2016年06月16日
 前回、『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』を取り上げたが、さらに今回は、そこに勢いをプラスしてみようと思う。
 2016年7月7日、「マンガでわかる!孫子式 戦略思考」と「まんでできる 営業の見える化」のダブル出版記念セミナーを行う。奇法としてのマンガを用いて、江河の如きバリエーションを生み出しながら、そこにもう一冊ビジネスコミックを加えて、ダブル!!企画。出版記念というだけでも通常のセミナーよりはインパクトがあるのだが、それがダブル!! 行く時には一気に行く。これも孫子の兵法だ。


まんが見える化 マンガ孫子

 孫子は、

『激水の疾くして、石を漂わすに至る者は勢なり。鷙鳥の撃ちて毀折に至る者は、節なり。是の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、其の節は短なり。勢は弩を彍るが如く、節は機を発するが如し。』

 と教えてくれた。
 水の流れが激しくて岩石をも漂わせるのは、その水に勢いがあるからであると。たしかにそうだ。物事を動かすためには勢いが必要だ。そしてさらに、猛禽が急降下して一撃で獲物を打ち砕くのは、絶妙のタイミングだからであると孫子は説く。勢いは長くは続かないから、タイミングが重要であり、それが一点に集中することで力を増すことになる。だから、戦上手は、その戦闘に投入する勢いを大きく険しくし、その勢いを放出するのは一瞬の間に集中させると言うのだ。その勢いを蓄えるのは弩(弓)の弦を一杯に引くようなものであり、節(タイミング)とは、その引き金を引く時のようなものであると孫子は説いている。
 勢いを増しつつ、それを一気に放出させる。これを私のビジネスに応用すると、ダブル出版記念セミナーとなる。おまけに、彦星と織姫が出会う七夕というタイミング。これはあまり関係ないか・・・。
 「営業の見える化」と言えば、私の通常の書籍(とイチイチ断らないといけなくなったが)の中で一番売れたヒット作。これがマンガになって勢いが出ないわけがない。そして「まんがで身につく孫子の兵法」でマンガを描いてくれた久米礼華さんが今回も担当してくれている。会ったことはないが(笑)ゴールデンコンビ。これまた勢いが増す。是非、皆さんも孫子の兵法を実践してみていただきたい。「営業の見える化」もお忘れなく。
 おっと、ダブル出版記念セミナーもお忘れなく。七夕です。


Posted by KazuhiroNagao at 14:14
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2016年05月17日
 孫子兵法家である私が繰り出す戦法、戦術、戦略は、当然のことながら孫子の兵法を踏まえたものであり、孫子兵法の実践でなければならない。そして、孫子兵法家が「孫子兵法家」と堂々と名乗り続けられるだけの実行と戦果がなければならない。
 だから、「孫子にフォーカス」と言いながら、KADOKAWAから正攻法の書籍「仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる」を出し、「孫子でキングダムを斬る」と言いながら、集英社から大人気漫画キングダム応用を入れた奇法「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」を出したかと思ったら、今度は宝島社から「マンガでわかる!孫子式 戦略思考」という本を出した。

マンガでわかる!孫子式 戦略思考  

 マンガでわかるシリーズで有名な宝島社で、孫子の兵法のビジネス応用。これぞ孫子兵法家の得意分野、ど真ん中のようでいてマンガというひねりもあり、正か奇かという二項対立を超えた絶妙な手を尽きることなく出していかなければならない。
 これぞまさに孫子の兵法、

『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』

 の実践である。
 孫子は、戦闘においては、正法によって相手と対峙し、奇法を用いて勝利を収めるものである。だから、奇法に通じた者の打つ手は天地のように無限であり、揚子江や黄河のように(大河や海のように)尽きることがないと教えてくれている。
 同じ孫子の兵法を元にしていても、その現代ビジネスへの応用は業種・業態・規模や経営課題に応じて千差万別、無限大。前回のマンガは米屋さんだったが、今回は事務機販売業が舞台だ。読み比べていただくのも良いだろう。
 まだまだ江河の如く孫子兵法の応用アイデアがあるから、続編も出せるといいな。別企画でもいいが。孫子兵法、江河の如く尽きることなし。

