上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

2009年09月

癒着の構造を断ち切れるか民主党の本気度が試される

(1)すでに政治資金オンブズマンのHPと、阪口徳雄弁護士のブログで紹介していることですが、予告していた通り、政治資金オンブズマンと株主オンブズマンが「政治資金規正法改正案の提案」を作成し、昨日(9月29日)政府と民主党等に送付しましたので、このブログでも紹介しておきます。

(2)政官財の癒着の構造を断ち切るためには、色々なことが断行されなければならない。
その一つが企業献金の禁止である。

そのために、日本経団連に対して政治資金オンブズマンと株主オンブズマンが今月中ごろに「企業献金の速やかな廃止を求める要望書」を送付したことは、すでに紹介した。
日本経団連が政権交代に直面し右往左往しているので、私たちの要望は一定の社会的意義を有していると自負している。

しかし、それだけでは不十分である。

政治資金規正法を改正し、企業献金が違法であるとして全面的に禁止される必要がある。

(3)もちろん、企業献金だけではなく、企業が政治資金パーティ券を購入することも、政治団体を除く団体が政治献金することも、禁止すべきであるし、政治資金の透明度も高めるなどの制度改革も必要である。

民主党は、3年後に企業・団体献金と企業の政治資金パーティー券購入を全面的に禁止することなどを政権公約に掲げ、総選挙で第一党に躍進した。

(4)そこで私たちは冒頭の提案を行ったのである。
 今回の政治資金規正法の改正提言はの特徴は、民主党のマニフェストを条文化した点にあります。官僚に依存しなくても、直ちに国会へ提案できるようにしたものです。なお、民主党のマニフェストにない部分も私たちが改正すべき部分も条文化しています。
 この提言は、9月29日に内閣総理大臣、総務大臣や民主党などに送付しています。

(5)提案では、具体的に条文改正案が盛り込まれているが、以下では提案の趣旨だけ紹介しておこう。
機〔閏臈泙寮策のおける政治資金規正法改正案の内容

1.企業・団体献金等の全面禁止
国民から信頼される政治を実現するため、政府腐敗の温床である企業・団体献金を全面的に禁止する。具体的には、以下の通りである。
(1) 企業・団体の政治献金を全面的に禁止する。
(2) 事実上の企業・団体献金である、企業・団体の政治資金パーティー券購入も全面的に禁止する。
(3) 企業・団体がその役職員に対し、雇用関係を不当に利用したり、会費相当額を支払うことを約束して政治団体の構成員となることを勧誘し、かつ当該政治団体に会費の支払いをさせることを禁止する。
(4) 企業・団体がその役職員に対し、雇用関係を不当に利用したり、寄附又は政治資金パーティー券相当額を支払うことを約束して、寄附又は政治資金パーティー券購入をさせることを禁止する。

2.政治献金の規制強化
国民から信頼される政治を実現するため、政治献金に関する規制を抜本的に強化する。具体的には、以下の通りである。
(1) 政治団体から同一の政党・政治資金団体への寄附は年間1億円まで、政党・政治資金団体以外の同一の政治団体への寄附は年間3000万円までとする。
(2) 政治資金団体は、1000円を超える寄付を受ける場合でも、同寄附をする場合でも、銀行振込みを義務づけ、銀行振込みをさらに徹底する。
(3) 政治団体間の100万円を超える寄附に際し銀行振込みを義務づける。
(4) 広告掲載料の名を借りて政治献金を行う脱法行為を防ぐため、政党・政治資金団体以外の政治団体(後援会等)の機関紙誌への広告費支払いの上限を年間150万円とする。

3.政治資金の「世襲」制限
政治資金面での候補者間の不公平を是正する。具体的には、以下の通りである。
(1) 国会議員関係政治団体の代表者を配偶者および三親等内の親族に引き継ぐことを禁止する。
(2) 国会議員関係政治団体の政治資金を配偶者および三親等内の親族個人やその政治団体に寄附することを禁止する。

4.個人献金に対する税制上の優遇措置
 企業・団体献金を全面禁止することを考慮し、個人献金をもっと普及促進させる。具体的には、以下の通りである。
(1) 現在認められている優遇措置に加えて年間1000円から5万円までの献金については全額を税額控除の対象とする。
(2) インターネット個人献金の推進を図る。

5.政治資金の透明化の徹底
政治に対する国民の信頼を回復するため、国民の監視が行い易くなるよう政治資金の透明化を徹底する。具体的には、以下の通りである。
(1) 政治団体には、普通預金等や保有する現金の残高を政治資金収支報告書に記載させる。
(2) 政党本部や政治資金団体の政治資金収支報告書に対する外部監査を義務づける。
(3) 政治資金収支報告書のインターネットによる公表を総務省等に義務づける。
(4) 政治団体や総務省等が政治資金収支報告書等及び領収書等を保存する期間を現行の3年から5年に延長する。

6.施行と当面の措置
(1) 今秋の臨時国会に改正案が提出し、成立することを見込んで、以上の政治資金規正法の一部改正は、2010年1月1日から施行する。
(2) ただし、企業・団体献金と企業の政治資金パーティー券対価支払いの禁止については、改正政治資金規正法成立から3年後から施行する。
(3) その3年間の経過措置として以下を行う。
国や自治体と1件1億円以上の公共事業や物品納入等の契約をしている会社等の献金およびパーティー券購入を禁止する。
現在献金が禁止されている会社等(国・自治体から補助金や出資等を受けている会社や赤字会社等)のパーティー券購入を禁止する。

供〔閏臈泙寮策の政治資金規正法改正案としての具体的条文化
(略)

掘〇笋燭舛独自に提案する政治資金規正法改正案の概要

1.民主党のマニフェストとは異なるもの
(1) 政治団体や総務省等が政治資金収支報告書等及び領収書等を保存する期間を現行の3年から10年に延長する。
(2) 改正政治資金規正法の施行はすべて制定の翌年からとし、企業・団体の政治献金及び政治資金パーティー券購入の全面禁止につき3年間の猶予期間を設けない。


2.民主党のマニフェストになかったもの
(1) 政治資金パーティー券の対価の支払いの記載義務を「20万円を超えるもの」を「5万円以上のもの」に改めるとともに、寄付の報告義務についても「5万円を超えるもの」から「5万円以上のもの」に改め、政治資金の透明度を高める。
(2) 国会議員関係政治団体の定義が狭く、同団体になることを逃れようとすることを防止するために、これを改める。
(3) 政治資金収支報告書は毎年春に提出されるにもかかわらず、その要旨の公表は毎年秋になされてきたが、これでは遅すぎるので、遅滞なく公表するよう改める。
(4) 2006年の政治資金規正法「改正」により、毎年3月末に提出される政治資金収支報告書の情報公開請求に対しその要旨が秋に公表されるまで開示決定を行われなくても良いことになったが、これは、情報公開の後退であるから、国民の判断を一日まで早くするよう改める。
(5) 政治資金収支報告などの虚偽報告等につき政治家らが必ずしも十分説明責任を果たしてきたとはいえないし、秘書・会計責任者らだけが法的責任を問われ政治家の法的責任がなかなか問われてこなかった。そこで、秘書などの会計責任者が、政治資金収支報告書に虚偽記載などの違法行為を行えば、議員の監督責任を問いやすくする(公民権が5年停止にもなる)とともに、会計責任者の違法行為の有罪確定によるだけでも議員の公民権を3年間停止させる。

検〇笋燭舛独自に提案する政治資金規正法改正案の具体的条文化
(略)

(6)民主党は、5名の議員の政治団体につき政治資金(政党交付金)に関するスキャンダルが発覚している。

これに対する説明責任をきちんと果たすことなども重要なことは言うまでもないが、政治腐敗の温床である企業・団体献金の全面禁止を含む上記の政治資金規正法の抜本的な改正を断行しなければ、政治不信を払拭することはできない。

民主党は、本気で癒着の構造を断ち切り、政治を変えようとしているのか、10月に召集が予定されている臨時国会では、民主党の本気度が試される!

