上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

2011年05月

2011年5月下旬の近況報告

5月も下旬に入っています。
南九州は先日から入梅しています。

近況報告をしておきます。

1.原稿執筆の進捗状況

(1)「政治とカネ連載21」『ねっとわーく京都』270号(2011年7月号)の原稿締切りは、今月(5月)20日でしたが、締切り前の16日に脱稿しました。

「電力会社の組織的な役員献金(1)東京電力の場合」

校正も終えました。

来月(2011年6月)上旬には発行されるはずです。

(2)「地方議会の定数問題」についての原稿執筆の依頼がありました。

分量は約5000字。
締切りは来月(6月)17日(金)。

(3)「政治とカネ連載22」『ねっとわーく京都』271号(2011年8月号)の原稿締切りは、来月(6月)20日頃ですかね?

「電力会社の組織的な役員献金(2)」の予定。

(4)地方政党に関する原稿依頼がありました。
今すぐ書けそうにないので、もし時間が確保できれば書きたいと思います。

(5)長谷川正安・名古屋大学名誉教授(故人)の政党論についての原稿執筆の依頼がありました。
締切りは今年(2011年)11月末。


2.マスコミでのコメント等

(1)大震災前に私のコメントが掲載された記事については、まだこのブログで紹介していません。
気分が変わったら、ご紹介します。

(2)あるマスコミの記者から「政治とカネ」問題で電話取材を受けましたが、私のコメントは掲載されませんでした。

(3)東京電力の役員献金問題について、「しんぶん赤旗」日曜版2011年5月22日で私の少し長めのコメントが紹介されました。


3.呼びかけ

(1)竹下彌平さんについての情報提供をお願いします

なお、有力な情報提供がありました。

(2)4年目に入った母校への憲法本の寄贈のススメ


4.講演

(1)「がくえん9条の会」の総会後、講演します。

日時:2011年5月29日(日)13時〜(総会)、14時〜(講演)

テーマ:「憲法のこころで今日の政治を斬る! ― 憲法の視点で議員定数削減の動きや政治資金問題を批判する」(仮題)

場所:「ユニティ」(2階)セミナー室1
(神戸市西区、神戸市営地下鉄「学園都市駅」南隣)


(2)「憲法改悪ストップ!兵庫県共同センター」の神戸市ブロック(9区)各行政センターの学習会で講演します。

日時:2011年6月25日(土)13時30分〜(50分、その後、質疑応答あり)
会場:新長田勤労市民センター(神戸市長田区若松町 5-5-1 新長田駅前ビル3階)会議室3

テーマ「議員定数・政治とカネ、そして憲法」(仮題)


(3)桜が丘・押部谷九条の会から、講演依頼がありました。

日時:2011年7月18日(月・祝)14時〜17時
会場:桜が丘(ジョイフル集会室予定)

例会(6周年記念)で講演(1時間程度)
テーマ:「東日本大震災と憲法」(未確定)

最終的にどうなるのか、未定です。


5.2011年の著書・原稿などのまとめ

(1)判例評釈「名古屋市議会の会派が市から交付を受けた政務調査費を所属議員に支出する際に使途基準適合性の判断のため各議員から提出を受けた「政務調査費報告書」とこれに対応する領収書が、民事訴訟法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例」「判例時報」2093号・「判例評論」623号(2011年1月1日号)172-177頁(10-15頁)。

(2)「政治とカネ17 小沢一郎「陸山会」への迂回献金問題(1)この迂回献金は違法だ!」『ねっとわーく京都』265号(2011年2月号)67-69頁。

(3)「第6回公開研究会 現代の諸問題と憲法
政党政治とその課題 ― 財界政治のための二大政党制化の諸制度を批判する」
法学館憲法研究所報」第4号18-36頁。

(4)「議員定数と民主主義を考える 1 庶民に「痛み」を押し付け」兵庫民報2320号(2011年2月6日)

(5)「政治とカネ 連載18 小沢一郎「陸山会」への迂回献金問題(2) 小沢氏の実質的財布だった「改革フォーラム21」はペーパー団体!」『ねっとわーく京都』266号(2011年3月号)43-45頁。

(6)「議員定数と民主主義を考える 2 法定定数を下回る実際の議員定数と市町村合併」兵庫民報2321号(2011年2月13日)

(7)ブックレット「議員定数を削減していいの? ゼロからわかる選挙のしくみ」(日本機関紙出版センター・2011年)

校正ミスがありました。
ブックレット『議員定数を削減していいの?』の正誤表(お詫びと訂正)

「兵庫民報」2322号(2011年2月20日)で出版されたことが紹介されました。

「全国商工新聞」(2011年3月21日)の「読書」の欄で紹介されました。

法学館研究所のHPで紹介されました。

「前衛」2011年5月号の「本棚」のコーナーで紹介されました。

「救援新聞」1664号(2011年5月25日)の「今月の本」の欄で紹介されました。


(8)「議員定数と民主主義を考える 3 兵庫県議会 ~ 大政党に有利な1人区・2人区の多さ」兵庫民報2322号(2011年2月20日)

(9)「議員定数と民主主義を考える 4 議員定数を増やし、議会を“住民の縮図”に!」兵庫民報2323号(2011年2月27日)

(10)「政治とカネ 連載19 小沢一郎「陸山会」への迂回献金問題(3) 繰越金7億円裏金補填の可能性と私たちの刑事告発」 『ねっとわーく京都』267号(2011年4月号)74−76頁。

(11)「情報公開制度の利用」中道壽一編著『政策研究 ― 学びのガイダンス』(福村出版・20011年)66―82頁

(12) 「政治とカネ 連載20 他人名義でのパーティー券購入と在日外国人の寄付」『ねっとわーく京都』269号(2011年6月号)66−68頁。

(13)坂本修・小澤隆一・上脇博之『国会議員定数削減と私たちの選択』新日本出版社(2011年)

私はパート3「議員定数と選挙制度についての憲法論」を執筆しました。

法学館憲法研究所のHPで紹介されました。

「しんぶん赤旗」(2011年5月15日)の読書欄で紹介されました。

布川事件再審無罪判決についてのマスコミ報道の紹介

昨日(2011年5月24日)、布川事件の再審判決公判で、水戸地裁土浦支部は、強盗殺人罪などで無期懲役が確定後に仮釈放された二人に無罪を言い渡した。
これは、逮捕から44年ぶりのことである。

この問題は、検察の問題だけではなく、裁判所の問題でもある。
この点についての私見はすでに投稿している。

私の評論「裁判所の改革も不可欠 検察チェックの機能高めよ」

最高検の厚労省元局長無罪事件についての検証結果報告について

今、感想を書く時間がないので、それらの投稿を読んでいただきたい。

また、すでにご案内したように神戸では救援美術展が来月上旬、開催される。
各地で同様な美術展が開催されていると思うが、救援活動の資金のために御協力をお願いしたい。

以下では、昨日の無罪判決についてのマスコミ報道の一部を、記録に残すために、紹介することにする。

2011/05/24 14:45 【共同通信】
布川事件再審で無罪、土浦支部 44年ぶり2人の名誉回復

 1967年、茨城県利根町で男性が殺害された布川事件の再審判決公判で、水戸地裁土浦支部(神田大助裁判長)は24日、強盗殺人罪などで無期懲役が確定後に仮釈放された桜井昌司さん(64)と杉山卓男さん(64)に無罪を言い渡した。逮捕から44年ぶりに2人の名誉が回復された。
 最高裁によると、戦後に発生し、死刑か無期懲役が確定した事件の再審無罪判決は、足利事件に続いて7件目。
 神田裁判長は判決理由で「現場で発見された毛髪や指紋は2人のものと類似しているとは言えず、客観的証拠は存在しない」と指摘。さらに、被害者宅前で2人を目撃したとの証人の供述は信用性に欠けるとした。

時事通信社(2011/05/24-19:19)
布川事件で再審無罪=目撃証言の信用性否定−無期確定2人・水戸地裁支部

 茨城県利根町布川で1967年、大工の男性=当時(62)=が殺害され、現金が奪われた「布川事件」の再審判決が24日、水戸地裁土浦支部であった。神田大助裁判長は、強盗殺人などの罪で無期懲役が確定し服役、仮釈放された桜井昌司さん(64)と杉山卓男さん(64)の自白供述について、「捜査官が誘導した可能性がある」と述べ、強盗殺人罪について無罪を言い渡した。
 再審無罪は、戦後に死刑か無期懲役が確定した事件では、昨年3月の足利事件以来で7件目。逮捕から約44年を経て、2人の名誉が回復された。
 検察当局は今後、対応を協議するが、控訴は見送られる公算が大きい。
 神田裁判長はまず、検察側が有罪の根拠とした目撃者証言を検討。このうち、犯行時間帯に被害者宅前で2人を見たとする供述について「経過や内容などからみて信用性に欠ける」と指摘。他の目撃証言を考慮しても「犯人性を推認させる証拠は何ら存在しない」と述べ、証拠能力を否定した。
 桜井さんの取り調べを録音したテープについては編集跡を認め、「中断前後で供述の趣旨が変わるなど、捜査官から何らかの働き掛けがあったことは否定できない」と述べた。
 その上で、桜井さんと杉山さんの自白供述についても、「犯行そのものに直結する重要な事項全般に変遷が認められる」と指摘。供述をまとめた調書について、「捜査官の誘導で作成された可能性を否定できない」と述べた。
 一方、再審開始の決め手となった目撃女性の証言は、内容が変遷していることなどから「全面的に信用するには一定のちゅうちょがある」とした。

