上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

2010年04月

検察審査会の小沢一郎「起訴相当」議決における審査補助員と自称「審査申立て人」についての雑感

1.審査補助員の弁護士についての雑感

(1)小沢一郎民主党幹事長の土地取引疑惑の件で東京第5検察審査会が「起訴相当」と議決したことについては、感情に基づき「情況証拠」だけで「共謀共同正犯」と結論づけている、との感想をすでに書いた。

(2)このような私見に対しては、「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため」に検察審査会がある(検察審査会法第1条)ことを踏まえないものであり、検察審査会の存在意義を否定する意見ではないか、との批判があるかもしれない。
検察審査会法第4条 検察審査会は、当該検察審査会の管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する者の中からくじで選定した11人の検察審査員を以てこれを組織する。

確かに私も、民意を反映させることの重要性を認めているからこそ、これまで何度も検察審査会に審査の申立てをしてきた。

(3)しかし、この度の東京第5検察審査会の議決書を見ると、「議決書の作成を補助した審査補助員」の「弁護士」がいたことに注意しなければならない。

検察審査会法は、「審査補助員」につき、以下のように定めている。
第39条の2 検察審査会は、審査を行うに当たり、法律に関する専門的な知見を補う必要があると認めるときは、弁護士の中から事件ごとに審査補助員を委嘱することができる。
2 審査補助員の数は、1人とする。
3 審査補助員は、検察審査会議において、検察審査会長の指揮監督を受けて、法律に関する学識経験に基づき、次に掲げる職務を行う。
1.当該事件に関係する法令及びその解釈を説明すること。
2.当該事件の事実上及び法律上の問題点を整理し、並びに当該問題点に関する証拠を整理すること。
3.当該事件の審査に関して法的見地から必要な助言を行うこと。
4 検察審査会は、前項の職務を行つた審査補助員に第40条の規定による議決書の作成を補助させることができる。
5 審査補助員は、その職務を行うに当たつては、検察審査会が公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため置かれたものであることを踏まえ、その自主的な判断を妨げるような言動をしてはならない。

第40条 検察審査会は、審査の結果議決をしたときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を当該検察官を指揮監督する検事正及び検察官適格審査会に送付し、その議決後7日間当該検察審査会事務局の掲示場に議決の要旨を掲示し、且つ、第30条の規定による申立をした者があるときは、その申立にかかる事件についての議決の要旨をこれに通知しなければならない。

(4)つまり、議決書の作成は、「法律に関する専門的な知見」を有する「弁護士」が「補助」して書き上げられたものなのである。

それゆえ、「起訴相当」の議決をするのであれば、その理由づけにおいて、きちんと法律の構成要件を踏まえ、証拠に基づいていることが国民にもわかるように 議決書が書かれるべきであった。

だからこそ、私は、この事件の証拠関係資料を読めない以上、議決書の文章そのものを前提にして、辛口の感想を書いたのである。

(5)実は、議決書を読んだ第一印象として、「審査補助員」となって議決書の作成を補助した弁護士は、新米の弁護士か、さもなければ刑事事件を得意としない弁護士だろうと思い込んでいた。

ところが、この弁護士は、弁護士になる前は大学の教員、その前は裁判官、その前は検事だったことを知った。
(日弁連には、検索すると同姓同名の弁護士はほかにいなかったが、ここで書いた情報に間違いがあれば、お知らせください。文章を訂正いたします。)

そこで、疑問が生じた。

このような経歴の弁護士が議決書の作成を「補助」したのに、何故、議決書が感情的で「情況証拠」にのみ基づいた「起訴相当」の結論になったのだろうか、と。

(6)3つの可能性がある。

一つ目は、「審査補助員」の弁護士の補助的発言をほとんど無視して、検察審査会の審査委員11名全員が感情むき出しで結論もその理由も書き上げてしまった、というもの。

二つ目は、「審査補助員」の弁護士が「情況証拠」でも十分「起訴相当」議決が可能だという考えを持っていた、というもの。

三つ目は、「審査補助員」の弁護士は、日ごろは理性的だが、この事件では、何らかの理由で自らの感情に基づいて「補助」してしまった、というもの。

さて、どの可能性が現実だったのであろうか?

検察審査会は「審査補助員」を必ず委嘱しなければならないわけではない。
それゆえ、東京第5検察審査会があえて「委嘱」した以上、審査委員11名全員が、前述のようなキャリアのある弁護士(審査補助員)の「補助」を無視するという可能性は低いのではなかろうか!?

では、第二か第三の可能性が現実だったのか!?

審査補助員は、検察審査会が弁護士会にお願いして「委嘱」することになるので、弁護士会内でどのようにして人選されるのか、私にはわからない。
たまたまこの弁護士になったと受けとめるしかないのだが・・・。

(7)それとは別に、気になるのは、この弁護士が所属する法律事務所の「40周年祝賀会」が今年3月25日に開催され、自由民主党総裁の谷垣禎一衆議院議員ら(中井洽・国家公安委員長らも)が来賓として挨拶していることである。

今年3月25日といえば、東京第5検察審査会が審査している時期である。

これが審査補助員の弁護士の「補助」に影響がなかったものと信じるしかないだろうが、そのような法律事務所にあえて就職した人物だと受けとめていいのだろうか?

(8)私には、なかなか明快な答えが出ない。



2.自称「審査申立人」についての雑感

(1)この度の議決書を見ると、審査申立人が匿名である(「甲」と記してある)ため、審査申立人が誰なのか不明である。

鳩山由紀夫首相の政治資金規正法違反容疑の議決書でも、審査申立人には、匿名の者が含まれていた

小沢氏の場合には、匿名の者一人だけである。

(2)複数の検察審査会に質問したところ、審査申立人については、議決の原本は本名が記されているが、公表される「議決の要旨」には匿名で記される場合があるようだ。

匿名で記されるのは、審査申立人本人が匿名を希望し検察審査会がその意を受け入れた場合と、審査会があえて匿名にした方が良いと判断した場合である。

今回の匿名記載は、このいずれかのようだ。

(3)マスコミ報道では、市民団体が審査申立てをしていたと報じるものがある。
審査申立て人は「甲」一人だけなので、「甲」は市民団体の代表者あるいはそのメンバーなのかもしれない。

(4)ところで、たまたま提供された情報によると、小沢氏につき東京第5検察審査会に審査申立てをしたとインターネット上で(氏名を公表したブログで)公言している人物がいる。

その人物は、男性で、右翼の政治団体らしき団体の代表者である。

ところが、本当にこの度の議決における審査申立人なのか、私は疑問をいだいている。

(5)その第一の理由。
その人物は、そもそもこの事件で刑事告発をしていないようなのだ。
だが、この事件で検察審査会に申立てできるのは、「告発をした者」でなければならない。

検察審査会法によると、審査の申立てについて以下のように定めている。
第5章 審査申立て
第30条 第2条第2項に掲げる者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会にその処分の当否の審査の申立てをすることができる。・・・・・(略)・・・

第2条 検察審査会は、左の事項を掌る。
1.検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項
2.検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項
2 検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被つた者(・・・)の申立てがあるときは、前項第1号の審査を行わなければならない。

事務局はとりあえず、受理したのかもしれないが(!?)、東京第5検察審査会は、この人物が刑事告発をしていない以上、この人物の審査申立てを最終的に受理したとは思えない(検察審査会は却下した)。

(6)第ニの理由。
インターネット上で審査の申立てを公言している人物は、審査申立ての受理書もインターネットで公表しているのであるが、当該人物がブログで公表している受理書における番号は、小沢氏についての東京第5検察審査会の議決書における事件番号と異なるのである。
後者は「(申立)第10号」であるが、前者はこの番号ではない。
この番号は、一致しなければならない。

一致しないということは、東京第5検察審査会の議決における審査申立人は、ブログで公表している自称「審査申立人」ではなく、当該人物以外の方だろう。

(7)小沢氏には「起訴相当」議決が出たため、東京第5検察審査会への審査申立て人が誰なのか、注目されるかもしれない。
現に大きな勘違いをしたアクセス者がちらほら出ているようだ。

(8)なお、この人物がインターネットで公表している受理書には、審査申立人の氏名が明記されていない。
本人がその部分を隠して公表したのだろう。

ブログでは本名を公表しているのだから、審査申立人の本名が受理書に明記されているのであれば隠す必要はないと思うのだが・・・。

また、本人のブログでは、まだこの度の議決に関する投稿はみられない。


(追記:自称「審査申立人」のブログに書かれている氏名は、本名ではなく、「ニックネーム」のようです。私の見落としかもしれません。これについては、後日、書きます。2010年5月2日10時39分)

総務省が「現職国会議員の国会議員関係政治団体名簿」を公表!

