2016年08月16日
 前回、リオデジャネイロ・オリンピックの男子サッカーに触れたので、第3戦についても触れないわけにはいかない。ということで続編。孫子兵法家としては、そもそも孫子の企業経営応用、ビジネス応用が専門なので、サッカーやオリンピックについてとやかく言う必要もないのだが、孫子の兵法がいろいろなことに応用、適用できるということについて訴えたいし、サッカーについては経験者でもあるので、つい言いたくなる。ご容赦いただきたい。
 さて、一次リーグ第3戦だが、スウェーデンに1-0で勝利。まぁ一勝できて良かった。おめでとう。失点もなかったし、それは良かった。だが、コロンビアがナイジェリアに勝って、日本は一次リーグ(グループステージと言うらしいが)敗退決定。以上終わり。そこまで。
 孫子は、

『戦えば勝ち攻むれば取るも、其の功を修めざる者は凶なり。命けて費留という。』

 と言っている。
 敵を攻め破ったり、狙った地域を占領したとしても、その戦果を戦争目的達成のために活かせないのは、不吉な兆候である。名付ければ、「骨折り損」「時間の無駄」と言えるだろう、と。
 たとえ勝っても決勝トーナメントに行けなければ無意味。それが短期決戦という現実だ。面子を守る、負けるよりは勝った方がいい、という精神面、心理面でのプラスはあるだろうが、果たしてそれが次の五輪、東京大会につながるプラスかどうか。いっそ、三戦全敗でゼロから見直しとなった方が次につながったのではないか。
 第3戦で対戦したスウェーデンは引いて守って、まさに堅守だった。堅守速攻を掲げる日本の上手を行く守備重視。対して日本は、私が後半から出すようにと書いたジャガー浅野をスタメンで投入するなど攻め重視。話が変わってしまった。勝つしかないという状況に置かれて開き直ったのかもしれないが、戦術のチグハグ感が否めない。そしてジャガーは後半で交代・・・。その後、点が入ったので良かったようなものだが、狙い通りなのかどうか。孫子兵法家から見ると、日本が良かったというよりも、スウェーデンがダメダメだっただけのような・・・。
 そして、終了後の監督や選手のコメントが気に入らない。「次につながる」「借りはA代表で返す」「監督を男にしたかった」・・・。何を言っているのか? 第3戦で勝ったように見えても、一次リーグでの短期決戦という勝負で負けたんだよ。オーバーエイジ枠も、選手のオーダーもいろいろ言いたいことがあるし、個々の選手のプレーの質もどうなんだろうかと思う。
 選手のコメントなどを読めば、手倉森監督はいい監督のようだ。選手には・・・。個々の選手の立場では、あくまでも五輪代表はA代表へのステップであって、ここで頭角を現せばいいということでもあるだろう。現にジャガー浅野はアーセナルへの切符をつかんだわけだし。しかし、五輪代表の監督は、五輪本番で選手の育成を考えるのではなく、メダルを狙うべきだろう。長期で戦うクラブチームではないのだから。
 そういう意味からも、この第3戦の勝利は「凶」である可能性があり、せっかく勝っても「費留」であったと言えるのではないか。一サッカーファン、一国民としては、せめて一勝できて嬉しいし、諦めずによく頑張ったと言ってやりたいところだが、孫子兵法家としては、ここでヘタに勝ったことが今後の五輪代表や今回選出された選手たちの将来に「凶」とならないことを祈る。

Posted by KazuhiroNagao at 12:50
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2016年08月09日
 リオデジャネイロ・オリンピックが開催されている。男子体操が団体で金。素晴らしい。身体の小さいことがハンデとならない競技はいい。柔道も体重別になっているから一応ハンデなし。女子なのに野獣とまで呼ばれた57キロ級の松本薫には是非金をとって連覇して欲しかったが、銅メダルとなって残念だった。男子73キロ級の大野将平が金をとってくれたが、そのインタビューで、柔道の「美しさ」まで伝えたいと語ったあたりに、日本の柔道が目指している次元が他の国とは違うことを感じさせる。今後の階級に期待しよう。
 卓球も体格の違いがそんなに影響しないので期待したい。女子シングルスで石川佳純が初戦敗退してしまったのは残念だったが、団体で盛り返してもらいたい。そもそも体格差がモロに出そうなラグビーだが、7人制だとチャンスがあるのではないかと期待したが、女子は早くも一次リーグ敗退が決定。惨敗だ。楽しみにしていたのにガッカリだ。男子はどうだろう。。。。
 そんなことで、生身の人間同士が戦う際には体格、体力がモノを言うのだから、どうしても体格に劣る日本などのアジア勢はほとんどの五輪競技で弱者の戦略をとらざるを得ないと思う。孫子の兵法に則り、守りを優先。じっと耐えて勝機を待つべきだ。孫子兵法家としては、そこを指摘しないわけにはいかない。
 孫子は、