政党交付金(税金)がキャバクラ等に支出されていたに等しい

(1)毎日新聞の調査によると、要職に就いた民主党議員のうち5人の政治団体がキャバクラ」などへの支払いを政治資金収支報告書に「政治活動費」として計上していたという。
2003〜07年にその合計額は500万円超。
私のコメントも紹介された。

毎日新聞9月30日2時30分配信
民主5議員団体 クラブ、キャバクラ…政治活動費で飲食

 政権交代を受け、毎日新聞が要職に就いた民主党議員の政治資金を調べたところ、江田五月参院議長(岡山選挙区)=会派離脱中=や川端達夫文部科学相(衆院滋賀1区)ら5議員の政治団体が、女性従業員らに接客される「キャバクラ」などへの支払いを「政治活動費」として計上していたことが分かった。支出は03〜07年に計500万円超。支出した政治団体には党本部からの寄付を主な収入源とする団体もあり、原資には国庫から支出される政党交付金が含まれ、使途の妥当性を巡って議論を呼びそうだ。
 毎日新聞は民主党の閣僚や主要幹部について、昨年公開された07年分政治資金収支報告書からさかのぼり、過去5年分の報告書を調査。支出先の会社名などを基に調べたところ「クラブ」「キャバクラ」「ラウンジ」「ニューハーフショーパブ」など風営法2条2号で定められた店への支払いを、5議員の計7団体で確認した。
 江田氏の資金管理団体「全国江田五月会」は東京・西浅草のキャバクラなど計11店で27件、計237万円余を支払った。同会は07年、選挙対策費として党本部から2000万円の寄付を受け、これは同年の全収入の半分。川端氏が代表の「民主党滋賀県第1区総支部」と同氏の資金管理団体「川友政治研究会」、政治団体「達友会」は東京・赤坂のクラブや新宿のニューハーフショーパブなど6店で14件、計114万円余を支払った。
 ほかにクラブなどへの支出が確認されたのは、直嶋正行経済産業相(参院比例)の秘書が会計担当者を務める政治団体「直嶋正行後援会」で3店8件、計146万円余▽松野頼久官房副長官(衆院熊本1区)の資金管理団体「政治システム研究会」で2店3件、計51万円余▽松本剛明衆院議院運営委員長(同兵庫11区)の資金管理団体「松本たけあき後援会」で2店2件、計34万円余。
 民主党は03〜07年に計約548億円の政党交付金を受け、これは党本部の全収入の約8割。同党が所属議員に配る「政党交付金ハンドブック」は、交付金から酒を伴う飲食費の支出を禁止している。【政治資金問題取材班】
 ▽江田事務所の話 議員は(接客飲食店での会合に)参加しておらず、会員や支持者、秘書らが参加した。(不適切との)指摘にかんがみ、支出のあり方を(五月会の)役員会で検討してみたい。
 ▽川端事務所の話 法に基づいて正確、適切に記載している。それ以上は答えられない。
 ▽直嶋事務所の話 収支報告書の記載通りで間違いない。それ以外は答えられない。
 ▽松野氏の代理人弁護士の話 いかがわしい風俗店とは違い、打ち合わせの場所として活用している。不適切とは思わない。
 ▽松本事務所の話 このような費用は個人負担せよとのご指摘はごもっとも。議員から相当額の寄付を(返還分として)受けることを検討したい。
 ◇ことば 風営法2条2号
 風営法2条2号は「客の接待をして遊興または飲食をさせる営業」を規定。女性従業員らが同じフロアで接客する「クラブ」「キャバクラ」などがこれに当たるとされる。主にカウンター越しで接客する「スナック」でもフロア接客する場合は同様。毎日新聞は、該当するとみられるケースを集計した。

毎日新聞 2009年9月30日 2時30分
民主5議員団体:「行きたいという後援者がいて…」

 チャイナドレスや看護師姿の女性らが接客をする「キャバクラ」への支払いを「政治活動費」として計上−−。政権与党となった民主党議員の政治資金を巡る支出の一部に、こんな実態があることが浮かんだ。高い支持率で始動した民主党政権だが、識者からは「こうした費用は私費で支払うべきだ」「政治活動とは無縁な支出を禁じるような法改正が必要」との指摘も出ている。【政治資金問題取材班】
 キャバクラやクラブへの支出が最も多かった江田五月参院議長の資金管理団体「全国江田五月会」は、07年8月に江田氏が議長に選出された後も、東京・西浅草のキャバクラに2回、計13万円余の支払いがあった。この店によると、日によって「ワイシャツのみでお出迎え」「ナースのお仕事」「浅草中華街」などと称し、女性従業員が下着の上にワイシャツだけ着た姿で接客したり、看護師姿やチャイナドレス姿で接客することもあるという。
 公職である江田氏の議長秘書は、この店に自分も行ったことを認め、「行きたいという後援者がおり、情報交換という形(で行った)。議長は一切参加していない」と説明。ほかの店についても、選挙区の岡山県の後援者が上京した際などに使ったという。また、「中には新聞や雑誌を含めたマスコミ懇談会もあった」としながら、具体的にいつの会合だったかについては「分からない」と言葉を濁した。
 五月会が03〜07年の収支報告書で政治活動費として計上した飲食代のうち、9割はこうしたキャバクラやクラブへの支出。議長秘書は「『問題ではないか』という話になり、今年からやめた。計上した分は今後、対応を検討したい」と述べた。
 川端達夫文部科学相の政治団体「達友会」では東京・新宿のニューハーフショーパブへの支払いがあったほか、同氏が代表を務める「民主党滋賀県第1区総支部」では、京都・祇園で舞妓(まいこ)姿の女性が接客する店もあった。川端氏の政党支部の会計責任者は「法に基づいて正確、適切に記載している」と回答するだけで、川端氏本人の参加については「答えられない」とした。
 こうした支出について、漫画家のやくみつるさんは「飲み屋だろうがキャバクラだろうが、遊興を伴い批判を受けやすいところは私費でなんとかすべきだ」と指摘する。政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大大学院教授は「キャバクラへの支出は政治活動とは無縁。政党交付金が入っている政党支部や資金管理団体から支出されているなら税金が使われているのと同じ。党としてこのような支出を防止できないなら、法律による制限が必要だ」と話している。
民主党政治資金キャバクラ














(2)政治家はしばしば政治にはカネがかかるという。
確かに政治にはカネがかかるだろう。
しかし、私が考えるレベルを超えるのが、政治家の政治資金の実態のようだ。
クラブ、パブ、キャバクラなどでの遊興費も政治家にとっては「政治活動費」のようだ。
まさかキャバクラなどで会議をするのだろうか?

(3)このような遊興費は、本来、政治活動費とはいえない。
本来、各自のポケットマネーから支出すべきものだ。
しかし、政治家の政治団体が、このような遊興費を政治資金から支出するのは、ポケットマネーから支出したくないからだろう。
なかには、タカってくる後援会の者もいるようだ。
後援者の接待も「票」のためには、負担せざるを得ないのだろう。
しかし、ポケットマネーから支出したくないからといって、政治資金として処理して許されるわけではない。

(4)更に問題なのは、その政治資金には、国民が支払った税金を原資としている政党交付金が含まれていることだ。
共産党を除く国会内政党は政党交付金を受け取り、そのほとんどが政党交付金に依存し国営政党化している。

各政党の本部は支部に政党交付金を交付・寄附している。
政党支部の代表者・国会議員は、自分が代表を務める資金管理団体や、自分の後援会に寄附している。
そうなると、政党支部、資金管理団体、後援会の政治資金には、自らが集めた私的資金だけではなく、政党交付金という税金(公金)も流れていることになる。

キャバクラなどでの遊興費を政治活動費として政治資金から支出してしまうと、実質的には政党交付金(税金)から支出したに等しいことになる。

政治からは政党交付金から支出したとは思わないかもしれないが、実質的にはそういうことになる。

(5)政党助成法第1項は以下のように定めている。
(目的)第1条 この法律は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対し政党交付金による助成を行うこととし、このために必要な政党の要件、政党の届出その他政党交付金の交付に関する手続を定めるとともに、その使途の報告その他必要な措置を講ずることにより、政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とする。

また、同法第4条は以下のように定めている。
(この法律の運用等)第4条 国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない。
2 政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない。

政党交付金は「政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与する」ために導入されているのであるから、キャバクラなどでの遊興費を賄うために政党交付金が導入されたわけではない。
だから、政党交付金をキャバクラなどでの遊興費に支出することは目的外出である。

このような支出を納税者が許容するとは思えない。
「国民の信頼にもとる」支出であり、不適切な支出である。

(6)民主党は、内規「政党交付金ハンドブック」で、政党交付金から酒を伴う飲食費の支出を禁止しているという。
政党交付金を受け取っている政治団体が政治活動費から飲食費に支出すれば、実質的にはこの内規にも違反することになるだろう。

(7)民主党以外でも同様に支出がなされているだろう。
マスコミはこの視点で報じて欲しい。

(8)政党助成法は、「政党の政治活動の自由を尊重し」ているため、「政党交付金の交付に当たっては、条件を付し」てはいないし、「その使途について制限して」もいない(前掲第4条第1項)。

