Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

US

Deftones 『Gore』

Artist Deftones
new_dbbff5b063bd43e7b8e239e3a8bd7974

Album 『Gore』
jpeg

Tracklist
01. Prayers/Triangles
02. Acid Hologram
03. Doomed User
04. Geometric Headdress
05. Hearts and Wires
06. Pittura Infamante
07. Xenon
08. (L)MIRL
09. Gore
10. Phantom Bride
11. Rubicon

欧州最大の怪獣であり、現在エクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するGojira『MAGMA』は、Lamb of GodMastodonをはじめとした、いわゆる「アメリカのメタル」を喰らい尽くした末、遂に『シン・ゴジラ』へと突然変異を遂げた。そのゴジラが喰らった「アメリカのメタル」の中には、90年代から現代アメリカのモダン・ヘヴィネス界隈の繁栄に大きく貢献してきた「デブ豚」ことDeftonesの姿があった事を、あの日の僕達はまだ知らない。

デブ豚がアメリカの現代ヘヴィネスを更新し続ける一方で、遠い北欧スウェーデンの魔神Meshuggahが独自の解釈で新時代のモダン・ヘヴィネスを創り上げ、そして遂にDjentとかいうメタルの新しいサブジャンルが確立、辺境界隈の中で小規模ながらも爆発的なムーブメントを起こしていた。そのシーンの変化に危機感を覚えたデブ豚は、「アメリカのメタル」を代表してメシュガーへの回答として、ベーシストチ・チェンの悲劇を乗り越えた末に誕生した6thアルバムのDiamond Eyesをドロップした。その二年後、デブ豚は7thアルバムの『恋の予感』とかいう謎アルバムをリリースする。今作の『Gore』は、その前作から約4年ぶりとなるフルアルバムだ。



幕開けを飾る#1”Prayers / Triangles”からして、前作の恋の予感を踏襲した「男のフェミニズム」全開の色気ムンムンなシンプルなロックナンバーで、しかしかき鳴らし系のギターや全体的な音使いは、ダイヤモンドのように硬いガッチガチなヘヴィネスを鳴らした過去二作と比べると軽めだ。 一転して『Diamond Eyes』を彷彿とさせるスラッジーな轟音ヘヴィネスやGojira顔負けのクジラのように「キュルルゥゥ!!」と鳴くギターをフューチャーした#2”Acid Hologram”、今度はMastodon顔負けの動きがアクティブなリフ回しを披露したかと思えば、転調してプログレッシブなアプローチを垣間見せる#3”Doomed User”、Post-Djentなリズムで攻める#4”Geometric Headdress”、正直ここまでは現代ヘヴィネス勢の影響を感じさせる曲が続く印象で、過去二作と比べても存外アッサリした感じ。 某”U, U, D, D, L, R, L, R, A, B, Select, Start”のポストロック系譜にある、ここにきてようやくデブ豚らしいセンセーショナルなメロディセンスを発揮する#5”Hearts / Wires”だが、しかし如何せんイントロがクライマックス感は否めない。

中盤もパッとしない、そんな中で今作が如何にイマドキのモダン・ヘヴィネスから影響を受けているのかを証明するのが、他ならぬ表題曲の#9”Gore”で、この曲ではDjent然とした軽快なグルーヴを存分に取り入れている。シューゲイザーかじってた5thアルバム『Saturday Night Wrist』の頃を彷彿とさせる曲構成と、これまでセンセーショナルな感情を押し殺していたチノがここにきてようやく本気を出し始める#10”Phantom Bride”、そしてDIR EN GREYが大喜びしそうな音響アレンジが際立ったラストの#11”Rubicon”まで、中盤までの曲と違って終盤の三曲は明らかに本気度というか、気の入りようが違う。つうか、本気出すのおせぇ・・・。

基本的なバンドの音使い自体は近年のデブ豚を踏襲つつも、曲の雰囲気的には5thアルバム『Saturday Night Wrist』への回帰を予感させる、つまり脱力感のある”Alternative”なロックへの回帰を予感させるノリというか、過去二作にあった張り詰めたような独特の緊張感みたいなのは薄くなって、良くも悪くも聴きやすくはなった。これは別に過去二作と比べて地味だとか、手抜きだとか決してそういうわけじゃあないが、しかしどこか徹底したナニかに欠けて聴こえてしまうのも事実。例えば『Diamond Eyes』のように 徹底してゴリゴリのモダン・ヘヴィネス貫くわけでもなし、前作のように『恋の予感...!』不可避なエッチなフェロモンを色気ムンムンに醸し出すわけでもなく、となると今作の『Gore』にはどこか一貫した”コア”の部分がゴッソリと抜け落ちている気がしてならない。それはフロントマンチノ・モレノの歌メロを筆頭に、アレンジ含むメロディや肝心のリフに関しても、極端に突出しないどっちつかずな、悪く言えば中途半端な、良く言えば変に取り繕ってない自然体で素直な”Alternative”やってた本来のデブ豚への回帰、いわゆるシューゲイザーかじった掻き鳴らし系ロックバンドへの回帰と捉えることも出来なくもない。一貫した”ナニか”がない分、逆に アレンジやリフの種類が豊富に楽しめる利点もあるし、完成度という点ではそこまで過去作に引けを取っているわけではない。例えるなら、『Diamond Eyes』が脂ギットギトの豚骨ラーメンだとすると、今作は脂控えめなアッサリ系の豚骨ラーメンみたいな。