『昔の善く戦う者は、先ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ。』

 と説いた。
 昔から、戦いに巧みな者は、まず敵が自軍を攻撃しても勝てないようにしておいてから、敵が弱点を露呈し、自軍が攻撃すれば勝てるようになるのを待ち受けたものである、というのだ。要するに守り優先。守りが先ということ。
 その点で、男子サッカーの手倉森ジャパンが、「耐えて勝つ」堅守速攻を戦術の基本としてアジアを勝ち抜いてリオへの切符を手にしたことに大きな期待を寄せていたのだが・・・。肝心の守備がボロボロ。短期決戦なのだから、もっとカッコ悪くてもいいから思い切り守備重視で守れよと言いたい。
 手倉森監督はベガルタ仙台をJ1に引き上げた、弱者が強者に打ち勝つ手法を買われて五輪代表監督になったそうだが、五輪の舞台に立って、弱者の気持ちを忘れたのかな。選手たちもオーバーエイジ枠が入って気が緩んだか。試合当日にブラジル入りしたナイジェリア相手の5失点はもとより、試合としては良かったと評価されているコロンビア戦も、内容はともかく2失点が先行してしまっているのだ大問題だ。何とか2点取り返して同点になったから、試合内容は良かったなどと言っていられるのだろうが、まずは徹底的に守る、堅守をしなければならない。
 優勝候補のブラジルですらなかなか点がとれないように、サッカーは守備側が引いて守りを固めたら、そう簡単には点をとられるものではない。だが、そんな戦い方はカッコも悪いし、見ていても面白くない。子供のサッカーじゃないんだからと言いたくなるような試合になってしまう。しかし、そうした周囲の評価に惑わされずドロ臭く守備を徹底するのが弱者の戦い方ではないのか。
 外国人監督が率いるA代表は、パス回しを速くして攻め上がる華麗なサッカーを目指すことが多い。それも気に入らないが、それはW杯の時に語ることにしよう。ここでは欧州組もほとんどいない五輪代表の話だ。何のための日本人監督なのか、なぜ手倉森監督なのか、よーく考えてみよう。アジア予選以上に堅守にこだわり、面白くないサッカーをすべきである。そして後半、相手の足が止まった時に、ジャガー浅野を投入するのではないのか。そのために初戦もベンチスタートさせたのだろう。2試合連続得点の好調浅野を使いたい気持ちは分かるが、そこを耐えて勝つのが名将であり、孫子の兵法の実践である。
 「九地の下に蔵れ、九天の上に動く。」という孫子の言葉は、後半残り15分に登場してくるジャガー浅野のために孫子が残してくれた言葉だと考えて欲しい。一次リーグ突破の望みは薄くなったが、手倉森監督の采配に期待したい。

Posted by KazuhiroNagao at 18:57
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2016年07月11日
 年に2回、全拠点から人を集め一堂に会して全社会議を行っている。年初の1月と半期過ぎた7月だ。ちょうど7月の全社会議があったのでその時のエピソードに触れてみよう。
 今回は、今給黎勝先生の「『実践』勝利に向かって無我夢中で躍動するチームを創る組織開発の新手法チームコーチング」を参考にさせてもらって、「私たちNIコンサルティングは何者なのか」について参加者全員で討議する場を作ってみた。こちらが誘導してしまってはいけないので、朝一でいきなり記入用紙を配布し、各人に思うままに回答を書いてもらい、それを集めてコピーして全員に配布した。私の事前仕込みもなし、検閲もなし。私がやっているから多少バイアスもかかっただろうが、予想以上に会社の意義や価値が共有されていた。何もなければその場で急には書けないだろうから、社員それぞれに共有され内在されているものだろう。私もその場でガチで結果を見て、そのままディスカッションへ。
 詳細はここには書けないが、日頃訴えている会社のあり方や目指すビジョンについて共有されいていることは嬉しいことだし、全社会議終了後に改めて、この議論に参加し、他の人の意見も聞いて「NIに入社して良かったと感じた」とメールをくれた社員もいた。経営者としては涙、涙である。
 まさに、孫子の「五事」における「道」が見えた。『道とは、民をして上と意を同じくせしむる者なり。』である。