しかし、これでは税金が政治活動以外に支出されることを防止できない。
政党とその所属国会議員が不適切な支出を防止できないとなれば、政党交付金に条件を付したり、支出の制限をするしかない。

(9)これに対しては、憲法の保障する「結社の自由」に反するという反論が予想される。
そういう結論になるのであれば、政党助成法を廃止するしかない。
私が政党助成法に反対し続けた理由の一つもここにある。

9月末の近況報告

自民党は、総選挙(8月30日)からほぼ1ヵ月後の今日(9月28日)、新総裁を決めたようですね。

現時点での私の近況報告をしておきます。

1.原稿執筆の進捗状況

(1)3月下旬に、政治資金関係の原稿執筆の依頼がありました、若者向けの「政治とカネ」に関する原稿依頼の件ですが、「Q&A」のうちのQについて意見交換しました。
インタビューを受けてそれが活字になります。
インタビューは近日の予定でしたが、私の腰痛のため、10月上旬に変更していただきました。

(2)『ねっとわーく京都』で連載執筆しています。

第3回目(11月号)の原稿は締切(9月18日)を守って、脱稿し、校正を終えました。

「政治とカネその3 国会における過剰代表と政党助成における過剰交付(1)」

10月早々に出ます。

(3)『ねっとわーく京都』の連載・第4回目(12月号)の原稿の締切は10月20日ごろでしょうかね?

「政治とカネその4 国会における過剰代表と政党助成における過剰交付(2)」
を書く予定です。


(4)総選挙後の憲法情勢について600字で書いて欲しいという依頼があり、締切り(9月22日)を守って脱稿しました。

「総選挙後の憲法情勢」『兵庫県商工新聞』2009年10月号

本日でき上がっているはずです。

(5)ある大学の研究所が発行している『経済科学通信』の連載「NEWSを読み解く」について原稿執筆の依頼がありました。

テーマは、政治献金問題と今後の課題です。
字数は7000字程度で、締切りは10月末。

(6)ある書籍の改訂版に執筆者として加わらないかというお誘いがありました。
5つの項目を執筆することになりそうです。
1項目につき2000〜2200字。
締切りは来年(2010年)1月12日。


2.マスコミでのコメント

(1)「国会議員関係団体:登録回避21件 全領収書開示に抜け道」毎日新聞(2009年9月21日2時30分)で、私のコメントが紹介されました。

(2)ある新聞社の記者から電話取材を受けました。
月末に出る「政治とカネ」問題の記事で、私のコメントが掲載される予定です。

(2)別の新聞社の記者から電話取材を受けました。
月末に出る「政治とカネ」問題の記事で、私のコメントが掲載されるかもしれません。

(3)同じ新聞社の別の記者から、「政治とカネ」問題で電話取材を受けました。
今晩又は明晩にまた電話がある予定。
そもそも記事になるのかどうか?


3.講演

(1)予定通り、講演してきました。
2009年9月26日(土)13時30分〜(90分)
演題「総選挙後、どうなる改憲の動き」
会場:「高砂公民館」3階集会室
主催:平和憲法を守る高砂市民の会。

この公民館3階には、図書室があり、そこには、美濃部親子の寄贈文庫がありました。
美濃部親子とは、美濃部達吉氏と、その長男の美濃部亮吉氏。
美濃部達吉氏は、「天皇機関説」で有名な憲法学者。
美濃部亮吉氏は、初の革新東京都知事を務めた経済学者。

この文庫は施錠されており、書籍を直接手にすることはできませんでした。

(2)2009年11月19日(木)14時〜(90分講演、質疑応答30分)
演題:「選挙制度について 〜 衆議院選挙を振り返って 〜」
会場:宝塚市西公民館
主催:宝塚市選挙管理委員会、宝塚市明るい選挙推進協議会

(3)2009年11月28日(土)14時〜
会場:「港島ふれあいセンター」会議室(ポートライナー北埠頭駅より徒歩5分)の予定
主催:ポーアイの底力


4.裁判関係

内閣官房報償費(機密費)情報公開不開示決定取消訴訟
10月19日(月)13時30分〜、711号法廷(ただし、弁論準備手続きのため非公開)

なお、私は仕事のため出席できませんが、今、国側の主張に反論を加える文書を作成中です。


5.呼びかけ

(1)竹下彌平さんについての情報提供をお願いします

なお、有力な情報提供がありました。

(2)今年も憲法本を母校に寄贈しよう


6.私が執筆している書籍・雑誌(単著3冊を除き2008年1月以降のもの)の紹介

(1)「総務大臣のNHKへの放送命令及び放送要請の違憲性―NHK国際放送実施要請違法無効確認等請求事件訴訟における陳述書―」『神戸学院法学』第38巻第3・4号。

(2)「政治とカネその2 知る権利を保障しなければ人権侵害だ!」『ねっとわーく京都』249号(2009年10月号)58−59頁。

(3)「新連載・政治とカネ 議員定数削減論と『読売テレビ』の政治性」『ねっとわーく京都』248号(2009年9月号)54−55頁

(4)『ねっとわーく京都』2009年8月号

(5)「まなぶ』621号(2009年6月号)

(6)『前衛』843号(2009年6月号)

訂正箇所が1箇所あります

(7)『新どうなっている!?日本国憲法〔第2版〕』

4月9日付「新婦人しんぶん」(2789号)第6面下段の「本」の箇所で本書が紹介されました。
売れ行き好調のようでして、増刷(第2刷)されました。

(8)『現代憲法における安全』

(9)『前衛』839号(2009年2月号)

(10)『2009年労働・生活白書 社会の基本を変えよう!』

(11)『憲法の争点』

(12)『女性のひろば』2009年1月号

(13)「待ち遠しい総選挙の意義」

(14)『速報判例解説』(Vol. 3 2008年10月)

(15)「法と民主主義」2008年7月号

(16)『改憲・改革と法』

(17)『法学セミナー』640号(2008年4月号)

(18)『2008年労働・生活白書 検証 格差・貧困・ライフスタイル』2008年

(19)私の単著3冊

千葉法相の「死刑執行慎重」発言と飯塚事件と死刑執行人の苦悩

(1)鳩山内閣の千葉景子法務大臣が大臣就任会見で、死刑執行について「慎重に取り扱いたい」などと発言し、その後も、同じ見解を述べている。

時事通信社(2009/09/17-02:42)
死刑執行、慎重に扱う=千葉景子法相

 千葉景子法相 死刑執行については、人の命ということなので、慎重に取り扱いたい。裁判員制度が導入され、多くの皆さんの深い関心で、できれば国民的議論を踏まえ、私たちの行く道を探したい。法相に指揮権があることは認識している。ただ、個別事件でどのような権限があるのか。国民の視点に立って検察の暴走を防ぐための指揮権(ということ)を踏まえ対処する。

産経新聞2009.9.18 12:29
死刑執行「慎重に考える」千葉法相見解改めて示す

 千葉景子法相は18日の閣議後会見で、就任会見の際に「慎重に扱いたい」とした死刑執行、制度について「法務大臣の法律に基づいた職務というのは厳然と存在している。(執行を)やることが、ある意味義務づけられている。ただ、重い問題なので慎重に考えていきたいということ」と改めて話した。
 執行停止するかどうかも含めて考えるのか、との質問には「そういう考え方もあるだろうと思いますし、これはやはり全体で納得していかなければいけない課題。そういう議論が積極的になされるような努力をしていきたい」と述べ、刑場公開など情報公開の考えには「議論をしていただくとすれば、できるだけの情報は提供させていただくのは第一だろうと思う」と付け加えた。
 また、取り調べの全面可視化に関して中井国家公安委員長が17日、おとり捜査や司法取引などの新しい捜査手法を導入すべきとしたことに、可視化と捜査手法の問題は別としていた千葉法相は、「議論のいろいろな検討事項があるということ。最終的に全面可視化は共通認識なので、そこに向けて努力していく」と話した。

(2) 千葉法務大臣が「死刑廃止を推進する議員連盟」(廃止議連)に所属している弁護士であるがゆえに、同大臣の「慎重」発言を重視して、比較的詳しくこの件を報じているマスコミ報道もある。
読売新聞(09月21日 15:11)
「死刑」どうなる、廃止論者・千葉法相就任で

