2007年01月05日

遺贈ってなに

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1 遺贈とは?
 遺贈とは、遺言によって財産を無償で譲与することです。受遺者(遺贈を受ける人)に、一定の負担を負わせること(負担付遺贈)もできます。遺贈は死因行為である点で通常の贈与(生前贈与)と異なり、また単独行為である点で死因贈与とも異なります(「贈与」とは贈与者が無償で一定の財産を相手方に与える意思を表示し、受贈者がこれを承諾して成立する契約です。贈与者と受贈者の意思の合致が必要なのです。そして、死因贈与は、生前に贈与契約を結んでおいて、贈与者が死亡したら契約の効力を発生させる、というものです。
 これに対し、遺贈は、遺贈者が遺言の中で一方的に財産を譲与する意思を示す単独行為で、死因贈与と法的性質は異なるのです。しかし、遺贈と死因贈与はその経済的な作用は共通点が多いので、死因贈与には、遺言の方式や能力を除いて、遺贈の規定が準用されます。また、遺贈としては遺言の方式に違背して無効となっても、死因贈与として有効となる現象も起こりえます)。
 遺贈は、遺留分に反しない限度で遺産を自由に処分できるもので、「遺言の自由」とは、実際には遺贈の自由によって支えられることになります。
 遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。

2 誰が遺贈を受けられるの?
 遺言の中で、遺贈を受ける者として指定された人を「受遺者」といいます。
 自然人・法人・さらに相続人、胎児も受遺者になれます。
 また、受遺者には、相続人と同じ欠格事由が定められています。
 受遺者は、遺言が効力を生じたとき(遺言者が死亡したとき)に生存していなければなりません。遺言者の死亡以前(同時死亡を含む)に受遺者が死亡したときには、受遺者としての地位の承継(代襲受遺)は認められませんから、遺贈は効力を生じません。ただし、遺言の中で特に受遺者の相続人に承継を認める旨が書かれていれば(これを補充遺贈といいます)、それに従います。胎児は、相続と同じく、遺贈についてもすでに生まれたものとみなされますから、胎児に遺贈することも可能です。
 遺贈を実行する義務を負担する人を「遺贈義務者」といいます。通常は相続人ですが、包括受遺者、または相続財産の管理人が遺贈義務者となります。遺言執行者がいれば、遺言執行者が相続人らの代理人として遺贈を実行します。

3 包括遺贈とは
 「包括遺贈」とは、積極財産(不動産や預金など)・消極財産(債務など)を包括する相続財産の全部、またはその分数的部分ないし割合による遺贈です(たとえば相続財産の2分の1をAさんに遺贈する、相続財産の3割をBさんに遺贈する、など)。
 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します。その結果、相続人が一人増えたのと同じ扱いとなり、包括受遺者は、遺言が効力を発生すると同時に、遺言者の一身専属権を除く全ての権利義務を引き継ぎます。そして包括受遺者と相続人とのあいだには、共同相続人におけるのと同様の関係が生じます。
 また、相続の単純承認・限定承認・放棄についても、相続人と同じルールが適用され、遺遺産分割協議にも参加します。
 ただし、包括受遺者には遺留分はなく、受遺者が相続開始以前に死亡した場合には遺贈が失効する点も、代襲相続が認められる相続人とは異なります。

4 特定遺贈とは
 「特定遺贈」とは、“自宅土地建物を長男に遺贈する”とか、“A社の株10000株を次男に遺贈する”というように、具体的な財産を目的とする遺贈です。
 特定受遺者は、特定の財産権について、贈与契約の受贈者と同様の地位に立ちます。
 特定遺贈でも、遺言が効力を生じる(遺言者が死亡する)と同時に、受遺者は当然に権利を取得します。
 特定物を目的とする場合には物権移転の効果を生じ、不特定物を目的とする場合には、これを請求する債権が成立します。ただし、特定物を目的とした物権移転の効果を第三者に対抗するためには、対抗要件(不動産の登記など)を備えなければなりません。
 特定受遺者は、相続人や包括受遺者と違って、遺言者の死亡後はいつでも遺贈の放棄をすることができます。

5 負担付遺贈とは
 負担付遺贈とは、受遺者に一定の給付をすべき義務を課した遺贈です。
 これは、包括遺贈・特定遺贈のいずれにも認められます。また、負担は遺贈の目的物とまったく関係ない事項でも構いません。負担の利益を受ける者にも制限はなく、相続人でも、第三者でも、さらに不特定の一般公衆でもいいのです。したがって、負担の履行を請求する権利は、ただ相続人または遺言執行者だけが持ちます。
 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的物の価額の限度を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任があります。したがって、負担付遺贈の目的物の価額が、限定承認、または遺留分減殺によって減少したときには、受遺者は、遺言に別段の定めがない限り、その減少の割合に応じて負担を免れます。
 受遺者が遺贈を放棄したときには、遺言で禁じていない限り、負担の利益を受ける者が自分で受遺者になることができます。

菊池司法書士事務所
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