Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

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キテる

Fallujah ‎『Dreamless』

Artist Fallujah
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Album 『Dreamless』
fallujahdreamlesscd

Tracklist
01. Face Of Death
02. Adrenaline
03. The Void Alone
05. Scar Queen
06. Dreamless
07. The Prodigal Son
08. Amber Gaze
09. Fidelio
10. Wind For Wings
11. Les Silences
12. Lacuna

BAND-MAIDの一体ナニが凄いって、その「こいつらただのメイドじゃない。こいつ怖い。こいつ危ない。」と確信づけるような、メジャー1stフルアルバムJust Bring Itの幕開けを飾るDon't you tell ME歌波のカナミョ~~~ンとした泣きのギターソロを耳にした時に、まず最初にOpethのフロントマンミカエル・オーカーフェルトが脳裏に過ぎったのと、でもそのギターソロの導入部のATMSチックな空間表現的な部分からもう一つ別のバンドが頭を過ぎったのも事実で、それというのも、このFallujahとかいうサンフランシスコ出身のテクデスバンドのギタリストスコット・カーステアーズも、2ndアルバム天使と悪魔の中でミカエル・オーカーフェルト顔負けの流麗なギタープレイを披露していて、つまり先ほどのDon't you tell MEのギターソロを聴いて脳裏にフラッシュバックしたもう一つのバンド、もう一人のギタリスト、その正体こそFallujahスコット・カーステアーズだったのだ。
 


要するに、BAND-MAID歌波もこのFallujahスコットも、そしてOpethミカエル・オーカーフェルトも尊敬してやまないカルロス・サンタナスティーヴ・ヴァイをはじめ、数々の伝説的な名ギタリストを”ルーツ”とする泣き系およびピロピロ系のギタープレイを特徴とする、その三者を結ぶ大きな共通点があって、もっと面白いのは、歌波がリスペクトするカルロス・サンタナミカエル・オーカーフェルトPRSのシグネイチャー・モデルを発表するくらいPRSを溺愛していて、そして遂に歌波も今年に入ってからPRSを愛用するようになったのだ(なお、スコットKiesel Guitarsの模様)。

「BAND-MAIDにおける歌波」「Opethにおけるミカエル」と同じく、【コンポーザー】【リズム・ギタリスト】【リード・ギタリスト】をマルチにこなすプレイスタイルなので、その歌波がこれからメジャーでやっていくにあたって比較的万能とされるPRSを使い始めるのはもはや必然と言えるし、その相性は今年発表されたJust Bring Itを聴けば一目瞭然だ。これってつまり、バンメが海外フェスでミカエル・オーカーフェルトOpethと共演するフラグであると同時に、バンメの次作で歌波がアコギ鳴らし始めるフラグでもある。だから、BAND-MAIDのメンバーで一番凄いのって普通に歌波だと思う(なんの話だ)。どうでもいいけど、この写真に使われてる画像がどう見てもミカエルじゃなくてフレドリックなのがクソ笑える。パチモン疑われてもしょうがないレベルw

その数々の伝説的なギターヒーローを”ルーツ”とするスコット・カーステアーズの空前絶後の超絶怒涛のギタープレイが、メタル最大手レーベルのNuclear Blastに見出されたスコット率いるFallujahは、このたび約二年ぶりとなる3rdアルバムの『Dreamless』をリリースした。まず前作の天使と悪魔は、テクデス然としたブルータルな暴虐性とスコットの流麗かつ妖艶なギタープレイと女性ボーカルを擁する美メロが絶妙なバランスで噛み合った傑作だったが、今作も前作同様、相変わらずスコットの華麗なるギタープレイを全面にフィーチャーした、それこそ持ち前の美メロ(天使)とデス(悪魔)が融合したハイブリットなテクデスと言いたいところだが、というよりも、その天使顔負けのスピリチュアルな神秘性を内包した、Tori LetzlerKatie Thompsonという二人の女性ボーカルを中心に、ANATHEMAもビックリの打ち込みやアトモスフェリックな空間表現をフィーチャーした美メロ方面に振り切った、あくまでもメロディ重視のアンビエント・メタル的な作風で、初期と比較するとデス・メタル的な要素はもはや限りなく希薄だ。バンドのウリだった天使と悪魔のバランス感覚は、傑作だった前作には遠く及ばないかもしれないが、その代わりにメタル最大手のNuclear Blastに移籍して、半ば強制的に要求される(た)メジャー感とでも言うのか、とにかく洗練された雰囲気は凄いある。
 

