最も賑わせたアルバムといえばDEAFHEAVEN『サンベイザー』だ。最近では、その現DEAFHEAVENex-DEAFHEAVENの派閥争いが激化し始めていて、大手音楽メディアピッチフォークをパトロンとする現デフヘヴンに対抗する組織、言うなれば”アンチピッチフォーク界のアイドル”ならぬex-DEAFHEAVEN側の首謀者であるニック・バセットくんが今年新たにNothingDeath Of Loversなる新バンドを立ち上げたが、そんな彼が以前より在籍していたシューゲイザーバンド、Whirrの約二年ぶりとなる2ndフル『Sway』がリリースされた。

原点回帰 ・・・このWhirrといえば→2010年作のEP『桃尻女とシューゲイザー』がマイブラ直系の甘~いシューゲイズ・サウンドに胸キュン不可避な傑作で華々しいデビューを飾り、誰しもが将来を期待するバンドに思えた。がしかし、その後は紅一点の女性VoのByanca Munozたそを皮切りに、遂には後任ボーカルのKristina Esfandiariまでも脱退し、その作風もよく分からない方向に迷走し始め、デビュー当時のバンドの勢いは作品を追う毎に右肩下がりに、巷じゃ「デビューEPで終ったバンド」...そんな悪評が広まっていた。そんな彼らが放つ2ndフル『Sway』は、あの迷走していた時期とは一体なんだったのか?ってくらい、AlcestLantlosあるいはHammockを連想させるドリーム・ポップ系の儚いメロディをフューチャーした轟音ヘヴィロックやってて、このデフヘヴンからシューゲ部分をザックリと抜き出したような、シューゲイザー・リバイバル感あふれる萌え萌え胸キュンサウンドこそWhirrの真骨頂であり、ここ最近のアルバムでは最も桃尻女とシューゲイザーに近い作風、つまり”原点回帰”と呼べる一作となっている。ひとえに”原点回帰”と言っても厳密には違うくて、ニックの影に隠れたWhirrの実質最高権力者ことLoren Riveraがメインボーカルを張っている所やオルタナティブなアプローチを強めている所からも、どちらかと言えばNothingや盟友Anneに引っ張られる形となっている。ドラムをはじめ全体的に音がメタリックで、そういった意味でもNothingの影響というか、近年のニックの嗜好が顕著に出た作風と言える。それはさしずめ女子禁制の『鮫肌男とシューゲイザー』といった所か。

???「ファッ◯ン ピッチ!」 ・・・ローレンというヤンデレ系男子の憂鬱な歌と焦燥感を煽るメロディを乗せてパンキッシュに疾走する#1”Press”は、1stEPの”Meaningless”や1stフルから”Junebouvier”の流れにあるハードコアな曲で、それこそ”原点回帰”を宣言するに相応しいオープニングナンバーと言える。続く#2”Mumble”では、音響意識の高いドリーミーなメロディとノイジーなギター、そして胸キュン不可避なボーカル・ハーモニーを聴けば名盤桃尻女とシューゲイザーの再来を予感させる。そして、その予感は#3”Dry”で確信へと変わる。この曲は、Alcestの2ndを彷彿とさせる幻夢的なメロディとポストメタリックな轟音ヘヴィネスが美しくも激しく交錯していく。深いリヴァーヴを効かせた幻想的なメロディと身が竦むほどノイジーな轟音が雪崩のように押し寄せる#4”Clear”、まるで鮫肌のようなギター・ノイズと甘味なボーカル・ハーモニーが織りなす、エベレストの山頂で恋の遭難信号を発しながら息絶えるような胸キュンボンバーの#5”Heavy”Hammockばりのアンビエンス音響空間を形成しつつローテンポで進む表題曲の#6”Sway”、それ以降も最後までメロディ重視の作風といった印象で、その量は過去最高と言っていい。確かに、Nothingほどのインパクトはないかもしれないが、少なくともちょっとオサレなノイズ・ポップと化した1stフルやポストロック化した2ndEPよりは、彼らの原点である『桃尻女とシューゲイザー』を感じる事のできる、それと対になる王道的なシューゲイズ作品で、個人的にも『桃尻』の次に好きなアルバムとなった。そして、ようやく長い迷走期間から抜け出す事ができたんだってね。