ゴジラの『MAGMA』もそうだったけど、今作はそのゴジラや「アメリカのメタル」の象徴であるマストドンをはじめ、現代モダン・ヘヴィネスの最先端であるDjentからの影響が著しい作品でもあって、そういった側面から分析すると、この『Gore』はかなりパンピーやキッズ向けのアルバムと言えるのかもしれない。当然、それはイマドキのモダン・ヘヴィネスをベテランなりに解釈した結果でもあるし、常に「最先端の音楽」を臆せず自分たちの音楽に取り入れてきた、実にデブ豚らしい好奇心旺盛な作品でもある。しかしそれ故に、精神面での弱さが目立つというか、これまでのメンタルエグってくるような音のギミックは稀少。ウリである「存在の耐えられないエモさ」ではなく「存在の耐えられない(音の)軽さ」、むしろデブ豚がカモメのように空を飛べるくらいの「軽さ」がキモになっている。フアンの中には、四年かけてこの内容は正直キツいと難色を示す人も少なからず居るはず。しかしこれだけは言えるのは、過去二作の中ではDIR EN GREYが一番のオキニにしそうなアルバムだということ。あとやっぱ丼スゲーなみたいな話。

Gore
Gore
posted with amazlet at 16.08.11
Deftones
Repri (2016-04-08)
売り上げランキング: 13,062

Julianna Barwick 『Will』

4113aab7894b478399a94ecb2e9189b7

Tracklist
01. St. Apolonia
02. Nebula
03. Bleached
04. Same
05. Wist
06. Big Hollow
07. Heading Home
08. Someway
09. See, Know

USのシンガー・ソングライター事情っていうと・・・実はよく知らないんだが、しかし2011年にデビュー・アルバムのThe Magic Placeをリリースし、「ここまで環境音と一体化した歌声が未だかつて存在しただろうか」あるいは「ここまでネロとパトラッシュの最期の教会で流れてそうな音楽があっただろうか」と、たちまちSSWシーンの間で話題を呼び、昨年には初の来日公演を果たした「21世紀のエンヤ」ことJulianna Barwickの3rdアルバム『Will』

かのDead Oceansからリリースされた前作の2ndアルバム『Nepenthe』では、ビョークやSigur Rosなどのアイスランド界隈でお馴染みのエンジニアBirgir Jón Birgissonとタッグを組み、同時に「ヨンシー親衛隊」で知られるストリングス・カルテットのAmiinaを迎え入れた結果、晴れて「女版シガーロス」の称号を得ることに成功した彼女。しかし今作の『Will』は、1stアルバムの「神々しい世界観」と2ndアルバムで培った「攻めの姿勢」を踏襲しつつも、新境地とも取れる現代的あるいは人間的な要素をはじめ、いつにもなく「楽器」が奏でる音色をフューチャーした作品となっている。
 


それこそ坂本教授こと坂本龍一が手がけた、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『レヴェナント』のサントラを彷彿とさせる、崇高な慈悲に導かれるようなストリングスとジュリアナの天使の囁きの如し聖なるゴッドボイスが、不条理なこの世界を『清らか』に浄化していくオープニング曲の#1”St. Apolonia”、スウェーデンのCarbon Based LifeformsやUSのHammockを連想させる、ミニマル・アンビエントなエレクトロ要素と深海を彷徨うかのようなジュリアナの歌声が織りなす神秘的なATMSフィールドに溺れる#2”Nebula”、今度はその深海の底から響き渡るようなピアノとストリングスがジュリアナのゴッド・ブレスを優しく包み込むように交錯する#3”Beached”、80年代風のシンセをバックにカナダ出身のMas Ysaなる男性ボーカルとフィーチャリングした#4”Same”、再び半透明に澄んだ青い海を美しく遊泳する人魚に擬態させる#5”Wist”、儚くも美しいピアノの旋律に涙する#6”Big Hollow”ANATHEMAFalling Deeperを彷彿とさせるストリングスとピアノが青く澄んだ海中から太陽を見上げるかのような#7”Heading Home”、そしてラストを飾る#9”See, Know”では、まるでチャーチズの新曲かと勘違いするほどミニマルなエレクトロが、未だかつてないほどノリノリなジュリアナの新境地を垣間見せる。
 

今作では、相変わらずアンビエント的な音響空間を軸にした作品でもあるが、それ以上にピアノやストリングスをはじめ、いわゆる人間界の「楽器」という名の道具を積極的に取り入れたことで、イマドキのSSWに大きく歩み寄ったかと思いきや、しかしこのアルバムでもジュリアナは「シンガー」として「歌う」ことを断固として拒否し、あくまでも各楽器が奏でる音色と波長を合わせるように、言霊という名の音霊の一部として存在している。そのモダンな電子音やピアノを駆使した音像は、これまでの『地上』あるいは『天国』の眩いくらいに神々しい音楽というよりも、それこそ深海の神秘に触れているかのような、あるいは日が昇る前の朝焼けや青く澄んだ海をイメージさせる、そこはかとなく”ドープ”な世界観を構築していく。

