2012年07月19日

シマノ ヴァンキッシュ オーバーホール お手軽オイルチューン

前回の日記で、ヴァンキッシュのオーバーホールをしていないことに気が付いた僕。


僕ってほら、リールのチューナーでも、修理屋でも何でも無く、単なる一般の釣り人じゃないですか。


正直言って、買って数回しか使っていない調子の良い状態のリールを分解するというのは、もしかしたら分解した事が原因で、調子が悪くなるかもしれないし、最悪壊してしまうかもしれない訳で、不安で不安で仕方が無いのです。


僕は釣りと同時にバイクの趣味もあるんですが、バイクと言っても、アグスタ、ドゥカティとか、そういうのではなく、あくまで自分の家で全バラシできる程度のミニバイク。

モンキー・ゴリラとかそういうバイクなのですが、いつもチューニングパーツや補修パーツを購入すると、購入までが楽しくて、分解組み付けするのにもの凄く気合いを入れないと始められない。


特にエンジンを下ろしての整備になると、パーツ到着後数ヶ月ほったらかしていうのもザラな訳で、組み付けはうまくいってもオイル漏れの懸念とかで、いっそうストックのママでも良いんじゃないかとか思い始め、正直整備なんて嫌な訳です。



しかし好奇心はあっても工賃にお金を回す余裕も無い訳で、自分でやるしか他がないというジレンマがあるというのが正直なところです。


ホントに、一般人より少し工具を多く持っているだけ。


だから、リールの分解も、回数を重ねて自分なりのノウハウを得ていってるだけで、それを専門にしているチューニングショップの足下にも及ばないだろうけど、商売では無いので自分の知りうるノウハウなんてもんは隠す事も必要無いのでこうしたらリールの回転が軽くなったこと、ムラが無くなったことなどの“みっけもん”も書きますので、あくまで自己責任ですが、この日記を見た方も是非ともやってみてください。


少しの勇気でできます。

僕も毎回不安ですから。




さて、というわけで、シマノ ヴァンキッシュ オーバーホール 行ってみます。



シマノ ヴァンキッシュ


このリールを知ったのは、とある釣具店のショーケースの中だった。


自称シマノ派の僕。

週一にシマノのHPを見て、新製品情報やらを確認は無論のこと、今年に至ってはフィッシングショーまで行った。

それでもこのヴァンキッシュは知らなかったし、見えなかった。


これはひとえに、ダイワの新鋭マグシールド搭載機が気になって気になって仕方が無かったからで、ことセルテートの評判なんかを聞いたりするとダイワもやっぱりスゲェって今も思ってる。


一時ダイワに乗り換えと言ったら大げさだけど、1台くらい欲しいと思っていたけど、マグシールド搭載機のオーバーホールが出来るのか出来ないかも分からなかったので、購入は、シマノのヴァンキッシュにしたという伏線もある訳なんですね。


そんな訳で、ヴァンキッシュがどんなリールなのか、シマノのPR程度しかしらなかったし、どういった血統のリールなのかも、買ってから調べたりした訳です。



ボディの金型が10ステラのモノであったり、このモデルがそもそも12ツインパMgのポストに当たること、あとこれは噂程度ですが、3年スパンのステラのモデルチェンジが5年に伸びた為のブリッジリール。


そんな訳で調べれば調べるほど“なるほど”が詰まったリールで、使い心地はステラとは似ても似つかない性格だけど、各々長所が違う為、甲乙付けがたいリールとして僕のメバルタックルのツートップの1台として今ある訳です。


さてそんなうんちくはさておき、今回このリールを分解するに当たっては、現状問題なんて一切無いわけですが、強いて言うなら、“瞬間起動”という名の殺し文句のローターの回転の立ち上がりの早さが、正直なところ、無負荷では今までのそれらとのそれほど変わらない。

実際ルアーを巻けばその違いははっきりするんですが、やっぱり無負荷での立ち上がりも早くしたいのが本音だし、そう出来ると負荷があるときの違いも更にはっきりすると思うのです。