読売新聞 5月25日(水)0時28分配信
「客観的証拠は存在しない」…布川事件再審無罪

 茨城県利根町布川(ふかわ)で1967年に起きた「布川事件」の再審判決で、水戸地裁土浦支部の神田大助裁判長は24日、強盗殺人罪などで無期懲役の判決が確定した桜井昌司さん(64)と杉山卓男さん(64)(ともに96年仮釈放)の強盗殺人について無罪(求刑・無期懲役)を言い渡し、「捜査段階の自白を支える有力な補強証拠が見あたらず、(自白の内容も)信用できない」などと判決理由を述べた。
 昨年7月に始まった再審公判では、確定審での有罪を支えた2人の「自白」と、現場近くで2人を見たとする目撃証言の信用性が焦点となった。
 判決で神田裁判長は「犯行現場で2人の指掌紋や毛髪は採取されておらず、(2人と犯行を結びつける)客観的証拠は存在しない」と認定。一連の目撃証言について「供述経過や内容、視認条件から信用性に欠ける」などとした。
 その上で、2人の自白調書について、犯行そのものや重要な事項の全般に変遷があること、客観的事実に照らして不自然な点があること、2人の間でも相違点があることなどを理由に「信用性を肯定できない」と指摘。「捜査官らの誘導により作成されたものである可能性を否定できない」とも述べた。
 桜井さんは窃盗、杉山さんは暴行などの罪にも問われていた。判決では、それぞれ懲役2年、執行猶予3年を言い渡し、強盗殺人について無罪とした。戦後の事件で無期懲役か死刑が確定した後、再審で無罪を言い渡されたのは、昨年3月の「足利事件」に続き7件目(7、8人目)となる。
 水戸地検の猪俣尚人次席検事は「検察側の主張が受け入れられなかったことは遺憾。判決内容を詳細に検討した上で、必要に応じて上級庁と協議して適切に対応したい」とコメントした。

毎日新聞 5月25日(水)1時19分配信
<布川事件>「自白誘導の可能性」裁判長が言及

 茨城県利根町布川(ふかわ)で67年、大工の男性(当時62歳)が殺害された「布川事件」の24日の再審判決で、水戸地裁土浦支部の神田大助裁判長は「強盗殺人の犯人と証明するに足りる証拠は存在しない」と、桜井昌司さん(64)と杉山卓男(たかお)さん(64)を無罪(求刑・無期懲役)とした理由を述べた。検察側が主張していた自白の信用性を否定し、誘導の可能性に言及した。検察側は控訴しない公算が大きい。
 2人は78年7月に最高裁で無期懲役が確定し、仮釈放中だった。死刑か無期懲役が戦後確定した事件の再審無罪判決は昨年3月の「足利事件」以来で、7件目になる。
 弁護側は「警察・検察が(無罪の)証拠を隠し、追認した裁判所にも責任がある」として誤審の原因解明を求めていた。しかし、判決で目立った言及はなく、足利事件の再審判決のような裁判長の謝罪などはなかった。
 2人と事件を直接結びつける物証はなかった。このため、再審公判でも(1)捜査段階での「自白」(2)近隣住民の「2人を見た」との証言−−の信用性が最大の争点となった。
 判決では、自白を裏づける証拠がないことなどから、その任意性や信用性は「慎重な姿勢で臨むことが強く求められる」とし、「客観的事実と合わない可能性が高い点がある」「2人の供述に多くの食い違いがある」−−などと疑問点を挙げた。
 そして「自白調書が誘導などで作成された可能性を否定できない」と弁護側の主張に沿う判断をし、「自白は信用できず、任意性も相応の疑いをぬぐえない」と結論づけた。
 また「バイクで現場付近を通りかかった際に2人を見た」との目撃証言も「供述経過や視認状況などから信用性に欠ける」と指摘した。検察側は、自白も目撃証言もいずれも信用できると主張してきたが、退けられた。
 2人は窃盗など別件で逮捕された罪も合わせて無期懲役が確定していた。再審判決は、強盗殺人は無罪としたが、別件は執行猶予付きの有罪とした。【原田啓之】

産経新聞 5月25日(水)7時56分配信
布川事件 無罪判決も「謝罪なく唖然」

 昭和42年8月に茨城県で起きた「布川事件」の再審で24日、無罪判決を受けた桜井昌司さん(64)と杉山卓男さん(64)。水戸地裁土浦支部で判決が言い渡された瞬間、桜井さんは顔を上に向け、杉山さんは目の前の神田大助裁判長をまっすぐ見つめた。桜井さんは閉廷後、「思っていた以上にほっとした」と話した。
 再審判決は、2人を犯人とする証拠は存在しないと指摘。物証がない上、2人の捜査段階での自白が「誘導された可能性」があるとして、自白の信用性、任意性を否定したことが決め手となった。
 また、「被害者宅前で2人を目撃したとの証人の供述は、合理的な理由がなく変遷しているものが多い」とした。
 ただ、閉廷後の2人の表情は険しく、支援者に万歳を促されても桜井さんは手を挙げなかった。弁護側が指摘してきた捜査手法の問題点や、それを看過した確定審での裁判所の責任について、判決で触れられなかったためだ。
 「(法廷で)言いたいことがあったが言えなかった。44年の疲れがどっと出た」と杉山さん。
 桜井さんは「悪かったとか何の言葉もなく、唖然(あぜん)とした。これがエリート裁判官の限界だろう」と吐き捨てた。
 判決後、東京高検の渡辺恵一次席検事は「遺憾と受け止めている。今後の対応については、判決内容を子細に検討し、水戸地検と協議したい」とコメント。茨城県警の岩城新治郎・刑事総務課長は「今後のことについては、水戸地検において検討されることと思います」とした。
 足利事件で再審無罪が確定した菅家利和さん(64)も裁判所に姿を見せ、「心からおめでとうと言いたい。無罪だと知って涙が出てきた」と、涙をぬぐいながら語った。

参院行政監視委員会での参考人発言と原発事故調設置

(1)東日本大震災による東京電力福島原発の「想定内」事故が起きたのは、今年3月11日だった。

(2)それから、2ヶ月になろうとする5月6日、菅直人首相は、浜岡原子力発電所にある全ての原子炉の運転を停止するよう中部電力に要請した。
日経新聞 2011/5/7付
浜岡原発、全面停止へ 首相、中部電に要請
保安院「2年程度」 防潮堤完成まで 他の原発は運転継続


 菅直人首相は6日夜、緊急に記者会見し、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)にある全ての原子炉の運転を停止するよう中部電力に要請したと発表した。大規模な東海地震の発生が予測される中、重大事故が発生した場合の悪影響を未然に回避する必要があると判断した。政府は浜岡原発以外の他の原発については停止要請をしない方針だ。
 浜岡原発の1、2号機は運転を停止し、廃炉も決定済み。3号機は定期検査中で、中部電は7月にも運転を再開する可能性を示していた。残る4、5号機は稼働中だ。中部電の原発は浜岡1カ所だけ。発電電力量に占める原発の比率は2010年度実績で15%となっている。
 原子力安全・保安院は浜岡原発の停止期間について「防潮堤の建設など中長期の津波対策が終わるまで」と言明した。中部電の計画では2〜3年としているが、保安院は「2年程度でできる」と指摘した。
 首相は停止要請の背景に関して「30年以内にマグニチュード(M)8程度想定の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫している」と訴えた。浜岡原発は「東海地震に十分耐えられる防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要だ」と語った。
 首相は「浜岡原発で重大な事故が発生した場合の甚大な影響も考慮した」と述べた。同時に「中部電管内の電力需給バランスに大きな支障が生じないよう最大限の対策を講じる」と強調した。
 首相は中部電への停止要請は「指示や命令という形は現在の法律、制度では決まっていない」と、中部電に求める以外に方法はなかったと説明した。そのうえで「理解してもらえるように説得していきたい」と語った。
 海江田万里経済産業相は浜岡原発だけを停止対象にした理由を「地震発生の可能性が他の発電所に比べ圧倒的に高い」と力説した。「防潮堤や原子炉建屋の(密閉度を高めて水の浸入を防ぐ)水密化工事などが完成するまでは停止するのはやむを得ない」と理解を求めた。関西電力に電力融通の支援を依頼したとして「計画停電などの事態には至らない」との認識を示した。
 中部電は6日夜、「経産相から午後7時に浜岡原子力発電所の運転停止に関する要請を受けた。当社としては要請内容について迅速に検討する」との水野明久社長のコメントを発表した。

 ▼浜岡原子力発電所 静岡県御前崎市にある中部電力で唯一の原子力発電所。1号機が1976年に営業運転を始め、5号機が2005年に稼働した。東海地震を想定した耐震補強に巨額の費用がかかるとして08年12月に1、2号機の廃炉を決定、同時に隣接地に6号機を建設する方針を発表していた。1、2号機は09年1月に運転を終えた。現在は3号機が定期検査のため停止しており、4、5号機が稼働中。3〜5号機の3基の総出力は361万7千キロワット。

(3)その要請から1週間後、中部電力は、この要請を受け入れ浜岡原発を停止した。
朝日新聞2011年5月12日20時49分
浜岡原発4号機、13日運転停止 5号機は14日

 中部電力は13日、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)4号機の運転を停止する。5号機も14日に運転を停止する計画で、すべての原子炉が冷えて安定した状態になる全炉停止は、15日の見通しだ。
 4号機の停止作業は13日午前3時半からスタート。高温高圧の原子炉内に制御棒を徐々に入れ、核分裂反応を約8時間かけて抑える。発電が完全に止まるのは午前10時ごろ。その後、1日程度で炉の温度が100度を下回って安定して「冷温停止」になる。
 操作や監視作業は、各号機の原子炉建屋内の中央制御室で中部電の社員6人が24時間体制で行う。停止作業自体は定期検査で13カ月おきに行っており「手順などはいつもと変わらない」(広報)という。
 経済産業省によると、政府の要請で、原発の運転が停止するのは初めて。