デフヘヴン包囲網 ・・・この”大シューゲイザーの時代”の草分け的な存在であるWhirr”原点回帰”したことにより、俄然デッへ界隈の権力争いが面白くなってきた所で→現Deafheavenのメンバーによる新バンドCreepersがデビュー、からのByanca Munozたそ率いるNight Schoolが電撃参戦!というシナリオ。正直、デッへ界隈だけでここまで楽しめるのは全てニックのお陰というか・・・ハッ!まさかニックはこの未来を描くためにデッへから脱退した可能性が・・・ッ!? な...なんてエモーショナルな人なんだ・・・。
 
Sway
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Whirr
Graveface (2014-09-23)
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Sadistik 『Ultraviolet』

Artist Sadistik
Sadistik

Album 『Ultraviolet』
Ultraviolet

Tracklist
01. Cult Leader
02. 1984
03. Chemical Burns
04. Into the Night
05. Cubic Zirconia
06. Orange
07. Nowhere
08. Witching Hour
09. Still Awake
10. Blue Sunshine
11. Death Warrant
12. Gummo
13. The Rabbithole

【ヒップ・ホップ化したCBL】・・・最近ではCunninLynguists『Strange Journey Volume Three 』に参加した事で知られ、昨年のFlowers for My Father2014年度BESTの実質的な一位を飾った、いわゆる”俺の界隈”のヒップ・ホップ枠を担当するラッパーコディ・フォスターが指揮するSadistikの新作『Ultraviolet』が早くもリリースされた。コディの亡き父に捧げる作品であり、同郷であるシアトルの重鎮Blue Sky Black Deathをプロデューサーに迎えて制作された昨年の『Flowers for My Father』といえば→Trespassers WilliamのボーカリストAnna-Lynne Williamsのソロ・プロジェクトLotte KestnerYes Alexanderらの癒し系女性ボーカルをフューチャーした、ヒップ・ホップ界隈にもこんな音楽があるのか!と衝撃を受けるくらい、まさしく”キング・オブ・アトモスフェリック”なATMS系アブストラクト・ヒップ・ホップで、ダディを失ったコディの深い悲しみがリリックに込められた、深い慈悲に満ち溢れたエモーショナルな音世界(レクイエム)を奏でていた。その神秘的かつ耽美な世界観は、さながら”ヒップ・ホップ化したCarbon Based Lifeforms”の如しフェミニンな香りを漂わせていた。

【シューゲイザー×ヒップ・ホップ】・・・その大成功を収めた傑作『Flowers for My Father』は、”Petrichor””Seven Devils”などのギターをフューチャーしたオルタナティブな側面を垣間みせると同時に、実にロックなヒップ・ホップでもあったが、今作の『Ultraviolet』は前作とは打って変わって過剰な味付けはなく、余計な音が一切ない非常にナチュラルな本格派ヒップ・ホップ作品となっている。それはオープニングを飾る#1Cult Leaderやリードトラックの#21984の至ってシンプルな音使いを聴けば顕著で、シリアスで陰鬱なムードを形成する持ち前のミニマルな音使いをバックに、コディのヤンデレ系ラップが妖しく交錯していく。で、前作でもお馴染みのLotte KestnerとミネソタのラッパーEyedeaをフューチャーした#3”Chemical Burns”は、一聴する限りでは前作の”City in Amber”直系のトリップ・ホップだが、容赦なく畳みかけるEyedeaの高速ラップとロッテの聖なる天使の歌声が織りなす、静と動の狭間で揺れ動くギャップレス・サウンドはもはやプログレッシヴ・メタルと表現していいレベルだ。ちなみに、この曲の歌詞には”Nine Inch Nails”というフレーズがある。続く#4”Into the Night”は、Chelsea Wolfeを彷彿とさせるMolly Deanの神の使い感ほとばしる妖艶なボイスとダイナミックなドラムスが、アトモスフェリックな音響空間の中で神々しく荘厳に響き渡るアンビエント系ヒップ・ポップで、それこそ”ヒップ・ホップ化したCBL”と呼ぶに相応しい神秘的な楽曲だ。次の#5”Cubic Zirconia”では、持ち前のミニマリズムをもって#4と同様に神秘的かつオリエンタルなスポークン・ワードを構築していき、終盤ではロッテとコディによるラップのハモリが聴ける非常にレアなトラックとなっている。そして、前半戦のハイライトを飾るのは→レーベルメイトであり、前作でもお馴染みのシューゲイザーバンドChild Actorを迎えたOrangeで、美しい女性ソプラノボーカルと男性ボーカルによるシューゲ然とした儚くも幻想的な浮遊感および今にも消えてしまいそうな透明感をもって、それこそ山吹色の波紋疾走のように温かくラブリィな多幸感と清らかでエピカルな世界観にチルアウトしていく、もはやSadistik屈指の名曲と言っていいだろう。あらためて、ヒップ・ホップの世界でこんなコッテコテなシューゲイザーやってのけるコディってやっぱスゲーわって再確認した。正直この一曲だけで今年の年間BESTに入れる価値あります。この曲はホントにスゲーです。