と言うわけで、今回の主な整備メニューは、各部洗浄と粘度調整したグリスの塗布。

後、マスターギアの芯だしが主になります。

コレをするだけでリールのポテンシャルがかなり引き出せます。






ではどうぞ。




このリールをバラス上で、必要な工具は、
0.9mmのヘキサゴンレンチ、10mmスパナ、あと精密ドライバーとピンセット。


今回、ドラグとボディ内部をバラスので、パーツクリーナーとドラググリス、スプレーオイル、グリスが必要。


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僕はパーツクリーナー以外はシマノ純正を使い、グリスは粘度調整して使います。

別に粘度調整なんかは不要ですが、調整した方が遙かに回転フィールは良くなります。

間違えても、硬度の高いグリスなんて使ってはいけない。

びっくりするほどリール回転が悪くなり、グリスってこんなにも抵抗体なのだと思い知らされることになります。



さて準備は程ほどに、分解。


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まずドラグ部、クリップを外すとほら簡単。

この2000Sはシングルディスクで、フェルトも1枚

まだ新しいだけあって、フェルトの毛羽立ちもなく状態が良いので、一旦脱脂して、新しいドラググリスを馴染ませ組み付け、リールにセットして、ドラグを一旦締め込み、再度バラして余計なグリスを拭き取って終了。

このドラグの仕組みは、エントリー機種でも全く同じ。

良くシマノはドラグの滑り出しが良いと言うけど、とてもシンプルで簡単、上位機種との違いは、ベアリング支持か座金支持かのだけ。

滑り出しの良さは、このフェルトに何か理由があるのだろうかといつも思う。


僕のここでのワンポイントは、スプールの支持しているベアリングのグリスは抜き、オイルだけに置換する。

これをやったからドラグ性能が良くなるかどうかなんてわかんないですが、とりあえず極力回転部のフリクションロスは無くします。



さて、次にボディですが、スプール軸の座金を外すと出てくる小さなイモネジ。


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こいつが、0.9mmという細いヘキサレンチが要るんです。

しかしきっちりとしたトルクで止めてる訳でも無く、樹脂製のスプール座金がネジの脱落防止の役割を担っているので、ヘキサでは無く、極小精密ドライバーでもネジを抜く事が出来ますが、数回やるとヘキサ穴が潰れてしまうので、おすすめは出来ないです。



イモネジを取ると10mmのナットにアプローチ出来る。


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10ステラは知らないですが、07のステラの場合は、ここにキャップ状の蓋があり、おそらくシールの役割をしていました。

ここにシールが無いと言うことは、割とマメにオーバーホールしてやる方が良いかなという感想です。


さて、続いてこの10mmのナットを外すと、ローターが外れます。

逆ネジなのでそれだけ気を付ければなんてこと無く外れてくれます。


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裏側から見たマグナムライトローター。

肉厚が半端なく薄く、このヴァンキッシュの売り文句の一つ。


個人的にキャスト途中にベールが戻るミスキャストがなくなったと以前書きましたが、特に目新しい機構があったでも無く、おそらくローター自体の自重が軽いので、慣性力が小さくなったからかなと思います。


さて、ここまで来たらいよいよボディ本体です。

07ステラ以降、シマノは続々とボルトレスデザインという、隠しネジにしたデザインになってしまいました。


僕はこの手法が凄く嫌いで、嫌いな理由は、ボルトを隠すためにネジの配列が異様に悪く、ネジの締め込みでのマスターギアの芯だしに苦労したり、3本有るネジの1番負担のかかる部分のネジが他の2本より小径で、精密さを犠牲にしたデザインであるように思えるからなのですが、同時に整備性も悪くなりあまり良いことが無いんですね。


このデザインにしてから、ボディに極小のダウエルピンが植えられたり、さっぱりできない嫌いな所なわけです。


さて、僕が好き嫌いとかはまぁどうでも良いことなので、ここからはスピーディにバラしていきます。


隠しネジに行き着く方法ですが、ゴム製のベールストッパーを外すと、リールフット付近にゴムキャップがあるのでこいつを外し、その穴に隠れている+のスクリューを外すと樹脂製のボディカバーが取れます。


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後ワンウェイクラッチの麓に樹脂のキャップがあるのでこいつを外すと2本のネジが出てきます。

これらのスクリューがボディを分割するために外す必要があるのネジです。


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さてその前に、ワンウェークラッチをバラします。

コイツをばらさない限り全バラシの道は閉ざされる。


極小部品、スプリング、極薄ワッシャーがあるので、気が抜けない。

慎重に慎重を重ねバラしていきます。

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クラッチ底にある3本のスクリューとカバーを外すと、ピニオンギアが外れる。

