Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

ambient

℃-ute解散がショック過ぎるので更新停止します

Julianna Barwick 『Will』

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Tracklist
01. St. Apolonia
02. Nebula
03. Bleached
04. Same
05. Wist
06. Big Hollow
07. Heading Home
08. Someway
09. See, Know

USのシンガー・ソングライター事情っていうと・・・実はよく知らないんだが、しかし2011年にデビュー・アルバムのThe Magic Placeをリリースし、「ここまで環境音と一体化した歌声が未だかつて存在しただろうか」あるいは「ここまでネロとパトラッシュの最期の教会で流れてそうな音楽があっただろうか」と、たちまちSSWシーンの間で話題を呼び、昨年には初の来日公演を果たした「21世紀のエンヤ」ことJulianna Barwickの3rdアルバム『Will』

かのDead Oceansからリリースされた前作の2ndアルバム『Nepenthe』では、ビョークやSigur Rosなどのアイスランド界隈でお馴染みのエンジニアBirgir Jón Birgissonとタッグを組み、同時に「ヨンシー親衛隊」で知られるストリングス・カルテットのAmiinaを迎え入れた結果、晴れて「女版シガーロス」の称号を得ることに成功した彼女。しかし今作の『Will』は、1stアルバムの「神々しい世界観」と2ndアルバムで培った「攻めの姿勢」を踏襲しつつも、新境地とも取れる現代的あるいは人間的な要素をはじめ、いつにもなく「楽器」が奏でる音色をフューチャーした作品となっている。
 


それこそ坂本教授こと坂本龍一が手がけた、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『レヴェナント』のサントラを彷彿とさせる、崇高な慈悲に導かれるようなストリングスとジュリアナの天使の囁きの如し聖なるゴッドボイスが、不条理なこの世界を『清らか』に浄化していくオープニング曲の#1”St. Apolonia”、スウェーデンのCarbon Based LifeformsやUSのHammockを連想させる、ミニマル・アンビエントなエレクトロ要素と深海を彷徨うかのようなジュリアナの歌声が織りなす神秘的なATMSフィールドに溺れる#2”Nebula”、今度はその深海の底から響き渡るようなピアノとストリングスがジュリアナのゴッド・ブレスを優しく包み込むように交錯する#3”Beached”、80年代風のシンセをバックにカナダ出身のMas Ysaなる男性ボーカルとフィーチャリングした#4”Same”、再び半透明に澄んだ青い海を美しく遊泳する人魚に擬態させる#5”Wist”、儚くも美しいピアノの旋律に涙する#6”Big Hollow”ANATHEMAFalling Deeperを彷彿とさせるストリングスとピアノが青く澄んだ海中から太陽を見上げるかのような#7”Heading Home”、そしてラストを飾る#9”See, Know”では、まるでチャーチズの新曲かと勘違いするほどミニマルなエレクトロが、未だかつてないほどノリノリなジュリアナの新境地を垣間見せる。
 

今作では、相変わらずアンビエント的な音響空間を軸にした作品でもあるが、それ以上にピアノやストリングスをはじめ、いわゆる人間界の「楽器」という名の道具を積極的に取り入れたことで、イマドキのSSWに大きく歩み寄ったかと思いきや、しかしこのアルバムでもジュリアナは「シンガー」として「歌う」ことを断固として拒否し、あくまでも各楽器が奏でる音色と波長を合わせるように、言霊という名の音霊の一部として存在している。そのモダンな電子音やピアノを駆使した音像は、これまでの『地上』あるいは『天国』の眩いくらいに神々しい音楽というよりも、それこそ深海の神秘に触れているかのような、あるいは日が昇る前の朝焼けや青く澄んだ海をイメージさせる、そこはかとなく”ドープ”な世界観を構築していく。

前作の”One Half”「ほぼ歌イ(キ)かけた」彼女だが、そのリベンジとなる今回の【絶対に歌わせるマン】VS.【絶対に歌わないジュリアナ】のポコタテ対決はジュリアナの勝利で幕を閉じた・・・(完)
 
Will
Will
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Julianna Barwick
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TesseracT 『Polaris』

Artist TesseracT
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Album 『Polaris』
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Tracklist

01. Dystopia
02. Hexes
04. Tourniquet
05. Utopia
06. Phoenix
08. Cages
09. Seven Names
 
『十二支ん会議』
十二支ん会議

十二支ん会議 ・・・TesseracTKscopeの運命の引かれ合い、その伏線というのは過去にあって、それは当ブログの2013年度の年間BEST記事でも紹介したように、その年のイギリスの著名なプログレ専門雑誌『Prog Magazine』の年間BESTアルバムに、Kscopeの最高責任者兼CEOことスティーヴン・ウィルソン『The Raven That Refused To Sing』に次いで、TesseracTAltered Stateが二位に選出されたのだが、この時SWの号令によりKscopeおよびPost-Progressive界隈を取り仕切る幹部勢が緊急召集され、いわゆる現代プログレ界の『十二支ん会議』が秘密裏に執り行われた結果、満場一致でTesseracTKscope入りが『許可』された、そんな嘘のような本当の話がある(ネーよ)。

