上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

2009年07月

二階大臣秘書再度不起訴処分についてのマスコミ報道

西松建設の違法献金(パーティー券購入)事件で、東京地検は二階大臣の秘書を再び不起訴にしたことは、すでに紹介した。
以下では、記録に残しておくために、それについてのマスコミ報道を紹介する。
なお、漏れがあったら後で補充します。

1.新聞報道

(1)東京新聞2009年7月31日 18時35分
   山陽新聞(7月31日18時35分)
地検、二階氏秘書を再び不起訴 西松建設のパー券購入で

 西松建設がダミーの政治団体を使い、自民党二階派政治団体「新しい波」のパーティー券340万円分を購入した問題で、東京地検特捜部は31日、検察審査会の不起訴不当の議決を受け、政治資金規正法違反容疑で再捜査していた二階俊博経済産業相の秘書(氏名不詳)を再び嫌疑不十分で不起訴とした。
 この問題で、特捜部は西松建設元社長の国沢幹雄被告(70)をいったん起訴猶予としたが、検察審査会の「起訴相当」議決を受けて再捜査し、追起訴。秘書については嫌疑不十分で不起訴としたが、検察審査会は21日に「パーティー券を購入した側だけを処罰するのは納得できない」と、不起訴不当と議決していた。
 地検は秘書を不起訴にした理由について「ダミー団体であるとの認識や、国沢被告らと共謀した事実や証拠が発見できなかった」としている。
 審査申し立て人の代理人、阪口徳雄弁護士は「到底捜査を尽くしたとはいえないとの一般の人の厳しい批判を尊重せず、十分な捜査を怠ったとみられる。極めて不満だ」と話している。
(共同)

(2)朝日新聞2009年7月31日18時57分
二階氏秘書、再び不起訴 西松建設問題で東京地検

 西松建設がダミーの政治団体経由で二階俊博・経済産業相側のパーティー券を購入していた問題をめぐり、二階氏の秘書について検察審査会の議決に基づき再捜査していた東京地検特捜部は31日、再び不起訴処分(嫌疑不十分)にしたと発表した。
 この問題では、政治資金規正法違反容疑で告発されていた二階氏の秘書を不起訴としたことについて、東京第三検察審査会が「捜査が尽くされているとは到底言えない」などとして、「不起訴不当」と議決。特捜部は再捜査の結果、「二階氏の秘書は西松建設側にパーティー券の購入は依頼したが、ダミー団体経由で購入することを共謀したと裏付ける証拠はない」とした。
 告発状などによると、二階氏の秘書は06年6月と7月、西松建設側と共謀して、ダミーの政治団体経由でパーティー券340万円分を購入したとされる。

(3)時事通信社(2009/07/31-19:39)
二階氏秘書、改めて不起訴=検審「不当」議決受け−東京地検

 自民党二階派の政治団体「新しい波」が西松建設のダミー団体からパーティー券代を受領した問題で、東京地検特捜部は31日、同社にパーティー券を持ち込んだとされる二階俊博経済産業相の秘書を、改めて嫌疑不十分で不起訴とした。
 大阪市の市民団体が先月、政治資金規正法違反容疑で同地検に告発。いったん不起訴処分となったが、東京第3検察審査会が今月21日、不起訴不当の議決をしたため、再捜査していた。
 谷川恒太次席検事は「議決を踏まえて再捜査したが、ダミー団体だと秘書が認識していた証拠は発見できなかった」と述べた。

(4)産経新聞2009.7.31 19:47
二階氏秘書が再び不起訴 西松建設問題 東京地検

 自民党の二階俊博経済産業相が代表を務める二階派の政治団体「新しい波」のパーティー券を西松建設のダミーとされる政治団体が購入していた問題で、東京地検特捜部は31日、政治資金規正法違反罪で告発されていた二階氏の秘書について、嫌疑不十分で不起訴処分とした。秘書への不起訴処分は2度目。
 二階氏の秘書をめぐっては、特捜部が6月26日に不起訴処分としたが、大阪市の「政治資金オンブズマン」が処分を不服として東京の検察審査会に審査を申し立てた。これを受け、審査会が今月21日、「不起訴不当」を議決し、東京地検に再捜査を求めていた。

(5)毎日新聞 2009年7月31日 20時46分
西松事件:二階氏秘書を再び不起訴 検審議決受け再捜査も

 自民党二階派(会長・二階俊博経済産業相)の政治団体「新しい波」が西松建設からダミーの2団体名義でパーティー券代計340万円を受領した問題で、東京地検特捜部は31日、政治資金規正法違反容疑で告発された二階氏の秘書を不起訴(嫌疑不十分)とした。
 特捜部は6月に不起訴としたが、東京第3検察審査会が「不起訴不当」と議決したため、再捜査していた。検察審査会法の規定では、不起訴不当を受けて同一理由で改めて不起訴になると再び審査を申し立てられないため、パーティー券を巡る二階氏側の捜査は事実上終結する。
 東京地検の谷川恒太次席検事は「再捜査したが、2団体が西松のダミー団体だと秘書が認識していた証拠を発見できなかった」と説明。告発した市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表の阪口徳雄弁護士は「まともな再捜査がなされたとは思えず、極めて遺憾だ」と述べた。

(6)読売新聞(2009年7月31日21時04分)
二階経産相の秘書、嫌疑不十分で再び不起訴

 自民党二階派の政治団体「新しい波」が西松建設のダミー団体にパーティー券を購入してもらっていた問題で、東京第3検察審査会が不起訴不当とした二階俊博・経済産業相の秘書について、東京地検特捜部は31日、再び政治資金規正法違反容疑について不起訴(嫌疑不十分)とした。
 同地検の谷川恒太・次席検事は「再捜査の結果、秘書が西松建設のダミー団体と認識していたと立証できる証拠は発見できなかった」と説明している。
 市民団体メンバーからの告発を受けた特捜部は6月、この秘書を不起訴とした。審査の申し立てを受けた同審査会は7月21日、「パーティー券を購入した側のみを処罰するのは納得できない」として不起訴不当の議決を出していた。


