2017年10月10日
 衆議院が解散になり、いよいよ選挙戦に突入した。党首討論などで発言していることを鵜呑みには出来ないし、報道されている内容が正しいとも思えないから、政治の世界は実際のところどうなのかよく分からないが、実体として民進党を解体同然にして一人も候補を立てないことを決断した前原さんと、希望の党に排除されたから仕方なく作ったかどうかは分からないが、立憲民主党を立ち上げた枝野さんの動きに、孫子兵法家としては注目したい。
 今回の衆院選で言えば、希望の党を立ち上げた小池東京都知事に注目するところでしょという意見もあるだろうが、どうにも小池さんの動きは理解不能。言葉とは裏腹に自民党、公明党とつながっているのではないかとも思えるし、情勢を見極めて勝ち戦しかしないと判断するのは孫子の兵法っぽいのだが、国政の前に都政をどうにかしろよとどうしても突っ込みたくなるので置いておく。

 民進党の衰退振りは明らかだった。前原新代表となっても回復の兆しなし。そして離党者がチラホラ…蓮舫もすっかり姿を見せなくなった。といった状況を見て安倍首相も解散に踏み切ったのかもしれないが、まさかそこで前原さんが希望の党への合流という奇策を打つとは・・・。自暴自棄になって投げ出したわけではなく、背水の陣を敷いたのだと考えてあげたい。
 孫子は、
 
『謹み養いて労すること勿く、気を併わせ力を積み、兵を運らして計謀し、測る可からざるを為し、之を往く所無きに投ずれば、死すとも且つ北げず。死焉んぞ得ざらんや、士人力を尽くす。』

 と説いている。
 兵士たちに配慮して休養を与え無駄な労力を使わせないようにし、士気を高めて戦力を蓄え、軍を移動させながら策謀を巡らせ、敵にも味方にもこちらの意図をつかめないようにしておいて、どこにも行き場のない状況に兵を投入すれば、死んでも敗走することはない。これでどうして死にもの狂いの覚悟が得られないことがあるだろうか。士卒はともに決死の覚悟で力を尽くすことになるのだと。
 まさに民進党内部でも前原さんの意図は隠されていたのではないか。希望の党の公認を得ようとした人たちは全員拾ってもらえるはずが安保法制で踏み絵を踏まされ、一部議員は排除された。ここに危機的状況が生まれ、枝野さんは、護憲派の受け皿となる立憲民主党を立ち上げた。新党を立ち上げるべきか否か、どんな党にすべきか、護憲を旗印にして勝てるかどうか、などと逡巡している暇もなし。やるしかない。じっとしていても落選するだけなら戦うしかない。
 だから、孫子は続けて、

『兵士は甚だしく陥れば則ち懼れず、往く所無ければ則ち固く、深く入れば則ち拘し、已むを得ざれば則ち闘う。』

 と言っている。
 兵士たちは、あまりにも危険な状況に陥ると、もはや恐れなくなり、行き場がなくなれば覚悟も固まり、深く入り込めば手を取り合い一致団結し、戦うしかないとなれば、奮戦するものなのだと。
 そう考えると、希望の党の公認をもらった旧民進党の人たちよりも、案外、立憲民主党で戦うしかないと開き直った人たちの方が奮戦、当選するのではないか?
 長年、枝野さんと同じ党で政治家を続けてきた前原さんが、その僚友・戦友のためにこの背水の陣を敷いたのだとしたら、なかなかの孫子兵法の使い手と見る。たまたま流れがそうなっただけのような気がしなくもないが・・・。
 孫子兵法家としては、そんなことを考えながら衆院選を楽しみたいと思う。政治にはあまり興味がないし、選挙費用も無駄だし、余計なことをせずにしっかり国の行く末を議論しろよと言いたいが、やっぱり政治家になる人は選挙が好きなのかな。とりあえずまた都知事選をすることにならなくて良かった。東京都は無駄遣いを止めて豊洲問題や五輪準備をさっさと進めていただきたい。
 前原さん枝野さんの戦いぶりを観戦しよう。枝野さんの福耳を見ていると大丈夫だとは思うけど落選しないでね・・・。前原さんは大丈夫なのかな・・・。ここは孫子の兵法で生き残っていただきたい。(政治的に支持しているわけではないが・・・)

Posted by KazuhiroNagao at 18:05
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2017年08月31日
 ソフトバンクの孫社長について書かれた本を読んだ。557ページに及ぶ大著である。「孫正義 300年王国への野望」という本だ。著者は、日経新聞の記者。密着取材によるノンフィクションだそうだ。日頃ビジネスでソフトバンクさんにはお世話になっているので、何となく内部の動きなども見聞きすることがあり、会社としての歴史もそれなりに知っているつもりでいたが、改めて大きなビジョンに向けて国境など気にせずに突き進む会社だと感心した。

