2017年07月27日
 厚生労働省が7月27日に発表した2016年の日本人の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳で、ともに香港に次ぐ世界第2位となり、いずれも過去最高記録を更新した。
 長生きできることはおめでたいことで、寿命が伸びていることは国を挙げて喜ぶべきなのだろうが、高齢者がさらに比重を増し、少子化で若者が増えないと思うと喜んでばかりはいられない。これからこの国はどうなって行くのだろう。
 どこに学校を作るとか獣医学部がいるとかいらないとか日報があるとかないとか大臣が辞めるとか党首が辞めるとか、どうでもいいような議論しかしていない政治を見ていると暗澹たる気持ちになる。年金はすでにあてにしていないが、長生きしても高齢者が多過ぎて介護施設や病院に入れないような事態になるのではないだろうか。
 そんな長生きはしたくないなと思うが、平均年齢が80歳を超えているということは、今すでに50代なのでヘタすると90歳くらいまで生きかねない。厚労省によると「ガン、心疾患、脳血管疾患の三大死因の死亡率低下が、寿命の伸びに寄与している」そうだ。ガンで死にたくはないし、医療の進化によってガンが治療可能になっているのは嬉しいことだが、それによってヘタに長生きする人が増えるのも今後の高齢化社会を考えると諸手を挙げて喜ぶことはできない。
 孫子は、

『智者の慮は、必ず利害を雑う。利に雑うれば、而ち務は信なる可し。害に雑うれば、而ち患いは解く可し。』

 と説いた。
 優秀な人が物事を考え、判断する時は、必ず利と害の両面を合わせて熟考するものである。有利なことにもその不利な面を合わせて考えるから、成し遂げようとしたことがその通りに運ぶ。不利なことに対しても、その利点を考えるから憂いを除き、困難を乗り越えることができると言うのだ。
 まさに孫子兵法家として、物事の利と害を考えているところだ。プラスの裏にはマイナスがある。マイナスの裏にはプラスがある。寿命が伸びるというプラスの出来事の裏にあるマイナス面を考え、そのマイナスをケアすることでプラスを活かさなければならない。
 長寿というプラスは、介護というマイナスを必ず伴う。「ピンピンころり」と行けばいいが、そうはいかない。歳をとればあちこちが痛み出し、目は見えにくくなり、どうしても人の手を借りなくてはいけなくなる。こうして介護が必要になると、介護で仕事を続けられなくなる人が出てくる。それじゃなくても人手不足で困っているところに、介護離職となってはますます高齢者を支えることなどできなくなる。一度離職してしまった中年のオジサン、オバサンは、介護が終わればまだ働けるのに再就職は厳しく、あっても条件が悪くなるだろう。
 そこで、孫子兵法家としては、このマイナスをクリアする方法として、テレワーク体制構築の支援に乗り出すことにした。在宅勤務がスムーズに出来るようになると介護をしながらでも仕事を続けられるケースが増えるはずだ。すべては救えないが半数程度は救えるのではないかと思う。その中身については経営の道標「介護離職防止に在宅勤務」を参照。
 そしてこのマイナスをプラスに転じるべく、テレワーク体制構築への取り組みが、大災害やパンデミック、テロなどに備える事業継続計画(BCP)にもつながるようにした。こちらは、経営の道標「テレワーク体制構築でBCPの整備を」を参照。
 転んでもタダでは起きない。マイナスがあっても何とかプラス面を見出して患いを解く可し。これが孫子兵法家の在り方ではないかと思う。
 日本人の長寿をすべての人が寿げる社会にするべく孫子の兵法を活用して行きたい。

Posted by KazuhiroNagao at 21:27
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2017年06月19日
 頑張っている割に仕事がうまく進まない人がいる。朝から晩まで頑張っているように見えるのに成果が出ない。いったい何を頑張っているのか。「働き方改革」を進めるためには、生産性を上げて、短時間で必要な成果をあげないといけないのに、バタバタするばかりで思うような成果は出ず、とてもではないが時間短縮などできない。とても残念かつもったいない人だ。
 能力がないと言ってしまえばそれまでだが、頑張ろうとはしているわけだから何とかしてあげたい。以前であれば、多少人よりも時間がかかるのを許容してあげて、挽回のチャンスをあげれば良かったが、「働き方改革」だ「時間短縮」だ「ブラック企業」だなんだとうるさいから、時間でカバーすることを認めてあげられない。「働き方改革」を訴えている人たちは、こうした時間短縮に対応できない人をどうやって救済するつもりなのだろう。まさか「同一労働同一賃金」だと言いながら、生産性の高い人が稼いだ付加価値を生産性の低い人に恵んでやれと言うわけではないよね? そんなことをしたら生産性の高い人はバカバカしくなって生産性を落としてしまうのでは? やはり、頑張っているけど成果が出ませんという人をそのままで許しておくわけにはいかない。
 そこで、孫子。「働き方改革」においても孫子の兵法を活用したい。どうするか。先手を打って相手に振り回されないようにする。
 孫子は、