(4)その停止から10日後の昨日(5月23日)、専門家らは国会でこれまでの原発推進政策を批判する発言を行った。
そのマスコミ報道を紹介しておこう。
2011/05/23 20:04 【共同通信】
原発推進政策に批判相次ぐ 参院委で小出京大助教ら

 東京電力福島第1原発事故を受け、参院行政監視委員会は23日、小出裕章・京都大原子炉実験所助教や、石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)ら4人を参考人として招き、原子力行政について討議した。参考人からは「破局的事故の可能性を無視してきた」(小出氏)など、これまでの原発推進政策を批判する意見が相次いだ。
 小出氏は、今回の事故対応で「政府は一貫して事故を過小評価し、楽観的な見通しで行動した」とし、放射性物質の拡散予測など情報公開の遅れも批判。また、国が「核燃料サイクル」の柱と位置付けてきた高速増殖炉の例を挙げ、当初1980年代とされた実用化のめどが立たないのに、関係機関の間で責任の所在が明確でないとした。
 石橋氏は、地球の全地震の約10%が日本に集中しており、「原発建設に適さない場所である」と強調。原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院が「原発擁護機関になっている」とし、安全性の審査が骨抜きになっていると指摘した。
 ソフトバンクの孫正義社長は、太陽光など再生可能エネルギーの活用を提言。元原子力プラント設計技術者の後藤政志・芝浦工大非常勤講師も「完璧な事故対策の模索より、新たな分野へのエネルギーシフトの方が容易」と、脱原発を訴えた。

時事通信社(2011/05/23-21:49)
浜岡原発、永久廃止を=参院で地震学者の石橋氏

 地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授は23日、参院行政監視委員会で参考人として意見陳述し、全面停止した中部電力浜岡原発について「東海地震による大きな揺れ、大きな地震の続発、地盤の隆起変形などすべてが恐ろしく、津波対策をすれば大丈夫というものではない」と述べ、永久に閉鎖すべきだとの考えを表明した。
 かねて地震と原発事故が複合した「原発震災」が起きると警鐘を鳴らしてきた石橋氏は、浜岡以外の原発についても第三者機関を早急に設置してリスクを評価し、危険なものから順次閉鎖するよう求めた。また、地震という観点から浜岡の次に危険な地域として、14の原発が林立する若狭湾一帯を挙げた。
 同委員会には、石橋氏や京大原子炉実験所の小出裕章助教ら4人が参考人として出席した。

朝日新聞2011年5月23日22時38分
孫社長「電田」提唱 休耕田に太陽光パネル 参院委で

 23日の参院行政監視委員会に、原発に批判的な専門家や自然エネルギー推進を唱える4氏が参考人として出席した。生中継した動画配信サイト「ユーストリーム」では4万2千人余りが視聴した。
 東京電力福島第一原発事故への政府の対応や、これまでの日本のエネルギー行政について意見を聴くため委員会が出席を求めた。
 「自然エネルギー財団」の発足を先月表明したソフトバンクの孫正義社長は、休耕田や耕作放棄地に太陽光パネルを設置する「電田(でんでん)プロジェクト」を提案。
 地震による「原発震災」を1997年に警告した石橋克彦・神戸大名誉教授は、委員から「浜岡原発の次に止めた方がいいと思う原発は」と問われ、大地震の空白域にあたるとして「心配なのは若狭湾地域だ」と答えた。

(中日新聞)2011年5月23日 23時24分
エネルギー政策の転換を 参院委で識者が脱原発訴え

 石橋克彦神戸大名誉教授や孫正義ソフトバンク社長ら「脱原発」を主張する識者4人が23日、参院の行政監視委員会に参考人として出席し、国のエネルギー政策の転換などを訴えた。
 委員から、津波対策後に再開を目指す中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の耐震性を問われた石橋氏は「大丈夫なんて全く言えない。浜岡は、地雷原でカーニバルをやっているようなもの」と再開に強く反対。浜岡1号機が運転を開始した1976年から「東海地震」の可能性を指摘しており「地盤の隆起で敷地がでこぼこになる可能性がある。海水の取水管や防波壁が壊れて役に立たないかも」と強調した。
 100億円の義援・支援金を寄付するほか、全国各地に太陽光発電所の建設を計画する孫社長は「国内の休耕田と耕作放棄地の2割に太陽光発電を設置すれば、原発50基分をまかなえる。今は農地転用の規制で不許可となるが、仮設置を認めたらどうか」と政策転換を促した。
 京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「高速増殖炉は68年に計画が持ち上がって以来、10年ごとに目標が先延ばしにされ、いまだ実現していない。永遠にたどり着けないであろう施策に、すでに1兆円を投じた責任を誰も取らない」と原子力行政の行き詰まりを指摘した。
 福井県選出の委員からは「原発銀座」と言われる同県の現状への質問も。石橋氏は「若狭湾は地震の活動帯。海底活断層がたくさん見つかっており、大津波の可能性はある。非常に危険なのは間違いない」と話した。

2011年5月24日(火)「しんぶん赤旗」
原発事故 独立規制機関「必要」   参院委 田村氏質問に参考人

 参院行政監視委員会は23日、原発事故をめぐって、4人の参考人を招いて質疑を行いました。
 京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、「防災の原則は危険を大きめに評価し住民を守ることなのに、政府は福島の事故後も危険性の過小評価を続け、避難地域拡大も後手後手だ」と批判しました。
 元東芝で原子炉格納容器の設計に携わってきた後藤政志氏は「原子力安全委員会が過酷事故は発生確率が少ないと無視してきたことが最大の問題」と強調。「大事故を防げず、起きたときの影響を受忍できない技術はやめるべきだ」と原発の段階的停止を求めました。
 「原発震災」の恐れを1990年代から警告した石橋克彦・神戸大学名誉教授は、日本の原発はすべてが「地震付き原発」だと強調。新増設は中止し、全原発のリスクを順位付けした上で、順位の高いものから順番に閉鎖すべきだと提言しました。
 日本共産党から田村智子議員、山下芳生の両議員が質問。田村氏は、政府が想定震源域の真上にある浜岡原発について津波対策さえとれば運転再開を認める姿勢を示しているが、どう考えるかと質問しました。石橋氏は想定地震動の甘さや複雑な地盤隆起の可能性にもふれ「津波対策だけでいいとはまったく言えない」と述べました。
 また田村氏が独立した原子力規制機関の必要性について尋ねると、小出氏は「ぜひとも必要だ。原子力安全委員会は機能していないし、原子力安全・保安院も原発推進の経産省に取り込まれている」と述べました。
 ソフトバンクの孫正義社長も意見を陳述しました。

(5)政府は、閣議で、東京電力福島第1原発事故の発生や、拡大を防げなかった原因を検証する第三者機関「事故調査・検証委員会」の設置を決定し、調査委の委員長には、畑村洋太郎東大名誉教授を起用するという。
時事通信 5月24日(火)9時21分配信
原発事故調委員長に畑村氏=設置を閣議決定

 政府は24日午前の閣議で、東京電力福島第1原発事故の発生や、拡大を防げなかった原因を検証する第三者機関「事故調査・検証委員会」の設置を決定した。調査委の委員長には、畑村洋太郎東大名誉教授(70)を起用する。仙谷由人官房副長官が記者会見で発表した。
 仙谷氏は「国民の目線に立って、開かれた中立的な立場から徹底した検証を行い、結果を内外に明らかにしていく必要がある。被害の拡大防止のためどのような対策が必要か、再発防止のためどのような対策を講じるか、提言をいただく」と述べた。最終報告や中間報告の時期については明言しなかったが、「国外の関心も高い。適宜適切に報告書が公開されると考えている」と語った。
 畑村氏は「失敗学のすすめ」などの著書で知られる。仙谷氏は、畑村氏起用の理由について「十分な見識があり、利害関係がない」と説明した。
 検証委は畑村氏をトップに、法曹界や原発専門家など10人程度で構成。月内にも初会合を開き、原発事故の原因究明や再発防止のための検証作業を行う。事故後の菅直人首相や海江田万里経済産業相、細野豪志首相補佐官らの初動対応などが検証対象となるほか、国の原子力行政の在り方や、電力会社の経営形態などについても調査する。
 
読売新聞 5月24日(火)10時12分配信
原発事故調設置、委員長に「失敗学」の畑村氏

 政府は24日の閣議で、東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などを検証する事故調査・検証委員会の設置を決定した。
 仙谷由人官房副長官は同日午前の記者会見で、委員長に「失敗学」の研究で知られる畑村洋太郎東大名誉教授(70)を起用すると発表した。
 畑村氏は「失敗学のすすめ」などの著書があり、事故や失敗の背景などを研究している。仙谷氏は起用理由について、「原発事故の当事者との利害関係がないことを重視した」と説明した。政府は他の委員については検察官や裁判官経験者などから人選を進めており、畑村氏の意見も踏まえて近く決定し、委員会を発足させる。年内には中間報告をまとめる方針だ。
 委員会は事故原因にとどまらず、政府と東電の事故対応の問題点、過去の原発政策や原子力行政をめぐる政府機関のあり方などを幅広く検証する。このため、菅首相や海江田経済産業相ら関係閣僚らからも聞き取り調査を行う。東電関係者のほか、国際原子力機関(IAEA)の専門家からも意見を聞く方針だ。