2.テレビ報道

NHK7月31日 21時5分
二階経産相の秘書 再び不起訴

 西松建設がOBの政治団体を通じて、二階経済産業大臣の派閥のパーティー券を購入していた問題で、東京地検特捜部は、西松建設にパーティー券の購入を依頼した二階大臣の秘書について、検察審査会の議決を受けてあらためて捜査を行いましたが、容疑が不十分だとして再び不起訴にしました。
 二階大臣の秘書は、西松建設の元社長に対し、二階大臣の派閥の政治団体「新しい波」のパーティー券340万円分を、OBの政治団体の名義で購入させたとして、政治資金規正法違反の疑いで告発されましたが、東京地検特捜部は、先月26日、不起訴にしました。これについて、東京第三検察審査会は、今月22日、「捜査が尽くされたとは到底言えず、さらに踏み込んだ捜査が期待される」と指摘し、不起訴は不当だと議決していました。これを受けて、特捜部は、あらためて捜査を行いましたが、「秘書が、この事件で有罪判決を受けた西松建設の元社長と共謀していたと認める証拠はない」として、容疑不十分で再び不起訴にしました。

(今なら動画を見ることができます。
http://www3.nhk.or.jp/news/t10014642481000.html

東京地検は二階大臣秘書を再び不起訴にした

(1)西松建設の違法献金(パーティー券購入)事件で、私たち研究者29名は、先月(6月)中旬に二階大臣の秘書を刑事告発しました(送付は17日)。

それに対して東京地検は同月26日、二階大臣の秘書を「嫌疑不十分」で「不起訴」処分にしました。

(2)そこで私は同月29日に東京検察審査会に審査申立てをしました。

東京第三検察審査会は今月(7月)21日「不起訴不当」の議決をしていました。

(3)しかし、東京地検は、今日(7月31日)、二階大臣の秘書を再び不起訴処分にしました。
代理人の阪口徳雄弁護士には夕方連絡があったそうです。

(4)厳正な捜査が行われたのか、極めて疑わしい。
だから、有罪にできる証拠もないのでしょうか?

東京地検は二階大臣の派閥のパーティー券を西松建設に持ち込んだのが二階大臣の秘書だと把握していたのに・・・。

やはりこの事件では、自民党議員側は立件しないことになっていたのでしょうか!?

そう思えてなりません。

(5)なお、二階大臣側への違法献金事件には、私たちが告発したにもかかわらず、東京地検がいまだに何らの処分をしていないもの(600万円の違法献金)があるのです。
今月23日、東京地検には要請書を送付しておきました。
前社長については、同社の内部調査は「自白」していますから、起訴しようと思えばできるはずです。
あるいはまた、前社長を「起訴猶予」にして不起訴処分にすることもできるはずです。
しかし、その処分をしないんは、なぜでしょうか?
役員名義による600万円の違法献金の件では、たまたま二階大臣側についても証拠があったから、あえて処分を延期しているのでしょうか!?

(6)いずれにせよ、公正な捜査・処分とはいえないことは間違いなさそうです!

『小沢一郎 虚飾の支配者』とかつての政党助成法違反容疑での刑事告発

(1)昨日帰宅すると、書籍が送(贈)られてきていた。

その書籍とは

松田賢弥『小沢一郎 虚飾の支配者』講談社・2009年

である。

(2)私は小沢一郎氏の政治資金問題で「週刊現代」の取材に何度も応え、私のコメントが紹介されてきた。

この著書は、そのときの記事なども含めて書かれている。
それゆえ、本書には、私のコメントが何箇所が出てくる。

だから、私にも献本されたのであろう。

(3)本著は以下のような構成になっている。
まえがき
第1章 西松事件は氷山の一角
第2章 巧妙な金脈
第3章 裏切りの歴史
第4章 蓄財のからくり
第5章 電波利権の闇
第6章 岩手「小沢大国」の実像
終章  「恐怖支配」の実態
あとがき

(4)小沢一郎氏は、自民党(とりわけ田中角栄氏)の金権腐敗という体質を有している。
それゆえ、私は、西松建設の違法献金事件で、小沢氏の公設秘書が逮捕され、起訴たとき、民主党の代表(当時)を辞するべきだと主張した。

(5)今回、私は、小沢氏側を刑事告発してはいないが、2000年2月に、政党助成法違反容疑で、当時の6人の党首を刑事告発したことがあり、その党首の一人に小沢氏がいた。

新進党(当時)は1997年末から98年初めにかけて解答し、6つの政党に分党した。
しかし、6党は、98年1月1日時点では、存在しなかった。
分党が完了していなかったからだ。
6つの新党が結成されたのは、年明けであった。そう新聞は報じた。
にもかかわらず、6党は「1月1日現6)」存在したとして政党交付金の申請手続きを行い、同年、政党交付金の交付を受けたのだ。
これは、政党助成法違反であった(参照、拙著「政党助成法の憲法問題」日本評論社・1999年)。
政党助成法第5条  政党交付金の交付を受けようとする政党は、その年の1月1日(・・・)現在における次に掲げる事項を、基準日の翌日から起算して15日以内に、総務大臣に届け出なければならない。

第43条  政党(・・)が偽りその他不正な行為により、政党交付金(・・)の交付を受けたときは、当該政党の役職員又は構成員として当該行為をした者は、5年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

私は、知り合いの憲法研究者に呼びかけ17名で、当時の6名の党首(小沢一郎・自由党党首、神崎武法・旧新党平和代表、白浜一良・旧黎明クラブ代表、小沢辰男・改革クラブ代表、中野寛成・旧新党友愛代表、鹿野道彦・旧国民の声代表)を東京地検に告発したのである。
当時は、北九州大学の教員だった。

(6)この告発を最初に報じたのは、東京新聞・中日新聞と西日本新聞であった。
事前に取材を受けていたからである。同じ日の朝刊で報じた。
その朝、大学から電話があり、ある新聞社からの取材依頼があるとの連絡を受けた。
私は自宅を飛び出したところ、西日本新聞の記事を手にした、知り合いの別の新聞社の記者とばったり会って、タクシーに乗せられ、そのまま私の研究室へ向かった。
その日は、私の研究室にマスコミの取材が殺到したのを今でも記憶している。

(7)小沢一郎氏は、自民党の金権体質だけを有するのではなく、橋本「六大改革」や小泉「構造改革」という財界政治を先取りする先駆的な「改革」論者の一人であり、細川内閣で、1994年に、衆議院議員の選挙制度を中選挙区制から非民主的な小選挙区本位のものに改悪し、国民の税金を原資とした政党助成法を導入し政党を国営政党化した張本人であった(参照、小沢一郎『日本改造計画』講談社・1993年)。