前作の”One Half”「ほぼ歌イ(キ)かけた」彼女だが、そのリベンジとなる今回の【絶対に歌わせるマン】VS.【絶対に歌わないジュリアナ】のポコタテ対決はジュリアナの勝利で幕を閉じた・・・(完)
 
Will
Will
posted with amazlet at 16.07.29
Julianna Barwick
Deao (2016-05-06)
売り上げランキング: 68,648

CHON 『Grow』

Artist CHON
new_ca96b41f5e97455bbe5c460c703bbc5f

Album 『Grow』
210274839549c299230c3e872c6e33df

Tracklist

01. Drift
02. Story
03. Fall
04. Book
05. Can’t Wait
06. Suda
07. Knot
08. Moon
09. Splash
10. Perfect Pillow
11. Echo
12. But

ハルヒ「キョーーーーーーーーン!!」 011404

「・・・呼んだ?」
f0167208_23221850

キョン ・・・正直このネタやりたかっただけ、みたいな所ある。まぁ、それは兎も角として→近頃賑わいを見せはじめているインスト界隈、いわゆる"オシャの会"に新しく入門してきた、カルフォルニア州はオーシャンサイドを拠点に活動するサンディアゴ出身の三人組、キョンSumerian Recordsからリリースされた1stアルバム『Grow』がメチャクチャオシャい件。
 
ポストtoe ・・・自分の中で、インストって聞いて真っ先にイメージするのは、USのScale the Summitみたいな、いわゆる"プログレ・メタル"をベースにしたインストバンドが多い中で、このキョンがやってる音楽性っつーのは、その手のメタル系のインストとは一線を画した、日本を代表するインストバンドtoeの影響下にあるマスロック然としたインテリジェンスな変拍子を組み込んだインストで、いわゆるオシャ会の中では最もオシャンティなインストバンドと言える。

インスト界のホープ ・・・まずオープニングを飾る#1を皮切りに、まるでオシャ化したProtest the Heroばりのオシャピロな幕開けから始まる#2”Story”は、まるで傷心した心の傷跡を小指で上からなぞるような、少しくすぐったい甘味な胸きゅんメロディとマスロック然としたリズム感が心地よい音空間を形成し、途中にジャズ/フュージョンライクなソロワークを織り込みながら、そしてシャシャシャシャーンというシンバルからの中盤以降のインプロ感溢れるポストロッキンなパートは日本のtoeさながらのリリカルな展開力を披露。イントロからマスロック然とした変拍子を駆使したグルーヴを弾ませる#3”Fall”は、転調以降のCynicExiviousばりに瞑想不可避なオシャ夢想に癒やされる。それ以降もジャズ/フュージョン志向のオシャンティなマスロックが続くのだけど、その中でも特に目を見張るものは、やっぱりハイライトを飾る#5”Can't Wait”や#11”Echo”などのボーカル入りの楽曲で、特に#5はサンディアゴ自慢の西海岸のビーチに吹き込む浜風を運んでくるかのような、toeの山崎氏リスペクトなボーカル主体の甘酸っぱくてちょっと切ない、新しい学園生活に馴染めないでいるティーンエージャーの刹那的かつ純真無垢なキモチを謳った青春オルタナソング。#10の”Perfect Pillow”は、今作で一番エッジの立ったScale the Summit系のインストで後半の絶妙なアクセントを施している。 初期toeの魂を受け継ぐかのような無垢で繊細で素朴なメロディセンスは、彼らキョンの最もたる魅力の一つで、そらスメリアンも黙っちゃあいないよなって『納得』させるほど、とにかくインスト界のホープと呼ぶに相応しい一枚となっている。
 
Grow
Grow
posted with amazlet at 16.03.12
Chon
Sumerian Records (2015-04-06)
売り上げランキング: 5,987

