蒼野さんから4話が届きました。




結局俺が何かを言うよりも先に、霊夢の登場によって全員が散らされてしまった。
よって今ここに居るのは再び霊夢と萃香だけである。

「全く、いつもいつもヒトの都合を考えない奴らね……
 私じゃないにしても、余りにも無神経だわ」
「あはは。でも宴会が潰されちゃったんだし、何処か鬱屈してたからその相手を見に来たんじゃない?
 いうなれば、宴会を潰した張本人なんだよ、大地は」
「俺が意図して潰した訳じゃない、そこを勘違いするな」

そう言われながらも再び霊夢によって背中を見られている、再確認したいとの事だ。
それを拒否、拒絶する意味は俺には無いので素直に服を捲って見せた。
冷たい指が俺の背中を伝う、そして肌を全て触診されているようだ。

「……古傷ぐらいかしらね、残ってるのは。
 やっぱりチルノの氷で出来た傷跡は跡形も無いわ」

どうやら背中の方も傷跡すら残ってないようだ、腹部は自分で見る限り無傷にも近い。
とは言え、そこまで綺麗な肌をしているわけではないが。

「不思議だね」
「――俺だってここまで傷の修復が早いのは初めてだ。
 服戻すぞ」
「念のため塗り薬はしておくわよ、どうせ痛むんでしょ?」
「……あぁ」

そして霊夢が塗り薬を丁寧に、そして丹念に薄く広げて伸ばして行く。
俺は何となく感じ取り、そして頭を垂れて電池が切れたように黙っている。

「――ねえ、アンタって人間……よね?」
「少なくとも、俺の両親は人間だと思うが」
「何で疑問系なのよ」
「俺が幼い頃に二人とも何処かに消えたからだ」

目蓋を閉じ、全ての機能を停止させたかのように止まっている俺。
けれども霊夢からの問いに俺は脳と口だけで何とか答えていた。

「まだ小学校にもならない頃だ、母さんが泣きじゃくっていた事を覚えている。
 深夜に、何か言い争っていた様な、そんな記憶が有る。
 それから数日もせずに母さんが居なくなって、それで俺は――」

クソ親父を憎んだ。
と言っても当時ではない、中学生になる頃からだ。
母さんを泣かせ、そして去らせたあいつが憎くて仕方が無かった。
更には母さんが去ってから次の週くらいに、あの親父も家を去った。
後に残されたのは小学生には大きすぎる家と寂しい空間、思い出と温もりが詰まって苦しいだけの現実だ。
泣きじゃくる俺を助けてくれたのは、『さや姉(ねえ)』と言う人物くらいだ。
中学生になってからは、一度も会っていないが。
不自然に言葉を止めてしまった事で気味の悪い沈黙が流れた、それに俺はただ黙っている。

「……悪かったわね、変な事を訊ねて。
 けど私だって一人暮らしだし、そこに関してはお相子って事にして頂戴」
「別に気にはしていない。ただ両親は、もうどうなってるかすら分からない。
 そんな事を確認して、何が言いたい?」
「別に、何と言うか――」
「霊夢に似てる、とか言いたいの?」

萃香が突如そんな事を言う、それに俺は何も分からずに目蓋をぱちりと開いた。
霊夢もまた、俺の背中を撫でるように動かしている手がすっかり止まって張り付いたかのようだ。
鈍い冷たさが背中に残る、それが清涼のようで気持ちがいい……

「……はぁ? アンタ、張り倒すよ」
「けど、私は何となくそう思うけどね。
 あぁ、そうそう。似てると言えば魔理沙にも似てるかもしれないけど、やっぱり感情とかの方面からしてみれば霊夢に似てるって、絶対」
「だとしても、私がそれをこいつに自分の口で聞くわけ無いでしょう。
 頭を使――いや、やっぱり良い。良いって言ってるから頭突きをしようとしない!」
「にしし……」

萃香の意地の悪そうな声が聞こえるが、何故俺が霊夢に似ているのか全く判らない。
理由、意味、重なる場所。Etc, etc.
出会って間もないと言うのに、何故萃香は俺が霊夢と似ていると思ったのだろうか?