 鳩山政権の発足以降、従来の政府方針の転換が次々に表明される中、死刑制度の行方にも注目が集まっている。
 新内閣では、死刑廃止論者の千葉景子法相が就任。確定死刑囚が100人を超える今、死刑囚の処遇や刑の執行をあずかる法務省では、トップの判断を、息を詰めて見守っている。
 ◆執行停止なら、数か月の差が生死分ける◆
 千葉法相は弁護士出身。「死刑廃止を推進する議員連盟」(廃止議連)に所属し、国会質問などで、死刑に否定的な立場であると発言している。就任時点で法相が廃止論者であることが明らかなケースは異例だ。
 千葉法相は16日に就任した直後の記者会見で、「死刑の問題は人の命ということになるので、法相という職責をふまえながら、慎重に考えていきたい」と述べた。18日の記者会見でも、「(執行が)制度的には義務づけられていると承知はしている」と語ったが、執行命令書にサインするかどうかについては明言を避け、「執行停止も含めて考えるのか」との質問にも、「そういう考え方もあるだろうと思う」という言い方をしている。
 制度を運用する法務官僚の思いは複雑で、ある幹部は「求刑する検察官も判決を出す裁判官も慎重に検討して、死刑は確定している。制度があるのに大臣の一存でサインしてもらえないのは困る」と当惑する。
 鳩山邦夫元法相(2007〜08年在任)以降、執行ペースは速まる傾向にあるが、確定死刑囚は今月上旬現在で102人を数える。別の幹部は「7月末に執行があったばかりで、このまま執行が止まると、数か月の差で生死が分かれる不公平さも気になる」と懸念し、「停止するなら、停止法案を成立させないと」と話す。また、法相が「国民的な議論をふまえ、私たちが行く道を見いだしたい」と発言していることについて、幹部の一人は「議論は大事だが、何人殺害しても死刑にならないという状況だと、治安に悪影響を及ぼさないだろうか」と語った
 ◆廃止団体期待、遺族は「執行を」◆
 これに対し、死刑廃止団体は新法相に期待をかける。アムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は、「日本は国連の委員会の廃止勧告を無視してきた。議論を行う間も執行は停止するという判断を望みたい」と話す。
 一方、死刑事件の被害者遺族も、新法相の姿勢を見つめている。1999年の東京・池袋通り魔事件で娘を殺害された宮園誠也さん(75)は、「加害者(死刑囚)より先には死ねないと思ってきたが、執行が止まれば、自分では刑の執行を確かめられないかもしれない。せめて確定死刑囚については法に従って執行する決断をしてほしい」と訴えている。
 ◆制度論議へ、国民に情報を◆
 「死刑の執行は、法務大臣の命令による」。刑事訴訟法475条はそう定めている。もし法相が執行命令書へのサインを拒み続ければ、法律改正をしなくても、執行停止状態を作り出せてしまうことになる。
 実際、こうした事態は過去に起きている。サインを拒否した左藤恵法相時代を含む1993年3月までの3年4か月間は、執行はゼロで戦後最長の空白期となった。直後に撤回したものの、就任会見の際に「サインしない」と発言した杉浦正健元法相の在任中(11か月)も、執行はなかった。
 しかし、死刑判決という司法判断を行政が無視するというのは、極めていびつな姿だ。しかも、今年から裁判員制度が始まり、いずれ裁判員裁判で死刑判決が言い渡される日が来るだろう。裁判員となる国民に精神的重圧のかかる重い判断を課しておきながら、法相が「死刑制度そのものに反対する」という理由で、執行から目を背けるとすれば、無責任であり、許されることではない。
 読売新聞が今年4月に実施した世論調査では、死刑制度の存続を望む人が81%にのぼる。一方、世界的には、死刑を廃止か停止した国の数が、存続させている国を大きく上回る。制度に関する議論の場を設けることに前向きな姿勢を示す千葉法相には、まず、徹底した情報公開を求めたい。
 米国で死刑制度を維持する州では、遺族やメディアが執行に立ち会えるのに対し、わが国では拘置所内にある刑場の場所さえ明らかにしていない。
 また、議論の際に、被害者遺族への支援を十分検討してほしい。廃止国のフランスは官民それぞれで支援体制が整えられている。凶行で肉親の命を奪われた遺族が最も深い傷を負っていることを忘れてはならない。
 命によって罪を償う死刑は、国家による究極の権力行使である。冤罪(えんざい)を防止する適正な捜査と裁判を行うことは言うまでもないが、新政権は主権者である国民に死刑に関する判断材料を提供し、その声に耳を傾ける必要がある。(社会部次長 大沢陽一郎)
 ◇死刑廃止を推進する議員連盟◇死刑制度廃止に向けて活動を進めることを目的に1994年に発足した超党派の議員連盟。現在の会長は亀井静香金融相で、鳩山内閣の一部の閣僚も名を連ねている。7月の衆院解散時の所属議員は約70人で、死刑執行の際には法相に抗議などを行ってきた。また、終身刑を創設することを目指す議員連盟が昨年発足し、廃止議連のメンバーの一部が参加している。
 
(3)千葉法務大臣の「慎重意」発言に対しては、死刑賛成派はこれに不満を、死刑反対派はこれに期待を、それぞれ抱いているようだ。

私は、千葉法務大臣の今の本心を知る手が限りがないので、現時点では、同大臣が死刑執行についてあくまでも「慎重」である、と受けとめている。
議員が大臣に就任したとき、立場を変更することもあるからだ。

(4)そこで、思い出されるのは、再審無罪が確実となった足利事件と同様のDNA型鑑定がなされ有罪が2006年9月8日に確定され、再審請求を準備中だった2008年10月28日に死刑執行された飯塚事件である。
遺族が今秋、再審請求をするようだ。
【共同通信】2009/06/05 23:00
飯塚事件、再審請求へ DNA新証拠提出目指す

 福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、昨年10月に執行された久間三千年元死刑囚=当時(70)=の遺族が今秋にも再審請求(死後再審)する方針を固めたことが5日、弁護団への取材で分かった。弁護団は菅家利和さん(62)の再審無罪が確定的となった足利事件と同様、DNA型鑑定をめぐる新証拠の提出を目指す。
 弁護団によると、飯塚事件は足利事件とほぼ同時期に、同じ「MCT118」という検査法で、DNA型鑑定が実施された。被害者の遺体に付いた血液と元死刑囚のDNA型が一致したとされ、確定判決の根拠の一つとなっている。
 血液は残っておらず、足利事件のようにDNA型を再鑑定することはできない。ただ血液から抽出された犯人のものとされるDNA型はMCT118の「16−26」タイプで、元死刑囚の遺族のDNA型と比較するなどして誤りを見つける。
 「16−26」タイプは足利事件の旧鑑定で、被害者の衣服に残った体液や菅家さんのDNA型とされたが、再鑑定では異なる結果となった。
 確定判決によると、元死刑囚は92年2月、飯塚市内の路上で小学1年の女児2人を車に乗せて誘拐し、首を絞めて殺害するなどした。94年の逮捕以降、一貫して無実を訴えていた。

再審請求がなされたとして裁判所がどのような判断をするか、最終的に無罪の結論が出るのか、私には分からない。

だが、それとは別に、私は、当時の法務大臣が死刑執行に「慎重」であってほしかった、と思えてならない。
もし再審で無罪となれば、国は無罪の者を殺してしまうことを回避できたのだから。

前掲紹介の読売新聞記事には、なぜか、飯塚事件の紹介はない。

(5)もう一つ思い出したのは、以前読んだ、大塚公子「死刑執行人の苦悩 」(角川文庫・1993年)で、書かれていたことだ。
それによると以下のことが書かれていた。

死刑を執行するのは刑務官である。
だが、一般には、死刑執行を担当した刑務官は、その仕事に就きたくて刑務官になっているわけではない。
「法務省矯正局」の説明によると、「刑務間の仕事は刑務所に送られて来た受刑者を教化して社会へ復帰させることだ」と説明しているので、「多くの若者が、犯罪者の矯正教育という、地味ではあるが、罪を犯して服役する受刑者に、真の人間性を回復させ社会へ復帰させる、という仕事に情熱を燃やして刑務官という仕事を選んだ」のである。
ところが
「考えてもみなかった死刑囚舎房の看守役、あるいは死刑執行の言い渡しのために独房から死刑囚を呼び出す役目の警備隊、執行そのものを果たす役割などを命じられる」のである。
つまり、犯罪者の社会復帰のための職業に就いたつもりが、犯罪者を社会から抹殺する仕事を命じられるのである。

それゆえ「死刑囚担当の刑務官」は「むなしく耐え難い任務にあたるのだ。」

「犯罪者の人間性回復と社会復帰ということに情熱を沸らせ、使命感に燃えて刑務官になってみると、いきなり死刑執行人の命が下される・・・・。あまりにも思いがけなくて、その日以来人生観が変わってしまったというのは執行体験を持つ元執行官の真実の気持ちであった。」(以上、7−8頁)

(6)刑務官は飯塚事件の死刑囚をどのような気持ちで死刑執行したのであろうか?
もし飯塚事件の再審で無罪となったとき、死刑を執行した刑務官はどのような気持ちになるのだろうか?

