上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

憲法研究者の社会活動の一環として、ブログを開設してみました(2008年4月5日)。 とはいえ、憲法問題全てについて意見を書くわけではありません。 政治問題について書くときがあるかもしれません。 記録として残しておくために、このブログを使用するときがあるかもしれません。 各投稿記事の右下の「拍手」が多いようであれば、調子に乗って投稿するかもしれません。 コメントを書き込まれる方は、カテゴリー「このブログの読み方とコメントの書き込みへの注意」の投稿を読んだ上で、書き込んでください。 皆様のコメントに対する応答の書き込みは直ぐにできないかもしれませんので、予めご了解ください。 ツイッターを始めました(2010年9月3日)。 https://twitter.com/kamiwaki フェイスブックも始めました(2012年7月29日) http://www.facebook.com/hiroshi.kamiwaki.7 かみわき・ひろし

2012年09月

「メディアを考える市民のつどい(マスコミが権力のウソを見抜けない本当のワケ)」の紹介

私はあいにく仕事で参加できないのですが、神戸における催し物を紹介します。

    メディアを考える市民のつどい
 マスコミが権力のウソを見抜けない本当のワケ
    ―報道はなぜ『当局』に弱いのか―


マスコミは、なぜ原発、消費税,TPPなど本当のことを​国民に知らせないのか、
北海道警察の裏金問題を暴いた記者が、日本のジャーナリ​ズム再生のキーワードを語る。

お話  新聞記者 高田 昌幸さん

とき  2012年 9月30日(日)開場 13:00 開会 13:30

ところ 兵庫県学校厚生会館 (2F大会議室)

    電話 078−331−9955(代)

参加費 一般1,000 円 学生500 円



高田 昌幸(たかだ まさゆき)さん

【経歴】1960年 高知県生。1986 年 北海道新聞入社、2012 年4 月 高知新聞入社。

【主な著書】
『真実―新聞が警察に跪いた日』(柏書房、2012 年)
『メディアの罠―権力に加担する新聞・テレビの深層』(​共著 産学社、2012 年)
『@Fukushima―私たちの望むものは』(編集 産学社、2011 年)
『権力 VS 調査報道』(小黒純との共著 旬報社、2011 年)
『希望』 (編集 旬報社、2011 年)
『日本の現場 <地方紙で読む>』(清水真との編集 旬報社、2010 年)
『ブログ・ジャーナリズム…300 万人のメディア』(共著 野良舎、2005 年)
『日本警察と裏金 底なしの腐敗』(北海道新聞取材班編 講談社 2005 年)

【受賞】
1996年 「北海道庁公費乱用の一連の報道」で新聞協会賞、
日本ジャーナリスト会議(JCJ)奨励賞を受賞。
2004年「北海道警の裏金問題取材」で新聞協会賞、J​CJ 大賞、
菊池寛賞、 新聞労連ジャーナリスト大賞を受賞。


主催:NHK問題を考える会(兵庫)
650-0022 神戸市中央区元町通6-7-6-5F 平和友好センター内
電話・FAX 078−351−0194

協賛:市民社会フォーラム

小沢一郎氏の控訴審は即日結審(判決は今年11月12日)

(1)資金管理団体「陸山会」の土地取得を巡り政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われている小沢一郎「国民の生活が第一」代表の裁判の控訴審については、第1回の今月(2012年9月)26日に即日結審になるのではないか、と報じられていた。
毎日新聞 2012年09月24日 21時32分(最終更新 09月25日 01時40分)
陸山会事件:小沢一郎被告の控訴審26日に 即日結審か

 資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた「国民の生活が第一」代表、小沢一郎被告(70)=1審無罪=の控訴審が26日、東京高裁(小川正持裁判長)で始まる。記載の違法性を小沢代表が認識していたかどうかが焦点。被告人質問は行われないため、検察官役の指定弁護士による新しい証拠の請求が認められなければ、即日結審となる可能性がある。【鈴木一生】
 4月の1審・東京地裁判決は陸山会の04、05年分政治資金収支報告書の記載を虚偽と認定。代表が衆院議員、石川知裕被告(39)=1審有罪、控訴中=らから記載について報告を受け了承したとも認めた。
 一方で、石川議員が04年10月の土地代金支払い後、事実と異なる報告をして代表から銀行融資の関係書類に署名をしてもらったと指摘。その結果、代表が「代金の支払いが05年に先送りされた」などと考え、虚偽記載が生じているという違法性を認識していなかった可能性に言及し、無罪と結論づけた。
 これに対し、指定弁護士の控訴趣意書は(1)過去何度も銀行融資で不動産を取得し、署名から近日中に融資され土地代金が支払われることを代表は理解しており、先送りされたと考える可能性はない(2)代表の政治生命に直結する重大な問題で石川議員が事実と異なる報告をするはずがない−−などと1審判決の事実誤認を強調した。
 弁護側は裁判の早期終結を図る構えで、1審判決が認定した「報告・了承」についても答弁書で「証拠から合理的に推認できる範囲を超え、疑問だ」と指摘するにとどめた。指定弁護士の新たな主張については「証拠に基づかない想像に過ぎない」としている。
 26日の公判で指定弁護士は、罪に問われた元秘書3人とは別の元秘書2人の供述調書▽東京地検特捜部の捜査で作成された代表の供述調書▽事務所の会計帳簿−−など約10点の証拠を請求する予定だが、弁護側は採用しないよう求めるとみられる。

 ★陸山会事件 「国民の生活が第一」の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」が04年10月、代表提供の4億円を元に土地を購入しながら、同年分の政治資金収支報告書に記載せず、購入の事実だけを翌05年分にずらして記載したとされる事件。東京地検特捜部が10年、石川知裕衆院議員ら元秘書3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕、起訴(1審有罪、控訴中)。小沢代表は不起訴となったが、東京第5検察審査会の議決に基づき、検察官役の指定弁護士が11年、強制起訴。東京地裁は今年4月、無罪とし、指定弁護士は控訴した。
1審判決が認定した陸山会事件の資金の流れ



















(2)その報道のとおり、控訴審は即日結審した。
判決は今年11月12日に言い渡されることになったという。
NHK 9月26日 11時57分
小沢氏2審 判決は11月12日に

 国民の生活が第一の小沢一郎代表が政治資金を巡って強制的に起訴され、1審で無罪となった裁判の2審の審理が、東京高等裁判所で行われました。
検察官役の指定弁護士が新たに提出した証拠はすべて採用されずに審理は1日で終わり、判決は11月12日に言い渡されることになりました。
 小沢一郎被告(70)は平成16年と17年分の資金管理団体の収支報告書にうその記載をしたとして強制的に起訴されましたが、1審の東京地方裁判所はことし4月、「本人はうその記載だと知らなかった可能性がある」などとして無罪を言い渡していました。
 東京高等裁判所で午前10時半から始まった2審の審理には小沢代表も出廷しました。
裁判では検察官役の指定弁護士が1審を取り消して有罪にすべきだと主張したのに対し、代表の弁護団は速やかに審理を終えて再び無罪とするよう求めました。
 そして東京高裁は指定弁護士が新たに提出した証拠をすべて採用せず、証人も呼ばないことを決め、2審の審理は1時間ほどですべて終わりました。
 判決は11月12日に言い渡されることになりました。
 小沢代表は審理の冒頭で裁判長に聞かれて名前などを答えたほかは法廷での発言はなく、目を閉じて双方の主張を聞いていました。
 2審の争点は小沢代表が収支報告書についてうその記載だと知らなかったかどうかという点で東京高裁がこれまでの証拠を元にどのような判断をするか注目されます。

.弁護団“再び無罪になるのは間違いない”
 小沢代表の弁護団の弘中惇一郎弁護士は「短期間で結審したことから、控訴が棄却されて再び無罪になるのは間違いないと思う。指定弁護士はそもそも控訴すべきでなかった」と述べました。
 また、「裁判が終わったあと、代表とはまだ話をしていないが、1日で審理が終わる可能性があることは事前に伝えていたので、本人も納得していると思う」と話しました。

検察官役の指定弁護士“特に不利になったとは思っていない”
 検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士は、新たに提出した証拠が採用されなかったことについて、「裁判所は証拠として調べる必要がないと判断しただけで、われわれにとって特に不利になったとは思っていない。もともと今回提出した証拠があるから控訴したわけではなく、1審と同じ証拠で判断しても結論は変わるべきだと思っている」と話しました。

(東京新聞)2012年9月26日 14時02分
小沢代表控訴審 即日結審 高裁、新証拠を却下

 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴され、一審で無罪判決を受けた新党「国民の生活が第一」代表の小沢一郎被告(70)の控訴審初公判が二十六日、東京高裁(小川正持裁判長)で開かれた。公判は即日結審し、小川裁判長は判決期日を十一月十二日に指定した。 
 小沢代表は出廷したが、被告人質問はなかった。高裁は新たな証拠を採用しなかったため、一審で調べた証拠をどう再評価するかが焦点。再び無罪となる公算が大きくなった。
 四月の一審・東京地裁判決は、小沢代表が自ら貸し付けた四億円を二〇〇四年分の報告書に記載せず、土地購入を同年分から〇五年分に先送りする方針について、小沢代表が元秘書から報告を受け、了承したと認定した。
 だが具体的な報告はなく、違法と認識していなかった可能性があるとして、元秘書との共謀は成立せず無罪とした。
 指定弁護士は補充捜査で事情聴取した元秘書二人の供述調書など約十点を新たに証拠請求。〇〇年まで二十年間勤めた元秘書の男性(59)は、小沢代表に逐一細かく報告し、指示を仰いでいた状況などを証言したとされる。
 だが、元秘書二人は〇四、〇五年分の問題の収支報告書には関与しておらず、弁護側はいずれも「関連性も必要性もない」として不同意とした。
 指定弁護士は同意が得られなかったことで、二人の証人尋問を要請。高裁は証人尋問も証拠請求も、すべて採用しなかった。
 この日の初公判では、指定弁護士が「小沢代表の政治生命の存亡に直結するような違法行為に当たり、元秘書が詳細を知らせることなく実行することはあり得ない」と指摘し、具体的な報告はあったと主張した。
 弁護側は「指定弁護士の主張は証拠に基づかない臆測。一審判決の認定が不合理であると何ら示していない」と控訴棄却を求めた。

<陸山会事件> 陸山会が2004年10月に東京都世田谷区の土地を取得したにもかかわらず、小沢一郎代表から借り入れた土地購入費4億円を同年分の政治資金収支報告書に記載しなかったなどとして、東京地検特捜部は10年2月、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で石川知裕衆院議員ら元秘書3人を起訴。小沢代表は嫌疑不十分で不起訴とした。
 東京第5検察審査会が小沢代表に対し、2度にわたり起訴議決としたことで、検察官役の指定弁護士が11年1月に強制起訴。東京地裁は今年4月、無罪を言い渡したが、指定弁護士は控訴した。元秘書3人は一審で有罪判決を受け、控訴した。

1審判決が認定した構図













(3)小沢氏の裁判と元秘書3名らの裁判との異同については、すでに書いたので、ここでは、これ以上解説しない。

小沢一郎氏の控訴審開始を前に(指定弁護士は小沢事務所のHPを証拠として提出していないのではないか?)

(4)その際に書いたことであるが、小沢氏の裁判の結論については予断を許さない。

元々検察は小沢氏について十分な捜査をしていないうえに、即日結審したし、指定弁護士が重要な証拠を裁判所に提出していない可能性がある(!?。提出したが採用されなかったのか不明)ので、第1審同様「無罪」になる可能性が高い、との予測も充分成り立つ。

だが、小沢氏側も裁判で墓穴を掘っている上に、私は、検察官の調書を読んでいないため、「有罪」判決が絶対ないとは断言できない。

(5)私の最大の関心事は判決理由である。

どのような事実認定をするのか、どのような論理で結論に至っているのか?

それらが最大の関心である。

判決が下される11月12日は、マスコミも国民も冷静に判断すべきである。

(6)何度も言ってきたが、政治家の刑事責任の有無の問題と政治責任の有無の問題とは別である。

(7)判決の結論とは別に、検察審査会、検察、裁判所については、各改革・法律改正が急がれる!!!

民意から遊離した対米従属・財界政治を進める保守政党の党首選挙その2(自民党総裁選)

「民意から遊離した対米従属・財界政治を進める保守政党の党首選挙」について連載投稿している。

「その1」では第二自民党の民主党の代表選を取り上げた。

ここでは、「その2」として、対米従属政治・財界政治の本家である自民党の代表選を取り上げる。

1.自民党総裁選告示

(1)自民党総裁選は、告示前に、とても大きな動きがあった。
それは、谷垣降ろしである。
朝日新聞2012年9月3日7時42分.
森氏「気持ちが変わった」 自民総裁選、谷垣氏不支持

 自民党の森喜朗元首相は2日のテレビ朝日の番組で、谷垣禎一総裁の総裁選立候補について「総裁選に巻き込まないようにしてあげた方が良い。7月には『そのまま(再選)させてあげたい』と言ったが、気持ちが変わった」と語り、不支持を表明した。また、谷垣氏が消費増税で合意した野田佳彦首相の問責決議に同調したことに「公党の代表として民主党に失礼だ」と批判した。

朝日新聞2012年9月3日7時4分.
古賀氏、谷垣氏を不支持 自民総裁選めぐり3日に伝達

 自民党総裁選(14日告示、26日投開票)をめぐり、古賀派(33人)の古賀誠会長が3日、谷垣禎一総裁と会談し、不支持を伝える。再選を目指す谷垣氏は出身派閥の支持が取り付けられなくなり、立候補に向けた環境は厳しくなりそうだ。会談は谷垣氏側が立候補への協力を求めるため、8月31日に古賀氏に申し入れていた。
 野田政権との協調を重視する古賀氏はこれまで、衆院の早期解散を優先して強硬路線をとる谷垣執行部を「民意に応える道は解散だけではない」と批判。党運営についても相談しない谷垣氏に対する不信感を募らせていた。谷垣氏が消費増税を批判した首相問責決議案に同調したことで、最終的に不支持を決断。古賀氏の周辺は2日、「古賀氏と谷垣総裁の信頼関係は破綻(はたん)した」と話した。
 谷垣氏は古賀氏の支持が得られなくても、引き続き立候補を目指す構え。谷垣氏の側近議員は2日、「断念はありえない。古賀氏の支援がなくても推薦人は確保できる」と語った。古賀氏は谷垣氏との会談後、石原伸晃幹事長に会い、総裁選の情勢をめぐって意見交換する予定。

毎日新聞 2012年09月03日 11時33分(最終更新 09月03日 13時57分)
自民総裁選:古賀氏が谷垣氏不出馬要求 石原氏支持念頭か

 自民党の谷垣禎一総裁(67)は3日午前、出身派閥の古賀派会長の古賀誠元幹事長と衆院議員会館で約20分間、会談した。谷垣氏は党総裁選(14日告示、26日投開票)に再選を目指して出馬する考えを示し協力を要請したが、古賀氏は「来る総裁は選挙を迎える総裁だ。今回は思い切って若い人を支持したい。若い人を育てる総裁選にしたらどうか」と出馬辞退を求めた。谷垣氏は古賀氏の協力が得られなくても出馬する意向だが、谷垣氏の再選に向けた環境は厳しさを増している。【佐藤丈一、中井正裕】
 古賀氏は、2日の講演で出馬意欲を表明した石原伸晃幹事長(55)への支持が念頭にあるとみられる。
 古賀氏との会談で谷垣氏は「自民党をもう一回、国民の信頼を取り付けるようにする最後の詰めは私自身の責任でやらなければいけない。3党合意に責任を持たなければならない」と出馬の意向を伝えた上で、「協力してほしい」と要請。会談が決裂に終わった後、谷垣氏は党本部で記者団に「総裁選で派閥が前面に出るのは好ましくない」と述べ、古賀氏の支持がなくても出馬する考えを示した。
 一方、古賀氏は会談後、記者団に「若い人を今回思い切って支持させていただきたいと明確に申し上げた」と説明した。会談では総裁選での支持議員について、特定の名前は挙げなかった。
 谷垣氏の側近議員は、古賀氏の支持がなくても「出馬に必要な推薦人20人は確保できそうだ」と話している。谷垣氏は今後、伊吹派会長の伊吹文明元幹事長ら他派閥の会長とも面会して協力を要請し、出馬への準備を本格化する。
 古賀氏は、谷垣氏が09年の総裁就任後、役員人事など党運営について相談してこなかったことに不満を持っており、谷垣氏の早期の衆院解散要求も批判。谷垣氏が今国会中の解散を求めて野田佳彦首相の問責決議案を提出したことで、不支持を決めた。党内ベテラン議員では、森喜朗元首相も2日、谷垣氏の再選不支持を表明した。
 総裁選には安倍晋三元首相(57)や石破茂前政調会長(55)、町村信孝元官房長官(67)が出馬の意向を固め、林芳正政調会長代理(51)も意欲を示して乱戦模様となっている。

(2)その結果、谷垣禎一総裁は、総裁選の出馬を断念した。
これは、谷垣総裁を支えるはずの石原伸晃幹事長が出馬するからだった。
東京新聞 2012年9月10日 夕刊
自民総裁選 谷垣氏が出馬断念

