2007年01月07日 13:47

成年後見ってなに?

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 成年後見ってなに?

 最近、全国で、一人暮らしのお年寄りがリフォーム詐欺に遇って、数千万円ものお金を騙し取られるというケースが相次ぎ、大きな社会問題になっています。
これは、判断能力が衰えた高齢者に、不当な契約を結ばせ、必要のない(そして杜撰な)工事を繰返して高額の代金を請求するという悪質な行為ですが、被害にあったお年寄りは、老後の生活資金をみんな騙し取られてしまっても、自分が被害にあったことにすら気付かず、逆に“親切にしてもらった”と感謝しているありさまです。
これから超高齢化社会を迎え、65歳以上のお年寄りの多くが、単身か、または高齢者だけの世帯で生活するという世の中になっていきます。このような高齢者をはじめとして、自分では経済行為や財産管理に不安がある人々を、経済競争の中での不当な契約などから守り、その財産権を保護し、さらには老後の生活や死後の希望の実現までサポートするのが、これからお話しする、広い意味での後見制度です。

 成年後見制度とは、認知症の高齢者の方、知的障害をもった方、精神の障害をもった方など、判断能力が不十分な人たちを、財産上の取引行為などにおいて保護するための制度です。以前は禁治産者、準禁治産者の制度が定められていましたが、平成11年の民法改正によって、従来の制度の欠点や使いにくさをあらため、これらに代ってより現代の社会のニーズに適合するように設計しなおされています。
 新しい成年後見制度は、高齢社会への対応、および成年後見を受ける人たちの福祉の充実の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション(障害のある人たちでも家庭や地域で通常の生活ができるような社会を作るという福祉理念)などの新しい理念と、従来からの本人保護との調和を旨として、ひとりひとりの個別の状況に応じた柔軟で弾力的な、利用しやすい制度を提供することを目的としています。

 新しい成年後見制度は、法定後見制度(後見・保佐・補助の制度)と、任意後見制度から成り立っています。
 法定後見制度は、民法に規定された後見の制度で、家庭裁判所が成年後見人等を選任し、権限を付与します。
 これに対し、任意後見制度は、当事者の契約による後見の制度で、後見を受ける本人が契約によって任意後見人を選任し、契約にもとづいて権限を与えます。法定後見を使うか、任意後見を利用するかは、原則として本人の選択にまかされています。
また、新しい後見制度は、従来の被後見人である旨を戸籍に記載する公示制度をやめ、新しく「成年後見登記制度」を設け、戸籍とは別の、登記による公示制度を採用しています。

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菊池司法書士事務所

田中幹子・菊池雅都

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