孫正義 300年王国への野望

 何しろ孫社長は、「孫の二乗の法則」を編み出した孫子兵法の使い手でもあるので、孫子兵法家としてはその戦略、戦い方を注視しているわけだが、一番参考にすべきだと思うのはビジョンであり旗印である。本のタイトルにもあるように、孫社長は300年のビジョンを持って経営していると言う。だからブレないのだと。
 孫子は、

『軍政に曰く、言うも相聞えず、故に金鼓を為る。視すも相見えず、故に旌旗を為る。是の故に昼戦に旌旗多く、夜戦に金鼓多し。夫れ、金鼓・旌旗は人の耳目を一にする所以なり。人既に専一なれば、則ち勇者も独り進むことを得ず。怯者も独り退くことを得ず。此れ衆を用うるの法なり。』

 と教えてくれている。孫社長ももちろん読んでいるだろう。
 口で言ったのでは聞こえないので、鉦や太鼓を用いる。手で指し示しても見えないので、旗や幟を用意する。そして、昼間の戦闘では見えるから旗や幟が多く使われ、夜戦では見えないので鉦や太鼓をよく使うのだと。肝心なのはここからで、そもそも鉦や太鼓、旗や幟などは、兵士たちの耳目を統一し集中させるために用いる手段に過ぎない。大切なことは、人の耳目を一にするということだ。これが出来て兵士たちの意識が統一されていれば、勇敢な兵士も勝手に進むことはできず、臆病な兵士も勝手に退散することはできない。これが組織を動かす時の秘訣であると説いたのだ。
 この「人の耳目を一にする」ための、金鼓・旌旗こそが旗印でありビジョンである。その中身や方法は金鼓と旌旗を場合によって使い分けるように色々あるだろうが、やりたいことは、人の耳目を一にすることだ。孫社長はこれを「同志的結合」と呼ぶ。志すなわちビジョンを同じうする者の結合。これが「金銭的結合」よりも強いのだと。
 やっぱり人の「気」なんだよなぁ~と思う。能力の差、待遇の高低より意識の問題。
 だから孫子も続けて、

『故に三軍には気を奪う可く、将軍には心を奪う可し。故より朝の気は鋭、昼の気は惰、暮れの気は帰。故に善く兵を用うる者は、其の鋭気を避けて、その惰帰を撃つ。此れ気を治むる者なり。治を以て乱を待ち、静を以て譁を待つ。此れ心を治むる者なり。』

 と言っている。
 それが組織を動かす要諦だからこそ、軍全体においては兵士の気力を奪い取ることができ、将軍についてはその心を奪い取ることができる。もともと朝方の気力は鋭く、昼には気力が落ちて、暮れ時には気力が尽きてしまうものだ。だから、戦上手な者は、敵の鋭い気力の時を避けて、気力が落ちて、尽きようとしている時を狙って攻撃する。これが気力によって制するやり方である。整然と統率された状態で、混乱して統制を失った敵を待ち受け、冷静な心境で慌てふためく敵と当たる。これが心理状態によって敵を制するやり方であるのだと。
 自軍のために「人の耳目を一」にすることを考えたら、逆に敵に対しては、「気」を奪い、「心」を乱せというわけだ。
 やはり孫子の兵法は、ビジネス、組織運営、人事にも応用できる。それを具現化している現代の孫氏から孫子の兵法の実践法を学んでみるのもおすすめだ。

Posted by KazuhiroNagao at 20:47
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2017年07月27日
 厚生労働省が7月27日に発表した2016年の日本人の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳で、ともに香港に次ぐ世界第2位となり、いずれも過去最高記録を更新した。
 長生きできることはおめでたいことで、寿命が伸びていることは国を挙げて喜ぶべきなのだろうが、高齢者がさらに比重を増し、少子化で若者が増えないと思うと喜んでばかりはいられない。これからこの国はどうなって行くのだろう。
 どこに学校を作るとか獣医学部がいるとかいらないとか日報があるとかないとか大臣が辞めるとか党首が辞めるとか、どうでもいいような議論しかしていない政治を見ていると暗澹たる気持ちになる。年金はすでにあてにしていないが、長生きしても高齢者が多過ぎて介護施設や病院に入れないような事態になるのではないだろうか。
 そんな長生きはしたくないなと思うが、平均年齢が80歳を超えているということは、今すでに50代なのでヘタすると90歳くらいまで生きかねない。厚労省によると「ガン、心疾患、脳血管疾患の三大死因の死亡率低下が、寿命の伸びに寄与している」そうだ。ガンで死にたくはないし、医療の進化によってガンが治療可能になっているのは嬉しいことだが、それによってヘタに長生きする人が増えるのも今後の高齢化社会を考えると諸手を挙げて喜ぶことはできない。
 孫子は、