『孫子曰く、兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざる可からざるなり。故に、之を経るに五事を以てし、之を校ぶるに計を以てして、其の情を索む。一に曰く道、二に曰く天、三に曰く地、四に曰く将、五に曰く法。道とは、民をして上と意を同じくせしむる者なり。故に之と死すべく、之と生く可くして、民は詭わざるなり。』

 孫子は、「道とは、民衆の気持ちを国王・将軍の意思に合致させる思想・理念・道理であり、これによって民衆全てが生死を共にする覚悟を持ち、国王・将軍の意向、命令に疑念を抱かなくなる。」と教えてくれている。
 生死を共にしてくれるかどうかは別としても、理念や目的、目指すビジョンが共有されていることは組織にとって非常に大切なことである。
 年に2回、半期ごとの全社会議を続け、毎週全社員にWeekly Messageなる情報発信を行ってきた甲斐があったと言うものだ。組織には情報共有が不可欠であり、情報共有とはIT活用だけの話ではない。
 孫子は、

『衆を治むること寡を治むるが如くするは、分数是なり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くするは、形名是なり。』

 とも教えてくれた。「大部隊を統率するのに、小部隊を統率しているかのように整然とさせることができるのは、部隊編成と組織運営がしっかりしているからである。大部隊を戦闘させるのに、小部隊を戦闘させているかのうように統制がとれるのは、旗を立てたり、鉦を鳴らしたり、太鼓を叩くなど、合図や通信、情報伝達がうまくいっているからである。」と。
 実は昨年、会社全体のモードを変え、過去の延長線上から脱皮するために、高めの目標をセットして、大きく経営方針を揺さぶったことで、道を共有できない人やビジョンに対して及び腰な人が離脱して、例年よりも退職者が多く出た。だが実際にはそれによるマイナスの影響はなく、今年は昨年よりも稼働人員が減ったにも関わらず、売上も新規獲得契約数も伸び、頭数が減った分コストも下がったから、利益も伸びている。それも過去最高。
 頭数じゃないんだな・・・。烏合の衆のように、組織としての価値を共有できない人がいくらいても戦力にはならない。道を同じくし、ビジョンを共有する同志が集まればチームとなり、パフォーマンスも高まる。その実践事例ができた。
 今給黎先生の「『実践』勝利に向かって無我夢中で躍動するチームを創る組織開発の新手法チームコーチング」と孫子の兵法に感謝。

Posted by KazuhiroNagao at 20:41
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2016年06月16日
 前回、『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』を取り上げたが、さらに今回は、そこに勢いをプラスしてみようと思う。
 2016年7月7日、「マンガでわかる!孫子式 戦略思考」と「まんでできる 営業の見える化」のダブル出版記念セミナーを行う。奇法としてのマンガを用いて、江河の如きバリエーションを生み出しながら、そこにもう一冊ビジネスコミックを加えて、ダブル!!企画。出版記念というだけでも通常のセミナーよりはインパクトがあるのだが、それがダブル!! 行く時には一気に行く。これも孫子の兵法だ。


まんが見える化 マンガ孫子

 孫子は、

『激水の疾くして、石を漂わすに至る者は勢なり。鷙鳥の撃ちて毀折に至る者は、節なり。是の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、其の節は短なり。勢は弩を彍るが如く、節は機を発するが如し。』