それゆえ、ここで紹介した本書は、小沢氏だけではなく、自民党の財界政治が部分的に書かれている、といえるだろう。

(8)ところで、西松建設の違法献金問題では、小沢氏側だけを刑事責任追及するのは、不公平である。
それゆえ、私たちは、二階大臣側も刑事告発してきた
もちろん、二階大臣だけではなく、他の自民党議員も問題である

(9)ついでにいえば、2007年参議院議員通常選挙で自民党は惨敗したが、その原因の一つに、「政治とカネ」の問題もあった。
当時の松岡大臣(故人)の事務所費・光熱水費の問題、後任の赤城大臣の事務所費問題等で、「週刊現代」のスクープ記事でも私のコメントが紹介された。

(10)遡ればきりがないが、保守政治家の金権体質を問題にするのであれば、小沢氏だけではなく、他の自民党議員も対象にすべきである。
もちろん、金権体質だけではなく、財界政治を推進したことも重要である。

したがって、ここで紹介した、小沢氏についての著書だけではなく、保守政治家の金権体質や財界政治を推進したことを取り上げた著書の出版も、望まれるのではなかろうか。

「公益法人と政治団体の峻別」問題(その4「和歌山県行政書士会事件高裁判決」後)

7.和歌山県行政書士会政治献金事件高裁判決その後

(1)すでに紹介したように和歌山県行政書士会政治献金事件高裁判決が昨年(2008年)11月12日に下され、同判決は、和歌山県行政書士会が日本行政書士政治連盟和歌山県支部に寄附をすることは行政書士会の目的外の行為として違法・無効であると判示しただけではなく、和歌山県行政書士会と日本行政書士政治連盟和歌山県支部の組織、会務の運営の区別がされていない点で違法、少なくとも妥当でない等とも判示した。

(2)行政書士法第18条の6は「都道府県知事は行政書士会につき…、必要があると認めるときは、報告を求め、又はその行う業務につき勧告することができる。」と定めている。

そこで、原告の行政書士の方は、同判決の約2ヵ月後の今年(2009年)1月16日に、和歌山県庁市町村課の窓口を訪問し、和歌山県知事に対して申し入れをしている。

県行政書士会に対する知事権限発動を求める要請
[知事の介入(権限発動)を求めたい点]

・無料ないし低額過ぎる経費負担を違法だと認め、繰り返さないことを誓約させる
・両団体は別個であることを認め、書士会は政連に一切の利益供与をしない
・書士会は、政連に対し過去に不当に与えた利益と、本裁判の弁護士報酬を政連から返還させる
・再発防止策・返還計画を文書で知事あてに提出。会報にも掲載
・役員を分離する。現執行部の引責辞任
・政連規約の改正(入会・退会要件を明確化、役員選任方法の明記)
・佐々木への謝罪(政連加入強要)と謝罪文の公表。会報に掲載
・政連加入は全くの任意である旨を、全会員に周知。加入するのか脱退するのかを全員に再確認
・本件と憲法について、会内研修を8支部すべてで開く
・政連は、直ちに書士会事務所から立ち退く

(3)「和歌山県総務部総務管理局市町村課長」は、この申し入れから1ヶ月余り後の2月23日、「和歌山県行政書士会(会長)」に対し、文書で行政指導を行った。

   和歌山県行政書士会の運営について
 ・・・・
 従来から、行政書士会の活動については、政治団体の活動との峻別について願いしてきたところです。
 このことに関し、昨年11月の大阪高等裁判所(・・・)において、和歌山県行政書士会の運営について、一部に違法、少なくとも妥当でない点があると判示されました。
 ついては、判決で指摘された事項については、速やかに政治団体の活動との区分を行っていただくようお願いします。
 今後とも、行政書士会の活動については、政治団体の活動と一体であるかのような誤解を与えることが無いよう、活動を峻別されるようお願いします。

以上については、以下を参照した。
http://www.saturn.sannet.ne.jp/aquae/gyosei/yousei.html

(4)私は、この文書をインターネットで知る前に、「和歌山県総務部総務管理局市町村課」(行政担当)に電話して、「昨年11月の判決の後、和歌山県は、県行政書士会に対し行政指導を行っているのか?」「行政指導を行っているいる場合、それは文書で行ったのか?」と尋ねた。
県の担当者は「平成20年度(2008年度)に文書で行政指導を行っている。」「文書には「従来から」峻別を願いしている旨の表現がある。」と説明した。

私は、「文書に「従来から」とあるのは、過去に行政指導しているからだろうが、それは、いつなのか、文書なのか口頭なのか」と質問したところ、県の担当者は、「そのような文書はない。」「いつ、誰が、口頭で行政指導したのか、確認できない。」という説明をした。
(「」書きして紹介しているが、実際の表現は微妙に異なる。)

今の担当者は、そのときの担当者ではなかったようだ。

私は、「国(厚生労働省医政局)は2001年から何度も各都道府県(医政主管部局。和歌山県であれば県医務課)に通知を出しているが、それはご存知か」と質問した。
県の担当者は、忙しかったようで確認していなかったが、3度目の電話のとき、インターネットを通じて電話中に確認した。

(5)私の推測であるが、国が各都道府県に「公益法人と政治団体の峻別」を徹底するよう通知を出しているが、これを契機に都道府県は、歯科医師会や医師会などだけではなく、都道府県知事が一定の権限を有する公益法人についても同様に指導を当時行っている可能性があるのではなかろうか。

だからこそ、和歌山県の今年2月の文書が「従来から行政書士会の活動については、政治団体の活動との峻別について願いしてきたところです。」と明記されていたし、その文書の表現(例えば「峻別」)が国のものと同じだったのだろう。

(6)私の推測が正しいということになれば、和歌山県行政書士会は、これまで和歌山県から指導を受けていながら、その指導に従わず、昨年11月の高裁判決で一部敗訴し、今年2月に行政指導を受けたことになる。

驚くべきことである。


8.和歌山県行政書士会は日本行政書士政治連盟和歌山県支部と峻別したのか!?