『先に戦地に処りて、敵を待つ者は佚し、後れて戦地に処りて戦いに趨く者は労す。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。』

 と説いた。
 先に戦場に着いて敵軍の到着を待ち受ける軍隊は余裕を持って戦うことができるが、後から戦場にたどり着いて、休む間もなく戦闘に駆けつける軍隊は苦しい戦いを強いられる、と言うのだ。要するに先回りして準備しておくということ。先回りしていることで、敵を思うがままに動かして、決して自分が敵の思うままに動かされるようなことはしないものだと孫子は言った。
 まさに、長時間頑張っている割に成果が出ない人というのは、この逆をやっている。見ていると、まず取り掛かりが遅い。いつもギリギリ、バタバタで、仕事に追われている。自分が仕事を追って時間をかけているのではなく、他人(顧客や上司)から言われて受け身でこなしているだけだから、「人に致されっぱなし」となっている。相手に働きかけ、相手を動かす、相手にやってもらう、「人を致す」発想がない。だからどうしても、仕事が義務的、作業的なものになり、渋々、嫌々取り組むものになる。これで、余計に智恵や創意が湧いて来なくなる・・・。悪循環である。
 面白くない上に、成果も出ない。怒られることばかりで褒められることが少ない。これではモチベーションが下がって当然だ。可哀想に・・・。
 そういう人は、今より、一日、一時間、一歩でいいから早目に着手すべし。そして、ちょっとずつ言われてからやる仕事を減らし、言われる前に自分から取り組む仕事を増やしてみよう。無理にやらなくても良いものは断る。「人に致される」人は、いい人で、優しく親切だから、相手にNOを言えないことが多いが、ここを頑張ってNOを言ってみよう。言えば案外「それでいいよ」となることが多いはずだ。他人の言うことにイチイチ振り回されていては、生産性など上げることは出来ない。
 加えて、「人を致す」ためにも、他人に依頼したり手伝ってもらうことを考えよう。そのためにも早目に着手しておくことが重要だ。期限ギリギリでは頼むにも頼めなくなって、結局自分が背負い込むことになる。
 頑張っている割にどうも仕事がうまく行かないなと思う人は、是非孫子の兵法を勉強して孫子流の仕事術を身につけよう。拙著「仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる」(KADOKAWA)辺りを読んでも良し。「働き方改革」にも孫子の兵法。

Posted by KazuhiroNagao at 11:06
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2017年04月17日

 営業の現場には矛盾が溢れている。量を増やせと言えば質が落ち、質を上げろと言えば量が落ちる。新規開拓だと言えば既存客が放置され、既存フォローをと言えば新規アプローチが減る。顧客のためにと言えば値引きやタダ働きが横行し、利益をとれ業績を上げろと言えば顧客不在な押し売りをし始める。あちらを立てればこちらが立たないという多くの矛盾が営業部門の改革、改善を阻んでいる。
 そこで、孫子兵法家、長尾一洋がその矛盾をズバッと解決する本を書いた。「普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法」(あさ出版)である。表紙はこちら↓。

