YOUNG PERSONS' GUIDE TO DAVID BOWIE

DAVID BOWIEコレクターNIBによる自身のコレクションの忘備録。これからBOWIE関係のレコードやCDをコレクションしようと言う奇特な方のためのバイブル的blogをめざします。最近、「bowie」でググると公式facebookよりも上に表示されるが、それはちょっと違うと思う。(NIBへのコンタクトはこちら http://drj.maffy1996.com/cgi-bin/app2.cgi)

2009年10月

ベストはBEST? BESTなベスト?2

アーティストの入門編として最適かつお手軽な作品といえばベストアルバム。めぼしいヒット曲や代表曲、人気曲が収録されているのが大きな特徴だ。

とはいえ、最近のJ-POPだと通常アルバムでも収録曲の半分がシングル発売やCMタイアップ付きで、ほとんどベストアルバムと変わらないケースも少なくない。
また、デビュー1年経たないのにベスト盤リリースとか2種類同時リリースといったパターンもあり、昔に比べるとベスト盤に対する期待度やありがたみは小さくなっているような気がするのだが。

Best?Best!
(画像はイメージです)

Bowieの場合は、事実上のソロデビューが1969年「David Bowie(aka.SpaceE Oddity)」。初のベスト盤「Changesone」は1976年まで待たなければならなかった(実に1stから7年後!)。
「Space Oddity」から「Golden Years」までの11曲が年代順に収録され入門編にふさわしい、まさにベストアルバムと呼べる内容で、UKチャートでも上位にランクインした。
特に、UK初回プレスには「John I'm Only Dancing」の未発表バージョンが収録され、、昨今のJ-POP初回限定特典のはるか先を行っていたのである、素晴らしい。

RCA時代(1970〜1983)に関しては、結局、「Changesone」「Changestwo」「Golden Years」「Fame And Fashion」「Best Of Bowie(K-Tel盤)」という4タイトルがリリースされた。ただし、K-Tel盤に関しては、RCAからのリリースではなく、音質も悪かった上に、ジャケットやレーベルの曲名表記ミス、(おそらく)未公認エディットバージョンなどもあり、公式ベスト盤からは除外してもいいかもしれない。

その後は、1993年にSOUND+VISIONシリーズのベスト盤「SINGLES COLLECTION」2002年に「BEST OF BOWIE」、その他にも「ALL SAINTS」「THE BEST OF DAVID BOWIE 1969/1974」「同1974/1979」「同1980/1987」「THE COLLECTION」「THE PLATINUM COLLECTION」「iSELECT」と手を変え品を変え続々とリリースされている。また、BOXセットの「SOUND+VISION」RYKO盤(1989)とEMI盤(2004)も忘れてはいけない。

コアなファンであり、コレクターでもあるNIBはもちろん、これらの全てを購入してしまった(中には「これ必要?」というものもあったが)。まさに自分は、シングルバージョンや別ミックス、未発表曲を巧みに混入させるレコード会社の戦略にまんまと乗せられてしまった一人である。

Serious Moonlightツアーでの演奏曲を集めた「Golden Years」やインスト集の「ALL SAINTS」なんかはライトユーザーがベスト盤として購入したらがっかりするかもしれない。「iSELECT」だって、決して代表曲を集めているとは言い難い、BOWIE自身の選曲にもかかわらずである。

結局、ベスト盤の選曲はファンの数だけあるんじゃないだろうか?それでも、入門編としてオススメできるBESTなベスト盤をひとつ選ぶとするならNIBは2002年の「BEST OF BOWIE」UKエディション(2CD)を挙げたい。「SPACE ODDITY」から当時の最新シングルである「SLOW BURN」までがバランスよく年代順に収録されているからである。