「何となく、何とな~くだよ?
 大地もそうだけど霊夢は妖怪や人間、誰が相手でも対応変えないし」
「そりゃ、ねえ。そんな事一々してたら疲れるでしょ」
「誰が相手でも態度も変わらないし」
「態度を変えるのも面倒だから嫌(や)」
「それと、言いたいことは言うよね」
「何で相手に遠慮する必要があるのよ、言いたい事もいえない世の中に居る訳じゃないし」
「だから、大地が霊夢に似てるって事」
「その三段論法の様な物は意味が分からないんだけど……」

萃香の言葉に霊夢が答えるが、最終的に力の抜けたような声を出して手を再び動かし始める。
けれども殆ど終わり際だったのだろう、「はい、終わり」と言って軽く背中を叩いたので服を下ろした。
今着ている長袖のTシャツの上に半そでのYシャツを重ね、そして再び力なく頭を垂れて静止する。
――何も考えない、何もしない、時間がただ流れるだけ。
だと言うのに、安らぎを少しだけ感じるのは何故だろうか。

「私がこいつに聞きたかったのは、そんな無感情かつ無表情だから人間なのか気になっただけよ」
「それを言ったら霊夢だって大差ないじゃん、無感情で無表情。
 時々見せるのは怒りだけ」
「――それ以上言ったら、神社からくすねている酒を全部別の場所にしまうからね。封印して」
「そんな御無体な!?」

霊夢の宣言に萃香が心底衝撃を受けたように湿っぽい声を出した。
それ程までに酒が大好きか、この見た目――
いやいや、何を考えているんだ俺は?

「……因みに訪ねても良いか?」
「あん?」
「なになに~?」
「萃香は見た目でいくと酒を飲めるような年齢じゃないはずなんだが、どうなってる。
 お酒は18を過ぎてからだろ?」

お酒は18歳から、そう俺たちは教わっている。
何でも超能力の開発は少なくとも小学生から高校卒業までの間とされている、その間にアルコールやタバコを摂取するのは禁止されているからだ。
そして高校を卒業したら基本的に開発は終了し、継続するか否かを迫られる。
開発をしないのであれば18歳で殆どの人物が能力開発を終え、アルコールなどを摂取しても良いとされている。
――とは言え、摂取したからとばれなければあまり意味の無い規則だが。
俺がそう尋ねた瞬間に萃香がけらけらと笑い、霊夢が小さく息を吐く。
そして少しの動作をしているような音、そして俺の膝の上に重量の有る何かが置かれた。

「――これは?」
「この幻想郷の事を綴った書物よ、地名や人間、人外の事も色々書かれてるから。
 萃香は確か……これね」
「ふん……」

霊夢が本を開き、ぺらぺらとページを捲ってゆく。
そして目当ての頁が見つかったらしく、そこを開いたままに俺へと手渡してくる。
そこには萃香の事が色々と書かれていた。
――外見は変わらない、幼子のままの様だ。
斜め読みではなく、じっくりと確かに文字を理解するように目を滑らせて行った。
そして俺は――

「これはなんて書いてある」
「瓢箪(ひょうたん)ね」
「あぁ、あれか。それでこれは」
「鰯(いわし)だよ」
「ふむ……これは?」
「柊(ひいらぎ)」

読めない漢字が疎らに存在していた、そんな書物を二人に手伝ってもらいながら読みすすめて行く。
その果てに俺は本を閉ざして萃香を見て一言。

「とりあえず、長く生きてるって事はわかった」

そういった瞬間、霊夢が少しだけ頭を傾け、萃香がドベシャと音を立てて身体を横たわらせた。
別に間違った事は言って居ない、けれども何故そこまでの反応をするのか?