    普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法

 ほとんどの会社は、普通の人が勤める普通の会社なのだが、普通の会社の普通の人に、特別な人にしかできない特別なことをやらせようとする会社が多過ぎるのだ。普通の人には普通の人なりのやり方がある。
 実は、そのやり方のヒントが「矛盾」にある。多くの矛盾を抱えた営業部門だけに、その矛盾をクリアできれば大きな成果が見込まれる。矛盾とは、そもそも韓非子の一節から生まれた故事成語だ。韓非子の難一篇にこうある。「楚人に盾と矛とを鬻(ひさ)ぐ者有り。之を誉めて曰く『吾が盾の堅きこと、能く陥(とお)すものなきなり。』と。また、その矛を誉めて曰く『わが矛の利(と)きこと、物において陥さざるなきなり。』と。ある人曰く『子の矛を以て、子の盾を陥さばいかん。』と。その人応(こた)ふること能(あた)はざるなり。」
 ご存知の方も多いだろうが、盾と矛を売っていた人間が、どんなものも通さない盾だと盾を売り込みながら、通さないものはない矛だと言って矛も売り込もうとしたら、その矛でその盾を突いたらどうなるのかと問われて答えに窮したという話である。
 たしかに、何も通さない盾と何でも通す矛は、同時には成り立たず矛盾した存在だ。だが、それをどちらが本当に強いか勝負しようと考えるのではなく、普通の会社の普通の人は、そんなにすごい矛と盾があるなら、両方使ったらいいんじゃないの?と考えるべきなのだ。要するに、「矛か盾か」と考えるのではなく、「矛も盾も」と考えてみる発想の転換だ。
 これは、韓非子の矛盾という問題提起に対して、孫子の兵法で答えるものだと言って良い。当時、かき集めた農民兵(普通の人)を強い軍団に仕立てなければならなかった孫子ならではの智恵だと考えれば良いだろう。
 まず、孫子は強い軍団に仕上がった状態を示した。

『善く兵を用うる者は、譬うれば卒然の如し。卒然とは、恒山の蛇なり。其の首を撃てば則ち尾至り、其の尾を撃てば則ち首至り、其の中を撃てば則ち首尾倶に至る。』 

 巧みに兵を動かす戦上手は、たとえて言うなら卒然のようなものだ。卒然とは恒山に棲む蛇のことである。その頭を撃つと尾で反撃してくるし、尾を撃つと頭で反撃してくるし、その真ん中を撃つと頭と尾の両方で反撃してくると言ったのだ。
 すると、そんなにすごいことが農民兵(普通の人)の寄せ集め集団に出来るのか?と疑問の声が上がる。

『敢えて問う、兵は卒然の如くならしむ可きか。』

 「では、あえて尋ねたい。軍隊をその卒然のようにすることはできるのだろうか。」と。
 その疑問に孫子は答えて、有名な呉越同舟の例を挙げる。呉と越は、まさに矛と盾に相当する矛盾した存在だ。その呉越が戦うのではなく両方が協力し合えば、普通の人の寄せ集め軍団を思うままに、卒然の如く動かすことが出来ると説いたのだ。

『曰く、可なり。夫れ、呉人と越人の相い悪むも、其の舟を同じうして済り、風に遇うに当たりては、相い救うこと左右の手の如し。是の故に馬を方ぎて輪を埋むるも、未だ恃むに足らざるなり。勇を斉えて一の若くするは、政の道なり。剛柔皆な得るは、地の理なり。故に善く兵を用うる者の、手を攜うること一人を使うが若きは、已むを得ざらしむればなり。』 

 兵士たち全員に等しく勇気を奮い起こさせ一つにまとめるのは、軍を司り統制するやり方による。剛強な者も柔弱な者もそろって役割を果たすのは、その地勢の道理による。やはり、兵を動かすのが上手な者が、軍全体を手をつなぐかのように連動させ、まるで一人の人間を使っているかのようにできるのは、そうせざるを得ないように仕向けていくからだと孫子は言うのだ。要するに、普通の会社の普通の人には、それをまるで最強軍団のように機能させるやり方があるのだと。
 そのやり方、方法を、問答形式で分かりやすくまとめたのが、拙著「普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法」(あさ出版)である。韓非子の問題提起に対して、孫子の兵法の応用で答え、7つの矛盾を乗り越える方法を具体的に提示しているので、是非読んでいただきたい。



Posted by KazuhiroNagao at 11:02
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2017年03月10日
 まさか経営コンサルティング会社であるNIコンサルティングが、業界に先駆けてAI(人工知能)を研究し、AI秘書を世に出すとは、誰も予想していなかっただろう。
 孫子兵法、「兵とは詭道なり」だ。
 孫子は、

