ROZEさんから二十七話が届きました。




妖怪の山・にとりのラボラトリ(仮)





 獎「んで、前回ぽっとフラグが立ったのをあっさり折った事でにとりを怒らせ…と言うかナーバスとも鬱とも付かない状態にしてしまった訳だけど、要は俺のこの身体が元に戻るかも知れないってフラグだったんだよね?」


そう言って指差した先にはふよふよ浮かぶ小さな霊魂。

この設定忘れてる人結構多いんじゃない?作者だって時々忘れそうに…いやまぁそれはそうとして。


 にとり「そそ、すっかり忘れかけてたけどね。まあ確実に、とは言えないけど可能性は高いと思うし、試してみる価値は有ると思うよ?」

 「いやはや、始めて話を聞いた時は何故機械オタクのにとりがそう言う霊的な何かに関わる話をとも思ったが、まさか『そう言う系統の機械を発明しました』って事だったとはな」

 「それはちょっと違うな、私は『造った』だけで発明なんてしてないよ」

 「え?んじゃぁ誰がその機械を発明したのよ?」

 「それは私にも分からないよ、たまたま手に入れた設計図を参考に有り合わせの物で機械を作って、記述からそれが『反魂』の様な事を行う為に考えられた装置だって知っただけだもん」

 「なんか物凄いアバウトじゃ…それで良く可能性が高いなんて言えるな」

 「だって単純に機械としての設計は完璧だったし、実際にちゃんと動かせたのよ?」

 「それでも霊的なそれと機械が動くかは関係…」

 「まあまあ、駄目で元々、戻れたなら儲け物だって。良いから試してみようよ?」

 「…まぁ怪しい薬や魔法魔術云々を試すのと違って効果無しか成功かの二択なんだろうしリスクは低いかもな、んじゃ早速やってみますか」


そしてにとりに連れられ、機械が所狭しと並ぶラボ(仮)の物置スペースへ。

にとりが指差した場所には、どう見てもバナナをゲル状に溶かしそうなデザインの電子レンジが異様な存在感を放っていた。


 「なにこれ、まさかこれで魂ゲル状、略してゲルタマにして俺に飲ませて反魂なんて言う気じゃぁ…そんな誰得ギャグは求めてない」

 「ああいや、それは只の修理した電子レンジだよ、寒い時に胡瓜をちょこっと温められるんだけど、ちょっとしわしわでふにゃっとなるのが欠点」

 「生暖かい胡瓜…よく平気でそんな気持ち悪い食い方するな」

 「だって生野菜は身体が冷えるし…じゃなくて、件の機械はその隣、これだよ」


そう言ってにとりが指差した先に有ったのは、ガラスで出来た棺みたいな箱に機械が取り付けられた様な装置。


 「これに俺と魂入れて外の装置で魂を元の肉体に、って感じ?
あ、でもこの大きさじゃにとりは入れても俺は入れないな…」

 「そりゃあこの箱、元々は全方向から中身が見える試作冷蔵庫のボディーだもん、男を入れる大きさには作ってないよ。
まあでも魂をこの中に入れるってのは正解だよ、っと」


そう言ってにとりは背伸びして俺の上に浮かんでいた霊魂を風船を取るかの様に掴み取った。


 「あふんっ」

 「うわっ、いきなり変な声出さないでよ」

 「だってにとりにいきなり掴まれて、感じ…」

 「はいはい、分かった分かった」

 「いや折角ボケてんだから乗れよ…」

 「暇人の君に一々付き合ってたら日が暮れちゃうでしょ、良いから始めるよ」


言いつつ掴んでた霊魂を箱の中に放り込むにとり、と同時に全身に微かな冷たさを感じる。

よく見たら透明な箱の中はこれまた透明な液体で満たされている、そこに放り込まれてぷかぷか浮かぶ霊魂はまるで水槽の中の魚の様である。


 「なんかこう、水木しげるの人魂天ぷらの話を思い出す光景だな…無駄に美味しそうなんだよねあれ」

 「何それ?」

 「ああいやこっちの話。んで、後は何か機械でも操作するの?」

 「うん、でもその前に…獎、少ししゃがんで」

 「ん、少しってこの位?」

 「それじゃ高い、私の目線位まで…オッケ、じゃあ少し目瞑ってて」

 「はいよ」


言いつつ何かイイ事をされないかと期待してしまう…そう、例えばキスとか

ぶちっ

聞こえない筈の擬音が確かに聞こえた気がして、同時に頭に針でも刺されたかの様な痛みが走る。


 「いってええええええええ!!!にとり、お前髪を纏めてダイレクトに抜きやがったな!」

 「だって必要な物として毛髪か血液って書いてたんだもん」

 「うう...だからと言って今生えてるのを無理矢理抜かなくても…」


彼女は悶絶する俺を他所に、抜き取った何本かの髪を箱の中に入れて装置の電源を入れた。


 「よしと、これで霊魂の方は大丈夫かな。後は、っと…」

 「にとり、ちょっと良いか?」

 「ん?」

 「よく考えて見るとさ、こう言う霊的な事を呪術や儀式でやる時って確かに毛髪や血液が使われる訳じゃん?って事はだ、俺の血液この中に入れれば成功率も上がるんじゃないか?」