【11/1追記】オススメBEST盤の表記を修正

極私的考察。ジギー祭り、再び?1

SHM-CD FLYER

10/16のエントリーでも触れたが、今年の音楽産業界で最大の話題は、やはりThe Beatlesリマスター再発シリーズ空前の大ヒットだろう。
なんせ1987年の初CD化以来、一度もリマスターされず、アナログマスターからデジタルフォーマットであるCDがリリースされ続けていたのだから、ライトユーザーまで巻き込んでの大フィーバーは当然の結果である。

さて、昨日(10/28)EMIから、Bowie関連のニューリリースがあった。と言っても、またまた旧譜の再発である。残念ながら前述のThe Beatlesとは違い、10年も前のリマスター音源である。
2007年、Bowieの還暦記念でリリースされた紙ジャケ再発の中身をSHM-CDに変更し、オリジナルLPの帯を再現しての再発である。満を持してのリリースのはずだった紙ジャケからたった2年、しかも同一マスターからの再リリースである、唖然、愕然。(もしかしたら、記念盤の出たタイトルは新しい方のマスターを使用しているかもしれないのだが、フライヤーに情報がないため未確認であることをお詫びしたい)

詳しい説明は割愛するが、SHM-CDとは盤の素材が通常CDと異なっているため、プレーヤーでの信号読み込みが安定し、より高音質になり、しかも通常のCDプレーヤーで再生可能という新しいメディアである。
今や、デジタルダウンロードの影響で音楽産業界の閉塞感は半端でないため、CDを購入するお金の自由がきく世代をターゲットに買い換え需要に特化していこうという戦略がSHM-CDでの再発の背景にある。
今回のThe Beatlesの最新リマスターが通常CDでのリリースになっているのも、数年先に「世界初SHM-CD化」という売り文句で、今回と全く同じスタイルで再発されることが既定路線になっているからだと思えてならない。

さて、そのSHM-CDの実際の音質はどうかというと…必ずしも高音質とは言い切れないというのがいろいろと情報収集した上でのNIBの見解である。
実際、NIBもSHM-CDと通常CDで同じ音源を聞き比べるサンプラーを購入して聞き比べてみた。職場の貧相なラジカセで、という悪条件ではある物の正直なところ「すごい高音質!」という感じではなかった。
「言われてみると音質が良くなっている(気がする)」というのが本音である。結論を言うと、その音源がいつ頃のレコーディングなのか? 楽器の編成はどうなのか? いつのリマスターなのか? といった条件によってSHM-CDのありがたみが感じられるかどうかは決まるのではないかと思う。

そもそも、SACD(とDVD-AUDIO)という高音質次世代メディアが開発されながら、対応プレーヤーが必要なため予測を遙かに下回る普及スピードだったことから、SHM-CD(HQCDなど類似規格もあり)は登場したのである。Bowieに関しても、「Ziggy Stardust」「Scary Monsters」「Let's Dance」「Heathen」「Reality」の5タイトルがSACDでリリースされているが、国内盤がリリースされたタイトルは1つもない。
CDのサンプリング周波数は44.1kHzなのに対してSACDは2822.4kHzという数値だけ見ても、SACDがいかに高音質かおわかりいただけるだろう。SACD公式サイトの説明だと「『原音』にきわめて近い録音・再生を実現」ということだ。

それでも、SHM-CDは手軽に「高音質に買い換えしてもらえる」打ち出の小槌だと音楽産業界は考えている。百歩譲って、新たなハードの追加無しに、音質がアップグレード出来るというのなら、よしとしよう。
しかし、今回のBowieのSHM-CDでの再発は「紙ジャケを待ちに待って購入した熱心なファン」にしてみれば、「なぜこのタイミングで」という疑問はぬぐい去れない。繰り返すが、10年前のリマスタリング音源である。
ということは、数年後に「最新リマスターでのSHM-CD再発」、いや、下手すりゃ「最新リマスターでのCD再発(復刻帯無し)」→「最新リマスターでのSHM-CD再発(復刻帯有り)」なんて暴挙だってあるかもしれない。
そして、今後、CDは音楽でなくパッケージ(紙ジャケや復刻帯)を売るための手段に成り下がってしまうのだろうか? 同じタイトルを何種類ものバリエーションでリリースするジャニーズ系タイトルのように。海外サイトのフォーラムでも今回のSHM-CDリリースに対しては批判的な意見が多数である。

NIBは悩んでいる。SHM-CDの音質を確かめるためにSACDがリリースされている「Ziggy Stardust」を購入して、その聞き比べをエントリーするべきかどうか? ジギー祭り、再び?