超絶怒涛の宇宙スケールの幕開けを飾るオープニング曲の”Face Of Death”、そして2曲目の”Adrenaline”では、スコット・カーステアーズのカナミョ~ンギターをリードに、テクデスラッシュ然としたブルータルな展開からアンビエント感マシマシになるオシャンティなアウトロまで、全ての面で前作からの着実な深化を伺わせる。そのメロウなムードを引き継いで、ポストロック的な美メロと女性ボーカル陣のウィスパーボイスを前面に押し出した#3”The Void Alone”と#4”Abandon”Misery Signalsっぽい叙情派ハードコアの#5”Scar Queen”、そして超絶怒涛のスピリチュアルなイントロからスコットの超絶怒涛のソロワークが炸裂する表題曲の#6”Dreamless”を聴けば、本作がいかに「メロディ派」をガッツポーズさせるために作られたアルバムなのかを理解できるハズだ。それ以降も、スコットの超絶怒涛のギタープレイが堪能できる#8”Amber Gaze”、もはや完全に最初期のWhirrみたいなアンビエント/シューゲイザー曲の#9”Fidelio”ex-インターバルス!マイク・セメスキーがゲスト参加した#10”Wind For Wings”、そしてスウェーデンのCarbon Based LifeformsANATHEMA”Distant Satellites”ばりに超絶怒涛の打ち込みソングの#11”Les Silences”は、まぎれもなく今作を象徴する一曲と言える。ちなみに、表題曲にはex-Cynicシモンがゲスト参加。

今の、いわゆるATMS界隈の頂点に君臨してるのって、他ならぬハンス・ジマーであり『Interstellar B.S.O.』だと思うのだけど、最近ではDjent界隈の四次元立方体ことTesseractハンス・ジマーという五次元空間に挑んだPolarisなる作品をドロップしたことが記憶に新しい。その同じ若手に負けじと、このATMS界隈の次世代を担う期待の新生Fallujahも、今作でATMS界の幹部で知られるANATHEMAに殴り込みをかけている。まさにATMS新時代の幕開けだ。あっ、ちなみに、BAND-MAID当て振り鳩女こと小鳩ミクちゃんのギターはかのZEMAITISで、それこそ「アテフリ」するにはモッテコイのギターですw
 
Dreamless
Dreamless
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Fallujah
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Animals as Leaders 『The Madness of Many』

Artist Animals as Leaders
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Album 『The Madness of Many』
animalsasleadersmadnesscd

Tracklist

02. Ectogenesis
03. Cognitive Contortions
04. Inner Assassins
05. Private Visions Of The World
06. Backpfeifengesicht
07. Transcentience
08. The Glass Bridge
10. Aepirophobia

昨今の洗脳ブームの火付け役といえば、M A S A Y Aに洗脳されたX JAPANToshiこと出山ホームオブハート利三だが、最近では朝ドラ女優の能年玲奈が生ゴミおばさんこと女版M A S A Y Aに洗脳されて「のホームオブハートん」に改名した事が記憶に新しい。その能年玲奈「のホームオブハートん」に改名したことで、能年玲奈と今や世界的なギタリストとなったトシン・アバシのジェントユニット「あにまるず・あず・りーだーずっ!」はコンビ解消を余儀なくされ、その傷心した想いをアルバムに込めたと語る、トシン・アバシ率いるAnimals as Leadersの通算4作目となる『The Madness of Many』は、「生身の人間は裏切る!二次元なら・・・いや、AI(アンドロイド)なら僕を裏切らない!」という、数理物理学を極めすぎて頭がおかしくなった天才物理学者の歪んだ愛情と苦悩が、まるで古代エジプトの迷宮の如し複雑怪奇に描かれている。

