Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Sludge

Mastodon 『Emperor of Sand』

Artist Mastodon
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Album 『Emperor of Sand』
67294

Tracklist

03. Precious Stones
04. Steambreather
05. Roots Remain
06. Word To The Wise
07. Ancient Kingdom
08. Clandestiny
09. Andromeda
10. Scorpion Breath
11. Jaguar God

確かに、ことマストドンって、2012年に突如として現れメタルシーンに衝撃を与えたデビューアルバムの『Remission』から、Rushなどのクラシック・ロックや70年代のプログレヲタクを唸らせた歴史的名盤と名高い2009年作の4thアルバムCrack the Skyeまでは、確かに「神がかり的」な勢いで「神がかり的」な名盤を立て続けにリリースし、瞬く間にアメリカの現代メタルシーンを代表する「レジェンド」と称されるまでの地位へと上り詰めた。しかし、その歴史的な名盤の次に発表された2011年作の5thアルバムThe Hunterでは、玄人向けだった前作から一転して、パーリーピーポーみたいなチャラくてポップでポストハードコア的な、「売れ線」というよりは「キッズ向け」のパリピ・サウンドを展開し、これまでのフアンから総スカンを喰らってしまう。しかし、この玄人向けのクラシックなスタイルから一転してティーンエージャー向けのポップなスタイルへと様変わりする、様々なスタイルに変幻自在なところもマストドンの魅力であり、そこがマストドンというバンドが高く評価される理由、マストドンというバンドの「面白さ」たる所以でもあった。

そんなパリピアルバムの次の作品として、ある意味で注目された2014年作の6thアルバムOnce More 'Round the Sunは、十分に「良作」の部類に入る作品ではあったものの、あくまでも「全盛期のマストドンを彷彿とさせるレベル」の、しかしどこか「パチモン」っぽい感じが拭えなかったのも確かで、事実その曲構成からリフ回しをはじめとしたソングライティングの面から、そしてマストドンの生命線であるオリジナリティの面でも全盛期からはほど遠い内容で、やはり「神がかり的」だった彼らの求心(神)力は、歴史的名盤および最高傑作と名高い4thのCrack the Skyeを最後に綺麗サッパリ消失してしまった、その事実を皮肉にも裏付けるような作品でもあった。なんだろう、ただ過去作の美味しいところを寄せ集めただけの、言うなれば全方位中途半端なアルバムというか、単純にアルバムの核となる「コンセプト」の部分が脆弱的で、そういった「コンセプト」という点ではまだ『The Hunter』の方がトガッた作風だったと言える。それこそ、超絶テクいドラム叩きながら歌っちゃう俺かっけーみたいな、単にブラン・デイラーが自己主張し過ぎた結果とも言えなくもない。そのブラン・デイラーによるワンマンバンド化が著しく進行し、それにウンザリしたベスボのトロイ・サンダースとギタボのブレント・ハインズ、そしてリード・ギタリストのビル・ケリアーの3人は、それぞれ個々でサイドプロジェクトに手を伸ばし始め、終いにはフォロワーであり盟友のBaronessにまでブチ抜かれたマストドンは、いよいよバンド崩壊の前夜を漂わせていた。

それらのネガティブ要素が取り巻く今のマストドンが放つ、約三年ぶり通算7作目となる『Emperor of Sand』『砂の王』は、いわゆる「神がかり的」マストドンを象徴する歴史的名盤Crack the Skyeを手がけた名プロデューサーブレンダン・オブライエンとの再タッグが実現、彼と同じアトランタ出身のマストドンの相性は今作で更なる飛躍を遂げている。