(1)今の私の最大の関心事は、和歌山県(総務部総務管理局市町村課)が文書で和歌山県行政書士会に行政指導して、和歌山県行政書士会は改善をし、政治連盟と峻別したのか、である。

(2)私がこの点を調べた結果、判明したことは、主に以下のことである。

◇事務所について

日本行政書士政治連盟和歌山県支部は、和歌山県行政書士会の事務所を2004年(平成16年)以前無償使用していたが、2005年(平成17年)から事務所賃借料として6万円を負担していたという(高裁判決参照)。

しかし、日本行政書士政治連盟和歌山県支部の政治資金収支報告書を見ると、2004年の事務所費は1万270円で、2005年は5万8695円、2006年は5万8780円であり、本当に6万円を支払っているのか、疑問が生じる。
ただし、2004年の光熱水費は0円だったが、2005年は4500円、2006年は6000円が計上されている。
事務所賃借料とは、光熱水費を含めている可能性がないとはいえないかもしれない。
加えて、事務所費6万円は「年度」であり、政治資金収支報告は「年」であるため、数字に違いが生じているのかもしれない。

和歌山県が行政指導した後も、日本行政書士政治連盟和歌山県支部は和歌山県行政書士会の事務所を使用し続け、1ヶ月5000円(年間で6万円)で事務所を使用すると和歌山県に報告しているという。
(追記:以下によると、確かに月額5000円と報告されている。2009年8月2日。
http://www.saturn.sannet.ne.jp/aquae/gyosei/yousei.html
これも、光熱水費を含んでいる可能性があるが、和歌山県の行政指導後も、事務所を別にすることもなく、かつ事務所賃借料も増額してはいないようである。

◇役員について

日本行政書士政治連盟和歌山県支部支部長が和歌山県行政書士会会長であり、同副支部長が同書士会副会長である等、同書士会の役員がほとんどがそのまま政治連盟の役員となっていた(高裁判決参照)。

和歌山県が行政指導した後も、和歌山県行政書士会の役員は日本行政書士政治連盟和歌山県支部の役員のようである(これについては、このHPを参照)。

和歌山県行政書士会は、役員の件で和歌山県(総務部総務管理局市町村課)に全く報告してはいないという。
(追記:以下によると、確かに報告がない。2009年8月2日。
http://www.saturn.sannet.ne.jp/aquae/gyosei/yousei.html

(3)はたしてこれで、和歌山県行政書士会は改善をし、政治連盟と峻別したといえるのか、はなはだ疑問である。

(4)公益法人が政治団体と峻別するためには、まず、事務所を別々にすべきである。
したがって、和歌山県行政書士会は、日本行政書士政治連盟和歌山県支部に事務所の使用を断り、日本行政書士政治連盟和歌山県支部は事務所を別にすべきである。

かりに和歌山県行政書士会が日本行政書士政治連盟和歌山県支部に事務所を賃貸する場合を認めるとしても、事務所の部屋は別々にすべきである。
比ゆ的な表現で言えば「別居」すべきなのである。
同じ事務所に公益法人と政治団体が「同居」するのは峻別とはいえないだろう。

(5)いずれにせよ、和歌山県行政書士会と日本行政書士政治連盟和歌山県支部は、役員の件を指摘するまでもなく事務所の点で峻別されてはいない。
私的な市民団体同士であれば、「同居」していても、それを基本的に問題視する必要はないであろうが、公益法人と政治団体の場合は、「同居」は許されない。

(6)「同居」しているうえに、事務所賃借料は年間6万円(月額5000円)だけである。
これは、あまりにも安すぎる。
事務所賃借料は最低でも年間30万円であるとすると、和歌山県行政書士会は現行の政治資金規正法によると日本行政書士政治連盟和歌山県支部に年間24万円相当の寄付をしていることになる。
政治資金規正法第4条第1項と第3項は以下のように規定している。
第4条 この法律において「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受で、第8条の3各号に掲げる方法による運用のために供与し、又は交付した金銭等(金銭その他政令で定める財産上の利益をいう。以下同じ。)の当該運用に係る当該金銭等に相当する金銭等の収受以外のものをいう。
2 ・・・
3 この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。

余りにも安い家賃の場合、安すぎる分は「財産上の利益の供与」になるから「寄付」となる、

しかし、日本行政書士政治連盟和歌山県支部の少なくとも2006年までの政治資金収支報告書には、安価な賃貸による寄付の記載はどこにも見当たらないから、政治資金規正法違反(虚偽報告)になる可能性が高い。
もちろん、このような寄付は、すでに紹介した過去の判例からしても、公益法人の目的外の行為であり、違法である!
したがって、和歌山県行政書士会は違法な寄付をし、日本行政書士政治連盟和歌山県支部は虚偽報告をしていることになる。

9.和歌山県は更なる行政指導、知事による勧告を行うべきだ!

(1)和歌山県行政書士会は役員を日本行政書士政治連盟和歌山県支部の役員を峻別しておらず、和歌山県(総務部総務管理局市町村課)に改善の報告さえしていないうえに、事務所は「同居」したままで事務所賃借料は年間6万円(月額5000円)のままである。
後者は、前述したように、違法な寄付と違法な報告(虚偽報告)である。

(2)行政指導をした和歌山県(総務部総務管理局市町村課)は、2008年度中に(2009年3月末日までに)、和歌山県行政書士会から改善に関する報告を受けているようだが、前述したように峻別の改善がなされたとはいえない。

公益法人と政治団体が峻別されていないにもかかわらず、県がこのままなんらの行政指導も行わなければ、県民、国民は、県に対し、「手心を加えており、結果的には特定の政治団体を不当に優遇している」と思うだろう。

(3)したがって、和歌山県(総務部総務管理局市町村課)は、更なる行政指導を行うなどして和歌山県行政書士会に政治団体(日本行政書士政治連盟和歌山県支部)との峻別を徹底させるべきである。

(4)それでも、和歌山県行政書士会が事務所及び役員の点で峻別の改善をしない場合には、和歌山県知事は和歌山県行政書士会に「勧告」するしかないだろう。

そうでなければ、県民、国民の批判は、和歌山県行政書士会や日本行政書士政治連盟和歌山県支部に対してだけはなく、和歌山県に対しても向けられることになるだろう。

(続く)