「構想日本」の政党法制定提案は財界的発想で酷い!

はじめに

(1)行政刷新会議の事務局長に、民間シンクタンク「構想日本」の代表が抜擢される可能性が出てきたようだ。

日経新聞2009年9月25日(07:00)
刷新会議事務局長、加藤氏で最終調整

 「構想日本」代表 政府は24日、行政の無駄を洗い出す行政刷新会議の事務局長に、民間シンクタンク「構想日本」の加藤秀樹代表を充てる方向で最終調整に入った。加藤氏は旧大蔵省出身で、国の事業が本当に必要かを判断する「事業仕分け」に取り組んできた。仙谷由人行政刷新相は就任後に加藤氏と複数回にわたって会談。事業仕分けの手法などについて意見交換している。
 訪米中の鳩山由紀夫首相の帰国後、27日以降に最終決定する見通し。仙谷氏は同会議の事務局の規模を30〜40人とし、官僚と民間人をそれぞれ半分程度にする考えを示している。

(2)行政刷新会議それ自体の評価については、現時点では、それを論評する素材と情報を持ち合わせていない。
(以前も書いたかもしれないが、現時点でいえることは、政官財の癒着の構造を打ち壊したり、税金の無駄遣いを防止するために機能して欲しいものだし、福祉国家になることを否定するために機能しては有害だ、ということである。)

(3)この投稿で取り上げるのは、行政刷新会議というよりも、「構想日本」である。

「構想日本」については、何度かインターネットのニュースで目にした程度である。
ほとんど知らない。
そこで、「構想日本」のHPにアクセスしてみた。

私が注目したのは「『政党法』制定の提言〜政党の自己統治能力を確立し、『政治の再建』を」(2009/08/06)である。

このなかの「『政党法』制定の提言≪解説資料≫」を読むと、その内容の酷さに驚いた。
以下、少し詳しく批判しておこう。


1.「『政党法』制定の提言≪解説資料≫」への総論的批判

(1)この提言は「政党法制定」を主張しているが、政党法の制定について憲法論議が一切なされていないし、「政党の定義」が全く書かれていない。

「政党法」を制定するということは、政党とそれ以外の(政治)団体・個人を法的に区別して取り扱うことになり、かつ、政党に特権を付与したり、あるいは規制を加えたりすること(政党以外の団体などを冷遇すること)になる。
言い換えれば、政党につき憲法第21条が保障する結社の自由を制限することになる。
それゆえ政党法の制定は、一般論として言えば、憲法違反になる可能性が高い。
だが、それについての論議が一切なされていない。

また、政党の定義」が全く書かれていない。
政党とそれ以外の政治団体とでは法的扱いが異なるのに、である。

(2)それとの関係もあるのかもしれないが、現行の制度、例えば小選挙区本位の選挙制度や政党助成法、更に企業・団体献金については、それ自体への疑問を提起してはない。
むしろ、それらの存在を前提にしている。

「小選挙区制においては、議員は選挙区と密接となることが多く、政治、政策より地元選挙活動が優先され、結果として政治の劣化が進みやすい。」と言いながら、その廃止を主張してはいない。
小選挙区制が民意を歪曲することには全く目が向けられてはいない。

「国庫から毎年約320 億円(国民一人当たり250 円)が拠出されている政党助成金については、直近の選挙での議席数と得票率に基づき比例配分されている。つまり、与党の取り分が最も多くなっている。」と説明し、有権者の意思を反映していない点には全く目が向けられてはおらず、その廃止は主張されてはいない。

「政治とカネの問題を解決するには、企業献金など個々の資金ルートを制限するよりも、情報開示の徹底が不可欠であり最も有効だ。」として、腐敗の温床である企業献金の全面禁止を否定している。

(3)そのため、特に政党助成制度が存在するが故に、政党が限りなく公的な存在であるかのように取り扱われている。
その結果、公的な国会と政党とがほとんど同じレベルで議論されてしまっている。
政党交付金の交付を受けられない議員や受け取りを拒否している政党の存在を全く無視している。
政党は毎年320 億円近くの税金(政党交付金)、及び800 億円以上の非課税収入を使い、国の政策形成過程に大きな影響力を持ち、極めて高い公共性を持つにも関わず、内部機関についての法定はなく、すべて各政党の党則に委ねられている。政治結社の自由は保障したうえで、その運営ルールは法律で規定、あるいは党則で定めることを義務付けて然るべきだろう。

政党助成制度を前提にすればこのような主張になるのも分からないではないが、これでは憲法が保障する結社の自由は不当に制限されてしまうから政党助成制度を廃止するべきだと提言しなければならないはずである。
だが、そのような発想はみられない。

「総理大臣、つまり与党党首の任期は・・・」との記述もあるが、これには、公的なもの(総理大臣)と私的なもの(党首)との区別が見られない。

(4)「内閣と与党の二重権力構造」を問題視しているが、そこでは、「弱い内閣」になっている「実態」が批判の対象になっている。
本来の議院内閣制では、・・・“強い内閣”のように内閣は与党の政策を実現する実行部隊だ。与党を代表する議員が入閣するため、与党全体の中でも内閣に権力集中し、閣外の与党議員が内閣の政策決定に背いたり、ましてや覆したりすることは通常ない。しかし日本の現状は・・・“弱い内閣”のように、閣外の与党議員が内閣以上の権力を持つことが常態化している。その結果、内閣そっちのけで与党議員と官僚が不透明な接触(根回し、交渉、圧力)を繰り返し、政策決定が行われることが多い。これは議院内閣制の原則から大いに逸脱しており、政策決定の責任の所在を不明確なものにしている。

「内閣と与党の二重権力構造を解消し、内閣のリーダーシップを確立する」ための提言が幾つかなされており、そこでは「強い内閣」が求められている。

要するに、議会制民主主義の活性化論ではないのである。

(5)なお、「内閣と与党の二重権力構造」批判論については、また別の機会に批判を加えることにする。


2.「『政党法』制定の提言≪解説資料≫」への各論的批判

提言の中の「『政治再建』のための改革案」を取り上げて、批判しておく。

(1)この改革案は、第一に、「国家像や政策の立案能力が不十分」であるとして、以下のように提言している。
提言 收権公約(マニフェスト)と政策立案】
○ 「政党法」制定により
(1) 政権公約は、各政党共通の「公約フォーマット」で作成する。
(2) 政権公約の大項目は5 項目程度とし、優先順位を明確にする。
(3) 与党は政権公約の進捗度を半年毎に発表する。
(4) 政権公約や政策の立案のために必要な、官庁が保有する情報は、国会の秘密会を利用して与党と一定規模以上の野党に開示する。
(5) 野党には、国会調査局の利用を優先させる。
○ 「政党助成法」改正により
(6) 政党助成金は、全額を議席数と得票率に基づいて比例配分するのではなく、総額の半分を議席数と得票率に基づいて比例配分し、残りの半分は政党の規模(大・中・小など)毎にグループ分けし、グループ毎に均等配分する。
○ 「公職選挙法」改正により
(7) 選挙公約の頒布を自由化する。

「政党法」制定で挙げてある(1)〜(3)は、私的な結社が本来自主的に行うべき事柄である。
それを法律で義務づけようというのである。
上記(4)は、国会が本来公開で行われなければならない大原則を無視するものである。

政党助成法の改正を主張している(6)は、小選挙区制を前提にしているが故に、小政党に配慮しているものの小手先の改革にすぎない。

「公職選挙法」改正としてあげている(7)には、反対する必要は無いが、この程度ことしか提言しないのかと呆れてしまう。

(2)改革案は、第二に、「内閣のリーダーシップがない」として、「与党と内閣の関係」を以下のように提言している。
提言◆斃薪泙汎盂佞隆愀検
○ 「政党法」制定により
(1) 与党の党首(=総理大臣)の任期は、就任時に召集された衆議院の任期と同
じとする。
(2) 与党幹部(党首、幹事長、総務会長、政務調査会長等)の入閣を義務付ける。
(3) 与党の政策検討機関の責任者(政調部会長)は、対応する府省の副大臣を兼
務する。
(4) 与党の一般議員と官僚との接触を制限する。
(5) 与党の「事前審査」は、閣議決定後に大臣が党に説明する場に改め、閣議決定を拘束しない旨、党則で定めることを規定する。

「政党法」制定として挙げられている(1)は、私的な与党党首の任期を公的な衆議院の任期に合わせようというのである。
これは政党が自主的に決める事柄である。

上記(2)と(3)は、大臣の任命権から裁量権を一部奪い、法的に拘束するものである。

上記(4)は、「接触」の意味が不明である。
議員が官僚に会って行政の執行状況を聞くことも禁止され宇野であろうか?

