コウマさんから百五話が届きました。



ブログ視聴者が幻想入り第百五話「傷だらけの正義」






別世界の光真と天子。
二人は、操られている妖夢と鈴仙を前に戦闘を開始した。
しかし天子は……力があまり出せないことに気付いた。
「え……」
「あの二人の仕業だ。君は力を制限されてる」
二人から弾幕が発射され、光真は天子と共に回避する、
「ど、どうするのよ!?」
「やるしかないさ……助けなきゃ。何が何でも」



光真の持つ赤い妖刀「縁(えにし)」

天子の持つ「緋想の剣」



それぞれで弾幕を斬り裂き、または弾く。
「俺たちは奴らに狙われている、だから送りこまれてきたんだ」
「人気者は辛いってことね……ま、悪くないわ。こういう状況でなかったら!」
天子が返す様に弾幕を放つ。
光真はその弾幕を隠れ蓑にし、距離を詰めた。
しかし、相手はあの鈴仙と妖夢。
簡単には……いかない。
光真の突撃を宙に飛んでかわし、そこから弾幕と同時に……妖夢は、斬りこんで来た。
「!?」

それは、以前戦った時より……速い

もっとも、以前白玉楼で妖夢と戦ったのは光真でなく、実は光魔だったのだが。
妖夢は強化されている、黒慧音によって。
その踏み込みは予想外で、光真は仕方なく……刃を盾にした。
金属音とも思えぬ音が発せられ、普通なら折れる刀は……折れていない。
さすが、妖刀なだけあり普通でない。
「っ!」
「何やってるのよ!」
天子が鈴仙に弾幕を放ち追撃を緩め、光真の元に来る。
だが、光真は……真剣な顔になっていた。

「まずいな、あの二人の力が上がってやがる」
「それがどうしたのよ、この私にかかればあんな奴ら」
「俺達を、本気で殺そうとしてるんだ……」

その言葉に、天子は止まる。
鈴仙も宙から降りてきて、妖夢と共に歩いてくる。
「天子、殺し合いになって……君は」
「ふざけないでくれるかしら?……この私が、誇り高き天人が、その程度で退くと?」
「……すまん」
「いいのよ、下僕を助けるのは主人の務め……って!?」
目の前に妖夢。
天子と光真が慌ててとびすざるが、すぐさま上空から鈴仙が急降下。
光真に宙から、蹴りを繰り出し……腕で防御した光真ごと、後方に下がらせた。
「やってくれるじゃねえか!」

さすがは元軍人、近接もお手の物らしい。

光真は鈴仙、天子は妖夢と向かいあっていた。
「このっ……一度負けた分際で!」
天子は両手を突き出す感じで近づいた妖夢を弾き飛ばす。
妖夢は防壁を展開していたが、それでもとっさだったのでおさえきれなかったようだ。
光真は妖刀「縁」を鞘に戻し、鈴仙の脚をつかんだ。
「女だからって容赦しねえぞ!」



元々は、別世界の光真はこの世界の光真、つまり光魔と魂レベルで一緒だった。
その時性格もごちゃごちゃになっていたのだが……別世界の光真は、本当に容赦がない。
融合してた時は、女性にも穏やかだったのだが……分離した今、情けなどない。



地面にたたきつける感じで振りおろし、鈴仙はそこで、ゼロ距離から光真に弾幕を撃ちこんだ。
「がっ!?」
腹部に喰らい、鈴仙を離してしまう。
地面に降りた鈴仙はそのまま光真に向かう。
拳を握り、一瞬で肉迫していた。
普段打撃を見せない彼女だが、今回初めて見せていた。
「このっ!」
光真も銀のオーラを輝かせ……そのまま組み合う寸前で互いの拳が飛びかう。
0コンマ何秒の間に何発の拳が放たれているだろうか。
鈴仙の拳、光真の拳……だが、どちらも当たらず、さばかれる。
光真が左を打つ前にすでに鈴仙から左が放たれている。
しかしそれを恐れず光真は左を止め、右を放った。
カウンターが決まると思いきや、鈴仙は少し首をずらしただけで対応し腕が交差する。
光真も予想していたのか、彼女は寸前に身体をわずかに動かし、軌道をずらした。
そのままいったん、二人は離れる。
鈴仙のは、月独自のものかわからないが……光真にしてみれば、柔術っぽい気がする。
光真はオーソドックスに両拳を顔の前で構えている。



光真(こりゃ腕を掴ませたら終わりだな、絞め技が来る)



鈴仙の長髪が、ざわつかせて対峙する光真に存在の強さを知らせていた。
そして再び二人は詰め寄る。
先ほどとは比べられないスピードで、一気に距離を潰す。
光真は、今度は足を使っていた。
鈴仙の目の前で左右前後に高速で動き、牽制がわりにジャブの連打を放つ。
と、鈴仙は両手をやや近づけて構え、付かず離れずの間隔を保ちながら同時に動かす。
どちらの手も防御を行い、光真への攻撃は何故か自然と時間差で繰り出されている……

