2012年の王位戦以来7年ぶりとなる羽生×藤井猛の黄金カードが実現。

EDiGfzHU0AAxISC
画像引用元:https://twitter.com/asahi_shogi/status/1168831989878677504

先手:羽生善治九段
後手:藤井猛九段
棋戦:第5期叡王戦段位別予選九段戦

初手からの指し手
▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲6八玉△9四歩▲7八玉△7二銀▲5六歩△3三角▲5八金右△9五歩▲2五歩△5二金左(図)
2019-09-04a
伝家の宝刀・藤井システム。
そうそう、オールドファンにとって将棋といえばこれだよ!これっ!←

居飛車の対策がすすむにつれて後手の構えは、
9五歩+4三銀型(第Ⅰ期)⇒9五歩+3二銀型(第Ⅱ期)⇒9四歩+6四歩型(第Ⅲ期)
と端歩や左銀の位置が微妙に変わっていきましたが、
藤井九段は本局で最近ではややめずらしい第Ⅱ期の構えを採用されました。

図以下の指し手
▲3六歩△6二玉▲7七角(図)
2019-09-04b
先手が一目散に穴熊を目指すと居玉システムの思う壺ですし、▲3六歩~▲3五歩の超急戦も3二銀型が反発力がある形なので4三銀型に比べると効果が薄い。

よって両者の中間をとって▲3六歩△6二玉の交換を入れてから穴熊をめざすのが一番多い指し方です。

図以下の指し手
△6四歩▲8八玉△7四歩▲6六歩△7三桂▲6七金△4五歩▲9八香(図)
2019-09-04c
上図では△8五桂と仕掛けるのが定跡。プロの実戦はすべて▲8六角で、以下△6五歩▲7八玉!△6六歩▲同金(参考図)とすすみます。
2019-09-04f
参考図は攻めては▲6八飛から6二玉の圧迫面接、受けては▲5五歩で角道遮断の味が良く、定跡書ではやや先手ペースと結論付けられています(ただ先手から見て2勝3敗なので実戦的には後手も勝ち味がある形なのかも)。
【関連棋譜】
・1998-06-19 小野修一 vs. 窪田義行 (△6五歩)
・1998-12-25 丸山忠久 vs. 藤井猛(△7三銀その1)
・1999-01-08 佐藤康光 vs. 藤井猛 (△7三銀その2)
・2015-08-21 船江恒平 vs. 久保利明(△6三金)
・2019-04-12 八代 弥  vs. 藤井 猛(△4三銀)


図以下の指し手
△8四歩▲9九玉△8五桂(図)
2019-09-04a
藤井九段の△8四歩で前例を離れました。おそらく▲9九玉を待ってから△8五桂と跳ねた方がより効果的という意味かと思われます。

また羽生九段の▲9九玉では▲7八金のほうが手堅そうですが△8五桂~△6五歩のとき▲7八玉と寄れなくなるので損得は微妙。このあたりは最善うんぬんより、かつてタイトル戦を争った好敵手同士にしかわかり得ない盤上の対話なのでしょう。

図以下の指し手
▲8六角△6五歩▲8八銀△6六歩▲同金△9六歩▲同歩△9七歩▲同桂△9六香▲8五桂△9七歩▲同香△同香成▲同銀△8五歩▲9五角△7三桂▲9四歩△8六歩▲同銀△6四香▲6七歩(図)
2019-09-04c
△8五桂以下は角のラインと端を絡めた猛攻が続きますが、▲6七歩と金底の歩を打った局面は先手の持ち駒が豊富なのに対し、後手歩切れで振り飛車が少し無理をしている感じがします。

しかしここからの藤井九段の一連の指しまわしが絶品チーズバーガーでした。

図以下の指し手
△5一玉▲9八玉△6六香▲同歩△8三金(図)
2019-09-04d
△5一玉~△8三金が大山先生を思わせる玄妙な金打ち。

以下▲8五桂△9四金▲7三角成△同銀▲同桂成なら後手玉に成り駒が迫って先手良しでしたが、本譜は▲9七香と打ったため△9四金▲7三角成△同銀▲9四香△6七角(△3九角も有力)で勝負形となりました。


ーーさて、局面を一気に進めて最終盤。
2019-09-04e
羽生九段は▲6五香と左右挟撃の寄せ形を作りましたが、自然なようで実は敗着(平凡に▲4二銀から玉を追えば先手勝ちだった)。

△8六歩と銀を取った手がなんと奇跡的に詰めろ逃れの詰めろで、形勢は藤井九段に大きく傾きます。


投了図以下も▲8八玉から粘れますが、ここで投げるのが最も美しい絵でしょう。




【公式サイト】http://www.eiou.jp/
【総譜】http://www.eiou.jp/kifu_player/20190903-2.html



僕が将棋をはじめた頃は藤井システムの全盛期で、本で覚えた手順を使おうと意気込んで道場に行ったものの猫も杓子も飛車を4筋に振って相振りばかりで困ったのを思い出します(笑)。嗚呼、若かりし青春の日々よ……。

最強藤井システム (プレミアムブックス版)

緩急自在の新戦法! 三間飛車藤井システム (マイナビ将棋BOOKS)

四間飛車上達法 (最強将棋レクチャーブックス)

振り飛車最前線 四間飛車VS居飛車穴熊 (マイナビ将棋BOOKS)

居飛車穴熊撃破―必殺藤井システム (プレミアムブックス版)


こちらの記事も併せてどうぞ↓
おすすめ:5分でわかる!対振り・銀冠穴熊(基本編)

◎ユーチューブで気になる将棋の話題を配信中です!