シックリ ・・・話は変わるけど→おいら、子供の頃から『MGS』ことメタルギアシリーズのフアンで、しかし新作が発売される度に「そういえばMGSってコナミのゲームなんだよな」みたいな、違和感というほどじゃあないけど妙なモヤモヤ感は無きにしもあらずで、とはいえ「コナミ以外から発売されるMGS」なんて想像もつかなかったし、なんだかんだ「MGSはコナミのゲーム」という認識は揺るぎなかったし、それについてこれ以上深く考えることはなかった。何を隠そう、このTesseracTCentury Mediaから華々しいデビューを飾り、これまで複数の作品を発表し続けていたのだけど、先ほどのコナミとMGSの関係性じゃあないが、やっぱり「妙な違和感」というのを感じていて、そして2ndアルバムAltered Stateを聴いた時にその違和感というのが自分の中で不快感に変わるくらい大きくなっていた。しかし、3作目となる『Polaris』Kscopeからリリースされると聞いた時は、驚きとともにこれまでの「妙な違和感」は完全に払拭され、なんだろう、パズルの最後のピースがハマった時のように物凄く「シックリ」きた。それはメタルギアシリーズの生みの親である小島秀夫監督がコナミを退社し、新しいプロジェクトをソニーの元で制作することを発表した時と全く同じで、どうだろう、思いのほか「シックリ」くるじゃあないか。

雇われ ・・・何も「シックリくる」のはそれだけじゃあない。おいら、過去の記事で「ジェントは雇われボーカルで、アルバムを出す度にボーカルが脱退するのがジェント界のオキテ」的な事を書いたような気がするのだけど、その伏線を回収するかのように、2012年に実質五代目ボーカリストとしてテッセラクトに加入したFF系イケメンデブことアッシュ・オハラ君が、いわゆる「音楽性の違い」を理由に2014年に脱退。その後任としてバンドに招き入れられた人物こそ、他でもないテッセラクトの三代目ボーカリストダニエル・トンプキンス君が奇跡的な復帰を果たしてる。ダニエルくんといえば、メタルシーンに衝撃を与えたデビュー作のEP『Concealing Fate』、その組曲で構成された1stフルアルバム『One』のボーカリストで知られ、しかし長年の夢だったボーカル講師に専念するため2011年に脱退、彼の脱退はジェントシーンに大きな衝撃を与え、これからジェントムーブメントを起こすぜ!って時に、始まる前から早くもジェントの終わりを告げたかのように見えた。しかし、テッセラクトはアッシュ君を迎えて2ndアルバムの『Altered State』を発表し、絶対的な存在だったダニエル君が不在でもやっていけることを証明した。そして彼らは、再びジェント界のアイドル「スパイス・ボーイズ」あるいは「ジェント界のワンダイレクション」としての地位を確立したのだった。



三年後 ・・・目出度くダニエル君がバンドに復帰したのは良いとして、じゃあ実際のところ、アッシュ君の持ち味である高域中心のパフォーマンスに焦点を合わせた、ドチャクソエピカルなサウンド・スケープを形成していた『Altered State』の楽曲を、果たしてダン君は歌いこなせるのか・・・?という疑問にぶち当たる。しかし「安心してください、歌えますよ」とばかり、ダン君が復帰して間もなくテッセラクトは初のライブ作品『Odyssey/Scala』を発表し、そのライブの中でダン君は2ndアルバムの曲を完璧に自分のモノにすると同時に、まるで某漫画の『二年後』ならぬ『三年後』にパワーアップして「帰ってきたダニエル・トンプキンス」を新旧のフアンに復帰報告がてら堂々披露している。こうしてライブ映像およびダン君のライブ・アレンジ能力の高さと圧倒的なナルシー系ボイス・パフォーマンスを観ても、伊達に三年間ボーカル講師として修行積んでこなかったなというか、やはりテッセラクトのボーカルにはダニエル君が歴代の中でも一番「シックリ」くる、その事を再確認させる。要するに、いくらFF系のイケメンでもデブにはテッセのボーカルは務まらない、というわけだ。

