「2006年11月」記事一覧

2006年11月27日

「マイノリティ・リポート」サーモン鮭山/中村公彦さん (俳優・監督・Webデザイナー)

サーモン鮭山/中村公彦

映画界の片隅で様々なマイノリティ・キャラクターを演じ続けている俳優・サーモン鮭山と申します。
日本映画学校映像科卒業後、最初は制作部として映画の現場に足を踏み入れながら、いつの間にやら俳優にシフトして、気が付いたら50本もの商業作品に出演しているあたりがマイノリティです。
ちなみに学校在籍時は本名の「中村公彦」名義で活動しておりました。「サーモン鮭山」という芸名からは一切想像ができないあたりがマイノリティです。
(現在もWebデザインやディレクターなど、俳優以外の仕事では「中村公彦」名義を使用)

とにかくイレギュラーなことばかり起こるので「イレギュラー俳優」もしくは「怪優」とも呼ばれております。
○映画学校時代の恩師・細野辰興監督の『犯人に願いを』にエキストラで呼ばれた時には、犯人グループに人質にされた私のクシャミがきっかけとなって事件が解決する、という大役をいただきました。
○映画学校の先輩・三池崇史監督の『妖怪大戦争』に妖怪塗仏役で出演した際は、今をときめく三池監督直々に演技を付けて下さったのに、目に特殊メイクをしていたため全く監督が見えませんでした。
○『オールナイトロング イニシャルO』では、セリフが一切ない死体役なのにシネマ下北沢(現・シネマアートン下北沢)の舞台挨拶に立ち、司会者に「どこに出てたんですか?」と訊かれました。
○『アンドロイドガールNAMI』では、全身に血糊を浴びた後でスタジオ内のシャワーが使えないことを知り、血まみれの身体に制作さんが貸してくれたアルマーニの黒コートだけをはおって、徒歩で銭湯まで行かされました。ただの変質者です。
○『小鳩の会の日本の歴史』では、役柄を知らぬまま現場(日光江戸村)に行ったら、助監督さんに「じゃあ、サーモンさんは徳川綱吉(将軍)役でお願いします」と言われ、役作りに悩みました。

そっと瞳を閉じると、牧場のダチョウと白ブリーフで駆け回ったり、東京駅前をノーパンで疾走したり、豚の内臓を頭からかぶったり、ヤクザ役なのに衣装が黒ビキニパンツ一丁だけだったり、殺されてカレーの具にされたり、ブルマを履いたり紙オムツを履いたりと、数々の想い出が鮮明に甦ってきます。
一見ふざけているように思われるかも知れませんが、私はこれら一連の仕事に誇りと責任を持って取り組んでおります。
おかげさまで、現在では日本で5人ぐらいの方が「変○役ならサーモン鮭山」と名指しして下さいます。私のような者を好む監督やファンの方も当然マイノリティですが。

しかし、社会におけるマイノリティを見つめることは、創作へのヒントを与えてくれます。
自分の中のマイノリティを見つめることは、自身の適性を発見し、伸ばしていくことに繋がります。
表現者にとって、あらゆる先入観は敵だと思います。どんなに偉い方だろうが、先入観だけで物事を語る人間を私は一切信用しません。
日常生活では見落としがちな、けれど確実に誰かの意識下で蠢いているサムシングを上手く切り取り、わかりやすく伝えることが私たちの仕事です。
自分には関係がない、興味がないことと切り捨ててしまうのは簡単ですが、想像の翼を広げてみればマイノリティの中にこそ人生の普遍的なテーマが潜んでいる場合が多いのです。
現在在学中の皆さん、またこれから表現活動を始めようと考えている皆さんには、ぜひそのような視点を身につけてもらいたいと願っています。

この度めでたく公開となりました窪田将治監督の『zoku』では、山本という得体の知れない男を演じています。(上の写真)
この男は、今まで私が演じてきた60以上のキャラクターの誰にも似ていないマイノリティです。次々と予測不可能なアクションを起こしますので、どうぞ先入観なしにご覧下さい。
『zoku』各回上映前には、私自身の監督・主演作品『ソウルメイツ』(来年公開予定)の予告編も併せて上映されます。
「変○役ならサーモン鮭山」・・・8年ほどかけて築き上げたこのイメージも愛おしいのですが、皆さんの先入観をいい意味で裏切っていくのがこれからの楽しみのひとつです。