今作は死刑を宣告された人が舞台となる神話をモチーフにしたコンセプトアルバムで、それこそPain of Salvationダニエル・ギルデンロウじゃあないが、『死』を宣告された人間の限られた時間と余命を『砂の王』という名の死神が独断でジャッジメント!する、そのコンセプティブな世界観を司るようなイントロで幕を開ける1stシングルの#1”Sultan's Curse”から、マストドンらしい怒涛の砂波が押し寄せるソリッドなキザミ系のヘヴィネス、トロイの獣性むき出しの遠吠え、ブレントの爺猫ボイス、そしてブランの歌によるトリプルボーカルの掛け合い、そして歴史的名盤『Crack the Skye』を彷彿とさせるキーボードがスペース/サイケデリックな世界観を構築し、まさしくそれは『高い砂の城の男』を築き上げるかの如しだ。開幕と同時にShow Yourself Show Yourselfとコマーシャルかつキャッチーに歌い上げるブランと「はざまけんじ」でお馴染みのビートルズの”Eleanor Rigby”のサビを彷彿とさせるトロイの歌メロでとことんキャッチーに展開する2ndシングルの#2”Show Yourself”、タンバリンを抱えながら疾走する#3”Precious Stones”、そして盟友Baroness”Shock Me”に対するからの答えの如しトロイのキャッチーなボーカル・メロディをフィーチャーしたサビをはじめ、オルタナ系のモダン・ヘヴィネスを通過した重厚なリフとキーボードのサイケデリックなアレンジで妖しさを醸し出す#4”Steambreather”まで、ここまでの序盤は比較的モダンなエッセンスを効かせた「いつものマストドン」と言った感じの、ツカミとしては決して悪くないシンプルかつキャッチーな流れで聴かせる。

しかし、今作のハイライトを飾る5曲目の”Roots Remain”では、妖しげにフェードインしてくるアコースティックなイントロから、重圧のようにのしかかるヘヴィなリフとオルタナ系のモダンなリフで骨太な地盤を組み立てながら、名盤『Crack the Skye』を象徴する名曲”The Czar”の続編あるいは延長線上にある深淵な世界へとトリップさせる、キーボードやトライアングルを駆使したサイケなサウンド・アプローチをもってプログレッシブに展開し、そして「DON is Back...」を高らかに宣言するブレントの超絶怒涛のGソロからアウトロのピアノまで、それこそ「神がかり的」な時代のマストドンにしか書けないような楽曲だ。

初期の頃を彷彿とさせる変拍子を交えたリフ回しと、トロイとブレントによる攻撃的なボーカルワーク、そしてけたたましく鳴り響くサビの轟音ヘヴィネスへと繋がる#6”Word to the Wise”、名盤『Crack the Skye』の系譜にあるキザミ系のリフとタンバリン主体で聴かせる#7”Ancient Kingdom”、3rdアルバム『Blood Mountain』”Circle of Cysquatch”をフラッシュバックさせる宇宙人ボイスとテレサ・テンばりの哀愁よろしゅうな間奏パートが目玉の#8”Clandestiny”、2ndアルバム『Leviathan』をフラッシュバックさせるスリリングなインストとブレント&トロイのハードコア然とした咆哮が炸裂する”Andromeda”、その猛烈な勢いのまま、最初期の頃の混沌蠢く破天荒かつカオティックなマストドンへと回帰した#10”Scorpion Breath”、そして約8分ある大作の#11”Jaguar God”では、シブいアコギのイントロから優美なピアノとA7X風のブレントのムーディな歌声で哀愁よろしゅうな幕開けを飾り、今度はギアチェンしてタイトなビートを刻むベースラインにブランの歌を乗せて進行し、再びギアチェンしてトロイの咆哮とスラッジーなリフで大胆不敵に展開し、トドメは2ndアルバム『Leviathan』の名曲”Megalodon”のスリリングな展開とリフのセルフオマージュをやってのけ、そのまま最後までテクニカルなリフの波状攻撃、そしてブレントによる名曲”The Czar”の血が通った泣きのGソロを最期に、『高い砂の城の男』である『砂の王』との契約により、マストドンは再びNWOAHMの頂点に君臨する。