上記(5)は、政党の自律権の制限になる。

(3)改革案は、第三に、「政策や人事の意思決定が不透明であるとして、「党組織の権限と責任」を以下のように提言している。
提言 【党組織の権限と責任】
○ 「政党法」制定により
(1) 党首、幹部、監査委員会など、重要と思われる機関についてはその設置を義務付け、その他の機関についても党則でその役割と責任を定めることを規定する。
(2) 党支部は、行政単位ごとに1つに制限し、その役割と権限、責任を党則で定めることを規定する。

「政党法」制定として挙げられている(1)(2)も、政党の自律権の制限になる。

(4)改革案は、第四に、「『世襲議員』が極端に多い」として、「候補者の選び方」を以下のように提言している。
提言 【候補者の選び方】
○ 「政党法」制定により
(1) 候補者の選定方法や過程を党則で定め、透明化することを規定する。
(2) 候補者の「公認」「推薦」「支持」を定義する。
○ 「政治資金規正法」改正により
(3) 「世襲」と「非世襲」間の資金に公平性を確保するため、政治資金管理団体の相
続を禁止する(団体の代表=立候補者が代わる際は、その残高を所属政党に寄付する。
○ 「公職選挙法」改正により
(4) 「一般人」が立候補しやすくなるよう、企業及び公務員の休職制度の普及を図る。

政党法」制定として挙げられている(1)は、政党の自律権を制限するものである。

上記(2)は、仮に規定するとすれば、政党法ではなく、公職選挙法で行うべきであろう。

(5)改革案は、第五に、「政治資金の不祥事が繰り返される」として「政治資金』を以下のように提言している。
提言ァ收治資金】
○ 「政治資金規正法」改正により
(1) 国会議員が政治資金を受け取れる団体を、資金管理団体一つとする。
○ 「政党法」制定により
(2) 党支部の私物化を解消するために、国会議員による党支部長の兼任を禁止する。

「政党法」制定として挙げられている(2)も、政党の自律権の制限である。

(6)改革案は、最後(第六)に、「カネと活動の全体像が見えない」として、「有権者への説明責任』を以下のように提言している。
提言Α斃権者への説明責任】
○「政党法」制定により
(1) 政党は「有権者総会」を年一回開催するとともに、支部で地域有権者に対して報告会を定期的に開催するなど、活動状況と資金の収支を開示することとし、その詳細を党則で定める。

「政党法」制定として挙げられている(1)は、政党の自律権を侵害するものだ。
ところで、無所属の議員には何故義務づけないのだろうか?


終わりに

(1)この提言、特に改革案は、一部好意的に評価できるものがあるが、そのほとんどが政党の自律権を侵害する点で違憲であると批判される可能性が高い改悪案であるし、大して内容のないものである。

(2)この提言・改革案は、初歩的な認識論や憲法論が欠けており、本気で「政党の自己統治能力を確立し、『政治の再建』を」求めているのか、疑問に思えてくる。

(3)結局、財界がこれまで行ってきた主張と同じ発想で提言が基本的にまとめられるのではなかろうか。

(4)このような提言・改革(改悪)案を提案しているシンクタンクの代表者を、行政刷新会議の事務局長を当てて大丈夫なのだろうか?
これと、行政刷新会議の事務局長としての能力とは、全く別物なのだろうか?

「集団的自衛権の行使を容認しない」だけでは不十分だ!

(1)鳩山連立内閣の北沢俊美防衛大臣は、今月中旬、「専守防衛」の枠組みを維持し、集団的自衛権の行使を容認しないと態度表明した。
東京新聞2009年9月18日 朝刊
集団的自衛権の行使は容認せず 北沢防衛相


 北沢俊美防衛相は十七日の記者会見で、政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」が集団的自衛権の行使を可能とするよう求めていることについて「行使しないことで国内の意見がほぼ定着している。そのことに精力を費やすのは生産的ではない」と述べ、行使を認めない考えを強調した。また、同懇談会が「専守防衛」の見直しを提言していることについても「見直す必要はない」と述べた。

(2)北沢俊美防衛大臣の「専守防衛」論について私は異論があるが、集団的自衛権の行使を容認しないという結論については、とりあえず異論はない。
この度の3党連立政権合意でも日本国憲法の「平和主義」をはじめ「国民主権」「基本的人権の尊重」の三原則の順守を確認するとしていたのだから、北沢防衛大臣の前掲の態度表明は当然のことだろう。

もっとも、これまでの自公連立政権においてさえも、集団的自衛権の行使を「合憲」とは答弁してこなかったのであるから、取り立てて高く評価する必要はないだろう。

(3)ただし、北沢防衛大臣の理由づけについては、不満が残る。

そもそも日本国憲法の下で集団的自衛権の行使が「合憲」になることは理論的にはありえないし、あってはならない。
そのように説明されるべきであったが、そうでなかったのは、何故なのか気になるところである。

(4)そのこと以上に私の最大の関心事は、これまでの自公連立政権が米軍等の連合軍(多国籍軍)の後方支援をして「事実上集団的自衛権の行使をしている」にもかかわらず、同政権は集団的自衛権の行使であると認めてこなかったが、このことについて鳩山政権はどうなるのか、ということである。

時事通信社は北沢防衛大臣にインタビューし、それを報じている。
時事通信社(2009/09/24-20:14)
給油代替策、早急に検討=北沢俊美防衛相〔新閣僚インタビュー〕
 −海上自衛隊によるインド洋の給油活動を延長するのか。
 法律が来年1月で切れる。改めて継続する法律を出す可能性はなく、自然に給油活動は止まる。それでは、国際貢献をないがしろにしていいのかというと、そうではない。どういうことができるか、早急に検討したい。
 −防衛計画大綱や次期中期防衛力整備計画は、年内に取りまとめるのか。
 先延ばしの選択肢はない。麻生内閣の有識者懇談会の提言も拝借しながら、しっかりしたものを作りたい。
 −自衛隊の海外派遣をどう考えるか。
 個人的には、軍事力を持って海外に出るのは、基本的にやるべきではない。ただ、防衛相の立場で言えば、国連平和維持活動(PKO)などで国際貢献がどの程度可能か、しっかり考えないといけない。
 −米軍普天間飛行場の移設問題について、新政権の方針をいつごろまでに決めるのか。
 あまり時間はない。何にも先駆けて、沖縄の皆さんの意見を聞きたい。日米両国が合意した重い事実は覆しようがない。一方で、沖縄の皆さんが県外移設や国外移設を希求し、その主張が今回の衆院選で大きく支持を得た。どういう落としどころを見つければいいか、大変な重荷だ。
 −集団的自衛権のあり方をどう考えるか。
 集団自衛権について、権利は保有するが行使しないというのは、立派な見解だ。その考え方は継続すべきだ。
 −浜田靖一前防衛相は陸上自衛隊の与那国島配備を検討していた。
 アジア諸国と連携していく情勢の中、いたずらに隣国を刺激する施策はいかがなものか。

(5)私は、海上自衛隊によるインド洋の給油活動について、できるだけ速やかに中止して海上自衛隊を撤退させるべきであると考えるので、防衛大臣の応答には不満が残る。
とはいえ、法律の期限延長をしない点は、これまでの自公政権との違いであろう。
その限りでは、一応、大臣の応答には評価することができよう。

(6)私が真に知りたいのは、鳩山連立政権が、今後、テロ対策、海賊対策、国政貢献などのいずれであれ、それを口実に、自衛隊の海外派兵のための特別措置法を制定したり、あるいはまた、自衛隊の海外派兵のための一般法を制定するつもりがあるのか、である。

記者にはその質問をして欲しかった。

言い換えれば、自衛隊が海外で事実上集団的自衛権を行使するのか、あるいは、海外で武力の行使あるいは武力による威嚇をする可能性があるのかどうか、私はこのことを知りたかった。

(7)といのは、民主党のこの度の総選挙のマニフェスト(『民主党 政権政策Manifesto』)には、以下のように書かれていたからである。
51.緊密で対等な日米関係を築く
○日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくるため、主体的な外交戦略を構築した上で、米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす。

54.世界の平和と繁栄を実現する
○国連を重視した世界平和の構築を目指し、国連改革を主導するなど、重要な役割を果たす。
○わが国の主体的判断と民主的統制の下、国連の平和維持活動(PKO)等に参加して平和の構築に向けた役割を果たす。
○海上輸送の安全確保と国際貢献のため、適正な手続きで海賊対処のための活動を実施する。

55.核兵器廃絶の先頭に立ち、テロの脅威を除去する
・・・
○ テロとその温床を除去するため、NGO とも連携しつつ、経済的支援、統治機構の強化、人道復興支援活動等の実施を検討し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に役割を果たす。

また、3党の連立政権合意もこれをほぼ同様の内容だったからである。
ここには、事実上の集団的自衛権の行使、武力の行使、武力による威嚇が含まれているようにも読めないことはない。
果たしてどうなのだろうか?

