1ヶ月前に名人を破り、今度は竜王に挑戦するウルトラ中学生棋士。

ミケランジェロの新作かな?
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棋戦:第11回朝日杯将棋オープン戦 準決勝
先手:藤井聡太五段 後手:羽生善治竜王

初手からの指し手
▲2六歩△8四歩▲7六歩△3二金▲7八金△8五歩
▲7七角△3四歩▲6八銀

2018-02-17a
角換わりの出だしから▲6八銀が近年増加している手。

以前主流だった▲8八銀は△4四歩と角交換を拒否されたとき8八銀がカベ銀になってしまい、先手から強い戦いが起こしづらくなるきらいがあります。
関連棋譜:素人は雁木に手を出すべからず?!―渡辺明vs羽生善治 竜王戦第2局 棋譜検討

△4四歩
2018-02-17b
それでも羽生竜王は△4四歩と角道を止めました。

藤井五段が最も得意とする角換わりの戦型を阻みつつ、自身の永世竜王獲得の原動力となった雁木を目指す一石二鳥の作戦です。

▲4八銀△6二銀▲4六歩
2018-02-18a
▲4六歩では▲3六歩からの早繰り銀も考えられるところです。
実際、昨年6月の藤井聡vs増田宏でそのような進行になりましたが、図の△4二角が機敏で、
2018-02-18b
この角引きは、
攻めては次に△8六歩から角交換、受けては3筋角頭攻めの緩和で、
標的の角をさばかれてしまうと早繰り銀が空振り気味で先手面白くありません(ただし、実戦は先手の藤井四段が逆転勝ちを収めましたが……)。

△6四歩▲4七銀△6三銀▲5六銀△5四銀▲6九玉
△4二銀▲7九玉

2018-02-18c
このように玉をスムーズに囲えるのが▲6八銀型の効果ですね。

図から先手が右四間で一気の攻略をめざすと、△5二金▲4八飛△4三銀▲4五歩△同歩▲2二角成△同金▲4五銀△同銀▲同飛△4四歩のとき▲7一銀でどうか。
2018-02-18d
僕んちの低スぺPCで研究した限りでは先手悪くなる変化は見つけられず、また増田先生も雁木には右四間が有力と仰っているのでそういう進行もあったかもしれません。

△5二金▲2五歩△3三角▲3六歩△4三銀直▲3七桂
△4二玉▲9六歩△9四歩▲1六歩△1四歩▲4八金

2018-02-18e
ただまあ、本譜の駒組みのほうが断然プロ好みですよね。

右四間は4筋一点突破の単純な狙いで後手も対策を立てやすいですが、2筋と4筋の2カ所に攻め口があると一気に複雑さが増します。このあたりの考え方は居角左美濃の矢倉崩しに近いです。

んー、しかし……雁木もだいぶ対策がすすんで勝ちにくい雰囲気が漂いはじめたなぁ。。。



――その後は大熱戦の末に藤井五段が119手で勝利。
続く決勝戦でも広瀬八段を制し、朝日杯優勝&史上最年少六段昇段のW偉業を達成します。

【棋譜中継】http://www.asahi.com/shougi/asahicup_live/?ref=jsa



藤井聡太のいる時代
朝日新聞将棋取材班
朝日新聞出版
2020-11-20




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