 「それは確かにそうかも知れないけど、わざわざ血を流さなくても良くない?髪の毛入れたんだし…」

 「いやね、今にとりが操作してるの見ながら爪の横に出来たささくれ剥いてたらちょっとミスっちゃってね、丁度良いかなって思って」

 「…ああ、そう言う事ね」


にとりに手を止めさせて箱の蓋を開け、剥けた部分を絞る様にして数滴の血を液体の中に落とす。


 「んじゃ、操作再開…よし、オッケー。じゃあちょっと待ってて、獎の方に着ける機械出すから」


そう言って積み上げた機械や部品の山からなにやらガサゴソと探し始めるにとり。


 「いやいや、ちゃんと分けとけよそう言うのは。大体整理が出来ないと技術者以前に人として」

 「生憎私は人じゃないからね…お、あったあった」

 「ん、何それ…見た感じ脳波コントローラーと、ノートパソコン?」

 「当たり、コンピュータはこれ用にプログラム弄ってるけどね。これを装置に付けてっと」

 「お、読めてきた読めてきた。この装置で霊魂をデータ化、パソコン介して脳波コンで式神インストールする的な感じで俺の中へって事だな?」

 「そうそう、それで反魂するって仕組みなんだと思うよ。
血や髪の毛は良く分かんないけど、多分獎の言う呪術的な意味合いか一度出ちゃって外に慣れた魂に元の身体の情報を再認識させる為の物なんじゃないかな?」

 「おお、そう聞くとなんとなく本格的っぽいな!ささ、早く脳波コン貸して」

 「慌てない慌てない。先ず椅子に座って、私が正確に取り付けるから」

 「じゃあ起動するよ、ちょっと痺れるかもだけど外さないで我慢してね」

 「え、それってどう言う…」

 「と言うわけで、ぽちっとな」


にとりがパソコンのキーを叩いた瞬間、頭の中に雷が走ったかの様な感覚。

一瞬ではあったが落雷の際の感電とはこう言う物ではないかと思う。


 「おつかれー、もう外しても良いよ」

 「にとり、なんで直前までこの事を…」

 「言ったらまためんどくさいでしょ?注射と同じで一瞬なんだし、終わったんだから気にしない。それより…」


にとりが箱を指差す、その中には先程まで浮かんでいた筈の霊魂は無かった。先程までの冷たさも今は感じないし、周りを見回しても何処にも居ない。


 「あれ?って事は…」

 「そう、成功したんだよ盟友、君は人間に戻れたんだ!!」

 「に、にとり…有難う!心の友と書いて心友(マブ)よ!いやもういっそ結婚しようぜ!」 

 「いやそれは無理」

 「くそっ、今ならいけるかと思ったら盛大にフラれた!でも全然悲しくない!もう皆呼んで祝杯上げようぜ!」

 「もちろん君の奢りでね!」

 「この前金欠にされたからそれは無理、全員自腹!」

 「ぶーぶー!しみったれ!」

 「細かいことは気にすんな、とにかく出発!」


人間に戻れた、装置が役に立ったと喜びながら物置を出て、ラボの入口へ向かう俺とにとり。

どちらも閉められた物置の中であの装置とパソコンがまだ動いている事には気付いていなかった。





十一日後・自室





俺は焦っていた。ついこの間にとりのラボ(仮)を訪れた後辺りから能力が使えなくなってしまったのだ。

山の友達と里に飲みに行った夜、偶然式神二人と店で行き合い帰りは三人で歩きだったので今の今…里へのお使いをショートカットしようとするまで気が付かなかったのである。

最初はゆかりんの気紛れで能力を封じられたのかと思い

『やはり危険分子は潰す気だったか…!』

と問い質してみるもあっさり否定され、かと言って他にどうする事も出来ずに今に至る。


 「いやいや、確かに最初は自身の能力のあまりのチートっぷりにやれ中二だ何だと突っ込んだ時期も有りましたよ?でも実際問題これが無いとお使いの利便どころか…」


その独り言を遮るかの様に携帯が鳴り出す。着信はにとり。


 「あ、そもそもにとりの所行ってから使えなくなったって事は奴が関与してる可能性だって…はいもしもし?」

 『…あ、もしもし盟友?』

 「丁度良かった、にとり、あの装置についてなんだが…」

 『ああそれそれ、私もその事について用事が有ったんだよ。ちょっと私のとこまで来てくれるかい?』

 「にとりもその事?分かった、ちょっと待ってて」





妖怪の山・にとりのアジト(仮)





 「お待たせー」

 「お、来た来た。ちょっとそこ座って、君に紹介したい人が居るんだ」

 「何だよ改まって、それに要件って装置に関する事だろ?」

 「まあまあ、それに重要な話だよ?」

 「何が重要なんだよ、終盤にラスボス化するキャラか物語の方向性が180°変わるフラグ発生キャラでも連れて来たのか?
それともまさかにとりに彼氏が出来...お父さんはそんなぽっと出てきたいい加減なオリキャラは認めんぞ!どうせ一話限りの使い捨ての癖に!」

 「違う違う、やっぱり電話で説明しなくて良かったよ…紹介したいのは女の子。良いよ、こっち来て」


にとりが物置スペースに向かって声を掛けると、奥からは髪の短い高校生位の女の子が出てきて俺を一瞥し、にとりの近くに立った。

サキdigital













 「ん、この子は?高校生か中3位に見えるけど、外来人?それともこっちの世界の?」

 「うーん、どっちかって言うと外来人…なのかな?」

 「曖昧だな…それで、なんでこの子の事を俺に?」

 「それはこの子が…」

 少女「良いよにとり、私が言った方が早いと思うし。二人とも、ちょっと見てて」


そう言うと彼女は立ち上がり、ラボの棚に有ったマルチツールのナイフを手に取った。

するとナイフの刃が青白く光りだし、彼女はそのままナイフを振る…そこから空間が切れて開き出したのである。


 「その力、俺や紫さんのと…」

 「そ、こうやって手を突っ込めば…日本じゃ中々お目にかかれない4.6mm口径の銃だってこの通り、とね。本物だよ、これ」

 「私がこの子を会わせた理由はこれなんだよ、と言ってもこの瞬間まで半信半疑だったけどね」

 「じゃあこの子は…俺の現主人公の座を奪おうとする新主人公候補か!
幾ら男不在の方が良いからって、能力同じ、武器のセレクトも同じマシンピストル系だなんて、こんな露骨な代えキャラ出すか普通!?」