惑星ポラリス ・・・そんな流れがあって発表された、3rdアルバムの『Polaris』を一言で表すなら、やはりダニエルの復帰およびKscopeに移籍した影響はあまりにも大きかった、ということ。彼らは盟友ペリフェリーとは違った形で、テッセラクトなりにジェントとかいうアンダーグラウンドな新興ジャンルをメインストリームにブチ上げようとしている。まず幕開けを飾る#1の”Dystopia”からして、前作の”Of Matter – Proxy”のポストジェント路線を素直に踏襲した、まるで機械都市を形成するかの如し無機的かつ理知的な変拍子サウンドとダニエル君の多彩なボイス&コーラス・ワーク、そして1stアルバムを彷彿とさせるアンビエント感マシマシな神秘的なサウンド・スケープに、俺たちのテッセラクトが帰ってきたと歓喜するのもつかの間、アウトロのアンビエーションな音響空間を引き継いで始まり、まるで映画『インターステラー』のメインテーマである”Cornfield Chase”の主旋律に通じる、まるでガルガンチュアの中を独りで彷徨うマシュー・マコノヒーのように猛烈な孤独感に苛まれる、トリップ・ホップ/アンビエンスなアトモスフィアを全域に噴出する始まりから、ゲストに迎えられたマーティン・グレッチの憂愁な歌声をフューチャーした曲で、そのマーティンとダン君による無慈悲なハーモニーが織りなす「存在の耐えられないエモさ」に、まるで時空の歪みのように胸が締め付けられる#2”Hexes”、UKポストハードコアあるいはOGのKarnivoolを彷彿とさせるダン君の潤いのあるボーカル・メロディを中心に、彼らが完全に歌モノ化したことを証明するかのような#3”Survival”、そして本作のハイライトを飾る#4”Tourniquet”では、彼らがPost-Progressive化したことを裏付けるポストロック然としたミニマルなリフ、そしてCynicポール・マスヴィダルあるいはUKのガールズ・グループが偶に歌ってそうなフェミニズムをまとった、女性ボーカル顔負けの繊細で美しすぎるダニエル君のボイス&コーラスでアンビエント・ポップ的な静寂を奏でる始まりから、「I Promise You.」とかいう無垢で真っ直ぐなリリックとともに、『ポラリス』=「こぐま座で最も明るい恒星」であるという物理学的な事実に基づいた、地上の暗闇を切り拓き星空を突き抜け、そして地平線を超えて『北極星』として煌めき放つかのような、これまでの全てのディストピアから解放するダニエル君の超絶ハイトーン・ボイスへと繋がった瞬間、人類は「エモさ」の限界点を超える。

本棚の裏 ・・・オープニングから続いたディストピアの世界から開放された彼らテッセラクトは、それと対になる楽園都市”Utopia”に辿り着く。ダニエル君の歌い始めから「ジェント界のメイナード・ジェームス・キーナン」を襲名するこの曲は、Destiny Potato顔負けの軽快なリフやラップ調のボイス・パフォーマンスを垣間見せたりと、それこそToolSikthというテッセの”ルーツ”を音楽という名の宇宙空間の中で紡ぎだすかのような一曲だ。そして、ライブ作品の『Odyssey/Scala』でも垣間見せた、ダン君の超絶ファルセットボイスが不死鳥のように銀河を駆け巡る"6”Phoenix”、今作の中では最も異色ながら最も普遍的なジェントでもある#7”Messenger”、それはワームホールさながら、それはアンビエンスな音の粒子が降り注ぐガルガンチュアを彷徨うマシュー・マコノヒーさながらの#8”Cages”、ガルガンチュアの底すらない暗闇(本棚の裏)に堕ちたテッセラクト(四次元立方体)は、彼ら(五次元)の意思を三次元の人類に伝えるメッセンジャーとして、本棚の裏から2進数を用いて超絶epicッ!!な感情を爆発させる#9”Seven Names”、そのアウトロの余韻あるいはカタルシスは映画『インターステラー』を観終えた時、あるいは漫画『ジョジョ6部』を読み終えた時と全く同じものだった。

