Chess_Robot3s

本日行われた羽生―カスパロフ戦に便乗してチェスの話をしたいと思います。

――あれは今から2、3年前、私は大田区池上にある東京チェスクラブにはじめて足を運びました。当時はチェスの勉強を始めて1年足らずの頃で、ちょうど本とネット対局だけの勉強に物足りなくなっており絶好の機会でした。

ここで普通の語り部ならば、スムーズにチェスクラブの説明に移るところでしょうが、そこは非凡な二歩千金氏。

極度な方向音痴に定評のある私は池上駅を降りると迷わず目的地の反対方向へ延々と歩き出し、何かよく分からないでっかい川に突き当たったところでこれはさすがにおかしいと気づき、何度も電話で現在地を確認してそれでも分からないので、仕舞いには席主さんに駅の近くまで出迎えていただいて、ようやく道場の門をくぐったときは日はどっぷり暮れて閉店まで残り1時間を切っていました
迷子

まだ一局も指さないうちからすでに真っ白に燃え尽きている私に、席主さんは1、2時間くらいは遅くなっても大丈夫だから」とやさしく慰め、「疲れが取れたらあそこに座っている外国人の男性と指してください」と対戦相手を指定してくださいました。

言われたほうに目をやると一番奥のテーブルで40才前後と思われる外国人の男女が和やかに談笑しています。
グランドマスター


私「うわぁ……本場ヨーロッパの人はさぞかし強いんじゃないですか」

席主「うん、さっき聞いたんだけど、彼らは仕事の都合でたまたま日本に来ているイギリス人夫婦で、男性の方はチェスのグランドマスター(GM)らしいよ」


私「え……」

 













藤子タッチ

いやあもう、本気で腰を抜かさんばかりに驚きましたよ。

ちなみにレーティング別の強さの目安は以下のとおりになります。

800~1200 初級者
1201~1700 中級者
1701~2000 上級者
2001~2299 超上級者
2300~2399  FM(FIDEマスター)
2400~2499  IM(インターナショナルマスター)
2500~GM(グランドマスター)
2700~SGM(スーパーグランドマスター)

日本のトップ層はだいたいR2300台でFIDEマスターに相当します。国内レーティング1位の羽生さんは最高R2415なのでIMクラスの実力です(ただしIM取得にはレーティング以外にも基準があるので実際はFMです)。

FMやIMの時点で私からすればもう雲の上の存在なんですが、グランドマスターといえばその雲すらを突き抜けた大気圏外。はるか高みすぎてもはや対象を肉眼で目視できないレベルです。

私「い、いえ……僕、今回が初めての対局でして、その、もっと実力が伯仲した相手と……」
席主「ヘーイ!!(グランドマスターに向かって)」
私「ちょっとー!!!???」

席主さんの呼びかけに気づいて、私に「カモン」と手招きするミスターGM。
くっ、こうなったらやれるところまでやるしかない……果たして奇跡は起きるのか!?つづく

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