 自民党の谷垣禎一総裁(67)は十日午前、党本部で記者会見し、党総裁選(十四日告示、二十六日投開票)への出馬を断念する考えを表明した。
 谷垣氏は石原伸晃幹事長(55)が立候補の意向を示していることを念頭に「このままでは、たくさんの人が立候補し、党再生の路線が分からなくなる。特に執行部から二人出るのはよくないと考え決断した」と述べた。
 谷垣氏は「誰が総裁になっても、(消費税増税に関する民主、公明両党との)三党合意を軌道に乗せていく仕事を果たしてもらいたい」と語った。
 谷垣氏に対しては、先の通常国会で衆院解散を実現できなかったことや、三党合意を批判した首相問責決議に賛成した党運営に批判が拡大。森喜朗元首相や古賀誠元幹事長らベテランに加え、中堅や若手にも「選挙の顔」としての不安が強まっていた。
 谷垣氏は執行部としての候補者一本化を目指し、石原氏と四回協議したが、八日に決裂。石原氏は谷垣氏が出馬しても、立候補する意向を固めていた。
 一方、石破茂前政調会長(55)は十日午前、国会内で会見し、総裁選への出馬を正式に表明。「外交や安全保障が問われている時に外交・安保政策に長く携わった私が果たさなければならない役割は重い」と述べた。

石原幹事長は、自民党総裁選への出馬を表明するが、不可解にも谷垣路線の継承を強調した。
東京新聞 2012年9月12日 朝刊
谷垣路線の継承強調 自民総裁選 石原氏が出馬表明

 自民党の石原伸晃幹事長(55)=衆院東京8区=は十一日、党本部で記者会見し、党総裁選(十四日告示、二十六日投開票)への立候補を表明した。谷垣禎一総裁(67)が出馬を断念したことを踏まえ「谷垣総裁の下、進めてきた政策を実現していくことが一つの使命だ」と路線を引き継ぐ考えを強調した。 (上野実輝彦)
 石原氏に対しては、当初は谷垣氏が出馬すれば支持する考えを示していたにもかかわらず、自らの出馬意欲によって「谷垣降ろし」につながったとして、党内の批判が根強い。陣営は「悪役のイメージをいかに拭い去るか」(中堅議員)に重点を置き、谷垣氏の後継者であることを訴えていく方針だ。
 石原氏は会見で、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革に関する民主、公明両党との三党合意について「谷垣総裁の大きな功績だ」と指摘。「合意実現のため、全力で努力する」と重視する姿勢を鮮明にした。
 憲法改正問題では「改憲は党是だ」と強調。次期衆院選で憲法改正を訴え、憲法改正の発議に必要な三分の二以上の勢力形成を目指す考えを示した。
 総裁選に向けては、石破茂前政調会長(55)=衆院鳥取1区=と安倍晋三元首相(57)=衆院山口4区=が憲法改正や集団的自衛権の行使容認を訴え、保守色を前面に押し出す構えを見せている。
 石原氏は、二人に近い路線を打ち出すことで、政策論争で攻勢を受けるのを避ける狙いがあるとみられる。
 石原氏は、森喜朗元首相や古賀誠元幹事長ら重鎮級との関係が良好なため、他陣営は「石原氏が出馬に傾いたのは、派閥領袖(りょうしゅう)らが票を固めたからだ」(閣僚経験者)と批判。石原氏は、選対本部を派閥横断の中堅・若手議員を中心に構成し、出馬に必要な国会議員二十人の推薦人も幅広い勢力から確保したい意向で、派閥色を薄めるのに躍起となっている。

(3)他方、町村信孝元外務大臣と安倍晋三元首相は調整できず、両者とも総裁選に出馬したため、結局、自民党総裁選に出馬したのは、安倍晋三元首相、石破茂前政調会長、町村信孝元外務大臣、石原伸晃幹事長、林芳正政調会長代理の5氏だった。
朝日新聞2012年9月14日11時7分
自民党総裁選告示、安倍・石破・町村・石原・林の5氏が立候補

 [東京 14日 ロイター] 自民党総裁選挙が14日告示され、安倍晋三元首相、石破茂前政調会長、町村信孝元外相、石原伸晃幹事長、林芳正政調会長代理が立候補を届け出た。26日に選出する。
 総裁選は国会議員票(199票)と地方票(300票)の計499票で争われる。有効投票の過半数を得た候補者が選出され、いない場合は上位2人による決選投票となる。決選投票は国会議員のみで行う。
 野田佳彦首相は社会保障と税の一体改革での3党合意をめぐる谷垣禎一自民党総裁との会談で、近いうちに国民の信を問うとしており、次の総選挙で自民党が第一党となれば、新総裁が首相に選出される可能性が高まる。
 5候補はこのあと、党本部で立会演説会を行い、午後2時から記者会見する。


2.総裁選挙における各候補者の政策

(1)民主党が第二自民党になっており、民自公という「事実上の大連立」状態になっていることは、これまでブログで書いてきた。

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その1(はじめに)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その2(原発問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その3(原子力の安全保障(軍事)利用問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その4(集団的自衛権問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その5(オスプレイ配備)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その6(障害者自立支援法問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その7(消費税増税問題)

(2)このうち、特に原発問題については、再度取り上げ、野田民主党政権が「原発ゼロ」で自民党政権との違いを出そうとしたものの、「原発ゼロ」の達成時期はこfレまで議論され、国民の支持を得た「2030年」ではなく、「「2030年代」へと交代したものであった上に、それさえも、アメリカや日本の財界などの反対にあって、野田内閣は閣議決定しなかったことを紹介した。

「原発ゼロ」に対する野田内閣の態度(一歩後退二歩後退)

また、民主党代表選について取り上げたブログで、「原発ゼロ」に関する補充的な情報も付け加えて紹介しておいた。

民意から遊離した対米従属・財界政治を進める保守政党の党首選挙その1(民主党代表選)

(3)オスプレイ配備については、その後、以下の報道がある。
朝日新聞2012年9月19日11時42分.
オスプレイ、10月運用へ安全宣言 国内飛行認める

 森本敏防衛相と玄葉光一郎外相は19日午前、米軍が普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備予定の新型輸送機オスプレイについて、日本政府として国内で飛行を認める「安全宣言」を出した。これを受け、米軍は10月中に普天間飛行場で本格運用を始める見通しだ。
 両氏が閣議後、首相官邸で記者団に表明した。森本氏は今年海外で起きた墜落事故2件について「人的要因で、機体のシステムによるものではない」と強調。国内での飛行ルールが日米で合意され、「安全性が担保された」と語った。
 飛行ルールは19日朝、日米の外務、防衛当局による日米合同委員会で合意。東北から奄美大島にかけて6ルートが明示された低空飛行訓練の高度を約150メートル以上とし、普天間飛行場周辺でも従来のルートや騒音規制を適用することを確認した。低空飛行訓練以外の訓練を、本土の米軍や自衛隊の施設に分散することも「検討する」とした。

東京新聞2012年9月25日 朝刊
オスプレイ住宅地飛行か ヘリモードも住民目撃

 山口県と岩国市は二十四日、米軍岩国基地の新型輸送機MV22オスプレイが試験飛行中に住宅地上空を飛行したとの情報が寄せられたとして、防衛省中国四国防衛局に飛行内容を照会した。市基地政策課は「日米合同委員会の合意に反する飛行があったかどうか確認したい」としている。
 合意した安全確保策では、移動の際は可能な限り水上を飛行することになっているが、市によると、二十三、二十四日、岩国市由宇町と同県周防大島町の住民から「住宅地の上空をオスプレイが通過した」との目撃があった。
 安全確保策ではほかに、垂直離着陸を行う「ヘリコプターモード」での飛行を原則として米軍の施設・区域内に限っているが、二十三日には区域外の広島湾などでオスプレイがヘリモードで飛行する様子が目撃され、併せて事実確認を求めた。
 地元市民団体も二十四日、オスプレイが市街地上空を試験飛行しているとして、市に対し、国に飛行中止などを求めるよう要請文を提出した。三十日には岩国市役所前で、反対集会を開く予定だ。
 岩国基地では二十四日も四日連続で試験飛行が行われ、三機の飛行が確認できた。事故や大きなトラブルはなかった。基地上空を低空で周回、離着陸を何回も繰り返した。


(4)自民党総裁選の各候補者は、以上の重要な問題を含め、どのような政策なのか?
日経新聞 2012/9/14 20:08
「自民党首相」へ5候補争う 政策・発言を点検

 自民党総裁選が14日、始まった。次期総選挙では比較第1党に返り咲く可能性が高いとみる党内は盛り上がっており、5候補の混戦となった。政権枠組みのあり方から外交、経済政策などを巡る論戦が24日まで続く。自民党は党勢拡大の機会ととらえて演説会を各地で開き、メディアにも積極的に登場する。2009年以来の「自民党首相」を目指す候補の政策をみる。

■安倍晋三氏の政権構想

・「日本経済再生本部」を創設し、デフレ脱却と成長力底上げで所得向上、雇用創出
・政府・日銀の連携強化のもと、一層の量的緩和政策を推進
・脱原発依存。再生可能エネルギーの飛躍的活用による地方経済活性化

外交・安全保障
・日米豪印の連携を強化
・集団的自衛権の行使を可能に
・日本版国家安全保障会議(NSC)を創設
・北朝鮮による拉致・核・ミサイル問題の早期解決
・経済連携協定、自由貿易協定を推進し、環太平洋経済連携協定(TPP)の「聖域なき関税撤廃」に反対

社会保障・行政改革・教育再生
・自立を前提に生活保護制度の見直し
・道州制を前提に地方分権を推進
・教育委員会制度の見直し
・教員組合活動を適正化

【記者会見の要旨】

 【3党合意】維持する。ただ、民主党との連立は考えていない。政策ごとの協調は考えられる。
 【維新新党】国民的な議論を巻き起こす力は魅力的であるのは間違いないが、具体的に次期衆院選後にどう連携していくかは考えていない。まずは自民党が過半数を取ることに集中する。
 【派閥】今は大きく変わった。派閥が絶対的なものであれば立候補できていなかっただろう。
 【領土問題】尖閣諸島は国家意思を示して物理的に確保する必要がある。国家管理を進める。
 【河野談話】談話の核心は強制連行についてだが、証明する資料はなかった。新たな談話を出すべきではないか。
 【靖国参拝】総裁選の争点としてクローズアップさせるつもりはない。
 【赤字国債法案】政争の具にする考えはない。
 【衆院解散】首相が近いうちに解散すると言った。その約束を首相は果たすと信じている。

【推薦人=20人】
町村派(6人)=下村博文、柴山昌彦、稲田朋美、世耕弘成、礒崎陽輔、西田昌司▼額賀派(3人)=佐田玄一郎、新藤義孝、加藤勝信▼麻生派(1人)=塚田一郎▼山崎派(1人)=甘利明▼伊吹派(1人)=古屋圭司▼高村派(1人)=有村治子▼無派閥(7人)=今村雅弘、高市早苗、河井克行、秋葉賢也、江藤拓、城内実、松下新平

■石破茂氏の政権構想

経済政策
・デフレと円高からの脱却と産業空洞化対策に最優先で取り組む
・有効需要創出と消費増税の影響を緩和する即効性のある景気刺激策
・政府と日銀の連携を強化
・国益にかなうFTAやEPAの締結促進

社会保障
・3党合意に基づき、社会保障と税の一体改革を推進
・消費税への軽減税率導入
・生活保護の見直し

政治改革・安全保障
・次期衆院選後に自民党を中核とした政界再編
・綱領制定や経理の公開を義務付ける政党基本法の制定
・集団的自衛権の行使を可能にする国家安全保障基本法の制定

憲法改正
・国防軍を明記し、緊急事態条項を創設

【記者会見の要旨】

 【3党合意】維持する。(一体改革以外でも)国家にとって喫緊の課題で合意をみればスピーディーに行うのは当然だ。
 【維新新党】共感する部分がなくはないが、具体的にどう実現をしていくのかまったくわからない。政策や理念が合うなら組むこともあるが、(衆院選で維新への)国民の審判が下される前に連携を議論すべきでない。
 【派閥】国民の感覚と違う感覚で党が動いてはならない。自民党は国民の共感を得る政党として近代化の道を歩んでいかねばならない。
 【赤字国債法案】予算と一体で処理する方策を早急に詰めて与野党合意のもとでやっていかなければならない。政争の具に使うべきでない。
 【衆院解散】1日も早く解散すべきだ。しかし解散しないから審議に応じないというのはあるべきではない。首相問責決議の効果は続くが、一切審議に応じないことを意味しない。

【推薦人=20人】
古賀派(2人)=中谷元、竹本直一▼額賀派(2人)=田村憲久、佐藤正久▼伊吹派(2人)=谷公一、片山さつき▼麻生派(2人)=山口俊一、永岡桂子▼山崎派(1人)=石田真敏▼無派閥(11人)=鴨下一郎、山本拓、梶山弘志、後藤田正純、平将明、斎藤健、橘慶一郎、石井浩郎、小坂憲次、中西祐介、三原じゅん子

■町村信孝氏の政権構想

震災復興
・被災地の商工業者向けグループ補助金や企業立地補助金を拡充

経済対策
・ソフト、ハード両面の国土強靱(きょうじん)化を計画的に推進
・安定した電力・エネルギー供給体制の確立
・3党合意に基づく社会保障と税の一体改革の推進

教育改革
・教育や文化予算を拡充
・義務教育開始年齢を引き下げ
・基礎学力向上のための土曜日授業の復活

外交・安全保障
・集団的自衛権の行使を容認
・尖閣、竹島、北方領土問題への取り組みを強化
・新防衛大綱を策定し、防衛当局の人員、装備を拡充

政治改革
・衆院は中選挙区制を導入
・天皇は元首、自衛権の保有や国防軍保持、緊急事態条項などを明記するよう憲法を改正

【記者会見の要旨】

 【3党合意】維持は当然だ。社会保障の色々な懸案について1年以内に答えを出すのは3党の義務だ。3党で社会保障以外の分野で協議するのは十分ありうる。
 【維新新党】政策、理念を読めば共鳴するところもあれば人気取りだと言わざるを得ない部分も相当ある。評価を直ちに下すのは難しい。あらかじめ組む、組まないを決めてかかることはない。
 【アジア外交】尖閣諸島に施設をつくれば実効支配が高まったと断定するのは性急に過ぎる。外交努力を積み重ねながら実効支配を強めるのは必要だ。靖国神社に参拝するかは首相になってから考える。
 【赤字国債法案】通すのは難しいことではない。予算のムダを削り、赤字国債の発行量を減らせばはるかに受け入れやすい。
 【衆院選挙制度改革】定数削減を前提に中選挙区制にすべきだ。
 【衆院解散】民主党政権が1日も長く続くことが国益を害する。早い解散が重要だ。

【推薦人=20人】
町村派(18人)=細田博之、塩谷立、木村太郎、高木毅、馳浩、松野博一、谷川弥一、北村茂男、山崎正昭、岩城光英、鈴木政二、橋本聖子、岡田直樹、伊達忠一、山本順三、長谷川岳、森雅子、若林健太▼無派閥(2人)=武部勤、川口順子

■石原伸晃氏の政権構想

経済・エネルギー政策
・政権復帰100日以内に「雇用確保・創出60万人計画」を策定
・研究開発や投資促進へ法人税率引き下げ
・国家目標として科学技術を推進する「産業競争力会議」を創設
・3年間、最優先で再生可能エネルギーの導入を推進。原発再稼働は原子力規制委員会が安全性を厳しくチェック
・「聖域なき関税撤廃」など国益に反する形でのTPP交渉参加に反対

社会保障
・社会保険制度が基本。消費税は全額社会保障に充当
・「自助・自立」が第1。弱い立場の人にはしっかり援助
・生活保護の見直しで8000億円を削減

外交・安全保障
・日米同盟を強化。集団的自衛権の一部行使を容認
・憲法改正で国防軍の保持を明記

【記者会見の要旨】

 【3党合意】どう実現、具体化していくかがポイントだ。「近いうち」の衆院解散は国民に言ったに等しく、解散を目指していく。パーシャル(部分)連合の話はこれからも出てくると思うが、自民、公明、民主の主要政党による大連立には否定的だ。
 【維新新党】二重行政の解消や憲法改正は大賛成だ。議員定数の半減は話を聞いてみたい。未知数だ。自民党の政策と齟齬(そご)があるのに一緒になれば野合批判を受ける。
 【尖閣問題】我が国固有の領土ということをしっかり世界に発信すべきだ。国有化は十分な話が中国とできていなかった。一拍頭を冷やすことが肝要だ。
 【赤字国債法案】民主党が作った予算には3兆8千億円弱の無駄があり、経済成長の政策が著しく欠けている。プラスマイナスで1兆2千億円程度の減額補正をすればいつでも賛成する。

【推薦人=20人】
額賀派(7人)=茂木敏充、小渕優子、竹下亘、脇雅史、野村哲郎、吉田博美、石井みどり▼山崎派(5人)=野田毅、田野瀬良太郎、林幹雄、平沢勝栄、坂本哲志▼古賀派(4人)=金子一義、岸田文雄、西野陽、小野寺五典▼町村派(2人)=中川雅治、中村博彦▼麻生派(1人)=井上信治▼無派閥(1人)=菅原一秀