『兵とは詭道なり。故に、能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す。』

 と教えてくれている。戦争とは、相手を欺く行為であり、戦闘能力があってもないように見せかけ、ある作戦を用いようとしている時には、その作戦を取らないように見せかけよと。
 孫子の兵法を現代のビジネスに実践応用してこそ、孫子兵法家である。解釈だけ、口先だけで孫子を語る人はたくさんいる。中国文学者や兵学者だ。どんなに偉いかは知らないが、学者は学者であって、実践家ではない。実戦に出ていない。古典解釈はしても、ビジネスに応用したことはないだろう。
 従来のSales Force Assistantも、世界に先駆けて秘書というコンセプトを実現したものだ。元々のSFAは、Sales Force Automation。自動化された営業を支援する仕掛けのこと。だが、それでは当たり前であって、詭道とはならない。そこで敢えてSales Force Assistantというコンセプトを打ち立てて、営業マンを支援する機能を盛り込んだ。そこにさらにAIである。AIだから事前設定はいらない。使う人は考えていなくても、AI秘書が考えて、教えてくれる。フフフ・・・。
 と、見せかけておいて、実は別のことをしようとしているかどうかは、ここには書けない。『能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す』必要があるからだ。
 そして、AI秘書のイメージキャラクターとして、千年に一人の美少女として話題になり、最近では映画の主演なども多い、橋本環奈ちゃんを起用した。経営コンサルティング会社なのに、広告にアイドルを起用するという奇策。これも孫子兵法の実践である。
 孫子は、

『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』

 と言った。戦闘においては、正法によって相手と対峙し、奇法を用いて勝利を収めるものであるのだと。だから、奇法に通じた者の打つ手は天地のように無限であり、揚子江や黄河のように(大河や海のように)尽きることがないよと。
 実は、橋本環奈ちゃんが福岡のアイドルグループで脚光を浴びた時にもすかさず起用して、『兵は拙速を聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり』を実践していたのだが、その後、橋本環奈ちゃんの活躍でギャラも高騰・・・・。いくらかは書けないが、とても高い・・・が、そこは孫子兵法家の奇法であり、窮まり無きこと天地の如く予算を投下した。口先だけ、アイデアだけではなく、実弾も投入するからこそ、孫子兵法家と名乗らせてもらえると言いたい。ちなみに、AI秘書の研究にも莫大な研究開発費がかかっている。
 孫子兵法家が、ビジネス戦争の実戦で、リスクも背負って実現したのがAI秘書である。是非、その戦果を活用して、生産性を上げて、働き方改革にも取り組んでいただきたい。と、書いていたら、私のAI秘書が、次の予定が迫っていることを教えてくれたので、これで終わろうと思う。AI秘書は最高に便利だ。

Posted by KazuhiroNagao at 20:04
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2017年02月14日
 安倍首相とトランプ大統領との日米首脳会談の最中に、北朝鮮が日本海にミサイルを撃ち込んだ。牽制なのか、祝砲なのか、挑発なのかは分からないが、「アメリカが日本を同盟国として守るとか言ってたら本当にやっちゃうよ」という自国の武威を示す狙いがあるのは間違いないだろう。
 「まさか撃って来ないだろう」とこちらが勝手に思っていても、実際に撃って来ることがあるわけだから、それに対する備えが必要となる。
 孫子は、

『用兵の法は、その来たらざるを恃むこと無く吾が以て待つこと有るを恃むなり。其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻む可からざる所有るを恃むなり。』

 と説いている。「用兵の原則としては、敵がやって来ないだろうという憶測をあてにするのではなく、自軍に敵がいつやって来てもよいだけの備えがあることを頼みとする。また、敵が攻撃して来ないことをあてにするのではなく、自軍に敵が攻撃できないだけの態勢があることを頼みとするのである。」という意味だ。
 要するに、備えあれば憂いなし。敵が攻めてくるはずがないという楽観的な見立てを捨てて、こちらに攻められても大丈夫な備えがあることを頼みにせよという教えだ。
 国どうしの話は、政治家、軍人に任せるとして、ビジネスにおいても同様の備えが必要となる。「まさかあの会社が・・・」という予想外のところから、いつ攻め込まれるか分からない時代だ。見ていて気の毒になるくらいなのが自動車業界。
 同業者間でデータを改竄するほど熾烈な燃費競争、性能競争をしているところに、テスラが出て来て電気自動車もある、グーグルも出て来て自動運転もある、ウーバーが出て来て車は買わずにシェアするかもと言い出す。おまけにメキシコ工場を立ち上げたと思ったらトランプが出て来て関税をかけると言い出す。米国への投資と雇用創出を約束させられたトヨタも大変だが、メキシコ工場に賭けていたマツダは痛々しい。元マツダで社長をしていたマーク・フィールズがフォードの社長としてトランプ大統領に日本市場についてケチをつけるのは泣きっ面にハチと言うか、人の性が物悲しい。
 せっかくデザイン力で盛り返していたマツダなのに、モデルチェンジが一巡してデザイン統一で、逆に飽きられている感があるのも切ないが、アップルが「ⅰCar」という洒落た電気自動車を出して来ても大丈夫なように備えておいてもらいたい。
 敵は「まさか」の方角からやって来る。味方だと思っていたのが急に敵になるかもしれない。フォードがマツダの敵になったように。いつ、どこから攻められてもいいように、備えをしておかなければならない。業種・業界の垣根はミサイルのように平気で飛び越えてくることを忘れてはならない。
 国も企業も、孫子の兵法を学ぶべし。