Deafheaven 『新しいバミューダ海峡』

Artist Deafheaven
new_CLk7IN6UkAAM6x1

Album 『New Bermuda』
6a5cb4c4

Tracklist

01. Brought To The Water
02. Luna
03. Baby Blue
04. Come Back
05. Gifts For The Earth

new_Mysterious-Skin-1

BUKKAKE ・・・おいら、あのサンベイザーが発表された時に一つだけやり残したことがあって、それというのも、「日本のAVのジャンルで世界的に有名なBUKKAKE、そのコンピレーション(総集編)のBGMに”ドリーム・ハウス”を編集して某XV◯DEOSにアップする」という謎の背徳行為で、というのも、あの『サンベイザー』というのは、AVで【BUKKAKEられる側】のAV女優の激情的な感情と【BUKKAKEる側】の汁男優の「イカなきゃ」という一種の使命感と刹那的な焦燥感が複雑に混ざり合い、白濁色の音の粒がラブシャワーとなって聴き手を白濁汁の渦に引きずり込むような、それこそ男なら一度は妄想し羨んだであろうBUKKAKE願望、その『男の夢』を擬似的に叶えてくれる歴史的名盤であり、男が射精に至るまでのメカニズムを音楽の世界で解き明かした、言うなれば一種の"セックス・ミュージック"でもあった。その『サンベイザー』がPitchforkをはじめ大手音楽メディアから高く評価された彼らDeafheavenは、俺たち"ファッションホモ"のアイドル(アイコン)として崇められ、その勢いで遂にはiPhoneの広告塔にまで成り上がることに成功した。しかし、その一方で全方位から「Pitchforkに魂を売ったホモバンド」と蔑まれるようになってしまった。

『新しいバミューダ海峡』 ・・・しかし、その傑作『サンベイザー』の翌年にリリースしたシングルの”From the Kettle Onto the Coil”で、彼らは面白い変化を遂げていた。基本的には『サンベイザー』路線を踏襲しながらも、キザミリフをはじめとしたポストメタリックな要素を垣間見せつつあって、その微量な"変化"は伏線として今作の『New Bermuda』に大きく反映されている。シングルのアートワークと油彩画タッチで描かれた新作のアートワークがそれを示唆していると言っても過言じゃなくて、まるで【BUKKAKEられる側】のAV女優の恍惚な表情の裏に潜むドス黒い漆黒の闇、あるいはAV男優吉村卓に顔面を舐め回された後に行方をくらましたレジェンドAV女優桃谷エリカの心の闇を暴き出すッ!そんな彼女が飛んだ『謎』を解き明かしたのが、この『新しいバミューダ海峡』だ・・・ッ!

繋ぎの意識 ・・・彼らD F H V Nが今作で遂げた進化は、一曲目の”Brought To The Water”から顕著だ。荒廃した教会の鐘が神妙に鳴り響く、まるでDIR EN GREY”Un deux”をフラッシュバックさせるエキセントリックな幕開けから、まるでBUKKAKEられるAV女優の白濁色に染まった顔の裏に潜む闇、あるいはバミューダ海峡に引きずり込まれる瞬間の焦燥感と絶望感が込められた、ドロドロにまとわり付くドゥーミーなヘヴィネスとともに、シングルと同じBPMでブラストを刻み始め、スラッシュ・メタル然としたソリッドなリフをはじめMogwai直系の美メロ、サンバイザー日和の燦々とした陽射し照りつける西海岸の風を運んでくるGソロ、後半からはポスト・ハードコア然としたキッズライクなリフを主体に、あの恍惚感に満ち溢れた『サンベイザー』とは一線を画したドス黒い世界観を繰り広げていく。もはや粒状(シューゲイザー)と言うより固形状(メタリック)のリフ回し、もはやポスト・メタルというよりスラッシュ・メタル特有のキザミをメインリフに曲を構築している事実にまず驚かされる。とにかく、中盤のブルージーなGソロからMogwai譲りの美メロパートへと移行する"繋ぎ"のセンスが俄然増してるし、『サンベイザー』では一つの曲として独立していた”Irresistible”を彷彿とさせるアウトロのピアノも、今作では一曲の中に組み込まれている。この曲で明らかなのは、基本的なスタイルは『サンベイザー』以降の流れにありながも、一方で『サンベイザー』とは一線を画した暗黒的で対極的な要素を内包している、ということ。

「イカなきゃ(使命感)」 ・・・そんな汁男優のはやるキモチを表したかのような、Mastodonブラン・デイラー顔負けのドラミングとメタリカばりのキザミリフで始まる二曲目の”Luna”は、まるで子供が「オモチャ カッテ...カッテクレナキャ...イヤア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」と聖夜の夜に泣き叫ぶような、フロントマンジョージ・クラークによる『サンベイザー』譲りの通称ダダコネボイスを乗せて、随所にポスト・ハードコア的な要素を散りばめながらブラストで突っ走り、一旦フィニッシュしたと思ったら中盤から再びグラインドコア顔負けの破天荒な怒音を合図に、ドス黒い暗黒物質を周囲にBUKKAKEながら高速ピストン、終盤は徐々にBPMを落としてバンド・アンサンブルを活かしたポストメタリックな轟音を響かせる、という怒涛の展開を見せる。一曲目と同様に、この曲のポイントに"キザミ"ともう一つ”繋ぎ”の要素があって、この曲ではBPMの落差を最小限に抑えつつ、あくまでも段階的に激情パートから美メロパートへと"繋ぐ"意識、在りし日のマシンガン打線ばりに"繋ぐ"意識の高さを垣間見せる。例えるなら→あの『サンベイザー』が【急転直下型BPM】だとするなら、今作は【可変型BPM】というか、それこそのコントラストを効かせた油絵テイストのアートワークのような、もしくはアヘ顔デフヘヴン状態(動)からの賢者タイム(性)みたいな、とにかく【静()↔動(黒)】"繋ぎ"が自然体になったことで、より曲の世界観に入り込みやすくなった。