その天才物理学者の「数字恐怖症」が臨界点に達する時、出口のない迷宮の入り口が開かれる#1Arithmophobia、今度は8bit系レトロゲームみたいな電脳世界へと誘うミニマルなエレクトロニカがヒトの脳幹部に侵入し、そこから身体の神経回路へと、そしてヒトの遺伝子情報を書き換えていく、それこそ「遺伝子組み換え音楽」としか例えようがない#2”Ectogenesis”、更に深いところでスピリチュアルな電脳世界を構築していく#3”Cognitive Contortions”、前作The Joy of Motion”Ka$cade”をPost-Djent化したような#4”Inner Assassins”、気分を一転して西海岸系の爽やかでオシャンティなギター・メロディの中にMeshuggahGojiraばりの鬼グルーヴ/モダン・ヘヴィネスを織り込んだ#5”Private Visions of the World”、基本的なジェント・リフとモダン・ヘヴィネス、エレクトロニカとアトモスフェリックなATMSフィールドを駆使して目まぐるしくスリリングに展開する#6”Backpfeifengesicht”、前半プログレ・メタルっぽくて後半ジャズっぽくオシャンティに展開する#7”Transcentience”トシン・アバシの流麗なソロワークが際立つ#8”The Glass Bridge”、アコギの流麗なメロディをフィーチャーした#9The Brain Dance、この出口のない迷宮の中で深層心理を操られ記憶も遺伝子も書き換えられた天才物理学者は、「この世界はループループしているのか?」という宇宙の真理にたどり着き、絶望した彼は「無限恐怖症」へと陥り、そしてゴールド・エクスペリエンス・レクイエムのスタンド攻撃を喰らって「終わりがないのが終わり」と悟り精神崩壊してしまう最後の”Aepirophobia”まで、まるでヒト=ニンゲンがAIチップならぬ音チップを脳に埋め込まれ、ヒトからアンドロイドへと変わっていく様を精密機器の如く繊細緻密に描き出していく、それこそ人工知能の脅威をリアルに描いたアリシア・ヴィキャンデルちゃん主演の傑作SF映画『エクス・マキナ』を彷彿とさせる、人工知能の発達によりニンゲン社会が徐々に侵食され、徐々に歪んでいく一種の恐怖映像を見せられているかのよう。

AALって、奇数ナンバリングの比較的わかりやすい(わかるとは言ってない)プログ・メタル/ジェント主体のパワー系路線と2ndアルバムWeightlessみたいな難解至極なインテリキチガイ系路線に分類できるのだけど、偶数ナンバリングとなる本作は、2ndアルバムのPost-Djentならぬソフト-ジェント路線を素直にアップデイトさせた作風で、エレクトロ志向が更に強まった事で俄然ゲーム音楽っぽくなってる。コンセプティブなギミック面とジェント/モダン・ヘヴィネス成分のバランスとまとまりが良くて、ハッキリ言って2ndよりも格段に完成度が高いです。とにかく、某都市伝説芸人が「信じるか信じないかはあなた次第です」とか言いながら聴いてそうな音楽ですw
 
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Periphery 『Periphery III: Select Difficulty』

Artist Periphery
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Album 『Periphery III: Select Difficulty』
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Tracklist

01. The Price is Wrong
02. Motormouth
03. Marigold
04. The Way The News Goes…
05. Remain Indoors
06. Habitual Line-Stepper
07. Flatline
08. Absolomb
09. Catch Fire
10. Prayer Position
11. Lune
 
21世紀のメタルシーンに突如として現れた「Djent」とかいう新興界隈にも「変化」が訪れつつある。このPeripheryは、Djent界の第一人者で知られる”Bulb”ことミーシャ・マンソー率いる6人組で、彼らは2010年にセルフタイトルのPeripheryで颯爽とメタルシーンに登場すると、その緻密に構成されたテクニカルでメカニカルな、インテリジェンスに溢れた近未来型のメタル・サウンドで、それこそ今までになかった「メタルの新しい形」をシーンに提示し、瞬く間に「テクニカルなメタル」が好きなオタクを中心に多くの支持を集めることに成功し、そして今に至る。

