2017年02月14日
 安倍首相とトランプ大統領との日米首脳会談の最中に、北朝鮮が日本海にミサイルを撃ち込んだ。牽制なのか、祝砲なのか、挑発なのかは分からないが、「アメリカが日本を同盟国として守るとか言ってたら本当にやっちゃうよ」という自国の武威を示す狙いがあるのは間違いないだろう。
 「まさか撃って来ないだろう」とこちらが勝手に思っていても、実際に撃って来ることがあるわけだから、それに対する備えが必要となる。
 孫子は、

『用兵の法は、その来たらざるを恃むこと無く吾が以て待つこと有るを恃むなり。其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻む可からざる所有るを恃むなり。』

 と説いている。「用兵の原則としては、敵がやって来ないだろうという憶測をあてにするのではなく、自軍に敵がいつやって来てもよいだけの備えがあることを頼みとする。また、敵が攻撃して来ないことをあてにするのではなく、自軍に敵が攻撃できないだけの態勢があることを頼みとするのである。」という意味だ。
 要するに、備えあれば憂いなし。敵が攻めてくるはずがないという楽観的な見立てを捨てて、こちらに攻められても大丈夫な備えがあることを頼みにせよという教えだ。
 国どうしの話は、政治家、軍人に任せるとして、ビジネスにおいても同様の備えが必要となる。「まさかあの会社が・・・」という予想外のところから、いつ攻め込まれるか分からない時代だ。見ていて気の毒になるくらいなのが自動車業界。
 同業者間でデータを改竄するほど熾烈な燃費競争、性能競争をしているところに、テスラが出て来て電気自動車もある、グーグルも出て来て自動運転もある、ウーバーが出て来て車は買わずにシェアするかもと言い出す。おまけにメキシコ工場を立ち上げたと思ったらトランプが出て来て関税をかけると言い出す。米国への投資と雇用創出を約束させられたトヨタも大変だが、メキシコ工場に賭けていたマツダは痛々しい。元マツダで社長をしていたマーク・フィールズがフォードの社長としてトランプ大統領に日本市場についてケチをつけるのは泣きっ面にハチと言うか、人の性が物悲しい。
 せっかくデザイン力で盛り返していたマツダなのに、モデルチェンジが一巡してデザイン統一で、逆に飽きられている感があるのも切ないが、アップルが「ⅰCar」という洒落た電気自動車を出して来ても大丈夫なように備えておいてもらいたい。
 敵は「まさか」の方角からやって来る。味方だと思っていたのが急に敵になるかもしれない。フォードがマツダの敵になったように。いつ、どこから攻められてもいいように、備えをしておかなければならない。業種・業界の垣根はミサイルのように平気で飛び越えてくることを忘れてはならない。
 国も企業も、孫子の兵法を学ぶべし。

Posted by KazuhiroNagao at 11:26
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