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タイトル 大番長
ブランド ALICESOFT
リリース 2003/11/30
私的評価 ■■■□□

東京は新宿に開いた魔界へ通じる大穴の影響で、10代だけが突然変異した日本で繰り広げられるスクールウォーズ。

■あらすじ(OHPより)

200X年。突如として日本の中心に開いた大穴、通称「魔界孔」。魔界孔の出現に伴ない発生した天変地異により、大地はねじ曲がり、海は分かたれ、日本は列島の姿を失った。時を同じくして各地に現れた漆黒の結晶「Bクリスタル」から発生した、 Bパワーは人間の肉体に超常の能力を呼び起こした。能力者は「特体生」と呼ばれ、 一般人の恐怖の対象となり、日本は暴力と恐怖が支配する闇黒の時を迎え、諸外国からも隔離された。しかし魔界孔出現から一年後、強力な意志と戦闘力を持った一人の男が、全国の特体生をまとめて学生連合を作り上げ、日本に秩序を蘇らせる。だが、その秩序も仮初めに過ぎなかった…

■概要

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 アリスソフトが2003年にリリースした「大」シリーズ第二弾。ジャンルは第一弾から引き続き陣取りSLG。「大悪司」との違いはおもに世界観のみで、後述する理由により完成されたタイトルにもかかわらず、当時は「たけしの挑戦状」(クソゲー)と評された。

■シナリオ

 舞台となるは平成の日本。この世とあの世をつなぐ大穴(以下、魔界孔)の影響で地殻変動を起こし、めちゃくちゃな地理になった列島でその魔界孔を塞ぐために全国の高校番長と闘い、全国制覇する物語。

 シナリオライターの地の文を書く技量が「大悪司」と比べ大幅にレベルダウンしているため、シナリオのプロット自体は前作と大差ないものの話を読み進める手がつらい。口語調の鍵括弧が多いこの手のゲームテキストでも地の文がライトノベル級だとことのほかつらくなるということを体を張って証明してくれた殊勝なタイトルとなってしまった。

 じつはプロットにもやや問題があり、大番長というタイトルから連想する学生同士の抗争、ヤンキーマンガ的なシナリオ展開は中盤までで、以降、魔物がでてきてスクールウォーズどころではなくなってしまう。エロゲーでヤンキーモノという類まれなコンセプトであったため、個人的には最後までその路線でシナリオを煮詰めてほしかったと感じた。

■グラフィック

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 時代不相応なものも少なくなかった「大悪司」から相応のものに変わった。立ち絵に関しては客観的にみても線、塗りとも不満をあげるユーザはいない、と思う。イベントCGの一部がアンクルファッキンで残念だった。具体的にいうと「あ、もうこんな時間だ。明日の仕事のために寝なきゃ」とプレイヤを現実に引き戻すCGであった。
 日常のCG、戦闘CGのたぐいは、ない。と断言したいほどに少ない(画像はそのなかでも貴重な日常CG)。

■サウンド



 オープニングムービーに使われた主題歌が巷で大好評を博していたので楽しみにしていたが、JAMプロジェクトのように無理強いの歌詞で無理やりテンションを上げる系の音楽だったためガッカリした。まるでリッチー・コッツェンのガンダムカバーアルバム(ひところ前にBMG JAPANからリリースされた超謎企画)なみに、盛り上がりどころがわからない。
 そのほかのBGMもブランド内での流用が目立ち、残念ながら本作でなければ聴けない名曲というものが存在しない。

■キャラクタ

 主人公を含め登場するキャラクタの半数は特体生という、いわばサイヤ人。そしてだいたいがヤンキーを基調にしたキャラ付けをされている。この世界観は私的にとても好み。途中からどうみても高校生ではなく、またヤンキーというコンセプトも失ったキャラクタ主体になるところが残念だ。アリスソフトらしいといえばらしいが、九州地方の番長などはもはやジャンヌダルクである。もう「大革命」とタイトルまで改題を迫られる勢いのカオティックマーダー。