■林芳正氏の政権構想

経済政策
・働く場を作るための経済再生緊急プランを3年間で策定。国内雇用拡大のための税制上の特例を導入。国際水準の法人税制を実現し、海外企業による拠点の新設を促進
・国民総所得の最大化。日本企業の海外展開を支援。「ガラパゴスからの輸出大作戦」として、国内の厳しい消費者の目にかなったモノ・サービスをアジアに輸出
・市場介入で円高に向けた投機的動きを排除。自由変動相場制の見直し

社会保障・財政
・社会保障制度改革国民会議を早急に設置。財政規律を定める「財政健全化責任法」を制定
・中長期的な社会保障制度と財政について今世紀半ばまでの持続可能な制度の構築

外交・安全保障
・強固な日米関係を基本にアジア諸国との安定的関係を構築
・集団的自衛権の行使を可能に

【記者会見の要旨】

 【3党合意】維持は当然だ。(社会保障と税以外の)先に進んだ関係は外交や安全保障、憲法改正など多くのものが一致しなければ難しい。
 【維新新党】党の綱領「維新八策」は生煮えの部分がある。衆院選の結果を見て、一緒にやっていける部分はあるかもしれない。選挙の前に一緒にやる、やらないは言えない。
 【衆院解散】1日も早い解散に追い込むことは最重要課題だ。参院での野田佳彦首相への問責決議は通常国会限りではない。
 【中国・韓国】尖閣諸島の国有化は当然だ。(日本軍の強制連行を認めた)河野談話はこれまでの積み重ねを踏まえる。首相として靖国神社を参拝するか、しないかを申し上げるのは差し控えるべきだ。
 【赤字国債法案】自民党の2012年度予算の組み替え動議に基づいて補正予算を組むのであれば、賛成する意思表示をしている。

【推薦人=20人】
古賀派(13人)=宮腰光寛、望月義夫、山本幸三、北村誠吾、福井照、三ツ矢憲生、岸宏一、加治屋義人、藤井基之、松山政司、水落敏栄、宮沢洋一、金子原二郎▼山崎派(1人)=金子恭之▼伊吹派(1人)=鶴保庸介▼無派閥(5人)=平井卓也、愛知治郎、磯崎仁彦、猪口邦子、熊谷大

(5)特に原発政策については以下の報道。
日経新聞2012/9/15 13:30
自民5氏「原発ゼロ」反対 総裁選候補が舌戦

 自民党総裁選に立候補した安倍晋三元首相(57)、石破茂前政調会長(55)、町村信孝元外相(67)、石原伸晃幹事長(55)、林芳正政調会長代理(51)は15日午前の読売テレビやテレビ東京番組で「2030年代に原発稼働ゼロ」とする政府のエネルギー・環境戦略にそろって反対した。同党総裁は次期衆院選の結果次第で首相になる可能性があるため、戦略見直しが議論になりそうだ。
 5氏は「原発ゼロ」は電気料金の高騰などを招き、生産や雇用に悪影響を及ぼすと指摘。「あまりにも無責任」(安倍氏)、「単なる願望だ」(町村氏)、「非現実的だ」(石原氏)などと批判した
 沖縄県の尖閣諸島の国有化は5氏とも支持したが「領海侵犯に対抗する法律を作るべきだ」(石破氏)、「実効支配を強める時機を逸した」(林氏)などと指摘した。
 15日は民主、自民両党の党首選告示後、初の週末。自民党候補は午後、日本記者クラブの公開討論会に臨んだ。
(略)

(6)オスプレイ配備については以下の報道がある。
東京新聞 2012年9月22日 朝刊
オスプレイの是非沈黙 自民総裁選・沖縄遊説

 自民党総裁選(二十六日投開票)の候補者四人が二十一日、那覇市で街頭演説した。体調不良で入院した町村信孝元官房長官(67)は欠席。沖縄県に74%が集中する在日米軍基地の問題には四人のうち三人が触れたが、普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古へ移設する従来の政府方針を示したのみ。普天間で十月中にも本格運用される予定で、二十一日に山口県岩国基地で試験飛行が行われた新型輸送機MV22オスプレイについて、四人とも普天間配備の是非に触れなかった。
 安倍晋三元首相(58)は官房長官時代、普天間の辺野古移転に関わってきた経緯を説明し「沖縄の負担を軽減するのが米軍再編だ」と訴えた。だが、今後の方針に関しては「負担を軽くするため、誠実に現実に向き合いながら努力を続けていく」と述べただけ。
 石原伸晃幹事長(55)は民主党政権によって沖縄県の政府への信頼が失われたと批判し、「県民との対話から始めなければならない」と述べた。ただ、安全性が懸念されているオスプレイの普天間配備については「安全性と抑止力の連立方程式を解くのは難しい」と述べた。
 石破茂前政調会長(55)は「基地問題の本質は、日本ができることまで米国にやらせていないかということだ」と、自衛隊の役割を強化する方針をにじませた。
 林芳正政調会長代理(51)は、基地問題に言及しなかった。 (上野実輝彦)

(7)維新の会への評価については、以下の報道がある。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版2012年 9月 19日 19:32 JST
維新めぐり論戦=「人材いない」安倍氏も批判―自民総裁選

 自民党総裁選に立候補した安倍晋三元首相、石破茂前政調会長、石原伸晃幹事長、林芳正政調会長代理の4候補は19日、党本部で開かれた青年局・女性局主催の討論会に出席し、国政進出を決めた新党「日本維新の会」への対応をめぐり論戦を交わした。町村信孝元官房長官は体調不良のため欠席した。
 安倍氏は告示前、維新との連携に前向きだったが、討論会では「経験を積んだ人材がいない」と批判。「私も政権を担い、挫折を学んだ。国難に必要なのは自民党の経験と責任感だ」と強調した。石原氏も、消費税地方税化など維新の政策に「賛成できない」と述べ、対抗心をあらわにした。
 林氏は、維新の政策集「維新八策」を念頭に「具体的に何をしたいのか。ハッサク(八策)が、もうちょっと小さいミカンぐらいに絞られてくればいい」と皮肉った。
 一方、石破氏は「維新の支持が高いのは、自民党の支持が高くないことの裏返し。悪口を言う暇があったら、自分たちがどう支持を伸ばすかを考えないと。問われているのは自民党だ」と語り、党内に広がる「維新脅威論」を切り捨てた。
 動向が注目されている小泉進次郎青年局長は討論会終了後、「私はキーマンどころかフレッシュマンの立場にすぎない」と記者団に語り、投票先を明かさなかった。 
[時事通信社]

(8)なお、>町村元官房長官は体調を崩したが、立候補は取りやめしなかった。
読売テレビ(09/19 15:39)
町村元官房長官、体調を崩し入院

 自民党総裁選挙に立候補している町村元官房長官が18日夕方、体調を崩して入院し、検査を受けていることが明らかになった。
 町村陣営は19日午前、緊急会見を開いた。細田博之元幹事長によると、町村氏は18日夕方、気分が悪くなり、東京都内の病院に入院して検査を受けている。
 町村氏は19日の日程は全て欠席し、陣営の議員らに「申し訳ない」と電話で状況を説明しているという。陣営の幹部は「検査には1〜2日かかるそうだ」と話していて、今後の総裁選の対応については、検査結果を受けての判断となる。
 町村氏が出席する予定だった19日午前の記者会見では、他の4候補から「一日も早く元気を取り戻して、論戦に加わってほしい」などの発言があった。

朝日新聞2012年9月21日03時00分.
町村氏、総裁選継続へ 「ウチに票?」当て外れた他陣営

 自民党総裁選に立候補し、体調不良で入院した町村信孝元官房長官(67)は20日、総裁選の活動を続ける意向を陣営幹部に伝えた。21日にも記者会見し、活動継続を表明する。一時は撤退も取りざたされた町村氏の「復帰」が、後半に入る総裁選レースのカギを握る可能性もある。


3.総裁選の結果、財界の反応そして簡単な感想

(1)毎日新聞の取材に基づき以下のように報じた。
1回目の投票で石破氏が1位確実だが全体の過半数を獲得するのは難しく、決戦投票になる、
2位争いで先行しているのは安倍氏である、
選投票では2位争いしている候補が優位である、と。
毎日新聞 2012年09月23日 11時25分(最終更新 09月23日 12時17分)
自民総裁選:石破氏「1回目」1位確実 2位は安倍氏先行

 自民党総裁選が26日に投開票されるのを前に、毎日新聞は同党の各都道府県連幹部や国会議員らの取材に基づき終盤情勢を探った。石破茂前政調会長(55)が地方票300票の半数近くをうかがう勢いで、国会議員票と合わせても石破氏の1位は確実な情勢だ。ただ、1回目の投票で石破氏が全体の過半数を獲得するのは難しく、決選投票へ進める2位争いでは、安倍晋三元首相(58)が石原伸晃幹事長(55)に地方票で先行している模様だ。
 決選投票は石破氏対安倍氏か石破氏対石原氏となる公算が大きい。国会議員票のみで争われるため、地方票での石破氏の優位は直接は関係せず、3位以下となった候補の支持票の行方が勝敗を決めることになる。派閥の支持を受ける町村信孝元官房長官(67)と林芳正政調会長代理(51)の支持票は「脱派閥」の立場をとる石破氏には向かいにくく、安倍、石原両氏のいずれか2位に入った候補が優位とみられている。
自民党総裁選の情勢












(2)毎日新聞の報道通り、自民党総裁選は、1回目投票で石破氏が1位になったものの、2位になった安倍氏との決選投票になり、決選投票では、安倍氏が1位になり、安倍氏が総裁に決定した。
(中日新聞)2012年9月26日 14時31分
自民新総裁に安倍氏 決選投票で石破氏破る

 自民党は26日午後、総裁選の投開票を行い、決選投票の末、安倍晋三元首相(58)が石破茂前政調会長(55)を破り、新総裁に選出された。一度辞任した総裁(首相)が間を挟んで再選されるのは党史上初めて。総裁選の決選投票は40年ぶり4回目。2位候補が逆転したのは56年ぶりとなる。安倍新総裁は野田佳彦首相に早期衆院解散・総選挙を迫る構えで、与野党対決が再び激化する。
 決選投票の結果は安倍氏が108票、石破氏が89票。
 総裁選に立候補したのは安倍、石破両氏のほか、町村信孝元官房長官(67)、石原伸晃幹事長(55)、林芳正政調会長代理(51)の3人。
 総裁選は党員投票に基づく地方票300票、国会議員票197票の計497票で争った。1回目の投票では、石破氏が地方票165票を獲得し圧勝したが、議員票は34票にとどまり、過半数の249票には届かなかった。
 2位の安倍氏は地方票87票、議員票54票で計141票。3位の石原氏は議員票は58票と最高得票を獲得したが、地方票が38票と伸びず、石破、安倍氏に届かなかった。
 1回目の投票で過半数を得る候補がいなかったため、直ちに上位2人による決選投票が行われた。決選投票は国会議員だけが投票。安倍氏は1回目の投票で議員票が優位だったことに加え、町村、石原、林三氏を支持する議員の中からも安倍氏を支持する議員が相次ぎ、逆転勝利した。
自民党総裁選投開票結果












(3)党員投票が軽視される結果に対して、地方では批判が吹き出した、
NHK 9月26日 19時3分
民意反映せず 秋田県連4役辞任意向

 自民党総裁選挙で、党員投票で最も多くの票を獲得した石破前政務調査会長が決選投票で敗れ、安倍元総理大臣が新総裁に選出されたことについて、自民党秋田県連では、県連会長など役員4人が「旧態依然とした派閥政治で民意が反映されていない」として、役職を辞任する意向を示しました。
 自民党の総裁選挙は、党員票300票のうち、石破前政務調査会長が過半数を上回る165票を獲得し、安倍元総理大臣は石破氏に次ぐ87票でした。
秋田県でも、党員投票では石破氏が57%に当たる2638票を獲得して秋田県に割りふられた4票のうち3票を得ました。
 一方、198人の国会議員によって行われた決選投票では、安倍氏が石破氏を逆転し、新しい総裁に選出されました。
 これについて自民党秋田県連では「石破氏が圧倒的に党員の支持を集めたにもかかわらず、国会議員の決選投票にはそうした民意が全く反映されていない」として、大野忠右エ門県連会長のほか県連の幹事長、政務調査会長、それに総務会長の役員4人が役職を辞任する意向を示しました。
 大野県連会長は、NHKの取材に対し、「自民党は3年前の衆議院選挙で敗れ、改革しなければならないのに、旧態依然とした派閥政治は何も変わっていない。地方から国会議員や党本部に抗議の意思を示したい」と述べました。

(4)自民党政権の復帰を期待していると思われる経済界は、自民党の右傾化に少し微妙な反応だ。
日経新聞2012/9/26 19:42
経済界「外交・安保に対処を」 安倍総裁再登板

 自民党総裁選で安倍晋三元首相が選出されたことを受け、経済界からは政局を優先する姿勢からの脱却や、懸案が多い外交・安全保障問題を前に与野党が協力して対応を急ぐよう求める声が相次いだ。
 経団連の米倉弘昌会長は「新総裁は政策に精通し、豊富な経験と実行力を持つ政治リーダーだと思う」と安倍氏を評価した。そのうえで「エネルギー政策の見直しや外交・安保問題への適切な対処など課題が山積している。政策を迅速に進めるため、与野党の協力が不可欠だ」と指摘した。
 経済同友会の長谷川閑史代表幹事は「日米関係は民主党政権で大きく後退している。日米関係の修復や周辺国との関係改善に手腕を発揮してほしい」とコメントし、外交面での努力を促した。
 日本商工会議所の岡村正会頭は「党利党略による政治の停滞はいっときも許されない。与野党の垣根を越えた決める政治を望む」とし、日本の現状への危機感を訴えた。

(5)民主党代表選では、野田代表を交代させずに再選させるという最悪の選択結果だった。

他方、自民党総裁選では、谷垣総裁を交代させて、安倍元首相を総裁にするという最悪の選択結果となった。

党首選でも二大政党が如何に庶民から遊離しているのかを感じさせる結果だった。

(つづく)

第三自民党を目指す「日本維新の会」の正体その1(政治資金規正法違反か正式結党は嘘か!?)

はじめに

(1)橋下徹大阪市長や、同市長が率いる「大阪維新の会」については、これまで幾つかの問題を取り上げてきた。

(2)橋下氏が府知事時代の時のものとしては、以下の投稿がある。

橋下徹大阪府知事のテレビ出演料の寄附処理について

大阪府橋下「改革」は本当に府民の85%に支持されているのか?

橋下徹大阪府知事の「改革」方針の重大な問題点

大阪府がビデオで隠し撮り!

「教育を受ける権利」を知らない橋下・大阪府知事

憲法がうたうのは「自己責任」ではなく「教育を受ける権利」だ!

過半数獲得の「大阪維新の会」は民主的な選挙制度なら半数に届かなかった!

非民主的選挙制度が人権侵害を生み出す典型例(大阪府議会)

(3)いわゆるダブル選挙以降のものとしては、以下の投稿がある。

大阪ダブル選挙の対立構図は「独裁vs反独裁!(「維新vs既成政党」ではない!)

「大阪都構想」等に関する朝日・読売世論調査等についての問題点

民主主義や人権保障を否定し福祉を切り捨てる橋下「大阪都構想」

当選したばかりの松井大阪府知事の会社が秘書の給与を肩代わりしていた!

「自白」に等しい松井一郎・大阪府知事の説明・対応

大阪ダブル選挙の結果について(財界政党・新自由主義政治家が反対しない「大阪都構想」)

大阪市職員に対する労使関係に関するアンケート調査内容とその中止等を求める声明の紹介

自称「独裁者」で議会制民主主義実質否定の橋下大阪市長が職員に対する人権侵害アンケート強行!

大阪府労働委の勧告が出た以上野村氏はアンケートを速やかに廃棄処分するしかない!

2012年5月3日神戸憲法集会アピール「橋下市長(大阪維新の会代表)による憲法敵視の政治に抗議する」

橋下・大阪市の職員の政治活動への罰則化条例案は二重に違憲!

新の会大阪市議団の政務調査費支出問題(違法・不当な支出)

政務調査費の違法支出を「自白」した橋下大阪市長は政務調査費を議員・会派の特権にしたいようだ

政治活動「原則懲戒免職」撤回しても大阪市の条例案の問題は解消しない!

橋下徹大阪市長が元愛人の存在を認めたようだ

維新の会大阪市議団は議会を弱体化したいようだ!

維新の会・公明党・自民党は公務員の政治活動の自由を侵害する点では「同じ穴のムジナ」だ!

大阪市職員政治活動制限条例はやはり実質的には政治活動「全面(ほぼ全面)禁止」条例だ!(政治活動には選挙権行使等は含まれない)

橋下大阪市長は「維新政治塾」参加の公務員を特権化する!?