『智者の慮は、必ず利害を雑う。利に雑うれば、而ち務は信なる可し。害に雑うれば、而ち患いは解く可し。』

 と説いた。
 優秀な人が物事を考え、判断する時は、必ず利と害の両面を合わせて熟考するものである。有利なことにもその不利な面を合わせて考えるから、成し遂げようとしたことがその通りに運ぶ。不利なことに対しても、その利点を考えるから憂いを除き、困難を乗り越えることができると言うのだ。
 まさに孫子兵法家として、物事の利と害を考えているところだ。プラスの裏にはマイナスがある。マイナスの裏にはプラスがある。寿命が伸びるというプラスの出来事の裏にあるマイナス面を考え、そのマイナスをケアすることでプラスを活かさなければならない。
 長寿というプラスは、介護というマイナスを必ず伴う。「ピンピンころり」と行けばいいが、そうはいかない。歳をとればあちこちが痛み出し、目は見えにくくなり、どうしても人の手を借りなくてはいけなくなる。こうして介護が必要になると、介護で仕事を続けられなくなる人が出てくる。それじゃなくても人手不足で困っているところに、介護離職となってはますます高齢者を支えることなどできなくなる。一度離職してしまった中年のオジサン、オバサンは、介護が終わればまだ働けるのに再就職は厳しく、あっても条件が悪くなるだろう。
 そこで、孫子兵法家としては、このマイナスをクリアする方法として、テレワーク体制構築の支援に乗り出すことにした。在宅勤務がスムーズに出来るようになると介護をしながらでも仕事を続けられるケースが増えるはずだ。すべては救えないが半数程度は救えるのではないかと思う。その中身については経営の道標「介護離職防止に在宅勤務」を参照。
 そしてこのマイナスをプラスに転じるべく、テレワーク体制構築への取り組みが、大災害やパンデミック、テロなどに備える事業継続計画(BCP)にもつながるようにした。こちらは、経営の道標「テレワーク体制構築でBCPの整備を」を参照。
 転んでもタダでは起きない。マイナスがあっても何とかプラス面を見出して患いを解く可し。これが孫子兵法家の在り方ではないかと思う。
 日本人の長寿をすべての人が寿げる社会にするべく孫子の兵法を活用して行きたい。

Posted by KazuhiroNagao at 21:27
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2017年06月19日
 頑張っている割に仕事がうまく進まない人がいる。朝から晩まで頑張っているように見えるのに成果が出ない。いったい何を頑張っているのか。「働き方改革」を進めるためには、生産性を上げて、短時間で必要な成果をあげないといけないのに、バタバタするばかりで思うような成果は出ず、とてもではないが時間短縮などできない。とても残念かつもったいない人だ。
 能力がないと言ってしまえばそれまでだが、頑張ろうとはしているわけだから何とかしてあげたい。以前であれば、多少人よりも時間がかかるのを許容してあげて、挽回のチャンスをあげれば良かったが、「働き方改革」だ「時間短縮」だ「ブラック企業」だなんだとうるさいから、時間でカバーすることを認めてあげられない。「働き方改革」を訴えている人たちは、こうした時間短縮に対応できない人をどうやって救済するつもりなのだろう。まさか「同一労働同一賃金」だと言いながら、生産性の高い人が稼いだ付加価値を生産性の低い人に恵んでやれと言うわけではないよね? そんなことをしたら生産性の高い人はバカバカしくなって生産性を落としてしまうのでは? やはり、頑張っているけど成果が出ませんという人をそのままで許しておくわけにはいかない。
 そこで、孫子。「働き方改革」においても孫子の兵法を活用したい。どうするか。先手を打って相手に振り回されないようにする。
 孫子は、

『先に戦地に処りて、敵を待つ者は佚し、後れて戦地に処りて戦いに趨く者は労す。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。』