まるで結界だと光真は思った。

こちらの攻撃が自動で防がれ、迎撃されているような感じがする。
そして鈴仙はジャブをかわし攻撃をしながら足を止めるため、右のロ―キックを放った。
それに気づき光真は手を止めながら、鈴仙の迫る右足をかわすため彼女の左側に踏み込み、
勢いを利用し左のショートアッパーを放った。
しかし読まれていたのか、手を添えられ力が受け流されてしまう。
柔らかい、無駄のない流れ。だがそれは対峙する相手には危険なものだ。
やばいと感じ腕を即座に離そうとしたその間、今度は鈴仙が接近した光真に、触れようとした。

だが光真がショートアッパーをにしたのは、すぐにおろせるようにである。

視界に入った瞬間スローに見え、この距離ではかわすより……
光真の挙げた左腕、特に肘部分に瞬時に霊気が集まり、下ろしながら肘の部分をその進路上に向ける。
霊気で強化された肘は、瞬時に盾に変わった。
鈴仙はそれを知り、寸前で掌底に変える。
それぞれ違うが、質は同じ力がぶつかり、気が弾けて周囲に光が生じる。
光真はその力を利用し、跳びながら鈴仙から一度距離を取った。
この間、わずか数秒の出来事だ。
(くぅ! 肘に衝撃が走ったぜ!)
正確な打ち込み、そして判断力の速さ。骨にまで痺れが走った……本当に強い。

しかも、瞳を使われたのか……その姿が何人もいる

「くっ」
自身一人で鈴仙の幻影を合わせ戦わなければならない。
そして天子の方は、妖夢と弾幕の撃ち合いで忙しい。
自身の要石がまるで矢のように飛んでいくが……それを妖夢はさばいていた。
「本当にうざったいわね!」
「……天子! ここは任せていいか!?」
「はあ!? 何を……あ、あんた」
隣に戻ってきた光真。
その光真の姿が、ぶれていた……
「時間が、ない……」
「……ああもう、今度何か食べさせない! それで許してあげる!」
そう言い、天子が弾幕を前面に大量に放出する。
それが、鈴仙の幻影を打ち消し妖夢をひるませた。
「行きなさい!」
「すまん……天子、ありがとう!」
光真が一気に駆け出し、それを覆うとする二人を天子が食い止めるため遮る。



天子「あんたらも……誰に喧嘩売ってるか教えてあげる。光真の分もね」



ただ一人。
天子は己に似合わないと思いながらも……緋想の剣を、地に刺した。
光真と一緒に歩いた、あのころの姿を思い浮かべて、ただ戦う。
そのころ光真は走っていた。
急がなければもう時間が無い……しかし

「……そんなにまで、俺を光魔に会わせたくないのか。慧音!」

目の前に、因幡 紅と白河 雷人。
どちらも以前の光真と親しかった外来人。
それを当ててくると言うことは……黒慧音が、二人を操っている。
「とことん、腐ってやがる」
二人はすでに光真を敵と見ていた。

「「不動 光真……消えろ」」

光真に言うような言葉でない。
二人は、完全に黒く染まり……己の相棒も、染まっていた。
「ちっ!」
因幡が竹光を振るう。
彼お得意の魔神剣だ。
衝撃がはしり、光真はそれをかわすが、そこに雷人が突っ込んでくる。
黒い妖力をまとい、向けられる肘鉄が光真の能力によって目の前でスローに見えて、それをかわす。
次にくるは右の回し蹴り。
光真は後ろに回避し通過……だが、追撃で紅が上空から斬りかかる。
「っ!」
再びそれを回避するが、その勢いを利用しすぐさま左足の後ろ回し蹴り。
光真は再び後ろで回避する。
だが風切り音でわかる、やはり半妖なだけあって……二人は、強い。
それからしばらく彼の攻撃を避け続ける。
(一発でも当たったらまずい)
紅、そして雷人の攻撃は光真の見切る程度の能力でまだ対応できるが、反撃は難しい。
光真は紅に左ジャブを突き出す。