(6)原発政策を推進してきた政党、特に政権与党に長らく居座り続け一番責任を負うべき自民党が、この度の事故を反省し、国民に謝罪しているのか、といえば、到底そうとはいえない。
少なくとも、自民党のHPを見ても、党としての事故への反省や謝罪の言葉はどこにも見当たらない

もっとも、谷垣禎一総裁の発言として以下の報道がある。
朝日新聞2011年5月13日9時39
「原発事故、我々も責任」自民・谷垣総裁が反省の弁分

 自民党の谷垣禎一総裁は12日の記者会見で、福島第一原発の事故に関連し、同党が政権党時代に原子力政策を進めてきたことに触れ、「我々も責任を負っている。検証を徹底的にやらなければならない」と述べた。
 谷垣氏は「日本のエネルギー事情などを考えると、原子力エネルギーを推し進めてきたこと自体は誤っていなかった」と語る一方、「私どもの考え方の中に、過去の原子力政策の中に、いくつか盲点があったことは否定できない」と反省の弁を述べた。
 菅直人首相の要請で浜岡原発の停止が決まったことには「一つの選択だ」と評価しつつも、「どういう根拠で判断したのか、必ずしも整合的な説明があるとは思えない」と指摘した。

この発言は自民党のHPでも確認できる。
昨日、石破政調会長が記者会見で、「自民党が与党として原子力政策を担ってきたことは事実だ。間違いを起こさない政党はない。私たちも何か誤りがあったのではないか」と一定の責任があるとの考えを示しました。この問題についての総裁のご所見をお聞かせください。

日本のエネルギー政策の中で、原子力を位置付けながら推進をしてきた。これは、従来自民党が推進してきたことです。私は、日本のエネルギー事情、他のエネルギーも十分でないことを考えますと、今まで原子力エネルギーというものを推し進めてきたこと自体は誤っていなかったと思います。ただこのような巨大技術というのは、一度扱いを誤る、おかしなことが起こると、巨大な被害が生ずるわけでして、現に今回このようなことが起こってしまった。このことについては、我々も責任を負っているし、まずやるべきことは一体いかなることで、このようなことが起こったのかという検証を徹底的にやらなければならないと思います。
それを政府でもおやりになると思いますが、わが党でもやらなければならないし、何よりも政府のやっていることを監視していくのは国会の役目でもあります。私は、国会の中でもこのような事故原因を徹底的に究明していく、どこに問題があったのかということを十分示していくことはやらなければなりませんし、今、おっしゃったように、自民党が推し進めてきた政策でもありますから、自民党が国会の中の議論も真剣にやっていくことは避けて通れないことだと思っています。確かに、私どもの考え方の中にいくつか過去の日本の原子力政策の中に、いくつか盲点があったことは否定できないだろうと思います。そういったことをしっかり検討して、新しい体系、新しい政策を作っていかなければいけないと思っています。

この谷垣禎一総裁の発言を読んでも、自民党が間違いなく根本的な政策転換を行うとは読めそうにない。
それゆえ、この時点で国民は自民党が真摯に反省したとは受けとめないだろう。

(7)今の菅内閣が、国民の政権交代への期待に応える政策を推進・実現するとは、到底思えない。
菅内閣が国の原発政策を根本的に変えるのかどうか見定めるにはもう少し時間を要するだろうが、国の原発推進政策に一時的なストップをかけた事実はある。
自民党との比較で菅内閣の評価すべきところを強いてあげれば、この点だろう。

だが、脱原発を主張する政党との協力が今後進められるのか、全くみえない。

(8)菅氏以外の政治家を代表とする民主党政権に、期待を抱けるのだろうか?

例えば、民主党の原発政策をより積極的に推進する方向に舵を切ったときの代表である小沢一郎氏は、どうだろうか?

小沢氏のHPを見ても、真摯な反省の言葉は、いまだに見当たらない。

ほかに首相候補がいるだろうか!?

(9)今後、自民党と民主党の保守二大政党制に大きく期待できない以上、二大政党制化を強く促進してきた小選挙区制は廃止するしかないだろう(詳細はブックレット参照)。

勝俣恒久・東電会長の報酬総額は2003年度以降だけでも5億円を超える!

(1)「想定内」だった福島原発「事故」を起こした東京電力の社長クラスの年間報酬について、先月(2011年4月)末に、後からの付記を含め、以下のように書いた。
ある週刊誌では、「社長クラスは7000万円」と報じたとの書き込みがインターネット上ではあるが、私はその報道を確認していはいない。

もっとも、先ほど関西電力の場合「社長8000万円」と予想したが、東京電力の社長クラスで「7000万円」というのは、不当に高額すぎる金額ではないだろうし、むしろ、少ないのかもしれず、8000万円〜1億円の間ではなかろうか。

もちろん、関西電力の社長の報酬を私が高く予想しているのかも知れない。
とすれば、東京電力の社長クラスはやはり「7000万円」なのかも知れない。
これが正しければ、「50%削減しても社長クラスの報酬は3500万円程度はある」ことになる。

(投稿後、末尾で追加紹介した「週刊実話」の記事を知った。
それによると、「会長、社長クラスで7000〜8000万円以上」で、「さらに10%の上積みがされていた」という。
そすると、50%削減でも、最低3500万円、多ければ4000万円超あることになる。
2011年4月29日12時59分)

(2)1週間ほど前、以下のような報道があった。
2011/05/14 10:54 【共同通信】
東電報酬、半減でも3600万円 経産相が削減要請

「東電 報酬」の記事をお探しですか?最新関連記事が 18 件 あります。 海江田万里経済産業相は14日のテレビ朝日番組で、東京電力が合理化策として当初打ち出した、常務以上の役員報酬18 件半減について「50%カットしても(一部の首脳は)3600万円くらい。ちょっとおかしいので、もっと努力してほしいと言った」と、東電にさらなる削減を求めた経緯を明らかにした。
 経産相は、東電が福島第1原発事故の賠償金支払いの原資を捻出するために「電気料金の値上げにならないよう、ぎりぎりまでがんばる」と述べ、今後も東電に対し、一層の経営合理化を求める考えをあらためて示した。
 東電は、政府などからリストラの甘さを批判され、10日には代表取締役の報酬18 件返上と、常務の削減幅を60%とすることを表明。賠償金支払いに対する政府支援を要請した。

朝日新聞2011年5月14日13時58分
東電会長・社長の報酬7200万円 経産相「驚いた」

 海江田万里経済産業相は14日午前、テレビ朝日の番組で、東京電力の勝俣恒久会長と清水正孝社長の役員報酬について、「驚いたのだが、50%カットして3600万円くらい残る。それはちょっとおかしいということで、もっと努力してくださいと言った」と述べ、追加の削減を促した経緯を明らかにした。
 計算上、会長と社長の報酬は7200万円程度だったことになる。福島第一原発事故を受け、東電は役員報酬の半減などのリストラ策をいったん発表した。しかし、閣僚などから「損害賠償の支払いで政府の支援を受けるのに、カットが不十分だ」との声が相次ぎ、会長、社長らの役員報酬を全額返上することにした。
 東電の役員報酬の平均は2009年度で年約3700万円。

これによると、東京電力の会長・社長の年間報酬額は、従来、7200万円ということになる。
これが真実なのか、私には確認しようがない。

(3)そう思っていたら、昨日、以下のような報道があった。
サンスポ2011.5.21 05:01
東電社長と会長の報酬基準額7300万円

 東京電力の武藤栄副社長は20日の参院予算委員会で、社長と会長の役員報酬の基準額はそれぞれ年額7300万円と明らかにした。ただ新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止した2007年からは、いずれも5800万円に減額しているという。東電は福島第1原発事故の賠償に向け、代表権を持つ会長、社長、副社長6人の計8人の報酬の全額返上を決めている。

この報道を見ても、実際はもっと高額ではないかと思うが、ここでは、一応、社長と会長の役員報酬基準額は「7300万円」ということにしておこう。

注意を要するのは、2007年度から20%削減されていることである。
つまり、2007年度以降は、7300万円の20%(1460万円)減額した「5840万円」程度(上記報道では5800万円)であったという。

(4)そして、福島原発「事故」が起きてから7300万円の50%削減した「3650万円」になったということになる。

ところが、半額等の役員報酬削減でも、福島県の避難住民らから「甘すぎる」「非常識」などと不満の声が上がった。
産経新聞2011.5.11 01:14
東電合理化「甘すぎる」 福島の避難住民ら役員報酬に不満

 東京電力が「最大努力の合理化」の結果として10日、政府に対し、原発事故をめぐる損害賠償で支援要請をした。しかし一部役員が報酬を受け取るとしたことに、福島県の避難住民らから「甘すぎる」「非常識」などと不満の声が上がった。
 「計画的避難区域」に指定され、全村避難の準備が進む飯舘村。乳牛を飼い続けるのは困難として処分手続きを進める酪農家の男性は「大変な事故を起こしたという当事者意識が足りない」と言葉を荒らげた。
 東電の合理化策は、代表権を持つ会長、社長、副社長の8人が報酬を返上し、常務ら残る役員の報酬は5月から削減幅を当初の50%から60%に引き上げるという内容。男性は「常務が受け取る40%の報酬がいくらか分からないが、全てを失いかけているおれらのつらさを分かっていない。事態収拾まで無給でやれ」とばっさり。

(5)そのため、前掲報道でも紹介されているが、会長・社長(ら)の役員報酬は、全額(等)返上されるという。
少し前の報道も紹介しておこう。
(2011年5月10日03時03分 読売新聞)
東京電力が追加リストラ策、社長ら8人報酬返上