このPeripheryもその音楽性から垣間見れるように相当頭のいいスマートなバンドで、というより、自分たちが置かれた立場とDjent界の第一人者としての役割というのをよく理解していて、2012年作の2ndアルバムPeriphery IIでは「ジェントってなんぞ?」ってなってる、イマイチDjentのことをよく理解していない、主にDream Theaterが好きな老害プログレ・メタラーに擦り寄ったかと思えば、ポケモンシリーズをオマージュした2015年作のダブルアルバムJuggernaut: Omega&Alphaでは、Djentの可能性を広げるエモキッズ向けのポストハードコア然とした作風で、 今度はオッサンから一転してティーンエージャーに擦り寄った作品を発表した。そして、再びバンド名を冠した本作の『Periphery III: Select Difficulty』は、その2ndアルバムとダブルアルバムで釣り上げた、1stアルバムの『Periphery』を知らないオッサンとキッズをドン引きさせると同時に、2ndとダブルアルバムで(ジェントとかいうジャンルに)馴れさせたオッサン&キッズに、何度目の正直じゃあないが、あらためてDjentの素晴らしさを知らしめるかのような作品となっている。

その老害プログレ親父やエモキッズにDjentたるやをガツンと叩き込むかの如し、幕開けを飾る#1”The Price Is Wrong”から、1stアルバム『Periphery』をよりゴリゴリかつアグレッシヴかつカオティックにアップデイトしたエクストリーム・ジェントとフロントマンのスペンサー・ソテロのキレッキレなブチギレボイスが、「これがジェントや」と言わんばかり、それこそジェント・リーばりの百烈拳を叩き込むかのような曲で、これにて『Periphery』のカムバックを堂々宣言する。引き続きジェント・リーの激しい攻撃で畳みかける#2”Motormouth”、前作のダブルアルバムを彷彿とさせるキャッチーなメロディ重視の曲かと思いきや、中盤以降は壮大なクワイヤやストリングスを織り交ぜつつ、アウトロでは「宇宙すごい」としか言いようがないUneven Structureばりの超宇宙空間を形成し始める#3”Marigold”、一転してイントロからフュージョンチックな雰囲気でオシャンティでムーディに聴かせながら、ブラストで突っ走りながらスペンサーがメロディックに歌い上げるサビへと怒涛の展開を見せる#4”The Way The News Goes...”、ゲーム音楽的なピコピコアレンジがもはや狂気的なナニかにしか聞こえない#5”Remain Indoors”、2ndアルバムのストリングスをより上品に完成させたのが#6”Habitual Line-Stepper”、前作のダブルアルバムで培ったスペンサーのエモキッズ歓喜なボーカルが冴え渡る#7”Flatline”、アルバムのハイライトを飾る#8”Absolomb”、一転してメロウに聴かせる#9”Catch Fire”、映画『セッション』のフレッチャー先生が「これがジェントのファッキン・テテテテンポだ!」とキッズに説教するかのような#10”Prayer Postion”、そしてクライマックスを飾るは#11”Lune”で、ANATHEMA”Distant Satellites”ばりの壮麗優美なオーケストラとグルーヴィなドラミングが、超絶スケールの宇宙を描きながらアツいビートを刻んでいく。

セルフタイトルを冠した1stアルバムの近未来型ジェントと2ndアルバムのDTリスペクトな王道プログレ・メタルとダブルアルバムのエモ/ポップなそれぞれの要素をエクストリーム合体させたような、とにかく2ndアルバムとダブルアルバムという異種目の界隈で培った経験が揺るぎない糧となって本作に現れている。勿論、ジェント・リーの部分だけじゃなくて、スペンサーのボーカル面をはじめ、イントロやアウトロでのストリングスを擁したギミックも2ndアルバムを俄然スケールアップさせた感じで、要するにバンドの集大成的なアルバムと呼べるし、これはもう最高傑作と言っても過言じゃあない。