 と教えてくれた。
 水の流れが激しくて岩石をも漂わせるのは、その水に勢いがあるからであると。たしかにそうだ。物事を動かすためには勢いが必要だ。そしてさらに、猛禽が急降下して一撃で獲物を打ち砕くのは、絶妙のタイミングだからであると孫子は説く。勢いは長くは続かないから、タイミングが重要であり、それが一点に集中することで力を増すことになる。だから、戦上手は、その戦闘に投入する勢いを大きく険しくし、その勢いを放出するのは一瞬の間に集中させると言うのだ。その勢いを蓄えるのは弩(弓)の弦を一杯に引くようなものであり、節(タイミング)とは、その引き金を引く時のようなものであると孫子は説いている。
 勢いを増しつつ、それを一気に放出させる。これを私のビジネスに応用すると、ダブル出版記念セミナーとなる。おまけに、彦星と織姫が出会う七夕というタイミング。これはあまり関係ないか・・・。
 「営業の見える化」と言えば、私の通常の書籍(とイチイチ断らないといけなくなったが)の中で一番売れたヒット作。これがマンガになって勢いが出ないわけがない。そして「まんがで身につく孫子の兵法」でマンガを描いてくれた久米礼華さんが今回も担当してくれている。会ったことはないが(笑)ゴールデンコンビ。これまた勢いが増す。是非、皆さんも孫子の兵法を実践してみていただきたい。「営業の見える化」もお忘れなく。
 おっと、ダブル出版記念セミナーもお忘れなく。七夕です。


Posted by KazuhiroNagao at 14:14
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2016年05月17日
 孫子兵法家である私が繰り出す戦法、戦術、戦略は、当然のことながら孫子の兵法を踏まえたものであり、孫子兵法の実践でなければならない。そして、孫子兵法家が「孫子兵法家」と堂々と名乗り続けられるだけの実行と戦果がなければならない。
 だから、「孫子にフォーカス」と言いながら、KADOKAWAから正攻法の書籍「仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる」を出し、「孫子でキングダムを斬る」と言いながら、集英社から大人気漫画キングダム応用を入れた奇法「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」を出したかと思ったら、今度は宝島社から「マンガでわかる!孫子式 戦略思考」という本を出した。

マンガでわかる!孫子式 戦略思考  

 マンガでわかるシリーズで有名な宝島社で、孫子の兵法のビジネス応用。これぞ孫子兵法家の得意分野、ど真ん中のようでいてマンガというひねりもあり、正か奇かという二項対立を超えた絶妙な手を尽きることなく出していかなければならない。
 これぞまさに孫子の兵法、

『凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。故に、善く奇を出す者は窮まり無きこと天地の如く、竭きざること江河(河海)の如し。』

 の実践である。
 孫子は、戦闘においては、正法によって相手と対峙し、奇法を用いて勝利を収めるものである。だから、奇法に通じた者の打つ手は天地のように無限であり、揚子江や黄河のように(大河や海のように)尽きることがないと教えてくれている。
 同じ孫子の兵法を元にしていても、その現代ビジネスへの応用は業種・業態・規模や経営課題に応じて千差万別、無限大。前回のマンガは米屋さんだったが、今回は事務機販売業が舞台だ。読み比べていただくのも良いだろう。
 まだまだ江河の如く孫子兵法の応用アイデアがあるから、続編も出せるといいな。別企画でもいいが。孫子兵法、江河の如く尽きることなし。

Posted by KazuhiroNagao at 18:38
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2016年04月19日
 累計2300万部の大人気コミック「キングダム」とのコラボで、「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」(集英社)という本を書かせていただいたご縁により、集英社さんからキングダムの42巻が通常の発売日よりちょっと前に届いた。ふふふ。何となく嬉しい。自分でもAmazonで予約しているのだが・・・。一足先に拝読。
 ちょうどキングダムの実写動画も公開された。http://youngjump.jp/kingdom/
 信役の山崎賢人君を知らないのだが、信のイメージにピッタリな感じだ。ちょっとイケメン過ぎるか・・・。まぁしかし、この勢いで映画化もしてくれたらいいなと思う・・・。
 話は戻って、最新42巻である。この巻の主人公は、なんと言っても飛信隊副長の渕さんだ。表紙でも中心にドーンと描かれている。

キングダム 42

 飛信隊の行く手を阻む、橋も舟もない川。対岸には敵兵がギッシリと陣を固めている。打つ手なしと誰もが思った状況を救うのが副長の渕さんである。その武力でも知略でもなく、「責任感」の強さで渕副長を選んだと言う。
 詳しくは、キングダム42巻を読んでいただくとして、ここで孫子の兵法を思い出した。
 孫子曰く、

『之を往く所無きに投ずれば、死すとも且つ北げず。死焉んぞ得ざらんや、士人力を尽くす。兵士は甚だしく陥れば則ち懼れず、往く所無ければ則ち固く、深く入れば則ち拘し、已むを得ざれば則ち闘う。』