※このタイミングでのSHM-CDリリースで「Space Oddity 40th Anniversary Edition」国内盤リリースの気配が全くないことは、国内のBowieファンにとっての大きな損失であると言うことを付け加えておきたい。

(自称)国内最速レビュー「Space Oddity 40th Anniversary Edition」4

Space Oddity 40th Anniversary Edition

今月18日発売のクロスビート最新号にSHM-CDでの紙ジャケ再発の記事と、EMIの広告が掲載されている。
しかし、未だに雑誌やwebはもちろんEMI JAPANのサイトにさえ、「Space Oddity 40th Anniversary Edition」国内盤リリースに関する情報はUPされていない。
ヨーロッパでは10/12にすでにリリースされているのだが、ようやく今日(10/19)、タワレコなどにも入荷した。
取り急ぎ、このEU盤「Space Oddity 40th Anniversary Edition」を入手したので、聞いた感想をUPすることにする。

まず、今回のリリースのセールスポイントに「オリジナルのアナログを聞き込んでその雰囲気に近づけようと試みた」という最新リマスターがある。
1999年のEMIデジタルリマスターによってRYKO盤から音質がUPしクリアなサウンドにはすでになっていたのだが、
今回のリマスターを聞いて感じたのは「音が厚い」ということだ。
デジタルリマスターというのはややもすれば、コンプをかけて音圧を高め、高音を強調してキレ味を出すことで顕著に音質が向上したような効果を狙いがちである。
しかし、今回のリマスターでは、さらに音の分離がよくなっている事に加えて各楽器やヴォーカルの隙間までしっかりと音が詰まっている感じがした。
包み込まれるような聞き心地、とでも言えるかもしれない。
アナログレコードの音質を褒める際によく使われる「まろやかな音質」という質感が過去のリマスターよりもよく出ていると個人的には思う。

もうひとつのセールスポイントは未発表デモや別ミックスを収録したボーナスディスクである。
RYKO盤のボーナストラックや「SOUND+VISION」BOXセット、EMIでのベスト盤などに収録されていたマテリアルは前述のようにアルバム本編と同様マイルドな音質で聞くことが出来る。

「WILD EYED BOY FROM FREECLOUD」はイントロでBOWIEのつぶやきが聞こえ、オリジナルよりも若干、ストリングスが引っ込み気味でアコギのストロークが強調されたミックスとなっている。

「MEMORY OF A FREEFESTIVAL」のアルバム別ミックスはオリジナルより2分以上も長くてフェイドアウトしない完奏バージョンである。オリジナルの特長だったBOWIEのヴォーカルが左右のチャンネルを移動するミックスとは異なり、ヴォーカルはセンターから聞こえるが、フィードバックエコーがかけられている。エンディング前の盛り上がりでは、パーカッションが強調され、BOWIE以外のコーラスや合いの手なども聞こえてまさに「フェスティバル」な仕上がりとなっている。

「LONDON, BYE, TA-TA」のステレオ別ミックスは、オリジナルで左チャンネルに振り分けられていたイントロのギターがセンターから聞こえる。また、エンディングでのサビのリフレインで女性コーラスがオリジナルよりも前に出るミックスとなっている。個人的には、この曲はRYKO盤「SOUND+VISION」BOXで初出となったモノラルバージョンが一番だと思うので、いつの日かそちらのデジタルリマスターもリリースされることを期待したい。

そして「RAGAZZO SOLO, RAGAZZA SOLA」である。オフィシャルとしては、30年近く廃盤状態で一度もCD化されたことがないので、存在は知っていても未聴だという若いファンの方も多いのではないだろうか。
実は、最近まで知らなかったのだが、コンピ盤「RARE」に収録されていたのはモノバージョンだった。
今回はステレオバージョンでの収録となっている。素晴らしい!

