2007年01月08日

過払い物語 その3(商工ローン編)

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はじめに
今回は大手商工ローンSFCG(旧商工ファンド)から
1052万円の過払金を取り戻したお話です。



 依頼者のIさんは平成17年7月上旬に電話をしてきました。
 受話器を取るなり、開口一番「商工ローン、過払い!」
 これには私も面食らいました。
 Iさんは神奈川県で自動車の販売・修理・車検などを営む会社の社長さんでした。そして平成9年にSFCGから借入れ、平成17年7月5日に完済しました。
ホッとした矢先に友人から「それ、過払いになっているよ」と言われ、ネットであちらこちら調べた末に、7月8日に契約書や弁済受領書の束を持って私の事務所に依頼をしてくださいました。
 会社を経営し、高金利の借入を完済しただけあって、Iさんは意志が強く頭も切れる方でした。また、取引書類も全て保存してありました。
私がIさんから預かった契約書の山を読み解き、過払い額の推定をやりながら、同時にIさん自身にSFCGに取引履歴の開示を請求して貰いました。
SFCGは、いろいろと理由を並べて履歴開示を渋りましたが、Iさんは一月半ほど粘って、全ての履歴を開示させました。それに基づいて再計算をしてみると、実に元本だけで1177万円の過払いとなっていました。

SFCGの貸金契約は?
 Iさんは平成9年から平成17年までの契約書類や弁済証書、公正証書など、
数百枚に達する書類を持ってきました。私は真夏の暑い盛りにそれらを読まされ
る羽目になりました。

 SFCGの事業者向け貸金契約は、それは見事なものでした。
 当初の金利は38%前後(平成12年の出資法改正までは、グレーゾーンの上
限金利は40.004%でした)、社長を含め連帯保証人を3人取る、手形を担
保に差し入れさせる、執行認諾付公正証書作成委任状を取る、連帯保証人の不動
産に根抵当権を設定する、利息の他に契約料や事務手数料を取る(これは利息制
限法3条によって利息とみなされます)、さらに「利息制限法を超過する金利は
無効である旨の抗弁は主張しない」という念書を入れさせる(利息制限法は強行
規定ですから、このような取り決めは無効です)、などなど、正当な法的手法か
ら姑息なコケオドシまで、およそ考え得る限りの手段を用いて、債務者をがんじ
がらめにしていました。

 また、多くの書類に署名捺印(実印)をさせるので、債務者も自分がどんな契
約をさせられているのか理解できないでしょう。借り手が言われるままに登記委
任状や公正証書作成委任状に実印を押したら、知らないうちに担保権を設定され、
公正証書まで作られてしまうのです。

 「大手企業だから悪いことはしないだろう」なんて大間違い。やっていること
は詐欺や強盗と変わりません。通常の事業では、利益率はどんなに良くても1
0%程度ですから、そのために40%の金利で資金を借りたら、破綻しないわけ
がないでしょう。サラ金や商工ローンは、借り手を丸裸にし、夜逃げや自殺にま
で追い込んでも、自分の利益を追求する連中です。こんなところから事業資金を
借入れるのは、自殺行為以外の何者でもありません。

「よく生還できましたね」
私は何度もIさんにそう言いました。
「そりゃ苦しかったですよ。もう、意地になって返しましたよ」
Iさんはいつも苦笑いしながら答えました。

交渉してみる
 Iさんが取引をしていたのはSFCGの横浜支店。
 任意に返還する意思があるかどうか、Iさんと一緒に横浜支店を訪ねて、支配
人と話し合いを持ちました。
 SFCGは、過払い額の6〜7割ならすぐに返還する。それ以上を求めるなら、
訴訟を起こして処理してくれ。うちは最後は和解するが、すんなりとは終わらせ
ない。期日を何回も引き延ばして嫌がらせをする、と答えました。
 Iさんと話し合って、過払い額の8割を求め、応じなければ訴訟を起こすこと
にしました。Iさんがご自分で支配人に8割の条件を申し入れましたが、しばら
く待っても返事はありませんでした。

訴訟を起こす
横浜地裁に不当利得返還請求訴訟を提起しました。概略は以下の通りです。

平成17年 9月26日 起訴
平成17年11月15日 第1回口頭弁論 SFCGは答弁書を出して欠席
平成17年12月20日 第2回口頭弁論 SFCGは6割の和解を提示
                   Iさんはこれを拒否
平成18年 1月24日 第3回口頭弁論 Iさんが元利合わせた8割を提示
                   SFCGは持ち帰って検討する
平成18年 3月13日 第4回口頭弁論 SFCGは諾否の結論を出さない
平成18年 4月 3日  第5回口頭弁論 SFCGの申出で期日を流す
平成18年 4月17日 第6回口頭弁論 元利の8割で和解成立

本人訴訟の負担は?
 横浜支店の支配人が予告した通り、SFCGは何回も期日を引き延ばしました。
 Iさんは経営者なので平日の昼間でも仕事の都合はつけられますが、それでも
裁判がいつまで続くか分からない不安と、SFCGの対応の不誠実さに苛立ってい
ました。気丈なIさんにも、裁判の精神的な負担は軽くはなかったのでしょう。
 また、今回の裁判では、裁判所の和解の勧め方に強引な印象を拭えませんでし
た。裁判官の発言には神経を逆撫でするような傲慢さがしばしば感じられました。
民事裁判は8割以上の事件が和解で終結し、また裁判官の評価はこなした事件数
で決まるという事情もあって、ほとんどの訴訟で常に和解が試みられます。
 しかし、大手貸金業者相手の過払い返還では、不当利得の返還義務は明白な上
に、被告の支払能力には何の問題もないのですから、
「金額はどうであれ、相手はとにかく支払うって言ってるんだから、あなたもそ
れで納得しなさい。それが嫌で全額を求めるって言うなら判決を出しますが、き
っと長引きますよ。相手も控訴するでしょうから、どうぞ最高裁までやってくだ
さい」といったスタンスには疑問を感じざるを得ませんでした。
 どんな裁判官に当たるかは運次第なのですが、安易な事件処理で貸金業者のゴ
ネ得を助長している裁判官の存在も否めないようです。現在のキャリア・システ
ムでは、世間知らずの試験秀才が任官していく弊害は否定できないでしょう。

 余談ながら、普通、地方裁判所では最初の口頭弁論を法廷で行い、2回目以降
は場所を和解室に移して弁論準備手続を取るのですが、横浜地裁本庁は建物が新
しく、簡易裁判所のようなラウンドテーブルの法廷が用意されていて、続行期日
でも弁論準備手続ではなく口頭弁論が行われました。口頭弁論なら公開が原則な
ので、私も法廷に入って話し合いを全て聞くことができました。
 裁判所の施設(部屋の名前)によって口頭弁論か弁論準備かが分かれ、それで
傍聴の可否が異なるのも変な話ですが。

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