(1)「政治団体名簿」で総務官僚らが金儲けをしていることについて、先日、新聞報道を紹介し、私見を補足説明しておいた。

その記事には、総務省の担当者が「近くホームページでリストを公表したい」と回答したことが紹介されていた。

(2)そしてついに、国会議員関係政治団体の名寄せリストが、総務省HPで公表されたようだ。

そのトップページの真ん中右端の「なるほど!政治資金」をクリックする。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/index.html

そうすると、右下に「現職国会議員の国会議員関係政治団体名簿」というのが出てくる。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000064323.pdf

現職国会議員の国会議員関係政治団体一覧について
※ 平成21年12月31日までに、現職(平成22年3月1日時点)国会議員の国会議員関係政治団体に該当するものとして届出がなされ、

※ 氏名欄の括弧書きの氏名は、届出上の氏名である。
※ 団体名欄の括弧書きは、同一の名称の団体があるため代表者名を記載している。
※ 区分欄の適用については、下記のとおりである。
  1:政治資金規正法第19条の7第1項第1号に係る国会議員関係政治団体
  2:同法第19条の7第1項第2号に係る国会議員関係政治団体
  1・2:同法第19条の7第1項第1号に係る国会議員関係政治団体かつ同法第19条の7第1第2号に係る国会議員関係政治団体


これは、報じた記者の成果の一つであろう。

(3)この一覧に掲載されている国会議員関係政治団体は、前掲の説明によると、以下になる。

衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者が代表者である政治団体」(政治資金規正法第19条の7第1項第1号)、
租税特別措置法 (・・・)第41条の18第1項第4号に該当する政治団体のうち、特定の衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者を推薦し、又は支持することを本来の目的とする政治団体」(同条項第2号)。

なお、同法第2項によると、「この節の規定(・・・・)の適用については、政党の支部で、公職選挙法第12条に規定する衆議院議員又は参議院議員に係る選挙区の区域又は選挙の行われる区域を単位として設けられるもののうち、衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者が代表者であるものは、それぞれ一の前項第一号に係る国会議員関係政治団体とみなす。」とされていることに注意する必要がある。

この名簿が公表されたことで、従来に比べれば、一般庶民もマスコミの記者も、無料で政治家の関係する政治団体を知ることができ、かつ、政治家の政治資金集めの”実態”を調べるのに便利になったといえよう。

(4)とはいえ、問題がないわけではない。

特に問題になるのは、「政治資金規正法第19条の7第1項第2号」の国会議員関係政治団体である。
以前、紹介したように、この国会議員関係政治団体であることを逃れようと画策する政治団体があるからだ。

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51113453.html

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51118900.html

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51248703.html

したがって、これで、国会議員の政治団体の”完全な名寄せ”になるのか、政治家の政治資金集めの”実態”が明らかになるのか、疑問がないわけではない。

「租税特別措置法 (・・・)第41条の18第1項第4号に該当する政治団体のうち、」という文言を削除する法律改正が求められるが、そのためにも、「逃れ」を批判するマスコミの厳しいチェックを期待したい。

(5)加えて、総務省に期待及び要望したいことがある。

それは、この「現職国会議員の国会議員関係政治団体名簿」から各政治団体の政治資金収支報告書にジャンプしてアクセスできるようにしてほしいということである。

法律改正が必要であれば、すでに提案しているように、政治資金規正法の抜本改正の中にそのことを盛り込めばいいだろう。

(6)ほかにも問題があるが、それは、別の機会に書くことにしよう。

検察審査会の小沢一郎「起訴相当」議決には2度驚いた!

(1)小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件で、東京地検特捜部は、今年2月4日、当時の事務担当者・石川知裕衆議院議員ら3名を起訴し、小沢氏を不起訴にした。
告発人は、小沢氏につき検察審査会に審査の申立てをしていた。

(2)検察審査会の議決がそろそろ出ると予想されていた一昨日(4月16日)、小沢氏は、自らの潔白を記者会見で述べていた。
時事通信社(2010/04/26-20:38)
「検察審は冷静判断を」=議決前に異例の言及−小沢氏

 民主党の小沢一郎幹事長は26日の記者会見で、自身の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、検察審査会が近く議決を出す見通しであることについて「(東京地検特捜部による)1年間の強制捜査によって、結果として私は潔白を証明してもらった。検察審査会もそのことを冷静に受け止めて判断いただければいい」と述べた。
 検察審査会は、小沢氏を不起訴(嫌疑不十分)とした東京地検の処分の妥当性について審査しており、近く判断を示すとみられる。政権の実力者である小沢氏の発言は、審査会の議決前に「不起訴相当」とするよう圧力を掛けたとも受け取れ、問題視する声が上がりそうだ。
 小沢氏は会見で「私は不正な献金は一切受け取っていない。脱税しているわけでもない」と改めて強調した。

(3)しかし、昨日(4月27日)、検察審査会は、「起訴相当」の議決を下した。
読売新聞(2010年4月27日18時57分)
小沢民主党幹事長「起訴相当」議決の要旨

 小沢一郎・民主党幹事長に対する東京第5検察審査会の議決の要旨は次の通り(敬称略)。

 被疑者 小沢一郎

 不起訴処分をした検察官 東京地検検事 木村匡良

 議決書の作成を補助した審査補助員 弁護士 米沢敏雄

 2010年2月4日に検察官がした不起訴処分(嫌疑不十分)の当否に関し、当検察審査会は次の通り議決する。

 【議決の趣旨】
 不起訴処分は不当であり、起訴を相当とする。

 【議決の理由】

 第1 被疑事実の要旨

 被疑者は、資金管理団体である陸山会の代表者であるが、真実は陸山会において04年10月に代金合計3億4264万円を支払い、東京都世田谷区深沢所在の土地2筆を取得したのに、
 1 陸山会会計責任者A及びその職務を補佐するBと共謀の上、05年3月ころ、04年分の陸山会の収支報告書に、土地代金の支払いを支出として、土地を資産として、それぞれ記載しないまま総務大臣に提出した。
 2 A及びその職務を補佐するCと共謀の上、06年3月ころ、05年分の陸山会の収支報告書に、土地代金分が過大の4億1525万4243円を事務所費として支出した旨、資産として土地を05年1月7日に取得した旨を、それぞれ虚偽の記入をした上で総務大臣に提出した。

 第2 検察審査会の判断

 1 直接的証拠
 (1)04年分の収支報告書を提出する前に、被疑者に報告・相談等した旨のBの供述
 (2)05年分の収支報告書を提出する前に、被疑者に説明し、了承を得ている旨のCの供述

 2 被疑者は、いずれの年の収支報告書についても、その提出前に確認することなく、担当者において収入も支出も全て真実ありのまま記載していると信じて、了承していた旨の供述をしているが、きわめて不合理、不自然で信用できない。

 3 被疑者が否認していても、以下の状況証拠が認められる。
 (1)被疑者からの4億円を原資として土地を購入した事実を隠蔽(いんぺい)するため、銀行への融資申込書や約束手形に被疑者自らが署名、押印をし、陸山会の定期預金を担保に金利(年額約450万円)を支払ってまで銀行融資を受けている等の執拗(しつよう)な偽装工作をしている。
 (2)土地代金を全額支払っているのに、土地の売主との間で不動産引渡し完了確認書(04年10月29日完了)や05年度分の固定資産税を陸山会で負担するとの合意書を取り交わしてまで本登記を翌年にずらしている。
 (3)上記の諸工作は被疑者が多額の資金を有していると周囲に疑われ、マスコミ等に騒がれないための手段と推測される。
 (4)絶対権力者である被疑者に無断で、A、B、Cらが本件のような資金の流れの隠蔽(いんぺい)工作等をする必要も理由もない。
 これらを総合すれば、被疑者とA、B、Cらとの共謀を認定することは可能である。

 4 更に、共謀に関する諸判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を有する被疑者の地位とA、B、Cらの立場や上記の状況証拠を総合考慮すれば、被疑者に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能である。

 5 政治資金規正法の趣旨・目的は、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せ、これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある。
 (1)「秘書に任せていた」と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか。
 (2)近時、「政治家とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり、市民目線からは許し難い。

 6 上記1ないし3のような直接的証拠と状況証拠があって、被疑者の共謀共同正犯の成立が強く推認され、上記5の政治資金規正法の趣旨・目的・世情等に照らして、本件事案については、被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。これこそが善良な市民としての感覚である。よって、上記趣旨の通り議決する。
    ◇
 要旨中のAは小沢氏の元公設第1秘書・大久保隆規被告、Bは陸山会元事務担当者で衆院議員の石川知裕被告、Cは同会元事務担当者の池田光智被告

なお、審査申立人は市民団体と報じられていたが、匿名の個人のようだ。本当に市民団体なのだろうか?(市民団体の代表者だろうか?)