 「え?これ、獎が主人公だったの?」

 「メインは女の子だけど、主人公は一応俺なの!それか俺の能力を奪い、その強大な力を利用して幻想郷に混乱と破滅をもたらす存在…」

 「どっちも違う、そもそも奪ってなんかないし」

 「だって俺が能力使えなくなったのに代わりにそっちがって…」

 「私だってついさっきまでそうだったんだから。使えなかったのは此処に来る前の話でしょ?試しにもう一回やってみて」


そう言って霊力の篭ったナイフを渡される。

試しにチョコレートを思い浮かべてナイフを振ると、今朝のそれが嘘であるかの様にあっさりと空間が裂け、中に手を入れるとチョコを取り出す事が出来た。


 「あ…出来た」

 「ほらね」

 「じゃあ、俺が屋敷で能力使えなかったのは偶然?それに俺と同じ能力って…」

 「まぁ、これ以上引っ張るのもどうかと思うし言っちゃうけど、私は獎自身なんだよ」

 「は?」

 「ああいや、正確には性転換コピーかクローンかって所なのかな…」

 「えっと、ちょっと宜しいでしょうか?十数話振りに人外化が解除されたと思ったら、なんでまた今度はそう言う超展開に…」

 「それは私が説明した方が良いかな。
あの装置、魂の他に必要なのは血か髪の毛だったじゃない?どっちも遺伝子情報が入ってる物でしょ。
それに装置に入れてた液体、成分教えて永遠亭に用意して貰ったんだけど、後から聞いたらどうやらそれがヒトのそれと…」

 「…つまり、あの時俺の髪と血で反魂やったら、俺に反魂じゃなくて別の意味で反魂して女の子が出来ちゃいましたと?」

 「そ。最初は物置に忍び込んだ人間かと思って確認したけど、私の名前を知ってる上に装置が動きっ放しだったから君を呼び出したって訳」

 「なるほど…と言うかさっきから女の子女の子って、なんで男の俺から女の子が出来るのよ?まさかこれ、一見女の子だけど中身は…」

 「んな!このバカ!人を男の娘(ニセモノ)扱いするな!」

 「私もそこが引っ掛かってたんだけど、一緒に動いてたパソコンを見たら…」


そう言ってにとりがノートパソコンの画面を見せてきた。

何やら色々とデータが入力されているが、にとりが指さしている箇所に『XX』と入力されているのが見える。


 「…つまり入力ミス、XYと打つべき所をX2回押しちゃってた訳」

 「これ、あの時にとりがよそ見しながら入力してたからじゃん。結局魂戻せてないし」

 「面目無い…まあそんなこんなで何日も放置してて、今朝此処来たらびしょ濡れ丸裸のこの子が物置の中で誰か開けてー、ってね」

 「にとりが確認したなら地雷は無いか…あ、最後に疑問が一つ。
俺と同じ存在だから能力使えるのは分かったけど、俺が来るまでは能力使えなかったんだよな?俺もさっきまでそうだったんだが…」

 「多分、この子の魂が獎の魂の一部だからじゃないかな?今までは魂分かれてないか、分かれても直ぐ傍に有ったんだし」

 「そっか、じゃあこの子が近くに居ないと実質能力封印ってとこか…外見戻した代償は痛いな」

 「一緒に居なきゃ能力封印なら、やっぱり獎の所に行くで決定だね」

 「私はにとりと同棲とかしてみたかったけど、まあそれじゃ仕方ないか」

 「藍に部屋の相談しないといかんな…というか、この子なんて呼べば良いの?俺自身って事は、しょーちゃんとか?」

 「あ、そう言えば私も『君』とか『この子』としか呼んでなかったな…うーん」

 「そう言えば命蓮寺の人とも被るよね...じゃあ私はサキで良いよ」

 「?」

 「ササキの一部取ってサキ、私は獎の一部なんだしそれで良いんじゃない?」

 「ああ、成る程」

 「オッケー。んじゃ獎、サキの事宜しくね」





自室





 「予想はしていたが、やはり部屋なんて無かったか。件ちゃんも居るし、さすがにワンルームに三人は狭いな…」

 「寝る時は件ちゃんと私一緒で良いから特に問題無いよ、それか獎が紫さんと一緒に、か」

 「冗談だとしてもやめてくれ、と言うかサキが紫さんとでも良いだろ、その方が男女的に問題なさそうだし」

 「だって私の嗜好も一緒なんだもん、紫さんは…まあ皆まで言わなくても分かるでしょ。だから同衾、件ちゃんも私となら良いよね?」

 件「むにゃむにゃ…一緒にお昼寝しましょー…気持ちいいですよ~…むにゃ…」

 「良いみたい」

 「くそ、良いなあ。俺が魂側だったら突然実体が出来たと思ったら女の子になってていちゃ百合解除だったのに」

 「いや、それが私、装置で起きる前の記憶が殆ど無いんだ」

 「え、そうなん?にとりの事知ってたって言ってたけど…」

 「それも曖昧。さっき屋敷に居た4人と会った時もそうなんだけど、顔を見てにとり、藍、橙、紫さん、クロ、件ちゃんって名前だって事が分かるだけ。
後は、その人と昔どんな事が有ったかの記憶がかすかに残ってる程度かな。物の名前とか知識はハッキリ残ってるんだけど、人とどう接してたかとかはぼんやり」