 と説いた。
 先に戦場に着いて敵軍の到着を待ち受ける軍隊は余裕を持って戦うことができるが、後から戦場にたどり着いて、休む間もなく戦闘に駆けつける軍隊は苦しい戦いを強いられる、と言うのだ。要するに先回りして準備しておくということ。先回りしていることで、敵を思うがままに動かして、決して自分が敵の思うままに動かされるようなことはしないものだと孫子は言った。
 まさに、長時間頑張っている割に成果が出ない人というのは、この逆をやっている。見ていると、まず取り掛かりが遅い。いつもギリギリ、バタバタで、仕事に追われている。自分が仕事を追って時間をかけているのではなく、他人(顧客や上司)から言われて受け身でこなしているだけだから、「人に致されっぱなし」となっている。相手に働きかけ、相手を動かす、相手にやってもらう、「人を致す」発想がない。だからどうしても、仕事が義務的、作業的なものになり、渋々、嫌々取り組むものになる。これで、余計に智恵や創意が湧いて来なくなる・・・。悪循環である。
 面白くない上に、成果も出ない。怒られることばかりで褒められることが少ない。これではモチベーションが下がって当然だ。可哀想に・・・。
 そういう人は、今より、一日、一時間、一歩でいいから早目に着手すべし。そして、ちょっとずつ言われてからやる仕事を減らし、言われる前に自分から取り組む仕事を増やしてみよう。無理にやらなくても良いものは断る。「人に致される」人は、いい人で、優しく親切だから、相手にNOを言えないことが多いが、ここを頑張ってNOを言ってみよう。言えば案外「それでいいよ」となることが多いはずだ。他人の言うことにイチイチ振り回されていては、生産性など上げることは出来ない。
 加えて、「人を致す」ためにも、他人に依頼したり手伝ってもらうことを考えよう。そのためにも早目に着手しておくことが重要だ。期限ギリギリでは頼むにも頼めなくなって、結局自分が背負い込むことになる。
 頑張っている割にどうも仕事がうまく行かないなと思う人は、是非孫子の兵法を勉強して孫子流の仕事術を身につけよう。拙著「仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる」(KADOKAWA)辺りを読んでも良し。「働き方改革」にも孫子の兵法。

Posted by KazuhiroNagao at 11:06
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2017年04月17日

 営業の現場には矛盾が溢れている。量を増やせと言えば質が落ち、質を上げろと言えば量が落ちる。新規開拓だと言えば既存客が放置され、既存フォローをと言えば新規アプローチが減る。顧客のためにと言えば値引きやタダ働きが横行し、利益をとれ業績を上げろと言えば顧客不在な押し売りをし始める。あちらを立てればこちらが立たないという多くの矛盾が営業部門の改革、改善を阻んでいる。
 そこで、孫子兵法家、長尾一洋がその矛盾をズバッと解決する本を書いた。「普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法」(あさ出版)である。表紙はこちら↓。

    普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法

 ほとんどの会社は、普通の人が勤める普通の会社なのだが、普通の会社の普通の人に、特別な人にしかできない特別なことをやらせようとする会社が多過ぎるのだ。普通の人には普通の人なりのやり方がある。
 実は、そのやり方のヒントが「矛盾」にある。多くの矛盾を抱えた営業部門だけに、その矛盾をクリアできれば大きな成果が見込まれる。矛盾とは、そもそも韓非子の一節から生まれた故事成語だ。韓非子の難一篇にこうある。「楚人に盾と矛とを鬻(ひさ)ぐ者有り。之を誉めて曰く『吾が盾の堅きこと、能く陥(とお)すものなきなり。』と。また、その矛を誉めて曰く『わが矛の利(と)きこと、物において陥さざるなきなり。』と。ある人曰く『子の矛を以て、子の盾を陥さばいかん。』と。その人応(こた)ふること能(あた)はざるなり。」
 ご存知の方も多いだろうが、盾と矛を売っていた人間が、どんなものも通さない盾だと盾を売り込みながら、通さないものはない矛だと言って矛も売り込もうとしたら、その矛でその盾を突いたらどうなるのかと問われて答えに窮したという話である。
 たしかに、何も通さない盾と何でも通す矛は、同時には成り立たず矛盾した存在だ。だが、それをどちらが本当に強いか勝負しようと考えるのではなく、普通の会社の普通の人は、そんなにすごい矛と盾があるなら、両方使ったらいいんじゃないの?と考えるべきなのだ。要するに、「矛か盾か」と考えるのではなく、「矛も盾も」と考えてみる発想の転換だ。
 これは、韓非子の矛盾という問題提起に対して、孫子の兵法で答えるものだと言って良い。当時、かき集めた農民兵(普通の人)を強い軍団に仕立てなければならなかった孫子ならではの智恵だと考えれば良いだろう。
 まず、孫子は強い軍団に仕上がった状態を示した。