(4)国会議員の刑事責任の問題と政治的・道義的責任の問題はそれぞれ別々に考えなければならないことは、すでに述べてきた。

以下は、そのことを前提に読んでいただきたい。

また、私は検察の証拠資料を一切見ていないので、検察審査会の議決書だけを読んで感想を書くことも了解していただきたい。

(5)この事件は、”常識”的には「起訴相当」議決が出ることは難しいと予想される事案であった。

検察は半年以上にわたる捜査で3人も逮捕し、家宅捜索も行っていた。

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51311364.html

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51312404.html

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51312678.html

そのうえで、検察は、「嫌疑不十分」で「不起訴」としたと考えるのが”常識”だ。
捜査は尽くされているし、有罪にする十分な証拠がないと判断したのだろう。
私たちが刑事告発した二階大臣らの西松建設違法献金事件とは、この点が全く異なる。

それゆえ、この度の検察審査会の「起訴相当」議決の一報を聞いて驚いた。

(6)しかしまた、「議決の理由」を読んで、また驚いた。
「情況証拠」しか挙げられていないのに小沢氏の「共謀共同正犯」を結論づけているからだ。

「直接的証拠」として会計責任者やその職務を補佐した者が「収支報告書を提出前に」小沢氏に「説明し」、小沢氏の「了承を得ている」ことが挙げられている。
だが、これは、「虚偽の報告」をすることを「説明し」「了承を得ている」、ということではないから、証拠としては十分であるとは言いがたい。

(事前のマスコミの一部報道では、「虚偽の報告」をすることを「説明し」「了承を得ている」とする供述調書がある旨、報道されていた。
それが真実であれば、「起訴相当」も理解できる。
だが、「議決の理由」では、そう記述されてはいない(記述の仕方が悪いのか?)。
事前にマスコミの取材を受けていた。
そのときには、前述の”常識”を説明し、例外として「起訴相当」議決が出るのは、一部マスコミ報道のような供述調書がある場合であると答えておいた。)

「絶対権力者」である小沢氏に「無断で」「隠蔽工作等をする必要もない」等として「起訴相当」の議決が出たのは、素朴な国民感情でいえば理解できなくもない。
だが、憲法及び刑事法の立場からすると、決定的な証拠とは言いがたい。

「疑わしきは罰せず」だからだ。

感情的な表現が随所に出てくるが、そのような感情に基づき「情況証拠」だけで「起訴相当」とするのは、無理があるのではないだろうか。

(7)この度の検察審査会の「起訴相当」議決を受けて東京検察特捜部は補充捜査をすることになる。

だが、ほかに決定的な証拠がない限り、検察は再び「嫌疑不十分」で「不起訴」にする可能性が高いのではなかろうか。

(8)一方、国民主権主義および議会制民主主義の立場からすると、小沢氏はこの事件で十分な説明責任を果たしてきたわけではない。
検察審査会が、小沢氏の供述は「きわめて不合理、不自然で信用できない」と指摘しているのは、この点では頷ける。
政治的不信を払拭するには、説明が不十分だ。
また、元会計責任者らは虚偽記載の罪を認めているから、小沢氏には、それに対する政治的な監督責任もある。

この度「起訴相当」議決が出たことで、小沢氏は国会で事件について説明しなければいけない事態に追い込まれるかもしれない。
7月に予定されている参議院議員通常選挙を考えると、この度の「起訴相当」議決は選挙への負の影響は大きいだろうから、民主党は勝利したいのであれば政治的判断が求められるだろう。
小沢氏は幹事長続投を表明しているが、最終的には幹事長の辞任を迫られるかもしれない。

(9)だが、小沢氏が幹事長を辞任するにせよ、しないにせよ、国民は、政党・政治家が根本的な対策を採らない限り、自民党政権時代と同じで、政権交代の意味を実感できず納得しないだろうから、鳩山内閣と民主党の支持率はさらに急落するだろう。

「政治とカネ」の問題では、これまで「秘書のせい」にされて終わってきた。
だが、そうさせないためには、民主党は、マニフェストで約束した企業・団体献金の全面禁止は言うまでもなく、会計責任者に対する政治家の監督責任も強化する等、政治資金規正法の抜本的な改正をせざるを得ない状況にあることは間違いないだろう。

これについては、また別の機会に書くことにしよう。

(10)今朝の東京新聞、日経新聞、神戸新聞で、私のコメントが掲載されていると思うが、その趣旨は、この投稿で書いた以上のような内容である。

「政治団体名簿」で総務官僚が金儲け

(1)総務官僚らが「政治団体名簿」を作成・販売して金儲けしていたという。
朝日新聞2010年4月27日朝刊社会面】
【総務省職員、未公表リストで副業/天下り法人から報酬  

 総務省が全都道府県に指示して集め、未公表だった国会議員の関連政治団体リストが、同省の「天下り法人」の発行する「政治団体名簿」に流用されていた。名簿は同省職員が「副業」で編集し、1部3千円で販売されている。朝日新聞の取材に対し同省の担当者は「団体名は都道府県公報などで個別に公開されているので法的に問題ないが、様々な声があるので、近くホームページでリストを公表したい」とした。
 リストが流用されていたのは、総務省所管の財団法人「地方財務協会」(東京)が昨年6月に発行した「政治団体名簿」の2009年版。従来収録していた同省所管の政治団体などに加え、同省や各都道府県の選挙管理委員会に届けられた、国会議員と関係の深い政党支部や後援会など2千超の団体が議員別に収録されている。同協会は旧自治省の事務次官経験者2人が理事長と会長を務めるほか、総務省OBが再就職している。
 「政治団体名簿」は、同省政治資金課の職員らが任意でつくる「政治資金制度研究会」が「勤務時間外の作業」(同課)で編集。09年版では協会から報酬として12万2千円を受け取ったという。名簿は1100部発行され、自治体が購入するほか、個人も書店に注文すれば入手できる。
 同課などの説明では、政治資金規正法の改正で、国会議員に関係する政治団体の届け出制度が08年10月に始まったのを受け、同課が09年2月、各都道府県に08年末時点の届け出状況を報告させてリストを作成。だが、報道機関や一般に公表せず、総務省所管分以外は、問い合わせがあっても回答していなかった。
 地方財務協会は1946年設立。政治団体名簿は80年代から毎年出版し、当時から旧自治省職員が編集に携わってきたという。(宮武努)
 政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大大学院教授の話 それぞれの政治家がどんな政治団体を持っているかというのは、本来、国が責任を持って公表すべき情報。それを金もうけの手段にするとは、とんでもない話だ。官僚が法律の解説本を書くというならまだわかるが、これは明らかに官僚だから知り得たデータそのもの。許し難い。

(この記事は関西圏だけ掲載され、例えば東京本社版では掲載されていないようだ。)

(2)政治資金収支報告書を実際に見てみよう、あるいは調べてみようと思ったことのある国民やマスコミの記者であれば、ご存知のことであるだろうが、政治家の政治団体(資金管理団体を含む)がどのような名称なのか、多数ある政治団体のうち、それぞれが誰(政治家)の政治団体なのかを知ることに、とても手間取ってしまう。

それをすぐに知ることができるのは、「政治団体名簿」である。
しかし、これは有料で販売されてきた。

一人の政治家の政治資金の実態を総合的に把握するのは、大変だ。
政治団体の政治資金収支報告書は、総務大臣に届けられるものと各都道府県の選挙管理委員会に届けられるものとがあるからだ。

そこで、政治家の政治団体の「名寄せ」をするために法律改正がなされ、各政治家の「国会議員関係政治団体」が届出されるようになった。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/todokede/index.html