あの名盤『Crack the Skye』というのは、鍵盤をフィーチャーしたスペース/サイケ・ロックにはなり切らない絶妙なサイケ風アレンジがキモであり、『Crack the Skye』を歴史的な名盤たらしめた最もたる要素、その所以でもあって、今作でも名曲”The Czar”の世界観を更に深く掘り下げるような鍵盤が全編にわたって鳴り響いている。とにかく、アルバム前半はバロにゃんことBaronessに「格の違い」を見せるけるようなバロにゃん煽りでキャッチーに展開し、しかしアルバム後半からは往年のマストドン、それこそ「神がかり的」だった頃=1stアルバム~4thアルバムまでのマストドン全盛をフラッシュバックさせるような、リフメーカーことビルの『Crack the Skye』直系のキザミ系のリフを筆頭に、2ndアルバム『Leviathan』や3rdアルバム『Blood Mountain』を連想させるテクニカルな怒涛のリフ攻め、最初期のスラッジ/ハードコア然とした獰猛なヘヴィネス、名曲”The Czar”をルーツとするブレントの超絶epicッ!!な泣きのGソロとトロイのハードコア然とした咆哮、そして何よりもタンバリンとトライアングルという最強装備を身につけたマストドンに敵なしだ。とにかく、3人のボーカル面とインスト面のガチっぷりは近作にはない、それこそ「神がかってた」時代の初期衝動が『砂の王』の力によって現代のマストドンに憑依したかのような、久々に年間BESTの可能性を大いに感じさせる怪作、というより「復活作」と表記した方が的確かもしれない一枚だ。

正直、全7曲の大作志向というガチなプログレやってた『Crack the Skye』とは打って変わって、今作は全11曲で曲尺も至って普通の長さで、となるともう聴く前からその内容が全く想像できなかった。しかし、久しぶりのコンセプト・アルバム、そして初めて過去作と同じプロデューサーを起用したことで危惧していた、いわゆる二番煎じに陥ることもなく、クラシック・ロックというよりはモダンな音を多用した実に現代的な『Crack the Skye』とでも言うんだろうか、とにかく彼らが求心(神)力を失った『The Hunter』のウェイ!系のパリピ感が完全に消え去ったことが何よりの進歩で、小細工なしの基本的なリフとメロディ、そして複雑な展開/構成力で聴かせる、言うなればオーガニックなマストドンに回帰したことが何よりも嬉しい。あと、やっぱりって事前にガッチリコンセプト決めて曲書いたほうがいいバンドだと再認識させられた。じゃなきゃこいつら5thや6thみたいに好き勝手やり過ぎるからなw
 
エンペラー・オブ・サンド
マストドン
ワーナーミュージック・ジャパン (2017-03-31)
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Vattnet Viskar 『Sky Swallower』 レビュー

Artist Vattnet Viskar
Vattnet Viskar

Album 『Sky Swallower』
Sky Swallower

Tracklist
01. New Alchemy
02. Fog Of Apathy
03. Monarch
05. Ascend
06. Mythos
07. As I Stared Into The Sky
08. Apex

【VV】・・・チェコの新星██████、またの名をnicも今年のポストブラック界隈では要注目のバンドだったが、USはニューハンプシャーにも、かの老舗レーベルCentury Mediaから1stフル『Sky Swallower』をリリースした、その名もVattnet Viskarという四人組が存在する。先に言っておくけど、映画のV for Vendettaでもサブカル御用達のVillage Vanguardでも、もちろんVやねん!でもないよ。ちなみに、今作のジャケはWhirrのシングル『June』を手がけた人らしいよ。

【持ち味】・・・その音楽性としては→初期のAltar of Plagues直系のATMS系ポストブラックや、NeurosisUlcerateを連想させる渦々しく蠢くスラッジーな轟音を織り交ぜた激動パートから、今はなきIsisや初~中期Cult of Lunaを連想させるポストロッキンな静寂パートへと、あくまでも自然な流れで緩やかかつ靭やかに交錯していく、いわゆる”ポスト”スタイルで、もはやこのVattnet Viskarの本質や曲作りに対する意識の比重は9割方静寂パートにあると断言できるほど、今はなきIsisなどの王道的ポストメタルがウリとしている”静と動”の対比およびコントラストを持ち味とした、一言でいえば意識の高いポストブラックをやってるんだ。