new_new_1280x720「やっぱ俺ら、お前がいないとダメだわ。復帰してくれないか?」

new_new_1280x720kkm「・・・いいけど、一つだけ条件がある」

new_new_1280x720「・・・条件って?」

new_new_1280x720kkm「お前ら今日から俺のバックバンドな?」

new_new_1280x720「えっ」

new_new_1280x720kkm「バックバンドな?」

new_new_1280x720「は、はい・・・」 

new_new_1280x720kkm「ククク...(計画通り)」 

したたかな関係 ・・・賛否は間違いなくある。そう言い切れるほど、もはやダニエル君がバンド復帰する条件として→「自分中心のバンドになれ」という要求を提示し、その条件にリーダーのアクルが屈した、そんなダニエル復帰の裏取引があったんじゃあないかと邪推してしまうほど、その光景が容易に浮かんでくるくらい「ダニエル推し」のアルバムとなっている。これまでは、ボーカルは人工知能ロボットのように感情を制御された一つの楽器、一つの音みたいな役割を担い、その音の一つ一つの緻密な作業の積み重ねによって、バンドのコンセプトでもあるテッセラクト(四次元超立方体)を構築していく音楽性が彼らの特徴で、その点では前作はバンドとアッシュ君のエモ・ボイスのバランスは理想的だったが、今作では「絶対的なフロントマン」すなわち「ジェント界の夜神月」になりたいダニエル君側の思惑と、テッセラクトがKscope入りしてPost-Progressive化したことを界隈の幹部に認めさせたいアクル率いるバンド側の利害が一致した形と言える。つまり、これまで音の根幹を担っていたバンド側が、今作ではダニエル君のボイスという名のリード楽器に逆に引っ張られる形となっている。なんつうか、この一種の「したたかな関係」というかビジネスライクな関係って、まさしく「ジェント界のDream Theater」と呼ぶに相応しいというか、皮肉だがその「したたかな関係」が明るみになった所が、今作一番の面白さに繋がっているのも事実。しっかし・・・いいね~この関係性、ゾクゾクしちゃう。

答え ・・・これまでのジェント然としたポリカルなリフ/グルーヴ主体というより、ハンス・ジマーが手がけた映画『インターステラー』のサントラあるいはPost-P界の元祖であるピンク・フロイドリスペクトなアンビエンス/プログラミングを筆頭に、まさしくポスト-系特有のリリカルな展開力だったり、ラップやファルセットを駆使したダニエル君の実に"オルタナティブ"なボイス・パフォーマンスだったり、そして唯一のゲストがジェント界隈からではなくオルタナ界隈からという人選的にも、確信的にPost-Progressive界隈の音に直結したオルタナ/アート・ロック風のアレンジを軸に楽曲を組み立てている。当然、ジェントの特性である「音で聴かせるジャンル」として考えると、その「音で聴かせる」イメージは皆無に等しいし、もはやこれまでのテッセラクトとは別バンドとして捉えることも決して不可能ではない。もはやジェントというより"ポスト系"のバンドという認識を持つべきかもしれない。なぜなら、今作をジェントとして聴くと過去作と比べて数段格落ちしてしまうからだ。今作は、あくまでもポスト系のサウンドを主体に、そにへ調味料としてジェント成分を小さじいっぱいまぶしている形で、だからPost-Djentという呼び方がこれ以上「シックリ」くるものはない。それこそ、Leprousみたいなボーカル主導のポストジェントとして聴けば俄然「シックリ」くるハズだ。しかし、「歌えるボーカリスト」がフロントマンにいると必然的にこうなってしまうのは、もはや仕方のないことなのかなというか、これがテッセラクトなりの「ジェントをメインストリームにブチ上げる」ことへの答えなんだって。作品を重ねる毎に、初期の普遍的なジェントとはかけ離れていくという意味では、前作からのポストジェント化が著しく進行した結果、という風に納得できなくもない。でもまさか、先行公開時は地味に聴こえた”Messenger”が今作で最もギョントしてるなんて思いもしなかった。

黄金の距離感 ・・・極端な話、今作に対する評価って、『傑作』か『駄作』の真っ二つに別れると思う。勿論、Century Media在籍時のテッセラクトと比べると→「音がスカスカじゃねーか」とか「バンドのインストクソじゃねーか」とか、復帰したダニエル君に対しては「ボーカル講師の技能検定試験かな?」とか「オメーはニコニコ動画のインターネットカラオケマンかよ」とか「自慰行為はSkyharborでやれ」とか「バンドを私物化するな」とか、皮肉交じりにディスる輩も少なくないだろう。事実、それくらいボーカルアゲ↑↑からのバンドサゲ↓↓が顕著に出た作品だ。しかし、「Kscope所属のテッセラクト」であると考えれば、今作における変化は全て想定内の出来事でしかなくて、勿論Kscopeに移ったことで「音がスカスカ」になるという懸念は現実のものとなったが、アルバムを聴きこんでいく中で実は「スカスカじゃなかった」という結論に辿り着いた。それというのも→過去最高のボイス・パフォーマンスを披露しているダニエル君とバンドの距離感、パッと見「スカスカ」に思えた音の空間や隙間を埋めるアンビエンス/音響の今作における役割と存在感を考えれば、これ以上の音を入れる余地や空間はゼロに等しかったと『理解』できる。要するに→「最小の音数であることが最大の音数である」と言わんばかり、そのバンドの音とボーカルの音と粒子の音という名の無数の小さな四次元立方体が点と点で繋がって一つの大きな『惑星ポラリス』を創造し、その音と音の距離感は他でもない黄金比』で描き出された距離感であり、これは「欠けた鉄球は楕円球になり、完璧な無限の回転ではなくなる」という『ジョジョ7部』の主人公ジャイロ・ツェペリの鉄球理論と同じで、これ以上音数が増えたり減ったりしたらその時点で完璧な四次元立方体は完成しない、それぐらい極限まで研ぎ澄まされたサウンド・スケープは、まさしく「音のワームホール」としか他に例えようがない。自分も初め聴いた時は「もしかして駄作なんじゃねーかこれ」って思った。けど、どうだろう、これが黄金比』の距離感で形成された黄金の音』だと、この音の重力方程式を解明することに成功した瞬間、『駄作』が『傑作』に化け、そして気づくと僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