■PICKUP - 韋駄川煉

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・数年前の抗争で他界している北斗に語りかける煉

 「大番長」というタイトルを体で表しているキャラ。見た目もしゃべりも『特攻の拓』あたりを基準に作りこまれており、国内に出回っている多くのヤンキーマンガを読了したと自負するぼくのような人間は歓喜のあまり不運(ハードラック)と踊(ダンス)った。おおむねハッピーエンドを迎える比率の高い本作において、韋駄川煉のエンディングは定番だが涙なくして語れない。佐木飛朗斗節全開のセリフとくだりがコテコテのパロディにもかかわらず笑うことを許さない。
 「――行こうぜ、ピリオドの向こう側へ」

■PICKUP - デビル大悟

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 まんま『デビルマン』をパロディした男で、当初は普通(?)の特体生だが氷穴での遭難を機に悪魔合体してしまう。唐突にデビル化するくだりは必見。何度読み返しても教室のドアをブチ破ってドラゴンリングインしてくるところでビールをこぼしてしまう。世界観にまったく調和していないところが最高におもしろい。主人公に「おまえのジャージのロゴ、なんでGなんだ。そこはAかDだろ」とツッコまれ、これは「ジャージのGだ!」と返すくだりも必見。

 大番長に限らず「大」シリーズのキャラクタはモブすれすれのキャラまで徹底して作りこまれており、アリスソフトの老舗ブランドとしてのプロ意識を感じる。しかし「グラフィック」「キャラクタ」どちらの項に書こうか迷ったが、主人公のナスビカット(髪型)はなにを表現したかったのか、最後までわからなかった。もしやウルフカットを描きたかったのだろうか。

システム

 System4.0。基本的に「大悪司」のシステムをそのまま流用しているので前作と大差ないが、新作なのだからせめて地域に配置したキャラクタの一括解除くらいは新機能として登板してほしかった。周回プレイ前提でどうしても作業勝ちになってしまうゲーム性で、この痒いところに手の届かないユーザインターフェイスはちょっとつらい。外交ばかりでなく内政にも目を向けないといけない作りはSLGとしてやり応えあるが、とある建物を作ってしまえば最後までそれだけで資金が不足することはない。裏ワザというほどのテクニックでもなく、最終的にはだれもがそうするであろうゲーム性の薄いシステムに成り下がっていたため、いっそ本作では思い切って「内政」をオミットしてしまってもよかったのではないかと感じた。

 そしてなにより問題なのが、ずばり難易度。以下「総評」として説明したい。

■総評

 このゲーム、クリアだけなら慣れてしまえば一般的なSLGと変わらないかむしろそれより低い程度だが、エロゲーである以上、キャラクタ個別の攻略が前提としてある。「キャラクリスター」と名付けられたそのキャラ個別攻略が問題で、普通にプレイしていては到底達成不可能な条件となっている。開発者の曰く「最近(03年当時)はインターネットですぐに攻略情報が出回ってしまうので、それを考慮した難易度にした」とのことだが、実際、2ちゃんねるスレッドに集まった有志が総出で攻略、果てには解析までしたにもかかわらず、一時は「メインヒロインすら完全攻略不可」とされた時期があった。解析までして攻略できない難易度とはいったいなんなのか。これが冒頭で「たけしの挑戦状」と書いた所以である。現在、すべての攻略情報をウェブ上で確認できる状況になったからいいようなものの、もし匙を投げられていた場合、どうなっていたのかと考えるとゾッとする。攻略本がでる保証もない隙間産業で、この理不尽とも呼べる高難度はさすがに少し度がすぎた。

 大事な部分だったので辛辣に記述しました。このゲームの世界観は大好きです。「大悪司」のアッパーバージョンとして売り出されたのでどうしても比較してしまいますが、前作を遊んでいなければ十分楽しめるはず。任侠道をコンセプトとしており女をシャブ漬けにする描写などもあった悪司に対し、こちらはヤンキーマンガの延長として比較的明るく楽しめる世界観のため、人を選ばないという点においては悪司より上でしょう。エロゲーでヤンキーモノって…… という水と油を例に出したツッコみは、あなたの胸にそっとしまってください。

(C) ALICESOFT 2003