Posted by KazuhiroNagao at 11:26
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2017年01月05日
 2017年がスタートした。新しい年の戦いが始まる前に、しっかり廟算して勝つための道筋を明らかにしておきたい。今年は米国のトランプ旋風で不確定要素が大きい。何を言い出すか、何をし始めるか分からない。だからどうにもしようがないと諦めずに、どんな旋風が吹き荒れても良いようにしっかりと廟算しておきたい。
 孫子は、

『未だ戦わずして廟算するに、勝つ者は算を得ること多きなり。未だ戦わずして廟算するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。況んや算無きに於いてをや。吾れ、此れを以て之を観るに、勝負見わる。』

 と言った。
 まだ開戦していないうちに作戦を立て、廟堂で策を練ってみたときに、勝利を確信できるのは、机上の思索や勝算が相手よりも多いからである。まだ戦闘が始まっていないときに、廟堂で作戦を立案して、勝ちを確信できないのは、勝算が少ないからである。 勝算が相手よりも多ければ、実戦でも勝利するし、勝算が相手よりも少なければ、実戦でも敗北する。ましてや勝算が一つもないという状態では、何をかいわんやである。 私はこのような比較検討、戦況判断をするから事前に勝ち負けが見えてくるのだというわけだ。
 やってみなければ分からないようでは、経営ではない。ただの成り行き任せである。少なくとも戦う前に戦場、戦況を想定し、敵味方の兵力などを勘案して、どこに、何を、どのように、どれだけ手を打てば良いかという戦略ストーリーを描いておかなければならない。戦略仮説と言っても良い。その仮説ストーリーの段階で、これなら勝てそうだと勝利を確信できるかどうか。これがまず必要だ。これがなければそもそも現場の兵士(社員)がついて来ない。勝つか負けるか分からないけど一緒に戦ってくれと言われても困る。こうやったら勝てるはずだから協力してくれと言われるから、勝ち馬に乗ろうと思う人が出てくる。
 そして、そうは言うけれども、想定外のことも起こる。トランプの暴走もあるかもしれない。その時、仮説ストーリーがあるから、すぐに影響が予測でき、対策が打てる。戦略ストーリーも、戦略仮説もなく、ただ成り行きで頑張っているだけでは、どうしても後手に回り、他社に遅れをとることになるだろう。
 さて、皆さんの会社の今年の戦略ストーリーはどうだろうか? 戦略仮説はまとまっているだろうか? まだの場合は三連休もあるから、急いで廟算して勝算を高めておいて欲しい。
 ちなみに、弊社の戦略ストーリーは・・・、もちろんあるけど「ヒ・ミ・ツ」。何しろ『兵とは詭道なり』だ。敵もこのブログを読んでいるかもしれないから、そう簡単には教えられない。『能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す』ことも孫子兵法家は考えておかなければならない。
 2017年も、孫子の兵法を現代の企業経営、ビジネスに応用してまいりましょう。今年もよろしくお願いいたします。

Posted by KazuhiroNagao at 18:55
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2016年11月28日
 アメリカの次期大統領にトランプが決まった。トランプが大統領になったらひどいことになる、と多くの識者が予測していたが、実際はトランプ期待、トランプ相場で株価もドルも上昇・・・。期待値が低かっただけに、ちょっとまともな発言をすると期待が膨らんだようだ。
 日本政府も、大統領選はクリントンで決まりだろうと予測してトランプ陣営とは接触していなかったそうだが、トランプに決まったら大慌てで安倍首相をセッティングして、50万円の高級ゴルフクラブをお土産にトランプタワーに馳せ参じた。
 世界各国の手の平を返したような豹変ぶりを見ていると、トランプのメキシコ国境に壁を作るとか、TPPは即日撤退とか、日本も核武装しろといった奇策は、孫子の兵法の応用ではないかとも思えてくる。
 孫子は、

