2011年07月

2011年07月26日

こんにちは、“経営の見える化”エバンジェリストの本道です。

スコアカードの作成方法を楽天ゴールデンイーグルスの球団経営を例にして説明しています。

前回は、顧客の視点の戦略目標(戦術マップの目標)を実現するためには、
マー君の大活躍が必要で、大活躍したかどうかを評価する尺度を、シーズンでの勝ち星16勝としました。
 


年度方針である戦略を具体化したものが戦術マップでしたね。
その戦術マップを現場の実施レベルに落とし込むのがスコアカードです。
果たしてスコアカードのゴール指標=結果指標を設定しただけ現場への指示として十分でしょうか?
マー君が大活躍したかどうかは、1シーズン終了してみないとわかりません。

これは、経営に置き換えると1年終わってみないと判断つかないと言っていることになります。
これでは、経営としては手遅れですよね。
ということで、多くの会社では、
このゴール指標=年間目標である指標を月割りして月次目標として管理しています。

管理サイクルが早まるわけですから思うような結果が出ていないのであれば、
はやめに手を打つことができます。
しかしスコアカードは、単にゴール指標を月次や週次とサイクルを早めていくためのものではありません。
ゴール指標を達成するために、日々どんな行動、努力をするのかといったところまでを明確にしようというのが
スコアカードの目指すところになります。

要するに、設定したゴール指標という状態に命を懸けて取り組むのではなく、
そのゴール指標をもたらすための日々の行動=日課に執着しようということです。


楽天ゴールデンイーグルスの例でいえば、
マー君が1シーズン16勝するため(月に換算すると、1勝か2勝ペース)には、
マー君が、毎日走り込みを10㎞することや毎日筋トレ1時間を実行することなど、
現場の担当者が戦術マップの実行に向けて自らが行う努力目標を日課として数値化する必要があります。
 


特に年度方針として新たに組織的に取り組むことを戦術マップ(タテの因果関係)の4つの視点
(財務、顧客、業務プロセス、人材と変革の視点)で描き、それぞれの視点のゴール指標を現場の目線で日課
という行動レベルの指標にまで落とし込むことが重要となります。

結果指標だけ設定して、あとは現場という会社が意外に多いように思います。
特に新たな取り組みだからこそ、現場も手探りなのです。
スコアカードで現場と一緒になって日課指標=行動目標を決め、
日課指標を取り組めば、ゴール指標が達成し、ゴール指標が達成すれば、
戦術マップの各視点の戦略目標が達成するという成功の方程式が成り立つよう検討を進めます。




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2011年07月19日

こんにちは、“経営の見える化”エバンジェリストの本道です。

前回でようやく戦術マップ=年度方針の『図』が完成しました。

これは、課題解決するときの方程式と通じるところがあります。
課題解決には、
課題解決=何を(What)×どのように(How)の2つの要素を検討する必要があります。
検討の順番は、何を(What)を明確にして、どのように(How)を決めて行きます。
これと同じように、戦略=戦術マップ×スコアカードという方程式が成り立ちます。
丁度戦術マップという『図』が、何を(What)に該当します。
そして、これから説明するスコアカードという『表』が、
どのように(How)という具体的な行動を指し示すものとなります。

H社のプロジェクトメンバーにスコアカードの考え方を説明する際に、
プロ野球の楽天ゴールデンイーグルスを例にとって説明しましたので、
球団経営者になったつもりで以下の説明を確認してください。



顧客の視点の戦術マップの内容(戦略目標と言います)である『リーグ優勝』するための方法を考えてみます。
たとえば、「田中将大投手の大活躍」、「山崎選手の大活躍」、「岩隈投手の大活躍」、
「松井稼頭央選手の大活躍」など、いくつか要因があると思います。
(楽天ファン以外の方すみません。マニアックな話で…)

その中で戦略目標を実現方法として最も可能性のある方法をゴール指標(KGI:Key Goal Indicator))とします。ここでは、「田中将大投手の大活躍(以下、マー君の大活躍という。)」、をゴール指標とします。
さて、あなたは、「マー君が大活躍」して、楽天の今シーズンのリーグ優勝の二文字がイメージできますか?

ばっちりイメージできれば、OKですし、イメージできなければゴール指標として、ふさわしくないということなので、再検討しなければなりません。

ところで「マー君の大活躍」と一口に言っても、どの程度の活躍であれば大活躍と言えるのでしょうか。
活躍といった曖昧な言葉を評価するのは、難しいですから、
活躍を評価するための数値目標指標を数値化しておく必要があります。

顧客の視点の「マー君の大活躍」の数値目標として、勝ち星、セーブ数、勝率、防御率、投球回数などいろいろ考えられます。

ここでは、マー君の評価指標を、「勝ち星」としました。さらに、「勝ち星」がいくつであれば、大活躍と判断するかを決定します。

1シーズンで「16勝以上すれば大活躍、11勝から15勝であればマアマアの活躍、10勝以下であれば活躍せず」と設定しました。

評価指標を数値化することにより、評価の客観性が増してきます。


 

マー君がシーズン16勝以上の勝ち星をあげれば、戦術マップの顧客の視点の戦略目標であるリーグ優勝できるはずと仮説しました。

この調子で、業務プロセスの視点と人材と変革の視点の戦略目標を実現するための具体的なゴール指標を設定します。





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2011年07月12日

こんにちは、“経営の見える化”エバンジェリストの本道です。

前々回に作成したビジョンマップは、会社の将来ビジョンがこれまでの延長線上にないものとして、
20年後に会社のありたい姿となすべき事を具体化したものとして作成しました。