西松建設違法献金株主代表訴訟の提訴請求の紹介

西松建設が違法献金していた事件で、「株主オンブズマン」のメンバーが当時の同社役員らに対し賠償を求める株主代表訴訟に向けた手続きを始めました。
具体的に言えば、同メンバーは、損害賠償を求める裁判を起こすよう、西松建設の監査役に書面で通知しました。
今後、60日以内に監査役が裁判を起こさなければ、株主代表訴訟を起こすことになります。

私も「株主オンブズマン」の共同代表の一人なので、以下では報道などを紹介し、記録に残してきます。

1.報道
NHK7月28日 14時4分
西松建設 株主が代表訴訟へ

実体のない政治団体を使って国会議員に献金していたとして、政治資金規正法違反の罪で元社長が有罪判決を受けた西松建設の株主が、当時の役員らに対し賠償を求める株主代表訴訟に向けた手続きを始めました。
これは、28日、大阪のNPO法人「株主オンブズマン」と、横浜市に住む西松建設の株主の男性が記者会見を開いて明らかにしたものです。西松建設をめぐっては、國澤幹雄元社長(70)が実体のないOBの政治団体の名義を使って、民主党の小沢前代表の政治団体などに500万円を寄付したり、二階経済産業大臣の派閥のパーティー券代340万円を支払ったりしたとして、政治資金規正法違反の罪などに問われ、今月17日に執行猶予の付いた有罪判決を受けています。株主の男性らによりますと、西松建設は、こうした献金などのためにあわせて11億5000万円余りを支払って会社に損害を与えたとしています。
 そのうえで「いずれの取締役も元社長と共謀するなどして関与している」と主張し、國澤元社長と当時の役員に11億5000万円余りの損害賠償を求める裁判を起こすよう、西松建設の監査役に書面で通知し、今後、60日以内に監査役が裁判を起こさなければ、株主代表訴訟を起こすとしています。
 記者会見で、株主の男性は「公共事業にかかわっている企業経営者の良識を問いたい」と話しました。
 西松建設は「文書が届いていないので、コメントできない」としています。

(今なら動画を見ることができます。
 http://www3.nhk.or.jp/news/t10014547821000.html


2.阪口徳雄弁護士のブログ

「会社法847条1項に基づく責任追及の訴え(株主代表訴訟)の提訴請求書」については、阪口徳雄弁護士のブログで紹介されています。

http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/60301994.html


(以下、追記:2009年7月28日23時35分)

提訴請求通知:

http://kabuombu.sakura.ne.jp/2009/20090728.html


2004年〜2006年の間の献金先別表(PDF):

http://kabuombu.sakura.ne.jp/2009/20090728fuhyou.pdf

「公益法人と政治団体の峻別」問題(その3「2つの行政書士会政治献金事件」)

「公益法人と政治団体の峻別」問題の連載の第3回である。

以下では、この連載の初めの方で紹介した、2つの行政書士会政治献金事件を取り上げる。

5.兵庫県行政書士会政治献金事件

(1)兵庫県行政書士会は、2005年の定期総会で、自由民主党公認の議員候補者を推薦したりするなどの活動を行っている政治団体「日本行政書士政治連盟兵庫県支部」への寄付を目的とする支出(計130万円)を承認する予算の決議をした。
しかし、これは、兵庫県行政書士会の目的の範囲外の行為であるとして、ある会員が、その決議が無効であることの確認等を求める訴訟を神戸地方裁判所尼崎支部に提起した。

(2)2007年7月17日、神戸地方裁判所尼崎支部判決は原告の請求を全て退けた。(その論理については、ここでは紹介しない。)
しかし、その判決の中で以下のように妥当な判断を行った。
行政書士会が,・・・いわゆる強制加入団体であり、構成員である会員には実質的に脱退の自由が保障されていない以上、会員個人の思想、信条の自由を害することのないように十分配慮する必要がある。
 特に、政党など政治資金規制法上の政治団体に対して金員の寄付をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏を成すものとして、会員個人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄であり(最高裁判所第二小法廷平成8年3月19日判決・民集50巻3号615頁参照)、行政書士会が政治的目的のために組織された団体ではなく、会員には様々の思想、信条及び主義、主張を有する者が存在することが当然予想されるのであるから、会員の自主性が尊重されるべき要請は大きいというべきである。
 上記団体の性格、事柄の性質等に照らせば、行政書士会において、政治団体に寄付することを団体の意思として決定することは、行政書士の業務拡大、権益擁護のための法改正、規制緩和を実現するためであつても、行政書士会の目的の範囲外の行為といわざるを得ない。

本件寄付は、形式上、被告がその一般会計から規制緩和対策費、法改正対策費及び職域開発費という支出科目で支出することを決議した上、これらの支出金を県政連に交付したものであるが、実質的には、被告自身も認めるとおり、被告が自身では行えない行政書士の政治的要求を実現するために政治資金規正法上の政治団体に対して金員を寄付するものであり、かかる寄付を受けた県政違が、実際に、 日政連の下部組織として、特定の政党が公認する公職候補者の応援活動を行うなど党派性を帯びた活動を含め、 広範な政治活動を行っているのであるから、本件寄付は、被告の目的の範囲外の行為であるといわざるを得ない。

(3)以上のように、神戸地方裁判所尼崎支部は、原告の訴訟中の請求を退けたものの、すでに紹介した南九州税理士会政治献金徴収拒否事件最高裁判決を援用して、強制加入団体である兵庫県行政書士会が政治団体に対して寄付することは、その法人の目的の範囲外の行為である、との判断を下したのである。

原告は訴訟上は敗訴したが、実質的には勝訴したに等しいだろう。

(4)控訴審の大阪高等裁判所では、2008年3月31日、和解が成立している。
和解の内容は以下の通りである。

解決金130万円を支払い、今後政治連盟に寄付行為をしないことを確認
       〜大阪高裁で和解成立(2008年3月31日)〜

和解内容は
1、利害関係人らは被控訴人に対し、本件解決金として連帯して130万円を支払い義務
 あることを認め、これを被控訴人に支払う。


1、被控訴人は、一審判決を尊重して、今後、政治連盟に寄附行為をしないことを確認する。

以上、判決および和解については、以下のHPを参照した。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/tadasu-kai/hixyougotisa-monnzenbarai-hanketu.htm