選ばれし者 ・・・この重力方程式を解き明かした結果→『彼ら』=???『意思』本棚の裏という【テッセラクト=四次元立方体】を介して、三次元の現代人に伝えるMessengerとして五次元の『彼ら』「選ばれた」のがTesseracTだったんだ。まさにProgressiveに『進歩』した「プログレの未来」を象徴するかのような一枚であり、そして何よりも「やっぱテッセのボーカルはダニエル君がナンバーワン!」だと確信させた一枚でもあり、そして「シックリ」とは『納得』することでもあるんだと思い知らされた作品でもあった。ちなみに、国内盤はANATHEMA『Distant Satellites』でもお馴染みのワードレコーズからという事で、昨年ANATHEMAの来日公演を実現させたセーソクとも信頼関係のあるレーベルなんでワンチャン来日を期待したいし、欲を言うならこのテッセラクトと同じく新作のLove, Fear and the Time Machineでポスト界入りを果たしたRiversideとのカップリングで来日したらリアルにマシュー・マコノヒー以上に咽び泣く自信あります。だからセーソク頼む!
 
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Lunatic Soul 『Walking on a Flashlight Beam』

Artist Lunatic Soul
Lunatic Soul

Album 『Walking on a Flashlight Beam』
Walking on a Flashlight Beam

Tracklist
01. Shutting Out The Sun
02. Cold
03. Gutter
04. Stars Sellotaped
05. The Fear Within
06. Treehouse
07. Pygmalion's Ladder
08. Sky Drawn In Crayon
09. Walking On A Flashlight Beam

マリウス・デューダ≒京 ・・・おいら、DIR EN GREY”サVカル系男子”こと率いるsukekiyoに最も親和性のあるバンドって、実はRiversideのフロントマンマリウス・デューダ君のソロ・プロジェクト、Lunatic Soulなんじゃねーかと思ってるんだが、例えばsukekiyoの1stアルバム『IMMORTALIS』の一曲目”elisabeth addict”Lunatic Soulの1stアルバム『S/T』だとするなら、二曲目の”destrudo”Lunatic Soulの2ndアルバム『Lunatic Soul II』みたいなイメージを持っていて、このLunatic Soulといえば→初期こそアコギ/パーカッション/ピアノを中心に、フルート/カホン/カリンバ/古筝などのオリエンタルな楽器を擁して多彩なアレンジを効かせた、いわゆる”Post-Progressive”然とした音響意識の高いアンビエント・ロックやってて、しかし3rdの『Impressions』からは初期二作のロック色は薄まって、俄然アンビエント寄りのモダンでアトモスフェリックなミニマル・ミュージックへと変化していった。そして、前作から約二年ぶりとなるこの4thアルバム『Walking on a Flashlight Beam』では、まさしくマリウス・デューダという人間のPorcupine Tree愛、すなわちスティーヴン・ウィルソン愛がバクハツするかのような、それこそSWの一番弟子としてのポテンシャルが宇宙の如く無限大に広がるような、前作のアンビエント路線が更に極まって、俄然スケール感が増した力作となっている。