前回は、ビジョンマップを参考に3年後の中期経営計画を戦略マップとして具体化しました。

今回は、中期経営計画を見える化した戦略マップをさらに具体化した
年度計画を戦術マップとして作成する予定で、プロジェクトメンバーが集まりました。

ここでH社のプロジェクトメンバーから以下のような質問がありました。
20年後の将来ビジョンから逆算して中期経営計画を策定し、さらにその具体化として年度方針を立案する場合、まさしく現在売り上げに貢献している取り組みに対する問題や課題は、可視化マップにどう取り組めばよいのかという点です。


わたしは、基本的を成長戦略と基盤戦略の2つに分けて考えた方がすっきりすると考えています。
会社の将来ビジョンの逆算でビジョンマップや戦略マップを『成長戦略』として検討します。
これは、過去の成功体験の積み上げというよりも、これまでに経験したことのない戦略を試行錯誤しながら取り組むようなことを意味します。
そういう意味では、これまでの取り組みの抜本的な見直しですから活動自体が《変革》ということになります。

一方でH社のプロジェクトメンバーからの質問のように、
日頃の活動から発生する問題や課題についての取り組みは、基盤戦略と位置づけることができます。
この基盤戦略は、現場のちょっとした《改善》の積み重ねで実現します。
そして、日々発生する課題に立ち向かうための基盤戦略も、
また可視化マップで作成することができるのです。

❖戦術マップを作成するための大まかな作成手順は、次の通りです。

現状の外部環境と内部経営資源を把握するためにSWOT分析を行います。

SWOT分析から自社の当面の戦略を決定します。

戦略の決定にあたっては、自社のビジョン、先に作成したビジョンマップ(ワークシート10)、
戦略マップ(ワークシート13)と整合しているかを確認します。
決定した戦略を基に、戦術マップ(ワークシート14)を作成して行きます。

収益増大戦略と生産性向上戦略の2面から財務の視点の戦略目標を決定します。

顧客ニーズの抽出 ⇒ 顧客ニーズの集約 ⇒ 顧客ニーズの優先順位づけという3つの手順を経て、
顧客の視点の戦略目標を決定します。

顧客の視点の戦略目標を満足させるための理想の業務プロセスをプロセスマップで描き、
業務プロセスの視点の戦略目標を特定します。

理想的な業務プロセスを日々回して行くためのボトルネックを洗い出します。
そのボトルネックがどうして発生するのか。
理想的な業務プロセスを実現するための阻害要因を検討します。

業務プロセスの視点の戦略目標を阻害する要因に対する解決策を検討し、
その検討策を人材と変革の視点の戦略目標として人材能力開発、情報システム、
組織改革などに大別して設定します。

各視点で洗い出した戦略目標を、並べて線で結んで見ます。財務の視点、顧客の視点、
業務プロセスの視点、人材と変革の視点の流れで、線が結べたか確認します。
また、逆からも各戦略目標がスムーズに流れるか確認します。

先に作成したビジョンマップと戦略マップとの整合が取れているか最終確認して、
戦術マップが完成します。

これら一連の流れに沿うことでタテの因果関係のしっかりとした戦術マップが、出来上がります。


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2011年07月05日

こんにちは、“経営の見える化”エバンジェリストの本道です。

前回の作業で、会社の20年後の将来ビジョンを以下の通り、
ビジョンマップ》として見える化することができました。


 
20年後の《ビジョンマップ》が完成したら、次は《戦略マップ》を作成します。
20年とは、かなりの時間ですが、その間を漫然と過ごすわけには行きません。
ビジョンマップが当面の目的だとすれば、この目的を実現するための具体的な目標を設定して行かなければなりません。さあ、《ビジョンマップ》に期限を設定して、これから3年間で実行すべき具体的な計画書(中期経営計画書)としての戦略マップを作ってみましょう。

❖《戦略マップ》の作成手順は、次の通りです。

先に作成した《ビジョンマップ》と、これから作成する《戦略マップ展開シート》を用意します。

すべての《ビジョンマップ》の戦略目標を《戦略マップ展開シート》右端の20年後の欄に貼りつけます。
この際、転記の順番は、人材と変革の視点から業務プロセスの視点、顧客の視点、財務の視点という順番で
戦略目標を記入します。
これは、人材と変革の視点の戦略目標の実現が業務プロセスのボトルネックを解消し、その業務プロセスの視点の戦略目標が十分に機能すれば顧客の視点の戦略目標の顧客ニーズや欲求を満足させ、その結果として儲かる(儲ける、でないところがポイント)、財務の視点が達成するという時間の経過から考えると、戦略目標の検討順序は、《ビジョンマップ》の下から上であることが分かります。

《戦略マップ展開シート》に記入した《ビジョンマップ》の各戦略目標の計画フェーズ実施フェーズ
改善フェーズの3つに分け、それぞれの実施時期や期間を記入します。

実施フェーズにおいて特定の部署やエリアなどでテスト的に実施する場合は、具体的な部署やエリアや対象とする数などを《戦略マップ展開シート》の時間軸の欄に記入します。

記入にあたっては、計画、実施、改善と記入したイエロカード(小)を用意して、対象部署やエリアや対象数などをチームで討議しながらイエロカード(小)に書き込み《戦略マップ展開シート》の時期の欄に貼りつけます。

《戦略マップ展開シート》の台紙の幅は、イエローカード1枚が、今年・来年、3年~5年後、10年後、15年後と4枚並ぶ幅となっており、最後にピンクカード(小)の20年後の戦略目標というレイアウトとなっていますので各視点の戦略目標との整合をとりながら《戦略マップ展開シート》を作り上げてください。

3年~5年後のカードを《戦略マップ》に貼りつけます。《ビジョンマップ》を参考にしながら、《戦略マップ》を作成します。





これで、20年後の将来ビジョンと中期経営計画が、可視化マップの4つの共通の視点で具体化しました。




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