208を試乗したときに、308のディーゼルがあるというので試乗させてもらいました。エンジンは1.6Lの方。ボディはハッチバック。
NEW308は以前に試乗させてもらいました。それと直前に試乗した208との比較になります。

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内外装
フロントシートは208同様沈み込みを許しその先で体を受けて支持するタイプ。ただ、つくりは違うようでこちらの方が良い感じ。208で感じた腰への圧迫感は感じなかった。リクライニングはこちらは無段階になりランバーサポートも装備される。
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シートはなかなかいい感じ

リアシートはやや低い。少なくとも208に比べて。そのため208と比べて足元の広さは大差ないし、足を投げ出す姿勢となり、足首の角度がややつらい。ただ、絶対的な空間に不足なく高さや幅方向の余裕は明らかに208より優れ広々としている。室内の明るい感じはプジョーの美点だが、このモデルではそれほどウィンドウ下端は下げていない。
操作系は液晶ディスプレーに集約されており、空調、オーディオ、車両情報等を選択し操作画面を呼び出す方式だが、ここはやはり各機能ごとにスイッチを持たせる方が使いやすい。メーターと言いハンドルと言い、このやり方に御利益は感じず、単なるデザイナーの暴走としか思えない。以前試乗した時も感心はしなかったが、今回はますますその感を強く持った。
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新コンセプトの操作系だが御利益は?
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このタッチパネル操作はいただけない

走り
車外でエンジン音を聞く。明らかにディーゼル。室内に乗り込むと音は気にならない。空調のファンの音にかき消されているだけかとも思ったが、試乗距離を伸ばすにつれ、明らかに気にならない音質であることがわかる。カラカラ音がしない。音自体は低めの燃焼音がガソリンエンジンより明らかに大きいのだが。ちなみに圧縮比は17と一般的なもの。
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新搭載のディーゼルだが、エンジン自体は旧世代のものとか。

アクセルを徐々に踏み込み加速させる。穏やかにかつ明確にトルクが出て加速する。この力強さはちょっといい感じ。マツダとは明らかに趣向が異なる。BMWに近い。NOX処理は尿素水噴射方式。こういうデバイスを備えているから、NOXの生成を気にすることなく燃料を燃やすことができ、このレスポンスを作り出しているのかも。このように力のあるエンジンなので1500〜2000rpm+α程度の領域で十分に走ることができる。最近のディーゼル全般に言えることだが意外と回転を上げて使う制御。少なくともVWのダウンサイジングターボのように無理やり低回転を使うといったことはしない。それでいて208のようにちょっと高めの回転を維持して走るといった感じもなく自然。スポーツモードもあるので試してみるとこちらは明らかにエンジンの回転域が高まるがノイズやスムーズさに問題はない。ハンドルも若干重くなるし、音も勇ましくなる。ディーゼルでこんな音がするのかと驚いたら、スピーカーで作り出している音だとか。
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尿素水を噴射しNOXを処理する方式

アイドリングストップは装備され暑い日だったが結構作動した(208はほとんど作動しなかった)。車が止まってから更に踏み込むとエンジンが止まるもので扱いやすい。再始動は完全にブレーキペダルを離さないと始動せずちょっと扱いにくい。再始動そのものは素早くスムーズ。
あまり意味はないと言いながらもカタログ数値を見ると最大出力120馬力。実用域のトルクは十二分に出ているが、絶対的な動力性能はこのボディに対し必要十分といったところ。
乗り心地は穏やかなもの。タイヤの当たりに硬さはないし、足も柔らかめでストロークを許すもの。いわゆるフラットライドとは違い、路面のうねりや速度に応じて車体を上下させる。その動きはやわらかでスムーズなもので気に障る部分はない。
ハンドルの感触も穏やかなもの。中立付近はスムーズに動くしそこから切り込んでいっても動きが変わったりハンドルの重さが変わったり、固着したりといった事が無い。ハンドルの重さは100km/hを超えたあたりから急に重くなるというか、中立付近を締め上げるようになるのが気になるが。小径ハンドルを用いることで、アシスト量を増やさねばならないし、丁寧なハンドル操作も難しくなるので車側が相当に外乱に対して冗長性を持たなければいけないし、アシスト量を増やしつつもドライバーが気に障るような制御を避けなければいけないが、そのあたりはうまくいっている。少なくとも208よりはずっと穏やかで気に障る部分はない。例えば、轍の影響は受けにくいし、その中でタイヤ幅1本分くらい車線を修正しようとしても、違和感なくちゃんとできる。車線内で気ままに微修正しながら走ることができるという、普通の車として最も大切な部分は外していない。
燃費は車載燃費計で17km/lを超えていた。試乗ルートの流れは良く信号も少なかったがこの数値はかなり良いと言える。同じルートを走った208は8km/l。

バリューフォアマネー
ハッチバックで299万円。ガソリンの20万円高。なかなか魅力的な価格設定。メタリックペイントになると追加料金というのは気になるが。
ライバルと比べると、VWゴルフとは馬力的に見ると1.2lとの比較になるので20万円ほど高い。だが実用域のアクセルレスポンスは上々で魅力的。1.4Lと比較しても見劣りしない。
アクセラと比較すると同じような価格だが、アクセラは2.2Lディーゼルでサンルーフまで付く豪華仕様。馬力的には最近出た1.5Lディーゼルとの比較になる。そうすると50万円ほど高くなる。向こうの実力は把握していないので何とも言えないが。
こうやって比べてしまうとそれほど戦闘力があるわけでもないが、車としては十分に魅力的で周りはどうでもよくなってくる。