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今年の升田幸三賞に菅井竜也六段の「左穴熊」が見事ノミネートされました。

これまでの数々の実績を鑑みるとむしろ今まで受賞していなかったのが驚きで、2007年の「佐藤康光」のように棋士自体が受賞理由でもおかしくなかったと思います。

そこで本記事ではお祝いの意を込めつつ菅井先生がこれまで編み出された新手をまとめてみます。



石田流三間飛車

◎菅井流▲7六飛早浮き型
2015-05-13a
次に▲7七桂と跳ねて▲7四歩や▲5五角を絡めた急戦が狙い。
上図からは△8八角成~△3二銀が最善の応接といわれている。

◎対左美濃 ▲9六歩~▲9八香
2015-05-13b
非常に高度な手待ち。▲4六歩突きを保留して▲3六飛とまわる余地を残す。
後手は次の一手が悩ましい。


先手中飛車

◎対居飛車穴熊 ▲1六歩
2015-05-13d
居飛穴を牽制する端歩突き。以下、後手が放置すれば端歩位取り穴熊を目指し、また△1四歩と受ければ端攻め(▲1五歩△同歩▲1三歩△同香▲2五桂の筋)を狙う。

◎対△6四銀対抗型 ▲8八飛
2015-05-13c
5八の飛車を向かい飛車に振りなおした手。以前は▲5九飛~▲7八金が多かった。

◎左穴熊 対三間 浮き飛車保留
2015-05-13f
▲5六飛の浮き飛車が自然だが、△3三銀~△4四銀で手詰まりになりやすい。
そこで飛車浮きを保留したのが工夫で下火になっていた左穴熊が見直された。

◎左穴熊 対向かい 2手損居飛車作戦
2015-05-13e
5八に振った飛車をまた2八に振り戻すのが浮かんでも指せない手。
一見ひどい利かされだが、穴熊の堅陣が完成すればさほど気にならなくなる。


<後手編>

菅井ノート 後手編 (マイナビ将棋BOOKS)


ゴキゲン中飛車

◎対超速▲3七銀 菅井流△4四歩
2015-05-13g
先手の指し方に応じて△3二銀と△3二金を臨機応変に使い分ける作戦。
上図から▲4六銀には△4五歩の反発で後手指せるので▲7八銀から押さえ込みを図るのが現在の主流。

◎対超速▲3七銀 △4二銀~△2四歩
2015-05-13h
美濃囲い+3二金型における流行形。上図から▲2四同歩△同角▲2八飛△2三歩▲2五歩△3三角▲5八飛△2四歩……となれば千日手で後手満足。居飛車側はどこで変化するかが問題。

◎対▲5八金右超急戦 △5七歩
2015-05-13i
△8八角成~△3三角の決戦に踏み込む前に一本△5七歩と叩くのが新手。
以下▲同金と取れば△8八角成~△3五角で両取りなので▲6八金寄とかわすが、玉頭に大きな楔を打つことに成功した。

◎対丸山ワクチン △4四角
2015-05-13n
6六歩取りを受けさせて△2二飛から2筋逆襲を狙う。飛車を転換した際に▲5三角を消しているのが△4四角の効果。


後手三間飛車

◎菅井流4手目△3二飛
2015-05-13k
▲6五角の筋があるので成立するはずがないと思われていたが、上図から▲2二角成△同飛(好手)▲6五角△7四角▲4三角成△4二金▲3四馬△4七角成で難解。最近は▲6八玉と妥協する指し方も多い。


相振り飛車

◎菅井流相振り(先手向かいvs後手三間)
2015-05-13j
上図のような構えから△4五歩~△6五歩と矢倉崩しを狙うのが相振りの「菅井流」。

現在は対策が進みやや無理筋とされているが、「矢倉に対する浮き飛車は押さえ込まれて悪い」という旧来の定説を覆した意義深い指し方だった。

矢倉

対▲4六銀+3七桂型 △5五歩
2015-06-15f
▲4六銀に△4五歩の反発自体は塚田泰明九段が2年ほど前から採用していたが、続く△5五歩が新手。
この手によって長らく先手矢倉の主軸だった3七銀戦法の成否が根本から見直されることとなった。

横歩取り

◎後手3三角+8四飛型 △2三歩
2015-05-13l
定跡の△2二銀に比べて一歩を手放して損に思えるが、△4二銀と左銀を自由に活用できるメリットがある。振り飛車の感覚に近い指し方。

◎後手3三角+8四飛型 △2三銀
2015-05-13m
現在プロ間で最先端の形。後手は陣形を整えた(△5二玉+7二銀型など)あと△2四飛のぶつけを狙う。

× × ×

ゼェゼェ……まさかこんなにたくさんあるとは……(約半日かかった)。
本とネットの情報だけでこれだけあったので、棋譜を細かく調べればもっと出てくると思います^^;;

今期順位戦B級2組に昇級し、絶好調の菅井六段。今後のさらなるご活躍を応援してます!!

久保&菅井の振り飛車研究 (マイナビ将棋BOOKS)

菅井ノート 実戦編 (マイナビ将棋BOOKS)


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