【ファッキンオバマッ!ファッキンオサマッ!】・・・後半戦からは→Nacho Picassoとフューチャリングした東南アジア風のオリエンタルな雰囲気を持つ#8”Witching Hour”、前作の”Snow White”ばりの黒人ラッパー風高速ラップを披露する#10”Blue Sunshine”Sticky FingazTech N9neとフューチャリングしたファンキーなイントロから始まる#11”Death Warrant”は、まるで「ファッキンニガーくらいわかるよ馬鹿野郎」と言わんばかりの、GTAシリーズに出てきそうな二人の屈強な黒人ギャングによる本場感あふれるラップと「Die...die...die...」と囁く癒し系白人女性ボイスのギャップが織りなす、まるで洋物ハードコアポルノのフィストファックを見ているかのような光景は”壮絶”の一言で、この極悪なブレイクダウンはもはやプログレッシヴ・デス・メタルと言っていいだろう。この曲、歌詞も現代アメリカに対する強烈な風刺が込められているのがまた凄い。その流れで→前作でもお馴染みのYes Alexanderちゃんとフューチャリングしたエキゾチックな#12”Gummo”Terra lopezとフューチャリングしたラストの”The Rabbithole”は、オープニングからJulianna Barwick的な聖なるボイスとATMSフィールド全開で始まって、インダストリアルな電子音やミニマルなギターを織り交ぜながらリリカルに展開していくオルタナチューン。ここまでの後半は前半の曲と比べると小粒な印象は否めないが、Tech N9neなどの著名ラッパーやYes Alexanderちゃんとのフューチャリング曲の完成度は流石で、その中でも#11のヨ~メ~~~ン?ファッキンニガッ!っぷりったらないし、ラストの#13は前作を踏襲したオルタナ全開の曲で最高にCoolだ。

オレンジレンジ・・・あらためて、前作は天国のダディに捧げる、”生死感”をモチーフにしたコンセプトアルバムなだけあって、メンヘラの過呼吸のように刹那的な焦燥感やシリアスな重い緊張感だったり、ダディに対するコディの張り裂けそうな想いが今にも爆発しそうな作品だった。しかし、この『Ultraviolet』は前作のような胃もたれしそうなほどクドい印象は微塵もなくて、とてもシンプルかつスタイリッシュな作風だ。持ち前のチルいインストゥルメンタルというよりコディのオーガニックなラップを中心に、と同時にミニマル・アンビエント感を押し出した作風となっている。名曲オレンジをはじめとした、前作にはないポジティヴな雰囲気を持った楽曲もあったりするんで、作品としての取っ付き易さは前作より上か。確かに前作ほどの衝撃というのはないが、少なくとも楽曲の質は同等、いや、6曲目のオレンジだけで言えば前作よりも優っていると言っていいかもしれない。音的にもしっかりと差別化されているので、前作にハマった人なら間違いなく楽しめる名作だと。
 
ULTRAVIOLET
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