Posted by KazuhiroNagao at 18:38
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2016年04月19日
 累計2300万部の大人気コミック「キングダム」とのコラボで、「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」(集英社)という本を書かせていただいたご縁により、集英社さんからキングダムの42巻が通常の発売日よりちょっと前に届いた。ふふふ。何となく嬉しい。自分でもAmazonで予約しているのだが・・・。一足先に拝読。
 ちょうどキングダムの実写動画も公開された。http://youngjump.jp/kingdom/
 信役の山崎賢人君を知らないのだが、信のイメージにピッタリな感じだ。ちょっとイケメン過ぎるか・・・。まぁしかし、この勢いで映画化もしてくれたらいいなと思う・・・。
 話は戻って、最新42巻である。この巻の主人公は、なんと言っても飛信隊副長の渕さんだ。表紙でも中心にドーンと描かれている。

キングダム 42

 飛信隊の行く手を阻む、橋も舟もない川。対岸には敵兵がギッシリと陣を固めている。打つ手なしと誰もが思った状況を救うのが副長の渕さんである。その武力でも知略でもなく、「責任感」の強さで渕副長を選んだと言う。
 詳しくは、キングダム42巻を読んでいただくとして、ここで孫子の兵法を思い出した。
 孫子曰く、

『之を往く所無きに投ずれば、死すとも且つ北げず。死焉んぞ得ざらんや、士人力を尽くす。兵士は甚だしく陥れば則ち懼れず、往く所無ければ則ち固く、深く入れば則ち拘し、已むを得ざれば則ち闘う。』

「どこにも行き場のない状況に兵を投入すれば、死んでも敗走することはない。これでどうして死にもの狂いの覚悟が得られないことがあるだろうか。士卒はともに決死の覚悟で力を尽くすことになる。兵士たちは、あまりにも危険な状況に陥ると、もはや恐れなくなり、行き場がなくなれば覚悟も固まり、深く入り込めば手を取り合い一致団結し、戦うしかないとなれば、奮戦するものなのだ。」という孫子の教えである。
 他に行き場がなく、逃げようもない、やるしかないという状況に置かれた時、受けて立つのが責任感である。飛信隊の副長としての責任感で、この「窮地」を乗り切る。孫子「九地」篇の一節である。
 キングダムそのものももちろん面白いのだが、こうして孫子の兵法と照らして読んでもらうと、さらに深く、面白くなる。当然、その際には事前に「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」を読んでおくと尚良い。

Posted by KazuhiroNagao at 15:35
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2016年03月18日

ヤングジャンプで連載中の大人気漫画「キングダム」が連載10周年となり、その記念企画で「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」(集英社)という書籍が出来上がった。書いたのは、孫子兵法家・長尾一洋。この話が舞い込んだのも、「まんがで身につく孫子の兵法」(あさ出版)が売れたおかげだろう。中国春秋戦国時代つながりでもあり、漫画つながりでもある。どういうキッカケであれ、大人気の「キングダム」とコラボできることは嬉しいことだし、集英社さんからお声掛けいただいたことにも感謝だ。孫子と漫画に感謝。

 本の表紙はこんな感じ。

suntzu-book5
© Yasuhisa Hara /Shueisha

 この企画の依頼を受けたのは、ちょうどアメトークの「キングダム芸人」が放映されたあとで、書店から「キングダム」が消えていた時期だった。全巻集めるのにも苦労したが、それほど売れている漫画なのかと余計興味も湧いた。しかし、いくら人気漫画とはいえ、ただ漫画の解説をするのでは私が引き受ける必要もない。孫子兵法家ならではの内容を盛り込まないと意味がないわけで、やはり孫子で「キングダム」を斬るしかなし。