黄金のキザミ』 ・・・序盤の二曲とは一転して、ミニマルに揺らめくポストロッキンな美メロで始まる三曲目の”Baby Blue”は、持ち前のブラストは封印してBlackgaze然とした轟音とクライマックスへの伏線を忍ばせたエモーショナルなGソロで中盤を繋ぎ、そして今作のハイライトと言っても過言じゃあない、キザミ界の皇帝Toolが提唱する黄金比』で形成された黄金のキザミ』を継承するかのような、ある一定のBPMを保って刻まれる低速キザミリフをタメにタメてから、そしてBUKKAKEられたAV女優の恍惚な表情の裏に潜むドス黒い漆黒の狂気、あるいは吉村卓に顔面ベロチューされまくった桃谷エリカの心の叫びを代弁するかのようなジョージのスクリームと魑魅魍魎の如し悲痛に歪んだギターが今世紀最大のエモーションとなって聴き手に襲いかかり、その今にも胸が張り裂けそうな"存在の耐えられないエモさ"に、僕は「あゝ激情...あゝ激情...」という言葉とともに溢れだす涙を堪えることができなかった。これが、これがバミューダ海峡を超える人類最大の『謎』ッ!これが桃谷エリカが飛んだ真相ッ!これが桃谷エリカの漆黒の闇だッ!

 この”Baby Blue”には更に面白い伏線が仕込んであって、それというのは、終盤まで黄金のキザミ』のままフェードアウトさせてからCAのアナウンスを使ったSEがフェードインしてくるアウトロで、それこそ1stアルバムユダ王国への道の名曲”Violet”のイントロをはじめ、ex-Deafheavenニック・バセット君率いるWhirr桃尻女とシューゲイザーを連想させ、それはまるで高速道路から眺める街のネオンがホログラム状に映し出されるような、それこそトム・ハーディ主演の映画『オン・ザ・ハイウェイ』の世界観とリンクさせる、初期デッへ界隈のシューゲイザー然としたモノクロームでフェミニンなアンビエント空間を形成し、その懐かしい匂いを漂わせながら「あの頃のデフヘヴンが帰ってくる」をウリ文句に、ドラマの次回予告風に言うと→Episode#5「D F H V N is Come Back...」

「Come Back ・・・文字通りカムバック。あの『サンベイザー』のようなメジャー感は微塵も感じさせない、まさしくアンダーグランドな混沌と蠢く雰囲気をまとった、「グワアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」っと地獄の底から血肉が湧き上がるようなBlackgaze然としたサウンドと初期を彷彿とさせるジョージの極悪ボイス、この時点で在りし日のD F H V Nにカムバックした事を各界隈に知らしめる。と同時に、この曲にも今作のキーワードの一つである”キザミ”が取り入れられていて、ここまで【メタリカ→マストドン→トゥール】という黄金リレーでバトンを繋いできたが、この流れで最後のアンカーに任されたのがエクストリーム・メタル界の帝王ゴジラだ。そのゴジラばりのデッヘボン史上最も”ヘヴィ”なキザミを最大の見せ場にしつつ、後半からは一転して初期デフヘヴンを彷彿とさせるアコースティックな音使いをもって、まるで真夜中の淫夢を彷徨うかの如しドリーミーな音世界を繰り広げ、その淫夢から朝目覚めてふと鏡を見たら吉村卓の姿になっていた。他にカムバックした所では、全5曲トータル約46分という潔さも1stアルバムをフラッシュバックさせる。しかし「安心してください、どの曲も10分近くある長尺ですよ」とばかり、無駄な贅肉を削ぎ落とした隙のない展開や構成は過去最高にシンプルながらも、音のスケール感を損なわないダイナミクスと音の説得力に溢れている。