『善く兵を用うる者は、譬うれば卒然の如し。卒然とは、恒山の蛇なり。其の首を撃てば則ち尾至り、其の尾を撃てば則ち首至り、其の中を撃てば則ち首尾倶に至る。』 

 巧みに兵を動かす戦上手は、たとえて言うなら卒然のようなものだ。卒然とは恒山に棲む蛇のことである。その頭を撃つと尾で反撃してくるし、尾を撃つと頭で反撃してくるし、その真ん中を撃つと頭と尾の両方で反撃してくると言ったのだ。
 すると、そんなにすごいことが農民兵(普通の人)の寄せ集め集団に出来るのか?と疑問の声が上がる。

『敢えて問う、兵は卒然の如くならしむ可きか。』

 「では、あえて尋ねたい。軍隊をその卒然のようにすることはできるのだろうか。」と。
 その疑問に孫子は答えて、有名な呉越同舟の例を挙げる。呉と越は、まさに矛と盾に相当する矛盾した存在だ。その呉越が戦うのではなく両方が協力し合えば、普通の人の寄せ集め軍団を思うままに、卒然の如く動かすことが出来ると説いたのだ。

『曰く、可なり。夫れ、呉人と越人の相い悪むも、其の舟を同じうして済り、風に遇うに当たりては、相い救うこと左右の手の如し。是の故に馬を方ぎて輪を埋むるも、未だ恃むに足らざるなり。勇を斉えて一の若くするは、政の道なり。剛柔皆な得るは、地の理なり。故に善く兵を用うる者の、手を攜うること一人を使うが若きは、已むを得ざらしむればなり。』 

 兵士たち全員に等しく勇気を奮い起こさせ一つにまとめるのは、軍を司り統制するやり方による。剛強な者も柔弱な者もそろって役割を果たすのは、その地勢の道理による。やはり、兵を動かすのが上手な者が、軍全体を手をつなぐかのように連動させ、まるで一人の人間を使っているかのようにできるのは、そうせざるを得ないように仕向けていくからだと孫子は言うのだ。要するに、普通の会社の普通の人には、それをまるで最強軍団のように機能させるやり方があるのだと。
 そのやり方、方法を、問答形式で分かりやすくまとめたのが、拙著「普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法」(あさ出版)である。韓非子の問題提起に対して、孫子の兵法の応用で答え、7つの矛盾を乗り越える方法を具体的に提示しているので、是非読んでいただきたい。



Posted by KazuhiroNagao at 11:02
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2017年03月10日
 まさか経営コンサルティング会社であるNIコンサルティングが、業界に先駆けてAI(人工知能)を研究し、AI秘書を世に出すとは、誰も予想していなかっただろう。
 孫子兵法、「兵とは詭道なり」だ。
 孫子は、

『兵とは詭道なり。故に、能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す。』

 と教えてくれている。戦争とは、相手を欺く行為であり、戦闘能力があってもないように見せかけ、ある作戦を用いようとしている時には、その作戦を取らないように見せかけよと。
 孫子の兵法を現代のビジネスに実践応用してこそ、孫子兵法家である。解釈だけ、口先だけで孫子を語る人はたくさんいる。中国文学者や兵学者だ。どんなに偉いかは知らないが、学者は学者であって、実践家ではない。実戦に出ていない。古典解釈はしても、ビジネスに応用したことはないだろう。
 従来のSales Force Assistantも、世界に先駆けて秘書というコンセプトを実現したものだ。元々のSFAは、Sales Force Automation。自動化された営業を支援する仕掛けのこと。だが、それでは当たり前であって、詭道とはならない。そこで敢えてSales Force Assistantというコンセプトを打ち立てて、営業マンを支援する機能を盛り込んだ。そこにさらにAIである。AIだから事前設定はいらない。使う人は考えていなくても、AI秘書が考えて、教えてくれる。フフフ・・・。
 と、見せかけておいて、実は別のことをしようとしているかどうかは、ここには書けない。『能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す』必要があるからだ。
 そして、AI秘書のイメージキャラクターとして、千年に一人の美少女として話題になり、最近では映画の主演なども多い、橋本環奈ちゃんを起用した。経営コンサルティング会社なのに、広告にアイドルを起用するという奇策。これも孫子兵法の実践である。
 孫子は、