SW愛 ・・・彼マリウス・デューダSW愛というのは、本家のRiversideを聴けば嫌ってほど分かるし、当然これまでのソロ作品にもその影響はあった。しかし、ここまで露骨なSW愛が込められたアルバムはなかったように思う。そんな彼の異常なまでのSW愛は、この『Walking on a Flashlight Beam』の幕開けを飾る”Shutting Out the Sun”を聴けば顕著で、それこそ彼が敬愛しているPTの1stアルバム『The Sky Moves Sideways』や2nd『Signify』を連想させる、さざ波のSEをバックにモダンなエレクトロが荘厳かつ神秘的な雰囲気を醸し出し、聴き手を誘惑するかのようなマリウスの深みのある歌声と実験音楽的な音使いをもって、それらを全て飲み込んで宇宙規模のATMSフィールを広域に展開していく。次の#2”Cold”では、より仏教的な音響やレーベルメイトの某TesseracTの名曲を彷彿とさせるアルペジオを駆使した、トリップ感あふれるミニマルなエレクトロニカ/アンビエント・ミュージックを繰り広げ、独特の”ウネり”を効かせた持ち前のグルーヴィなギター・ベースを軸に、マラカスなどのエスニックな楽器や胸に染みわたるマリウスの叙情的な歌声が妖艶に絡み合い、それこそTool直系の妖しい呪術を唱えるかのような#3”Gutter”、まるで気分は宇宙空間を彷徨うサンドラ・ブロックなATMS系インストの#4”Stars Sellotaped”、いくつもの狂気的な音響が重なりあって小さなブラックホールを形成するかのような、まるで地下鉄に一人取り残されたような不安感に苛まれる#5”The Fear Within”、レーベルメイトの中期ANATHEMAやレディへを連想させるUKミュージック的なモダンな音使いとレトロフューチャー感のあるオルガンが織りなす#6”Treehouse”は、初期椎名林檎†††に通じるフェミニンでアンニュイなムードを纏った、それこそ薄暗い雲に覆われた始まりから徐々に優美な光が差し込むような、これぞPost-Progressiveな、まさしくK-Scopeサウンドを垣間みせる。その流れを継いで、艶美なエレクトロとOpethあるいはStorm Corrosion譲りのダーティなアコギが暗黒街主催のエレクトリカルパレードを奇しく彩る行進曲のような#7”Pygmalion's Ladder”への流れは今作のハイライトで、そのままアルペジオ主体の#8”Sky Drawn In Crayon”から、再びIsisばりの”Post-感”あふれるモダンな音響主体の表題曲の#9”Walking On A Flashlight Beam”を最後に、この物語『SW♥LOVE♥ビーム!』は幕を閉じる。

マリウス×SW ・・・今思うと、本家Riversideの5thアルバム『Shrine of New Generation Slaves』のボートラとして収録された、実験的なインストナンバーの”Night Session”が今作への伏線だったのかもしれない。UKミュージック風のモダンなエレクトロを大胆に取り込むことで、大幅な音の洗練とスケール・アップが図られ、1stアルバムの”Out on a Limb”をルーツとしたLunatic Soulらしいダーティなオリエンタリズムと、その首謀者マリウス・デューダとかいう人物に宿る深い闇がクロスオーバーした末に産み落とされた、それこそトラヴィス・スミスが手がけたアートワークのように、無数の音がクロスしてパノラマの如く眩い光を放つイメージが直に伝わってくるかのような、まるでスティーヴン・ウィルソンに対するマリウス君の歪んだ愛情がそのまま歪んだAtmosphereへと変貌したかのような一作だ。その長年のSW愛が認められたのか、遂にマリウス君とスティーヴン・ウィルソンのコラボが実現するに至った。これは26歳の若さで亡くなったアレックという青年(ファン)のリクエストがキッカケで、アレックが歌詞をマリウスが曲を書いて、それをSWに持ち寄って実現したコラボだ。しかし残念ながら、このコラボ曲が完成する前にアレックは他界。。。ともあれ→このLunatic Soulは1st以降右肩下がりな感じが否めなかったが、このアルバムでまた挽回してきた感じする。それくらい、かなりのSW愛即ちLOVEが込められた力作なんです。

Walking on a Flashlight..
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Fallujah 『The Flesh Prevails』

Artist Fallujah
Fallujah

Album 『The Flesh Prevails』
天使と悪魔

Tracklist
01. Starlit Path
02. Carved From Stone
03. The Night Reveals
04. The Flesh Prevails
05. Levitation
06. Alone With You
07. Allure
08. Sapphire
09. Chemical Cave

Atmospheric Music ・・・2007年にUSはサンフランシスコで結成され、2009年にEP『Leper Colony』でデビュー、2011年にUnique Leaderから1stフル『The Harvest Wombs』をリリースし、昨年のEP『Nomadic』で遂にATMS界隈の住人すなわちATMS厨に見っかっちゃった五人組、Fallujahの2ndフル『The Flesh Prevails』は→1stフルこそジャケからして”ありがち”なデスコアだったけど、先のEPで培ったAmbient/Atmosphericな美意識を高め、その才能が更に開花したのが本作である。