 「じゃあもっと前、外に居た時の記憶とか殆ど残ってないんじゃないか?みんなの名前とか、顔とか」

 「実家離れて東京に住んでた事、電車で大学に通ってた事、この部屋が住んでたマンションの部屋ってのは覚えてるよ」

 「あ、そういうのは割とハッキリしてるんだ」

 「うん、でも今パソコンに入ってた写真…一緒に遊んでた筈のみんなを見ても、幻想郷の人達と同じ。名前と、どんな子かって位しか思い出せないや。
知識とか物に関する記憶は有るけど、人に関する記憶がモヤ掛かってる様な感じ」

 「あれかな…にとりが装置に使ってた脳波コン、あれ安物っぽかったし、俺の性質や記憶を一瞬で全部コピーとはいかなかったのかも」


まあ、外観が女の子なのに中身が丸々自分だったらそれはそれでちょっと嫌だけど…

それににとりが正確にXYと入力していた場合、サイズは小さくなってそうだが俺がもう一人造られた事だろう。そう考えるとぞっとしない。


 「しかし、友達の記憶が無いってのはさみしいな」

 「うん、それに多分時間もあまり…そうだ、明日永遠亭に遊びに行かない?」

 「永遠亭?なんでまた?」

 「単なる思い付き、えーりんさんなら天才だった気がするし記憶ハッキリする方法分かるかもしれないじゃん?」





翌日・永遠亭





 鈴仙「あ、獎さん。あれ?そちらに居るのは...」

 「おいっす鈴仙、この子は...まぁあれだ、妹、みたいな?」

 「あれ?獎さんって確か一人っ子とか言ってませんでしたっけ?」

 「別に誤魔化す必要無いでしょ、初めまして鈴仙。
私はサキ、妹じゃなくて獎自身...いや、ついこの前まで浮かんでた人魂だって言った方が良いかな?」

 「あ、はい初めまし...え?あの人魂が、女の子に...ええええぇぇ!?」

 「うん、まぁ普通そうなるよな...俺ですら未だに夢じゃないかって思うんだけど、ところがどっこい現実みたいです。
ともあれ永琳さんに診て貰いたいって言ってたから連れて来たのよ」

 「は、はぁ...分かりました。ではどうぞ」

 「はいはーい」

 「あ、診察は私一人で良いでしょ?」

 「いや、俺も魂半分無いし診て貰った方が良くないか?」

 「半分抜けたままずっとピンピンしてたじゃん。それにほら、あそこの部屋...見覚えの有る三人が居るよ?」

 「ああ、豊姫様と依姫様、レイセンですね、丁度地上に...って獎さんが居ない!?」

 「激レア月組だぁぁぁ!レイセンちゃんだぁぁぁ!」

 「ああっ、なんか突撃してる!?」

 「じゃあ私達は永琳さんとこ行こっか」

 「え、ええ...ほっといて良いのかな」

 レイセン「うわぁっ、誰ですか貴方!?」

 依姫「何者!」

 豊姫「地上の人間って賑やかねぇ」


その後は初対面の月組...と言うか依姫にあわや斬り捨て御免となり掛けたが最終的に誤解は解けた。

そして月について彼女らに質問を浴びせたり(大半の返答が眉唾)レイセンに友好の証として小銃の交換をせがんだり(依姫に断られました)してサキの診察が終わるのを待つ事に。





その夜、八雲の屋敷





 藍「では、結局サキさんの記憶...正確には獎さんの記憶ですが、戻す方法は分からなかったんですね」

 「うん、でもまぁ考えれば戻った所でそれは獎としての記憶だからね。私は私で別の人間として思い出作ればいいんじゃないかなって思えてきた。
それで考えたんだけど、明日は里に行かない?新しく友達作ってみたいんだ」





翌日・里





 「よっしゃー!まずは古道具屋で掘り出し物探しだー!」

 「里の中なんだから少し落ち着きなさい、着くなり物凄いテンション上がったな」

 「善は急げ、早く買わないと無くなっちゃうぜ!」

 「聞いてないし、当初の目的忘れてるんじゃ...」





古道具屋





 「見て見て、アズキちゃんが『虎徹』の脇差くれた!」

 「くれた!って、幾らお人好しでも客に名刀をタダでくれる訳が無いだろう。一体どんな手段で脅したんだよ」

 店員「あ、いえ...別に脅されてはいませんよ。倉庫に入っていた物なんですけれど、サキさんに見せたら格好いい欲しいと言ってらっしゃったので...」

 「物欲しそうにした訳か、それでもタダってのは...」

 「虎徹は元々贋作が多いと聞きますし、拵えも劣化や破損で交換した美術価値の無い有り合わせ。
これでは大した価値にはならない上、保管していても手入れが手間な事も有ってお譲りさせて頂きました」