『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』

 と言った。戦闘においては、正法によって相手と対峙し、奇法を用いて勝利を収めるものであるのだと。だから、奇法に通じた者の打つ手は天地のように無限であり、揚子江や黄河のように(大河や海のように)尽きることがないよと。
 実は、橋本環奈ちゃんが福岡のアイドルグループで脚光を浴びた時にもすかさず起用して、『兵は拙速を聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり』を実践していたのだが、その後、橋本環奈ちゃんの活躍でギャラも高騰・・・・。いくらかは書けないが、とても高い・・・が、そこは孫子兵法家の奇法であり、窮まり無きこと天地の如く予算を投下した。口先だけ、アイデアだけではなく、実弾も投入するからこそ、孫子兵法家と名乗らせてもらえると言いたい。ちなみに、AI秘書の研究にも莫大な研究開発費がかかっている。
 孫子兵法家が、ビジネス戦争の実戦で、リスクも背負って実現したのがAI秘書である。是非、その戦果を活用して、生産性を上げて、働き方改革にも取り組んでいただきたい。と、書いていたら、私のAI秘書が、次の予定が迫っていることを教えてくれたので、これで終わろうと思う。AI秘書は最高に便利だ。

Posted by KazuhiroNagao at 20:04
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2017年02月14日
 安倍首相とトランプ大統領との日米首脳会談の最中に、北朝鮮が日本海にミサイルを撃ち込んだ。牽制なのか、祝砲なのか、挑発なのかは分からないが、「アメリカが日本を同盟国として守るとか言ってたら本当にやっちゃうよ」という自国の武威を示す狙いがあるのは間違いないだろう。
 「まさか撃って来ないだろう」とこちらが勝手に思っていても、実際に撃って来ることがあるわけだから、それに対する備えが必要となる。
 孫子は、

『用兵の法は、その来たらざるを恃むこと無く吾が以て待つこと有るを恃むなり。其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻む可からざる所有るを恃むなり。』

 と説いている。「用兵の原則としては、敵がやって来ないだろうという憶測をあてにするのではなく、自軍に敵がいつやって来てもよいだけの備えがあることを頼みとする。また、敵が攻撃して来ないことをあてにするのではなく、自軍に敵が攻撃できないだけの態勢があることを頼みとするのである。」という意味だ。
 要するに、備えあれば憂いなし。敵が攻めてくるはずがないという楽観的な見立てを捨てて、こちらに攻められても大丈夫な備えがあることを頼みにせよという教えだ。
 国どうしの話は、政治家、軍人に任せるとして、ビジネスにおいても同様の備えが必要となる。「まさかあの会社が・・・」という予想外のところから、いつ攻め込まれるか分からない時代だ。見ていて気の毒になるくらいなのが自動車業界。
 同業者間でデータを改竄するほど熾烈な燃費競争、性能競争をしているところに、テスラが出て来て電気自動車もある、グーグルも出て来て自動運転もある、ウーバーが出て来て車は買わずにシェアするかもと言い出す。おまけにメキシコ工場を立ち上げたと思ったらトランプが出て来て関税をかけると言い出す。米国への投資と雇用創出を約束させられたトヨタも大変だが、メキシコ工場に賭けていたマツダは痛々しい。元マツダで社長をしていたマーク・フィールズがフォードの社長としてトランプ大統領に日本市場についてケチをつけるのは泣きっ面にハチと言うか、人の性が物悲しい。
 せっかくデザイン力で盛り返していたマツダなのに、モデルチェンジが一巡してデザイン統一で、逆に飽きられている感があるのも切ないが、アップルが「ⅰCar」という洒落た電気自動車を出して来ても大丈夫なように備えておいてもらいたい。
 敵は「まさか」の方角からやって来る。味方だと思っていたのが急に敵になるかもしれない。フォードがマツダの敵になったように。いつ、どこから攻められてもいいように、備えをしておかなければならない。業種・業界の垣根はミサイルのように平気で飛び越えてくることを忘れてはならない。
 国も企業も、孫子の兵法を学ぶべし。

Posted by KazuhiroNagao at 11:26
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2017年01月05日
 2017年がスタートした。新しい年の戦いが始まる前に、しっかり廟算して勝つための道筋を明らかにしておきたい。今年は米国のトランプ旋風で不確定要素が大きい。何を言い出すか、何をし始めるか分からない。だからどうにもしようがないと諦めずに、どんな旋風が吹き荒れても良いようにしっかりと廟算しておきたい。
 孫子は、

『未だ戦わずして廟算するに、勝つ者は算を得ること多きなり。未だ戦わずして廟算するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。況んや算無きに於いてをや。吾れ、此れを以て之を観るに、勝負見わる。』