「ファッ◯ンピッチ!」 ・・・その昔、デフヘヴンの中心人物であるケリージョージには親友がいた。その友の名はニック・バセット。元デフヘヴンでもある彼は、WhirrNothingを率いてデフヘヴン包囲網を指揮する先駆者だ。親友だった三人の友情に大きな亀裂が生じる事となったのが、他でもないあの『サンベイザー』だ。ニックはアンダーグランド・シーンで地道に音楽を楽しみたかった。しかしケリーとジョージにはメインストリーム・シーンに自分たちの音楽を認めさせる大きな野望があった。念願叶って、2ndアルバムの『サンベイザー』は大手音楽メディアPitchforkから高い評価を得ることに成功した。【Deafheaven>>>Whirr,Nothing】という現実を突きつけられたニックは「ファッ◯ンピッチ!」と罵った。こうなると三人の関係はもう修復不可能だ。『野望』を叶えた一方で、全方位から「Pitchforkに魂を売ったホモバンド」と蔑まれたデッヘボンは、ただ独り孤独を叫んでいた。そのデブヘブンがカムバックしたのだ。カムバックした彼らが”原点”に立ち返って導き出した答え、それが五曲目の”Gifts For The Earth”だ。この曲では、まだ三人の友情に亀裂が生じる前、ジョージとケリー、そしてニックが夢見た「もう一つの未来」を描き出すような、「もしニックがダボヘブンを脱退していなかったら」という"もしも"すなわちifの世界を実現させている。現在のWhirrNothingを連想させるオルタナティブの感性と初期デッヘのサウンドがクロスオーバーしたような、それこそジョージとケリーが旧友ニックに贈る、紛れもなく"カムバック"した今のデフヘヴンの姿だった。あの『サンベイザー』で、第一次ポストブラックブームの仕掛け人であるAlcestのネージュを引き連れて、「安心してください、ブチ上げますよ」とばかりPost-Black/Blackgazeとかいう"アンダーグラウンド"なジャンルを"メインストリーム"に引き上げるという『野望』、その使命を果たした彼らは、今度はこの『新しいバミューダ海峡』の中で仲違いした旧友ニックの想いを表舞台に引き上げている。最高にエモい、エモすぎる・・・。まるで深い絆で結ばれた三人が長い年月を経て運命の再開を果たしたみたいな...それこそ『栄光と挫折』の物語みたいな...なんだこの漫画みたいな展開...こんなん映画化決定ですやん。なんつーか、まるでメタル界の『デビルマン』、あるいはメタル界のダークヒーローってくらいかっこ良すぎる。・・・で、まるで聖夜を彩るピアノやタンブリンやマラカスを交えた、Alcest顔負けのアコースティックなエンディングでは、遊牧民と化した吉村卓と桃谷エリカが、ニックとネージュが、ケリーとジョージが手を取り合って、一面に広がるお花畑の中で恍惚な表情を浮かべながら仲睦まじくピクニックを楽しむ様子が描かれる。まるで気分は「生きてるって素晴らしい」。

【ピッチ度高>>>>>>>>>>>>>ピッチ度低
【メタリカ>>>マストドン>>>トゥール>>>ゴジラ

媚び ・・・あの『サンベイザー』が、子供の頃にあらゆる煩悩を経て初めて精通に至った時の"ファースト・インパクト"だとするなら、この『新しいバミューダ海峡』は大人になって初めて童貞を卒業した時の"セカンド・インパクト"と言える。あらためて、今作のポイントには”繋ぎ””キザミ”の2つの要素があって、まず前者の"繋ぎ"は静(白)から動(黒)へのコントラスト(対比)と【可変型BPM】による緩急の操り方が格段に向上したことで、より音のギャップやメリハリが鮮明となり、ドラマティックな展開力が体感的に増したように感じる。それと同時に、曲構成が過去最高に様式的というか、メタル耳にも馴染みやすいザックリとしたメリハリのある展開美とでも言うのか、しかしそれによって必然的にシューゲっぽさやオシャンティな感覚は薄れている。一方で後者の"キザミ"は、アンダーグラウンド・シーンで名を馳せたLudicraなどのブラック・メタルをはじめ、スラッシュ・メタル界のレジェンドメタリカ、新世代メタル界の雄マストドン、キザミ界の皇帝トゥール、そしてポスト・スラッシュ界の破壊神ゴジラ、それらのキザミ界の頂点に君臨するモンスターバンドに決して引けを取らない圧倒的なキザミ意識、それすなわちスラッシュ・メタルへの意識、全編に渡って繰り広げられる"キザミ"に対する意識、"キザミ"に対する『愛』が込められている。俄然面白いと思ったのは、一言でキザミと言っても同じキザミは一つもないところで、#1ではオールド・スクール・スラッシュ・メタル流のソリッドな"キザミ"、#2ではポスト・スラッシュ流の"キザミ"、#3では黄金比』で形成された黄金のキザミ』、#4ではエクストリーム・スラッシュ流の"キザミ"まで、その"キザミ"のバリエーションの豊富さは元より、とにかく一つ一つの"キザミ"に感動させられる。この"キザミ"に関する要素から重大な情報を得ることができる。デフヘヴンというバンドは決して普通のいわゆる"メタルバンド"ではない。しかし、今作の"キザミ""メタル"と称する他に例えようがなくて、このアルバム自体過去最高にヘヴィでメタラーにも十分アピールできる要素を持っている。しかし、いわゆる"メタル"に歩み寄るにしてもピッチフォーク贔屓のメタルとでも言うのか、つまりピッチフォークの機嫌を損なわない程度のメタルとはナニか?を、オタクならではの審美眼で見極めている。その答えはピッチ度が最も低いバンドでもメタリカフォロワーのゴジラって時点で察し。その"キザミ"主導の中、時おり顔を覗かせるポップなポスト・ハードコアリフが今作を華やかに彩る絶妙な調味料となっているのも事実。つまり、ピッチフォークへの"媚び"とメタラーへの"媚び"、そしてコアキッズへの"媚び"を絶妙なバランスで均衡させており、あの『サンベイザー』で一気にキッズ・ミュージックに振り切って、つまりメタラーを切ってキッズやピッチ厨を引き寄せてから、このタイミングで一気にメタル路線に手のひら返しする彼らの勇気と度胸、音楽的な柔軟性と器用さは、まるで「大事なのはソングライティング」だけじゃあないとばかり、現代の音楽シーンで生き残るために必要な知恵と地頭の良さ、そして彼らの"したたかさ"を証明している。まるであの『サンベイザー』の次にどこへ行けばいいのか?その落とし所を熟知していたかのよう。いわゆる「分かる人だけに分かればいい」の方向性へと進んだLiturgyとは裏腹に、この『新しいバミューダ海峡』で全方位にあからさまな"媚び"を振りまいたデッヘ、僕は考える間もなくデッへを支持する。あの『サンベイザー』で全方位からディスられて日和った結果、とは僕は微塵も思わない。むしろ「ディスれるもんならディスってみろや」感っつーか、あの『サンベイザー』を批判したピッチ以外の全方位のシーンに真っ向から喧嘩売ってます。