 東京電力が、勝俣恒久会長、清水正孝社長ら代表取締役8人を中心とする役員の報酬返上などの追加リストラ策をまとめたことが9日、わかった。
 当初3000億円程度と見込んでいた資産売却も4000億〜5000億円規模に増やすほか、広告宣伝費の大幅削減も盛り込んだ。ただ、政府・与党内には、さらにリストラの大幅な上積みを求める声が強く、今回の追加リストラで賠償策がまとまるかどうかはなお不透明だ。
 東電は、2009年度に役員19人に計6億9800万円の報酬(1人平均約3700万円)を支払った。原発事故を受け、4月25日に常務以上の役員報酬の50%カットや来年度の新卒採用見送りなどの人件費削減策を発表したが、政府を中心になお報酬が高すぎるとの批判が相次いでいる。

不明なのは、今年度これまで支払われた役員報酬はどうなったのか、である。

(6)ところで、東京電力の清水正孝社長は辞任し、西沢俊夫常務が社長に昇格するが、勝俣恒久会長は辞任しないようだ。
そしてむしろ、勝俣体制は強化されるようだ。
毎日新聞 2011年5月21日 東京朝刊
東京電力:新社長に西沢氏 政官界とパイプ重視 勝俣会長主導の体制温存

 東京電力の清水正孝社長の後継社長として20日、昇格が決まった西沢俊夫常務は、留任する勝俣恒久会長と同じ企画畑の出身で、勝俣会長の「秘蔵っ子」(東電関係者)として以前から社長候補とみられてきた。電力政策を巡る政府などとの調整経験を評価したトップ人事だが、勝俣会長が経営を主導する現行の体制は温存された。
 西沢氏は中央官庁や政界との折衝にあたる企画部門が長く、電力自由化が進む中で経営戦略立案の中心。福島第1原発事故後は政府と東電による統合対策本部の東電側事務局長を務め、政府とのパイプ役を担ってきた。清水社長は20日の会見で「課題が山積する中で粘り強い信念を持って取り組んでくれる」と起用理由を説明した。
 西沢氏は会見で「抜本的な経営合理化に取り組む」と述べ、リストラの徹底を約束。民主党政権内にある発電・送電分離論について「安定供給や顧客の利益など、さまざまな観点から議論すべきだ」とけん制した。
 総務部門が主流の歴代社長の中で清水氏は異例の資材部門出身。しかし、原発事故後は対応が後手に回る場面が多く、体調を崩して一時入院するなど、指導力を不安視する見方が強くあり、退任は既定路線となっていた。
 一方、事故対応などで政府との調整を主導した勝俣会長は温存された。西沢氏の後見役を務める狙いと見られるが、内部登用には批判も予想される。勝俣会長が今後、退いた後、経営責任のけじめから外部登用論が高まる可能性もある。【山本明彦】

役員の異動については、東京電力のHPで、より詳細を確認できる。

(7)会長の勝俣恒久氏は、2005年から2007年まで社長で、2008年から会長であるが、いつから社長に就任したのだろうか?

HPを見ると、2002年10月からのようだ。
勝俣恒久 かつまた つねひさ
(略)

職歴

昭和38年 4月 東京電力株式会社入社

昭和56年 5月 同社営業部 (課長待遇)
        電気事業連合会事務局派遣

昭和58年 7月 企画部調査課長

昭和60年 7月 企画部企画課長

昭和62年 7月 企画部副部長

昭和63年 7月 神奈川支店高島通営業所長

平成3年 2月 企画部副部長

平成5年 6月 企画部長

平成8年 6月 取締役企画部長

平成9年 6月 取締役企画部担任
        兼業務管理部担任兼総務部担任

平成10年 6月 常務取締役

平成11年 6月 取締役副社長

平成13年 6月 取締役副社長
        新事業推進本部長

平成14年 10月 取締役社長

平成20年 6月 取締役会長

これを見ると、会長昇格は2008年6月のようだ。

(8)副社長以下の役員報酬基礎額は不明なので、ここでは、社長と会長の役員報酬基礎額が同額であるとして、2003年度以降の勝俣恒久氏の社長・会長としての役員報酬基礎額を算出してみよう。
2003年以降の勝俣恒久氏の役員報酬基礎額
年度
役職
報酬基礎額
2003年度
社長
7300万円
2004年度
社長
7300万円
2005年度
社長
7300万円
2006年度
社長
7300万円
2007年度
社長
5840万円
2008年度
会長
5840万円
2009年度
会長
5840万円
2010年度
会長
5840万円
2011年度
会長
??万円
合計
5億2560万円

以上の計算によると、2003年度以降の役員報酬基礎額は5億円を超える5億2560万円になる。

(9)これには、社長に昇格した2002年度中の役員報酬、社長昇格前の副社長等の役員報酬は、含まれていない。
また、2003年度以降のものも、報酬基礎額である。
さらに、今年度は、役員報酬の一部が支払われている可能性があるが、未確認なので、計算上は0円として計算している。
(なお、勝俣会長は、ほかからの収入があるかもしれないが、それもここでは考慮しないことにする。)

つまり、勝俣会長は、今年度の役員報酬基礎額がたとえ0円でも、2003年度以降の役員報酬基礎額の総額は、少なくとも5億2560万円になるのである。

(10)もっとも、以上が真実なのか、私は断言できない。

それゆえ、東京電力は、会長を含め全ての役員の役員報酬合計総額と各年度の役員報酬を個別開示すべきである。

(11)東京電力の顧問は21人で、年間報酬額は計2億1900万円だという。
そして7月以降は13人に減らし、総額は9800万円になるという。
個別額は不明であり(一律同額??)、平均額は754万円。
朝日新聞2011年5月21日19時41分
21人で年間報酬計2億1900万円 東電が顧問一覧

 東京電力は21日、同社の顧問一覧を初めて公表した。現在、官僚OBも含む21人が就いており、年間報酬は総額で2億1900万円にのぼる。7月以降は13人に減らし、総額は9800万円になるとしている。
 21人のうち官僚OBは、東電副社長も務めた元通産省基礎産業局長の白川進氏と、国土交通省出身の川島毅氏、旧建設省出身の藤川寛之氏、警察庁出身の栗本英雄氏の計4人。ほかは加納時男元副社長(元参院議員)ら東電OB16人と、国際協力銀行出身の近藤純一氏。
 6月末には白川氏ら11人が顧問を退任し、清水正孝社長ら3人が無報酬で顧問に就く予定。

(2011年5月22日01時41分 読売新聞)
21人もいる東電顧問、6月末で11人退任
 東京電力は21日の記者会見で、現在21人いる顧問のうち、経済産業省出身の白川進元副社長ら11人が6月末で退任することを明らかにした。
 福島第一原子力発電所の事故の経営責任を取って退任する清水正孝社長と武藤栄副社長のほか、築舘勝利常任監査役の3人は6月末に無報酬で顧問に就任する。この結果、顧問の人数は13人となり、年間報酬の合計額は2億1900万円から9800万円に減る。

顧問についても、過去の報酬額や退職慰労金額を含め、個別開示すべきである。

なお、天下りの問題等は、別の機会に取り上げることにする。

(12)株主オンブズマンは、「過去数年に受け取った全役員の報酬を総額拠出して、原発事故被害を受けた住民と事業者に見舞金として寄付するべきです」と要望しているが、東京電力の会長らがこの要求に応じてはいないのではなかろうか!?
少なくとも、私はそのような情報を見たことはない。

私の単なる見落としだろうか?
ご存知の方は、教えてください。

参議院でも憲法審査会規程を強行制定(民主党と国民新党の寝返り)

(1)衆議院議院総選挙が施行されたのは、2009年8月末であった。
その総選挙によって同年9月に政権交代が実現したことは、いまさら説明するまでもないことである。

(2)この政権交代前は、自公政権であった。

総選挙の2ヶ月以上前の2009年6月、衆議院憲法審査会規程が当時の与党賛成で可決成立した。

賛成した政党は、与党の自民党と公明党。
反対した政党は、野党の民主党、共産党、社民党、国民新党。
【共同通信】2009/06/11 14:21
憲法審査会規程を制定 衆院、与党多数で可決

 憲法改正原案を審議する衆院憲法審査会の委員数や手続きを定める審査会規程が、11日午後の衆院本会議で与党の賛成多数により可決、制定された。民主、共産、社民、国民新の野党各党は反対。
 憲法審査会は07年、国民投票法の成立を受け衆参両院に設置されたが、休眠状態が続いてきた。野党は始動に反対しており、与党は今国会での委員選任を見送る方針。野党が多数を占める参院では規程制定のめどが立っておらず、衆参両院の審査会が実際に機能するまでには時間がかかりそうだ。
 規程は与党が提案。委員数は50人で会議は原則として公開、憲法改正原案に関する公聴会の開催を義務付けた。
 衆院議院運営委員会は11日昼、与党案を本会議に緊急上程することを与党の賛成多数で可決。

(3)与党によって強行制定された衆議院憲法審査会規程は以下の通りである。
衆議院憲法審査会規程 〔平成二十一年六月十一日議決〕
 (設置の趣旨)
第一条 憲法審査会は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、日本国憲法の改正案の原案(以下「憲法改正原案」という。)、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するものとする。