だがこれはフェイント。

寸前で止め、受けるか避けるかのアクションを見せた瞬間……とどめだ。
そのまま右フックを振るう。
が、
「なっ!?」
彼はジャブを避けようともせず、フックを竹光によって弾きあげたのだ。
(やばっ!?)
慌てて返しを防ぐため、地面を思いっきり蹴って体格差を生かし紅に体当たりする。
地面をずりながら下がる紅だが、そこに体勢を立て直した雷人がいた。
そうして反撃の蹴りが飛びこんでくる。
「くっ」
それを両腕でガードしたが、180センチを超える光真も軽く後ろに飛ばされてしまった。
(体格差があってこのパワー……やっぱ元のスペックが違いすぎる)
痺れる両腕を振るい、光真は改めて差を理解した。
次は能力も使い仕留める気だ。
彼らの口元に笑みが浮かび、雷人は連打を繰り出す。
左右の拳を打ち、タイミングをずらしながら蹴りを、膝を打ちこんでくる。
光真はそれを全てかわしながら待っていた。
そうして、光真の胴に向かって前蹴りがつきだされた瞬間、
光真は蹴りをかわし、それを左拳でさらに横に弾いたのだ。
そして雷人の体勢は大きく崩れる。

が、突如背後に回った紅の蹴りが光真の背に直撃。

「がはっ!?」
光真は前のめりに吹っ飛び、地面を転びながら立ち上がる。
しかしその瞬間


Spell Card Set!!
邪神木【七支黒】


本来の「神木刀」と似たスペル……それをスペルカードとして宣言する。

竹光から七本の枝が出て、大きく伸ばされた竹光とともに黒い刺突が光真へ向かう。
「!?」
光真は妖刀「縁」に蒼の霊力をまとわせ、その場で念じる。
刀を地面に突き刺し、結界が生まれた。
それは黒い刺突をはじき返し……霧散させた。
しかし


SpellCardSet!!
木&闇符【ダークネス】


紅が別の宣言。
それは本来あるスペルと違い、闇だった。
竹光に貼り付けられたスペルカードから黒……「闇」が放出され光真に向かうが、


Spell CardSet!!
拳符【霊光拳・轟】


光真もすでに右手に持っていたスペルカードを宣言し、右拳に強い光が生まれる。
それを迫る闇に向け……突き出した。
質の違う攻撃がぶつかり合い、凄まじい衝撃波を周囲に出す。



光と闇がぶつかり……霧散



光真は震える右腕を左手で無理やり抑え込んだが、支える肩の方は限界が来ていた。
紅と雷人の闇は、この幻想郷で死んだ外来人達の怨念。
それを放出してるせいか、痛みだけでなく呪いがあった。
その意味は……二人が黒慧音の闇に、飲み込まれ始めている。

「っ……二人を「そちら側」へは行かせん!」

光真は身体を起こし、刀に霊力を込める。
妖刀「縁」……その意味は、縁を司る刀。
あらゆるモノを断ち切る、それができる刀。
だが、代償もある。
それは……

(……時間が無い)

二人の弾幕をかいくぐり接近。
その纏っている闇を斬らない限り、彼らは引きずり込まれる。
だが……悲しいかな、スペックが違い過ぎていた。
人間でない彼らと、少しばかり強い人間。
その差が、今になって出始めていたのだった。
容赦ない攻撃と、辛うじて致命傷を帯びないぐらいのダメージ。

光真は血を吐き、その蒼に染まった身を赤く染め始めていた……

ダメージの蓄積で倒れてしまった光真。
それを冷酷な目で見降ろす、二人。



「「死ぬこと、それはお前がこの世界、この幻想郷にいる理由」」



それは二人の口を借りた……黒慧音や死んだ者たちの言葉。
首に、刃が当てられる……感じる、明確な死。
「……ふ、ふふっ」
「狂ったか?」
「ふっははははははは……狂ってなきゃ、狂ってなきゃ正義なんて言えねえ……何も、な!」
黒雷人の言葉にそう返す。
それを聞き流す様に、彼の剣に妖力が纏われた。






そのまま振り下ろされた剣は……首を、おとした






「「…………」」
ドシャッと、力なく光真の首が無い身体が地面に落ちる。
残ったのは二人だけ……冷めきったその瞳が、光真の頭部を映している。
だが、突如二人は何かによって押さえ付けられる。
「「!?!?」」
そして、刃で一回ずつ突き刺され……黒い闇が、霧散した。

何が起こったのか……そこにいるのは、三人の光真だったのである。

二人が黒紅と黒雷人を押さえ、本物の光真が妖刀「縁」で二人を一突きにしたのである。
驚くことに、刺し傷はそこになかった。
「そう……俺は狂ってるよ、狂いすぎて狂いすぎて」
『だから、わかるんだ……私』
そのそばにいるのは、悪魔の妹フランドール。
しかし、どこかぼやけている。
「フラン、ありがとう」
『だって光真は私のモノ、そう言ったからね』
何故か、それは少しだけ時間を戻る。
光真が押さえ付けられた時…



光真……光真……



自身を呼ぶ声。
それは知っている、彼女の声。
フランの声。
『心に触れて、私も……』
(俺の、心……フランの、心に……)
流れ込む、力と声。
それが……宣言する。