 そこで、週刊漫画連載の事情もよく分かっていないことをいいことに、作者の原先生にも会わせてくれと要求し、大変ご多忙中ではあったが面談の機会も得た。やはり作者がどういう人でどういう思いで書いているのかを知らなければ、斬るに斬れない。リーダー像について談義できて楽しかったが、若いのにこんなにスケールの大きいストーリーを描き出す力に敬服しつつ嫉妬したりもした。

 詳細は是非本書を読んでいただきたいが、リーダーの条件として挙げた10項目は、「リーダーは誰だ?」(あさ出版)で提示したものだ。驚いたことにこの10の条件がすべて「キングダム」に登場する将軍たちによって網羅されていた。斬ったつもりが斬られていたのか。。。。まぁいずれにせよ、「キングダム」がリーダーシップを考えるための素敵な事例集、テキストになったのだ。

 本書を読んでから、また「キングダム」を読み返してもらうことで、新たな価値を感じてもらえるはずだ。本文の中に紹介したシーンのコミック巻数とページを明記しているので、本文を読みながら、コミックをチェックしてもらいたい。きっと前後も読みたくなるだろうから、読むのに結構時間がかかるかもしれないが、それもまた楽し。

 もちろん、終章には「孫子の兵法からみたキングダムのリーダーシップ」という章を置き、孫子兵法家としての面目躍如。孫子で「キングダム」を斬ったカタチで終わることができて良かった。

 「キングダム」をまだお読みでない方は、本書と同時に全巻を大人買いして是非お読みください。戦国乱世を生き抜く智恵と力と兵法が、楽しみながら身につきます。



Posted by KazuhiroNagao at 09:24
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2016年02月28日
 今年のNHK大河ドラマは「真田丸」。三谷幸喜の脚本だけあって軽妙なタッチで大河らしい重々しさはないが、評判は上々のようだ。去年ちょっと暗かったからな。。。
 主人公はご存じ、堺雅人演じる真田信繁(幸村)。しかし現時点での主役は、その父、真田昌幸である。草刈正雄のとぼけた詭道ぶりがいい。さすが風林火山の武田家を支えた武将である。孫子の兵法を実戦応用していると言えるだろう。
 武田家が滅亡し、信濃国小県の一国衆として孤立しそうになるも、上杉や北条とも内通し、織田、徳川とも微妙な駆け引きを見せる。調略あり、裏切りあり、恭順あり、謀略あり。父、昌幸の味方をも騙す豹変ぶりに、大泉洋演じる長男、真田信幸が悩まされる姿が笑える。コミカルな役が多い大泉洋が、真面目な長男を演じている時点で笑えてしまうのは脚本、演出の力だろうか。
 孫子兵法家としてこの「真田丸」を見ていると、群雄割拠の戦国の世に、頼りとしていた主家を失い、上杉、北条、徳川(織田)という有力大名に囲まれた真田家が、いかに孫子の兵法を駆使して生き抜くかが気になる。まさに、孫子の兵法

『上兵は謀を伐つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。城を攻むるの法は已むを得ざるが為なり。』

が、真田昌幸の戦い方だ。いや、戦い方ではないな。戦わないやり方だ。
「最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立させることである。それができなければ、いよいよ敵と戦火を交えることになるが、その際に一番まずいのが敵の城を攻めることである。城攻めは、他に方策がない場合に仕方なく行う手段に過ぎない。」という孫子の教えそのものが、このドラマでも展開されている。
 まずは、北条や上杉や織田・徳川の利害を考える。そのためにはそれぞれの情報を収集する必要があるわけだが、そこには佐助という間諜がいる。間諜を重視したのは武田信玄も同様だが、孫子の兵法を知る者は必ず考えることだろう。そして相手を知り、調略で交わりを伐つ。離反させ、疑心暗鬼にさせ、こちらの思うように動かしていく。戦うのはそのあとだ。正面から戦って真田に勝ち目はないわけだから、謀と交を伐って戦わずに敵を無力化するしかない。
 その辺りの草刈正雄の演技がまたいい。まさに、