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/todokede/gaiyou.html

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/todokede/kakunin.html

各政治家の「国会議員関係政治団体」には具体的にどのようなものがあるのかを知ることが重要になるが、これも「政治団体名簿」にまとめられたようだ。
これまで同様、有料で販売されているという。

(3)政治資金収支報告については、国民がこれを見て政治家らを監視することになるから、当然、同報告は国民に公開されなければならない。

そのとき、各政治家の政治団体がどのような名称なのか、どの政治団体が誰の政治団体なのか、すぐにわからなければ、すぐに見たい政治家の報告書を入手して監視することはできない。

そのためには、総務省は、全国の各政治団体が誰の政治団体なのか、各政治家の政治団体がどの政治団体なのか、すぐにわかる一覧表(総務大臣への届出分だけではなく各都道府県の選挙管理委員会への届出分も)を作成して、国民が容易に情報公開請求できるようにしなければならない(インターネットでも公開しなければならない)。
つまり、それは国の責任で行う必要があるのだ。

政治団体の情報は「官報」や「都道府県公報」で公表されているとはいえ、それを一人でまとめるのが容易でないから、それをまとめた「政治団体名簿」が必要になるし、国民やマスコミはそれを購入してきたのである。
しかし、これは、本来、国がきちんとまとめて主権者国民に無償(無料)で公表すべき情報なのである。

(4)ところが、それを怠り、総務省政治資金課の官僚らが任意でつくる「政治資金制度研究会」が情報収集し、総務省の官僚らが天下りする財団法人「地方財務協会」がそのリスト(「政治団体名簿」)を販売して金儲けをし、官僚らは同協会から報酬を受け取っていたのである。

国民にはわざわざ不便を強いておき、それに乗じて総務官僚らは天下り団体を確保し、金儲けしていたのである。

(5)総務省は、朝日新聞の記者の粘り強い取材を受け、「近くホームページでリストを公表したい」と態度変更したようだ。

記者の熱意と地道な取材に拍手を送りたい。

(6)どうしても「政治団体名簿」を作成する必要があるし、国民もそれを求めているというのであれば、国がそれを作成し、原価で販売すればよい。

官僚らの金儲けにしてはならない。

(7)ところで、財団法人「地方財務協会」はどのような法人で、本当に必要な法人なのだろうか!?
調べてみる価値があるかもしれない。

検察審査会が鳩山首相ら「不起訴相当」議決と異例の付記

(1)鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金事件で、東京第4検察審査会は、首相らの「不起訴」を「相当」と議決した。
この「不起訴相当」議決は、当然予想される議決内容であった。
証拠がない限り鳩山首相らの刑事責任が問えないのは憲法・刑事法上当然のことである。
読売新聞(2010年4月27日00時08分 )
首相「不起訴相当」…検察審査会議決の要旨

 鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金事件で、首相の不起訴を「相当」とした東京第4検察審査会の議決(26日公表)の要旨は次の通り。

 【勝場啓二元公設第1秘書の供述調書】
 鳩山(首相)は、事務所の経理にはほとんど興味はなく、自分からも鳩山に政治資金収支報告書を見せたことはない。ごくまれに政治資金に関する不祥事が報道された際などに、「うちは大丈夫か」と聞かれ、「ご安心下さい」などと答えていた。
 虚偽の収支報告書を作成したのは2000年からで、政治資金規正法が改正され、同年1月から会社、労働組合からの寄付が禁止され、収入が減って資金繰りが苦しくなり、鳩山個人からの資金の持ち出しが多くなった。鳩山からは、いつも自分を頼るんじゃなくて、ちゃんと資金を集めてもらいたい旨の苦言を言われていたことから、これ以上鳩山に頼みにくくなり、個人献金やパーティー収入の水増しなどの虚偽の記入を始めるに至った。
 【虚偽記入の容疑】
 関係者の供述は、収支報告書の虚偽記入は元公設第1秘書以外の者は知らず、鳩山首相は一切関与していないということで一致している。首相自身が虚偽の記入に積極的に加担しなければならない動機も見いだしがたく、他の証拠を検討してもこれを否定あるいは覆すに足りる証拠はない。
 なお、虚偽記入には直接関係しないが、一連の証拠によれば、2002年頃から09年5月まで、首相の政治団体には、首相の母から毎月1500万円、1年間で1億8000万円が拠出されており、母からの資金が入金されるようになってから、首相個人が政治団体に拠出する資金が極端に減少し、さらに年々減少してきている事実が認められる。それにもかかわらず、首相は、虚偽記載の事実を知らなかっただけでなく、母からの莫大(ばくだい)な資金が使われていることも全く知らなかったという。しかし、当審査会としては、素朴な国民感情として、このようなことは考えがたいとし、首相自身に対して検察官の取り調べがなされなかったことも相まって、首相の一方的な言い分にすぎない上申書の内容そのものに疑問を投げかける声が少なからずあったことを付言する。
 【会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠った容疑】
 会計責任者だった元政策秘書は首相の側近として長年にわたって重要なポストについており、首相からの信頼が相当厚いことが推測される。人柄、能力といった面において問題がある人物だとは考えられず、首相が元政策秘書を会計責任者として選任したことについて相当の注意義務を怠ったということはできない。
 政治団体の代表者が政治資金規正法25条2項の適用を受けるのは、代表者が会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときである。「選任及び監督」の「及び」とは、選任と監督のどちらか一方の要件を充足すればよいということではなく、両方を充足しない限り責任を問うことはできない。選任において問題がないとの結論に至った以上、監督面について検討するまでもなく、刑事責任を問うことはできない。
 なお、当検察審査会の審査においては、「この要件は、政治家に都合のよい規定になっている。選任さえ問題がなければ監督が不十分でも刑事責任に問われないというのは、監督責任だけで会社の上司等が責任を取らされている世間一般の常識に合致していないので、本条項は改正されるべきである」との意見が強く主張されたので付言する。

なお、検察審査会に申立てをしていたのは、市民団体と報じられてきたが、そうなのだろうか?
審査申立人は3つのグループに分けられるようだ。
一つは政治団体のメンバーらしきグループ、2つ目は匿名のグループ、最後は一人だけ。

(2)私が注目したのは、「不起訴相当」議決の結論ではなく、その中で意見が付記されていたことである。

その一つは、「当審査会としては、素朴な国民感情として、このようなことは考えがたいとし、首相自身に対して検察官の取り調べがなされなかったことも相まって、首相の一方的な言い分にすぎない上申書の内容そのものに疑問を投げかける声が少なからずあったことを付言する。」というものである。
検察が鳩山首相本人につき直接事情聴取するのではなく、上申書で済まされたことに対しては、「素朴な国民感情」として納得できないだろう。
これについては、すでに指摘しておいた

(3)二つ目は、政治団体の代表者が政治資金規正法25条2項の適用を受けるのは、代表者が会計責任者の「選任及び監督」について相当の注意を怠ったときであるという規定につき、「当検察審査会の審査においては、「この要件は、政治家に都合のよい規定になっている。選任さえ問題がなければ監督が不十分でも刑事責任に問われないというのは、監督責任だけで会社の上司等が責任を取らされている世間一般の常識に合致していないので、本条項は改正されるべきである」との意見が強く主張されたので付言する。」というものである。

私が最も注目したのは、この付記だ。

企業における責任論と刑事における責任論とを一緒にしている点については、正直言って疑問であるが、結論として、政治団体である代表者の監督責任が現行法では問えないので、選任責任と監督責任を分離する法律改正を主張しているのは、当然の意見だろう。
現行法は、「選任」と「監督」の両者につき「相当の注意を怠ったとき」と定めているので、監督責任だけでは刑事責任が問えない。
それゆえ、当該規定は死文化している。
この点は、政治資金オンブズマンも政治資金規正法改正として提言していることである。

(4)検察審査会が法律改正の意見を付記したのを、私は聞いたことがない。
異例ではなかろうか!?
政治家・政党は、この意見を真摯に受け止め、企業・団体献金全面禁止を中心として、政治資金規正法の抜本改正を速やかに行うべきである。

(5)民主党の小沢一郎幹事長についても検察審査会への申立てがなされており、検察審査会の議決が出るようなので、以上の続きは、その議決の報道を受けてから、述べることにする。

(6)以下は、私のコメントが紹介された新聞報道である。
毎日新聞 2010年4月27日 東京朝刊
鳩山首相団体偽装献金:首相「不起訴相当」 議員ら、参院選へ影響注視