「どこにも行き場のない状況に兵を投入すれば、死んでも敗走することはない。これでどうして死にもの狂いの覚悟が得られないことがあるだろうか。士卒はともに決死の覚悟で力を尽くすことになる。兵士たちは、あまりにも危険な状況に陥ると、もはや恐れなくなり、行き場がなくなれば覚悟も固まり、深く入り込めば手を取り合い一致団結し、戦うしかないとなれば、奮戦するものなのだ。」という孫子の教えである。
 他に行き場がなく、逃げようもない、やるしかないという状況に置かれた時、受けて立つのが責任感である。飛信隊の副長としての責任感で、この「窮地」を乗り切る。孫子「九地」篇の一節である。
 キングダムそのものももちろん面白いのだが、こうして孫子の兵法と照らして読んでもらうと、さらに深く、面白くなる。当然、その際には事前に「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」を読んでおくと尚良い。

Posted by KazuhiroNagao at 15:35
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2016年03月18日

ヤングジャンプで連載中の大人気漫画「キングダム」が連載10周年となり、その記念企画で「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」(集英社)という書籍が出来上がった。書いたのは、孫子兵法家・長尾一洋。この話が舞い込んだのも、「まんがで身につく孫子の兵法」(あさ出版)が売れたおかげだろう。中国春秋戦国時代つながりでもあり、漫画つながりでもある。どういうキッカケであれ、大人気の「キングダム」とコラボできることは嬉しいことだし、集英社さんからお声掛けいただいたことにも感謝だ。孫子と漫画に感謝。

 本の表紙はこんな感じ。

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© Yasuhisa Hara /Shueisha

 この企画の依頼を受けたのは、ちょうどアメトークの「キングダム芸人」が放映されたあとで、書店から「キングダム」が消えていた時期だった。全巻集めるのにも苦労したが、それほど売れている漫画なのかと余計興味も湧いた。しかし、いくら人気漫画とはいえ、ただ漫画の解説をするのでは私が引き受ける必要もない。孫子兵法家ならではの内容を盛り込まないと意味がないわけで、やはり孫子で「キングダム」を斬るしかなし。

 そこで、週刊漫画連載の事情もよく分かっていないことをいいことに、作者の原先生にも会わせてくれと要求し、大変ご多忙中ではあったが面談の機会も得た。やはり作者がどういう人でどういう思いで書いているのかを知らなければ、斬るに斬れない。リーダー像について談義できて楽しかったが、若いのにこんなにスケールの大きいストーリーを描き出す力に敬服しつつ嫉妬したりもした。

 詳細は是非本書を読んでいただきたいが、リーダーの条件として挙げた10項目は、「リーダーは誰だ?」(あさ出版)で提示したものだ。驚いたことにこの10の条件がすべて「キングダム」に登場する将軍たちによって網羅されていた。斬ったつもりが斬られていたのか。。。。まぁいずれにせよ、「キングダム」がリーダーシップを考えるための素敵な事例集、テキストになったのだ。

 本書を読んでから、また「キングダム」を読み返してもらうことで、新たな価値を感じてもらえるはずだ。本文の中に紹介したシーンのコミック巻数とページを明記しているので、本文を読みながら、コミックをチェックしてもらいたい。きっと前後も読みたくなるだろうから、読むのに結構時間がかかるかもしれないが、それもまた楽し。

 もちろん、終章には「孫子の兵法からみたキングダムのリーダーシップ」という章を置き、孫子兵法家としての面目躍如。孫子で「キングダム」を斬ったカタチで終わることができて良かった。