11/25(土)〜12/7(木) 神経破壊ムービー『zoku』 UPLINK FACTORY(渋谷)にて公開! ※12/1(金)は休映。
『zoku』公式サイト http://zoku.faith-pictures.com/
監督・脚本:窪田将治(映像科9期卒)
プロデューサー:斎藤美保(映像科13期卒)
出演:サーモン鮭山(映像科9期卒)、本多弘典、石井里佳、荒井志郎(俳優科12期卒)、古賀忍、茅ヶ崎ジャバ(映像科13期卒)
音楽:丸幸徳、與語一平(映像科9期卒)

『zoku』各回上映前に、サーモン鮭山/中村公彦の監督・脚本・主演作『ソウルメイツ』予告編も上映!!
『ソウルメイツ』予告編 http://salmon.mods.jp/trailer.htm
サーモン鮭山のグレイテスト・ヒッツ! http://salmon.mods.jp/

12/15(金)〜 出演作『悩殺若女将 色っぽい腰つき』(原題:『恋味うどん』) 上野オークラにて公開!
監督:竹洞哲也(映像科9期卒)

12/9(土)〜 公式サイトのデザインを手がけた『おじさん天国』 ポレポレ東中野にて公開!
『おじさん天国』公式サイト http://www.spopro.net/ojisantengoku/
監督:いまおかしんじ


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2006年11月20日

「馬鹿になりきる努力は必要だ。」窪田将治さん(映画監督)

窪田将治

知ってました?僕って日本映画学校の卒業生みたいなんですよ。最近、風の便りで知りました。
1年時は橋本信一クラス、2年時は細野辰興ゼミ、3年時は池端俊策ゼミだったようです。
3年間、真面目に勉強していたみたいです。今更ながら「勉強家だなぁ〜」と思います。

そんな、とても勉強家で淋しがりやのお人好し過ぎる流されがちな僕はプロモーションビデオを撮ったりミュージックビデオを撮ったり、ホームページを制作・運営したり、ゲームのキャラクターデザインなんかも制作したりと食う為と会社経営の為、日々精進しています。

そんなある日の黄昏時、周りの人たちから「お前、映画屋だろう!映画くらい撮れよ!!」と頭ごなしに言われました。僕は「しんどいなぁ〜」と思いつつも嫌いじゃないので制作する事にしました。
撮影中はSTAFF、CASTから蹴られ殴られ車に轢かれ、「もっと空気を読め!ここは休憩時間だろ!」と怒られたり「コーヒー買ってこい!」とパシリにされたりと涙なくしては語れません。
演出と言う演出もさせてもらえず結局は身銭だけを使われ毎夜、枕を涙で濡らす日々を送りました。今月の家賃はどうしようかと悩みながら…
そんな、とても勉強家で淋しがりやのお人好し過ぎる流されがちな可愛らしい僕ですが、なんとか作品を完成させることが出来ました。

気づいた時には映画「zoku」 http://zoku.faith-pictures.com/ は単館ではありますが2週間(50回上映)ほどのロードーショーとして公開が決まってしまって、あら、大変。ε=ε=εヽ( *бб)/ うきゃ〜となったわけです。
プロデューサーの齋藤美保さん(後輩、13期生)に「お客様は入るのですか?」と聞いてはみたものの「劇場側が何も言わないから良いんじゃ!ボケぇ!」と言われたので恥ずかしながら、回す事になったわけです。
1人の物創りとして思えば嬉しい限りですが1人の経営者として思うと「大丈夫なのか?受け入れられるのか?」と考え込んでしまいます。
これでお客様が少なかったら、STAFF、CASTの皆様にますます虐められると思います。どうか映画学校のお力添えで僕が虐められないくらいのお客様が入るようにご協力いただけないかと切にお願いしたいです。
きっと僕の大好きな母校、日本映画学校のお力なら、僕は今後、虐められなくなると思います。藁をも掴む思いでお願いしています。
と、心にも無い適当な事を言って同情を誘ってみましたが、結局のところ作品が面白いのかどうかが重要なわけです。
だからと言って観客に媚びる気なんてさらさら無く、物創りの端くれとして手前の「意思」と「我」を追求し“やりたい物を創ってメシを食う!”と言う当たり前の目的を達成すべく分身たちを世に送り届ける。結局はそれに尽きるのです。
真面目すぎても疲れるだけなので、とりあえずバランスとるため馬鹿になるとしよう。なので、1人チケット10枚買ってください。ヨロピク〜〜〜ピクピクヾ(*°▽°)/ あはは