【意識の高い静寂パート】・・・彼らの”静寂”に対する異常なまでの執着心は、幕開けを飾る#1から顕著だ。再生すると同時に、雄々しい勇壮成分配合のトレモロンDと猛獣じみた凶悪な咆哮を乗せた粗暴なブラストで疾走し、そして全てをなぎ倒すようなスラッジーな轟音から、寂寥感を煽るポストロックライクな静寂パートへと移り変わっていく。この、まるでIsis顔負けの静から動へと美しく流れるようにスムーズな場面の切り替えから、彼らのATMS空間作りに対する意識の高さが伺えると同時に、このVVが決して並みのバンドじゃあないという事が理解できる。次の#2は、イントロからアンビエンス効果を加えたエモーショナルな静寂を生み出し、そして突如トレモロリフと共に凶暴な咆哮から、再び寂寥感を煽る儚いメロディが織りなす静寂パートへと交互に交錯していく。彼らの”持ち味”が冴えわたる#4は、中盤からのニューロシス直系のダーティな静寂パートから、突如破天荒な轟音をブッ放す混沌とした音塊に飲み込まれる。

【インストも聴きどころ】・・・今作では、#3,#5,#7に短いインストを挟んで作品に小気味よいメリハリを与えている。Jesu風の#3をはじめ、#5ではリバーブを効かせた儚くも美しいメロディを聴かせ、次のブラゲ然とした#6へと繋ぐ重要な架け橋となっている。そして、和楽器の琴を使った#7の聞き手の意表をつく和風な演出に、そこはかとないファッションセンスを感じさせながら、メロドゥーム風のメロディをフューチャーしたラストの#8を迎える。この曲はアウトロの荒涼としたアコギをはじめ、終始ドゥーミッシュな音の感触はUSBM界のレジェンドことAgallochさんを彷彿とさせる。

【俺は今、最高の静寂の中にいるんだ...】・・・要するに→Isisやニューロシスがブラックメタル化したのがこのVVで、ポストブラックというよりはATMSブラック寄りのスタイルだが、そのわりに存外シンプルに聴かせる。ヘタに10分を超えるような長尺曲がないのは、かの大手メタルレーベルCentury Media所属だからなのかと邪推。兎にも角にも、けたたましい轟音から限りなく無音に近い静寂の隙間に入り込む、いや溶け込む瞬間の意識の高さが異常なんで、一度だけでも聴いてみる価値はあります。

 
Sky Swallower
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Vattnet Viskar
Century Media (2013-09-03)
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Inter Arma 『Sky Burial』 レビュー

Artist Inter Arma
Inter Arma

Album 『Sky Burial』
Sky Burial

Track List
01. The Survival Fires
02. The Long Road Home (Iron Gate)
03. The Long Road Home
04. Destroyer
05. 'sblood
06. Westward
07. Love Absolute
08. Sky Burial

2006年にUSはバージニア州リッチモンドで結成された五人組、その名もInter Arma、かのRelapseからリリースされた2ndフル『Sky Burial』が、例えるならスラッジ化したPallbearerのような、70sプログレ/サイケ/ブラック/ポストロックがクロスオーヴァーした暗黒スラッジやってる件について。