 (委員数)
第二条 憲法審査会は、五十人の委員で組織する。

 (委員)
第三条 委員は、会期の始めに議院において選任し、議員の任期中その任にあるものとする。
2 委員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当て選任する。
3 前項の規定により委員が選任された後、各会派の所属議員数に異動があったため、委員の各会派割当数を変更する必要があるときは、議長は、第一項の規定にかかわらず、議院運営委員会の議を経て委員を変更することができる。
4 衆議院規則第三十七条、第三十九条及び第四十条の規定は、委員について準用する。

 (会長)
第四条 憲法審査会の会長は、憲法審査会において委員が互選する。
2 衆議院規則第百一条及び第百二条の規定は、会長について準用する。

第五条 会長は、憲法審査会の議事を整理し、秩序を保持し、憲法審査会を代表する。

 (幹事)
第六条 憲法審査会に数人の幹事を置き、委員がこれを互選する。
2 会長は、憲法審査会の運営に関し協議するため、幹事会を開くことができる。
3 衆議院規則第三十八条第二項の規定は、幹事について準用する。

 (小委員会)
第七条 憲法審査会は、小委員会を設けることができる。
2 衆議院規則第九十条の規定は、小委員会について準用する。

 (開会)
第八条 憲法審査会は、会期中であると閉会中であるとを問わず、いつでも開会することができる。

第九条 会長は、憲法審査会の開会の日時を定める。
2 衆議院規則第六十七条第二項の規定は、憲法審査会の開会について準用する。

 (定足数)
第十条 憲法審査会は、委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

 (表決)
第十一条 憲法審査会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

 (委員の発言)
第十二条 委員は、議題について、自由に質疑し、及び意見を述べることができる。

 (委員でない議員の意見聴取)
第十三条 憲法審査会は、審査又は調査中の案件に関して、委員でない議員に対し必要と認めたとき又は委員でない議員の発言の申出があったときは、その出席を求めて意見を聴くことができる。

 (委員の派遣)
第十四条 憲法審査会において、審査又は調査のため委員を派遣しようとするときは、議長の承認を得なければならない。

 (国務大臣等の出席説明)
第十五条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、議長を経由して、国務大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長の出席説明を求めることができる。

 (報告又は記録の提出)
第十六条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、議長を経由して、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めることができる。

 (公聴会)
第十七条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、公聴会を開くことができる。
2 憲法改正原案については、前項の公聴会を開かなければならない。
3 衆議院規則第七十七条から第七十九条までの規定は、公聴会について準用する。

 (参考人)
第十八条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

 (会議の秩序保持)
第十九条 委員が憲法審査会の秩序を乱し又は議院の品位を傷つけるときは、会長は、これを制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、会長は、当日の憲法審査会を終わるまで発言を禁止し、又は退場を命ずることができる。

 (休憩及び散会)
第二十条 会長は、憲法審査会の議事を整理し難いとき又は懲罰事犯があるときは、休憩を宣告し、又は散会することができる。

 (懲罰事犯の報告等)
第二十一条 会長は、憲法審査会において、懲罰事犯があると認めたときは、これを議長に報告し処分を求める。
2 衆議院規則第二百三十五条の規定は、憲法審査会における懲罰事犯について準用する。

 (会議の公開及び傍聴)
第二十二条 憲法審査会の会議は、公開とする。ただし、憲法審査会の決議により非公開とすることができる。
2 会長は、秩序保持のため、傍聴を制限し、又は傍聴人の退場を命ずることができる。

 (会議録)
第二十三条 憲法審査会は、会議録を作成し、会長及び幹事がこれに署名し、議院に保存する。
2 会議録は、これを印刷して各議員に配付する。ただし、第十九条の規定により会長が取り消させた発言については、この限りでない。
3 衆議院規則第六十一条の規定は、会議録について準用する。

 (合同審査会の開会の決議等)
第二十四条 憲法審査会が参議院の憲法審査会と合同審査会を開くには、会長が参議院の憲法審査会の会長と協議した後、その決議をしなければならない。
2 衆議院規則第九十九条の規定は、合同審査会について準用する。

 (事務局)
第二十五条 憲法審査会の事務を処理させるため、憲法審査会に事務局を置く。
2 事務局に事務局長一人その他必要な職員を置く。
3 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。

 (準用)
第二十六条 衆議院規則第三十一条、第三十六条後段、第四十一条、第四十四条、第四十五条の二、第四十五条の三、第四十七条から第五十二条まで、第五十七条、第五十九条から第六十条の二まで、第六十四条、第六十九条、第七十条、第八十六条、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条、第百十五条、第百十六条、第百十九条前段、第百三十一条、第百三十六条、第百四十三条第一項ただし書、第百四十四条、第百四十七条、第百七十六条、第百七十八条から第百八十条まで、第二百条第十二号、第二百三十四条、第二百四十三条第一項及び第二百五十四条の規定は、憲法審査会について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同規則の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
(略)

(細則)
第二十七条 この規程に定めるもののほか、議事その他運営等に関し必要な事項は、憲法審査会の議決によりこれを定める。


附 則
 (日本国憲法の改正手続に関する法律の施行までの間のこの規程の適用に関する特例)
1 第一条、第十七条第二項及び第二十六条の規定は、第一条に規定する憲法改正原案については、日本国憲法の改正手続に関する法律(平成十九年法律第五十一号)が施行されるまでの間は、適用しない。

 (衆議院憲法調査会規程の廃止)
2 衆議院憲法調査会規程(平成十一年七月六日議決)は、廃止する。

 (衆議院政治倫理審査会規程の一部改正)
3 衆議院政治倫理審査会規程(昭和六十年六月二十五日議決)の一部を次のように改正する。
  第三条第一項中「若しくは特別委員長」を「、特別委員長若しくは憲法審査会の会長」に改める。

(4)民主党は、当時、参議院で同院憲法審査会規程制定の採決に応じなかった。
時事通信社(2009/06/11-16:27)
規程制定、参院は応ぜず=民主・輿石氏

 民主党の輿石東参院議員会長は11日の記者会見で、衆院憲法審査会の運営手続きを定める規程が与党の賛成多数で制定されたことについて「衆院は数で強行できても参院はそうはいかない。この問題は受け付けない」と述べ、今国会では参院憲法審査会の規程の採決には応じない考えを強調した。
 憲法審査会は、憲法改正手続きを定めた国民投票法に基づき、衆参両院に設置されている。輿石氏は「憲法は日本の一番大事な国の決まりだ。なぜ今、急いで(改憲に向けた環境整備を)やらなければいけないのか」と、与党の対応を批判した。
 (略)。

それゆえ、衆議院では同院憲法審査会規程が制定されたものの、参議院では同院憲法審査会規程が制定されないまま、総選挙及び政権交代を迎えたのである。

(5)民主党中心の鳩山由紀夫政権が誕生した後、民主党は、当時の小沢一郎幹事長の方針により、明文改憲ではなく、解釈改憲を更に進める手段に出た。
つまり、内閣法制局長官の憲法答弁を禁止する方針に出たのである。

(6)この方針は、その後の政権にも引き継がれた

もっとも、2010年7月の参議院議員総選挙で民主党は敗北した。

(7)民主党は、前述したように衆議院憲法審査会規程の制定では反対したにもかかわらず、今年2月には、参議院憲法審査会規程の成立に向けて動き出した。
NHK2月17日 4時32分
民主 憲法審査会規程案を議論

 憲法改正の議論を行うための憲法審査会について、民主党の参議院執行部は、今の国会の会期中に、審査会の設置に必要な規程案を野党側に提案することを目指しており、取りまとめに向けた党内の議論を進めることになりました。
 憲法改正の手続きを定めた国民投票法は、衆議院と参議院にそれぞれ憲法審査会を設置すると定めており、衆議院ではおととし審査会の規程が定められましたが、参議院では作られていません。これについて、民主党の参議院執行部は「去年5月に国民投票法が施行されたのに、規程がないのは不自然な状態であり、与党として対応する必要がある」として、今の国会の会期中に規程案を野党側に提案することを目指しています。そして、15日、党の参議院の役員会で、審査会の委員の数を45人とし、採決は出席議員の過半数で決するなどとする素案が示されました。民主党の参議院執行部は、素案を基に議論を進めることにしていますが、党内には憲法改正に慎重な議員もいることから、こうした議員の意見も聞いたうえで、憲法審査会の規程案の取りまとめに当たることにしています。

(8)この報道から1ヶ月経過しない3月11日に東日本大震災となるのである。
それから2ヶ月余りしか経過していない本日(2011年5月18日)、民主党は、参議院憲法審査会規程の制定を強行したのである。
時事通信社(2011/05/16-17:46)
憲法審規程、18日に制定=参院

 民主党の羽田雄一郎、自民党の脇雅史両参院国対委員長は16日、国会内で会談し、憲法審査会の運営手続きを定める規程案を18日の参院本会議で採決することで合意した。両党と公明党などの賛成多数で可決される見通し。
 規程案は、委員数を45人とし、表決は出席委員の過半数によるとした。国会閉会中でも憲法改正案に関する審議を可能とするほか、公聴会の開催も義務化した。
 審査会は、憲法改正手続きを定める国民投票法制定に伴い、2007年8月に衆参両院に設置された。衆院では09年6月に規程が制定されたが、審査会はこれまで一度も開催されていない。参院では国民投票法が10年5月に施行された後も、規程は未整備だった。