『始めは処女の如くにして、敵人、戸を開くや、後は脱兎の如くす。』

という孫子の教え通りの演技ぶり。演技をしている演技。二枚目の渋い顔で、シラーッとやるところがにくい。ついストーリーよりもそういうことが気になる。いや、孫子兵法家としては、孫子の兵法が気になる。
 NHK大河ドラマ「真田丸」を見られる際には、是非孫子の兵法を思い出しながら見ていただきたい。45分間がより充実した時間になるはずである。

Posted by KazuhiroNagao at 21:18
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2016年01月21日
 キングダムの41巻が発売された。孫子の兵法が実戦応用されたに違いない戦国時代末期、秦の中華統一の物語だけに、孫子兵法家が読まないわけにはいかない。キングダムがヤングジャンプに連載されてちょうどこの一月で10周年になるそうだ。10年の節目のタイミングで出た41巻の冒頭が、秦国内における後の始皇帝、政と呂不韋の争いが終わったところにちょうど当たっている。秦の実権を握っていた呂不韋を退け、いよいよ他国を制圧し始める新たなステージへと進む。節目の巻である。
 秦が中華全土を統一し、始皇帝が誕生するという結末を知っているにもかかわらず、つい「これからどうなるのか」とワクワクしてしまうからおかしなものだ。と、面白がっているだけでは、孫子兵法家の意味がない。この41巻の冒頭、第438話のシーンを孫子の兵法で斬ってみよう。
 政敵、呂不韋、実の母、太后との争いに終止符を打ち、黄昏ている政(後の始皇帝)に、主人公の信が声をかける。そして出会ってからこれまでの7年間を振り返るシーンである。まさに10年間の連載を締め括るシーンであると言える。
 そこで、政は中華統一までこれから15年かかると信に告げる。参謀である昌平君との間で計画された年限が15年だと言うのだ。
 これは、孫子の兵法

『戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里なるも戦うべし。』

 の応用であると考えれば良いだろう。どこで、いつ戦うかを主体的に決めれば、遠い道のりであっても戦って良い。1年2年で中華統一が出来るわけではない。そんな簡単な目標ではない。だが、15年という年月があり、どう戦うかが見えていれば戦って良いのだ。それを政は示した。
 だが、それに対して信は、15年あっても、他の六国すべてを征服するのは無茶だと言って納得しない。そこで政は、15年間のストーリー、段取りを明示する。人材登用から軍の強化を進め、さらに「秦の六大将軍」を復活させると言うのだ。ただ目標を示すだけではなく、それに至る道筋を示すことが重要だ。ただビジョンや夢を語るだけでなく、それを実現するためのストーリーを明示できなければならない。
 そして、政は信に対して「信、お前はそこに割って入り、必ず六将の一席を掴み取れ!」と鼓舞することで、信を自分のビジョンの同志として改めてエンロールした。
 これは、孫子の兵法

『金鼓・旌旗は人の耳目を一にする所以なり。人既に専一なれば、則ち勇者も独り進むことを得ず。怯者も独り退くことを得ず。此れ衆を用うるの法なり。』

 によって、人の耳目を一にしたものだと考えれば良い。金鼓・旌旗とは、目指すべき旗印であり動くタイミングを示す合図である。これによって意思統一が図られることで組織的な動きが可能となる。そうすれば、勝手な動きは出来なくなるし、ビビッて逃げることもなくなると孫子は言ったのだ。これが組織を動かす法だと。これを政も使っているわけだ。信はもうやらないわけにはいかない。
 時は、紀元前238年。孫子は紀元前500年前後に書かれたと言われているから、孫子からは260年ほど時代が下り、孫子の兵法が国王や将軍たちには広まっていたものと思われる。史記や戦国策くらいしかこの時代の中国を知る手掛かりはないが、こうしてキングダムというマンガになって、孫子の兵法の実戦応用が手軽に楽しめるとは孫子兵法家としてはとても嬉しい。キングダム恐るべし。

Posted by KazuhiroNagao at 11:39
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2015年12月03日
 一年ぶりに新刊書籍が出る。孫子本である。前作の「まんがで身につく孫子の兵法」(あさ出版)に続き、今度は、KADOKAWAさんから「仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる」が出る。