彼らと並んでDjent界を代表するUKのTesseracTは、ご存じスティーヴン・ウィルソンが取り仕切るPost-Progressive/Kscope界隈の方面へと向かい、一方で一躍世界的なギタリストとなったトシン・アバシ率いるAnimals As Leadersトシンの独自路線というかアンタッチャブルな存在だし、となると、このDjentとかいうジャンルを大衆音楽すなわちメインストリームへと押し上げるため、その布教活動をたった一人で恥を忍んで孤軍奮闘してきた張本人がこのPeripheryだ。彼らはそうして、2ndアルバムと前作のダブルアルバムでプログレ親父とエモキッズに「ジェントとはナニか」を上から目線で優しく説き伏せてあげたつもりだったが、実はそれはむしろ逆で、むしろ逆に彼ら自身がプログレ親父とエモキッズから様々なことを学び、そこで学んだアイデアを吸収して今のPeripheryがあるのだと、そう「気づかされた」一枚でもある。正直、ここまで聴いてて素直に気持ちがいいド直球のジェントは久々かもしれない。最も重要なのは、それをやったのが他ならぬ界隈を最前で牽引してきたペリフェリーってのが何よりも嬉しい。これは、「やるべき奴らがやった結果」です。
 
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Deftones 『Gore』

Artist Deftones
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Album 『Gore』
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Tracklist
01. Prayers/Triangles
02. Acid Hologram
03. Doomed User
04. Geometric Headdress
05. Hearts and Wires
06. Pittura Infamante
07. Xenon
08. (L)MIRL
09. Gore
10. Phantom Bride
11. Rubicon

欧州最大の怪獣であり、現在エクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するGojira『MAGMA』は、Lamb of GodMastodonをはじめとした、いわゆる「アメリカのメタル」を喰らい尽くした末、遂に『シン・ゴジラ』へと突然変異を遂げた。そのゴジラが喰らった「アメリカのメタル」の中には、90年代から現代アメリカのモダン・ヘヴィネス界隈の繁栄に大きく貢献してきた「デブ豚」ことDeftonesの姿があった事を、あの日の僕達はまだ知らない。

デブ豚がアメリカの現代ヘヴィネスを更新し続ける一方で、遠い北欧スウェーデンの魔神Meshuggahが独自の解釈で新時代のモダン・ヘヴィネスを創り上げ、そして遂にDjentとかいうメタルの新しいサブジャンルが確立、辺境界隈の中で小規模ながらも爆発的なムーブメントを起こしていた。そのシーンの変化に危機感を覚えたデブ豚は、「アメリカのメタル」を代表してメシュガーへの回答として、ベーシストチ・チェンの悲劇を乗り越えた末に誕生した6thアルバムのDiamond Eyesをドロップした。その二年後、デブ豚は7thアルバムの『恋の予感』とかいう謎アルバムをリリースする。今作の『Gore』は、その前作から約4年ぶりとなるフルアルバムだ。



幕開けを飾る#1”Prayers / Triangles”からして、前作の恋の予感を踏襲した「男のフェミニズム」全開の色気ムンムンなシンプルなロックナンバーで、しかしかき鳴らし系のギターや全体的な音使いは、ダイヤモンドのように硬いガッチガチなヘヴィネスを鳴らした過去二作と比べると軽めだ。 一転して『Diamond Eyes』を彷彿とさせるスラッジーな轟音ヘヴィネスやGojira顔負けのクジラのように「キュルルゥゥ!!」と鳴くギターをフューチャーした#2”Acid Hologram”、今度はMastodon顔負けの動きがアクティブなリフ回しを披露したかと思えば、転調してプログレッシブなアプローチを垣間見せる#3”Doomed User”、Post-Djentなリズムで攻める#4”Geometric Headdress”、正直ここまでは現代ヘヴィネス勢の影響を感じさせる曲が続く印象で、過去二作と比べても存外アッサリした感じ。 某”U, U, D, D, L, R, L, R, A, B, Select, Start”のポストロック系譜にある、ここにきてようやくデブ豚らしいセンセーショナルなメロディセンスを発揮する#5”Hearts / Wires”だが、しかし如何せんイントロがクライマックス感は否めない。