最後に、この作品に快く協力してくれた方々にお礼を…
プロデュースしてくれた齋藤美保が頑張った。ありがとう。
主演してくれたサーモン鮭山が怪演を見せてくれ作品により一層の深みを与えた。ありがとう。
共演者の本多弘典が内に秘めた狂気を独特の感性で表現してくれた。ありがとう。
石井里佳の体当たり演技が緊張感を与えてくれた。ありがとう。
荒井志郎が軽い学生をリアルに演じ作品に抑揚を与えてくれた。ありがとう。
古賀忍、石津亜矢子、茅ヶ崎ジャバ。君たちがこの作品の良いスパイスになり形あるものに仕上げてくれた。ありがとう。
そして、STAFF&この映画を応援してくれた関係各位の皆様に心より“ありがとう”を言わせてください。
ちっぽけな僕の力を皆様の大きな助けで支えてくれて本当にありがとうございます!

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「馬鹿になりきる努力は必要だ。」窪田将治さん(映画監督)

窪田将治

知ってました?僕って日本映画学校の卒業生みたいなんですよ。最近、風の便りで知りました。
1年時は橋本信一クラス、2年時は細野辰興ゼミ、3年時は池端俊策ゼミだったようです。
3年間、真面目に勉強していたみたいです。今更ながら「勉強家だなぁ〜」と思います。

そんな、とても勉強家で淋しがりやのお人好し過ぎる流されがちな僕はプロモーションビデオを撮ったりミュージックビデオを撮ったり、ホームページを制作・運営したり、ゲームのキャラクターデザインなんかも制作したりと食う為と会社経営の為、日々精進しています。

そんなある日の黄昏時、周りの人たちから「お前、映画屋だろう!映画くらい撮れよ!!」と頭ごなしに言われました。僕は「しんどいなぁ〜」と思いつつも嫌いじゃないので制作する事にしました。
撮影中はSTAFF、CASTから蹴られ殴られ車に轢かれ、「もっと空気を読め!ここは休憩時間だろ!」と怒られたり「コーヒー買ってこい!」とパシリにされたりと涙なくしては語れません。
演出と言う演出もさせてもらえず結局は身銭だけを使われ毎夜、枕を涙で濡らす日々を送りました。今月の家賃はどうしようかと悩みながら…
そんな、とても勉強家で淋しがりやのお人好し過ぎる流されがちな可愛らしい僕ですが、なんとか作品を完成させることが出来ました。

気づいた時には映画「zoku」 http://zoku.faith-pictures.com/ は単館ではありますが2週間(50回上映)ほどのロードーショーとして公開が決まってしまって、あら、大変。ε=ε=εヽ( *бб)/ うきゃ〜となったわけです。
プロデューサーの齋藤美保さん(後輩、13期生)に「お客様は入るのですか?」と聞いてはみたものの「劇場側が何も言わないから良いんじゃ!ボケぇ!」と言われたので恥ずかしながら、回す事になったわけです。
1人の物創りとして思えば嬉しい限りですが1人の経営者として思うと「大丈夫なのか?受け入れられるのか?」と考え込んでしまいます。
これでお客様が少なかったら、STAFF、CASTの皆様にますます虐められると思います。どうか映画学校のお力添えで僕が虐められないくらいのお客様が入るようにご協力いただけないかと切にお願いしたいです。
きっと僕の大好きな母校、日本映画学校のお力なら、僕は今後、虐められなくなると思います。藁をも掴む思いでお願いしています。
と、心にも無い適当な事を言って同情を誘ってみましたが、結局のところ作品が面白いのかどうかが重要なわけです。
だからと言って観客に媚びる気なんてさらさら無く、物創りの端くれとして手前の「意思」と「我」を追求し“やりたい物を創ってメシを食う!”と言う当たり前の目的を達成すべく分身たちを世に送り届ける。結局はそれに尽きるのです。
真面目すぎても疲れるだけなので、とりあえずバランスとるため馬鹿になるとしよう。なので、1人チケット10枚買ってください。ヨロピク〜〜〜ピクピクヾ(*°▽°)/ あはは

最後に、この作品に快く協力してくれた方々にお礼を…
プロデュースしてくれた齋藤美保が頑張った。ありがとう。
主演してくれたサーモン鮭山が怪演を見せてくれ作品により一層の深みを与えた。ありがとう。
共演者の本多弘典が内に秘めた狂気を独特の感性で表現してくれた。ありがとう。
石井里佳の体当たり演技が緊張感を与えてくれた。ありがとう。
荒井志郎が軽い学生をリアルに演じ作品に抑揚を与えてくれた。ありがとう。
古賀忍、石津亜矢子、茅ヶ崎ジャバ。君たちがこの作品の良いスパイスになり形あるものに仕上げてくれた。ありがとう。
そして、STAFF&この映画を応援してくれた関係各位の皆様に心より“ありがとう”を言わせてください。
ちっぽけな僕の力を皆様の大きな助けで支えてくれて本当にありがとうございます!