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 検索してみると、この一年の間に、孫子関連本が結構出版されていることが分かる。敵は多い。直近でも孫子本が何冊か出るようだ。「あの大御所も・・・」「あぁこの人も・・・」という感じ。だが、この人たちのほとんどは、中国古典や東洋思想の専門家であって、孫子以外の本もいろいろ書いている人たちだ。要するに、孫子の専門家ではない。
 それに対して、こちらは孫子兵法家。孫子にフォーカスしている。これも孫子兵法の実践である。
 孫子は、

『我は専りて一と為り、敵は分かれて十と為らば、是れ、十を以て其の一を攻むるなり。我寡なくして敵衆きも、能く寡を以て衆を撃つ者は、則ち吾が与に戦う所の者約なればなり。』

 と、教えてくれている。フォーカス戦略だ。
 「我が軍は、一点に兵力を集中させ、一方の敵軍は、分散して10隊に分かれたとすると、敵の10倍の兵力(敵が自軍の10分の1の兵力)をもって攻めることができる。我が軍の兵力が全体としては少なく、敵軍の方が多かったとしても、その小兵力で大兵力を打ち破ることができるのは、個々の戦闘において、兵力を集約させ、集中して敵に当たるからである。」というのである。
 敵は多いが、彼らは兵力を分散させている。論語や韓非子や貞観政要、クラウゼビッツ・・・。戦線が広がれば、自ずと兵力は薄くなる。それに対してこちらは、孫子に集中だ。それも、孫子を現代のビジネスに応用することに集中だ。単なる孫子の現代語訳などは削ぎ落とす。あくまでも仕事や経営に活かす孫子兵法だ。
 また、孫子本は多いが、孫子の兵法を現代のビジネスに応用したマンガ本はほとんどないし、この一年出ていないだろう。私の「まんがで身につく孫子の兵法」がそこそこ売れたから、二番煎じ、三番煎じが出ても良さそうなのに出ない。結果として孫子のマンガ領域も独自領域にできている。これによってキングダム(始皇帝・史記)にマンガつながりで領域を広げたが、キングダムも孫子で斬ってみた。時代は春秋と戦国の違いがあれど、春秋戦国と考えれば同時代。キングダムでも孫子の兵法が役立った。
 フォーカスの重要性を皆さんにも知っていただきたい。

Posted by KazuhiroNagao at 21:09
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2015年10月23日
 ヤングジャンプに連載されている漫画、キングダムが人気だ。中国春秋戦国時代の終焉を告げる秦の中華統一ストーリーが描かれている。連載開始から10年。コミックの単行本は40巻。なんと累計で2000万部が売れている・・・だから最新の40巻は初版で50万部。すごいな。「アメトーク」というTV番組で取り上げられて一気に人気が高まったということだが、アニメにもなっていたりして、そもそも人気があったようだ。
 孫子兵法家は、現在この漫画を研究中。孫子の時代からは300年近く下った戦国時代の話だが、一応春秋戦国時代ということで良いことにしよう。そして、このキングダムの中にも孫子の兵法が出てきたりするから面白い。
 たとえば、最新の40巻では、反乱軍を制圧したシーンで、軍師である河了貂が、わざと敗走を促す。
 まさに、孫子の