 「は、はぁ...すみません、気を遣って頂いて」





喫茶店





 「思えば私、と言うか獎だったけど、コーヒーを喫茶店で頼んだ事は無かったよね。これも新体験」

 「まぁ俺はお茶派だからな。スタバもドトールもあんまり行った事無かったし、里のカフェーとか行っても名前だけでメインはカクテルとか料理だったし」

 店主「効能は殆ど一緒らしいし、どちらが良いかなんて殆ど好みの問題だからね。サキちゃんがうちの珈琲気に入ってくれると嬉しいけど。
はい、ブレンド2つとサンドウィッチ。パンケーキはもうちょっと待ってね」

 「おお、時間を掛けて淹れただけ有っていい香り。では早速...にがっ」

 「通ぶってブラックで飲もうとするから。俺は砂糖5杯入れないと無理だな、有ればミルクもたっぷり...うん、美味」

 「獎くんもブラック苦手?でも砂糖もミルクも太り易いから本当は程々にしておいた方が良いのよ」

 「じゃあ余りこのお店通えませんよ、ここの売りってこのコーヒーでしょう?」

 「あら、軽食だって自信作よ。と言ってもそのサンドみたいに簡単な物だけどね」

 「あ、そうだ。パンケーキって後どれ位掛かりますか?」

 「ごめんね、今作り始めたから大体20分位は掛かっちゃうわ。急ぎ?」

 「ええ、他にも行こうと思っていた所が有るので...すみませんが私は今度頂きます。じゃあちょっと先出てるね」

 「あ、おい俺の財布持ってどこに...」

 「...」

 「...」

 「...持ってるお金って全部あのお財布の中なのよね?」

 「...はい」

 「丁度お昼過ぎで食器が溜まってるの、手際が良ければ二人分焼ける頃には片付くと思うから」

 「...はい」





夜・八雲の屋敷





 「あー、ちょっと頭くらくらする」

 「そんなになるまで遊んでいたんですか?」

 「うん、色んなお店行ったり、子供達に手品(と見せ掛けた能力)見せたり。すごい疲れたけど楽しかった。明日はどこに行こうかな?」

 「こら、連日遊び歩いてないでちゃんと家事もやれよ。
結局俺の財布持ったまま里中遊び回ってたらしいし、もう十分遊んだだろう?」

 「だって結局あれから知り合ったのは里の数人だし、他の所は回ってないもん。家事は後でやるよ、ごめんね藍」





翌朝・紫の部屋





 サキ「よいしょっ...と。何とか起こさずに抜け出せた。
後は紫さんを起こさない様に...ん?紫さんの扇子が落ちてる。これって確か紫さんの力が...ちょーっとお借りしますよっと」

 紫「zzz.........」





昼・自室





 「やべっ、寝過ごした。サキは...もう居なくなってるし。
全く、あのアクティブニートは帰ってきたら説教してやる必要が有るな...まぁ俺自身だと舐められるし、紫さんだと説得力微塵も無いから藍に、だけど」

 「誰の説得力が無いのかしら?」

 「う、うわっ紫さん。ああいえ紫さんの事は...」

 「悪く言ってたでしょう?それにそんな事はどうでもいいの。
私の扇子が一つ見当たらないんだけど、貴方知らない?」

 「いえ、俺は紫さんの使ってる悪趣味なデザインの扇子なんて恥ずかしくて...いでででででで!すみません!すみません!」

 「寝る前には部屋に有ったし、多分サキが持って行っちゃったのね。あの扇子には私の力が入ってるからあの子一人でも能力が使える筈だし」

 「え、そんな便利なアイテム有ったんですか?だったら俺が能力使えなくなった時に出してくれても良いじゃないですか。
ホント年増ってケチ...あぃだだだだだだ!また頭に激痛が!」