 ◇民主「不幸中の幸い」 自民「権力への迎合」
 「ほっとした」「残念だ」−−。鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」を巡る政治資金規正法違反事件で、東京第4検察審査会が26日、鳩山首相について「不起訴相当」とする議決を公表したことを、今夏参院選の候補者たちはさまざまに受け止めた。審査会は一方で、規正法を「世間一般の常識に合致していない」と強く批判。近く別の審査会による小沢一郎民主党幹事長に対しての議決も予想され、その結果が注目される。
 裁判官や検事などの経験がある民主党の小川敏夫参院議員(62)は「ほっとした」。7月と見込まれる参院選で改選を迎えるが、22日には鳩山首相の元公設第1秘書に有罪判決が言い渡されたことから「(議決は)不幸中の幸い」と話した。
 同じく民主公認で改選の加藤敏幸参院議員(61)は「あまり意識はしていなかった」。選挙への影響についても「報道などは政治とカネや普天間に焦点を絞っているが、現政権はさまざまな政治課題に愚直に取り組んでいる。夏までにプラスの要素はもっと起こり得る」と期待する。
 一方、民主から参院選に立候補予定のジャーナリスト、有田芳生氏(58)は「小沢さんの件がどうなるか。そこまで見ないと、(選挙への影響は)分からない」と懸念する。
 自民党公認で参院選に臨む予定の松浪健四郎前衆院議員(63)は「権力に迎合するような結果になったことを残念に思う」。一方で選挙については「今のままなら鳩山首相が残ってくれた方がやりやすい」と話した。
 同じく自民公認で出馬予定の猪口邦子元少子化担当相(57)は「街角で有権者と話すと首相の金銭感覚が一般市民とかけ離れていると実感できる。資金の使い道などに不透明さが残ることを国民は分かっている」と指摘。
 みんなの党幹事長の江田憲司衆院議員(53)は「巨額の資金が何に使われたのかは不明なままだ。司法の場で一区切りついたのだから、鳩山首相は国会で説明責任を果たすべきだ」と主張した。【曽田拓、前谷宏】

 ◇問題幕引き「お墨付き」を懸念
 審査会は、00年に企業・団体献金が制限され個人的な持ち出しが多くなった鳩山氏から「いつも自分を頼るんじゃなくて、ちゃんと資金を集めてもらいたい」と苦言を呈された元公設第1秘書の勝場啓二被告(59)が虚偽記載を始めたと指摘。「関係者の供述は鳩山氏は一切関与していないということで一致し、鳩山氏自身が加担しなければならない動機も見いだしがたい」などとして、鳩山氏の不起訴を相当と結論付けた。
 議決書は21日の議決後に文案が検討され、審査員が26日に署名し公表された。審査員は5回以上議論し、証拠に基づき冷静に結論を導き出したとされる。これで首相が今回の事件で起訴される可能性は事実上なくなった。だが、審査員たちは不起訴相当の結論が「政治とカネ」の問題の幕引きに「お墨付き」を与えることを懸念し、母からの資金提供などを知らなかったとする首相の説明に対し「素朴な国民感情として考えがたい」と異例の付言をしたとみられる。
 付言を見ると、関与を否定した首相の説明とともに、事情聴取を行い真相を解明しようとしなかった東京地検特捜部の捜査に批判が出たことは確実だ。付言で政治資金規正法の改正にあえて言及したのも、大半の審査員の意見の反映だろう。
 上脇博之・神戸学院大大学院教授は「付言は、一般市民の素朴な意見として理解できる。政治資金規正法を抜本改正する責任を政治に課した点は画期的で意義深い」と話した。【三木幸治、鈴木一生、山本将克】
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 ■鳩山首相と偽装献金事件の経緯
2009年
 6月16日 友愛政経懇話会の収支報告書で、故人から献金を受けたとする記載が発覚
   30日 鳩山民主党代表側が計2178万円の虚偽記載があったとする調査結果を公表
 7月 3日 市民団体が政治資金規正法違反容疑で鳩山代表らの告発状を提出
 9月16日 鳩山内閣発足
   下旬 東京地検特捜部が捜査を開始
12月24日 特捜部が勝場啓二・元公設第1秘書を政治資金規正法違反で在宅起訴、会計責任者だった元政策秘書を略式起訴。鳩山首相は容疑不十分で不起訴処分に

2010年
 1月28日 市民団体が首相の不起訴を不当として検察審査会に審査申し立て
 3月29日 勝場被告の初公判、即日結審
 4月22日 東京地裁が勝場被告に禁固2年、執行猶予3年の有罪判決
   26日 東京第4検察審査会が「不起訴相当」とする議決を公表(議決は21日付)


なお、読売新聞でもコメントした。
少なくとも無料のインターネット版では公表されていないようだ。
共同通信でもコメントした。配信記事を使用した新聞社の紙面には私のコメントが掲載されている可能性がある(例えば神戸新聞と南日本新聞では掲載)。

「普天間基地」を「国外・県外へ」求める沖縄県民大会

(1)昨日(4月25日)、「普天間基地」を国外・県外へ求める沖縄県民大会が開催された。
当日の大会開催直前の沖縄タイムスと琉球新報の各社説と、大会開催直後の両紙の大会報道(翌日の報道で使用された写真のみ追加紹介)、大会翌日の両紙の各社説を紹介し、記録に残すことにしよう。
私見・感想は最後に簡単に書くだけにする。

(2)4月25日、沖縄県民大会当日の沖縄タイムスと琉球新報の各社説
沖縄タイムス2010年4月25日 09時55分
社説[歴史の節目に]宿命論と決別するときだ

 圧倒的な基地負担が沖縄の宿命であるはずがない。
 国による不合理な押し付けを拒否し、きょう、県内各地から多くの住民が県民大会に集う。
 米兵暴行事件に抗議して開かれた1995年の10・21県民大会以来の島ぐるみ運動だ。仲井真弘多知事をはじめ41市町村の全首長(2人代理)、政党、各種団体、市民が一丸となって米軍普天間飛行場の県内移設に反対の意思を表明する。
 「県外・国外移設」の可能性を十分に追求しない政府の不誠実な対応に抗議し、党派を超え世代を超えて「県内移設ノー」の意思を示すのは初めてである。その波紋は大きく広がるだろう。基地沖縄の宿命論に終止符を打つときだ。
 米兵暴行事件への対応策として、橋本龍太郎首相は「米軍の兵力構成について継続的に米側と協議する」との総理談話を発表したが、実現しなかった。小泉純一郎首相は2004年10月、普天間について「県外、国外の両方を考えていい」と発言したが、その8カ月後、「自分の所にはきてくれるなという地域ばかりだ」とあっさり撤回した。
 鳩山由紀夫首相が「最低でも県外」と公言したことで県民の期待はかつてなく高まった。
 普天間問題を考える上で最も重要な要素は、政権交代によって生じた住民意識の変化である。急浮上した辺野古修正案であれ勝連沖埋め立て案であれ、県内移設はもはや不可能だ。歴史の歯車を後戻りさせるようなことがあってはならない。
 政府はこれまで沖縄の「地理的優位性」を強調し、米軍基地の必要性を主張してきた。台湾海峡に近く、北朝鮮から適度な距離にある、と政府関係者はいう。
 しかしその論に具体性は乏しい。沖縄駐留の海兵隊は約2000人の遠征隊を動かす編成で、任務は紛争地での自国民救出など限定的だ。
 海兵隊を運ぶ艦船は長崎県佐世保に配備されている。朝鮮半島情勢が悪化したとき、船は佐世保からいったん南下して沖縄で隊員や物資を載せ、再び北上する。北朝鮮を警戒するのなら九州中北部に海兵隊を集約させたほうがよっぽど合理的だ。
 海兵隊はアジア太平洋で広範に活動しており、絶えず日本をガードしてくれていると考えるのは都合のいい思いこみだ。「日米同盟=基地提供=沖縄」という固定観念は事実を直視しないために起きる幻想にすぎない。
 戦後日本は経済復興を優先した。安全保障については米国に多くを委ね、米軍駐留をすべての前提としてきた。それが外交・防衛の原則となり、「同盟管理」さえ間違えなければ日本は安心だと信じ込んできた。
 米軍がらみの事件事故で地位協定の問題が浮上し、それが主権にかかわる内容をはらんでいても、同盟が傷つかないよう沖縄だけの出来事として切り捨てられる。成熟した民主主義社会で、このような負担の不公平を放置し続けることは許されない。
 「アメとムチ」によって基地移設を押し付けられる地域は、住民同士の対立感情が深まり、崩壊の危機にさらされる。環境汚染が指摘されても地元自治体に基地内立ち入り調査の権限はない。
 基地問題は沖縄問題という地域限定の問題なのではない。この国のあり方が問われているのだ。