衝撃的なボーナストラックの収録でリリース時にはファンを狂喜乱舞させたRYKO盤であったが、
今回のリリースで「SPACE ODDITY」に関してはリリースから19年の時を経て、完全にその役割を終えたことになることを最後に記しておきたい。

【10/20追記】「LONDON, BYE, TA-TA」ステレオ別ミックスの記述を追加
【10/23追記】RYKO盤「SPACE ODDITY」に関する記述を追加

失われた「聖なるもの」3

HOLYHOLY UK ORIGINAL

先日、世間を大いに賑わせたThe Beatlesの初リマスター。4万円近いBOXセットが一時品切れになるなど、不況にもかかわらず異様な盛り上がりを見せている。
The Beatlesについて、あまり詳しい方ではないのだが広告や記事などを見る限り、公式リリース全213曲がすべてCDで入手できるようになったといことらしい(The Beatlesに関してはstereo、monoなどヴァージョン違いが多いので、その全てがCD化されているわけではないだろうが)。

さて、BOWIEはどうだろう。実は、BowieのUKシングル曲(A面曲)の中で1曲だけ2009年10月現在でもCD化されていない曲があるのをご存じだろうか?(「REBEL REBEL」のシングルバージョンなどいわゆるMIX&EDIT違いは除く)
それは8月7日のエントリーでaladindogsさんがコメントしてくださった「HOLY HOLY」(ブート収録の音源はこちら)である。
この曲は1977年に「BLACK COUTRY ROCK」とのカップリングでシングルとしてリリースされたが、アルバム「THE MAN WHO SOLD THE WORLD」には未収録だ。
後にアルバム「DIAMOND DOGS」のセッションで再録音され、そのバージョンはシングル「」のカップリング曲としてリリースされている。
その後、BOWIE未公認のコンピレーションアルバム「RARE」に収録され、現在でも「DIAMOND DOGS」30周年記念盤のボーナスディスクで聞くことが出来る。
しかし、オリジナルのUKシングルバージョンは現在までに、いかなる形でも公式に再発されたことはない。

実は、1990年にRYKO社からRCA時代のバックカタログがCD再発される際に、オリジナルのシングルバージョンを「THE MAN WHO SOLD THE WORLD」のボーナストラックとして収録する計画があった。
RYKO盤の裏ジャケの表記が(Single A-side-1970)となっていることも、その計画の信憑性を裏付けている。
ところが、リマスターの作業段階でこの曲のマスターテープが紛失していることが判明し、結局、ボーナストラックとして収録されたのは再録音バージョンの方だった。

今月末、KING CRIMSONの「クリムゾン・キングの宮殿」BOXセットがリリースされるが、そこには失われたオリジナルマスターでプレスされたROBERT FRIPが所有するアナログ起こしの音源が含まれているとのことだ。
オークションでは数万円はくだらないアイテムがこうした形で聞けるようになるのはマニアにはたまらない快挙である。
近い将来ぜひ、UKシングル盤「HOLY HOLY」もBOWIE所有のアナログ起こしでCD化して欲しいものである。
「BOWIE AT THE BEEB」の時にも自身が所有するテープをリリースの歳に提供したほど、物持ちの良いBOWIEに期待したい。

※TOPの画像はUK盤でピクチャースリーブなしのリリース。下の2つはコレクターに人気のドイツ盤とスペイン盤。

HOLY HOLY GERMANY

HOLYHOLY SPAIN
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