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これが終わると後は簡単、ボディの3本のスクリューを外し、ボディを分解。

ようやくマスターギア達とご対面な訳です。


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マスターギア


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材質か表面処理がステラと違う。


あと、コレは個体差ですが、ピニオンギアとのアタリ面がかなり深い位置で噛み合ってる。


確認すると、マスターギア座金が0.1mm×2枚 0.05mm×1枚 の計3枚入っていた。

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これじゃすこしかみ合いがきつい様だ。

通りでマグナムライトローターの初期起動の違いを感じにくいはずだ。


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噛み合わせがきついせいでピニオンギアもこの通り。


0.025mmのワッシャーでもあれば最適なんだろうけど、無いので、0.05のワッシャーを抜いた。

これでかなり軽い回転立ち上がりになるはず。

しかしダイレクト感はその分失われるだろうから、今後の課題としておきます。


リールのおしりの部分のプラスのスクリューを外し、クロスギア周辺のピン類を抜くと全バラシ完了。


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ここ最近強く思うのが最近のリールにはグリスの入りが少ない。

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これは多分、ボディにメンテナンス用の穴が設けてある為に、適度にスプレーオイルを吹いてくれるという前提でもある様に思うのだけど、この為に新品時の回転はかなり軽やかで、今までのようにグリスが馴染んだら回転が新品時より軽いという事が少なくなった様に思う。


しかし、現状は、メンテする人も少ないので、防錆、防水目的だけでも初期出荷時くらいは、もうすこしグリス多めでも良いのかなとも思います。


後、気が付いた07ステラとの相違点をいくつか。

まずクロスギア部にOリングがステラには入っていたけどこれには無かった。

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次いでクロスギアピンを止めているスプール軸のクロスギアピンカバーが樹脂だったのに金属になっている。



多分樹脂の方がマイルドなフィーリングが生まれるはずだけど、耐久性はやっぱり金属。



さて、分解なんてもんは、壊す覚悟さえあれば、どうにでもできるのですが、リールのオーバーホールは、組立こそが真骨頂。

分解は手を抜いても組立だけは、しっかりやらないと名機もゴミ当然のフィーリングに化けてしまいます。


では、続いて組み上げ



外したパーツは、しっかり脱脂、洗浄します。



この脱脂洗浄は多くの場合パーツクリーナーを使うのですが、洗浄後すぐに組み上げはNGです。


パーツクリーナーは、速乾性のものがほとんどで、速乾ということは、気化熱で急冷されています。

急冷されたパーツは、熱交換器同様で、大気中の水分をコンデンスしてしまいます。

よく見てもらえばわかりますが、細かい水滴が結露してると言うわけです。


すぐに組み付けると、グリスが乳化してしまうので、全くオーバーホールの意味をなさなくなってしまうからです。


洗浄後、しっかり温度を戻してやり、キッチンペーパー等で水分を拭き取り最後にスプレーオイルで軽くオイルを掛けてやります。



さて、組立ですが、僕の場合、ベアリング部には、一切グリスは使わない。

使うのはスプレーオイルのみ。

かりにオイルが抜けたところで、リール程度の回転なら、ベアリングが焼き付くことはほぼ無いです。

あるとしたらドラグ部のベアリングですが、青物やマグロを釣る訳ではないので、実用に耐えかねますので今まで問題が有った事は皆無です。


※数釣行に1度はボディのメンテホールから注油と、マスターギアにはハンドルを外し直接注油します。


さて、組み上げはバラシと逆手順なので、キーポイントだけアップします。


クロスギアや、マスターギア廻りのオイルですが、オイル粘度の調整をします。


見にくいですが、割合的にはこんな感じです。


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手で混ぜ合わせるのですが、感触としたら、溶けたチョコレートくらいの粘度で、薄く塗って垂れない程度の粘度にします。