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2006年11月13日

「私はこうして監督に騙された」斎藤美保(映画『zoku』プロデューサー)

斎藤美保

11月25日より渋谷UPLINK FACTORYにて私がプロデューサーを務めた映画『zoku』が公開になります。
何故、私がこの映画のプロデューサーとなり、遊びのつもりの自主制作映画が公開にまで至ったのか…それはすべて“監督に騙された”からであります。
思い起こせば2004年の11月、喫茶店で日本映画学校の先輩・窪田将治監督と打ち合わせ後、話していた雑談がすべての始まりでした。
その時、監督は「クリエイティブな遊びをしようぜ、3日間位でパーッと撮ってさ」と甘い言葉で私を誘いました。
私はその当時、企画やPV撮影などの手伝いはしていたものの、普段は図書館で働くアルバイター。映画製作からは離れたところにおりましたので、その「クリエイティブな遊び」というなんとも甘美な響きを持つ言葉にフラフラと誘われてしまったわけです。
私は早速、知り合いの役者やミュージシャン、中には素人さんにまで電話を掛け、「一緒にクリエイティブな遊びをしようよ!撮影は3日間位で終わるからさ」を口説き文句にキャスティングを行いました。
しかし、蓋を開けてみれば撮影が3日間で終わるわけもなく、年を越し、クランクインからクランクアップまで約3ヶ月間を要しました。
私は役者陣に撮影の度に頭を下げ、追加撮影の度に頭を下げ、アフレコでも頭を下げ続けました。そんな私を見て高笑いをする監督を何度呪った事か…。
そんなこんなで撮影も終わり、早々と予告編のみ完成していた映画『zoku』。
役者陣も含め、撮影をしていた事を知っている方々からは「いつ上映するの?」と聞かれる日々。
私もそろそろ上映しなくてはヤバイと焦り、監督にスケジュールと予算を提示してみたところ「ぼくちんはもう結構満足だから、上映しなくてもいいんじゃない?やりたきゃ、やればぁ〜。どうせ、お前は途中で投げ出すだろうし〜」などどぬかしたのです。(おっと怒りのあまり汚い言葉使いになってしまいました。失礼。)
そんな監督の小馬鹿にした物言いに、カチンときた私は「そんじゃあ、やってやろうじゃないの」と、今思えば売り言葉に買い言葉のような状態で上映の準備を始めてしまいました。準備中も監督は「ぼくちん、渋谷で上映した〜い。だってぼくちんの事務所が渋谷だも〜ん」等と言いたい放題、私はその度に「この野郎〜」とはらわた煮えくり返る思いで準備を進め、気付けば渋谷のUPLINK FACTORYで約2週間、ロードショーする事になっていたわけです。
あ、今、このコラムを書きながら気付いたのですが・・・、どうも今回の上映も監督にまんまと騙されたようです。何故って、監督に私の負けず嫌いな部分を“こちょこちょ”とくすぐられ、私はまんまと悔しさをバネにここまで突き進んでしまったのだから。あぁ悔しい。
でもきっと上映が始まり、お客さんが映画を観てくれて、無事に楽日を迎えれば、騙された事もすっかり忘れて、充実感なんぞを感じていたりするのでしょう。映画とはきっとそんな魔力があるのです。
あぁ、また悪魔の甘い囁きが・・・。


神経破壊ムービー『zoku』
監督・脚本:窪田将治(映像科9期卒)
プロデューサー:斎藤美保(映像科13期卒)
出演:サーモン鮭山(映像科9期卒)、本多弘典、石井里佳、荒井志郎(俳優科12期卒)、古賀忍、茅ヶ崎ジャバ(映像科13期卒)
音楽:丸幸徳、與語一平(映像科9期卒)

上映期間:11月25日(土)〜12月7日(木)
※12月1日は休映。
上映場所:UPLINK FACTORY(渋谷)
http://www.uplink.co.jp/
料金:前売り\1300、当日\1500
(日本映画学校教務課でも前売り券発売しております。そちらは10%引きとお買い得になっておりますので、学生諸君は今すぐ教務課にダッシュして買うように!)