 と言った。
 まだ開戦していないうちに作戦を立て、廟堂で策を練ってみたときに、勝利を確信できるのは、机上の思索や勝算が相手よりも多いからである。まだ戦闘が始まっていないときに、廟堂で作戦を立案して、勝ちを確信できないのは、勝算が少ないからである。 勝算が相手よりも多ければ、実戦でも勝利するし、勝算が相手よりも少なければ、実戦でも敗北する。ましてや勝算が一つもないという状態では、何をかいわんやである。 私はこのような比較検討、戦況判断をするから事前に勝ち負けが見えてくるのだというわけだ。
 やってみなければ分からないようでは、経営ではない。ただの成り行き任せである。少なくとも戦う前に戦場、戦況を想定し、敵味方の兵力などを勘案して、どこに、何を、どのように、どれだけ手を打てば良いかという戦略ストーリーを描いておかなければならない。戦略仮説と言っても良い。その仮説ストーリーの段階で、これなら勝てそうだと勝利を確信できるかどうか。これがまず必要だ。これがなければそもそも現場の兵士(社員)がついて来ない。勝つか負けるか分からないけど一緒に戦ってくれと言われても困る。こうやったら勝てるはずだから協力してくれと言われるから、勝ち馬に乗ろうと思う人が出てくる。
 そして、そうは言うけれども、想定外のことも起こる。トランプの暴走もあるかもしれない。その時、仮説ストーリーがあるから、すぐに影響が予測でき、対策が打てる。戦略ストーリーも、戦略仮説もなく、ただ成り行きで頑張っているだけでは、どうしても後手に回り、他社に遅れをとることになるだろう。
 さて、皆さんの会社の今年の戦略ストーリーはどうだろうか? 戦略仮説はまとまっているだろうか? まだの場合は三連休もあるから、急いで廟算して勝算を高めておいて欲しい。
 ちなみに、弊社の戦略ストーリーは・・・、もちろんあるけど「ヒ・ミ・ツ」。何しろ『兵とは詭道なり』だ。敵もこのブログを読んでいるかもしれないから、そう簡単には教えられない。『能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す』ことも孫子兵法家は考えておかなければならない。
 2017年も、孫子の兵法を現代の企業経営、ビジネスに応用してまいりましょう。今年もよろしくお願いいたします。

Posted by KazuhiroNagao at 18:55
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2016年11月28日
 アメリカの次期大統領にトランプが決まった。トランプが大統領になったらひどいことになる、と多くの識者が予測していたが、実際はトランプ期待、トランプ相場で株価もドルも上昇・・・。期待値が低かっただけに、ちょっとまともな発言をすると期待が膨らんだようだ。
 日本政府も、大統領選はクリントンで決まりだろうと予測してトランプ陣営とは接触していなかったそうだが、トランプに決まったら大慌てで安倍首相をセッティングして、50万円の高級ゴルフクラブをお土産にトランプタワーに馳せ参じた。
 世界各国の手の平を返したような豹変ぶりを見ていると、トランプのメキシコ国境に壁を作るとか、TPPは即日撤退とか、日本も核武装しろといった奇策は、孫子の兵法の応用ではないかとも思えてくる。
 孫子は、

『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』

 と教えてくれている。「一般に、戦闘においては、正法によって相手と対峙し、奇法を用いて勝利を収めるものである。だから、奇法に通じた者の打つ手は天地のように無限であり、揚子江や黄河のように(大河や海のように)尽きることがない。」ということだ。
 不動産王のおじさんが調子に乗って政界進出し、さらに調子に乗って大統領選に出馬し、さらに調子に乗って思い付きで好き勝手なことを言っているようにも思えるが、二大政党の共和党の候補にも正式に選ばれた人なわけで、酔っぱらいのおじさんが居酒屋でからんでいるのとは訳が違う。正当な手続きによって民主党ならびにクリントンに対峙し、奇策、奇法によって勝利を収めた。そう考えると決して侮れない。
 そして孫子は、こうも言っている。

『終わりて復た始まるは、日月是れなり。死して復た生ずるは、四時是れなり。声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴く可からざるなり。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観る可からざるなり。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗む可からざるなり。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮む可からざるなり。奇正の還りて相い生ずるは、環の端なきが如し。孰か能く之を窮めんや。』