中盤もパッとしない、そんな中で今作が如何にイマドキのモダン・ヘヴィネスから影響を受けているのかを証明するのが、他ならぬ表題曲の#9”Gore”で、この曲ではDjent然とした軽快なグルーヴを存分に取り入れている。シューゲイザーかじってた5thアルバム『Saturday Night Wrist』の頃を彷彿とさせる曲構成と、これまでセンセーショナルな感情を押し殺していたチノがここにきてようやく本気を出し始める#10”Phantom Bride”、そしてDIR EN GREYが大喜びしそうな音響アレンジが際立ったラストの#11”Rubicon”まで、中盤までの曲と違って終盤の三曲は明らかに本気度というか、気の入りようが違う。つうか、本気出すのおせぇ・・・。

基本的なバンドの音使い自体は近年のデブ豚を踏襲つつも、曲の雰囲気的には5thアルバム『Saturday Night Wrist』への回帰を予感させる、つまり脱力感のある”Alternative”なロックへの回帰を予感させるノリというか、過去二作にあった張り詰めたような独特の緊張感みたいなのは薄くなって、良くも悪くも聴きやすくはなった。これは別に過去二作と比べて地味だとか、手抜きだとか決してそういうわけじゃあないが、しかしどこか徹底したナニかに欠けて聴こえてしまうのも事実。例えば『Diamond Eyes』のように 徹底してゴリゴリのモダン・ヘヴィネス貫くわけでもなし、前作のように『恋の予感...!』不可避なエッチなフェロモンを色気ムンムンに醸し出すわけでもなく、となると今作の『Gore』にはどこか一貫した”コア”の部分がゴッソリと抜け落ちている気がしてならない。それはフロントマンチノ・モレノの歌メロを筆頭に、アレンジ含むメロディや肝心のリフに関しても、極端に突出しないどっちつかずな、悪く言えば中途半端な、良く言えば変に取り繕ってない自然体で素直な”Alternative”やってた本来のデブ豚への回帰、いわゆるシューゲイザーかじった掻き鳴らし系ロックバンドへの回帰と捉えることも出来なくもない。一貫した”ナニか”がない分、逆に アレンジやリフの種類が豊富に楽しめる利点もあるし、完成度という点ではそこまで過去作に引けを取っているわけではない。例えるなら、『Diamond Eyes』が脂ギットギトの豚骨ラーメンだとすると、今作は脂控えめなアッサリ系の豚骨ラーメンみたいな。

ゴジラの『MAGMA』もそうだったけど、今作はそのゴジラや「アメリカのメタル」の象徴であるマストドンをはじめ、現代モダン・ヘヴィネスの最先端であるDjentからの影響が著しい作品でもあって、そういった側面から分析すると、この『Gore』はかなりパンピーやキッズ向けのアルバムと言えるのかもしれない。当然、それはイマドキのモダン・ヘヴィネスをベテランなりに解釈した結果でもあるし、常に「最先端の音楽」を臆せず自分たちの音楽に取り入れてきた、実にデブ豚らしい好奇心旺盛な作品でもある。しかしそれ故に、精神面での弱さが目立つというか、これまでのメンタルエグってくるような音のギミックは稀少。ウリである「存在の耐えられないエモさ」ではなく「存在の耐えられない(音の)軽さ」、むしろデブ豚がカモメのように空を飛べるくらいの「軽さ」がキモになっている。フアンの中には、四年かけてこの内容は正直キツいと難色を示す人も少なからず居るはず。しかしこれだけは言えるのは、過去二作の中ではDIR EN GREYが一番のオキニにしそうなアルバムだということ。あとやっぱ丼スゲーなみたいな話。