『衆を用うるの法は、高陵には向かうこと勿れ、背丘には迎うること勿れ、佯北には従うこと勿れ、囲師には闕を遺し、帰師には遏むること勿れ。此れ衆を用うるの法なり。』

 の一節を使っていると言えるだろう。敵を包囲しても逃げ道を残しておき、自国に敗走しようとする敵を遮って留めようとしてはならない。無駄な戦傷者を出すだけであり、窮鼠猫を噛むような反撃をされないようにするわけだ。
 そんなことを考えながらキングダムを読んでいる。どうしても孫子兵法家としては、孫子の兵法からの目線で読んでしまう。キングダムの作者である原泰久さんともお会いしたのだが、史記や戦国策などかなり研究しておられるようだ。史実から拾ったエピソードを拡げて漫画にする構想力が素晴らしい。ついついキングダムを読んで、史記の本紀や列伝を読み返すことになる。これもまた面白い。史記は当然文字ばかりで、あまり面白みがないのだが、キングダムを読んだ後に読むとそこに絵が浮かんで楽しくなる。40巻には、呂不韋が始皇帝の実の父親ではないかという話も出てくるのだが、史記に書かれたこの仰天エピソードをどう原先生が料理するのかと思っていたら、うまい具合に描いていた。なかなかやるな。とはいえ、孫子兵法家としては孫子の兵法で負けるわけにはいかない。戦っているわけではないのだが・・・。
 孫子の漫画(まんがで身につく孫子の兵法)も面白いが、始皇帝の漫画キングダムもなかなか面白いということで、まだ読んだことのない人は是非読んでみていただきたい。

Posted by KazuhiroNagao at 11:17
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2015年08月31日
 人員、兵器、資産、食糧、資源・・・。多い方が良さそうだが、多ければ良いというものでもない。東京と一緒になって全国区となったのに分裂しそうな大阪維新の会。亀山、堺と巨大工場を作ったのに液晶事業を売却しようとするシャープ。資源安に苦しむ資源国。世界で一番たくさんB747を保有していたのに破綻したJAL。エアバスを買い付けて行き詰まったスカイマーク。挙げればキリがないほど出てくるのだが・・・。
 相変わらず、大規模、多数、多量を良しとする人や企業が多い。多くてもそれが烏合の衆、ただの寄せ集め、弱者連合、馴れ合いでは、却って足手まといになるくらいなもので、質、価値、スピードが問われていることを忘れてはいけない。ましてや、大であり多であることに慢心、過信しているようでは話にならない。
 孫子は、

『兵は多きを益ありとするに非ざるなり。惟だ武進すること無く、力を併せて敵を料らば、以て人を取るに足らんのみ。夫れ惟だ慮り無くして敵を易る者は、必ず人に擒にせらる。』

 と、教えてくれている。「戦争においては、兵員が多ければ良いというものではない。兵力を過信して猛進するようなことをせず、戦力を集中させ、敵情を読んで戦えば、敵を屈服させるに充分である。そもそも彼我の戦力分析もせずよく考えもしないで敵を侮り軽はずみに動くようでは、敵の捕虜にされるのが落ちである。」というのだ。
 兵力の多寡を冷静に見極めよと教える孫子が、ただ多ければいいってもんじゃないぞと教えてくれているわけだ。中堅・中小企業にとっては、心強い一節であり、大企業にとっては注意すべき指摘だろう。もちろん、企業レベルだけでなく、部署やチーム、グループなどでも言えることだ。
 人が増え、組織が増え、パワーアップしたと思っていたら、却って弱体化していたなんてことにならないように気を付けたい。孫子の兵法を現代に活かそう。


Posted by KazuhiroNagao at 17:43
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2015年07月30日
 マイナンバー制度が2016年1月からスタートするということで、にわかにIT業界、情報セキュリティ業界が活気づいている。情報を保管し、持ち出しを制限するまでなら、紙でも可能だろうが、廃棄も義務付けられるとITを活用する以外にないだろう。だが、世の中にはITとは縁遠い企業も少なくないし、そもそもマイナンバー制度自体をよく分かっていない企業も多いから、混乱は必至だ。どこまで厳格にルールが運用されるのかも不透明だし、全事業所に対してチェックすることなど出来ないだろうから、企業側もどこまで準備しておけばいいのか判断に困ることになる。
 マイナンバー制度に乗じて、高いツールやシステムを買わされたり、逆にロクに準備もせずに源泉徴収などの業務が停滞したりする企業があってはいけないので、私の会社では、nyoiboxという業務システムに「マイナンバーテンプレート」を無償で提供し、規程やマニュアルの雛型をまとめた「マイナンバー導入準備パック」を年内限定で無料提供することにした。これくらいなら、小さな事業者でも取り組めるだろうし、マイナンバーへの取り組みをマイナンバーだけで終わらせずに、自社のセキュリティ強化や相互牽制体制、ペーパーレス化などもついでに進めてもらいたい。
 そうでなければ、ただ単に無駄なコストと手間をかけさせられて、徴税率を上げ、社会保険の未加入をあぶり出し、従業員の副業、裏バイトなどをさせなくして終わり・・・となる。どうせやらなければならないなら、義務による最低限の意味のないものにせず、有効な取り組みにすべきであると考える。
 特に、内部の相互牽制を効かせる体制作りをやってほしい。情報セキュリティの話になると、サイバー攻撃とか派手な話が多くなるが、超有名企業や公的な機関を除いて、一般の企業で気を付けなければならないのは内部犯行である。ここでも孫子が参考になる。
 孫子曰く、