橋下徹市長の慰安婦問題発言と「『慰安婦』問題の解決に向けた意見書可決をすすめる会」の抗議・声明の紹介

(4)以上は、橋下氏や「大阪維新の会」の問題点の全てではない。

とはいえ、それらから分かることは、第一に、大阪維新の会は、真の議会制民主主義を目指してはないことである。

これは、非民主的な選挙制度のもので多数派を獲得した大阪府議会で、議員定数削減をし、さらに非民主的なものしていることから分かることである。

第二に、橋下代表も大阪維新の会も、人権保障について無知であり、人権侵害を平然と行っているということである。

これは、上記の多くの投稿で取り上げてきた。

第三に、橋下代表も大阪維新の会も、新自由主義の財界政治を目指しているということである。

第四に、それとの関係で、既存の保守政党と決して対決せず、協力関係にあるということである。

第五に、遵法精神がないということである。
これは、政治資金規正法違反事件や、政務調査費の違法・不適切な支出問題として顕在化している。

第六に、歴史について無知であるということである。

(5)橋下氏も大阪維新の会も、このような問題のある人物・地域政党だというのに、国政への進出を目指し、それも、衆議院総選挙で過半数の議席獲得を目指している、という(後掲の報道参照)。

現時点では、その目標が達成できるかどうかは不明である。

だが、仮に、そうなったら、「日本維新の会」は、第三自民党として躍進したことになるだろう(民主党は第二自民党)。
そして、政権政党になるようであれば、財界も明確に歓迎するだろうし、「日本維新の会」は第三財界政党となるのであろう。

(6)「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉純一郎氏とその「聖域なき構造改革」を信じ込んで自民党に投票し、騙された有権者が、大勢いるだろう。
また、それによって生まれた格差社会を是正するものと信じ込んで民主党に投票し、裏切られた有権者も、大勢いるだろう。

中には、この両方で、騙され裏切られた有権者もいるだろう。

そして、今、橋下氏と維新の会に期待し、次期衆議院総選挙で投票しようかと考えている有権者も大勢いるだろう。

しかし、期待は確実に裏切られるだろう。

結果的に、2度あるいは3度裏切られています有権者が生まれるかもしれない。

「2度あることは3度ある」にしないためには、橋下氏と維新の会の正体を知る必要があるだろう。

(7)そこで、それにつき何度かに分けて投稿することにした。


1.マスコミは「日本維新の会」正式結党と報道!

(1)「大阪維新の会」は、これまで、国政進出に向けて政治方針を検討してきた。
NHK2012年2月10日 16時53分
大阪維新の会 政治方針を検討

 大阪市の橋下市長が率いる地域政党「大阪維新の会」は、国政進出に向けた政治方針について、年金制度を積み立て方式にし、高額所得者は掛け捨てにすることや、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加を盛り込む方向で検討することになりました。
 橋下市長は、次の衆議院選挙をにらんで、来月24日にみずからが塾長を務める「維新政治塾」を開講し、坂本龍馬にちなんで「船中八策」と呼ぶ国政進出に向けた政治方針をまとめることにしており、各分野ごとに検討を進めています。
 このうち統治機構については、地方分権を進めるため、国から地方に権限や財源を移し、道州制を導入することを掲げるとしています。
 また、社会保障では、年金制度について、高齢者の年金を現役世代の保険料で賄う現在の方式では、少子高齢化社会に対応できないとして、各自で年金を積み立てる方式を基本に、高額所得者は年金を掛け捨てにする方式の導入を検討しています。
さらに、外交・安全保障では、日米同盟を基軸に平和外交を進めていくことや、グローバル化する経済に対応するため、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に参加することを盛り込む方向で検討していることが新たに分かりました。
 一方、税財政では、地方交付税を廃止すること、教育では、現在の教育委員会制度に代わる新しい教育行政の仕組みをつくることを盛り込む方針を固めています。


(2)そして、今月初めには、国政政党の要件を確保する目処をつけたようだ。
(2012年9月2日09時00分 読売新聞)
維新、政党要件を確保へ…5議員の合流確実に

 地域政党・大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)幹事長の松井一郎大阪府知事は1日、民主党の松野頼久元官房副長官や自民党の松浪健太衆院議員ら5人と大阪市のホテルで会談した。
 出席者によると、松井氏は5人に、次期衆院選に向け維新が9月中旬の結成を目指す新党への合流を打診。5人とも前向きな意向を示し、新党は国会議員5人以上という政党要件を確保する見通しがついた形だ。
 会談したのは、「道州制型統治機構研究会」のメンバーで、松野、松浪両氏のほか、民主党の石関貴史衆院議員、みんなの党の小熊慎司、上野宏史両参院議員。
 松井氏は会談で、合流を前提に、維新の次期衆院選公約「維新八策」について説明し、9日の公開討論会への出席を要請。これに対し、5人全員が維新八策を受け入れる考えを示し、出席者の一人は「頑張って一緒にやっていきたい」と伝えた。別の出席者は会談後、「5人とも合流することになるだろう」と語った。

(3)もっとも、いざ国政進出を決定するという段階で、党内でゴタゴタした。
「大阪維新の会」の大阪府議団は今月(2012年9月)3日、総会を開いたが、次期衆議院総選挙への立候補を目指す執行部に対する不満や疑問が噴き出し、紛糾したと報じられた。
日刊スポーツ [2012年9月3日21時24分]
橋下維新 国政進出で総会紛糾

 橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会の大阪府議団は3日、総会を開いたが、次期衆院選に向け国政進出を目指す執行部に対する不満や疑問が噴き出し、紛糾した。国政進出を機関決定する8日の全体会議までに、同会府議団の会合を再度開くことでとりあえず収拾したが、しばらく火種はくすぶりそうだ。
 「維新の会は本来『大阪都』を実現する目的で集まっていた集団だ」
 若手府議がこう切り出すと、執行部批判が相次いだ。
 執行部は9日、現職国会議員らを集めた公開討論会を開き、同会の衆院選公約「維新八策」への賛同を条件に、合流の可否を判断する考え。
 これに対し「訳の分からない国会議員の話も出ている。全く理解できない」「府議団で公開討論会はおかしいと決めて、執行部に出したらいい」などと反発する声が上がった。
 総会後、同会副代表の今井豊府議団幹事長は記者団に「いろいろな問題点が出て良かった」と強がったが、ある府議は「俺は全体会議で反対してやる」と対抗心をむき出しにした。
 この総会を受けて、橋下氏は市役所で、維新の会の方針決定について「すべてをメンバーにオープンにするのは組織運営として難しい。(異論があるなら)ではどう運営すればいいのか」と不快感をあらわにした。
 維新の会府議団は3日、民主党府議団を離れ1人会派だった中川隆弘府議(52)の入団を了承。これで府議定数109のうち58議席を占めることになる。(共同)

(4)しかし、結局、大阪府議団は、2日後の今月5日、一転して国政進出を認めた。
産経新聞2012.9.6 00:09
不満噴出の維新府議団 一転して“和解”

 橋下徹大阪市長率いる地域政党「大阪維新の会」の国政進出をめぐって不満が噴出した府議団は5日、執行部と非公開の意見交換会を実施。幹事長の松井一郎知事らが府議団に国政進出について理解を求め、大阪都実現を目指して一致結束する方針を確認した。2日前の議員団総会では執行部を激しく批判した府議らも終了後は一転、「気持ちが一つにまとまった」と“和解”を強調した。
 会合は維新本部(大阪市中央区)で開かれ、ほぼ全府議が参加。松井知事ら執行部が国政進出方針は8日の全体会議で正式決定すると伝え、了承されたという。また、今後の運営については府議団と執行部で調整も行うことなどが確認された。
 会合終了後、松井知事は記者団に「コミュケーション不足があった。8日に意思決定し、一致団結しようと伝えた」と述べ、若手府議の一人は「すっきりした。問題提起したことで、気持ちが一つにまとまった」と満足げな表情を見せた。

(5)そして、今月8日、大阪維新の会は所属地方議員による全体会議を開き、新党を結成し国政進出する方針を正式決定した。
2012/09/08 21:19 【共同通信】
「日本維新の会」結党を正式決定 衆院選で過半数目指す

 大阪維新の会は8日、大阪市で所属地方議員による全体会議を開き、次期衆院選に向け新党を結成し国政進出する方針を正式決定した。党名は「日本維新の会」。代表に橋下徹大阪市長(43)、幹事長に松井一郎大阪府知事(48)が就任する。
 橋下氏は記者会見で、新党を第三極の中核として各地の地域政党に結集を呼び掛け、衆院選で過半数獲得を目指す考えを表明。維新の会幹部は候補者擁立規模について記者団に「全体で350人から400人、小選挙区は300人規模を目指す」と述べた。既成政党の脅威となるのは確実だ。
 橋下氏は、自身や松井氏は次期衆院選に出馬しないと重ねて明かした。

(6)ついに、今月12日、代表の橋下徹大阪市長が国政政党の新党「日本維新の会」の結党を正式に宣言した、と報じられた。
(2012年9月13日 読売新聞)
日本維新の会 結党宣言…衆参7議員参加

 地域政党・大阪維新の会は12日夜、大阪市内のホテルで政治資金パーティーを開き、代表の橋下徹大阪市長が国政政党の新党「日本(にっぽん)維新の会」の結党を正式に宣言した。パーティーに出席した民主党の松野頼久元官房副長官ら、民主、自民、みんなの党に離党届を出した衆参の国会議員7人が新党に合流する。「国会議員5人以上」の政党要件を満たし、近く、総務相に政党の設立を届け出る。
 地域政党と同様に、新党の代表には橋下氏、幹事長には松井一郎大阪府知事が就任する。2人はパーティー後の記者会見で、次期衆院選での国政転出を否定した。
 会見に先立つパーティーで、橋下氏は「ゆがんだものをただす一心で走っているが、必ずぶつかる壁が国の制度、法律。地方の自立を目指そうと思えば、法改正しかない」と語った。さらに、「日本全国での大戦(おおいくさ)がスタートを切る」と述べた。
 「日本再生、未来への責任。」とのキャッチフレーズの入った新党のロゴも発表した。
 政党の設立届は政治資金規正法上、名称や主たる事務所の所在地、所属する衆参議員の名簿や宣誓書に、党綱領や規約などを添え、大阪府選管を通じて、総務相に提出する。新党に合流する議員が直前に所属していた政党が離党を許可するかどうかは、新党結成に必要な前提条件にはならず、総務省は「仮に離党が認められなくても、政党の届け出は可能」としている。
 新党は次期衆院選で350人程度の候補者を、公明党が擁立する9選挙区を除く全国の小選挙区と、11の比例ブロックに擁立し、過半数の議席獲得を目指す。
 今後は、基本政策「維新八策」への賛同を確かめる公開討論会への出席を通して、国会議員や首長経験者などの新たな合流組を迎える。また「維新政治塾生」のほか、国会議員や地方議員、首長、公務員とその経験者を対象に衆院選の公募を実施し、立候補予定者を確保する。近く、1次公募を始める。新党の本部は、地域政党と同じ大阪市中央区に置く。
 パーティーには、愛媛県議らの政治団体「愛媛維新の会」や、松山市議の政治団体「松山維新の会」のメンバー、維新との連携を模索する大村秀章愛知県知事、河村たかし名古屋市長らも参加した。今後、各地の政治グループとの連携を広げ、「第3極」を目指す。

愛媛・松山維新が合流
 大阪維新の会の浅田均政調会長は12日、愛媛県議でつくる政治団体「愛媛維新の会」、松山市議の政治団体「松山維新の会」のメンバーと大阪市内で会談し、愛媛、松山維新の会が新党「日本維新の会」に合流することが決まった。次期衆院選で新党が擁立する小選挙区の候補者を支援する。
 愛媛、松山維新は、大阪維新の会の設立後に発足。政策づくりなどで交流を続けてきた。
 また、松井一郎幹事長は同日夜、中京維新の会を設立した大村秀章愛知県知事と、地域政党・減税日本代表の河村たかし名古屋市長との衆院選での連携を巡り、大村氏について「維新のメンバーを応援する立場だ」と連携に期待を示す一方で、河村氏との連携には否定的な見方を示した。
 松井氏は、河村氏が進める減税日本の政党化について、「もう(衆院選の)候補者がいる」と述べ、連携に難色を示した。



2.結党されたのに届出をしなければ政治資金規正法違反!?

(1)上記報道では、「近く、総務相に政党の設立を届け出る」と報じられているので、正式結党宣言時の12日の時点では、まだ政党設立の届出をしていないことがわかる。

ところが、届出をしたとの報道はない。

(2)もし今月12日の正式結党宣言が、「結党しました」という宣言であれば、政治資金規正法上問題になる。

というのは、政治団体(政党を含むy)が結成された場合、政治資金規正法によると、その日から「7日以内」に届出をしなければならないからだ。
(定義等)
第三条  この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。
一  政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体
二  特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体
三  前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体
イ 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。
ロ 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。
(略)

(政治団体の届出等)
第六条  政治団体は、その組織の日又は第三条第一項各号若しくは前条第一項各号の団体となつた日(同項第二号の団体にあつては次条第二項前段の規定による届出がされた日、・・・)から七日以内に、郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (・・・)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者、同条第九項 に規定する特定信書便事業者若しくは同法第三条第四号 に規定する外国信書便事業者による同法第二条第二項 に規定する信書便によることなく文書で、その旨、当該政治団体の目的、名称、主たる事務所の所在地及び主としてその活動を行う区域、当該政治団体の代表者、会計責任者及び会計責任者に事故があり又は会計責任者が欠けた場合にその職務を行うべき者それぞれ一人の氏名、住所、生年月日及び選任年月日、当該政治団体が政党又は政治資金団体であるときはその旨、当該政治団体が第十九条の七第一項第一号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨及びその代表者である公職の候補者に係る公職の種類、当該政治団体が同項第二号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨、同号の公職の候補者の氏名及び当該公職の候補者に係る公職の種類その他政令で定める事項を、次の各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならない。
一  都道府県の区域において主としてその活動を行う政治団体(政党及び政治資金団体を除く。次号において同じ。)主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会
二  二以上の都道府県の区域にわたり、又は主たる事務所の所在地の都道府県の区域外の地域において、主としてその活動を行う政治団体 主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会を経て総務大臣
三  政党及び政治資金団体 主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会を経て総務大臣
(略)

(3)「日本維新の会」が組織された日は、今月12日である。
今日は、同月26日であるからから、明らかに政治資金規正法が命じている届出期間の「7日以内」を経過している。

したがって、「日本維新の会」は、政治資金規正法違反を犯していることになる。

(4)もっとも、これには、罰則がない。

とはいえ、正式に組織されたのに届出しなければ、違法であることには違いない。

(5)なお、罰則が適用される場合がないわけではない。

それは、「日本維新の会」が届出をしないまま政治資金のやり取りをした場合である。

(届出前の寄附又は支出の禁止)
第八条  政治団体は、第六条第一項の規定による届出がされた後でなければ、政治活動(選挙運動を含む。)のために、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない。

第二十三条  政治団体が第八条の規定に違反して寄附を受け又は支出をしたときは、当該政治団体の役職員又は構成員として当該違反行為をした者は、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。


3.「日本維新の会」正式結党は嘘だったのか!?

(1)以上は、「日本維新の会」が今月12日に「正式結党された」ということを前提にした違法問題である。

(2)言い換えれば、正式結党宣言が「結党することを決定しました」ということであり、「日本維新の会」は今月12日には正式結党されてはおらず、未だに決闘されていないのであれば、違法問題は生じない、ということになる。

現に、その後の報道をみると、「日本維新の会」はまだ正式に結党されていないのではないか、と「も」思えてくる。

(3)以下、結党にとって重要と思われる、「日本維新の会」の「規約」に関する報道を紹介する。
日経新聞2012/9/15 19:53
日本維新の会、国会・地方議員を同列に 党規約

 地域政党「大阪維新の会」は15日、近く設立する国政新党「日本維新の会」の党規約を巡って合流予定の国会議員7人と協議した。代表選での投票権など党の方針を決める権限について、国会議員と地方議員を同列に扱うとする規定を盛り込む方針で大筋合意した。
 民主党や自民党では国会議員と地方議員で党首選の1票の価値に差があり、同列の扱いは異例だ。新党の正式発足には党規約などを総務省に届け出る必要があり、維新は規約の詰めを急ぐ。
 この日は維新幹部と、松野頼久元官房副長官らが大阪市内で協議。衆院選後に行う党代表選の投票権について、国会議員と現在の維新府議や市議が同じ1票を持つとする方針を確認した。今後、連携する地方組織のメンバーの扱いについては再度協議が必要とした。次期衆院選の結果などを受けて見直す余地も残している。
 一方、維新は国会議員7人を全国の比例代表ブロックごとに割り振り、維新の府議、市議らと協力して選挙戦略を立てていく方針も決めた。

(2012年9月16日 読売新聞)
代表の任期3年、本部は大阪…維新の党規約案 

 地域政党・大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が結成する新党「日本維新の会」の党規約案が15日、明らかになった。
 代表任期は「就任から3年後の9月末まで」と明記し、事実上3年間とし、再任も認めた。国政選挙の公認・推薦や比例選の名簿登載順位については「代表が決定する」とした。民主党の場合、こうした決定は常任幹事会で行うと定めており、日本維新の会は、代表に強い権限があることを明確にした。
 党本部は大阪府に置くと定めた。党の最高議決機関は「全体会議」で、所属国会議員と首長、地方議員で構成するとし、事実上、国会議員と地方議員らを同列に扱った。このほか各都道府県に支部を置き、代表が重要な支部と認めたところは「地域政党」に指定することも盛り込んだ。