 「キングダム」をまだお読みでない方は、本書と同時に全巻を大人買いして是非お読みください。戦国乱世を生き抜く智恵と力と兵法が、楽しみながら身につきます。



Posted by KazuhiroNagao at 09:24
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2016年02月28日
 今年のNHK大河ドラマは「真田丸」。三谷幸喜の脚本だけあって軽妙なタッチで大河らしい重々しさはないが、評判は上々のようだ。去年ちょっと暗かったからな。。。
 主人公はご存じ、堺雅人演じる真田信繁(幸村)。しかし現時点での主役は、その父、真田昌幸である。草刈正雄のとぼけた詭道ぶりがいい。さすが風林火山の武田家を支えた武将である。孫子の兵法を実戦応用していると言えるだろう。
 武田家が滅亡し、信濃国小県の一国衆として孤立しそうになるも、上杉や北条とも内通し、織田、徳川とも微妙な駆け引きを見せる。調略あり、裏切りあり、恭順あり、謀略あり。父、昌幸の味方をも騙す豹変ぶりに、大泉洋演じる長男、真田信幸が悩まされる姿が笑える。コミカルな役が多い大泉洋が、真面目な長男を演じている時点で笑えてしまうのは脚本、演出の力だろうか。
 孫子兵法家としてこの「真田丸」を見ていると、群雄割拠の戦国の世に、頼りとしていた主家を失い、上杉、北条、徳川(織田)という有力大名に囲まれた真田家が、いかに孫子の兵法を駆使して生き抜くかが気になる。まさに、孫子の兵法

『上兵は謀を伐つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。城を攻むるの法は已むを得ざるが為なり。』

が、真田昌幸の戦い方だ。いや、戦い方ではないな。戦わないやり方だ。
「最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立させることである。それができなければ、いよいよ敵と戦火を交えることになるが、その際に一番まずいのが敵の城を攻めることである。城攻めは、他に方策がない場合に仕方なく行う手段に過ぎない。」という孫子の教えそのものが、このドラマでも展開されている。
 まずは、北条や上杉や織田・徳川の利害を考える。そのためにはそれぞれの情報を収集する必要があるわけだが、そこには佐助という間諜がいる。間諜を重視したのは武田信玄も同様だが、孫子の兵法を知る者は必ず考えることだろう。そして相手を知り、調略で交わりを伐つ。離反させ、疑心暗鬼にさせ、こちらの思うように動かしていく。戦うのはそのあとだ。正面から戦って真田に勝ち目はないわけだから、謀と交を伐って戦わずに敵を無力化するしかない。
 その辺りの草刈正雄の演技がまたいい。まさに、

『始めは処女の如くにして、敵人、戸を開くや、後は脱兎の如くす。』

という孫子の教え通りの演技ぶり。演技をしている演技。二枚目の渋い顔で、シラーッとやるところがにくい。ついストーリーよりもそういうことが気になる。いや、孫子兵法家としては、孫子の兵法が気になる。
 NHK大河ドラマ「真田丸」を見られる際には、是非孫子の兵法を思い出しながら見ていただきたい。45分間がより充実した時間になるはずである。

Posted by KazuhiroNagao at 21:18
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2016年01月21日
 キングダムの41巻が発売された。孫子の兵法が実戦応用されたに違いない戦国時代末期、秦の中華統一の物語だけに、孫子兵法家が読まないわけにはいかない。キングダムがヤングジャンプに連載されてちょうどこの一月で10周年になるそうだ。10年の節目のタイミングで出た41巻の冒頭が、秦国内における後の始皇帝、政と呂不韋の争いが終わったところにちょうど当たっている。秦の実権を握っていた呂不韋を退け、いよいよ他国を制圧し始める新たなステージへと進む。節目の巻である。
 秦が中華全土を統一し、始皇帝が誕生するという結末を知っているにもかかわらず、つい「これからどうなるのか」とワクワクしてしまうからおかしなものだ。と、面白がっているだけでは、孫子兵法家の意味がない。この41巻の冒頭、第438話のシーンを孫子の兵法で斬ってみよう。
 政敵、呂不韋、実の母、太后との争いに終止符を打ち、黄昏ている政(後の始皇帝)に、主人公の信が声をかける。そして出会ってからこれまでの7年間を振り返るシーンである。まさに10年間の連載を締め括るシーンであると言える。
 そこで、政は中華統一までこれから15年かかると信に告げる。参謀である昌平君との間で計画された年限が15年だと言うのだ。
 これは、孫子の兵法

『戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里なるも戦うべし。』

 の応用であると考えれば良いだろう。どこで、いつ戦うかを主体的に決めれば、遠い道のりであっても戦って良い。1年2年で中華統一が出来るわけではない。そんな簡単な目標ではない。だが、15年という年月があり、どう戦うかが見えていれば戦って良いのだ。それを政は示した。
 だが、それに対して信は、15年あっても、他の六国すべてを征服するのは無茶だと言って納得しない。そこで政は、15年間のストーリー、段取りを明示する。人材登用から軍の強化を進め、さらに「秦の六大将軍」を復活させると言うのだ。ただ目標を示すだけではなく、それに至る道筋を示すことが重要だ。ただビジョンや夢を語るだけでなく、それを実現するためのストーリーを明示できなければならない。
 そして、政は信に対して「信、お前はそこに割って入り、必ず六将の一席を掴み取れ!」と鼓舞することで、信を自分のビジョンの同志として改めてエンロールした。
 これは、孫子の兵法