 「あの扇子お気に入りの一つだし、サキを探して持って帰って来てくれるかしら?」

 「わ、分かりました!分かりましたから手!手放してください!」

 「はい、それじゃあよろしくね」





一方その頃、旧都





 鬼1「よっしゃー!飲め飲めー!」

 土蜘蛛「昼間っから女水入らずの無礼講じゃーい!」

 鬼2「でもアンタ変わってるよね、人間なのに私達と友達になりたいなんてさ、鬼なんだし取って食いそうとか思わないの?」

 サキ「へへ、あんた達はそんな事しないって分かってるもん。ほら、無くなっても私の力ですぐ出せるんだし細かい事抜きで飲もっ」

 鬼1「まるでオレ達に会った事有るみたいに馴れ馴れしかったしな、でもそう言うの嫌いじゃないよ」

 土蜘蛛「そうそう、あたしらは来るもの拒まず、人も妖も関係無いぜー!」

 「「「ないぜー!」」」

 「...ぅ」

 鬼2「ん?サキ、大丈夫?」

 「ん、大丈夫。ちょっと立ち眩みしただけ」

 土蜘蛛「なんだサキ、悪酔いかぁー?」

 鬼1「オレ達が潰れるまでは付き合わせるぜ?」

 「勿論、じゃあここらでスピリタスとか行ってみよう!」





夕方・旧都入口




 「里にも居ない、紅魔館にも居ない、白玉楼...は空飛べないからルーラ使えなきゃ行けない。あと人が多そうな場所と言えば旧都だと思うんだけど・・・」

 クロ「旧都までの道は君も知っているだろう?私は必要無かったのではないかね?」

 「能力使えてたから街中は全く覚えてなかったんだよ、手掛かりあっても此処で迷っちゃうのは嫌だし...あ、いつぞやの門番的なモブ。
おーっす、お疲れー」

門番A「おお、お前達か!」

門番B「久し振りだな、私達に何か用か?」

 「人を探していてな、黒髪短髪の少女で見慣れない服装をしているのだが...」

 「後はダサ...変わったデザインの扇子とか脇差とか持ってる筈なんだけど、そんな子見なかった?」

 B「扇子は知らぬが、服の中から刀の柄が出ていた娘ならば昼前に見掛けたぞ」

 A「ああ。その刀は何だと聞いたらかの名刀虎徹がどうこうと自慢していたな」

 「...間違い無くその子だ。何処に行ったか知らない?」





旧都内




 「では、君達が起きた時には既に居なくなっていたのかね?」

 鬼1「ああ、オレ達と友達になりたいとか言って外の知らない酒いっぱい出してきてさ」

 土蜘蛛「普段より少ない量の酒なのに、それ飲んだら直ぐ潰れちゃって。あれが噂の神便鬼毒酒ってやつなのかもね」

 鬼2「んで、起きた時には『またね』って書き置き一枚。
そう言えばサキ、何度か塩梅悪そうにしてたけど」

 「塩梅?」

 クロ「具合が悪いと言う意味だよ」

 「それは分かってる。どんな様子でしたか?」

 「時々ふらついてて、私が大丈夫かって聞いたら立ち眩みだって言ってたよ。
そう言えば、酒飲んでる間変な四角い物出してちらちら見たりもしてたけど、あれは何だったんだろう?」

 「四角い物...クロ、お前はこの後永遠亭回ってくれ。そこに居なければ屋敷で待機、ちょっと俺は他当たってみる」

 「それは構わないが、あては有るのかね?」





無縁塚




 サキ「にとりの所で目が覚めて、永遠亭、里、旧都。トータル4日間か、思ってたより短かったな。
まぁでも、最後に無縁塚ってのは外来人らしい選択かな?」


普段此処に居る筈の小町さんとも会えるかと思ったけど、どうやら来るのが遅かったらしい。

そう言えば紫さんの所から持ち出した扇子、結局返してなかったっけ。

今頃怒ってるかな。それとも困ってるかな。


 「まぁ良いか、紫さんなら直ぐ回収出来る筈だし」

 「ところがどっこい、回収役は俺なんだよね。お陰であちこち探し回る羽目になったわ」

 「なーんだ、獎か。私が期待してたのは小町さんなんだけどな。
でも良く此処に居るって分かったね」

 「時計代わりに携帯持ち出しただろ?
途中でそれに気付いて、にとりの所行って在処調べて貰ったのよ。結構大変だったんだぜ」

 「携帯か...つい癖で持って来ちゃってたっけ、しくった」

 「何言ってんだか。取り敢えずその扇子、悪趣味なデザインだけど紫さんのお気に入りなんだってさ。
屋敷帰って、紫さんにそれ返し...」


言葉を遮る様にサキは持っていた銃を取り出し、サプレッサーを嵌めてこちらに突き付けてきた。


 「な、何の真似だよ?人に銃向けるなってインストラクターのお姉さんにも教わっ...」

 「動かないで!」


一括すると同時に引き金を引くサキ。

構えていた4.6mm口径の銃...MP7A1は小さな空気音を出し、威嚇の為に撃ったらしい弾が身体の横を掠る。

しかし直後に何かの鳴き声と衝突音が聞こえ、振り向くと後ろの木の根元に山犬が倒れていた。


 「送り犬?じゃあ今狙ったのは俺じゃなくて...」

 「大丈夫、殺してないよ...霊力込めた弾で吹っ飛ばして...木にぶつけただけ...」


言い終わらない内に彼女はふらつき、膝を突いた。

慌てて駆け寄り身体を支えたが、何度呼び掛けても返事は無かった。





夜・永遠亭





 「では、この前の診察の時にはサキの命が長くないと言う事を話していたんですか?」

 永琳「ええ。中途半端な反魂で作られた人間は長くは生きられなかったと聞きますし、外のクローンも短命と言う話ですから。
それに鬼が行う反魂ですら完成には百日掛かると言われているのに彼女はその十分の一。
これでは反魂も完全ではないと判断し、人より短い命だとは思うけれど悔いを残さない様にと伝えたの。でも...」

 「それで時間が無いとか友達が欲しいとかって言って遊び回ってたのか...ちょっと失礼します」





永遠亭・病室





 サキ「ん...此処は...」

 鈴仙「あ、気が付きましたか?」

 「鈴仙か...なんかデジャヴ」

 「獎さんの時も病室で、でしたからね。身体の具合はいかがですか?」

 「あんま良くない、頭クラクラしたまんま...まぁでも、流石に薬使っても決まった寿命なんて伸ばせないよね」

 「え、ええ...ですが…」

 「鈴仙、サキの様子は...あ、意識戻ってる!?」

 「今にも死にそうだけどね、まぁでも最後に時間が有って良かったよ。言い残してた事言ったり、布団で看取られたり出来る訳だしね」

 「行ってない場所とか店とか、それに今度食べるとか言ってたパンケーキだってまだ食べてないし、他にもやってない事は有るだろう?
それなのに死ぬ気満々でどうするんだよ...」