産経新聞2012.9.15 21:29
日本維新の会、空中分解の兆し 大阪主導の規約に東京側は「暫定」

 橋下徹大阪市長を代表とする新党「日本(にっぽん)維新の会」に参加する国会議員と「大阪維新の会」の府議、市議らが15日、同市内の大阪維新本部で初会合を開き、党運営を定める規約を固めた。これにより、今月中に総務相へ結党を届け出る。ただ、国会議員側は大阪側主導で作られた規約を「暫定」と強調するなど不満を示す。次期衆院選の「台風の目」と目されていた維新だが、水面下では深刻な路線対立が生じている。
 会合では、党代表の任期は3年で再選可能とし、代表選は国会議員、地方議員ともに1人1票の投票で決めるとする規約を固めた。
 ただ、国会議員の一人は、協議終了後「過渡期の規約だから」と、変更もありうることを示唆した。
 国会議員側の7人は13日夜、都内で党の政策の柱とする「維新八策」や規約について話し合った。
 「こなれていない」「これが最終形とはならない」−。7人は八策については修正が必要との認識で一致した。規約についても「国会議員の自立性を明文化させないと国会対応が取れない」「各地域ブロックの責任者は国会議員にすべきだ」との意見が出た。
 しかし、15日の協議は、数で勝る府議団らが押し通し、国会議員側も、届け出を最優先させるため反論を極力抑えた。
 府議団や市議団は、「外様」である国会議員側に主導権を奪われたくないという意識が強い。国会議員側は、所属政党への離党届を出した直後であり、新党をここでご破算にするわけにいかないが、松浪健太衆院議員は15日の会合後、記者団に「国会議員団の規則は国会議員団で決めるのは当然だ」と主張した。
 「大阪」と「東京」との確執。「日本維新の会」は空中分解の危険性をはらんでいる。(松本学)

(2012年9月22日18時40分 読売新聞)
維新、橋下代表に「拒否権」付与…権限強化へ

 地域政党・大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が近く結成する新党「日本維新の会」の規約案に、党の重要事項の議決に関し、「出席者のうち代表を含む過半数」を必要とする規定を盛り込むことが21日、明らかになった。
 代表に事実上の拒否権を与え、権限を強化する狙いがある。

(4)以上は「日本維新の会」の「規約」に関する報道である。
今月12日の正式決定宣言の時点で、「規約」は存在しなかったことがわかる。

「規約」は、政治資金規正法上の届出において重要である。
(政治団体の届出等)
第六条 (前掲)
2  政治団体は、前項の規定による届出をする場合には、綱領、党則、規約その他の政令で定める文書(第七条第一項において「綱領等」という。)を提出しなければならない。

(5)「日本維新の会」の「綱領」については、マスコミ報道では、混乱してしまいそうだ。
なぜながら、橋下代表は8月末に発表した「維新八策」が「綱領」だと言い張ったという報道がある一方、「維新八策」とは別に「綱領」を策定するとの報道があるからだ。

毎日新聞 2012年09月05日 22時49分(最終更新 09月05日 22時58分)
大阪維新の会:八策は「党綱領」橋下代表、政権公約を批判

 大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は5日、次期衆院選で掲げる「維新八策」について、「新たな政治グループの価値観を示す綱領だ」と述べ、数値目標などを記すマニフェスト(政権公約)ではなく、近く設立する国政新党の「綱領」との見解を明らかにした。衆院選では、八策とともに、具体的な政策例を記した「政策実例集」も作成し、過半数獲得を目指すという。
 維新は先月31日、衆院定数(480)の半減や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加、首相公選制の導入などを盛り込んだ維新八策の最終案をまとめた。これに対し、具体的な数値目標や実現の道筋が不明確との批判が出ていた。
 橋下氏は「数値目標や工程表は行政がつくるもので、政治は方向性を示すことに限定すべきだ」と述べ、従来のマニフェストを批判。衆院選では、新党の綱領である八策を前面に掲げ、「こういう方向性の政治集団に任せてくれますかと問いたい」と話した。【藤田剛】

日経新聞2012/9/8 13:31
新党名は「日本維新の会」 綱領に「八策」の理念

 橋下徹大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会」が近く設立する国政政党の党名を「日本維新の会」とする方針を固めたことが8日、維新幹部への取材で分かった。新党の綱領には道州制や消費税の地方税化などを盛り込んだ政権公約「維新八策」の理念を掲げる方向で調整している
 「日本」を冠することで国政政党の立場を明確にする一方、「維新」の名称は広く浸透していると判断した。

(6)「日本維新の会」の「党則」については、以下の報道があるが、党則はできたのであろうか?
日刊スポーツ[2012年9月7日20時2分]
維新の会、党首選ルール整備急ぐ

 大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は7日、近く立ち上げる新党の党首に関し「ナショナルパーティー(国政政党)になれば、民主的な手続きを取った方が良い」と述べ、党首選ルールの整備を急ぐ考えを明らかにした。今後、作成する党則に盛り込む方針だ。
 新党の党首には維新の会代表の橋下徹大阪市長が就任する予定だが、松井氏は「民主的なルールで、自分たちで選んだ代表でなければ、ガバナンスが効かない」と述べた。府庁で記者団の質問に答えた。
 これに先立ち、橋下市長は7日、新党党首就任に関し「政党を正式に立ち上げるなら、一定の民主的手続きを取らないと、それこそ危険な集団になってしまう」と述べ、党則整備の遅れを認めた。
 同時に「一般論としては、国政政党となると、大阪府民、大阪市民から直接選ばれた僕が、国全体の政治に関与する政治グループの代表にそのまま横滑りというわけにはいかない」と述べ、就任は暫定的な措置との認識を示した。市役所で記者団の質問に答えた。(共同)

(7)ちなみに、「日本維新の会」のホームページはいまだに見当たらない。

「日本維新の会」に関する企画は、「大阪維新の会」のホームページで掲載されている。

http://oneosaka.jp/

(8)「結党」には「規約」などの策定が不可欠というわけではない、という立場に立場、前述のように政治資金規正法違反ということになる。

他方、「結党」には「規約」などの策定が不可欠だ、という立場に経てば、正式結党宣言された今月12日の時点で「日本維新の会」は正式結党されていないと受けとめることも不可能ではないことになる。
したがって、橋下代表が、今月12日に「日本維新の会を結党しました」と宣言したのであれば、国民とマスコミに嘘をついたことになる。

(9)今月12日の正式決定宣言が「日本維新の会を結党します」という宣言であれば、「結党しました」と受けとめたマスコミや国民の勘違いということになる。

(10)果たして、どちらなのだろうか?
国民はどううけたのだろうか?


4.「日本維新の会」はいつ、どのような届出をするのか?

(1)「日本維新の会」はいつ届出をするのだろうか?
今月末になるとの報道があったが、果たしてどうなるのか?
NHK-9月22日 19時22分
「日本維新の会」今月末にも届け出へ

 新党「日本維新の会」の幹事長となる、大阪府の松井知事らは、22日、新党に参加する国会議員らと会合を開き、今月末をめどに新党設立の届け出を行う方針を確認しました。
 大阪市内で開かれた会合には、松井知事のほか、新党「日本維新の会」に参加する松浪健太衆議院議員や、新党の総務会長となる東徹大阪府議会議員らが出席しました。
この中で松井知事らは、次の衆議院選挙に向けて、今月25日に東京に新党の事務所を開いたうえで、28日をめどに新党設立の届け出を大阪府選挙管理委員会に行う方針を確認しました。
 そして、東京事務所の所長には元自民党衆議院議員の近江屋信広氏を充てることを決めました。
 さらに松井知事らは、新党の規約を巡っても意見を交わし、国会議員と地方議員の立場は対等とする一方で、国会議員団の団長を務める議員については新党の執行部に加えることも確認しました。
 このあと松井知事は、記者団に対し「国会議員団の団長は、新党の代表代行にするか副代表にするかは別にして、執行部の一翼を担ってもらうことになる」と述べました。

(2)その報道後、「日本創新党」が解党し、「日本維新の会」に合流することになるのではなかとの報道もある。
産経新聞2012.9.23 01:30
日本創新党が解党、維新と合流へ

 地方自治体の首長経験者らで結成された日本創新党が新党「日本維新の会」への合流を視野に解散を検討していることが22日、わかった。29日に東京都内で開く臨時党大会に諮る。
 日本維新の会が政党間の連携を原則行わない方針を打ち出していることを踏まえ、次期衆院選で「第三極」が競合し既成政党を利することを避けたいと判断したとみられる。
 創新党が掲げる政策と、日本維新の会の「維新八策」には道州制導入や衆院議員定数削減など共通点が多く、解党して維新サイドに合流するほうが創新党の理念実現への近道になるとの考えもあるようだ。
 創新党は、山田宏前東京都杉並区長が党首、中田宏前横浜市長が代表幹事をそれぞれ務め、8人の現職地方議員が所属している。平成22年4月に「国家・地方・国民の自立」を掲げて結党し、同年夏の参院選に臨んだが、一議席も獲得できなかった。今年1月には山田、中田両氏が大阪市の特別顧問に就任し、2月の党大会では維新との連携を打ち出した。
 橋下徹大阪市長が代表を務める日本維新の会は、衆院議員と首長の両方を務めた山田、中田両氏について次期衆院選への擁立を検討している。

(3)「日本維新の会」の国会議員は何名になるのだろうか?
NHK-9月25日 6時22分
日本維新の会 国会議員15人程度で

 新党「日本維新の会」は、これまでに9人の国会議員が参加する見通しとなっていますが、新党として次の衆議院選挙に臨むにあたって、国会議員の数が増えすぎるのは、必ずしも得策ではないとして、15人程度までにとどめる方針です。
 大阪市の橋下市長が代表となる「日本維新の会」は、23日、2回目の政策討論会を開き、新党への参加を目指す民主党と自民党の2人の国会議員が新たに出席し、大阪府の松井知事が、2人の新党への参加を認める方針を示しました。
 これによって、新党に参加するため、すでにそれぞれの所属政党に離党届を提出した民主党、自民党、みんなの党の国会議員7人と合わせて、9人の国会議員が新党に参加する見通しとなりました。
 しかし、維新の会の内部では、「政策討論会で、基本政策の『維新八策』に賛同しているかどうかを見極めるのは難しい」という指摘や、「既成政党と一線を画そうという新党の方針と相いれない」といった意見が出ています。
 このため、25日までに幹部が協議した結果、新党として次の衆議院選挙に臨むにあたって国会議員の数が増えすぎるのは必ずしも得策ではないとして、15人程度までにとどめる方針を固めました。
 これを受けて、今月29日の3回目の政策討論会に新たに国会議員が出席する場合でも、人数を絞り込む方向で調整が行われる見通しです。
.

(4)結党日を含め、どのような届出がなされるのか、気になるところである。

(つづく)

小沢一郎氏の控訴審開始を前に(指定弁護士は小沢事務所のHPを証拠として提出していないのではないか?)

はじめに

(1)元民主党代表で、現在の「国民の生活が第一」代表・小沢一郎氏は、その資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる政治資金規正法違反容疑で起訴された刑事裁判の控訴審であるが、検察官役の指定弁護士は、今年6月に控訴趣意書を東京高裁に提出した。
そして、控訴審は明後日(2012年9月26日)から始まる。
産経新聞2012.6.21 01:05
「1審は事実誤認」小沢氏無罪判決の破棄求める 指定弁護士が控訴趣意書を提出

 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(70)の控訴審で、検察官役の指定弁護士は20日、「小沢被告の故意や元秘書との共謀を認めなかった事実誤認がある」として、無罪を言い渡した東京地裁判決の破棄を求める控訴趣意書を東京高裁(小川正持裁判長)に提出した。
 今後、小沢被告の弁護側が控訴棄却を求める答弁書を提出し、争点整理が進められる。公判は秋にも始まる可能性がある。
 控訴趣意書で指定弁護士側は、1審同様、小沢被告が平成16年10月に銀行の融資書類に自ら署名していることなどをあげ、虚偽記載の違法性を認識していたと主張。「1審判決は客観的に明白な事実に照らして不合理であり、誤りであることは明らか」と指摘した。
 1審は、小沢被告が土地購入費用として陸山会に提供した4億円の簿外処理や土地取得の公表先送りについて元秘書らとの間に「報告・了承」があったと認定。しかし違法性について小沢被告が「認識していなかった可能性がある」として、元秘書らとの共謀は成立しないと結論付けていた。

毎日新聞 2012年08月23日 02時32分
陸山会事件裁判:指定弁護士 小沢氏の妻に事情聴取を要請

 資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた「国民の生活が第一」代表の小沢一郎被告(70)=1審無罪=の控訴審で、検察官役の指定弁護士が5月以降、代表の妻(67)に事情聴取を要請していたことが関係者への取材で分かった。妻側は応じず、聴取は実現しなかったとみられる。東京高裁(小川正持裁判長)は24日、指定弁護士、弁護側と3者協議を開く予定で、近く控訴審の第1回公判の期日が決まる見通し。
 関係者によると、指定弁護士は、4月26日に1審・東京地裁で小沢代表に無罪が言い渡され、5月9日に控訴した後、手紙や電話で複数回、妻側に聴取を打診。しかし、妻側から返答はなく、聴取を断念したという。

(2012年8月24日19時31分 読売新聞)
小沢氏の控訴審、来月26日に第1回公判

 新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)が政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた陸山会事件で、1審無罪判決に対する控訴審第1回公判が、来月26日に東京高裁(小川正持裁判長)で開かれることが24日決まった。
 小沢代表は出廷するが、被告人質問は行われない見通し。
 検察官役の指定弁護士は、この日の高裁、弁護側との3者協議で、約10点の証拠を提出する意向を伝えた。控訴後の補充捜査で新たに作成した事件関係者2人分の調書が含まれ、8月27日に一部を弁護側に開示する。
 被告人質問は、弁護側が「小沢代表に応じる意思はない」としたため、実現しない見込み。また、指定弁護士は補充捜査の一環として、問題の土地取引の経緯などについて小沢代表の妻に事情聴取を要請したが、返答がなく断念したという。

(2012年9月23日14時14分 読売新聞)
秘書経験者の尋問行うかが焦点…小沢氏控訴審

 新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)が政治資金規正法違反に問われた陸山会事件の1審無罪判決に対する控訴審が26日、東京高裁で始まる。
 検察官役の指定弁護士が、1審後に事情聴取した秘書経験者の証人尋問が認められるかどうかが焦点となる。指定弁護士は代表と秘書の上下関係を改めて強調したい考えだが、高裁が尋問を認めなければ、控訴審は1回で結審する見通しだ。
 小沢代表は昨年1月に強制起訴され、16回の公判を経て、今年4月に東京地裁で無罪となった。判決は、代表の事件への一定の関与は認めたものの、政治資金収支報告書の記載は適法だと認識していた可能性があるとして、同会元事務担当者の石川知裕衆院議員(39)(1審有罪、控訴)らとの共謀を否定した。
 指定弁護士は控訴後、有罪立証を補強するため、代表の事務所関係者を事情聴取し、秘書を経験した女性と男性の調書を作成した。2人は2000年頃まで事務所に勤務し、男性はその後に衆院議員も務めた。
 2人は「代表は事務所費の細かい点までチェックしていた」「速やかに仕事の報告をしないと厳しく叱責された」などと供述。指定弁護士側は、これらの調書を「代表は石川被告から土地取引の細かな経緯まで報告を受けていなかった」とする1審判決の認定を崩す“武器”と位置付けていた。
 しかし、代表の弁護側が「00年までの秘書業務一般について語っているに過ぎず、04〜05年分の起訴事実とは関連性がない」として、証拠採用に不同意としているため、調書が証拠採用される可能性は低い。
 このため、指定弁護士は秘書経験者を証人申請する予定だが、控訴審で新たな証人尋問が認められるには、1審では申請できなかった「やむを得ない理由」が必要とされる。1審で、証拠や争点を絞り込む公判前整理手続きが18回も行われた今回の事件で、高裁が認めるかどうかは不透明だ。

(2)まず、確認しておきたいことは、小沢一郎氏の刑事裁判と、その元秘書3名の刑事裁判とは、ともに政治資金規正法違反の問題で地裁判決が出ている点では同じであるが、別々の裁判である、ということである。

元秘書ら3名は、検察に起訴されているのであるが、そのうち2名は、土地取得をめぐる事件で起訴され、東京地裁で有罪判決が出ており、残りの1人は、西松建設違法献金事件と土地取得をめぐる事件で起訴され(後者は共謀共同正犯)、有罪判決が出ている(ただし後者の一部は共謀を認定されていない)。

他方、小沢氏は、検察によっては起訴されなかった。
しかし、検察審査会が2度「起訴相当」の議決をしたため、検察官役の指定弁護士によって起訴されたものであり、容疑は、土地取得をめぐる事件のうちの一部だけが対象であり、東京地裁では、無罪判決が出ている。

(3)明後日の裁判は、小沢一郎氏の控訴審であり、その元秘書3名のそれではない。
したがって、ここで取り上げたいのは、前者についてであるが、検察の捜査・逮捕や裁判については、「でっち上げ」であるとか、「陰謀」であるという指摘もあるので、両者を取り上げることにする。

最初に元秘書らの裁判を、その後で小沢氏の裁判を、取り上げる。

なお、検察官が作成した調書を読んでいないので、両裁判について「絶対こうだ」ということは言えないことを、あらかじめご了解いただきたい。

(4)なお、「でっち上げ」と「陰謀」とは同じ意味で使用される場合もあるだろうが、厳密に言えば異なる。

そもそも事件でないものを証拠を捏造などする、あるいは証人に偽証させるなどして事件に仕立てるのは「でっち上げ」であるが、「陰謀」は「でっち上げ」による場合もあるが、そうでない場合もある。

(5)ここでは「でっち上げ」かどうかについても私見を書くが、後者の意味での「陰謀」かどうかについては、私見を書かない。



1.元秘書3名の裁判について

(1)小沢一郎氏の元秘書3名については、裁判については、私のブログ投稿と阪口徳雄弁護士のそれを以前紹介したが、再度紹介しておこう。

◇私のブログ

検事調書不採用で小沢一郎元秘書ら3名は「陸山会」裁判で「無罪確実」!?