『間を用うるに五有り。因間有り。内間有り。反間有り。死間有り。生間有り。』

 間諜には5種類あると指摘する一節だ。

 『生間なる者は、反り報ずる者なり。因間なる者は、其の郷人に因りて用うる者なり。内間なる者は、其の官人に因りて用うるなり。反間なる者は、其の敵間に因りて用うる者なり。死間なる者は、誑事を外に為し、吾が間をして之を知ら令め、而して敵を待つ者なり。』 

  生間というのは、敵国に侵入して諜報活動を行ってから生還して報告を行う者である。因間(郷間とも)というのは、敵国の村里にいる一般人を使って諜報をする者である。内間というのは、敵国の官吏などを利用し内通させる者である。反間というのは、敵国の間諜を逆利用する者である。死間というのは、偽情報や誤情報を流すことで敵を欺き、味方の間諜にそのことを自国に報告させ、敵がその偽情報に乗せられて動くのを待ち受ける者である、と孫子は解説した。
 敵の内部にいる人間を間諜にせよというわけだから、逆に言えば、内部に敵がいるということ。それに備えておかなければならない。それを逆利用できれば反間となるが、ここでは話がややこしくなるので置いておこう。
 外部からの攻撃には、いろいろなセキュリティ(防禦策)がある。だが、そのセキュリティ対策を行う人間が、敵の「内間」だったら? 敵ではないにせよ、自社に対して敵愾心を持っている人間だったら? ここへの対策がどこの企業も弱い。相互牽制が効いていないのだ。特に小規模企業では、情報システムが特定の社員に任されていたりする。
 これでは、経理業務を長年一人で取り仕切っている人間が、裏で帳簿操作をして楽々と金を抜いていたというのと同じことになる。誰もチェックする人がいなければそうなる。孫子はそうした敵の不備を衝けと教えたわけだが、その教えから逆に備えよう。
 nyoiboxでは、暗号化された重要情報をデータ出力する際には、複数人が立ち会わないといけない仕組みも設けた。システムツールだけでは対処し切れないからだ。こうした相互牽制の仕組みは、マイナンバーだけでなく、顧客情報や人事情報などでも必要になるだろう。そうした取り組みのキッカケとしてマイナンバー制度に向き合ってもらいたい。孫子の教えを逆利用しよう。


Posted by KazuhiroNagao at 18:11
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著作紹介
仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる
仕事で大切なことは
孫子の兵法が
ぜんぶ教えてくれる

著 者:長尾一洋
発行所:KADOKAWA

まんがで身につく孫子の兵法
まんがで身につく
孫子の兵法

著 者:長尾一洋
まんが:久米礼華
発行所:あさ出版

小さな会社こそが勝ち続ける 孫子の兵法経営戦略
小さな会社こそが勝ち続ける
孫子の兵法経営戦略

著 者:長尾一洋
発行所:明日香出版社

これなら勝てる!必勝の営業術55のポイント~最強の兵法を営業改革に活かせ~
これなら勝てる!
必勝の営業術55のポイント
最強の兵法を営業改革に活かせ

著 者:長尾一洋
発行所:中央経済社
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