 「私だってまだ死にたくない...もっと生きていたいよ。
でもあのまま死んでてもおかしくなかったんだし、時間が残ってるなら伝えて欲しい事言っとかなきゃ...」

 「えっと...」

 「…分かった。誰に?メモして伝えとくから」

 「出来れば知り合った人全員に一言ずつ、にとりに、古道具屋のアズキちゃんに、喫茶店の敏子さんに...」

 「...流石にそれは多過ぎてメモれない、取り敢えず全員にありがとうって伝えとくから」

 「使えないなぁ。じゃあ次、屋敷のみんなと獎。
わがままばかり言って、迷惑掛けてごめんね。
ぐすっ…短い間だったけど...幸せ...だったよ...」

 「くそ、泣きながら話すのはやめろ!陳腐な台詞なのにこっちまで泣きそうになってきた!」

 「ごめん...ごめんね...」





数日後・無縁塚





 「あ、来た来た。おーいみんな、こっちこっち」

 にとり「おーっす」

 雛「お待たせしました」

 椛「しかしなんでまたこんな場所に?」

 「私らと友達になりたがってた子が此処に眠ってるらしくてさ、私も前に会った事が有るから行かなきゃって思った訳よ」

 雛「無縁塚に...じゃあ亡くなった外来人?」

 「訳有って獎にそっくりな子でね、雛や椛とも仲良くなれたんじゃないかなって思って声掛けたんだよ」

 「そうだったのか、それで私達を…」

 「まぁまぁ、湿っぽい話はその辺に。酒とかちょっと用意したから皆で飲まない?」

 「そうですね、その子のお墓参りも兼ねて」

 「ちゃんとした葬式も出来なかったみたいだしね、私達で明るく送ってあげよっか!」

 「さり気なく文さんが仲間外れにされてるみたいだけど...まぁ良いか、あの人今日は忙しいだろうし」

 「それでは我らが冥友…じゃなかった、盟友サキの冥福を祈って!」

 「「「乾杯!」」」





あとがき(ヒャッハー語るぜぇぇぇ)

はい、と言う訳で結局一年掛かりました。細かい所が浮かばなかったのが主な原因。
そしてquickofficeのせいで文書が消えたりバグったりで更に1ヶ月遅れる羽目に。訴訟も辞さない。

今回のテーマは反魂、撰集抄と長谷雄草子の2つの古典の中のお話を元に書いてみました。と言っても妖術とかそういうのじゃなくて、クローン的な感じ。
前者は山奥で修行してた西行法師が寂しさから人骨や草を使って鬼の術を真似た反魂を行ったけど術が不完全で出来たのはゾンビ的な失敗作ですぐに死んだとか山奥に失敗作を置き去りにしたとか言う話。
ぬ~べ~とか犬夜叉にもこういう話が出て来るから、甦生系って人気なのかも知れない。
後者は紀長谷雄と言う文人が朱雀門の鬼との双六に買って死体の良いパーツを集めて作った絶世の美女をゲットするものの鬼と約束した百日が過ぎない内に美女とエッチしたら水になって流れ去ったとか言う話。
一見性欲を持て余した男が美女失うメシウマ話かと思いきや、現実の長谷雄は妻子持ち。ちゃっかりリア充してやがった。
鬼の反魂が百日と言う事と、装置の中の液体の元ネタはこれです。

装置の出所は特に設定してません。ヒトクローンを作ったり、死者を生き返らせたいと考えたりする人は少なくないと思う。
でもそう言う物の殆どが日の目を見なかったり、思いとどまったり、この設計図もそんな中の一つなんじゃないかな?

何故女なのか、男だと別に面白くないでしょう?
それと、幻想入り名物と言うかありがちなネタで主人公女体化のパロディ的な意味でこうなりました。
でも男が女になっても誰得?といつも見る度思ってたので、じゃあ初めから女の子にすれば良いじゃん=性別違うクローンかコピー人間的な、と言う理由。
クローンと言うとトルーパーさんやミサカはミサカはを連想する人が多い気がするけど、個人的にはシックス・デイも捨てがたい。
サキが自分の名前を適当に設定したのも、記憶ぼんやりだけど確か男だった筈なのに身体が女=自分は造られた存在、そういうのって長く生きられないだろうし、適当な方が良いか、と言う理由から。
記憶ぼんやりしてるから永遠亭に、と言うのも建前でした。

今回も大量のモブの一人、古道具屋のアズキちゃん(仮名)は心綺楼モブ里人のおかっぱちゃんです。多分内気な子。
見た事無いなら今すぐ「心綺楼 里」でググれ。心綺楼はモブが可愛いゲームです。
服の色から考えた呼び名ですが、この基準なら里のモブ三人娘とかはスイ(水)ちゃん・モモ(桃)ちゃん・アイ(藍)ちゃんとかになるんじゃないかなと思う。

喫茶店の店主、敏子さんも名前が付いてるだけでモブ。容姿イメージは珈琲店タレーランとかかも(曖昧)、イメージラフはzipで上げときます。

そんなこんなで人外化の解除にもなりましたが、実質魂半分しか無いんですよね。なんでそれでもピンピンしてるのって感じだけど、多分薬のお陰じゃね?とか適当な事言っとく。

水木しげるの漫画では、人魂は天ぷらにして塩胡椒?で食べるか、生でソースを付けて食べられてます。
どっちも何故かナイフとフォークで切り分けて食べてるけど・・・あれなのか、蒟蒻みたいな物なのか。美味しそう。

そして反魂のお約束的な感じでシリアスっぽい展開にしてみたけど、シリアス書くのめんどくさいね。特にセリフ回し。
これを毎回書ける他の作者さんはすげーなと言う訳で次回からはまたのんびりまったり路線で行こうと心に決めたのであった まる
それではいつになるか分からないけれど、次回も気長にお付き合い下さいませ。
ガン・ガン・ガン・ガンライッザァァァー(多分岩手県民にしか通じない特撮ネタ)