琉球新報2010年4月25日社説
4・25県民大会/差別と犠牲断つ転換点 結集し首相に英断迫ろう

 米海兵隊普天間飛行場の全面返還合意から14年。いまだ返還されず、県内で危険たらい回しの策動に明け暮れる日米両政府に対し、沖縄の人々の憤りが沸点に達した。
 読谷村内できょう25日に開催される県民大会は、世界一危険とされる普天間飛行場の国外・県外移設要求を主眼とし、超党派で異議申し立てをする意義深い大会となる。
 結集して民意を一段と鮮明にし、連綿と繰り返されてきた沖縄への差別と犠牲の歴史に終止符を打ちたい。

◆「捨て石」の危機再び
 沖縄は第2次世界大戦で本土防衛の「捨て石」とされた。多くの住民が地上戦に巻き込まれ、被爆地などと並ぶ大きな犠牲を払っている。戦後は米軍占領下で人権を踏みにじられ、憲法が保障する平和的生存権の枠外に置かれた。
 1972年の本土復帰後も広大な米軍基地は残り、戦闘機や輸送ヘリなどの激しい騒音に加え、悲惨な事故、残忍な事件が絶えない。
 国土面積の0・6%にすぎない島しょ県の沖縄に、在日米軍専用施設の74%が集中する現状。復帰後に限っても約5500件の犯罪が発生し、うち550件が凶悪犯という実態。理不尽なことこの上なく、主権国家と呼べまい。
 戦後の日米同盟は、国民に平和と繁栄をもたらしたとされる。そうであれば、沖縄の人々も恩恵に浴していいはずだ。実際には平和と繁栄を享受するのは本土の人だけで、沖縄は過重な基地負担を押し付けられてきた。
 この不平等の構図は、日本の安全保障が沖縄への差別意識と県民の犠牲の上に成り立っている証左であろう。民(たみ)の尊厳を等しく守り抜くことができない、いびつな安保というほかない。
 鳩山内閣を含む歴代政権が沖縄に米海兵隊を置く根拠とした「抑止力」の役割にも疑義がある。海兵隊は日本防衛ではなく、有事の際の米国人救出を主な任務としており、これは米側も認めている。
 沖縄に海兵隊が駐留するから沖縄を含む日本全体が守られている、と考えるのは幻想にすぎない。それなのに先週の党首討論では、相変わらずの抑止力論だ。
 谷垣禎一自民党総裁が「抑止力を維持するなら、選択肢は極めて限られてくる」と現行計画の履行を迫ると、鳩山由紀夫首相が「沖縄からあまり遠くまで海兵隊を移すのは、物理的に必ずしも適当でない」と応じたりする。そこには犠牲という論点が抜け落ちており、国民不在の同盟論議と言わざるを得ない。

◆民意に沿う決着こそ
 冷戦終結から20年。日米関係はもはや軍の論理優先ではない。人々の尊厳を大切にする観点から再構築する時代だ。平和と繁栄が日本全体に行き渡るにはどうすべきか。国民こぞって知恵を絞り、一つの地域に過重負担を強いる構図と決別したい。
 残念ながら鳩山政権は、沖縄の民意を踏まえた形での普天間解決策を示せていない。この間、表面化している移設案はいずれも県内移設を軸に進められており、県民に失望感を広げている。
 普天間問題は5月末の決着期限をめぐる攻防が政局となる気配だ。それもおかしい。沖縄からすれば5月末に「決着」しても、中身が民意に沿わないものであれば、何ら問題の解決にはならない。
 沖縄を再び捨て石とするような「決着」をされては、県民は収まらないだろう。普天間飛行場は国外・県外に引き取ってくれ。それが県民の叫びであり、切なる願いだ。衆院選、名護市長選の結果や県議会での全会一致の決議は、過酷な体験を教訓とする県民の譲れない一線でもある。
 県民大会は沖縄の基地問題の転換点となるだろう。首相には大会で発せられる声を正面から受け止め、英断を下してもらいたい。全国の人々にも沖縄の思いを受け止め、共に考える契機としてほしい。

(3)沖縄県民大会についての沖縄タイムスと琉球新報の各報道
沖縄タイムス2010年4月25日 16時44分
「普天間」を国外・県外へ 県民大会に9万人余

 「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し国外・県外移設を求める県民大会」(主催・同実行委員会)が25日午後3時から、読谷村運動広場で開かれた。県内外から9万人余(主催者発表)が参加し、日米両政府に、県内移設断念と同飛行場の早期閉鎖、返還を訴えた。「県内移設を断念し、国外・県外に移設するよう強く求める」とする決議案と日米地位協定の抜本的改定などを求めるスローガンを採択した。
 1996年に日米両政府が普天間飛行場の返還に合意後、県内移設に反対する超党派の県民大会は初めて。仲井真弘多知事や高嶺善伸県議会議長、翁長雄志那覇市長の両共同代表、普天間飛行場のある伊波洋一宜野湾市長、キャンプ・シュワブのある稲嶺進名護市長、政府案として浮上した勝連沖を抱える島袋俊夫うるま市長らが出席。過重な基地負担の解消や国外・県外移設を訴えた。
 会場やその周辺には、高齢者から子どもまで幅広い年代が訪れ、会場までたどり着けない県民で道路は大渋滞となった。県内各地で大会に参加できない県民も統一カラーの「黄色」を身に着け、県内移設反対の意思を示した。
基地撤去を訴える集会参加者






横断幕で「基地撤去」を訴える参加者=25日午後、読谷村運動広場

ガンバロー三唱で基地撤去を訴える県民大会参加者



2010年4月26日沖縄タイムス、ガンバロー三唱で基地撤去を訴える県民大会参加者=25日午後、読谷村運動広場(下地広也撮影)

琉球新報2010年4月25日
「普天間」は国外・県外へ 4・25県民大会、9万人が参加

県民大会でシュプレヒコールする参加者ら=25日、読谷村運動広場
 「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」(実行委員会主催)が25日午後3時すぎ、読谷村運動広場で行われた。普天間飛行場の県内移設の反対を訴える超党派の大会は初めて。大会実行委は、渋滞で会場に到着できなかった人(1万人試算)を含め9万人が参加したと発表した。 県議会が2月に全会一致で可決した意見書に基づき、日米両政府に県内移設の断念を求める大会決議を採択した。
 大会であいさつに立った仲井真弘多知事は「政府は1日も早く普天間の危険性を除去してほしい。ネバーギブアップで、公約に沿った形でしっかりやってほしい」と述べ、先の衆院選で鳩山由紀夫首相が約束した県外・国外移設の履行を求めた。さらに「普天間問題は沖縄だけの問題ではなない。過重な基地負担の軽減に手を差し伸べてほしい」と呼び掛け、日米安保をめぐる本質的な議論を深めるよう全国に向けて訴えた。
 県内移設の反対を県民の総意として訴えた大会は、5月末の決着を目指した政府の移設先見直し作業に大きな影響を及ぼす。参加者は大会のシンボルカラーである「黄色」のTシャツや小物、ステッカーを身に付け、県内移設に傾く政府に「イエローカード」の意思表示を発信した。。【琉球新報電子版】