 とりあえず、オープニングを飾る大作の”The Survival Fires”から、彼らInter Armaの全てを物語るかのような曲で、再生した瞬間からドス黒いスラッジーな轟音リフとブラック成分配合のキチガイじみた咆哮を乗せたブラストが、ただならぬ妖気および邪気を発しながら混沌としたカオス状態の中でエクストリーム合体し、中盤にはEarth風のポストロッキンな静寂パートすなわち緩急を織り交ぜながら、騒然たる無秩序な暗黒絵巻を描き出し、そして最後はポストメタル然とした重厚感のあるリフが全てをなぎ倒す、なんとも壮絶的な展開・・・これには「インテルアルマ入ってる!」としか言いようがなかった。その自己紹介という名の嵐が過ぎ去りし後の静けさの如し小洒落たアコギインストの#2”The Long Road Home (Iron Gate)”から、まるでKing CrimsonPink Floydを連想させる70sプログレ風のレトロなイントロで幕を開ける#3The Long Road Homeまでの組曲はハイライトで、もはや北風小僧の寒太郎ミュージックもしくはクリント・イーストウッド・ミュージックとでも呼んじゃいたいくらいの、まるで映画『荒野の七人』を音像化したような、荒涼感に溢れたダーティでシブいサザンロックを繰り広げている。特に、中盤の情緒的かつ叙情的な泣きのGソロから、突如「ビイヤアアアアアアアアアアア!!」とかいうクッソ可愛い奇声とともに、Deathspell Omegaばりにブラックメタル化する後半の展開は超絶epicッ!! そしてシングルカットされた#5は【初期マストドン×ブラックメタル】な感じのゴッリゴリなスラッジで、サイケデリックなアプローチを効かせながらニューロシス直系の暗黒ポストメタルリフが轟音の渦に引きずり込む#6、再び静けさと共に寂寥感を漂わせる幽玄なアコギインストの#7、そして”あのキザミ”を擁するプログ・メタル然とした多彩なリフ回しや破天荒な展開、実に大作らしいスケール感を発揮するタイトルトラックのSky Burialまで、全8曲トータル約68分。もはや当然のように【大作志向】が強く、終始ファッキンヘヴィ(くそ重い)リフに圧縮されそうな勢いの中で、ダーティなアコギを使った#2や#7の存在が、このクソ重い作品に絶妙なアクセントを加えている。

 そんなInter Armaをわかりやすく例えるなら→”ブラック””スラッジ”のいいとこ取り、言わば間の子的なブラッケンド・スラッジで、それこそピッチフォーク厨がドヤ顔で高得点を与えちゃいそうな、その手のアンダーグラウンドなスカしたヘヴィ・ミュージックが好きならドツボにハマること必須、少なくとも今年のスラッジ系ではマストな一枚。けどプログレ耳的には、やっぱキンクリっぽい#3MastodonもしくはAnciientsを連想させる#8が美味しかったりする。
 
Sky Burial
Sky Burial
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Inter Arma
Relapse (2013-03-14)
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KYLESA 『Ultraviolet』 レビュー

Artist KYLESA
KYLESA

Album 『Ultraviolet』
Ultraviolet

Track List
01. Exhale
03. Grounded
05. Long Gone
06. What Does It Take
07. Steady Breakdown
08. Low Tide
10. Quicksand
11. Drifting