NHK5月18日 13時7分
参院 憲法審査会の規程を制定

 憲法改正の原案などを審議する憲法審査会について、参議院の審査会の委員の数や議事の手続きなどを定める規程が18日の参議院本会議で賛成多数で可決され、制定されました。
 去年5月に施行された国民投票法では、国会に憲法改正の原案などを審議する「憲法審査会」を衆参両院に設置するよう定めていて、衆議院では、審査会の委員の数や議事の手続きなどを定める規程が制定されています。
 しかし、参議院では制定されていなかったため、18日の参議院本会議で民主党、自民党、みんなの党の3党が提案した審査会の委員の数を45人とすることなどを盛り込んだ案について審議が行われました。
 この中で、自民党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本、国民新党は制定に賛成の立場から、一方、共産党、社民党は反対の立場から討論を行いました。民主党は、討論を行いませんでした。
 このあと採決が行われ、共産党、社民党を除く各党の賛成多数で可決され、制定されました。ただ、民主党のうち5人の議員は採決を棄権しました。これによって、衆参両院で憲法審査会の規程が制定されましたが、委員が選ばれて審査会が具体的に始動する見通しは立っていません。

(9)参議院憲法審査会規程案を提案したのは、民主党、自民党、みんなの党の3党。

これに賛成したのは、この3党以外に、たちあがれ日本、国民新党など。

反対したのは、共産党、社民党など。

本会議投票結果
第177回国会
2011年 5月 18日
投 票 結 果
案件名:
参議院憲法審査会規程案(鈴木政二君外7名発議)



民主党・新緑風会(106名)

  賛成票 97   反対票 0

自由民主党( 83名)

  賛成票 80   反対票 0

公明党( 19名)

  賛成票 19   反対票 0

みんなの党( 11名)

  賛成票 11   反対票 0

日本共産党( 6名)

  賛成票 0   反対票 6

たちあがれ日本・新党改革( 5名)

  賛成票 5   反対票 0

社会民主党・護憲連合( 4名)

  賛成票 0   反対票 4

国民新党( 3名)

  賛成票 3   反対票 0

各派に属しない議員( 5名)

  賛成票 3   反対票 1

民主党と国民新党は、政権交代後、憲法審査会規程の制定に反対の立場から賛成へと寝返ったのである。

(10)参議院憲法審査会規程は、以下の通りである。

参議院憲法審査会規程
(設置の趣旨)
第一条 憲法審査会は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、日本国憲法の改正案の原案(以下「憲法改正原案」という。)、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するものとする。

(委員数)
第二条 憲法審査会は、四十五人の委員で組織する。

(委員)
第三条 委員は、会期の始めに議院において選任し、議員の任期中その任にあるものとする。
2 委員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当て選任する。
3 前項の規定により委員が選任された後、各会派の所属議員数に異動があったため、委員の各会派割当数を変更する必要があるときは、議長は、第一項の規定にかかわらず、議院運営委員会の議を経て委員を変更することができる。
4 参議院規則第三十条の規定は、委員について準用する。

(会長)
第四条 憲法審査会の会長は、憲法審査会において委員が互選する。
2 参議院規則第八十条の規定は、会長について準用する。
第五条 会長は、憲法審査会の議事を整理し、秩序を保持し、及び憲法審査会を代表する。

(幹事)
第六条 憲法審査会に数人の幹事を置く。
2 会長は、憲法審査会の運営に関し協議するため、幹事会を開くことができる。
3 参議院規則第三十一条第二項から第四項までの規定は、幹事について準用する。

(小委員会)
第七条 憲法審査会は、小委員会を設けることができる。

(開会)
第八条 憲法審査会は、会期中であると閉会中であるとを問わず、いつでも開会することができる。
第九条 会長は、憲法審査会の開会の日時を定める。
2 参議院規則第三十八条第二項の規定は憲法審査会の開会について、同条第三項の規定は憲法審査会の開会、休憩又は散会について準用する。

(定足数)
第十条 憲法審査会は、委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き、及び議決をすることができない。

(表決)
第十一条 憲法審査会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

(委員の発言)
第十二条 委員は、議題について、自由に質疑し、及び意見を述べることができる。

(委員でない議員の意見聴取)
第十三条 憲法審査会は、委員でない議員から意見を聴き、又はその発言を許可することができる。

(委員の派遣)
第十四条 憲法審査会は、議長の承認を得て、審査又は調査のため委員を派遣することができる。
2 参議院規則第百八十条の二第二項の規定は、委員の派遣について準用する。

(国務大臣等の出席及び説明)
第十五条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、議長を経由して、国務大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長の出席及び説明を求めることができる。

(報告又は記録の提出)
第十六条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、議長を経由して、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めることができる。

(公聴会)
第十七条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、公聴会を開くことができる。
2 憲法改正原案については、前項の公聴会を開かなければならない。
3 参議院規則第六十二条から第六十五条まで及び第七十条の規定は、第一項の公聴会について準用する。

(参考人)
第十八条 憲法審査会は、審査又は調査のため必要があるときは、議長を経由して参考人の出席を求め、その意見を聴くことができる。

(会議の秩序保持)
第十九条 委員が憲法審査会の秩序を乱し又は議院の品位を傷つけるときは、会長は、これを制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、会長は、当日の憲法審査会を終わるまで発言を禁止し、又は退場を命ずることができる。

(休憩及び散会)
第二十条 会長は、憲法審査会の議事を整理し難いとき又は懲罰事犯があるときは、休憩又は散会を宣告することができる。

(懲罰事犯の報告等)
第二十一条 会長は、憲法審査会において、懲罰事犯があると認めたときは、これを議長に報告し処分を求める。
2 参議院規則第二百三十七条の規定は、憲法審査会における懲罰事犯について準用する。

(会議の公開及び傍聴)
第二十二条 憲法審査会の会議は、公開とする。ただし、憲法審査会の決議により非公開とすることができる。
2 会長は、秩序保持のため、傍聴を制限し、又は傍聴人の退場を命ずることができる。

(会議録)
第二十三条 憲法審査会においては、その会議録を作成する。
2 会議録は、会長又は当日の会議を整理した幹事がこれに署名し、議院に保存する。
3 会議録には、出席者の氏名、会議に付した案件の件名、議事その他重要な事項を記載しなければならない。
4 会議録は、印刷して各議員に配付する。ただし、第十九条の規定により会長が取消しを命じた発言は、これを掲載しない。
5 参議院規則第百五十六条から第百五十八条までの規定は、会議録について準用する。

(合同審査会)
第二十四条 憲法審査会が衆議院の憲法審査会と合同審査会を開く場合は、会長が衆議院の憲法審査会の会長と協議した後、その決議をしなければならない。

(事務局)
第二十五条 憲法審査会の事務を処理させるため、憲法審査会に事務局を置く。
2 事務局に事務局長一人その他必要な職員を置く。
3 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。

(準用)
第二十六条 参議院規則第二十四条第三項、第二十八条第二項、第二十九条第一項及び第三項、第二十九条の二、第三十六条、第三十七条、第三十九条、第四十一条、第四十二条の二から第四十三条まで、第四十五条、第四十六条、第四十八条から第五十条まで、第五十三条、第七十二条から第七十二条の四まで、第七十七条、第百四条第一項、第百五条から第百七条まで、第百八条、第百十八条第一項、第百二十八条、第百二十九条、第百三十二条、第百六十六条、第百六十八条、第百七十条から第百七十二条まで、第百七十五条の二、第百七十九条、第二百三十一条並びに第二百三十四条の規定は、憲法審査会について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同規則の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

(略)

(細則)
第二十七条 この規程に定めるもののほか、議事その他運営等に関し必要な事項は、憲法審査会の議決によりこれを定める。

附 則
(参議院憲法調査会規程の廃止)
1 参議院憲法調査会規程(平成十一年七月二十六日議決)は、廃止する。

(参議院政治倫理審査会規程の一部改正)
2 参議院政治倫理審査会規程(昭和六十年十月十四日議決)の一部を次のように改正する。
  第三条第一項中「若しくは調査会長」を「、調査会長若しくは憲法審査会の会長」に改める。

(11)これに抗議する憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議)の談話は以下の通りである。
【談話】
参議院憲法審査会規程議決に抗議し、憲法の原理で大震災復興を進め、改憲反対・9条守れの運動をさらに大きくすることを呼びかけます

2011年5月18日 
憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議)事務局長 平井 正

 本日参議院本会議で、憲法審査会規程が賛成218、反対11で議決されました。
憲法会議は、委員会での審議もせず、いきなり本会議で多数をもって議決を強行したこの暴挙は絶対に許せません。
 憲法審査会は4年前、改憲原案を審査し提出する機関として規定されました。当時、安倍政権のもとで、慎重審議を求める圧倒的多数の国民の声を無視し、自民党などがめざす9条改憲のスケジュールにそって、改憲手続法が強行成立させられました。この自民党政治に国民はノーの審判を下しました。その結果、衆議院は規程の制定にとどまり、参議院では規程もつくらず、始動させてきませんでした。
 今回、民主党・菅政権は「ねじれ国会」をのりきるために自民党の要求を受け入れたともいわれています。憲法にかかわる問題を政権維持の具にすることなど許されません。
審査会規程がないことで、国民の権利が侵害された事実はどこにもなく、規程制定を急ぐ人たちが言う「立法不作為」論は成り立ちません。だいたい国民は憲法改正を求めてはいません。この間、改憲勢力は執拗に改憲の機運を盛り上げようとしてきましたが、国民はそれをきっぱりと拒否し、今日まで、改憲勢力が主眼とする「9条改憲」は、どの世論調査でも少数です。
 改憲手続法は、どんなに低い投票率でも国民投票が有効になると定め、有権者の二割台、一割台の賛成でも改憲案が通る仕組みであり、公務員などの国民投票運動の制限など、不公正・反民主的な欠陥法でもあり、民主党も当時、反対しました。参議院で、民主党提案の18項目の付帯決議は、今日までまった<議論されていません。民主党は衆院審査会規程にも反対しました。にもかかわらず民主党は今回、衆議院とほとんど同じ内容の規程案を議運理事会に自ら提案し、本日の本会議では討論もせず賛成しました。国民には理解できないことです。
 いま、未曾有の大震災と原発事故のもとで、政治がやらなければならないことは、党利党略によって国民が求めてもいない改憲を推進することではありません。生存権を保障した憲法13条25条を生かし、憲法の立場で、何よりも人命と生活を最優先にして、被災者を救援し、原子力災害の危険を除去し、生活再建と復興にむけてあらゆる手をつくし、全力をあげることです。
 憲法会議は、参院憲法審査会規程議決の強行に重ねて抗議するとともに、憲法審査会の実質的な中身をつくらせず、始動させない世論とたたかいをさらに大きくすることを呼びかけます。そして、改憲反対、9条守れ、憲法を生かそうの声がゆるぎない多数派となるよういっそう奮闘する決意です。

(12)なお、改憲の手続法の問題点については、以下ですでに指摘した。

改憲手続法は廃止すべきである!

