ROZEさんから番外編が届きました。




皆さんは昔の伝説上の動物や怪物、日本なら妖怪が何故この世界に実在するかを考えた事はありますか?


もしかしたら幻想郷では違うかも知れないけれど、私達の住んでいた外の世界では、妖怪や伝説上の生き物は昔の人々が考えた物として認識されています。


人々の戒めの為の象徴、自然の象徴、時として力を持った人間や異端の民族などを昔の人達がそう言う生物として描いた、と言うのが外の世界での一般的な考え方ですね。


昔の人達が考えた訳ではない、本当にそう言う生物を見て描いたから実在するんだ、と言う考え方も出来るでしょう。


しかし、それらの内容は伝える本や絵を描いた人によって一見全く違う生物とも取れたりする位曖昧で、全く正反対の内容が伝えられている伝説も少なくありません。


実際に私が見てきた幻想郷の妖怪は私が知っている言い伝えや読んでいた本とは見た目や行動が違いました。


どう違うか?そうですね・・・多くの種族が人間に近い外見である事でしょうか。私の知っている知識と同じだったのは、僅かな外見の特徴位ですね。


外の世界では妖怪や怪物は何かの象徴であると共に、神が零落した存在、天災など昔の人間が理解出来なかった現象への恐怖を形付けた存在と考えている人も居ます。


確かに妖怪の持つ力は神の持つ力に似た人知を超える物ですし、妖怪と神の違いなんて、その力の大小や人々がそれをどう呼ぶかの違いだと私は思います。


妙多羅天や鬼子母神など、元は悪さをしていた妖怪や鬼が改心して神仏になる伝説も数多く有りますし、河童や八岐大蛇など、水神が零落、落ちぶれて悪さをする妖怪になったと言う伝説も有ります。ちなみに河童の好物が胡瓜なのは、胡瓜が水神へのお供え物だったからと言われているんですよ。


これらの伝説や山の神様が幻想郷に来た理由を踏まえれば、神が自分勝手に振る舞ったりして信仰を失えば力を失い、力の弱い妖怪となる。逆に妖怪が人間を助け、信仰を得れば力を得て神となると言う考え方も出来ますね。


しかし、妖怪や怪物は人智を超えた存在ではなく、人が解明出来ていない、データとして記録していないだけで元は自分達と同じ動物や生物の一種だという見方はどうでしょうか。


勿論これは私の仮説ですが、そう考えるのには理由が有ります。


妖怪の中には、妖精や吸血鬼みたいに翼があったり、妖獣みたいに猫や狐、狸、狼みたいな動物の耳があったり、鬼みたいに角があったりする種族が居ますよね。


例えば妖精や吸血鬼の翼、何処かで見た事はありませんか?


そうですね、虫や蝙蝠、鳥の羽に似ていますよね。では他の種族はどうでしょう?妖獣はそれぞれの動物の耳や尻尾、爪。鬼は鹿や牛みたいな角。人魚には魚のヒレ・・・挙げると切りがありませんね。


中には例外も有りますが、殆どの外見的な特徴は皆さんも知っている動物に似ているとは思いませんか?