『桃谷エリカと吉村卓』 ・・・楽曲の曲順からして、”From the Kettle Onto the Coil”『サンベイザー』『Roads to Judah』『桃尻女とシューゲイザー』へと、現在から過去へと徐々にカムバックしながら、最後は旧友ニックの想いまで全てを引っ括めた全デフヘヴンのダークヒーロー物語だ。言わばメインストリームからアンダーグラウンドへの橋渡し的な、アンダーグラウンドからメインストリームへ自由に行き来できるくらい、今の彼らはバンドとして成熟した余裕が音から感じ取れる。ブラストを使ったBPMゴリ押しだけに頼らない、グルーヴ感のあるバンド・サウンドも今作の大きなポイントだ。もはや今のデフヘヴンはケリージョージのツーマンバンドではなく、ダニエルシヴ、そしてステファンを含めた五人組のD F H V N、そのバンドとしてのポテンシャルが開花した結果が本作だ。一言で「いいとこ取り」と言ったら矮小化して聞こえるかもしれないが、でもそれ以外他にシックリくる表現が見当たらないからこれはもうしょうがない。初期のアングラ性と『サンベイザー』で確立したメジャー感溢れるメロディセンスとファッショナブルに垢抜けた展開力、アキバ系ギタリストケリー・マッコイのソングライターとしての才能は元より、『本物のオタク』すなわちクリエイターとしてのバランス感覚、そしてバンドのプロデュース能力に感服すること請け合いだ。あらためて、どこまでも型破りなバンドだと思い知らされた次第で、前作であれだけハードルをブチ上げたにも関わらず、こんなディスる隙間のないアルバム聴かされちゃあもう何も言えねぇ。確かに、衝撃度という点では過去作に分があるかもしれないが、バンドの生い立ちから現在までの歴史と濃厚な人間ドラマに溢れた、「もうイケませェん!」と咽び泣きながら上からも下からも涙ちょちょぎれ不可避な名盤だ。これを聴き終えたあと、何故か僕は吉村卓に「ありがとう...桃谷エリカの笑顔をトリ(レ)モロしてくれてありがとう...」と心から感謝していた。これはもはや『桃尻女とシューゲイザー』ならぬ『桃谷エリカと吉村卓』の物語なのかもしれない。そんなわけで、最後はとっておきの謎かけでお別れ→

「AV女優とかけまして、バミューダ海峡と解きます
その心は、どちらも闇が深いです

お後がよろしいようでw
 
New Bermuda
New Bermuda
posted with amazlet at 15.12.26
Deafheaven
Imports (2015-10-09)
売り上げランキング: 60,037

Earthside 『A Dream in Static』

Artist Earthside
new_3599beb3cb01176a947ed6579de8ae29

Producer/Mixing David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album A Dream in Static
a2220009983_16

Tracklist
01. The Closest I've Come 
03. A Dream In Static
04. Entering The Light
05. Skyline
06. Crater
07. The Ungrounding
08. Contemplation Of The Beautiful

勝利の方程式 ・・・ここ最近のメタル界隈には→「今の時代、イェンス・ボグレン単体じゃありきたりだし物足りない...せや!相棒のデイビッド・カスティロも一緒に指名すれば優勝間違いなしや!」みたいな風潮あって、そのいわゆる【Jens Bogren×David Castillo=勝利の方程式】を、なんとデビュー作で説き伏せる掟破りのクソ野郎が現れた。何を話そう、【US】【ニューヘイブン出身】【四人組】ということ以外全てが謎に包まれた、その名もEarthsideの1stアルバム『A Dream in Static』は、その「勝ちたいんや!」精神に溢れた、まるで全てのプログレッシブ・メタルを過去の物にするかのような、そしてオルタナティブ・ヘヴィ界およびプログレッシブ・ヘヴィ界に真正面から殴りこみをかけるような一枚となっている。