天使悪魔 ・・・その音楽性としては→基本はブラストを多用したデスメタル寄りのブラッケンド・デスコア/テクデス系の邪悪な凶暴性と、いわゆるAtmosphericな音響(宇宙)空間すなわちATMSフィールドの中で生成される美意識が融け合った、それこそMTG風の『天使と悪魔』を体現したような今作のアートワークの如し暴虐無人なスタイルで、その美(メロディ)と醜(デス)の要素がソリッドな緊張感と共に絶妙な均衡を保っている。そして何といっても、バンドのキーパーソンとなるギタリストのScott Carstairsによる、全盛期Opethミカエル・オーカーフェルトを彷彿とさせる流麗なギター・ソロ、そのギターの導入法というか取り入れ方のセンスが異常で、それは本作の幕開けを飾る#1”Starlit Path”のギター・ソロからして顕著だ。そのDjentにも精通する、歴代のギター・ヒーロー顔負けのギター・センスは全編にわたって発揮されているが、中でも#3”The Night Reveals”のエピカルで叙情的かつ耽美なメロディ、そしてPortalあるいはCynicリスペクトなフュージョン風のフェノミナンなギター・プレイを聴かせる#4”The Flesh Prevails”や#5”Levitation”は、もはやPost-Djentと言っても差し支えないレベルだ。

Ope-Style ・・・極めつけには→その#4や#5でもそのフェミニンな存在感を示していた女性ボーカリストRoniit Alkayamのウィスパーボイスをフューチャーした、Born of Osirisで言うところの”A Solution”や前作のEP『Nomadic』で言うところの”Silent”、そしてスウェーデンのCarbon Based Lifeformsを彷彿とさせる、インダストリアリズム溢れるシャレオツでチルいサイビエント/アンビエントナンバーを#6にドヤ顔でブッ込んでくるあたりもクソ憎らしいというかクソあざとい演出で、まさにFallujahAmbient/Atmospheric Musicに対する意識の高さ、ココに極まれりって感じだ。それこそ”真性デスメタルの皮を被ったAtmospheric Music”という本来の姿、その本性を堂々さらけ出している。それはまるで、デスメタルという偽りの姿で70sプログレやってた全盛期のOpethと存在が重なって見える。とにかく、デスメタルという醜い音楽性から”美しさ”を見い出すというドM行為、そのAya-StyleもといOpe-Styleを極めしオシャンティなセンスは全盛期のオペにゃんに匹敵するし、事実それを現代で極めてるのって最近だとOGのNe Obliviscaris(ネ・バブリシャス)しか僕は知らない。現に扇情感を煽るクリーンなメロディをブラストに乗せて天まで駆け上がる超絶epicッ!!な展開力はバブリシャスと瓜二つだ。

Fallujah VS, BoO ・・・今回、比較対象としたBorn of Osirisとは少し違って、ジェント・リーなリフ回しでDjentへのフィーリングを垣間みせるのではなく、あくまでもギターのエロいテクニックやソロプレイでDjent感をさり気なくほとばしらせていく玄人風のスタイルで、もはや「キーボード()とか邪道、男は黙ってギター!」と言わんばかりの、キッズ向けのBoOよりも俄然”ツウ好み”な圧倒的ソングライティング、BoOのギタリストLee Mckinneyを凌駕し、あのトシン・アバシに迫りゆく圧倒的なギター・ミュージックに涙不可避な快作だ。現在の所属レーベルはUnique Leaderだけど、これを聴く限り次作あたりでSumerianに移籍しても全然驚かないし、むしろ今のBoOより全然勢いある。
 
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Widek 『Outside the Universe』

Artist Widek
Widek

Album 『Outside the Universe』
Outside the Universe

Tracklist
01. The Space Between Us
02. Above The Sky
03. Spiral
04. Galaxy
05. Aries (feat. Gru)
06. Stargaze
07. Orion
08. Cosmic Ocean (feat. Tomas Raclavsky)
09. ION
10. Saturn (feat. Sithu Aye)
11. Celestial
12. Falling Universe (feat. Gru)
13. The Last Day on Earth
14. Ursa Major (feat. Gru)
15. Enter Through The Sun (feat. Matthieu Romarin & Gru)
16. The Astronaut

【ジェント界のオールスター】・・・いわゆるDjentっつージャンルって、開祖Meshuggahをルーツとする正統派からプログレ・メタルに歩み寄ったDjentから女ボーカルのkawaii-Djent、メタルコアを乗っ取ったDjentからスパイス・ボーイズ系のikemen-Djentまで、一見アンダーグラウンドでニッチなジャンルのようで実はとっても幅広くて奥深いジャンルなんだけど、このポーランド出身のWidekはアンビエント/アトモスフェリック系の独りDjentで、アトモスフェリック×ポストメタルなDjentといえば真っ先にフランスのUneven Structureを彷彿とさせるが、このWidekの1stフル『Outside the Universe』は、そのUneven StructureのボーカルMatthieu Romarinや同郷のGruやビルマ(ミャンマー)出身のSithu Ayeなどの著名なDjentlmenをゲストに迎えた、ある意味でジェント界のオールスター的な作品となっている。