▽大会決議文
 普天間飛行場の返還は平成8年日米特別行動委員会(SACO)合意から13年経過した今なお実現を見ることはなく、その危険性は放置されたままです。
 しかも、平成16年(2004年)8月13日に発生した沖縄国際大学構内への米軍海兵隊所属CH53D大型輸送機ヘリコプターの墜落事故は、市街地に位置し、住宅や学校等が密集する普天間飛行場の危険極まりない現実を明らかにしました。一歩間違えば大惨事を引き起こしかねず「世界一危険な飛行場」の存在を改めて内外に明らかにしています。しかも、平成18年(2006年)の在日米軍再編協議では同飛行場の全面返還を合意しており、県民や宜野湾市民は、最も危険な普天間飛行場を早期に全面返還し、政府の責任において跡地利用等課題解決を求めているのです。
 私たち沖縄県民は、去る大戦の悲惨な教訓から戦後一貫して「命どぅ宝」、基地のない平和で安全な沖縄を希求してきました。にも関わらずSACO合意の「普天間飛行場条件つき返還」は新たな基地の県内移設に他なりません。
 県民の意思はこれまで行われた住民投票や県民大会、各種世論調査などで明確に示され、移設先とされた名護市辺野古沿岸域は国の天然記念物で、国際保護獣のジュゴンをはじめとする希少生物をはぐくむ貴重な海域であり、また新たなサンゴ群落が見つかるなど世界にも類をみない美しい海域であることが確認されています。
 名護市長は、辺野古の海上及び陸上への基地建設に反対しています。また、勝連半島沖埋め立て案についてはうるま市長・市議会ともに反対を表明しています。
 よって、私たち沖縄県民は、県民の生命・財産・生活環境を守る立場から、日米両政府が普天間飛行場を早期に閉鎖・返還するとともに、県内移設を断念し、国外・県外に移設されるよう強く求めるものです。
 以上決議する。
 
▽大会スローガン
 日米地位協定の抜本的改定を求める。
 返還後の跡地利用を促進するため、国の責任で、環境浄化、経済対策などを求める。
 返還に伴う、地権者補償、基地従業員の雇用確保を国の責任で行うよう求める。
     2010年4月25日
     4・25県民大会
県民大会でシュプレヒコールする参加者ら






県民大会でシュプレヒコールする参加者ら=25日、読谷村運動広場

4・25県民大会でガンバロー三唱する参加者


2010年4月26日琉球新報、4・25県民大会でガンバロー三唱する参加者=25日午後4時34分、読谷村運動広場(花城太撮影)

(4)沖縄県民大会翌日(4月26日)の沖縄タイムスと琉球新報の各社説
沖縄タイムス2010年4月26日 09時55分
社説[県内移設は不可能だ]民意に沿い歴史的英断を

 自民党に共産党、親子連れに若者同士。沖縄戦を体験したお年寄りたちの姿も目立つ。党派や世代を超えて集まった人たち約9万人(主催者発表)。静かな熱気が会場を包む。
 開会後も会場を目指す車の列は途切れず、周辺道路は大渋滞となった。大会に参加できなかった人たちは黄色のリボンを腕に巻くなどして県内移設反対の意思を示した。
 読谷村運動広場で開かれた「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」は、沖縄の世論が一つにまとまった節目の大会となった。
 県内の政治状況は昨年からことしにかけて劇的に変化した。民主党は昨年8月の衆院選で「最低でも県外」と公約し、県内全4選挙区で現行案を認めない候補者が当選した。
 名護市長選では同じく現行案に反対する稲嶺進氏が当選した。県議会も与野党が初めて足並みをそろえて県内移設に反対する意見書を可決し、全41市町村長が県内移設に反対している。
 県民大会に合わせるかのように、政府内で名護市辺野古沿岸部を埋め立てる現行案を、一部修正する案が検討されているとの信じられないニュースが飛び込んできた。「最低でも県外」の公約を裏切るばかりか、この国の民主主義の成熟度を疑わせる。
 稲嶺名護市長は辺野古回帰論について「県民を愚弄(ぐろう)するものでとても許せない。海にも陸上にも基地は造らせない」とあらためて誓った。
 うるま市勝連沖埋め立て案が浮上していることについて島袋俊夫市長は「巨大軍事都市化につながりかねず、到底容認できない」と拒否の姿勢を明確にした。
 もはや県内移設が不可能なのは決定的で、それを前提にしない限り解決策はあり得ない。
 11月には知事選がある。知事は公有水面埋め立ての許認可権を持つ。県内世論の9割が国外・県外を求める中で、県内移設容認の知事が誕生する可能性はほとんどない。
 2日前に出席を決めた仲井真弘多知事は県内移設反対を明言することはなかったものの、鳩山由紀夫首相に「公約に沿ってネバーギブアップでしっかりやってもらいたい」と注文を付けた。
 仲井真知事も引き返すことのできない地点まで来たというべきだ。
 そもそも地元合意なしに新基地を建設できると思うのは時代錯誤も甚だしい。移設候補地として名前が挙がった九州中北部の自治体からはすぐに反対の声が上がる。海兵隊は日本のどこからも受け入れられていないということになる。
 地元に歓迎されない場所に米軍を駐留させないという米国の原則からすると、海兵隊は撤退を真剣に考える時期にきている。
 米軍が普天間の代替施設を求めるのは既得権を手放さないからだ。
 しかし、代替施設を県内に求める従来の手法は明らかに限界にきている。海兵隊の国外移設と運用見直しを組み合わせた新しいアプローチが必要だ。
 現行案にこだわる米国にも政権交代を認識してもらいたい。米軍受け入れ国で政権交代後に撤退する確率は67%というデータもあるくらいだ。
 鳩山内閣は、首相と関係閣僚の間で意見の食い違いがあるようだ。
 鳩山首相は現行案回帰について「自然に対する冒涜(ぼうとく)」とまで言って否定したが、岡田克也外相、北沢俊美防衛相らは県内移設案に傾いているようだ。
 鳩山首相は、首相でありながら孤立状態に陥っているようにみえる。鳩山首相が県内移設派の閣僚や官僚に包囲され、県内移設に舞い戻る最悪の事態を憂慮する。
 私たちは「4・25」を県内移設が葬り去られた日と理解する。日米両政府ともその意味を見誤ってはならない。

琉球新報2010年4月26日社説
県民大会決議 基地なき島へ新たな始動/未来に誓った約束の重み

 「民主主義は与えられるものではなく、奪い勝ち取るもの」。日本の教科書にはないが、そんな歴史を沖縄県民は先人から学んだ。
 その教えと教訓が25日、読谷村で開催された「普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し、国外・県外に移設を求める県民大会」で発揮された。
 初の超党派の大会には出席が危ぶまれた仲井真弘多知事も登壇し、思想信条を超え、県民が心を一つに危険な基地の早期撤去と県内移設反対を日米両政府に突き付けた。会場には10万人近い県民が押し寄せ、戦後65年間、復帰後38年間も変わらぬ基地の過重負担に強い異議を唱えた。

政府の揺さぶり
 「最低でも県外」と県民に公約した鳩山由紀夫首相は、もはや後戻りはできまい。新たな基地の県内建設という野望を捨て、危険な基地の撤去を急ぐべきだ。
 県民大会で県民が口にしたのは、未来への約束、子どもたちへの誓いだ。それは「基地のない平和な沖縄の実現」だ。
 次代の子どもたちに米軍基地の被害と負担を残さないこと。私たちの世代で基地被害や基地依存から脱却し、明るい未来を描く真っ白なキャンバスを残すこと。それが、県民大会に参加した人々の共通する願いであり、誓いだ。
 仲井真知事は、大会直前まで参加をためらった。参加見送りを促す政府の圧力に悩んだか。
 政府に盾を突くことで2年後に更新期を迎える政府の沖縄振興計画や振興策に悪影響が出ないか。財政依存度が全国に比べ突出する県経済だ。「ムチ」の痛みはどれほどか。
 新基地建設容認と引き換えに自治体に支払われる基地交付金、基地建設に伴う大型の公共事業は、建設業の比重の高い沖縄にとって、手を伸ばしたくなるアメだ。
 しかし、知事は大会出席を選択した。「日米同盟を肯定する」という知事でさえ「沖縄の負担は応分をはるかに超えている」と壇上で訴え、「普天間の危険性の早期除去」「過重な基地負担の軽減」の二つを政府に要求した。
 同時に沖縄の次期振興計画の柱となる「沖縄21世紀ビジョン」の基本が「基地のない平和な沖縄」と強調した。
 2030年までの長期ビジョンだが、知事は次代の子どもたちに「米軍基地の撤去」を誓った。
 稲嶺進名護市長は、県民大会のうねりを「国民の民主主義を取り戻し、県民の人権を取り戻す闘い」と表現した。
 ことし1月の市長選で普天間の辺野古移設現行案反対を訴え当選した稲嶺市長は、「オール沖縄で反対する原動力となり、先導役を担った名護市民を誇りに思う」と語り、政府内で再浮上する「辺野古回帰」の動きにくぎを刺した。
 沖縄には在日米軍専用施設の74%が集中する。日米再編で合意された普天間など嘉手納基地より南の5基地が返還されても、占有率は70%を超える。