「え、えっと。それ以外の反応は無いの?
 一応鬼だし、山だって吹き飛ばすよ?」
「――とりあえずお前が物を集めて散らして、宴会好きでずっと酔っている鬼だって事は理解してる。
 けど、俺がさっき気にかけたのは年齢の方だ。
 酒が飲めるほどには長生きしてるみたいだがな」

そう言ってからふと思い出したように再び本を開く、そしてぺらぺらと捲って妖怪の項目を流し読みしてみる。
――先ほどのレミリアと言う少女も居た、どうやら吸血鬼のようだ。
となるとあの羽も、赤い瞳も、太陽が苦手だといいたそうな言葉も納得できる。
だが、妖怪の項目を探してもさっきのさとりや空とやらは載っていない。

「……さとりとやらが居ないぞ、出来損ないか?」
「せめて情報が足りない、もしくは製本した段階では彼女たちが記載されて無かったとか考えなさいよ。
 これでも結構高価な書物よ?」
「幾らだ?」
「1900円よ、毎日1円稼いだとしても1900日はするんだから」

……俺の金銭感覚がおかしいのか、それともこの世界での金銭の価値がおかしいのか分からない。
毎月バイトで稼いだ金額でも、10冊は買えてしまう様な気がしてならない。
そう言えばと思い出して尻ポケットを探ると財布が有ったので開いてみる、すると万札が4枚、5000が2枚、1000が4枚も存在した。
――買えるな、手持ちでも。
まあ、買わないが。

「――まあ、何でも良い。
 それよりも先に、聞き耳を立てている奴等を排除しろ」

そしてずっと気になる気配を指摘する、視界に入ってはいない。
けれども4つの気配が隣の部屋、そして襖の奥から此方を意識しているのが感じ取れたからだ。
俺は確かに成績も良くない、そして能力にいたっては『勘が良くなる程度』である。
けれども、喧嘩をしたおかげで肉体は強くなったし、気配を感じ取る力も神経質なほどになっている。
だから視線を一瞬でも重ねて色を付けられた瞬間に感じ取る事が出来るのだ。
俺の言葉を聞いた萃香が直ぐ様襖を開く、するとドシャリと一つの陰が倒れこんできた。
――レミリアだ。
他の三人はそこに存在しては居るが、レミリアほどに耳を押し付けたり眼を寄せたりはしていなかったようだ。
ぐぇ、と蛙が潰れるような声を漏らしたレミリアは、何がおきたのか探るように頭を動かして周囲を確認すると、溜息を盛大に吐いた。

「……もう、心は読まれるし行動は察知されるし。
 ユメもキボーも無いわね」
「そんなの知るか、休ませろと言ってるんだ」
「お嬢様、お手を」
「ん……っと」

咲夜の差し出した手に手を重ね、ゆっくりと立ち上がるレミリア。
そして服を叩くとこちらを見る。
まるで何事も無かったかのように、と言うか些事とでも言いたげですらある。
コイツも本によれば長生きしているとか、見た目に反して歳を大きく食っているが――
あれか、精神的に若いから外見年齢もそれに応じているのだろう。
寿命が無いのか、それとも外見が老けるのが遅いのかは俺には分からんが。

「全く、あんた等は懲りないわね……
 さっき追い出されたから大人しくしてると思ったら」
「ふふん、あの程度で諦めるようなやわな神経をしてないわ!」
「そもそも、やわな神経をしていたらヒトの心を読むだなんて出来ませんから」

そして霊夢の言葉にさとりとレミリアは動じなかった。
俺も動じない、どうでもいい。
何もかもが、全てが――
コイツラが何を考えてるのか、何を企んでいるのか、何を求めてるのか俺には関係ない。
全部、戯言だ。届かない、響かない、叶わない。
それが全てなのだから。

「せ・め・て! 看ている間は出てけっ!!」

そして霊夢が立ち上がってレミリアの方を見た、その瞬間にレミリアとさとりが弾けた様に視界から消えうせていた。
――なんだ、魔術か?
そう思ったが、何かがコワれる音が煩いほどに響き、そちらを見たら砲弾のように消える二人が見えた。
――何が起きたのか分からない、けれども霊夢が何かをしたからさとりもレミリアも吹き飛んでいるのだろう。
しかしふと見た、二人が飛んで行く先に木々がある。
綺麗に吹き飛ばされている彼女たちは、そんな木々に対して何の抵抗が出来る?