Gore
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Julianna Barwick 『Will』

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Tracklist
01. St. Apolonia
02. Nebula
03. Bleached
04. Same
05. Wist
06. Big Hollow
07. Heading Home
08. Someway
09. See, Know

USのシンガー・ソングライター事情っていうと・・・実はよく知らないんだが、しかし2011年にデビュー・アルバムのThe Magic Placeをリリースし、「ここまで環境音と一体化した歌声が未だかつて存在しただろうか」あるいは「ここまでネロとパトラッシュの最期の教会で流れてそうな音楽があっただろうか」と、たちまちSSWシーンの間で話題を呼び、昨年には初の来日公演を果たした「21世紀のエンヤ」ことJulianna Barwickの3rdアルバム『Will』

かのDead Oceansからリリースされた前作の2ndアルバム『Nepenthe』では、ビョークやSigur Rosなどのアイスランド界隈でお馴染みのエンジニアBirgir Jón Birgissonとタッグを組み、同時に「ヨンシー親衛隊」で知られるストリングス・カルテットのAmiinaを迎え入れた結果、晴れて「女版シガーロス」の称号を得ることに成功した彼女。しかし今作の『Will』は、1stアルバムの「神々しい世界観」と2ndアルバムで培った「攻めの姿勢」を踏襲しつつも、新境地とも取れる現代的あるいは人間的な要素をはじめ、いつにもなく「楽器」が奏でる音色をフューチャーした作品となっている。
 


それこそ坂本教授こと坂本龍一が手がけた、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『レヴェナント』のサントラを彷彿とさせる、崇高な慈悲に導かれるようなストリングスとジュリアナの天使の囁きの如し聖なるゴッドボイスが、不条理なこの世界を『清らか』に浄化していくオープニング曲の#1”St. Apolonia”、スウェーデンのCarbon Based LifeformsやUSのHammockを連想させる、ミニマル・アンビエントなエレクトロ要素と深海を彷徨うかのようなジュリアナの歌声が織りなす神秘的なATMSフィールドに溺れる#2”Nebula”、今度はその深海の底から響き渡るようなピアノとストリングスがジュリアナのゴッド・ブレスを優しく包み込むように交錯する#3”Beached”、80年代風のシンセをバックにカナダ出身のMas Ysaなる男性ボーカルとフィーチャリングした#4”Same”、再び半透明に澄んだ青い海を美しく遊泳する人魚に擬態させる#5”Wist”、儚くも美しいピアノの旋律に涙する#6”Big Hollow”ANATHEMAFalling Deeperを彷彿とさせるストリングスとピアノが青く澄んだ海中から太陽を見上げるかのような#7”Heading Home”、そしてラストを飾る#9”See, Know”では、まるでチャーチズの新曲かと勘違いするほどミニマルなエレクトロが、未だかつてないほどノリノリなジュリアナの新境地を垣間見せる。
 

今作では、相変わらずアンビエント的な音響空間を軸にした作品でもあるが、それ以上にピアノやストリングスをはじめ、いわゆる人間界の「楽器」という名の道具を積極的に取り入れたことで、イマドキのSSWに大きく歩み寄ったかと思いきや、しかしこのアルバムでもジュリアナは「シンガー」として「歌う」ことを断固として拒否し、あくまでも各楽器が奏でる音色と波長を合わせるように、言霊という名の音霊の一部として存在している。そのモダンな電子音やピアノを駆使した音像は、これまでの『地上』あるいは『天国』の眩いくらいに神々しい音楽というよりも、それこそ深海の神秘に触れているかのような、あるいは日が昇る前の朝焼けや青く澄んだ海をイメージさせる、そこはかとなく”ドープ”な世界観を構築していく。

前作の”One Half”「ほぼ歌イ(キ)かけた」彼女だが、そのリベンジとなる今回の【絶対に歌わせるマン】VS.【絶対に歌わないジュリアナ】のポコタテ対決はジュリアナの勝利で幕を閉じた・・・(完)
 
Will
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Julianna Barwick
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