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(1)

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(2):「西松建設」違法献金事件

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(3):土地取得をめぐる事件

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(4):虚偽記載・不記載の一覧表(不記載・虚偽記載総額約18億5261万円)

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(5):西松建設総務部長兼経営企画部長証言問題

今日と明日(2012年1月10日・11日)被告人小沢一郎氏本人質問について(元秘書3名の裁判も振り返りながら)

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(6):事件の背景・動機i (小沢事務所と企業の癒着)

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(7):検察の問題点


◇阪口徳雄弁護士のブログ

小沢秘書の否認は裁判所で認められるか?(政治とカネ229)

小澤氏土地本登記の遅れは農地の為ではない(政治とカネ233)

小澤氏側の本登記の遅れは農地の問題ではない(2)(政治とカネ234)

何故陸山会は本登記を遅らせたか(政治とカネ240)

小沢元秘書達は無罪となるか(政治とカネ243)

元秘書に有罪判決(政治とカネ245)

水谷建設1億円を認定した裁判官の心証形成の背景(政治とカネ246)

陸山会事件のネットにおけるガセネタの検討(政治とカネ247)

(2)元秘書3名の裁判については、検察側及び元秘書ら3名側の冒頭陳述書、マスコミの裁判報道、最終弁論、判決要旨、判決文を読んだところによると、控訴審でも、(虚偽記載・不記載が過失にとどまり故意ではなかったと認定されない限り)3名の有罪の可能性は極めて高いと思われる(もちろん、だから控訴審の審理に注目する必要がないということではない)。

政治団体の政治資金収支報告書、金融機関の口座の写しなど客観的証拠がある上に、3名の主張内容を読むと、事実関係を根本的に争っているわけではない(争っている一部の事実は政治資金規正法違反とは直接関係ない裏献金の受領など)し、元秘書3名の言い分が矛盾し合っているから、裁判官が無罪判決を書く方が難しい、と思うからである。

(3)被告人の石川議員が密かに録音した検察の取り調べのテープ起こしを読むと、裁判官は、石川氏の有罪を確認したに違いない。

これは、おそらく、石川議員が被告人小沢氏をどうにか救いたいとの一存で自らを犠牲にして提出したものではなかろうか!?
(しかし、そうであれば、政治資金規正法違反については罪を認め、罪に直接関係のない裏金の受領についてのみ(本当に受領していないのであれば)争えば良かったのではなかろうか!?)

(4)東京地検が小沢氏の元秘書・大久保氏を逮捕し、家宅捜索し、大久保氏を起訴した当時は、小沢氏が野党の党首(民主党代表)であったため、検察が事件を「でっち上げた」との主張もあった(今でもそのような主張が見られる)。

だが、もともと、この事件は、西松建設が海外で裏金を捻出し、それを日本国内に持ち込んだことが発覚し、その捜査の延長上で、西松建設が政治家に違法献金していたことが発覚したものである(そして、さらに小沢氏の政治団体の場合には、土地取得をめぐる事件が発覚したものである)。
海外での裏金の捻出と政治家への違法献金については、すでに紹介したように西松建設はホームページで「自白」もしている

つまり、全く何もないのに、検察が小沢氏の関係の政治団体などを突然家宅捜索し、元秘書を逮捕し、起訴した事件ではないのだ。

そして、前述したように、客観的証拠もある事件である。
従って、「でっち上げ」であるという主張は、これまでの情報を前提にすれば、単なるデマとしか言い様がない。

(5)被告人大久保氏については、いわゆる訴因変更がなされた。
当時、これは「西松建設違法献金事件で大久保氏を有罪にできないから訴因変更したのではなか」と主張する者があったが、有罪とした判決文を読むと、そのような主張は成り立たないものであることがわかる。

にもかかわらず、いまだにそのような主張をする者があるが、明らかにデマを流していると思われる。

西松建設違法献金事件では、元社長は罪を全面的に認め刑も確定している。
また、私たちの告発もあって自民党のニ階・元大臣の秘書も罪を認め、有罪判決が出ている(確定)。

したがって、大久保氏について、「西松建設事件で無罪になりそうだから検察は訴因変更を求めた」というのは、明らかに間違いである。

東京地裁の判決を読むと、大久保氏の場合、西松建設事件での有罪は確実なものであり、むしろ訴因変更で追加された土地取得をめぐる事件での共謀共同正犯の方が一部裁判所で認定されなかったのであるから、検察はわざわざ立証が難しい事件を訴因変更で追加したということがわかる。

(6)西松建設総務部長兼経営企画部長が、問題の2つの政治団体はダミーではなかった旨、裁判で証言していることを根拠に、西松建設違法事件それ自体を否定する者もあったし、今でもあるようだが、すでに紹介したように、判決文を読むと、当該部長の証言は裁判所によって簡単に反論されてしまっている

(7)小沢氏の裁判で、取得した土地につき政治資金収支報告書への記載が1年ズレていること、いわゆる「期ズレ」が違法ではないという会計の専門家の証言が公判でなされたことをもって、そもそも土地取得をめぐる事件の本質が違法ではないと主張するものがあった(今でもあるようだ)。

だが、これについては、後で紹介するが、おそらく公判での証人の発言内容すべてを知らないからだろう(読んでいる者は、デマを流しているに等しいだろう)。

そもそも、石川氏は、当初罪を認めていた。
報告時期をズラしたことについても、冒頭陳述書で認めているから、「期ズレ」ではなく、「期ズラシ」なのである。

(8)西松建設違法献金事件で、東京地裁は、犯罪に直接関係ない、公共事業における「天の声」を小沢事務所が発していたことを認定した。

これも、判決文を読むと、多くの証言があるので控訴審で覆る可能性はないように思うが、たとえ覆ったとしても、違法献金という政治資金規正法違反の評価まで覆るわけではないだろう。

(9)土地取得をめぐる事件で、東京地裁は、ゼネコンからの裏金合計1億円を認定している。

これも、判決文を読むと、証言がある。
ただし、裏金を用意するところまでは証言は多いが、実際に渡すところでの証言は少ない。
果たして控訴審でこの裏金1億円(あるいは5000万円)が認定されるかどうかはわからないが、たとえ認定されなくても、虚偽記載・不記載という政治資金規正法違反の評価まで覆るわけではないだろう。

なお、大久保氏の共謀については、控訴審で必ず認定されるとは断言できないが、認定されなくても、大久保氏は、西松建設違法献金事件での有罪の可能性が高いだろう。

(10)東京地裁の「有罪」判決は、推認に基づくものであるとの評価があるが、それは、間違った読み方であろう。
虚儀記載、不記載については、政治資金収支報告書と金融機関の口座という客観的証拠に基づいて「有罪」判決がくだされており、その点については推認はなされていないからである(推認がなされているのは、それとは別の事実についてである)。

(11)いずれにせよ、控訴審において3名の有罪判決の可能性は高い。

だが、私は、検察官の調書を読んでいないので、控訴審の公判には(可能な限り)注目したいと思っている。


2.小沢一郎氏の裁判について

(1)前述したように、元秘書ら3名と小沢氏の裁判とは別のものであるから、前者が有罪の可能性が高いからといって当然に後者が有罪になる可能性が高いというわけではない。
小沢氏の場合には、いわゆる共謀共同正犯で起訴されているので、立証のハードルは高いことに注意する必要がある。

(2)まず、東京検察審査会の2回の「起訴相当」議決に関しては、当時、その他の関連する事項を含め、以下のブログ投稿をし、マスコミの取材にも「起訴相当」議決理由に批判的なコメントをしてきた。
他方、小沢氏は国会議員という公人であり、問題の政治団体の代表者であるから、政治責任については、追及し続けてきた。
刑事責任と政治責任とは別だからだ。

検察審査会の小沢一郎「起訴相当」議決には2度驚いた!

検察審査会の小沢一郎「起訴相当」議決における審査補助員と自称「審査申立て人」についての雑感

小沢一郎「起訴相当」議決と自称「審査申立て人」についての追加的雑感

東京地検特捜部は今月中に小沢一郎民主党幹事長を不起訴処分するのか!?

小沢一郎氏の非常識なコメントには呆れる!

小沢一郎「起訴相当」議決が援用した「判例」とはこれか!?

予想外の小沢一郎氏の東京第5検察審査会2度目の「起訴相当」議決について

小沢氏2度目の「起訴相当」議決に関する雑感

(3)検察官役の指定弁護士による起訴後の裁判と東京地裁判決については、これまで、検察改革の必要性や検察審査会法の改正の必要性も一緒に説きながら、ブログ投稿してきた。

小沢一郎元民主党代表の初公判での意見と記者会見での発言等について

今日と明日(2012年1月10日・11日)被告人小沢一郎氏本人質問について(元秘書3名の裁判も振り返りながら)

小沢一郎氏裁判における検察調書不採用と諸改革の必要性

小沢一郎・元民主党代表の刑事裁判の判決について

小沢一郎元代表裁判「判決骨子」と政治資金規正法改正の必要性

(4)検察審査会の2度の「起訴相当」議決の理由を読んで、検察審査会が小沢氏を十分有罪にする確証を抱いていないと思い、上記投稿で批判してきた。

また、東京地検は、土地購入の4億円の原資の一部がゼネコンからの裏金であると睨んでおきながら、小沢氏の地元と東京の自宅を家宅捜索していなかったのであるから、そもそも小沢氏を起訴する気がなかったのではないか、とさえ思っている。

だから、東京地裁が「無罪」判決を下した時、一応、結論だけで言えば私の予想が的中したことになる。

(5)もっとも、それは、そもそも、例えば、いわゆる「期ズレ」が違法ではないと考えたからではない。
それは、前述したように、「期ズラシ」なので違法である。

いわゆる「期ズレ」が違法ではないという会計の専門家の証言が小沢氏の公判でなされたことをもって、そもそも土地取得をめぐる「事件」は存在せず違法ではないと主張するものがあった(今でもあるようだ)。

だが、私は、逆に、裁判官とその証人とのやり取りの報道(下記)を読み、小沢氏の裁判でも、裁判所は「違法」判断すると予想していた。
少し長いが、省略せずに、紹介しておこう。
産経新聞2011.12.20 22:13
会計専門家「収支報告書は家計簿と同じレベル」

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で20日、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第11回公判が開かれた。この日、証人として出廷したのは、筑波大学の男性教授。会計学の専門家だ》
 《陸山会は問題となっている土地について、平成16年10月に購入代金の支払いを終えたが、所有権移転の本登記を行ったのは翌17年1月。土地代金の支出は16年分ではなく、17年分の政治資金収支報告書に記載している。検察官役の指定弁護士は、これが「虚偽記載にあたる」と主張しているが、これに対して弁護側は本登記を基準にした記載に違法性はないとしている》
 《午後1時10分、明るい青色のネクタイを着けた小沢被告は入廷すると、裁判官らに向かい、一礼した。大善文男裁判長が開廷を告げる》
 《続いて、証人の教授が入廷。弁護側は商事法、制度会計を専門とする教授の略歴などについて確認した後、企業における会計処理の方法について質問を始めた。教授は、企業については情報提供先として想定されるのが投資家や債権者らで、財政見通しなどを含めた広範な財務状況の開示が求められるのに対し、政治団体は「より『固い』確実な情報を提供する目的がある」と指摘。「経済実態」を示す企業会計と対比させ、政治団体が開示すべき情報を「法的形式」という言葉で表現する》
 弁護人「『法的形式』がより重視される理由はありますか」
 証人「形式であれば外部から見ても分かる状態で会計処理され、主観の見積もりが入りづらいです」
 弁護人「他にメリットはありますか」
 証人「(会計書類の)作成者も予想の見積もりを立てる必要がなく、簡単です」
 弁護人「専門知識がなくても『法的形式』であれば会計処理できると?」
 証人「おっしゃる通りです」
 《教授はすでに提出した意見書の中で、「法的形式」の観点に基づけば、本登記の時点で土地代金の支出を収支報告書に記載した陸山会側の対応に問題はなかった、としている》
 証人「不動産の引き渡し時を特定するのは難しい場合もある。客観的に確定される登記時が、中小企業であれば基準になります。むしろ、本登記していないものを収支報告書に計上することに問題が生じる可能性もあります」
 弁護人「資産取得と支出の計上時期は、同一年度であったほうがよいと考えますか」
 証人「支出だけ記載され、資産の記載がなければ、誤解を生む恐れがあります。例えば前年に5万円の手付金を払い、翌年に95万円で資産を取得したとしても、資産取得代金が『95万円』と記載されるべきではないと考えます」
 《教授は会計学の視点で、資金管理団体の帳簿について、一般企業と同様の厳格な基準で論じるべきではないと繰り返し強調する》
 弁護人「政治資金規正法は、資金管理団体にどの程度のレベルの会計処理を求めていますか」
 証人「現金の収支がきちんとしているかどうかを求めているが、公認会計士も監査法人も通さない仕組み。非常に乱暴な言い方になるが、主婦が家計簿をつけるレベルにかなり近い。せっかくつけたから、配偶者に報告する、そういうイメージだ」
 《「主婦」は政治資金団体の会計責任者、「配偶者」は国や国民を指すのだろうか》
 弁護人「会計学の専門家でなくても作れるのが収支報告書ということですね」
 証人「会計だけでなく、法的な知識がなくても作成できるもの。(一連の土地売買が)終わっていないから記録しなくてもいい、という素朴な感覚を否定するルールを(政治資金規正法が)定めているとは考えられません」
 《弁護側の尋問が終わり、30分の休廷を挟んだ後、指定弁護士側の反対尋問が始まった。小沢被告は開廷時と同様に一礼して入廷し、肩を上げ下げしリラックスした様子で席に座る》
 《質問に立った指定弁護士は、教授の意見書は前提事実に問題がある、と指摘した。不動産会社と陸山会は16年10月に、同月内に売買が完了するとの契約を結んだが、登記は翌17年1月に行われた。弁護士側はその過程で「売買契約が売買予約契約に変更された」と主張、指定弁護士側は「売買契約は10月中に完了した」としているが、この争点が欠落している、という内容だ》
指定弁護士「売買予約契約に変更されたと理解したんですか」
 証人「変更と推測しました。若い頃には法学を勉強した身ですから。暗黙の理解で当然、契約内容の変更があると思ったが、意見書では会計学の専門家として、そのことに直接ふれていません」
 《指定弁護士は本登記を17年1月にする、という内容の司法書士あての委任状を廷内モニターに表示した。委任状は本登記日の「1月7日」部分が手書きされている。実質的には、16年中に売買に関するすべての業務が終わっていたとして、指定弁護士は教授に質問。これは、教授が意見書を提出した段階で持ち合わせていなかった情報で、指定弁護士側は判断の変更を迫っていく》
 証人「白紙で委任状が出されていたなら、(16年に)所有権の移転がなかったというのは無理がある、ということはありえます。しかし、(「1月7日」が)事後に埋められたのでなければ、やはり最終的に手続きが終わったのは1月7日となる。会計学的な評価は難しいです」
 《指定弁護士との押し問答が続くが、自説の撤回には頑として応じない教授。根負けした様子で質問が終わり、別の指定弁護士が質問に立つ》 
 《指定弁護士は16年分の収支報告書で、登記を終えていない別の不動産が、売買契約段階で記載されている点を指摘。矛盾を強調するが、教授は「16年分の収支報告書に土地購入を記載したくなかった、という動機1つでは、翌年の記載が合理性を欠くとはいえない」「矛盾の可能性はあると思うが、はっきりいう根拠がない」と繰り返し、指定弁護側に言質をとらせない》
 《指定弁護士の尋問が長引き、裁判官の尋問は閉廷予定の午後5時を過ぎて開始される。左陪席の裁判官は、土地取得と報告書の記載の「期ずれ」の問題について疑問を呈する
 裁判官「16年に取得した土地を17年分の収支報告書に記載してかまわないということですね」
 証人「そうです」
 裁判官「どの条文を解釈しているんですか」
 証人「取得年月日を書けという(政治資金規正法の)要求は、報告書を作成する人が、本登記した日を書くと理解されます。16年に土地取得を書けないのに、支出だけ書くのはアンバランスです」
 裁判官「でも、司法上は誤りなんですよね」
 証人「土地取得が(年内に完了していると)特定できていれば、誤りです」

 裁判官「後で誤りが分かっても、直さなくていいのですか?」
 証人「難しい質問です。企業が過年の誤りを一つ一つ訂正しているかどうか…」
 裁判官「誤りは直した方がいいですか」
 証人「直した方がいいか、そこまで要求されているかどうかは言い切れません」
(略)