「あ――」

布団を蹴りながら立ち上がる、頭のエンジンが一度だけ回転した――そんな気がした。
裸足なのに畳を蹴り、廊下を蹴って建物の外に向かって更に床を蹴る。
何がしたい、何が出来るかじゃない。
助けたい、ただそう思った。
砂利だらけの庭、そんな場所に裸足で下りれば痛いに決まっている。
鈍い痛みが着地と同時に走り、脳に電気が走ったような衝撃が走る――が。
俺は更に衝撃が走る。

「こんのぉ、やったわね!」
「堂々と正面切って不意打ちとは良い度胸ですね。余りにも清々し過ぎて反応できませんでした」

レミリアとさとりは確かに吹き飛ばされていた。
けれども二人はそんな勢いは何処へ消えたのか、そのまま空中を漂っていた。
種も仕掛けも無い、ふわりふわふわと宙に止まっている。
それを見た俺は息を思い切り吸い込み、吐き出した口を開いたままに二人を睨んでいた。
何だこれ、何だろうなこれは。
人が空を飛ぶ? 重力だったか何だかを無視して?
ありえない……

「――如何したのさ、大地」
「……とりあえず縁側に上がりなさい、何がアンタをそうさせたのかは知らないけどね。
 けど私が休めと言ったら休みなさい、その間――私はあの二人を黙らせとくから」

霊夢がそう言いながら縁側から俺と同じように地面へと降り立ち、そして棒と紙切れを取り出してレミリアとさとりを睨む。

「あんた等はいつも自分の都合ばっかり……、振り回される私の身にもなって見なさい!」
「はっ、上等じゃないか!
 いつぞやの借りをここで返させて貰おうかしら!」
「その案、私も乗りましょう。
 ――勿論、貴女がどさくさに紛れて私に鬱憤を晴らす事を考えてなければ、共闘も有り得ましたが」
「仲良く塵芥になりなさい!」

俺の目の前にふわりと一枚の紙切れが落ちてきた、それは霊夢が放った物だろう。
それが地面に付くとほぼ同時、レミリアの方から大きな光が放たれる。
呆気に撮られて腕を交差させて防御する事しか思い浮かばなかった俺だが、訪れない衝撃を前に視界を開くと大きな槍がギチギチと音を立てながらこちらに侵入しようとしていた。
けれどもそうならない、俺に当たらないのは何か薄い光の壁がそれを阻害しているからである。
そして数秒ともたず、光の壁を前にその槍は光の粒子と化して消えていた。

「霊夢の結界は強いよ~? だから大地も安心してこっちで休めば良いよ」
「んぁ、あ――あぁ……」

萃香に言われて俺は目の前の闘争と喧騒を他所に、俺は縁側に腰掛けると足の裏に刺さった石を取り除いて綺麗にする。
――痛いと思った訳だ、数個の石が俺の足に刺さるくらい鋭かったのだから。
けれども躊躇も痛みも関係なしに一個ずつ引っこ抜いては足を綺麗にしてゆく。
そして叩いて土を落とすと、そのまま部屋へと戻った。
そこには咲夜とお空が佇んでいる。

「……良いのか、アンタらの主人だろうに」
「お遊び程度で本気になって加勢するのも野暮ですので。
 それに、勝っても負けても恨みっこなしですから」
「私は、動くなって言われてるから」
「――そうか」

命令に忠実といえば良いのか、主人想いじゃないと言えば良いのか判断に困る。
けれどもここで追求する事に意味は無く、さっさと布団の上に腰掛けて足の裏を撫でた。

「足に包帯巻いとく?」
「あぁ、そうしたほうが賢明だろうな」

萃香が俺に投げ渡した塗り薬を塗ると、包帯をきつめに巻いてもらう。
サラシの足バージョンの様な状態に俺は少しだけ笑みを浮かべ、そして一息吐いた。
――矛盾してると言えばしているのだろうな、俺も。
他人に興味は無い、けれども他人を助けたい。
そんな訳の分からない思考で無意識の中で反応し、床を蹴っていたのだから。
けれど、何故そんな事を考えた? 俺は親しい奴以外はどうでも良いと言うのに。
こんな、出会ったばかりのこいつらを助けたいだなんて気の違えた事を思う訳が無いのに。
溜息を吐いてから頭を垂れて休止状態になると、咲夜が『お茶を入れましょうか?』と聞いてきたので有り難く受け取る事にした。