(5)これは、画期的な和解内容であり、原告・控訴人の実質的な勝訴に等しい和解であろう。


6.和歌山県行政書士会政治献金事件

(1)和歌山県行政書士会は会員から徴収した会費を政治団体である「日本行政書士政治連盟和歌山県支部」のために使用(実質的に寄付)している。

ある会員が、このような会費の徴収は一部違法であり、その支払義務を負わないとして、会費の支払義務が存在しないことの確認等(詳細は省略)を求める訴訟を提起した。

なお、和歌山県行政書士会は日本行政書士政治連盟和歌山県支部の必要経費を肩代わり(事実上の寄付)していたが、原告の指摘を受けて、日本行政書士政治連盟和歌山県支部は、2005年4月から家賃を一部(!?)負担し始めたため、2008年4月から会費を400円から600円に200円値上げた。

(2)控訴審の大阪高裁判決は、2008年11月12日に下された。
原告の請求が一部認容されていますが、画期的なのは、その判断内容である。
行政書士会は,会員の品位を保持し,その業務の改善進歩を図るため, 会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的として,各都道府県に 1箇ずつ設立することを義務づけられた法人であり,全国の行政書士会により設立された日本行政書士会連合会(日行連)は,行政書土会の会員の品位を保持し,その業務の改善進歩を図るため,行政書士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務等を行い,行政書士の業務を行うためには日行連に備える行政書士名簿への登録が必要であり,登録を受けた行政書士はその事務所の所在する都道府県に設立された行政書士会の会員となり, 行政書士事務を継続する間,強制加入団体である行政書士会からの脱退の自由を有しない。

被控訴人県政連は,被控訴人書士会に加入している個人会員をもって構成される組織で,政治活動を行うことを目的に日本行政書士政治連盟(日政連)の下部組織として政治資金規正法に基づき届出された任意加入の政治団体であって,行政書士制度の充実発展を期するための政治活動等を行うことを事業内容としており,平成20年3月まで月額400円,同年4月から月額 600円の会費を徴収し,平成18年時点で少なくとも約370名の会員を擁しているが,会員資格の定めが明確でなく,独自の会員名簿を作成しておらず,被控訴人書士会会員のうち15名が被控訴人県政連への入会を拒否して会費支払いを拒絶し,50名ないし100名の被控訴人県政連会員が会費支払未納や延滞をしており,会務の運営上,被控訴人書士会との区別が明確でなく,トップ役員である支部長が同書士会会長, 副支部長が同書士会副会長等,同書士会の役員がほとんどがそのまま役員となっており,同書士会の事務所内にわずかな専用物品を置き,同書士会の事務員による事務処理がされ,同書士会の事務用品・事務消耗品等が任意に使用され,同書士会と明確に区別されていない状況である。日政連は, 日行連と連携して行政書士の社会的経済的地位の向上を期し,行政書士制度の充実・発展と行政書士の権益の擁護を図り,行政の円滑な推進に寄与するとともに,国民の福祉に貢献するために必要な政治活動を行うことを目的として設立された権利能力なき社団であり,行政書士の社会的経済的地位の向上,充実・発展を期するための政治活動,日政連と政策協定する国会議員及び同侯補者を支持応援するための政治活動等を行うことを事業内容としており,平成17年9月施行の衆議院選挙地方区で自民党議員を, 比例区で自民党議員,公明党議員を推薦し,その財政的基盤は,日政連各支部から上納される,単位行政書士会会員1人につき1か月200円で計算される金額の会費である。

被控訴人書士会が政治資金規正法上の団体に金員の寄附をすることは, たとい行政書士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するためのものであっても,行政書士会の目的の範囲外の行為であり(最高裁平成 8年3月19日第三小法廷判決・民集50巻3号615頁参照),実質的に金員の支出と同視できる行為もこれと同様に解すべきである。したがって,被控訴人書士会が同県政連に対する金員の寄附と同視しうる行為をした場合,その行為は'同書士会の目的外の行為として違法・無効である。

・・・事務所を平成16年以前無償使用していた点が違法であるほか,事務員の事務処理等の区別がされていない点の違法がある・・・

被控訴人県政連は,政治活動を行うことを目的に日本行政書士政治連盟(日政連)の下部組織として政治資金規正法に基づき届出された任意加入の政治団体であって,行政書士制度の充実発展を期するための政治活動等を行うことを事業内容とし,特定政党を支持しているところ,会務の運営上,被控訴人書士会との区別が明確でなく,トップ役員である支部長が同書士会会長,副支部長が同書士会副会長等,同書士会の役員がほとんどがそのまま役員となっており,同書士会の事務所内にわずかな専用物品を置き,同書士会の事務員による事務処理がされ,同書士会の事務用品・事務消耗品等が任意に使用され,同書士会と明確に区別されていない状況であり,強制加入団体である行政書士会と組織,会務の運営の区別がされていない点において,違法,少なくとも,妥当でないというべきであり,上記認定事実中,少なくとも,思想,信条が異なるとして被控訴人県政連に入会しない態度を明確に表しているといえる控訴人に対してされた頻回にわたる会費支払要求・会議の議案送付・平成17年5月25日の勧誘は,その態様において,373名の会員中の15名というごく少数の入会拒絶者に対し,組織,会務の運営の区別がされていない被控訴人書士会と被控訴人県政連との双方からされたものとして,これを受けた控訴人に主観的に強い圧迫感を与えるものであったと推認され,精神的苦痛を生じさせたというべきであり,被控訴人書士会と被控訴人県政連との明確な区別の意識なしに当該行為に至ったといえる点において,当該行為者に過失が認められる。

以上の判決については、以下を参照した。
http://www.saturn.sannet.ne.jp/aquae/gyosei/saiban10.html
http://www.saturn.sannet.ne.jp/aquae/gyosei/saiban11.html

(3)以上、大阪高等裁判所は、会費支払義務不存在確認請求に係る訴えは退けた(詳細は省略)ものの、慰謝料請求は認容した。

この判決は、2008年11月27日に確定したようだ。

(4)ところが、この和歌山県行政書士会政治献金事件は、これで一件落着にはなっていないようなのだ。
(続く)

「公益法人と政治団体の峻別」問題(その2「日本歯科医師連盟事件」)

3.日本歯科医師連盟事件

(1)「公益法人と政治団体の峻別」問題のうち、「南九州税理士会政治献金徴収拒否事件訴訟」を政治献金問題として紹介した。

もっとも、他の事件でも政治献金が問題になるから、「公益法人と政治団体の峻別」問題は常に政治献金問題といえるが、それとは別の問題もある。
以下では、後者の問題に焦点を当てて紹介しよう。