私が注目したのは、左陪席の裁判官と証人とのやり取りであり、特にゴシックにした部分である。

(6)また、小沢氏側の冒頭陳述書などを読んで、後述するように墓穴を掘っているとことがあると思ったので、ひょっとすると、有罪になる可能性もある、と考えてきた。

というのは、第一に、小沢氏側の冒頭陳述書を読むと、小沢氏が陸山会に4億円を貸付けてはいない旨、説明していたからである。
これは、4億円を受け取った石川氏が小沢氏から借入れたことを認めているのだから、小沢氏は墓穴を掘っている、と感じたのである。

また、第二に、小沢氏は自らホームページ(下記)で、4億円を陸山会に「貸付け」ていることを認めていたからである。

http://www.ozawa-ichiro.jp/massmedia/contents/appear/2010/ar20100124150021
陸山会への貸付などに関する経緯の説明

平成22年1月23日


陸山会への貸付等に関する経緯の説明


衆議院議員 小沢一郎事務所


本日は、午後2時ころより午後6時30分まで東京地検特捜部の要請を受けて事業説明をいたしました。
今までは、検察官への説明前の段階だったので、発言を差し控えておりましたが、この機会に、新聞・テレビ等で報道されております陸山会の不動産購入とこれに関する資金の流れ等についてご説明いたします。

陸山会に4億円を貸し付けた経緯
秘書の数も増え、妻帯者も増えたので、事務所兼用の住居を提供したいと思っていたところ、秘書が本件土地を見つけてきて、これはいいのではないかということになりました。それで、秘書に不動産業者にあたらせたところ、土地売買代金額が金3億4000万円余りと決まりました。
そこで、この土地を購入することになりましたが、当時陸山会の経理を担当していた秘書から各政治団体の資金をかき集めればなんとかなるが、そうすると各政治団体の活動費がほとんどなくなってしまうので、私に何とか資金調達できないかと言ってきました。
そこで、私は自分個人の資産の4億円を一時的に陸山会に貸し付けることとしたのです。

平成16年10月に私が陸山会に貸し付けた4億円の原資について
‐赦贈僑闇に湯島の自宅を売却して、深沢の自宅の土地を購入し建物を建てた際、税引き後残った約2億円を積み立てておいた銀行口座から平成元年11月に引き出した資金2億円、∧神9年12月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金3億円、J神14年4月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金6000万円を東京都港区元赤坂の事務所の金庫に保管していました。平成16年10月には、同金庫に4億数千万円残っており、うち4億円を陸山会に貸し付けました。
4億円の一部は建設会社からの裏献金であるやの報道がなされておりますが、事実無根です。私は不正な裏金など一切もらっておりませんし、私の事務所の者ももらっていないと確信しています。

4億円の銀行口座への入金や売買代金支払いへの関与について
全て担当秘書が行っており、私は、全く関与していないので、具体的な処理については分かりません。

所有権移転日を平成17年にした理由について
そのことについては何の相談も受けていません。
購入資金は自分で出しており隠し立てする必要はないし、また所有権移転日を翌年にすることに政治的にも何のメリットもないので、何故翌年にしたのか私にはわかりません。

売買代金支払い後に定期預金を組んで預金担保に借り入れをした理由について
具体的な事務処理については、私は関与していないので分かりません。

銀行から融資を受ける際に個人が借り入れ、陸山会に貸し付けた理由
これについても私は関与していないので分かりません。
ただし、以前に陸山会が不動産を購入した際にも金融機関から個人での借入を要請されたこともあったので、担当秘書から銀行の書類に署名するように頼まれ、そういう理由からと思って署名したことはあります。

収支報告書の記載について
私は、本件不動産に関する収支報告書の記載については全く把握していませんでした。また、収支報告書の記載内容について、相談されたり、報告を受けたこともありません。

このホームページの記事は、小沢氏を支持する人々がインターネット上で、小沢氏が4億円の原資について説明したものであると受けとめ、宣伝していたものであるが、その受けとめは当然のことであり、小沢氏の説明と確認がなされたものだろう。

というのは、4億円の原資は、小沢氏本人でなければ説明できない事実であり、小沢事務所の誰かが勝手にそれをホームページで公表することはできないからである。

つまり、小沢氏本人が陸山会に4億円を「貸付けた」と認めているのに、裁判の冒頭陳述書で「貸し付けてはいない」旨説明しても、裁判では通用しないと考えるのが普通だろう

それゆえ、私は、墓穴を掘ったために、ひょっとすると小沢氏の有罪判決もありうるかもしれない、と思ったのである。

(7)ところが、検察官役の指定弁護士は、上記ホームページの情報を証拠として裁判に提出しているわけではないようなのだ(実際の「判決文」を読んでいないので、「判決要旨」だけ読んでも断定はできない。私の見落としであれば、ご指摘ください)。

なぜ、だろうか???

そのため、結果的には、「貸し付けていない」旨の弁護団の弁明が功を奏し(ただし、無罪にした論理を、小沢氏側は明確に主張してはない!)、小沢氏は違法性を認識していなかったとして、東京地裁は「無罪」判決を下したのである。

(8)東京地裁は、元秘書が小沢氏に「報告、了承」したと供述した調書を採用しなかったが、判決は、状況証拠から当該「報告、了承」を認定した。

しかし、小沢氏側が4億円は貸し付けていない旨弁明したため、判決は、小沢氏が貸付けた4億円を使わずに土地取得したと勘違いした可能性がある等として、弁護団も主張してはいなかった論理展開で「無罪」判決を下したのである。

ということは、元秘書を調べた検察官は、検察審査会の1回目の「起訴相当」議決後に、わざわざ誘導など問題にある取り調べをして元秘書から小沢氏に「報告、了承」したとの供述を得たのであるが、全く無駄なことをしたことになる。

(9)もっとも、検察の違法な誘導は、検察審査会の2回目の「起訴相当」議決を導いたという評価も不可能ではないのかもしれないが、しかし、判決は、それが議決を決定づけたとは断じてはない。
検察審査会が1回目の「起訴相当」を議決していたから、おそらく、議決後の検察官の取り調べ調書がなくても、「起訴相当」議決はくだせたという判断なのだろう。

なお、検察審査会の審査手続きにおける問題がありそうだが、私はその問題を十分検証する材料を有してはいないので、こでは、これ以上言及しない。

(10)東京地検が、小沢氏の自宅を家宅捜索しなかったのは、検察が大物政治家をなかなか追及しないという体質を象徴している、

また、検察官が取り調べて誘導などしたり、嘘の報告書を作成したりしたことも、検察官の体質を象徴している。

(11)適正手続きの保障を徹底させるために、取り調べの完全可視化が必要であることは、再三ブログで投稿しているとおりであるが、私は検察改革だけではなく、検察審あk祭や裁判所の改革も必要であると主張している。

ただし、検察が大物政治家をなかなか追及しない体質の問題は、このような改革だけでは、改善されないだろう。

(12)元秘書3名の裁判と違い小沢氏本人の裁判については、控訴審でどのような判決が下されるのか、予断を許さない。

東京地裁は、マスコミが注目したため(!?)被告人のために小沢氏側も主張していない論理で「無罪」とした。
それゆえ、控訴審では逆転判決が下されても不思議ではない。

だが、控訴審でもマスコミは注目するだろうから(!?)「有罪」判決が下されるとも断言できないだろう。
東京地裁が「無罪」判決を下した以上、東京高裁は「無罪」判決を維持する可能性があるからだ。

(13)したがって、控訴審でどのような審理が行われるのか、東京高裁はどのような事実認定に基づいて、どのような判決(結論だけではなく判決理由)を書くのか、注目する必要がある。

まずは、明後日、証人や新たな証拠が採用されるのかどうか、即日結審となるのか、気になるところである。

民意から遊離した対米従属・財界政治を進める保守政党の党首選挙その1(民主党代表選)

1.民主党代表選告示

(1)民意から遊離した対米従属・財界政治を進める保守政党の本家は、自民党であるが、党首選挙は民主党が先立ったので、民主党の代表選挙を先に取り上げる。

(2)8月下旬の頃から、田中真紀子元外務大臣に立候補を要請する動きがあり、正式な出馬要請もなされたが、田中氏は出馬しなかった。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版2012年 8月 28日 23:06 JST
田中真紀子氏に出馬要請へ=民主代表選で筒井氏ら

 民主党の筒井信隆前農林水産副大臣や川上義博参院議員らが28日夜、都内のホテルで、野田佳彦首相(党代表)の任期満了に伴う9月の代表選の対応を協議し、田中真紀子元外相に立候補を要請することで一致した。
 首相は27日のテレビ番組で再選に向けて出馬することを示唆。党内には、他にも対抗馬を模索する動きがあるが、筒井氏らには、知名度の高い田中氏であれば、こうした動きを一本化できるとの期待もあるとみられる。 
[時事通信社]

サンスポ2012.9.6 05:00
川上参院議員ら、真紀子元外相に正式要請

 川上義博参院議員ら衆参両院議員4人は5日午後、衆院議員会館で田中真紀子元外相と会談、立候補を正式に要請した。川上氏ら野田首相と距離を置く議員グループは8月28日に会合を開き真紀子氏に代表選への出馬要請を決めていた。
 ただ、真紀子氏は川上氏に「もう少し考えさせてほしい」と慎重な返答。さらに会談後には記者団に「そういう器(党代表)ではないので、受けるのは難しいと答えた」とより引いた発言。かろうじて「一両日中に結論を出す」と“余地”を残すにとどめた。
 “この真紀子擁立”に政治評論家の有馬晴海氏は「まず出馬に必要な推薦人20人は集まらないのではないか。68歳と年齢が高いことや、夫の直紀氏が防衛相のときにみせた情けない姿などを考えると、党代表に求められる“次の選挙での顔”という役割はとても果たせない」と分析した。

スポニチ[ 2012年9月7日 11:57
田中真紀子元外相も出馬見送り「国民はうんざりしている」  

 田中真紀子元外相は7日午前、出馬要請を受けていた民主党代表選について「今回は立候補しない」と表明した。理由については「首相がころころ代わる政治に国民はうんざりしている」と述べた。衆院議員会館で記者団に語った。
 同時に「野田佳彦首相にはあと10カ月ぐらい頑張っていただきたい」と首相の再選を支持、来年夏の任期満了まで衆院解散・総選挙を先送りするよう求めた。

(3)民主党代表選前、中堅・若手議員11人が細野豪志環境大臣に出馬を要請したが、細野大臣は、結局出馬しなかった。
毎日新聞 2012年09月06日 22時10分(最終更新 09月06日 23時45分)
民主代表選:細野事故相に出馬要請 中堅・若手議員11人

 民主党代表選(10日告示、21日投開票)への立候補を検討している細野豪志環境相兼原発事故担当相(41)は6日、衆院議員会館の自室で同党の中堅・若手議員11人から出馬要請を受けた。細野氏は「しっかり自分で考えて返事をしたい」と即答を避けた。党関係者に「1日考えたい」と語っており、7日にも判断するとみられる。
 細野氏は出馬要請に対し「福島、被災地のために何ができるかに尽きる。代表選に慎重な立場は今も変わらないが、非常に重たい要請をいただいた」と慎重に言葉を選び、「民主党が苦しい立場にあることも自覚している」と現状への危機感もにじませた。
 要請したのは前原誠司政調会長グループの小川淳也元総務政務官、菅直人前首相グループの阿久津幸彦元首相補佐官、鹿野道彦前農相グループの中山義活元経済産業政務官らで、グループ横断的な広がりを見せている。小川氏は「党の窮状を立て直し、政党政治の未来を見せてくれるリーダーの出現を望んでいる」と訴えた。要請に参加した中野譲外務政務官は玄葉光一郎外相に辞意を伝えた。

東京新聞 2012年9月7日 夕刊
民主代表選 細野氏が不出馬表明

 民主党の細野豪志環境相(41)は七日午前、野田佳彦首相(55)と官邸で会談し、党代表選(十日告示、二十一日投開票)への対応について「自分の役割をないがしろにできない」と出馬しない意向を伝えた。兼務する原発事故担当を含め、東京電力福島第一原発事故や東日本大震災の被災地の対応を最優先すべきだとの考えを強調した。
 細野氏は会談後、首相が代表選に出馬すれば支持する意向を記者団に表明した。これに対し、消費税増税反対や脱原発を掲げ、代表選出馬を模索してきた山田正彦元農相(70)と原口一博元総務相(53)は同日午前に会談し、原口氏に一本化して出馬を目指すことで一致。旧社会党系の政策勉強会を率いる赤松広隆元農相(64)は午後に出馬表明する意向を固めた。出馬要請を受けていた田中真紀子元外相(68)は、不出馬と首相支持の考えを記者団に明らかにした。
 細野氏は首相との会談に先立ち、出馬要請を受けていた中堅・若手議員約十人と国会内で会い「力足らずで決断できず、申し訳ない」と陳謝。「福島の再生なくして被災地の復興はない」と述べた。
 首相は七日夕、今国会が八日に閉会するのを受けて官邸で記者会見し、代表選再選を目指す考えを表明する。

(4)馬淵澄夫元国土交通大臣も井充政調会長代理も不出馬。
(2012年9月9日03時02分 読売新聞)
馬淵氏、代表選不出馬を表明…桜井氏も断念

 民主党代表選(10日告示、21日投開票)への出馬を目指していた馬淵澄夫元国土交通相は8日、奈良市で記者会見し、出馬しない意向を表明した。
 馬淵氏は、野田首相(党代表)の対抗馬を一本化する必要性を指摘したうえで、「自分が選択肢として求められているわけではないと判断した」と語った。
 桜井充政調会長代理も8日、仙台市で開いた国政報告会で「現時点では(立候補に必要な20人の)推薦人が確保できない」と述べ、出馬を断念した。
 一方、赤松広隆元農相(64)、原口一博元総務相(53)は8日、国会内や国会近くの事務所で電話をかけるなどし、推薦人集めに努めた。赤松氏は同日、記者団に「最低限の数は確保できた」と語った。鹿野道彦前農相(70)も出馬を目指している。
 (略)。

(5)結局、民主党代表に出馬したのは、野田佳彦首相、赤松広隆元農林水産大臣、原口一博元総務大臣、鹿野道彦前農水大臣の4氏だった。
朝日新聞2012年9月10日11時47分
野田・赤松・原口・鹿野4氏が立候補 民主党代表選告示

 民主党代表選は10日告示され、届け出順に野田佳彦首相(55)、赤松広隆元農林水産相(64)、原口一博元総務相(53)、鹿野道彦前農水相(70)の4氏が立候補した。21日の臨時党大会で投開票される。首相再選は動かない情勢だが、消費増税や原発再稼働を推進し、党分裂を招いた首相の政権運営が問われる選挙戦になりそうだ。
 候補者4氏は10日午後に都内のホテルで共同記者会見に臨む。「選挙の顔」として期待された細野豪志環境相が立候補を見送ったことで、党内の大勢は野田首相の支持に傾いている。1回目の投票で首相が過半数のポイントを確保できるかが焦点となりそうだ。
 野田首相は10日朝、首相官邸で記者団から代表選への意気込みを問われたが、何も答えなかった。側近の近藤洋介党国民運動委員長は10日の記者会見で「民主党をもう1回立て直す使命を帯びている。(党分裂の)事態は首相も大変反省し、責任を痛感しているが、党を戦う集団として再生させる」と語った。
 赤松氏は10日朝、都内で記者団に「離党者が出て、党が分裂状態にある。民主党が溶けて無くなってしまう危機感の中で、党の生き方について議論し、いい方向を出す代表選にしたい」と強調。首相が交代すれば民主党政権4人目の首相になることについて「よい方向に変わるなら国民は納得してくれる」と述べた。
 原口氏は10日の記者会見で「代表選は謝罪と総括から始めないといけない。まずは率直に謝罪をし、政治に信頼を取り戻すためにどうするか話したい」と強調。陣営の辻恵衆院議員は記者団に「党名変更も辞さずに出直し的な改革をやっていきたい」と述べた。
 鹿野氏は10日、国会内で記者会見し、「(野田政権で)70人以上の同志が党を離れ、大きな傷を残したことについて責任を明確にすることが大切。責任を取る政治文化を党に根付かせることが大事だ」と語った。


2.代表選における各候補者の政策

(1)民主党が第二自民党になっており、「事実上の大連立」状態になっていることは、これまでブログで書いてきた。

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その1(はじめに)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その2(原発問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その3(原子力の安全保障(軍事)利用問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その4(集団的自衛権問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その5(オスプレイ配備)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その6(障害者自立支援法問題)

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その7(消費税増税問題)

(2)このうち、特に原発問題については、再度取り上げ、野田民主党政権が「原発ゼロ」で自民党政権との違いを出そうとしたものの、「原発ゼロ」の達成時期はこfレまで議論され、国民の支持を得た「2030年」ではなく、「「2030年代」へと交代したものであった上に、それさえも、アメリカや日本の財界などの反対にあって、野田内閣は閣議決定しなかったことを紹介した。

「原発ゼロ」に対する野田内閣の態度(一歩後退二歩後退)

(3)昨日(2012年9月21日)民主党代表選は行われた(後述)が、その閣議決定見送りには、アメリカの要求があったとの報道が今日あった。
(東京新聞)2012年9月22日 07時07分
原発ゼロ「変更余地残せ」 閣議決定回避 米が要求