『金鼓・旌旗は人の耳目を一にする所以なり。人既に専一なれば、則ち勇者も独り進むことを得ず。怯者も独り退くことを得ず。此れ衆を用うるの法なり。』

 によって、人の耳目を一にしたものだと考えれば良い。金鼓・旌旗とは、目指すべき旗印であり動くタイミングを示す合図である。これによって意思統一が図られることで組織的な動きが可能となる。そうすれば、勝手な動きは出来なくなるし、ビビッて逃げることもなくなると孫子は言ったのだ。これが組織を動かす法だと。これを政も使っているわけだ。信はもうやらないわけにはいかない。
 時は、紀元前238年。孫子は紀元前500年前後に書かれたと言われているから、孫子からは260年ほど時代が下り、孫子の兵法が国王や将軍たちには広まっていたものと思われる。史記や戦国策くらいしかこの時代の中国を知る手掛かりはないが、こうしてキングダムというマンガになって、孫子の兵法の実戦応用が手軽に楽しめるとは孫子兵法家としてはとても嬉しい。キングダム恐るべし。

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2015年12月03日
 一年ぶりに新刊書籍が出る。孫子本である。前作の「まんがで身につく孫子の兵法」(あさ出版)に続き、今度は、KADOKAWAさんから「仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる」が出る。

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 検索してみると、この一年の間に、孫子関連本が結構出版されていることが分かる。敵は多い。直近でも孫子本が何冊か出るようだ。「あの大御所も・・・」「あぁこの人も・・・」という感じ。だが、この人たちのほとんどは、中国古典や東洋思想の専門家であって、孫子以外の本もいろいろ書いている人たちだ。要するに、孫子の専門家ではない。
 それに対して、こちらは孫子兵法家。孫子にフォーカスしている。これも孫子兵法の実践である。
 孫子は、

『我は専りて一と為り、敵は分かれて十と為らば、是れ、十を以て其の一を攻むるなり。我寡なくして敵衆きも、能く寡を以て衆を撃つ者は、則ち吾が与に戦う所の者約なればなり。』

 と、教えてくれている。フォーカス戦略だ。
 「我が軍は、一点に兵力を集中させ、一方の敵軍は、分散して10隊に分かれたとすると、敵の10倍の兵力(敵が自軍の10分の1の兵力)をもって攻めることができる。我が軍の兵力が全体としては少なく、敵軍の方が多かったとしても、その小兵力で大兵力を打ち破ることができるのは、個々の戦闘において、兵力を集約させ、集中して敵に当たるからである。」というのである。
 敵は多いが、彼らは兵力を分散させている。論語や韓非子や貞観政要、クラウゼビッツ・・・。戦線が広がれば、自ずと兵力は薄くなる。それに対してこちらは、孫子に集中だ。それも、孫子を現代のビジネスに応用することに集中だ。単なる孫子の現代語訳などは削ぎ落とす。あくまでも仕事や経営に活かす孫子兵法だ。
 また、孫子本は多いが、孫子の兵法を現代のビジネスに応用したマンガ本はほとんどないし、この一年出ていないだろう。私の「まんがで身につく孫子の兵法」がそこそこ売れたから、二番煎じ、三番煎じが出ても良さそうなのに出ない。結果として孫子のマンガ領域も独自領域にできている。これによってキングダム(始皇帝・史記)にマンガつながりで領域を広げたが、キングダムも孫子で斬ってみた。時代は春秋と戦国の違いがあれど、春秋戦国と考えれば同時代。キングダムでも孫子の兵法が役立った。
 フォーカスの重要性を皆さんにも知っていただきたい。

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著作紹介
仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる
仕事で大切なことは
孫子の兵法が
ぜんぶ教えてくれる

著 者:長尾一洋
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まんがで身につく孫子の兵法
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孫子の兵法

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小さな会社こそが勝ち続ける 孫子の兵法経営戦略
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