『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』

 と教えてくれている。「一般に、戦闘においては、正法によって相手と対峙し、奇法を用いて勝利を収めるものである。だから、奇法に通じた者の打つ手は天地のように無限であり、揚子江や黄河のように(大河や海のように)尽きることがない。」ということだ。
 不動産王のおじさんが調子に乗って政界進出し、さらに調子に乗って大統領選に出馬し、さらに調子に乗って思い付きで好き勝手なことを言っているようにも思えるが、二大政党の共和党の候補にも正式に選ばれた人なわけで、酔っぱらいのおじさんが居酒屋でからんでいるのとは訳が違う。正当な手続きによって民主党ならびにクリントンに対峙し、奇策、奇法によって勝利を収めた。そう考えると決して侮れない。
 そして孫子は、こうも言っている。

『終わりて復た始まるは、日月是れなり。死して復た生ずるは、四時是れなり。声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴く可からざるなり。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観る可からざるなり。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗む可からざるなり。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮む可からざるなり。奇正の還りて相い生ずるは、環の端なきが如し。孰か能く之を窮めんや。』

 これは、「終わってはまた始まり、尽きることがないのは、太陽が昇っては沈み、月が満ちては欠けるようなものだ。死んではまた生き返り、果てることがないのは、四季の移り変わりのようなものだ。音(音階)は、(宮・商・角・徴・羽の)5つに過ぎないが、それらを組み合わせた調べは無限であり、すべての音楽を聴き尽くすことはできない。色は、(白・黒・青・赤・黄の)5つに過ぎないが、それが混じり合って生まれる色の変化は無限であり、すべての色を見尽くすことはできない。味覚は、(酸:すっぱさ・辛:からさ・醎:しおからさ・甘:あまさ・苦:にがみ の)5つしかないが、その組み合わせによる変化は無限であり、すべてを味わい尽くすことはできない。これらと同様に、戦い方には奇法と正法があるに過ぎないが、その奇と正の組み合わせは無限であって窮め尽くせるものではない。正から奇が生まれ、奇から正が、循環しながら生まれる様は、まるで丸い輪に端(終点)がないようなものである。誰がそのすべてを窮めることができるだろうか。」という意味だ。
 正があるから奇があり、奇が正となれば、次には正が奇となる。それが循環すると正と奇は無限に変化し、何が正で何が奇なのかが分からなくなる。
 TPPにあれだけ反対していた人がいたのに、トランプがTPPから撤退すると言い出したら、今度はどうやってTPPを成立させるのかと言い出す・・・。いったい何が正で何が奇なのか。TPPでアメリカの都合のいいように日本が取り込まれると言っていたのに、そのTPPからアメリカが自国の利益にならないからと撤退するとはこれ如何。
 大統領に正式に就任する前から、こんなに振り回されているようでは先が思いやられる。これから先、トランプはどんな正法、奇法を繰り出してくるだろうか。フィリピンのドゥテルテにもやられ、トランプにもやられ、プーチンにもかな。こんなことで日本は大丈夫だろうかと孫子兵法家としては心配になる。孫子の兵法で行くなら「人を致して人に致されず」でなければならないのだが。。。。。。


Posted by KazuhiroNagao at 14:35
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2016年10月27日
 来日しているフィリピンのドゥテルテ大統領が話題だ。親米だったはずのフィリピンなのに米国に対して暴言を連発し、南シナ海で揉めているはずの中国で友好的な態度をとって援助を引き出すなど強かな動きを見せている。日本でも、反米だが親日ということで友好発言を連発し、今回も日本から援助を引き出した。
 外国から見れば暴言大統領と映るが、国内では麻薬犯の撲滅などで成果を上げて英雄的な扱いだと言うし、支持率も高い。人権問題や行き過ぎた強権発動なども指摘され、何を考えているのか分からない暴れん坊にも見えるし、これが意図的な振る舞いだと思えば、決して侮れない。孫子の兵法を応用して考えてみよう。
 孫子は、

『諸侯の謀を知らざる者は、予め交わること能わず。山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行ること能わず。郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず。』

 と指摘している。
 隣接する諸国・諸侯の思惑をつかんでいないようでは、事前に手を結び同盟するようなこともできず、山林や険しい要害や沼沢地などの地形を把握していなければ、軍隊を動かすことができず、その土地に詳しい道案内を使わないようでは、地の利を活かすことはできないと言うのだ。
 まさに、フィリピンの思惑、中国の思惑、米国の思惑、東南アジア諸国の思惑をつかんでおかなければならないし、南シナ海を巡る地政学的な状況も知っておく必要がある。フィリピンの国内事情などはやはり現地にいないと分からないことも多いだろう。
 そして、孫子はこうも言っている。

