最近将棋の腕がなまってきたのでネット対局でリハビリ中です。

学生のころは毎月のように大会に出場していたものの、ニート 社会人になるとどうしても実戦の機会が減り、切れ味が鈍ってくるんですよねぇ^^;

というわけで、今回ははじめて自戦記を公開しようと思います!

フッフッフ――ついに皆さんに華麗なる将棋をお披露目するときが来たようですね……。
freeza
※台詞はTwitterの「将棋は負から」さん考案のネタ



某ネット対局室 5分切れ負け

先手:四段くらい
後手:わたし

初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲2五歩△5二飛
▲5八金右
(第1図)
2015-05-27a
後手が私。序盤で早めにリードしてそのまま押し切る展開に持ち込めればいいなーと思っていたら、

序盤をすっ飛ばしていきなり超難解な終盤戦になる ゴキゲン中飛車vs▲5八金右超急戦 に(T_T)。

うわぁ、自分の持ち味がまったく生かせなさそうな戦型だ…… 。

まあ、第1図で△6二玉とか△9四歩と指せばいちおう大決戦を回避できるんですが、ただでさえ人生逃げてばかりだから、せめて将棋くらいはアクセル全開で挑みたいよね。

第1図以下の指し手
△5五歩▲2四歩△同歩▲同飛△5六歩▲同歩
△5七歩
(第2図)
2015-05-27b
△5五歩~△5六歩と指せばお互い一歩も退かない大乱戦に突入します。 

最終手の△5七歩が 菅井流 とよばれる古くて新しい手。初出は2002年刊行の『島ノート』で、歩切れになるため後手損と考えられていましたが、約10年の歳月を経て再び脚光を浴びました。

島ノート 振り飛車編



今までは△5七歩を打たずに△8八角成▲同銀△3三角が常識でしたが、以下▲2一飛成△8八角成▲5五桂△6二玉▲1一竜△9九馬に▲3三香(A図)の都成新手が有力で、これはどうやら振り飛車押され気味みたい。
2015-05-27h
A図が後手自信ないとすれば△9九馬のところ△7二玉や△5四銀と変化するんでしょうが、一局とはいえ後手はたえず受身に立たされ、とくに時間の短い将棋では勝つのはなかなか大変です。

第2図以下の指し手
▲6八金寄△8八角成▲同銀△3三角▲2一飛成△8八角成
▲5五桂△6二玉
(第3図)
2015-05-27c
△5七歩の叩きに▲同金は△8八角成~△3五角で飛車金両取りなので、先手は金をかわす一手ですが、後手はゼロ手で玉頭に大きな楔を打つことに成功しました。菅井先生曰く「少しでも(先手玉が)詰む可能性がある」のが大きいんですね。

久保&菅井の振り飛車研究 (マイナビ将棋BOOKS)



第3図以下の指し手
▲1一竜△7八銀(第4図)
2015-05-27d
▲1一竜では▲7五角も有力で、『アマの知らないマル秘定跡』で本筋として紹介されています(B図)。
2015-05-27i
B図以下は①△7八銀、②△2二飛、③△3二銀、どれもありそうで現時点では難解としか言いようがないです。

アマの知らない マル秘定跡 (マイナビ将棋BOOKS)



さて、本譜の▲1一竜には△8九馬~△7八銀が村田顕―菅井戦の進行なのですが、私はふと「単に△7八銀と絡んだ方が攻めが一手早いのでは?」という疑問が浮かびました(再掲)。
2015-05-27d
つまり第4図以下、①▲同金は△同馬で馬を取り返せず(全部取ると頭金の詰みがある)、また②▲6三桂成△同玉▲6六香も△7二玉で香車が動けば1一竜を素抜けるので後手互角以上に戦えそう。

対局中一番気になったのが③▲7七桂と取られそうな桂馬を逃げる手でしたが、△6九銀成▲同玉△5五飛▲同歩△5六桂(C図)の攻めを振りほどくのは容易でないでしょう。
2015-05-28a
――とだいたいここまで読みを入れて△7八銀と打ちましたが、
なんとこの手が敗着だったのですから将棋は恐ろしい……。

第4図以下の指し手
▲6六香△7二銀▲2六角(第5図)
2015-05-27e
▲6六香△7二銀の交換を入れて、▲2六角の王手が激痛!!

もし後手に一歩あれば△5三歩で何でもないのですがあいにく歩切れ。△5七歩の一手をうまく逆用されてしまった格好です。

第5図以下の指し手
△5一玉▲4三桂不成△4二玉▲1五角△4三玉▲1三竜
△5四玉▲7八金上
(第6図)
2015-05-27f
第5図ははっきり言ってすでに投了級なのですが、一縷の望みをかけて△5一玉。
例えば先手が▲4三桂成などと緩めてくれれば△5六飛と走って後手も勝負形です。

しかし、「勝ち将棋鬼の如し」で、後手玉を5四まで手順におびき寄せたあと銀を拾った手が馬取り+詰めろでは万事休す。時間のある方は先手の立場で最短の勝ちを読みきってみてください(後手の次の一手は△同馬)。

第5図以下の指し手
△7八同馬▲5五銀△4五玉▲4六銀(投了図)
 まで、39手にて先手勝ち
2015-05-27g
△同馬以下はぴったり7手詰め。投了図から①△5四玉は▲5五歩△4四玉▲3三竜、②△5六玉は▲5七金。6八金まで存分に働いてまるで作ったような見事な収束です。


――というわけで、冒頭で予告したとおり、(相手にとって)会心の一局をお届けしました^^;

本局の敗着は△7八銀の一手バッタリとはいえ、やはり定跡の知識に頼りすぎると不利になったあとの粘り腰に欠け、あっさり土俵を割ってしまいがちです。序盤研究と詰め将棋のバランスの良い勉強を心がけたいものですね。

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