※ さや姉
大地が幼い頃に両親が居なくなってから、中学生になるまで世話をしてくれた近所のお姉さん。
料理、洗濯、お掃除などなどの家事は勿論。買い物の仕方や倫理観、剣道等を教えた人物でもある。
重度の二刀流厨で、大地もまた二刀流を叩きこまれている。
人助けを常日頃から大地に教え、それを自身も有限実行していた。
しかし、中学生になった頃から大地の傍からふと消えてしまった。
大地は中学生以前の記憶が殆ど曖昧な為、何故居なくなったのかを覚えていない。
住所も分からず、さやかと言う名前以外に何も分からない。

※ 大地の父親
大地が幼い頃に母親の後を追うように姿を消した人物。
母親を泣かせ、家出をされたと大地は思っている為に憎しみしかない。
送金や、ある程度の手続きを先取りして行っている為に反発心も強い。
毎月一通くらいのペースで手紙が送られているが、大地はポストの取り出し口にガムテープで幾重にもテーピングをして封じてしまっている。
仕事は学者で、ナノマシンの理論を発表。飲むと脂肪を燃焼する飲料、食べると筋肉質になる錠剤などを開発・研究した。
大地自身は使う気が無いのでしまわれているが、学生が貰うには多すぎる小遣いを生活費と共に仕送りをされている。

※ 気について
大地の住まう世界では、学生でも都市を襲う化け物に対処する為に簡易的な武器の扱いや、気の鍛錬などを一部の生徒が受けている。
その場合奨学金や活動によっては内定が貰える為、大地はそちらに志願して高校へと入った。
気の扱いは様々な分野があり、肉体強化や治癒能力の強化、上位になると気を使って他人の気に作用して救助活動なども出来るようになる。
因みに大地が得意としているのは探知系と肉体強化。
後は気を小石のように固めて飛ばす事しか出来ない。

※ 助けたい
かつて大地がさや姉に教わった教えで「他人には出来る限りで良いから優しく」と言うものがある。
大地は否定するが、敵対さえしなければ無条件で手伝いや助ける事をするくらいに染み付いている。
心の凍り付いている今は、多少恥ずかしいと思う節がある。

※ 漢字が読めない
漫画を読む事が多く、本を読む事はあまり無い為に難しい漢字や聞きなれない用語は分からない。
ただ、学年程度の学力はある。数学はテスト前に猛勉強しなければ致命的のレベル。
保健体育は裁縫や料理だと割り切ってしまったが為に早々から居眠りやサボりを敢行、そのせいで『異性』とか『性に関しての知識』は純真無垢な子供レベル。
大地に言わせると、兵士が畑で取れるのであれば赤ん坊も畑から取れるらしい。

※ 両親
大地の母親は小学生の頃に家を出て行き、父親も一週間後に姿を消した。
その理由を大地は知らず、何故二人とも居なくなったのかは知らない。
しかし、すぐさま現れたさや姉と言う存在によって何の疑問も抱かぬままに中学生まで育つ。
ただ父親からポストに手紙が投函されたり、生活費が仕送りされているあたりから生きているらしいことは分かる。

                     ☆

――父親は科学者であり、かつて研究の一環として別世界と言うものを研究していた。(指示されていた)
  26歳の時に異世界へと通じるホールを作り、短時間ではあれども繋ぐ事に成功する。
  その時に研究チームがホールを潜って異世界へと向かい、調べる事になった。
  そこで出会ったのが大地の母親である女性で、城から抜け出した王女だった。
  色々と研究、現地の事を教えて貰ったり、言語を学んでいるうちに親しい間柄となり、結局連れて帰ってきてしまった。
  その後結ばれて家庭を持つも、状況が危うくなって父親は母親を逃がす事を決意する。
  無断で装置を作動させ、母親を逃がした父親だったが、その事が気付かれて研究所で軟禁、研究に従事したまま帰れなくなる。
  母親も数年ぶりに帰った国では、既に危篤だった母親との再会で国を背負って立つ事になる。
――余談では有るが、大地の父親は異世界との通路を探す事とは別に不老不死や肉体強化の薬を開発させられていて、大地が再会した時には実験の影響で擬似的な不老不死になっていたが、それは今の大地には経験していない未来である。