『上兵は謀を伐つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。城を攻むるの法は已むを得ざるが為なり。』

 最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立させることである。それができなければ、いよいよ敵と戦火を交えることになるが、その際に一番まずいのが敵の城を攻めることである。城攻めは、他に方策がない場合に仕方なく行う手段に過ぎないのだと。
 敵の謀を読み取り、それを無力化する戦いをすべきなのだ。フィリピンの思惑も当然ながら、中国や米国などの思惑、謀を読み、先手を打つ。米中関係を利用しながら自国の国益を実現しようとするドゥテルテ大統領は、中国によって米国との同盟関係を断ち切られているとも言えるだろうし、東シナ海の問題を抱える日本は中国とフィリピンの関係強化を牽制したいだろう。こうした駆け引き、外交によって戦力行使、実際の紛争を避けることができると言うわけだ。米国も好きなようにはさせてくれないだろうから、結局フィリピンが中国と米国に翻弄されて痛い目に遭い、日本も経済支援でしっかり搾り取られて終わった・・・とならないように気を付けてもらいたい。
 孫子は、兵法書でありながら、実際に戦争になることを避けようとする書である。だから、

『是の故に、百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。』

 と、戦わずして勝てと言ったわけだ。
 百回戦って、百回勝利を収めたとしても、それは最善の策とは言えない。実際に戦わずに、敵を屈服させるのが最善の策であると。
 国と国は、2500年経った今もなお、中国の春秋戦国時代のように国益をかけて競い合っている。実際の戦争が起こらないことを願うばかりだが、そのためには謀を伐ち、交を伐つことができなければならない。日本はフィリピンを心配している場合ではないな。

Posted by KazuhiroNagao at 18:04
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2016年09月26日
 築地市場を豊洲に移転する計画が大きく崩れている。小池都知事が誕生したから表面化したのか、移転日が近づきイザ移転となって噴出して来たのか分からないが、報道される内容を聞いていると東京都は大丈夫なのか?と要らぬ心配をしてしまうことになる。
 報道される情報が偏っているだけで、東京都のちゃんとした人がちゃんと考えてやってくれていることを祈るばかりだが、盛り土をしていないのにしていると公表していたのは、どこからどう考えてもまずい。盛り土よりも地下ピットを作る方が良いと判断したならそれでいい。盛り土を要求したのは土壌環境の専門家で、建設建築の専門家からしてみたら地下にスペースを作るのが常識でしょというならそれでいい。専門家たちが言っているのは大袈裟な話で実際には盛り土なんかなくても大丈夫だというならそれでいい。それをなぜ公表せずに、全面的に盛り土していますなんて言うのか・・・。おまけに歴代の市場長までその事実を知らないと言う・・・。
 孫子は、

『軍の以て進む可からざるを知らずして、之に進めと謂い、軍の以て退く可からざるを知らずして、之に退けと謂う。是を軍を縻ぐと謂う。』

 と現場の状況を見ずにあれこれ指示命令することの非を指摘した。「軍が進撃してはならない状況にあるのを知らずに、進撃せよと命令し、軍が退却してはならない状況にあるのを知らずに、退却を命令するようなことでは、軍事行動を阻害し、拘束しているに過ぎない。」と。
 だから、リーダーたる者、現場の「見える化」を行い、きちんと実態をつかむことが重要だ。孫子兵法家は普段そのように経営者や管理者に指導している。
 しかし、それを下の立場、現場の視点から見ると、「現場のことも分からない上の人間がガタガタと口を出すな。迷惑だ。黙っていてくれた方が動きやすい。」となる。東京都でも、現場で、担当部署で、そうした隠蔽や現場の判断が行われているのだろう。企業現場でも同じだ。上からガタガタ言われたくない現場は情報を隠そうとする。最初は悪意はないだろうが、「わざわざ報告するまでもあるまい」などと考えている内に、どんどん隠蔽する領域が広くなり、ついにはヘタに言うとこれまでの隠蔽を責められてしまうという状況に陥る。
 だからこそリーダーは、時に現場に足を運び、現場を「見える化」「可視化」し、実態をつかむというアクションを起こさなければならない。石原都知事がわざわざ足を運ぶべきとまでは思わないが、市場長が盛り土のない現場を見ていないというのは許されないだろう。建設途中で一度も見に行かないのか。完成時に、図面通りにできているかどうか確認しないのか。土壌汚染の問題は豊洲新市場にとって大きな課題だったはずだ。それが本当にうまく解決できたのか、リーダーである市場長は現場、現物を確認するべきだった。
 現場の状況をつかんでこそ、リーダーとしての指示命令が出せるのであり、それ故に現場は、現場情報を隠そうとする。そうした人間の現実を踏まえた上でリーダーは現場と向き合わなければならない。現場に対して「良きに計らえ」と言っているだけのお飾りでは意味がない。
 築地市場の移転問題を孫子の兵法で振り返りながら、世のリーダーは現場の「見える化」の大切さと難しさを肝に銘じるべきである。問題が起こった時に、リーダーが「知らなかった」「騙された」と恥ずかしい答弁をしなくても良いようにしておこう。