映画『zoku』公式HP
http://zoku.faith-pictures.com/

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2006年11月06日

「人間大好き人間」三好和美(人形劇団員)

三好和美

人形劇団?何だそりゃ、と思われる人も多いかと思います。
そこで、あまり知られない人形劇団の話を書こうと思います。

私はここで役者をやっています。といっても、人形劇の役者は何でもします。幕の吊り物からセットを立て、音響、照明も全て劇団の役者が仕込みます。大きい会館や、体育館なら問題はないのですが、幼稚園や保育園、袖が狭い体育館だと、仕込みは戦いです。お客さんが見やすく、舞台が美しく、役者が演じやすく、と工夫しながらどんな会場でも舞台を作っています。上演以外の日は稽古や美術をしたり、事務作業、制作、営業…仕事には事欠かないです。

うちの劇団は基本的に人形の操作者が声を出し、芝居をやります。だから常に生です。子どもの反応はその時々によって違い、笑ったり、応援してくれたり、ぐっと緊張してみていたり…様々です。それに対して、こちらも反応する。お互いが舞台を作っている、それが面白い!
『人形』といっても色々な形態があります。うちの主流は棒人形です。どぐし(頭を支えている棒で、人形の背骨)で体を操り、手は差し金で動かします。『ひょっこりひょうたん島』等で見る、あれです。あとは指人形や、仮面、役者が普通に演じるものなどです。

人形は「モノ」です。操作者の手が入らなければ、物でしかない。それが演じ手の気持ちで不思議と生きて、その世界を作り出します。人ではなく人形だからできる表現、リアルだけどバーチャルな…。
人形を遣い始めた頃、よく言われたのが自分が演じるな、ということ。自分の体を通して人形が演じる事。例えば、こけて立ち上がるという動きは、人形だからついひょいっと起き上がってしまう。でも、ちゃんとこける時のテンションや起き上がる腰の動き、手を使うこと、細かい動作一つ一つが物に魂を吹き込むのです。まだまだ、私は新米なので修行中ですが…。

映画学校にいた頃、人間研究という授業がありました。
一人の人間を深く掘り下げることで、私は多くのことを学びました。ひとりひとりに人生のドラマがある。若造の私はまだまだ考えが浅く、対象者に突っぱねられたりしました。
今も人間相手の仕事をしているのは、やはり人間が大好きだからなのでしょう。子どもの頃の影響はその後に深く関係します。その中の一瞬でも出会えるというのは私にとっても大きな力になります。
映画学校の実習や現場でみんなと本気でぶつかり合った事が今の私を支えてくれているように思えます。学生時代とあまり変わらず、貧乏ヒマなしの汗にまみれた仕事ですが、本当に楽しい。今もお酒を飲んでは役者仲間と熱く語り合い、旅公演では地方のお母さん方や役所の方など、優しくて元気をもらいます。人と人が確かに触れ合える、そんな仕事です。

一年のうち、今が一番忙しい時期です。秋の芸術鑑賞で全国各地の小学校や劇場を旅公演しています。同じ演目を毎日やるわけではなく、日替わりで作品が変わったりするので、荷積みが大変です。朝4時起きが続く日々…。家を出るときにまだ星空が綺麗だと少し悲しくなります…。
体力勝負の仕事なので、映画学校生には向いているのではないでしょうか。劇団員を募集しているので、ぜひ卒業後の進路として考慮してみて下さい!

今度、大阪で大人向きの一般公演をするので是非観に来てください。先月、東京で公演した時に、こんな舞台観た事無い、と大好評でした。邦楽の生演奏と人形劇の融合。初めての感動をぜひ味わって下さい。


人形劇団ポポロ『鬼ひめ哀話』
原作・総合監修/さねとうあきら
演出/山根宏章
公演日…11月10日(金) 18時30分開演
場所 …大阪よみうりホール(千里中央駅徒歩1分)
料金 …前売り¥4000、当日¥4300
連絡先…人形劇団ポポロ pupetpop@pup-popolo.co.jp
    TEL 042-344-3389 FAX 042-346-6118
詳しくはこちらをどうぞ→URL http://www.pup-popolo.co.jp

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