花柳錦翠美です。
今回は【月を盗んだ鬼】を再演させていただきました。ご来場くださった皆様、またスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

未熟ながらも何度も何度もいろんな作品を創ってきて(と言ってもまだまだ浅い年月でしかありませんが)、今回改めて強く感じたことがいくつかありました。
そのうちのひとつが、当たり前と言えば当たり前のことではありますが、「自分の創った作品を大切に思い、愛していくことの大変さと楽しさ」でした。
【月を盗んだ鬼】での、女の紅いアザはどこからヒントを得たのか、という質問をたくさんいただきましたが、どこからでもなく、「女の抱える心の闇の具象として最もシンボリックなもの」を考えていく過程での、ふとした発想でした。
その闇を抱える女を『演じること』に徹底してこだわり抜こう、として創った作品でした。
今回の稽古期間中、その女を通して踊ると、たった一回でいろんな意味でかなり疲弊してしまい、そのうち自分の作品でありながら作品そのものが手に負えない生き物のように思えてきて、本番まで何度も作品と(なのか、その女となのか?)向き合ってただただボーッと座っている、ということがありました。
これは初演ではなかったことであり、再演だからこそ感じたこと、気づいたことのひとつでした。
もちろん、単純に私自身の未熟さ故での現象、とは思います。
が、どんな稚拙な作品であっても、作品はやはり息をしている生き物であるようにも思うのです。
今回は、その生き物を愛し・育てていくことの大変さ、難しさ、そして若干の楽しさを強く感じた公演だったように思います。
また、毎回感じることではありますが、どこかに安易な気持ちがあって創ったものは必ずそこが舞台に現れるし、見透かされてしまいます。
もちろん誰しもハナから安易なものを創ろうとしているわけではないとは思います。
が、自分では決して安易なつもりがなくても、人様に観ていただいたり、何度も練り直していくことで初めて自らの安易さに気づく、ということも、私にかぎって言えばあります。
再演は、そういう意味でもよかったように思っています。

いまさら何を長々と、の話になってしまいましたが、自分なりにいろいろ考え、感じたことを今後の作品創りに生かせればいいなぁ、と強く思えた今回の公演でした。
最後に以前ある先生に言っていただいた私の好きな一言を。
「だって創るって素晴らしいことですもの!」