 これは、「終わってはまた始まり、尽きることがないのは、太陽が昇っては沈み、月が満ちては欠けるようなものだ。死んではまた生き返り、果てることがないのは、四季の移り変わりのようなものだ。音(音階)は、(宮・商・角・徴・羽の)5つに過ぎないが、それらを組み合わせた調べは無限であり、すべての音楽を聴き尽くすことはできない。色は、(白・黒・青・赤・黄の)5つに過ぎないが、それが混じり合って生まれる色の変化は無限であり、すべての色を見尽くすことはできない。味覚は、(酸:すっぱさ・辛:からさ・醎:しおからさ・甘:あまさ・苦:にがみ の)5つしかないが、その組み合わせによる変化は無限であり、すべてを味わい尽くすことはできない。これらと同様に、戦い方には奇法と正法があるに過ぎないが、その奇と正の組み合わせは無限であって窮め尽くせるものではない。正から奇が生まれ、奇から正が、循環しながら生まれる様は、まるで丸い輪に端(終点)がないようなものである。誰がそのすべてを窮めることができるだろうか。」という意味だ。
 正があるから奇があり、奇が正となれば、次には正が奇となる。それが循環すると正と奇は無限に変化し、何が正で何が奇なのかが分からなくなる。
 TPPにあれだけ反対していた人がいたのに、トランプがTPPから撤退すると言い出したら、今度はどうやってTPPを成立させるのかと言い出す・・・。いったい何が正で何が奇なのか。TPPでアメリカの都合のいいように日本が取り込まれると言っていたのに、そのTPPからアメリカが自国の利益にならないからと撤退するとはこれ如何。
 大統領に正式に就任する前から、こんなに振り回されているようでは先が思いやられる。これから先、トランプはどんな正法、奇法を繰り出してくるだろうか。フィリピンのドゥテルテにもやられ、トランプにもやられ、プーチンにもかな。こんなことで日本は大丈夫だろうかと孫子兵法家としては心配になる。孫子の兵法で行くなら「人を致して人に致されず」でなければならないのだが。。。。。。


Posted by KazuhiroNagao at 14:35
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2016年10月27日
 来日しているフィリピンのドゥテルテ大統領が話題だ。親米だったはずのフィリピンなのに米国に対して暴言を連発し、南シナ海で揉めているはずの中国で友好的な態度をとって援助を引き出すなど強かな動きを見せている。日本でも、反米だが親日ということで友好発言を連発し、今回も日本から援助を引き出した。
 外国から見れば暴言大統領と映るが、国内では麻薬犯の撲滅などで成果を上げて英雄的な扱いだと言うし、支持率も高い。人権問題や行き過ぎた強権発動なども指摘され、何を考えているのか分からない暴れん坊にも見えるし、これが意図的な振る舞いだと思えば、決して侮れない。孫子の兵法を応用して考えてみよう。
 孫子は、

『諸侯の謀を知らざる者は、予め交わること能わず。山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行ること能わず。郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず。』

 と指摘している。
 隣接する諸国・諸侯の思惑をつかんでいないようでは、事前に手を結び同盟するようなこともできず、山林や険しい要害や沼沢地などの地形を把握していなければ、軍隊を動かすことができず、その土地に詳しい道案内を使わないようでは、地の利を活かすことはできないと言うのだ。
 まさに、フィリピンの思惑、中国の思惑、米国の思惑、東南アジア諸国の思惑をつかんでおかなければならないし、南シナ海を巡る地政学的な状況も知っておく必要がある。フィリピンの国内事情などはやはり現地にいないと分からないことも多いだろう。
 そして、孫子はこうも言っている。

『上兵は謀を伐つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。城を攻むるの法は已むを得ざるが為なり。』

 最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立させることである。それができなければ、いよいよ敵と戦火を交えることになるが、その際に一番まずいのが敵の城を攻めることである。城攻めは、他に方策がない場合に仕方なく行う手段に過ぎないのだと。
 敵の謀を読み取り、それを無力化する戦いをすべきなのだ。フィリピンの思惑も当然ながら、中国や米国などの思惑、謀を読み、先手を打つ。米中関係を利用しながら自国の国益を実現しようとするドゥテルテ大統領は、中国によって米国との同盟関係を断ち切られているとも言えるだろうし、東シナ海の問題を抱える日本は中国とフィリピンの関係強化を牽制したいだろう。こうした駆け引き、外交によって戦力行使、実際の紛争を避けることができると言うわけだ。米国も好きなようにはさせてくれないだろうから、結局フィリピンが中国と米国に翻弄されて痛い目に遭い、日本も経済支援でしっかり搾り取られて終わった・・・とならないように気を付けてもらいたい。
 孫子は、兵法書でありながら、実際に戦争になることを避けようとする書である。だから、

『是の故に、百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。』

 と、戦わずして勝てと言ったわけだ。
 百回戦って、百回勝利を収めたとしても、それは最善の策とは言えない。実際に戦わずに、敵を屈服させるのが最善の策であると。
 国と国は、2500年経った今もなお、中国の春秋戦国時代のように国益をかけて競い合っている。実際の戦争が起こらないことを願うばかりだが、そのためには謀を伐ち、交を伐つことができなければならない。日本はフィリピンを心配している場合ではないな。

Posted by KazuhiroNagao at 18:04
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