(2)別の「公益法人と政治団体の峻別」問題として、次に、公益法人への入会が同時に政治団体への入会になっていたという問題を紹介する。
それは、日本歯科医師連盟事件である。

(3)歯科医師が日本歯科医師会に入会契約したところ、日本歯科医師連盟(県歯科医師連盟)へも入会したことになっていた。
それぞれ別の契約であるにもかかわらず、本人の意思も確認しないまま後者に「当然加盟(入会)」したことになっており、選挙時には特定政党の党員・後援会名簿集めが強制され、そして銀行口座から日本歯科医師会の会費に日本歯科医師連盟の年会費35000円を上乗せして引き去られていた。
これは、日本歯科医師連盟への退会の意思を表明しても、(日本歯科医師会を退会していない日本歯科医師連盟の会員であり続けるとして)続いた。

そこで、日本歯科医師会の数名の会員が、日本歯科医師連盟・県歯科医師連盟の会員でないことの確認と、勝手に差し引かれた会費の返還などを求めて訴訟を提起した。

まず、鹿児島訴訟が提起され、それに続き、京都・福岡・大津・宮崎の各地方裁判所にも訴訟が提起された。
(鹿児島訴訟以外では歯科医師会も相手に訴訟が提起された。)

これが事件の概要である。

(4)鹿児島地裁の訴訟では、2002年3月29日に、和解が成立している。
その内容は以下である。
1.日歯連盟は会員の自由な意思決定を尊重するよう規約を改める。

2.改正する規約では歯科医師会との同時入退会を改め、

(1)日歯連盟の会員は日歯会貝のうち、日歯連盟の目的に賛同した者をもって組織することとする。

(2)日歯連盟からの退会は日歯の会員資格を残したままで退会出来るものとする。

3.日歯連盟は同時入退会の変更を「日歯広報」と「日歯連盟だより」の双方で広告し、会員への周知徹底を図る。

4.鹿児島県歯連盟も速やかに日歯連盟と同様な処置を講ずる。

5.日歯連盟は退会届を提出以降に引き去った会費を返還する。

6.日歯連盟は解決金として金300万円を原告団に支払う。

(5)2003年から、鹿児島県医師連盟、鹿児島市医師連盟は、それぞれの会員に対し、「医師会費」と「医師連盟会費」の口座振替手続きの峻別に取り組んだ

(6)また、市民団体は、2004年には県歯科医師会と歯科医師連盟にそれぞれの峻別の要望書を、2005年には、鹿児島県知事に、公益法人の歯科医師会と政治団体の連盟との峻別を行政指導するよう要請した。

(7)以上紹介したように、日本歯科医師連盟事件では、政治資金の問題だけではなく、公益法人(歯科医師会)と政治団体(連盟)の入退会が一体であり、公益法人が会員の政治団体退会を長い間認めてこなかったのである。
言い換えれば、両者を一体化させることによって政治資金を生み出していたのである。
これに対し、勇敢な会員が訴訟を提起して争い、政治的思想等の自由、結社しない自由を勝ち取ったのである。

だが、歯科医師会と連盟の峻別を求める運動はその後も続いている


4.国の指導

(1)以上の訴訟の最中、厚生労働省は日本歯科医師会に対して、「歯科医師会と歯科医師連盟は別個の団体であるからこれを峻別せよ」との行政指導を行った。

国会でもこの問題が取り上げられたからである。

そこで、市民運動にとっても重要となる、その行政指導の内容を以下では紹介しよう。

(2)それは、具体的には、国が医師会・歯科医師会・看護協会と政治団体(連盟)との峻別を行政指導するものであり、「厚生労働省医政局」が「各都道府県医政主管部局」に出している「通知」などである。

これによって、公益法人と政治団体の「当然加盟」(同時入会)の問題は、両者の組織的峻別の問題へとさらに発展的に展開してゆく。

(1)「平成13(2001年)年8月21日付の事務連絡」(2001年8月21日)
  公益法人の活動と政治団体の活動の峻別について

 公益法人である医師会、歯科医師会、看護協会の−部について、別紙の事例が見られました。
 公益法人が政治活動を行うこと自体が違法又は公益法人の設立及び指導監督基準(平成8年9月20日閣議決定)に直ちに反するものではありませんが、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)において、国等から補助金等を受けた法人については、当該補助金等の交付の決定を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄付をしてはならないとされております。
補助金等を受けた公益法人の活動と政治活動に関する寄付を行う政治団体の活動が一体であるかのような誤解を与える行為は適切ではなく、政治同体の活動との峻別が図られることが望ましいと考えます。
 こうした観点から、貴部局におかれては、所管する医師会、歯科医師会、看護協会について、公益法人と政治団体の活動が一体であるかのような夢解を与える別紙の事例等を参考に不適切な事例の有無を調査し、このような事例があった場合には、当該公益法人に対し、改善指導等を行っていただくようお願い申し上げます。
(略)

  別紙

○ 公益法人が、政治団体の会費を特別会費の名目で、同法人の会費と一緒に徴収していた事例
○ 公益法人の事務所が政党の入党申し込み書の送付先となっていた事例
○ 公益法人の会費と政治団体の会費が同一の預金口座で管理されていた事例
○ 公益法人が地方公共団体から減額された賃料で借りた建物の一部に政治団体の事務所が置かれていた事例等

(2)「「公益法人の活動と政治団件の活動の峻別について」(8月21日付け事務連絡)に関する補足説明」(2001年8月31日)
先日送付しました「公益法人の活動と政治師体の活動の峻別について」(8月21日付け事務連絡)につきまして、各都道府県担当者からの内容県会をいただいておりますので、同事務連絡の別紙に掲げた事例について補足説明をいたします。
○ 「公益法人が、政治団体の会費を特別会費の名目で、同法人の会費と一緒に徴収していた事例」とは、
 ・政治団体が行う特別会費の徴収自体が禁止されるものではなく、公益法人が、公益法人の会費に含めた政治団体の会費を同−口座に入金して徴収した場合などを意味すること。
○ 「公益法人の事務所が政党の入党申し込み書の送付先となっていた事例」とは、
 ・単に公益法人と政治団体の住所が同一であることをもってただちに不適切な事例となるものではなく、特定政党の入党申し込み書の宛先を、本来政治団体とすべきところを、公益法人の総務部としているような事例等を意味すること。
○「公益法人の会費と政治団体の会費が同一の預金口座で管理されていた事例」とは、
 ・公益法人の活動資金と政治団体の政治活動資金の入金、保管、支払等の管理が同一の口座で一体となって行われ ているような事例を意味するものであること。
○「公益法人が地方公共団体から減額された賃料で借りた建物の山部に政治団体の事務所が置かれていた事例」とは
 ・単に公益法人と政治団体の住所が同一であることをもってただちに不適切な事例となるものではなく、地方公共団体が公益法人の公益性に着目して減額した貸料で賃貸している建物について、公益法人がその一部を契約に反して継続的に政治団体に使用させることが目的外使用に当たるという趣旨であること。