ピニオンギアにスプール軸を入れる部分はごく僅かにグリスを混ぜたオイルを作ります。

ここは魚を掛けるとどうしても金属同士が触れるので本当はモリブデングリスを入れたいのですが、最適な粘度のモノがないので、いつも妥協しています。


各パーツを元に戻せば、後はボディの蓋を取り付け3本のスクリューを仮絞めし、クラッチ底部のピニオンギアの押さえを取り付けたら、次に芯を出します。
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この状態でハンドルを取付け、数回転回させます(逆回転も忘れずに)。


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次に適度なトルクになるまで3本を対角に絞めます。


おそらくこの時点で、ハンドルの回転フィールに変化があると思います。

各スクリューの使用上問題ないトルク以上で、緩めたり締め込んだりして回転フィールの最高な締め付け具合を見つけます。


かなり、ファジーな部分でもあり、一番重要な部分でもありますので、ここは大胆且つ丁寧に見つけてください。

バイクのキャブのセッティングみたいなものです。


回転立ち上がり、デッドスロー回転、通常回転、高速回転、おのおのに違和感やゴロつきがない様にしてやります。

まったく芯が出ない場合は、内部の組み付け不良やワッシャー類の組み付け場所の間違えも疑ってください。

部品が極端に摩耗していなければ、かならずこれ以上ないスムーズなフィーリングのところが必ずあります。



出来上がれば、順次、ワンウェイクラッチ、ローターを組み上げていきます。


このローターの取り付ける際、極端に締め付けトルクは要りません。締め込み過ぎると何故か回転不良が起こります。

最初に締め込まれていた程度のトルクで十分です。


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ローターが組み込めれば、後は、スプール受けの部品を取付けてスプールを乗せると出来上がり。



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回転のスムーズさが格段と変わります。


こうやってテキストと数枚の写真で説明っていうのはホントわかりにくいのですが、やれば以外と簡単なものです。


今回も無事、購入時より良い仕上がりに出来ました。


ヴァンキッシュは、高級機種の一つですが、さすがに組立時11点こういう風に神経質に組立はされません。

組立一つで変わるリールの味付け、週末はこの気持ちいいリールで釣りに行ってきます。


おわり




さて余談ですが、最近、釣り友のキクちゃんに指摘された事がありました。

それは、釣り場で起こったリールのライントラブルシューティングの時なのですが、スピニングリールってほら、進化はし続けていますが、ライントラブルは避けて通れない宿命じゃないですか。

常にラインをねじり続けている構造故、これはどうしようも無いことだと思うんですね。


それこそラインメンディングをきっちりしたらトラブルは皆無で釣りを終える日も多いのですが、風が強い日であったり、大物と格闘し、ドラグからライン放出が激しかったりするとどうしてもライントラブルが起こる訳ですよ。



そんなライントラブルで、スプールからラインがピョンと出てしまうわけですが、僕はこれの対処にいつもベールを上げて、慎重にラインを手で抜いて、ピョン吉部までラインを出して直して要るのですが、この前そんな僕の光景をキクが見て、驚きの事を言ってきたんです。


“その直し方間違ってますよ”って


僕はこの意味が全く分からず、自分の直し方はかなり正当な直し方って疑わなかったのですが、キクがいうにはこうでした。


“ベールは閉じてドラグをかなり緩める。”

“その後、ガイドに向かっているまともなラインを引っ張り出す”


まぁこんな事を言って来たのですが、正直その時のピョン吉は酷く、多分治らないと思っていたのですが、モノは試しとキクの言うようにやってみると・・・


あら不思議、ピョン吉部に良くある変な結び目のコブも出来ず、綺麗に治りました。


釣りを初めて25年。

手には鱗じゃなくて、目から鱗。

正直、リールのオーバーホールよりこう言った事の方が遙かに役に立つな。


まだ知らない人は是非お試しください。


おわり



night_rock_fishing at 02:39│Comments(2)TrackBack(1)日記 | ロックフィッシュ

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1. 【シマノ】ヴァンキッシュ  [ B.F.Info ]   2014年01月01日 13:49
某雑誌スピニングリール部門2位(2013)

この記事へのコメント

2. Posted by ken39   2012年07月25日 21:58
ぽんさん
僕も教えてもらった時はびっくりで、糸を出してる時はホンマになおるんやろか!?って半信半疑でしたが、治った時は感動しました!
1. Posted by ぽん   2012年07月25日 06:15
ライントラブルの解決方法
いいことを聞きました。今度わたしも試して見ます(^ ^)

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