鳩山由紀夫新首相・民主党代表も、小沢一郎民主党幹事長も、9条の改憲論者であることも忘れてはならない。

(8)それゆえ、「集団的自衛権を行使する」という方針に転換しない、との言質をとるだけでは不十分だ。
記者には、鳩山内閣の防衛大臣から、国際的には集団的自衛権の行使であると言われている、自衛隊の後方支援等を今後は行わないという言質をとってほしかった。

その政策転換(つまり日本が戦争加害者にもうならないこと)が行われれば、政権交代の意義は高まることになる。

日本経団連と政治献金

(1)日本経団連が自民党と民主党の政策を評価し、それに応じて傘下の企業に政治献金するよう呼びかけて、政党「買収」、政策「買収」を行っていることは、すでに紹介してきた。

その評価基準である優先政策事項は、毎年見直しされてきているし、自民党と民主党の執行部を呼びつけ「語る会」という名で直接会って政策を説明させ、日本経団連の要求を各政党の執行部に伝えてもいる。

(2)日本経団連のホームページで公表されている、これまでの経緯を、私なりに時系列でなれべて見ると、以下のようになる。
「優先政策事項」と「企業の政治寄付の意義」について (2003年9月25日)

衆議院議員総選挙(2003年11月9日)

2004年第1次政策評価の発表にあたって (2004年1月28日)

参議院議員通常選挙(2004年7月11日)

2004年第2次政策評価の発表にあたって (2004年9月22日)
優先政策事項の改定について (2004年11月24日)
優先政策事項の改定について (2005年2月7日改定)
「自民党と政策を語る会」について (2005年3月29日開催)
「民主党と政策を語る会」について (2005年4月7日開催)

衆議院議員総選挙(2005年9月11日)

2005年政策評価の発表にあたって (2005年10月11日)
優先政策事項の改定について (2005年11月8日改定)
2006年 自由民主党と政策を語る会 (2006年4月26日開催)
2006年 民主党と政策を語る会 (2006年5月22日開催)
2006年 自由民主党と政策を語る会・関西地区会合 (2006年7月12日開催)
2006年政策評価の発表にあたって (2006年9月25日)
優先政策事項の改定について (2007年1月10日改定)
2007年 自由民主党と政策を語る会 (2007年5月21日開催)
2007年 民主党と政策を語る会 (2007年6月14日開催)

参議院議員通常選挙(2007年7月29日)

2007年政策評価の発表にあたって (2007年11月12日)
優先政策事項の改定について (2007年12月11日改定)
2008年 自由民主党と政策を語る会 (2008年5月29日開催)
2008年 民主党と政策を語る会 (2008年6月4日開催)
2008年政策評価の発表にあたって (2008年9月17日)
優先政策事項の改定について (2009年1月14日改定)
2009年 自由民主党と政策を語る会 (2009年5月14日開催)
2009年 民主党と政策を語る会 (2009年6月1日開催)

衆議院議員総選挙(2009年8月30日)

以上の日程で言えば、そろそろ日本経団連は自民党と民主党の各政策を評価し、その結果を公表する時期である。
果たして日本経団連は、総選挙で圧勝した民主党の政策をどう評価するのであろうか?

(3)ところが、8月30日の衆議院議員総選挙で自民党が惨敗した結果、日本経団連は、これまでの方針を変更するのかどうか、思案し始めている。
総選挙直後の報道は以下である。

毎日新聞 2009年8月31日 東京朝刊
選挙:衆院選 経団連幹部「反省必要」 自民一辺倒、献金見直し必至

 民主党の圧勝は財界にも衝撃を与えた。とりわけ保守合同で自民党を生んだ財界にとって、自民一辺倒の支援や企業献金のあり方の見直しは必至だ。企業経営者は民主党の政策変更を見極めようと、様子見の姿勢も強い。
 「恐ろしい。2大政党制ではなく一党独裁体制にならなければいいが」。財界首脳は30日夜、東京都内の自宅でつぶやいた。日本経団連は55年5月、保守合同を促す決議を採択。その年結成した自民党に対し、企業による政治献金を「自由経済体制の保険料」と位置づけ、物心両面で支えてきた。
 個々の経営者の間では「政治は大きく変わらないだろう」(商社首脳)と冷静な見方は少なくない。しかし財界には「自民も民主も保守政党」(財界幹部)という認識から「エゴで動く団体と思われているのは経団連が反省すべき点。我々の意識も変わらないといけない」(経団連幹部)との声も聞かれる。
 経済団体はこの日相次いでコメントを発表し、経団連の御手洗冨士夫会長は「国民が強く変化を求めた結果だ」とし、自民党に対しては「引き続き建設的な役割を果たしてほしい」と求めた。経済同友会の桜井正光代表幹事は「健全な議会制民主主義のためには自民党の再生が不可欠」と指摘。日本商工会議所の岡村正会頭も「今後も国家国益のために力を尽くしてほしい」と自民党の再生を求めた。【三沢耕平】

(4)今月中旬になると、日本経団連は鳩山政権に要望書を提出したようだ。
マスコミ報道によると「従来の自民党寄りの路線を微妙に修正し、新政権への協力姿勢を鮮明にした」という。

【共同通信】2009/09/14 19:12
経団連、新政権への協力鮮明に 自民寄りを微妙に修正
 
 日本経団連は14日、正副会長会議を開き、民主党中心の新政権に対し、経済活性化に向けた取り組みを求めるとともに、経済界も「最大限努力する」とする方針を盛り込んだ新内閣への要望書を決定した。従来の自民党寄りの路線を微妙に修正し、新政権への協力姿勢を鮮明にした。
 ただ、民主党と主張の隔たりが大きい地球温暖化対策では、決定前に国際的な公平性や国民負担の妥当性について「国民的議論」を求めたほか、消費税率引き上げを含む税制抜本改革なども求めており、今後新政権との間で争点になる可能性がある。
 要望書は16日の新内閣発足後に新首相や関係閣僚に提出する。
 10項目ある優先政策要望はこれまでの経団連の方針をほぼ踏襲した。御手洗冨士夫経団連会長は14日の記者会見で「政権交代後も経団連の基本スタンスは変わらない」と強調した。
 要望書は、景気の先行きが不透明な情勢を踏まえ「一刻も早く経済を自律的な回復軌道に乗せるとともに、産業競争力強化を軸とする成長戦略を示してもらいたい」と、景気対策の拡充や中長期的に経済成長力を高める戦略の推進を求めた。年金制度などの改革では「超党派の取り組みがまたれる」として、国会で自民党など野党を含めた広範な協議を行うべきだと訴えた。