(3)「公益法人の活動と政治団体の活動の峻別について」(2004年4月27日)
 標記につきましては、平成13年8月21日付事務連絡により、不適切な事例があった場合には、当該公益法人(医師会・歯科医師会・看護協会。以下同じ。)に対し改善指導を行っていただくようお願いしているところですが、その後公益法人の一部について別紙のような誤解を生ぜしめる事例が見られると指摘されているところです。
 このため、貴部局におかれては、市区町村内支部単位の公益法人も含めて所管する公益法人に対し、公益法人と政治団体の入退会の峻別も含めて改めて上記の趣旨を周知・指導していただくと同時に、公益法人と政治団体の活動が一体であるかのような誤解を生ぜしめる平成13年8月21日付事務連絡によりお示しした事例及び別紙の事例等を参考に、再度、不適切な事例の有無を調査し、このような事例があった場合には、当該公益法人に対し、改善指導を行っていただきますようお願いいたします。
(略)

 公益法人と政治団体の峻別が適切に図られていない例

Case 1
 政治連盟会費が、公益法人の銀行口座に振り込まれている等、政治団体会費と公益法人会費が同一の 預金口座で管理されている場合

Case 2
 政治連盟会費を公益法人が請求している場合

Case3
 公益法人が政治団体の会費を特別会費の名目で、同法人の会費と一緒に徴収している場合

Case4
 公益法人名義の領収書において、公益法人会費と政治団体会費を併せて記載した場合

Case5
 政治団体に関する書類の送付先が、公益法人の事務所になっている場合

Case6
 公益法人が地方公共団体から有償にて借りた建物の一部に政治団体の事務所が置かれている場合

Case7
 政治連盟が公益法人の連絡網・連絡手段(FAX等)を使用し、政治連盟に係る通知等を行っている場合

別紙
 ●公益法人の作成するパンフレット等において、公益法人が徴収する費用の中に政治団体の会費を記  載していた事例。(公益法人の入会パンフレットにおいて年度会 費その他の負担金として政治団  体の会費を記載、公益法人の作成する会費・負担金 徴収予定一覧において公益法人と政治団体の会費を併せて記載など。)

 ●公益法人のFAX、封筒等を用いて会員に対して政治団体の会費納入を依頼していた事例。

 ●公益法人と政治団体の会費の振込先を公益法人名義の同一の銀行口座としていた事例(公益法人及  び政治団体の各々の会費請求書において、公益法人名義の同一の 銀行口座を振込先として記載、  銀行の振込用紙に公益法人及び政治団体の会費の合 計額を記載など。)

 ●公益法人名義の領収書において、公益法人の会費と政治団体の会費を併せて記載していた事例。


(4)「公益法人の活動と政治団体の峻別について(調査結果の報告)」(2005年1月12日)
・・・今回の調査結果では依然として誤解を生ぜしめる事例が散見されますので、各都道府県におかれましては、市区町村ないし郡単位の公益法人(医師会・歯科医師会・看護協会以下同じ。)も含め、所管する公益法人に対し、再度公益法人と政治団体の活動の峻別につきましてその趣旨を徹底していただくとともに、今回の調査において誤解を生ぜしめる事例があった公益法人については、引き続き改善指導を行なって頂きますようよろしくお願いいたします。

公益法人の活動と政治団体の活動の峻別に関する調査について
                    (医師会・歯科医師会・看護協会)

調査の概要

 ○平成16年4月27日に厚生労働省医政局より各都道府県に調査を依頼
 ○対象法人:都道府県・市区町村・郡単位の医師会、歯科医師会、看護協会
 ○調査を行なった法人数:1359法人

 ●(事例の概要)公益法人の作成するパンフレット等において、公益法人が徴収する費用の中に政治団体の会費を記  載していた事例 (該当法人数)44(17)3.2%

 ●公益法人のFAX,封筒等を用いて会員に対して政治団体の会費納入を依頼していた事例 84(39)6.2%0

 ●公益法人と政治団体の会費の振込先を公益法人名義の同一の銀行口座としていた事例 99(25)7.3%

 ●公益法人名義の領収書において、公益法人の会費と政治団体の会費を併せて記載していた事例 68(13)5.0%

 ●公益法人が、政治団体の会費を特別会費等の名目で、同法人の会費と一緒に徴収していた事例 26(8)1.9%

 ●公益法人の事務所が、政党の入党申込書の送付先となっていた事例 38(11)2.8%

 ●公益法人が地方公共団体から減額された賃料で借りた建物の一部に政治団体の事務所が置かれていた事例 
   8(2)0.6%

 ●その他 8(4)0.6%

 ( )内の数字は、調査結果の回答までに改善がが行なわれた法人数を示す。
 また、下段は報告のあった各事例の件数の合計が全調査対象法人数に占める割合を示す。

以上については、以下のHPを参照した。

http://www001.upp.so-net.ne.jp/tadasu-kai/kourousixyou-tuuti.html

http://www.saturn.dti.ne.jp/~thu-san/homepage/kouroutuuti.htm


(5)「公益法人と政治団体の峻別」問題のうち、日本歯科医師連盟事件は、公益法人の会員が政治団体に動員されるという「同時入会」問題(人的峻別問題)であったが、それは、「公益法人と政治団体の峻別が適切に図られていない例」の内容からも明らかなように、公益法人と政治団体の組織的峻別の問題へと発展的に展開してきたのである。

しかし、この峻別はなかなか実現していない。
(続く)
Categories
あし@
livedoor プロフィール

nihonkokukenpou

TagCloud
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