禁忌【フォーオブアカインド】


その瞬間、光真の意思はフランと共にあった。
気が付けば身体がその場から移動しており、二人の後ろにいる。
自身の分身の首が、おとされた。
だが同時に、残りの二人の分身が二人を押さえつけ、縁を構える。
「光りあらんことを」
突き刺し、妖刀「縁」によって……その闇を、体から断ち切った。
闇が浄化される……二人の、体から。
「……フラン」
『光真、私にもできたよ……こうして、わかりあえるって』
今のフランは、素の心がさらけ出されている。
言うなれば光真との会話も、口ではなく心の中で行っているのだ。



それが光真のもう一つの能力『心を通わせる程度の能力』



心を通わせ、互いに感じ合い……共にある。
光真はフランと共にいるとき、ずっとずっと(命がけで)遊んで笑って……色々あった。
それが、フランと光真との絆を少しずつ少しずつ強めていったのだ。
『光真は沢山教えてくれて、沢山話してくれて……』
「フラン、それは君自身が変わろうと思ったからだ……君が、努力したんだ」
『……もっと、もっと光真といたい。まだまだ教えてほしい、そばにいてほしい』
紅魔館で光真が一番長くいたのは、フランだったかもしれない。
彼女の姿を見て、光真は教師としてでなく……ただ、教えてあげたかったんだ。

楽しいってことを、沢山

『悪魔も、涙を流すのかな……その涙は、流水だってのに』
「涙を流せるのは、恥ずかしいことでも悲しいことでもない……生きてるってことなんだ」
『うん……光真、私は光真が大好き』
フランは光真に抱きつきながら、笑顔で言う。






フラン『光真……ありがとう』

光真「ああ、またなフラン……いい女になれよ」






フッと、フランの幻影が消え、同時に光真の分身たちが消える。
そして……刀を、鞘におさめた。
「おい」
光真は紅と雷人を揺さぶる。
彼らはうめきながら、目を開けた。
「……光真?」
「光真、さん?」
「おう……無事でよかったよ」
うまく浄化できたらしい。
ホッと一息ついていた。
二人は何が起こっていたのか、断片的に覚えているようだ。
「とりあえず言って置く、お前らはなんも悪くねえ……精神世界で、助けてもらったしな」
「「……」」

どうやら二人も覚えているようだ、あの出来事を。

「さって、俺はこれから用だが……人里へ行け。あっちは安全だ」
「おい、あの黒い慧音がいるなら」
「因幡……また、あいつに操られたいか?」
「……光真さん」
紅が黙り、雷人が心配そうに言う。
それを見て光真が肩をポンポンと叩く。
「暗いのはお前らに似合わねえぜ?……ま、とりあえず今までありがとな」
二人を交互に抱きしめ、光真は言う。
その言葉も、今後光真がどれほどの覚悟を持って行くのか……二人は感じとった。
「……そんなボロボロになってまで、なんでそこまでするんだよ……お前は」
因幡がそう言うが、光真は微笑み、答える。



「未来が欲しいなら、戦うしかないんだ……進む者こそ、誰かを救える。
 確かに明日があるかわからないさ……それでも、俺は戦うことを知ったんだ……
 なら、進むしかない。傷つきながらでも、な……いつか見えてくる「ヒカリ」がある」



そう言い、光真は血の涙をぬぐう。
すでに、限界も近づいていると……二人を見て、元気に、言い放つ。






この世界で、お前らに出会えてよかった……あばよ!






そして光真は、走り出す。
時間もすでになく……全てを、懸けていた。
「……馬鹿野郎、でけえ死亡フラグ立てやがって」
「でも、あの人は……俺たちの知ってる人じゃ、ないんだな」
どうやら感じとったらしい。
まあ、二人が精神世界であの光真の正体を知ったからだろうが……
しかし

「「役立たずが……」」

二人のそばに突如弾幕が。
だが、それを二人は即座に回避しており……目の前に、自身と同じ姿が。
「へっ……悪党の考えることだな」
「用無しには消えてもらう……本当に王道だ」
紅と雷人。
自身の偽物を見ても、その戦意は衰えない。
「負けたらあいつに笑われちまう……どきやがれ、まだ死ぬわけにはいかねえんだ!」
「今だけ自分の狂運が無い、それだけで新鮮な気分だけど……俺は真っ黒じゃない」
偽物達が、自身の得物を構える。
紅と雷人も、復活した自身の「相棒」と軽口をたたき合い……そして、再び戦いが始まった。






~あとがき~

本当にお久しぶりです、コウマです。
そして、あけましておめでとうございます!
クロスしていただいた紅さん、雷光さんありがとうございます。
さあ、いよいよ終盤。
黒い幻想郷の未来がどうなるのか。
光真も盛大なフラグ立てやがったけど……光魔はどう出る? 黒慧音は?
次回もお楽しみください!