「こいつら一体ナニモノなんだ!?」 ・・・その謎は一向に解決せず、こうなったら音源を聴いてみるしか他ない、というわけで、今作の一曲目である”The Closest I've Come”を聴いたら今世紀最大の衝撃が走った。もはやポストロック的ですらあるドリーミーで幻想的なイントロで幕を開け、まるで全盛期のDaniel Liljekvist顔負けのタイム感を刻むドラミングを筆頭に、Tool直系の理知的なキザミリフと世界で初めて【勝利の方程式】が解かれたKATATONIAの歴史的名盤『The Great Cold Distance』直系のオルタナティブ・ヘヴィネス、OSIを彷彿とさせるモダンでダーク・アンビエントな音色を奏でるATMS系キーボード、そして初期Riverside顔負けの薄暗い叙情性が、それこそEarthsideというバンド名が示すとおり地球規模で展開する圧倒的な音のスケールをもって、シネマティックかつドラマティックな無駄のない展開力を爆発させる。少なくとも、このオープニングの一曲だけでこいつらがどれだけヤバいのか、タダモノじゃないのが理解できる。一見「インストバンド?」と思いきや、イントロからThe Moscow Studio Symphony Orchestraによる映画『レ・ミゼラブル』あるいは『指輪物語』ばりの壮大で喜劇的なオーケストレーションを全面にフューチャーした#2”Mob Mentality”では、ゲストにSevendustラジョン・ウィザースプーンを迎え、彼のエモーショナルなボーカル・メロディや絶妙にハスキーな声質も相まって、イギリスのポストハードコアバンドっぽい雰囲気というか、IntervalsThe HAARP Machineでお馴染みのMichael Semeskyを彷彿とさせる。#2を聴いて、「インストバンドじゃない?!」と意表を突かれ、そしてマス系のオシャンティなイントロで始まる#3”A Dream In Static”を聴いたら自分の耳を疑った。なんかTesseractダニエル・トンプキンズ君にクリソツな美しすぎるハイトーンボイスが聴こえてきて笑ったんだが、それがどうやらマジでダニエル君らしいと分かった時が個人的なハイライトで敗北宣言、というか、ダニエル君の声がデイビッドとイェンスという黄金のスウェーデンコンビ】にミックス/マスターされた事の方が地味に凄くね。要するに→【Jens Bogren×David Castillo×Daniel Tompkins=yes!!yes!!Jens!!。再び北野映画すなわち久石譲的な、ゲスト・ミュージシャンのMax ZTが奏でるダルシマーのオリエンタルな音色をフューチャーした#4”Entering The Light”、そして今作のハイライトを飾る#5”Skyline”では、AlcestGod Is an AstronautもビックリのATMS系ポストメタルを展開し、まるで気分は映画『インターステラー』で娘達のビデオメッセージに号泣するマシュー・マコノヒーの如く、宇宙空間(ワームホール)の中に放り出されたような美メロの洪水に涙不可避だ。
 


・・・で、流石にもうこれ以上驚く要素ないでしょと気を抜いた矢先、「なんかビョーンっぽいな...でもビョーンより上手いな」と思ったらマジでSoilworkのビョーンがゲスト参加してた#6”Crater”、ポーランドのWidekを彷彿とさせるATMS系DjentにKATATONIAのセッション・ミュージシャンでお馴染みのJP AsplundによるパーカッションやHenrik Gennertによる流麗なGソロをフューチャーした#7”The Ungrounding”、そしてUSオルタナFace the KingEric Zirlingerをゲストに迎えた曲で、今やエクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するLeprousばりのシンフォニック狂騒曲の#8”Contemplation Of The Beautiful”まで、Dream TheaterToolをはじめとしたUSプログレッシブ/オルタナティブ・ヘヴィ界隈、ToolフォロワーのSoenや皇帝KATATONIAをはじめ、AtomaEnshineを筆頭としたスウェーデン産ATMSの新興勢力、そしてTesseractTo-MeraなどのUKモダン・ヘヴィ/アンダーグラウンド・メタル界隈からRiversideをはじめとした辺境プログレ界隈まで、ポストロックやジェントなどのモダンな音像から往年のプログレ・メタルならではの泣きのメロディまで全てを飲み込み、まるで一本の大作映画を観ているかのような、いわゆる"プログレ・メタル"と呼ばれるジャンルの醍醐味が一つに凝縮された、一切の隙も妥協もない実にProgressiveなアルバムだ。

メタル界のタブー ・・・ここにきてデビュー作から【勝利の方程式】を解くという、言わば"メタル界のタブー"を犯した彼ら自身相当な批判を受ける『覚悟』があったはずだ。しかし、それらの批判やヒネクレ野郎ばかりのプログレ界隈の住人に有無を言わせず『納得』させてしまうこのアルバムは、Soilworkなど今年イェンスが関わった作品は元より、ダニエル君が復帰したTesseractRiversideの新作に喰ってかかるほど、正体不明の出自も相まって未知数なポテンシャルに溢れている。普通にInside Out辺りからリリースされてもおかしくない傑作だ。 しかし、こう言っちゃあアレだが、無名バンドでも「kawaiiは作れる」ならぬ流行りの【勝利の方程式】は作れる、という真実が暴かれたのはプログレ・メタル界にとって大きな損失、はたまた大きな収穫か・・・?
 
A Dream in Static
A Dream in Static
posted with amazlet at 15.10.31
Bushwhack LLC (2015-10-23)
売り上げランキング: 3,552
記事検索