Posted by KazuhiroNagao at 20:50
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2016年08月16日
 前回、リオデジャネイロ・オリンピックの男子サッカーに触れたので、第3戦についても触れないわけにはいかない。ということで続編。孫子兵法家としては、そもそも孫子の企業経営応用、ビジネス応用が専門なので、サッカーやオリンピックについてとやかく言う必要もないのだが、孫子の兵法がいろいろなことに応用、適用できるということについて訴えたいし、サッカーについては経験者でもあるので、つい言いたくなる。ご容赦いただきたい。
 さて、一次リーグ第3戦だが、スウェーデンに1-0で勝利。まぁ一勝できて良かった。おめでとう。失点もなかったし、それは良かった。だが、コロンビアがナイジェリアに勝って、日本は一次リーグ(グループステージと言うらしいが)敗退決定。以上終わり。そこまで。
 孫子は、

『戦えば勝ち攻むれば取るも、其の功を修めざる者は凶なり。命けて費留という。』

 と言っている。
 敵を攻め破ったり、狙った地域を占領したとしても、その戦果を戦争目的達成のために活かせないのは、不吉な兆候である。名付ければ、「骨折り損」「時間の無駄」と言えるだろう、と。
 たとえ勝っても決勝トーナメントに行けなければ無意味。それが短期決戦という現実だ。面子を守る、負けるよりは勝った方がいい、という精神面、心理面でのプラスはあるだろうが、果たしてそれが次の五輪、東京大会につながるプラスかどうか。いっそ、三戦全敗でゼロから見直しとなった方が次につながったのではないか。
 第3戦で対戦したスウェーデンは引いて守って、まさに堅守だった。堅守速攻を掲げる日本の上手を行く守備重視。対して日本は、私が後半から出すようにと書いたジャガー浅野をスタメンで投入するなど攻め重視。話が変わってしまった。勝つしかないという状況に置かれて開き直ったのかもしれないが、戦術のチグハグ感が否めない。そしてジャガーは後半で交代・・・。その後、点が入ったので良かったようなものだが、狙い通りなのかどうか。孫子兵法家から見ると、日本が良かったというよりも、スウェーデンがダメダメだっただけのような・・・。
 そして、終了後の監督や選手のコメントが気に入らない。「次につながる」「借りはA代表で返す」「監督を男にしたかった」・・・。何を言っているのか? 第3戦で勝ったように見えても、一次リーグでの短期決戦という勝負で負けたんだよ。オーバーエイジ枠も、選手のオーダーもいろいろ言いたいことがあるし、個々の選手のプレーの質もどうなんだろうかと思う。
 選手のコメントなどを読めば、手倉森監督はいい監督のようだ。選手には・・・。個々の選手の立場では、あくまでも五輪代表はA代表へのステップであって、ここで頭角を現せばいいということでもあるだろう。現にジャガー浅野はアーセナルへの切符をつかんだわけだし。しかし、五輪代表の監督は、五輪本番で選手の育成を考えるのではなく、メダルを狙うべきだろう。長期で戦うクラブチームではないのだから。
 そういう意味からも、この第3戦の勝利は「凶」である可能性があり、せっかく勝っても「費留」であったと言えるのではないか。一サッカーファン、一国民としては、せめて一勝できて嬉しいし、諦めずによく頑張ったと言ってやりたいところだが、孫子兵法家としては、ここでヘタに勝ったことが今後の五輪代表や今回選出された選手たちの将来に「凶」とならないことを祈る。

Posted by KazuhiroNagao at 12:50
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