人間が想像したなら、確かに知っている生物の特徴を入れた方がイメージもしやすい。


しかし、妖怪が未知の恐怖の象徴ならば、姿形も人間とは似ても似つかない、外見や身体の特徴も動物とは違い、理解が出来ない未知の存在であっても良いですよね。


でも、そんな外見の妖怪は殆ど居ません。


どんなに人や動物と違う姿でも、人と同じ様な二本足で歩き両手を使う生物であったり、言葉を話す生物であったり、そうでなくとも動物の姿や特徴が有りますよね。


虫の中には気持ち悪い見た目や毒を持つものがいるし、蝙蝠は夜に飛び回る姿が不気味、鳥は人の手が届かない空を自在に飛び回り、魚は水への恐怖。


動物は爪や牙で人間を襲う、角は相手を傷つける武器、力の象徴・・・現代の私達は違っても、昔の人々にとってはこれらの要素は十分恐ろしい物だったでしょう。


そういう、人間が恐怖した動物の特徴を持って進化した生物が妖怪や怪物なのではないか。


生物が人間の恐怖に合わせて進化した結果、人間が感じた恐怖の象徴として妖怪が作られたと考えられる様になったのではないかと言うのが私の考えです。


何の為にその様な進化をしたのか、人間の獲物にならない為か、人間を狩る側になる為か。


それは分かりませんが、動物が歳を取って妖獣に変化するのは動物の進化とも取れるのではないかと思います。そう言う妖獣は力を持ち、動物達のリーダーともなりますしね。


皆さんはどう感じますか?どの答えが正解なのかは私にも分かりません。


ですが、化け物ではなく私達と同じ動物の一種なのだと思って見れば妖怪に対する怖さも少しは薄れるのではないでしょうか。


勿論妖怪も動物も人を襲いますし、危険な事は変わりません。安易に接触すれば危害を加えられる可能性もあります。


ですが、必要以上の恐怖を抱くといざと言う時に何も出来ませんし、お互いを理解する事も出来ません。


元が人間であっても巫女みたいに力を持った人間や他人とは違う人間も居ます。


それは人々に崇められれば神となり、人々が忌み嫌えば化け物として認識されます。


例え妖怪であっても外見や力、伝聞された噂みたいなイメージだけで判断せず、自身が実際に見聞きして感じて欲しい。


それを基に彼らの本質を理解して適切に付き合い、時には対処して貰いたいなと思っています。





 「あー、疲れた。思ってたより緊張しちゃった」

 「そうかな?にこやかにすらすら話せていたと思うが」

 「そうですか?それなら良かったです。慧音先生、授業内容はどうでしたか?」

 「仮説・理由は明確に説明出来ていたが、要点や結論をまとめれば更に分かり易くなると思うよ」

 「わちゃあ・・・まだまだ教師への道は遠いかぁ」

 「生徒への問い掛けや写真を使っての説明は参考になったよ、私の授業では退屈そうにされる事が多いからな」

 「ま、初めてにしちゃ我ながら?良くやったんじゃない?」

 「次は獎の番か、授業テーマは・・・古典の中の妖怪、だったかな?」

 「はい。なんかサキの授業の補完みたいになっちゃいそうですが、子供達に妖怪を通して古典に興味を持って貰えればなと」

 「君達は妖怪の話が本当に好きなのだな、私達を知っていた外来人でも妖怪そのものに興味を持つ者はそう多くは居なかったぞ」

 「そりゃあ私達、民俗学の学生ですから」





あとがき

と言う訳で、今回はサキの語りだけ、会話も最後のやり取り以外は書かないというちょっと変わった書き方で番外。シチュエーションは最後の会話の通り、寺子屋でのサキの体験授業。

割と寺子屋で先生始めて生業にする主人公は多いけど、国数みたいな一般科目が多い。マニアックな科目やそれっぽい例がないなぁと言う訳でうちの子らにやらせる事にしました。

今回のサキみたいに、妖怪について何かしら語る主人公って他に誰か居ないかしら、そういう作品が有ったら紹介してくだされ。

埋もれかけてた民俗学専攻生の設定を掘り起こしてきたけど、ぶっちゃけ民俗学の範疇かどうかは微妙、何故ならリアルで受けてた講義ではそんなに妖怪の話題が出ないからさ!

授業と言うか問題提起、みんなで考えてみよう的な感じかも知れないけど、妖怪の正体については不明な事だらけ、断言が出来ないのでこうなってしまいましたとさ。

内容はものすごい長ったらしいけど、要は妖怪を無闇に怖がっててはダメだよって話。書籍だと大人は割とそう言う感じだけど、子供らはどうなんだろう、少なくともモブ三人娘位の年齢層は命蓮寺に出向いて人外バトル楽しんでるし・・・

妖怪の伝承ってホントに色々違うんですよね、同じ海坊主でも奇異雑談集や東海道五十三対みたいな真っ黒な人影だったり、夭怪着到みたいに半魚人・サハギンみたいだったりしますし、良い妖怪みたいな描写されてると思ったら別の本ではとんでもなく悪い妖怪だったりと著者によって全く違う内容。

赤舌みたいに元々姿だけ描かれた妖怪を姿から想像してこんな事をするのだろうなと考えて説明を加えたと言われる例も有りますし、元々の妖怪らしい妖怪は小豆洗いや天狗落としみたいな、原因不明の音や自然現象への理由付けに考えられた妖怪のみ。
後はエンターテインメントや娯楽の為、武士とかが自らの活躍を伝える為に作り出された妖怪なのかなって気がします。

とは言え幻想郷では妖怪が実在してる訳なのでこの妖怪は人が考えた説は通用しない。かと言って見た人が記録したにしては余りに違いが・・・そう言えば河童はスッポンの進化とか霖之助が考えてたな、などなど考えた末が今回の内容。対象の生徒の年齢はどれ位になるのだろう。

ちなみに裏設定では、前回のコメント欄で紹介した鬼二人のせくしーコスチュームな写真を妖怪の身体的特徴を説明する為の授業資料として使ってるって事になってます。貧乳に筋肉だけど、男子生徒は食いつくかな?

獎の授業は御想像にお任せ。でもまぁ実際、古典物語には妖怪も多く登場しますので、妖怪好きだぜって人は読む事をオススメ。東方も更に面白くなるよ。

今回の絵はアナログ、仕事入って忙しい所を時間見付けて描いて貰いました。サキや慧音以外にも色々描かれてるけど、絵が趣味の生徒の帳面を写した写真かな?とか適当な事言ってみる。

ともあれ、イラストのツナちゃんも本文の自分も忙しい時期なので次以降がどうなるか分からない。

最終まで決めてるのに打ち切りたくはないので出来るだけ暇な時には書く様にはしてるけど、もしかしたらしばらくニコ幻投稿では絵無しに戻らなきゃいけないかもしれないです。
流石に毎回絵待って、だと一年一話より遅くなりかねんし・・・

ともあれ最後まで読んで頂き有り難うございました。

P.S.某スクールアイドルに影響されてリリヤン買いました。香霖堂には売ってるのかしら。


 獎「サキ、その眼鏡と服どうしたのよ?」

 サキ「ああこれ?度無しレンズ。掛けてる方が先生っぽいでしょ?」

 「見た目はともかくバカっぽい理由・・・」

 「何事も形から、ちなみに服は先生とか学者をコンセプトにアリスに作ってもらったんだ」

 「袖に時代を感じるな、ロッテンマイヤー先生を彷彿とする」

 「幻想郷の女の子の服って大体袖の根元膨らんでるか袖口広いかのどっちかだし、これが一般的なんじゃない?」



サキTスケッチおまけーね