 鉄鼠「もぐもぐ…おや、どうしたんだい?
あとがきが終わったのにスクロールするなんて、まだ続きが有るとでも思っているのかい?
仕方が無いな、じゃあ食べる前にちょっとだけ見せてあげよう。こんな話が読みたいなんて、君も物好きだね」







 「「「乾杯!」」」

 サキ「乾杯!じゃないよ!」

 「ひゅい!?」 「わうっ!?」 「きゃあっ!?」

 「なんなのこれ、桜の後ろで待ってろって言うから待ってたのに来るの遅いし、ちょっとうとうとしてたら何で私が死んだ事になってるの!?」

 「え、何、どういう事!?亡霊!?」

 「だから死んでないっての!にとりになんて伝えたの!?」

 「サキが無縁塚で『眠ってる』から来てくれるか?って事実をそのまま言っただけだけど」

 「いや、その言い方だと普通誤解するでしょ?」

 「にとりが勝手に誤解しただけじゃん。雛ちゃんも死亡路線で固めてたし」

 「いや、私は…」

 「来た時に私達以外の匂いはしていましたが、まさか埋めてすらいなかったとは...」

 「もう皆して何の嫌がらせよこれ!?」





数日前・永遠亭





 「じゃあ...最後に鈴仙と永琳さん...えっと...」

 「あの...私、サキさんが危篤、死ぬ寸前だなんて一言も聞いていないんですが...」

 「え?」

 「何それ...どういう事…?」

 「私がお師匠様から聞いたのは、サキさんは本来獎さんの魂の一部、つまり霊体だった為、霊力を一度に消費すると身体の制御が上手く行かなくなると言う話だけですよ」

 「じゃあ、ふらついたり倒れたりしたのは...」

 「その症状も短時間で過度に霊力を消費した為なので、回復するまでは絶対安静に、と言う話でした」

 「え、じゃあサキの命が短いってのは?」

 「それに関しては全く聞いていませんが...」

 永琳「やっぱり此処に居た。短いと言っても、すぐに死ぬなんて一言も言っていませんよ。
反魂が不完全だと言ったのはそれが今回の症状の原因だった為ですし。そもそも骨と葉っぱで身体を作った訳じゃないでしょう?
外のクローンについて詳しい話を聞いた訳ではないのだけど、数日で死ぬ程脆い物なの?」

 「...鈴仙、知っててさっき黙ってたの?」

 「すみません、何度も言おうとしたんですがその度に遮られてしまい...」

 「私も最初に診察した際には詳しく言いませんでしたが、先程それを伝えようとしたら途中で出て行ってしまったので」

 「...サキ」

 「分かってるから言わないで、なんか今度は恥ずかしくて泣けてきた...」

 「あはは...じゃ、じゃあ私はこれで…」

 「私ももう遅いから休みます、完治するまでは絶対安静ですよ」





再び無縁塚





 椛「でも良かったじゃないですか、てっきり死んだ子なのかと思ってましたし」

 雛「いきなり出て来てびっくりしちゃったけどね。
でもサキさんが生きているなら、何もこんな所でお酒飲まなくても良いんじゃないかしら?」

 「それもそうだね、じゃあもっと楽しげな場所に移りますか」

 サキ「あ、折角だから他の友達も呼びたいんだけど大丈夫?」

 にとり「良いよ良いよ、呼んじゃおう!」

 「鬼と土蜘蛛だけど」

 「ダメ!絶対ダメ!」





はい、と言う訳で今度こそ終わりです。
こうなる事は分かってた?当たり前じゃないですかー。
このお話で人は死にません。東方に死とか感動とか、そんな物はナンセンス。
こんなのでしんみりする奴とか居るのかなー居る訳無いよなーと笑いながらサキの最期(笑)を書いてた。そういうのが欲しければ余所を当たりな!
聞いた話だとクローンの寿命はオリジナルの残りの寿命と大体同じとか言われてるみたいです。
獎が80位まで寿命が有るとすればサキは大体15歳位のイメージだから76位までは生きれる計算。平均より短いけど、それでも十分長生きだ。
ともあれこれで主人公格が二人に増えて変態パワーも二倍。どうしてこうなった。
それとサラッと受け流しましたが、ついに月の面々出しました。
レイセンって可愛いよねうどんげより初々しくて。新参ホイホイとは違うのだよとか言ったら大部分の東方ファンを敵に回すな。
てゐも人気高いけど彼女の足元にも及ばないエセロリ、悪女キャラも正邪に食われオワタとか言ったら殆どの東方ファンから反感を買うと思う。
獎もレイセンが一番好き設定なので食い付きがハンパない。残念な事にいつでも会える訳では無さそうなのが・・・
だがしかし、ニコ幻では初めてレイセンと主人公の絡みを出した作者として名を残してやるのだ。なーんて。
心綺楼のモブを台詞キャラとして登場させた幻想入りとしてもお初だと信じたい。勿論モブ子達の仮名アイデアの使用も許可するぞ!

さっき語り過ぎたからこの辺にしておくか。
それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。





 藍「では、あの扇子は紫様がわざと持ち出す様に?」

 紫「ええ。薬屋の言う事を早とちりしてたみたいだから」

 「直接教えてさしあげても良かったのではないですか?」

 「百聞は一見に如かず。それに家事をほったらかしで遊び回ってたみたいだからちょっとお灸をね」

 「成る程、確かに効果は有ったみたいですからね」

 「働かざる物はなんとやら、ってね...なーにその顔は」

 「い、いえ...」