USはジョージア州サバンナ出身の五人組、KYLESAの約三年ぶり通算六作目『Ultraviolet』なんだけど、世界中にその名を轟かせた2009年作の歴史的名盤Static Tensionsでの【暗黒ドロドロヘヴィサイケ】とは一転して、その翌年にリリースされた5thSpiral Shadowでは【ストーナー/サイケ】一辺倒のモダンな方向性へと歩み寄り、徐々に音楽性の広がりを見せ始めた彼らだが、それらを踏まえての本作『Ultraviolet』はというと、とりあえずオープニングを飾る#1”Exhale”の冒頭から怒涛に押し寄せる【4th回帰】風のヘドロドロドロな轟音ヘヴィネス、ラウラ姐さんとフィリップによる野性に帰るかのようなツイン咆哮、そしてexperimentalなメロディと前作譲りのマジックマッシュルーム風味のサイケ成分がクロスオーヴァーした、これぞまさしく「俺たちのKylesaが帰ってきたー!」と聴き手を納得させる楽曲から、その#1よりも更にディープなサイケ・ロックを繰り広げる#2”Unspoken”、そして70sサイケ・ミュージックリスペクトな#3”Grounded”までの流れを耳にすれば分かるように、確かに名盤4thに回帰してる面もあるっちゃあるんだけども、しかしあくまでも今作の意識はソッチ=5th側にあって、つまり前作のサイケ路線を更に深く煙たく陰鬱に追求した結果→まさしくジャケのカブトムシ的なナニかを細かくすり潰してスッってトリップしてアヘ顔ラリピーな一枚となっている。なんつーか、KYLESAにしては珍しくポストロッキンなアプローチを見せる#7”Steady Breakdown”やポストメタル風のアレンジを効かせたKeyの心地良い音にトリップできるラストの#11”Drifting”なんかを聴いてると、新作を控えたTrue WidowBlack Math Horseman、そしてBlood CeremonyThe Devil's Bloodらを連想させる、今流行の女性Vo系トラディショナル・ドゥーム/癒し系サイケ・ロック的な言わば”クラシック”な意識を高めた印象を強く受ける。極端な話、今回は#8を筆頭にシューゲ色の強い作風というか、それこそ”ステレオガム厨”がBESTに挙げそうな作風ではある。当然、そこには初期の面影や獣性むき出しのハードコア魂は皆無だし、必然的に持ち前のツインドラムの有り難みというのも少なくなってしまう。が、それがまた特異なグルーヴ/トリップ感を生み出し、結果的に今作の味わい深さに繋がっている。その音の深みは過去最高か。

 本作における新アー写を見てもお察しのとおり、もはや【Kylesa=ラウラ姐さんのバンド】という認識で、どうぞ的なナニがあるわけだ。いや、名盤4thからスデにその気配はあったし、前作で更にそれが本格化し、そして遂に本作で完全にラリラリパッパBBA状態と化したラウラ姐さん。そのハッパ臭い姐さんに対して「おーい、ラウラこっちに戻ってこーい」と微笑むための作品がコレです。そして姐さんに「うっせー、このクソDT野郎が」とか言われながらボコボコに殴られてまたアヘ顔、みたいな作品。はい。そんなわけで、なんだかんだ言うても、即効性というのはないけど後からジワジワくる中毒性の高い作品なのは間違いないです。じゃ、みんなもコレ聴いて一緒にトリップして、どうぞ。
 
Ultraviolet
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Season of Mist (2013-05-23)
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Entropia 『Vesper』 レビュー

Artist Entropia
Entropia

Album 『Vesper』
Vesper

Track List
01. Dante
02. Gauss
03. Pascal
04. Vesper
05. Tesla
06. Marat 

ポーランドはドルヌィ・シロンスク出身の五人組、その名もEntropiaの1stフル『Vesper』が、【ポストロック/ポストメタル/スラッジ】成分配合のプログレッシブなポストブラックやってて地味にツボな件。で、いわゆるこの手の【ATMS】系ポストブラ/ブラゲとは少し毛色が違って、なんつーか、いかにも”ポーランドらしい”としか言いようがないオルタナ的センスというか、プログラミングやkey/シンセなどの内省的で幽玄なメロディやスラッジーな暗黒ヘヴィネスを擁しながら、扇情的かつ大胆不敵そしてドラマティックな展開を見せるエクストリームなスタイルで、特に#3”Pascal”や#4”Vesper”ではそのポストメタル/ポストロックからの影響を強く感じさせる。それにしても、デビュー作にしてはヤケに重厚な音質および曲の完成度してんなぁと思ったら、どうやら本作のレコーディング・エンジニアには本国の重鎮BehemothBlindeadそしてObscure Sphinxとの仕事で知られるKuba Mańkowski氏が関わってるらしい。なるほど、どーりでスゲーわけだ。しかもあの帝王Altar of Plaguesともスデに対バン済みってのもなかなか面白い。もはやデビュー作にして最高傑作と呼びたいぐらいの完成度。とりあえずポストブラ好きなら聴いて損はないハズ。さすがポリッシュ勢、侮りがたし。
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