政府は「矛盾」解消を
 「過重負担に耐え続ける県民に、世界一危険な基地一つ撤去できない政府」(伊波洋一宜野湾市長)への不信感が会場を包んだ。
 高嶺善伸県議会議長は、「歓迎しないところに基地は置かない」と語った米元国防長官の言葉を引き合いに、「受け入れを歓迎、決議したテニアン、北マリアナになぜ移設しないのか」と矛盾を突いた。
 「4・28」(1952年)は、サンフランシスコ講和条約が発効した戦後日本の「独立記念日」だ。だが、沖縄にとってその日は日本政府が沖縄を切り捨て、米軍統治に委ねた「屈辱の日」だ。
 米軍統治下で沖縄住民は「銃剣とブルドーザー」で土地を収奪され、犯罪の限りを尽くす米兵らの被害に耐え、命を自衛し、「自治は神話」とさえ豪語する米支配者の圧政をはねのけ、自らの手で自治を奪い民主主義を勝ち取った。
 政府が米国に委ねた施政権を返還させたのも、祖国復帰への心を一つにした住民運動だった。
 痛めつけられてもくじけず、過重な負担に耐え、侵害された人権や奪われた権利、脅かされた生活を、常に県民は自らの手で取り戻し、勝ち取ってきた。
 政府は5月末までに移設先を決断するという。大会決議をいかに実現するか。闘いはこれからだ。
 4・25県民大会を、将来の基地撤去に向け県民の新たな挑戦が始まった日として胸に刻みたい。

(5)私見・感想

昨日の沖縄県民大会の成功と沖縄の民意を踏まえれば、普天間基地を沖縄県内でたらい回しして移設することは、民主主義の点で許されない。
もうこれ以上沖縄に米軍基地を差別的に押し付けることは、政権交代を機に止めるべきである。
鳩山政権がそんなことを強行すれば、自民党政権と同じで、アメリカの傀儡政権と同じである。

普天間基地を沖縄県外に移設することも、止めるべきである。
日米軍事同盟は見直すべきである。

どうしても沖縄県外に移設したいのであれば、鳩山政権は、私が提案する独自の国民投票・住民投票を実施して決定すべきであり、それで受け入れるところがなければ、普天間基地は撤去・撤収されるべきである

鳩山政権は、民意を無視して普天間基地を国内にたらい回しすべきではない。

(6)普天間基地の撤去・撤収に賛成される方は、以下でご賛同ください。
お願いします。

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51383946.html

ソニーが株主総会前に役員報酬計算法を一部株主にのみ説明

(1)ソニーは、2008年の株主総会前に、機関投資家など一部株主にだけ、役員ごとの報酬の計算方法を説明していたという。
東京新聞2010年4月23日 朝刊
役員報酬計算法 ソニー、一部株主に情報

 ソニーが二〇〇八年の株主総会前に機関投資家など一部株主にだけ、役員ごとの報酬の計算方法を説明していたことが分かった。ソニーは大阪市の市民団体「株主オンブズマン」の株主提案で個別役員報酬の開示を求められていたが拒否。総会で提案は否決されたが、公平な情報開示を行わなかったソニーの姿勢が問われそうだ。 
 ソニーが一部株主に説明した計算方法によると、ハワード・ストリンガー会長の場合、売上高などグループ全体の業績に応じ報酬が変動。ほかの役員はグループ全体と担当部門の業績を半分ずつの割合で報酬を決める際の評価の対象にしていた。説明を聞いた投資家は「大まかな個々の報酬額を割り出すことができた」と話す。ソニーは株主オンブズマンには説明していない。
 株主オンブズマンは〇二年から〇八年まで個別役員報酬の開示議案をソニーの株主総会で提案。いずれも否決されたが、〇七年は開示への賛成票が40%に達した。一方、ソニーから個別に説明を受けた投資家は「計算方法を説明するから個別報酬開示の提案に反対してほしいと要請された」と証言。ただソニーはこれを否定する。
 〇八年六月時点のソニーの役員数は十八人で、報酬総額は年二十一億九千四百万円。一人当たりの平均は一億二千万円。個別の役員報酬開示を求める投資家に応え、金融庁は一〇年三月期の有価証券報告書から一億円以上を受け取る役員の個別開示を義務付ける。
 ソニーは「一部の機関投資家に会い、会社の考えを説明したのは事実。これまでも問い合わせがあれば、役員報酬の計算方法を説明してきた」(広報センター)としている。

(2)株主オンブズマンは2002年以来7年間にわたって、ソニーの株主総会に取締役報酬の個別開示を求める株主提案を行ってきました。

2008年に提案結果については、このブログでも紹介しました。

(3)しかし、「株券の電子化にともなう法令改定で株主提案手続が困難に」になり、株主オンブズマンは、昨年(2009年)4月に、当該提案を断念すると発表しました。

http://kabuombu.sakura.ne.jp/2009/20090415.html

 2009年1月5日から、株券電子化にともなう法令改正で、株主提案を行う株主は合意書(委任状)に加え、株主であるという証明書類(受付票)を会社に提出する制度になりました。新しい制度では株主は証券会社に申し出て受付表を入手します。証券会社は、株の電子データを持つ「証券保管振替機構(ほふり)」を通じ、受け付けた株主の名前などを株の発行会社に通知し、株主は議題の提案を、会社が通知を受けて4週間以内に行う必要があります。
 この制度変更はソニーへの株主提案を断念することになった直接の理由ではありません。とはいえ、連名でなければできない株主提案を行う場合、従来は300個以上の議決権を有する株主の委任状を添えて提出するだけでよかった手続が著しく煩雑になったことは確かです。それは株主提案を行う場合にも、提案に加わる株主数を減少させる恐れがあります。それもあって、取締役報酬個別開示の株主提案を断念する今回の決定に、株券の電子化にともなって株主提案手続が困難なったことが影響していることは否めません。

(4)ところが、冒頭で紹介した東京新聞の報道で明らかになった事実によると、ソニーは、株主総会前に役員報酬計算法を機関投資家など一部の株主にのみに説明していたことが発覚したのです。
ソニーは、株主に対して明らかに差別的な対応をしたことになりますし、株主提案制度そのものを歪めるものです。

これについて、株主オンブズマンは、先日(4月23日)次のようなコメントを発表しました。

http://kabuombu.sakura.ne.jp/2010/20100423.html

<株主オンブズマンのコメント>

 株主オンブズマンは2002年以来7年にわたって、ソニー取締役会に対して役員報酬の個別開示を求める株主提案を行ってきた。2007年には44%の賛成があり、翌年には5割を超えるのではないかと予想されていた。今回明らかになった資料は、そういうなかで、株主提案グループや一般株主には秘密にしたまま、一部の有力機関株主だけに役員報酬の決め方について情報を提供し、株主提案への反対を求めていたことを示すものである。これは株主を差別するものであるだけでなく、株主提案の制度を歪めるもので、強く抗議する。書面質問を行い、回答いかんによっては対抗手段を検討したい。

 ソニーが一部の機関株主に「会社業績による評価」と「賞与の業績連動」について資料を提示したのは、われわれが役員報酬の総額を開示するだけでは個々の役員の貢献度や会社業績との連動の割合は判らないと主張してきたことへの対応だと考えられる。しかし、これによっても、結局は会長、社長、執行役それぞれの報酬額は不明で、役員報酬を個別開示をしたことにはならない。金融庁が決定した上場企業の役員報酬開示制度に照らしても、ソニーの役員報酬決定の秘密主義は時代遅れになっている。

(5)そもそも個々の役員報酬の開示が必要であるということは、すでに指摘しておいた。
おそらくこの報酬は、非正規労働者・正規労働者など「ムシケラと呼ばれる私たち」の目から見ても、破格の金額(何億円!?)だろう。

財界人は、このような企業の役員報酬以外にも、財団法人等の役職に就き破格の年収(例えば約2200万円〜約3600万円)を得ている。
この年収がわかったとしても、企業の役員報酬がわからなければ、実際の年収は不明のままである。

もちろん、以上以外に、国の審議会や諮問機関の委員等を務めている財界人は、さらに年収は増える。
したがって、その開示も必要であるが、とにかく搾取している企業の役員の個々の報酬が開示されなければならない。

(6)金融庁が役員報酬の個別開示を義務づけるという件については、別の機会に取り上げることにする。
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