(5)日本経団連の次期会長人事にも影響が及んでいるとの報道もある。
毎日新聞 2009年9月15日 東京朝刊
日本が変わる:財界総本山、立ち往生 民主と疎遠、鮮明 「利益団体」と敵視され <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 自民党との密接なつながりでさまざまな経済政策を実現してきた日本経団連。だが、自民党との近さが災いし、新政権との関係作りの糸口を見いだせない状況に追い込まれている。14日、民主党への政策要望を発表したが、自民党時代と同じ影響力を発揮できそうにはない。政権交代を前に、「財界総本山」の焦りは募るばかりだ。【後藤逸郎、三沢耕平】
 「利益団体は絶対にダメだ。日本経団連は今のような姿勢を改めない限り入れさせない」。政治家主導で作る新しい政府税制調査会の民間メンバーの人選について民主党幹部が9月上旬、記者団にまくし立てた。
 一方、鳩山由紀夫代表は8日、東京都内で京セラの稲盛和夫名誉会長と面談。横浜市で2、3日に開かれた稲盛氏主催の「盛和塾」には別の民主党議員が駆けつけた。経団連の表舞台には立たず、古くから民主党を支援してきた稲盛氏との頻繁な接触が一層、経団連と民主党との疎遠さを浮かび上がらせている。
 経団連も雰囲気を察しているが、民主党との距離感を積極的に詰める動きは見られない。民主党が「利益団体」と敵視する以上、正面から向かい合えばかえって「抵抗勢力のレッテルを張られかねない」(幹部)との危機感があるためだ。
 1946年に発足した経団連は、戦前の統制経済への反省を踏まえ、企業が自由に経済活動できる環境作りを最優先課題に据えてきた。冷戦下では、社会主義陣営に対抗するための保守合同を働きかけ、自民党誕生のきっかけを作った。54年に起きた造船疑獄をきっかけに、政治献金のあっせんに乗り出し「透明性の高いカネ」を「自由主義経済を守る保険料」として自民党に献金する仕組みを築く。
 自民党が初めて下野した93年、当時の平岩外四会長が献金あっせん中止を決断。しかし、細川連立政権が短命に終わり、政権に返り咲いた自民党との関係修復に苦労する結果になった。今回の衆院選後、民主党にかじを切れないのは、この時のトラウマがあるためだ。
 03年に奥田碩会長(当時)は、献金を「企業による社会貢献」と位置づけ、あっせん再開に踏み切る。さらに「カネは出すけど口も出す」と自民党への政策提言を積極化。政治献金額は07年に自民党29億1000万円、民主党8000万円と大きく開いた。奥田氏は経済財政諮問会議の民間メンバーに就任し、小泉改革のけん引役にもなった。後任の御手洗冨士夫氏は「政治と経済は車の両輪」として諮問会議民間メンバーを務めたほか、安倍晋三首相(当時)の外遊にしばしば同行し、政権を支えた。
 だが、政権交代がこの図式を崩す。民主党は3年後の企業献金廃止を主張。子ども手当や最低賃金の引き上げなど内需重視の政策は、輸出型企業が要職を占める経団連の方針とは食い違う。民主党内には「経団連と友好関係を」との声もあるが、政・官・財の癒着を批判することで、来夏の参院選に勝とうという声の方が大きい。
 民主党と経団連の距離感が定まらない中、格下と見られがちだった経済同友会の相対的な地位が押し上げられている。同友会が07年にまとめた行政改革の提言「国家戦略本部の新設」は、民主党の国家戦略局構想の下敷きになったとみられる。14日には桜井正光代表幹事が国会内で民主党の直嶋正行政調会長と会談し、鳩山内閣への要望書を提出。民主党内には桜井氏を政府税調で起用したいとの声もある。政権交代が、財界の構造も揺るがそうとしている。
 ◇次期会長人事にも影
 御手洗会長の2010年5月の任期満了に向け、次期会長人事にも、政権交代が影を落としている。
 経団連会長は日本経済全体の頂点に立つとの自負がある。そのため、現会長が経済情勢や企業動向を踏まえて人選、政治家には事後報告する形をとってきた。
 だが、今の経団連にとって、民主党とのパイプ作りは極めて重要。そこで注目を集めているのが、官房長官に内定した平野博文役員室長と、経済閣僚への起用が有力となっている直嶋正行政調会長。それぞれパナソニック、トヨタ自動車労組出身で、両労組とも経営側との関係は良好だ。そこで、ポスト御手洗の有力候補として、パナソニックの中村邦夫会長を推す声が強まってきた。温室効果ガスの削減目標など、民主党と産業界がぶつかる政策について、経団連幹部は「中村氏と平野氏らが、着地点を探ってくれる」と期待する。
 ただ、次期連合会長にパナソニック労組出身の古賀伸明氏が内定していることから、パナソニックグループ内では「内閣も労組も財界も、パナのトライアングルは避けた方がいい」(幹部)との冷めた見方も多い。財界の古参幹部は「こんなに早く自民党の時代が終わるとは思わなかった」としつつ、「会長人事は政治に左右されるべきでない」と話す。

(6)以上の報道がどこまで真実なのか、私には分からない。
しかし、この報道を読むと、之までの認識、すなわち日本経団連が利益団体化、もっといえば政治団体化しているとの認識に間違いがなかった、と思えてくる。

日本経団連が純粋に自民党と民主党の政策を評価しているだけであれば、政権がどのようなものになろうとも、右往左往する必要はないだろう。

しかし、右往左往するのは、日本経団連が政権政党に圧力をかけ「買収」するために政策を評価し、参加の企業に政治献金を呼びかけてきたからだろう。

(7)自民党が下野した以上、自民党に多額の政治献金し続けることは、実質的にはその政治献金がほとんど無駄になることを意味している。

逆に、民主党の政策への評価が低いにもかかわらず、政権政党の民主党に多額の政治献金をすることは、之までのやり方で言えば不可能であろう。
民主党は来年夏の参議院選で圧勝するまでは、財界政治の推進を断念すれば、民主党への政治献金も、ほとんど無駄になってしまうだろう。

(8)ある決断をすれば、そんなことで悩んだり、国民の批判を受ける必要はなくなる。
その決断とは、「日本経団連が政治献金の斡旋を中止し、傘下の企業が政治献金を中止する」という決断である。

9月13日、株主オンブズマンと政治資金オンブズマンは、日本経団連等に「企業献金の速やかな廃止を求める要望書」を提出したことは、すでに紹介した。

(9)今年7月下旬の朝日新聞の社説は、企業献金の禁止を求めていた。

朝日新聞7月24日付社説
企業献金―経済界は、やめる決断を

 総選挙を控え、自民党に多額の政治献金をしてきた経済界に戸惑いが広がっている。政権交代が実現した場合、民主党への献金を増やし、自民党への献金を減らすのか。
 先週に開かれた経済同友会の夏季セミナーでは経営者らが頭を抱えた。きのうから始まった日本経団連の夏季フォーラムでも総選挙後の政治献金のあり方が議論される見通しだ。
 だが、経済界が考えるべき課題は、献金の配分方法の見直しではあるまい。これを機に、企業による政治献金そのものをやめる決断を促したい。
 日本経団連の前身である経団連は93年まで業界ごとに政治資金を割り振り、自民党を中心に献金していたが、佐川急便から金丸信・元自民党副総裁へのヤミ献金事件などを契機にいったんは献金のあっせんをやめた。ところが03年に当時の奥田碩会長が「口も出すが、カネも出す」と再開を表明。04年からは政党の政策評価に基づき、企業・団体が自主的に献金するという仕組みを取り入れた。
 経団連会員企業の献金は07年には自民党に29億円余り、民主党に8300万円。その額は04年以降、徐々に増えてきた。そこに政権交代の可能性が膨らんできたのである。
 政権が交代した場合に「自民への献金額を減らせば怒りを買うのでは」と心配したり、「民主が与党になったからといって献金を増やせば無節操と見られる」と懸念したりする声が経済界にくすぶっている。
 経済界はかつて、自民党への政治献金について「自由主義経済体制の維持を目指すもの」という大義名分を掲げていたが、冷戦の終わりで通用しなくなった。そのため90年代以降は「政治献金は企業の社会貢献」という言い分になった。だが実際には、経済界が求める政策を実現する手段としての献金、という性格はぬぐえない。
 企業・団体献金は政治腐敗や疑惑の温床となる、あるいは政策をゆがめるとして批判を浴びてきた。だからこそ、政党交付金の導入を機に政治家個人への企業・団体献金を廃止する方向で与野党が合意した経緯がある。なのに現実には継続されてきた。
 企業献金には、株主や社員からの批判も強い。多様な政治意識を持つ利害関係者を無視した献金をいつまでも続けていいはずがない。
 民主党は「3年後の企業・団体献金の廃止」を掲げて総選挙に臨む。その法改正が実現すれば選択の余地はない。そうした流れを考えても、そろそろ決断の場面だろう。
 経営者も期待する政策の推進や政党を応援する自由はある。だが、会社の金ではいけない。個人の自由な献金で政治を支える文化を育む方向にかじを切るべき時ではないか。

(10)企業献金は本来「法的」には許されないが、「政策」的にも企業の政治献金は中止すべきだ。
だから、法律による全面禁止が行われる前に、中止べきである。

(11)企業献金を中止するということになれば、企業のカネで会社役員が献金することも、企業が政治資金パーティー券を購入することも、中止するべきである。

企業と経済界は、カネで、政治や選挙の過程をこれ以上歪めてはならない!
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