憲法改正手続法における国会の発議から国民投票までの期間の問題

国会が今改憲手続きについて行う必要があるとすれば、それは手続法の廃止だろう。

2011年神戸救援美術展のご案内

来月(2011年6月)上旬に開催される「2011年神戸救援美術展」のご案内をしておきます。

私も推薦人の一人になっています。
時間をつくって行きたいと思います。
  東日本大震災・被災者支援、無実の人々を救うための
   「神戸救援美術展」へのご鑑賞のお願い


 国民救援会が長年、支援してきた足利事件の無罪確定や布川事件の再審開始(判決は5月24日)、名張事件の最高裁の差し戻し決定、さらに大阪地検特捜部の証拠改ざん事件などを通じ、市民のえん罪への関心が高まっています。いまも全国で数多くのえん罪事件があり、県内でも西宮郵便バイク事件、姫路強制わいせつ事件、神戸質店事件の支援を決定し、運動を広げているところです。

また、3月11日に起きた東日本大震災は、未曾有の被害をもたらし、今なお十数万人が避難生活を余儀なくされており、被災者支援は急務となっています。
 人権の花ひらく社会をめざす私たち国民救援会は、このたび被災者救援と無実の人々を一刻も早く救い、えん罪をなくすための救援美術展を6月に開催することを決め、取り組みを広げています。

    素晴らしい美術作品を展示し、事件支援を訴える美術展です

 この救援美術展は、全国第一線で活躍されている美術家の方々が、救援運動に賛同され、人権侵害に困っている人を助けたいと心をこめた芸術作品を提供していただき、全国各地で開催しています。多くの方に素晴らしい芸術作品の数々をご鑑賞いただき、事件を知ることが被災者救援と事件支援の大きな力になります。救援美術展へのご来場をよろしくお願いいたします。

【救援美術展開催日】
とき:2011年6月3日(金)13時〜20時
       4日(土) 〜 5日(日)10時〜20時
       6日(月)10時〜16時
 
ところ:新長田平和と労働会館(神戸市長田区腕塚町2ー1−26)2階ホールにて

◎ オープニングレセプションにご出席をお願いします
6月3日(金)18時〜19時半  同会場1階にて (参加費無料)


主催:神戸救援美術展実行委員会
   連絡先:神戸市中央区元町通6−6−12山本ビル3階
       TEL078−351−0677
       国民救援会兵庫県本部

内閣官房報償費の2010年度支出総額から推測できる民主党政権の支出実態

(1)2010年度における内閣官房報償費(官房機密費)の支出総額が先日(2011年5月10日)12億3000万円であることが判明したようだ。
となると、月にほぼ1億円の支出であり、自民党政権時代とほぼ同じであったということになる。
NHK5月10日 14時10分
機密費 民主政権も12億円余

 政府は、昨年度1年間に支出された官房機密費の総額について、自民党政権時代とほぼ同じ12億3000万円に上ることを明らかにしました。
 政府は10日の閣議で、共産党の塩川鉄也衆議院議員が提出した、官房機密費の使いみちをただす質問主意書に対する答弁書を決定しました。
 それによりますと、昨年度支出された官房機密費は、去年4月に2億円、5月からことし2月までは毎月1億円、3月は3000万円で、年間の支出額は、総額で12億3000万円でした。支出された機密費の大半は使用され、使われなかった91万円余りは、国庫に返納されたということです。
 また、官房機密費の具体的な使いみちについて、答弁書は「答えを差し控えるが、枝野官房長官が責任を持って、効果的に執行している」としています。官房機密費を巡っては、自民党政権時代の平成16年度以降は、毎年度およそ12億円が支出されており、今回の答弁書では、民主党に政権が交代して以降も、その総額や、使いみちが明らかになっていない実態が浮き彫りになっています。

(2)以上の確認は重要である。

というのは、第一に、2009年衆議院総選挙による政権交代後、同年度の内閣官房報償費の支出額は、自民党政権における月1億円ではなく、月6000万円であったからである。

しかし、第二に、このことは、民主党政権が内閣官房報償費の支出額を意識的に削減したものではなく、自民党の政権交代直前の麻生太郎内閣(河村建夫官房長官)が半月で2億5000万円を持ち逃げした結果であったのではないか、と私は推測しておいた。

第三に、私の推測が的中していたようで、2010年度における内閣官房報償費の支出総額を見ると、民主党政権も自民党政権と同じように月1億円支出していたのである。

(3)ということは、ここから一つの推測が成り立つだろう。

それは、民主党政権における内閣官房報償費の支出実態は、基本的に、自民党政権におけるそれと同じあるいは類似するものである、ということである。

少額ではなく月1億円で年間12億円と高額だから、新政権が従来の政権と同じ金額の報償費を支出するのは、実際には簡単なことではない。
支出実態が変われば、支出総額も通常なら変わるだろう。

もちろん、「全く同じである」と断言するつもりはない。

しかし、民主党政権の政策は自民党政権の政策と根本的に大きく異なるものではないし、民主党政権は、自民党政権時代における内閣官房報償費の支出実態における抽象的な証言さえも拒否しているし、また、民主党政権は自民政権と同じように自らの支出につき全面非公開を継承している。

それゆえ、前述のような推測が一応成り立つと言いたくなるのである。

(4)その推測が妥当だとなると、自民党時代における内閣官房報償費の支出実態についての「証言」が再度注目されることになる。

野中広務・元官房長官の証言や、鈴木宗男氏・元官房副長官の証言については、すでに紹介しているが、その証言が真実を語っているとすれば、支出実態の中には、内閣官房報償費としての支出に相応しくないものも含まれていることになる。

つまり、民主党政権も、自民党政権と同じように内閣官房報償費としての支出に相応しくない支出をしているのではないか、と言うことなのである。

(5)ところで、枝野幸男官房長官は先日(5月14日)の参議院内閣委員会で、内閣官房報償費の使途について「震災以降、被災者支援の観点で効果的に使っている」と語ったようだ。
朝日新聞2011年4月14日23時8分
官房機密費、震災支援で「効果的に使用」 枝野長官

 枝野幸男官房長官は14日の参院内閣委員会で、内閣官房報償費(官房機密費)の使途について「震災以降、被災者支援の観点で効果的に使っているとだけは申し上げたい」と語り、東日本大震災への対応で支出していることを明らかにした。官房長官が機密費の使途に言及するのは異例。岡田広氏(自民)への答弁。
 枝野氏は14日午後の記者会見で、具体的な使いみちについては「公表が困難な種類のところにあてている。お話しできない」と述べ、明らかにしなかった。

(2011年5月10日18時34分 読売新聞)
震災後に官房機密費3000万円…被災者支援で
 政府は10日の閣議で、東日本大震災発生後に官房機密費(内閣官房報償費)3000万円を国庫から支出したとする答弁書を決定した。
 答弁書によると、枝野官房長官は3月17日に支出を請求した。使途は明らかにしていないが、枝野長官は4月14日の参院内閣委員会で「震災でどうやって被災者を支援するかという観点で効果的に使っている」と述べていた。
 共産党の塩川鉄也衆院議員の質問主意書に答えた。

(6)この説明で気になるのは、「被災者支援に使った」と説明していないことである。

実際には「被災者支援に使った」のに、使途を説明しないことになっているから、そのような表現をしたのだろうか?

そうである可能性も否定しないが、私は、一応、別の意味に受けとめた。
「被災者支援の観点で効果的に使っている」というのは、「被災者支援」に直接使ったのではなく、それ以外のものに使ったが、それは「被災者支援」の「効果」もあるだろうということだろう。
「効果」があったかどうかは、主観的な評価である可能性が高い。

例えば、被災地(東北地方)の特産品を自分らで飲食するのも、「被災者支援の効果がある」と表現できなくもない。
もしそうであれば、自民党政権と同じように税金の無駄遣いであり、そのような無駄遣いは、民間人と同じように自分のポケットマネーから支出すべきである。

(7)現政権が以上のような私の指摘・推測が当たっていないというのであれば、情報公開法を遵守して内閣官房報償費の支出を原則公開すべきである。

そうでなければ、民主党政権も自民党政権と同じであり、政権交代の意味がないし、私(上脇)の推測が的中している、あるいは、当たらずといえども遠からず、と受けとめる国民は多いのではなかろうか。

(8)ところで、現政権は、4月以降、内閣官房報償費を「被災者支援の観点で効果的に使っている」のだろうか?

本当に「被災者支援」のために支出しているのであれば、積極的に使途を公表・公開した方がいい。
皆さん、そう思いませんか!?
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