【Shoegazer×Djent=Shoedjent】・・・オープニングを飾る#1”The Space Between Us”から、スウェーデンのCarbon Based Lifeformsを思わせる超宇宙なアンビエント空間の中で、Hammockを思わせるポストロック流れの情緒感あふれるリリカルなメロディが華やかに美しく、そして力強くエモーショナルに咲き乱れる曲で、この時点でWidekのアトモスフェリック・ミュージックや”ポスト-系”に対する意識の高さが伺える。更に次の#2”Above The Sky”では、このWidekがやっぱりタダモノじゃない事を痛感することになる。AmbientとDjentの組み合わせは”Ambidjent”と呼ばれるくらいには有名だけど、この曲はShoegazerとDjent=Shoedjentという今までにありそうでなかった珍しい組み合わせ...というより、ジェント界隈の人間がシューゲっぽい曲やってる事にまず「シュゲー!!」って驚く。・・・で、再びポストロック流れのミニマルでエピカルなメロディをフューチャーした#3”Spiral”なんかは、それこそOGのsleepmakeswavesがジェント化したような感覚すらあって、続く#4”Galaxy”のジェント然としたガーガーガーガーガーニキガーニキガーニキ的なリフを耳にして初めて→「あっ、これってジェントだったんだ!」ってなるくらい、そのアンビエント/ポストロックの流れを汲んだ淡く繊細なメロディセンスは、少なくともこのジェント界隈では頭ひとつ抜きん出ている。

【スペースノイドマン】・・・その後も→”Stargaze”やや”The Astronaut”などのアンビエント系から、”Orion””Cosmic Ocean”などのGod Is An AstronautもしくはAtomaがジェント化したような曲、TesseracT風のアルペジオを駆使した”ION””Saturn”など、時に夜空に煌めく星のように、時に天体観測からの「あっ!あれオリオン座じゃない?」と独り言いってみたり、時に宇宙の果ての銀河に放り出されて→「あたしサンドラ・ブロック、ガチで宇宙空間を漂流中」を再現したり、かと思えば一転して深海の神秘に惹き込まれたり、時に夢のようにシネマティックな音世界を独り旅してみたり、時に独りで『惑星ソラリスとの交信』をしてみたり、時に映画『地球最後の日』あるいは『メランコリア』の壮絶なラストシーンを疑似体験させたりと、孤独死不可避な喪男だからこそ捻り出せるそれらのキモーショナルなメロディを自在に操る、まるでNHK宇宙チャンネル『コズミックフロント』を観ているかのようなサウンド(ドリーム)スケープを目の当たりにしたら最後、気づくと私はスペースノイドと化していたのだッ!・・・(続く)

【Djent化したCBL】・・・一概にジェントと言っても、基本は短尺(約3分)の曲で構成されたチルいインストアルバムで、しかしインストに感じないくらい豊富なメロディの洪水にはぐうの音も出ない。現にUneven Structureのボーカルをゲストに迎えた”Enter Through The Sun”を聴いて、ようやくこのWidekがインストだという事に気づいた(おそ)。まぁ、それは冗談だけど→ジェントには”必ずしもボーカルは必要でない”という事を証明するかの如く、孤独感に苛まれた喪男の腐敗した心を浄化するような聖なる清らかなメロディに満ち溢れ、それはまるで地球外生命体すなわちエイリアンが繭の中で孵化していく絶望的でありどこか神秘的な姿を映し出すかのよう。もはや、あのSadistik”ヒップ・ホップ化したCarbon Based Lifeforms”だとするなら、このWidek”ジェント化したCarbon Based Lifeforms”だ。メロディ以外の面では、ヘタにジェントジェントしたリフを多用するのではなくて、あくまでもマスいリズムに重きを置いた一種のポストメタルあるいはモダンなヘヴィロックとも取れるリフ回しを得意としている。 今年、ジェント界におけるオモテのBESTアルバムがAnimals As LeadersThe Joy of Motionならば、このWidekの1stアルバム『Outside the Universe』はウラのBESTアルバムと言っていい。それほどまでに、今や星の数ほど存在するDjentlmenの中でも、このWidekはペリフェリーをはじめとしたジェント界の重鎮にも決して引けをとらない、実はもの凄く先鋭的なDjentを体現しているスーパーDjentlmenなんじゃあないかって。
 
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