 野田内閣が「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」を目指す戦略の閣議決定の是非を判断する直前、米政府側が閣議決定を見送るよう要求していたことが二十一日、政府内部への取材で分かった。米高官は日本側による事前説明の場で「法律にしたり、閣議決定して政策をしばり、見直せなくなることを懸念する」と述べ、将来の内閣を含めて日本が原発稼働ゼロの戦略を変える余地を残すよう求めていた。
 政府は「革新的エネルギー・環境(エネ環)戦略」の決定が大詰めを迎えた九月初め以降、在米日本大使館や、訪米した大串博志内閣府政務官、長島昭久首相補佐官らが戦略の内容説明を米側に繰り返した。
 十四日の会談で、米高官の国家安全保障会議(NSC)のフロマン補佐官はエネ環戦略を閣議決定することを「懸念する」と表明。この時点では、大串氏は「エネ戦略は閣議決定したい」と説明したという。
 さらに米側は「二〇三〇年代」という期限を設けた目標も問題視した。米民主党政権に強い影響力があるシンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)のクローニン上級顧問は十三日、「具体的な行程もなく、目標時期を示す政策は危うい」と指摘した。これに対して、長島氏は「目標の時期なしで原発を再稼働した場合、国民は政府が原発推進に突き進むと受け止めてしまう」との趣旨で、ゼロ目標を入れた内閣の立場を伝えていた。また交渉で米側は、核技術の衰退による安全保障上の懸念なども表明したという。
 エネ環戦略は十四日に決めたが、野田内閣は米側の意向をくみ取り、「エネ環政策は、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」という短い一文だけを閣議決定。「原発稼働ゼロ」を明記した戦略そのものの閣議決定は見送った。
 大串、長島両氏は帰国後、官邸で野田佳彦首相に訪米内容を報告している。
 政府関係者は「事前に米側に報告して『原発稼働ゼロ』決定への理解を求めようとしたが、米側は日本が原発や核燃サイクルから撤退し、安全保障上の協力関係が薄れることを恐れ、閣議決定の回避を要請したのではないか」と指摘している。

◆「判断変えてない」大串政務官
 原発ゼロをめぐる米国との協議について、大串博志内閣府政務官は二十一日、本紙の取材に対し「個別のやりとりの内容は申し上げられないが、米側からはさまざまな論点、課題の指摘があった。米側からの指摘で日本政府が判断を変えたということはない」と話した。

◆骨抜き背景に米圧力
<解説> 「原発ゼロ」を求める多数の国民の声を無視し、日本政府が米国側の「原発ゼロ政策の固定化につながる閣議決定は回避せよ」との要求を受け、結果的に圧力に屈していた実態が明らかになった。「原発ゼロ」を掲げた新戦略を事実上、骨抜きにした野田内閣の判断は、国民を巻き込んだこれまでの議論を踏みにじる行為で到底、許されるものではない。
 意見交換の中で米側は、日本の主権を尊重すると説明しながらも、米側の要求の根拠として「日本の核技術の衰退は、米国の原子力産業にも悪影響を与える」「再処理施設を稼働し続けたまま原発ゼロになるなら、プルトニウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生んでしまう」などと指摘。再三、米側の「国益」に反すると強調したという。
 当初は、「原発稼働ゼロ」を求める国内世論を米側に説明していた野田内閣。しかし、米側は「政策をしばることなく、選挙で選ばれた人がいつでも政策を変えられる可能性を残すように」と揺さぶりを続けた。
 放射能汚染の影響により現在でも十六万人の避難民が故郷に戻れず、風評被害は農業や漁業を衰退させた。多くの国民の切実な思いを置き去りに、閣議での決定という極めて重い判断を見送った理由について、政府は説明責任を果たす義務がある。 (望月衣塑子)

(4)また、民主党の支持母体である連合会長も、昨日、「2030年代原発ゼロ」を批判した。
朝日新聞2012年9月21日23時35分.
連合会長「2030年代原発ゼロは乱暴」 政府方針批判

 連合の古賀伸明会長は21日、2030年代までに原発ゼロを可能にするとした政府の「革新的エネルギー・環境戦略」について、「道筋やビジョンが明らかでないなか、(目標時期を)デジタル的に書き込むのは少し乱暴」と批判した。
 古賀会長は政府方針を「原発ゼロが可能になるよう、あらゆる政策をやっていくということ」と評価。ただ、実現には原発の安全性や代替エネルギーのコストを検証しながら、議論を深めるべきだと指摘した。
 連合はこの日正式決定したエネルギー政策で、安全対策などを条件に原発の再稼働を認めた。最終的には脱原発依存を目指すとしたが、目標時期は「検証する力がない」(古賀会長)として明記を避けた。

(5)以上のような重大な論点もかかえながら、民主党代表選は行われた。

以下、この間の各候補者の首相の一部報道を紹介する。

まず、大阪維新の会に対する候補者の評価です。
NHK9月13日 19時22分
民主代表選 維新の政策に否定的

 民主党の代表選挙は、大阪市で4人の候補者による立会演説会が行われ、大阪維新の会が結成する新党について、新党の政策に対し、不透明であるとか実現性が低いといった否定的な意見が相次ぎ、連携に前向きな考えは示されませんでした。
 民主党の代表選挙は、国会議員らによる投票が行われる来週21日に向けて、再選を目指す野田総理大臣、赤松元農林水産大臣、原口元総務大臣、鹿野前農林水産大臣の4人の陣営が支持拡大に向けた取り組みを進めていて、13日は大阪市のホテルで立会演説会が行われました。
 この中では、大阪市の橋下市長が率いる大阪維新の会が次の衆議院選挙に向けて結成する新党「日本維新の会」との関係について、党所属の地方議員から質問が出されました。
野田氏は「政策の方向性で一致できるものがあれば、一緒に何ができるか可能性を探るのが1つの考え方だが多くの政策がよく分からない。基本的には、切磋琢磨(せっさたくま)できる関係であればいい。こちらが摩耗してはならず、民主党がよって立つ政策を確認し合って、相手を説得できるような力強い政党に変えていかなければならない」と述べました。
赤松氏は「参議院の廃止や国会議員の半減は簡単にできるものではない。できもしないと分かっているが大衆受けする政策を掲げる政党が国政政党として認められるのか。実態を見てケースバイケースで対応すればいい。一時的な期待の高まりで、にわか政党が名乗りを上げても、政権交代のある民主主義は実現しない」と述べました。
原口氏は「TPP=環太平洋パートナーシップ協定は、橋下市長が後押しした地域主権改革とは逆で、全国を新自由主義というルールで一色にするものだ。地域主権改革を進める人がTPPに賛成だというのは理解できない。われわれがすり寄るのではなく、違う考えの人たちを民主党に近づければいい」と述べました。
鹿野氏は「地域主権や二重行政の廃止という考え方は共有するところだが、消費税の地方税化は47都道府県それぞれ状況が違うので、言うはやすしだが実行は困難だ。どう調整するのか、お示しいただかなければ判断できない。首相公選制も憲法上の問題が出てくるので、そう簡単ではないと思う」と述べました。

 また、党の態勢の立て直しについて、
野田氏は「マニフェストや党の綱領をすべての議員や地方議員などで練り上げて、お互いが得心のいくものを作ることが、党の再生の第一歩になるのではないか。次の選挙に勝つための対策も行っていくが、『次の世代を一番真剣に考えているのは民主党だ』と示すことが、国民に信頼してもらえる第一歩につながる」と述べました。
赤松氏は「民主党を離れた人の中には『一任でなく多数決で決められたなら離党しなかった』という人もいる。今後、政策決定システムの在り方を見直し、もう一度、民主党の原点に戻り、決まったことは守っていこうという党風を作っていきたい。残された任期で、マニフェストで掲げた政策を実現させるために頑張る」と述べました。
原口氏は「民主党の理念・理想をもう一度確認して、今まで去っていった人たちも含めて連立を組み増し、私たちをもっと応援したい人たちの輪を広げるしかない。このままでは、近いうちに衆議院の解散になり、壊滅的な打撃を受ける。民主党は、誰一人欠けても民主党ではなくなる。再建軸を示す代表選挙だ」と述べました。
鹿野氏は「内閣と党の関係を強固なものにし、安定した政権運営ができるかどうかが大きな軸になる。しっかりとした意思決定のシステムを作り上げなければならない。同じ人だけが政策決定に関わっている状況を改め、みんなでやっていく態勢を作ることが党の再生につながる」と述べました。

(6)4名の候補者の各政策・主張については以下の報道があった。
ロイター2012年 09月 14日 13:31 JST
〔情報BOX〕民主代表選、主要課題での各候補の政策

 [東京 14日 ロイター] 民主党代表選に立候補している野田佳彦首相、赤松広隆元農水相、原口一博元総務相、鹿野道彦前農水相の主要課題における政策は以下のとおり。
 
 ●財政・金融政策

 野田氏:「デフレ脱却・経済再生緊急プラン」の策定・実行。1年以内のデフレ脱却、2年以内の競争力回復。消費税引き上げまでに機動的な財政出動を含む「切れ目ない経済対策」や「攻めの税制改革」を柱に経済好転を確実にする。
 日本再生戦略の実行。
 どこかで補正(予算編成)をやらなければいけなくなる。

 原口氏:マクロ経済の司令塔の確立。円高と空洞化対策に喫緊に取り組み、政府・日銀の連携強化により、大胆な財政政策と金融緩和政策を実行する。
 
 鹿野氏:デフレ脱却のため、特に「駆け込み需要」の反動時期に焦点を当てて、財源の裏打ちのある財政出動、機動的・弾力的な金融政策などにより雇用を創出・拡大する投資を促す。

 ●原発・エネルギー政策

 野田氏:「原発ゼロ社会」を目指し、現実的な改革を進め、原発稼働ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入する(原発の新増設は行わない。原発の40年運転制限を厳格に適用する。原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼動する)。
 エネルギー不足と価格高騰による国民生活・経済への悪影響を排除し、当面の緊急事態対応に万全を期す。 

 赤松氏:「2030年代に原発稼働ゼロ」は最低限の目標。前倒しを目指すとともに、再生可能エネルギーへの民間事業者のインセンティブを高めるような政策誘導を図る。
 
 原口氏:今夏、原発ゼロで電力供給が可能と事実上証明された。直ちに原発ゼロ計画に着手する。情報公開を行い、諮問型の国民投票を行う。原子力規制委員会人事の差し替え。

 鹿野氏:「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との党の提言をできる限り前倒しで実現するよう全力を尽くす。

 ●一体改革・3党合意

 野田氏:社会保障・税の一体改革実現。残された課題を熟議を通じて着実に解決し、具体化する。「共助」を進めるため、格差の固定化を防ぎ、所得再分配機能を回復させる観点からの税制改革を断行。
 3党合意は(代表選などの)政治日程が終わったら改めて確認。検討課題に知恵出して解決。

 赤松氏:持続可能な社会保障制度改革を断行。社会保障を成長のための投資であり、雇用機会であると位置づけ、積極的労働市場政策と積極的社会保障政策の連携による安心の給付を実現する。
 消費増税は、これを実現するための財源であることを確認するとともに、所得再配分機能を強化しつつ総合的な税制改革を断行する。

 原口氏:年金の抜本改革。消費税を含む社会保障と税の一体改革についての3党合意は、首相問責決議案の可決をもって破棄されたことを確認する。

 鹿野氏:3党合意をベースにし、民主党としての主張をしっかりと行って成案を得る。年金は、従来からの民主党の年金改革を念頭に置きながら、当面、無年金、低年金をなくし、基礎年金の充実を目指す。

 ●TPP

 野田氏:アジア太平洋自由貿易地域構想(FTAAP)を目指し、高いレベルの経済連携を推進。国益確保を前提としてTPPと日中韓FTA、東アジア経済連携協定(RCEP)を同時並行して推進。

 赤松氏:TPPへの参加は国益を踏まえ慎重に行う。

 原口氏:TPP交渉への不参加とルール設定型・提案型外交への転換

 鹿野氏:TPP交渉への参加は、交渉参加9カ国が何を求めるのかの情報を見極め、国民的議論を踏まえる必要があるため、慎重を期す。
 
 ●政権の枠組み、政権運営

 野田氏:「決められない国会」を動かすルールの確立。歳入関連法案について、予算が成立すれば基本的に同時成立する方策を検討。予算・政府提出法案の扱いについて、政府に協議への関与を認め、採決の時期を事前に決めるなど法案審議の計画化を進める。
 (代表選後は)よりチーム力が増す体制を目指す。「民主党としての力が政府でも党内でもいかんなく発揮できるようにしたい」

 原口氏:従来の枠組みにとらわれず、連立の拡大と、幅広い連携を目指した政権と党の運営を行う。

(7)特に、新エネルギー政策、原発問題については、以下の報道があった。
NHK9月17日 18時52分
民主代表選 新エネルギー政策で論戦

 民主党の代表選挙は、福岡市で立会演説会が行われ、2030年代に原発の稼働をゼロとするよう取り組むとした政府の新たなエネルギー政策を巡って、野田総理大臣が、「ぶれずに進めたい」と述べたのに対し、赤松・原口・鹿野の3氏からは、「現状維持にすぎない」という批判や、代替エネルギーの確保が必要だという指摘が出されました。
 民主党の代表選挙は、17日福岡市で、2回目の立会演説会が行われ、野田総理大臣は、「危機管理上、万全を期さなければならない」として東京の民主党本部から中継の形で参加しました。
 この中で、2030年代に原発の稼働をゼロとするよう取り組むとした政府の新たなエネルギー政策について、

野田総理大臣は、「これまで半世紀続いた日本のエネルギー戦略を大きく変えるものだが、ぶれずに進めたい。ただ、再生可能エネルギーがどこまで普及するかや、省エネがどこまで徹底できるかといった不確定な要素もあり、柔軟性や謙虚さを持って対応したい」と述べました。

赤松元農林水産大臣は、枝野経済産業大臣が着工済みの原発の建設の継続を容認する考えを示したことについて、「原発の稼働が2040年代や50年代まで続いてしまう。私が総理大臣になれば、『2030年代に原発ゼロ社会を作る』と約束する。こうした国の方針を変えないために、脱原発基本法を作ることが必要だ」と述べました。

原口元総務大臣、「『2030年代に原発ゼロ』では、エネルギーの本当の大改革は起こせず、『原発ゼロ』を宣言したからと言って、現状維持にすぎない。国の責任でエネルギーの転換を行うことが大事だ。『原子力ムラ』にいた人を原子力規制委員会の委員長にするのはやめてほしい」と述べました。

鹿野前農林水産大臣は、「2030年代に原発の稼働をゼロにすることに向かって全力を尽くすということだが、国民生活や経済への影響はないのかということになる。日本の海洋資源も生かしながら、代替エネルギーを考えていかなければならない。そうした具体策について国民の理解が不可欠だ」と述べました。

 また、消費税率引き上げを含む社会保障と税の一体改革を巡る民主・自民・公明の3党合意に関連し、

野田氏は、「多くの離党者を出してしまい、その責任は痛切に感じている。意思決定の在り方などに対する批判を、今後の党改革に生かしていかなければならない。最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止の実現のため、1日も早く国民会議を開きたい」と述べました。

赤松氏は、「民主党が主張してきた社会保障の中身は、民主・自民・公明の3党を中心とした協議や国民会議に丸投げされる。自民党が、だだをこねて、協議が整わない場合には増税先行になるので、その際は『増税しない』と国民に約束すべきだ」と述べました。

原口氏は、「マニフェストに掲げて成し遂げたことはたくさんあるが、国民に響かないのは、書いていないことをやり、党が分裂したからだ。3党合意は危うくなっており、消費増税だけが先行している。消費増税は1回凍結し、主権者に判断を仰ぎたい」と述べました。

鹿野氏は、「今の内政・外政は、大変混乱し民主党が信頼を失っていることは否定できない。反省なくして前進はなく、最も反省しなくてはならないのはトップだ。政権を維持するためには、民主党を刷新する以外になく、新しい体制を作ることが不可欠だ」と述べました。

(8)野田首相の政権運営ついての3候補者の意見についての報道。
NHK 9月18日 19時18分
民主代表選 3氏が政権運営批判

 民主党の代表選挙に立候補した赤松元農林水産大臣、原口元総務大臣、鹿野前農林水産大臣の3人は、当選1回の有志の議員が主催する演説会に出席し、野田総理大臣の政権運営が党の分裂を招いたとそろって批判しました。
 立候補した4人のうち、野田総理大臣は、沖縄県の尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモが中国で広がっていることなどに対応するため、演説会を欠席しました。
 演説会では、野田総理大臣の政権運営について議論が行われ、赤松元農林水産大臣は、「これまでの党運営には党内民主主義がなく、何でも『一任主義』でやってきた。地方の声も聞かず、形だけは会議をやるが結論ありきで、上意下達でやってきたことが、党が一体となることを阻害してきた」と述べました。
 原口元総務大臣は、「70人以上が離党した政党は民主党以外になく、野田政権の党運営は、内向きで暗く、独り善がりだ。総理大臣としても、外交や安全保障、原子力規制委員会の人事など責任は極めて重い。それを問うために私は代表選挙に立候補した」と述べました。
 鹿野前農林水産大臣は、「これまで、党内融和を叫び続けたが、結果として今日の状況になっており、野田総理大臣は、党の最高責任者として、その責任について発言してもらわないといけない。政権党には、マネジメントがいちばん大事だが、今の民主党にはこれが欠けている」と述べました。


3.代表選の投票結果、財界の反応そして簡単な感想

(1)民主党代表選についての直前の情勢報道。
NHK9月19日 4時18分
民主代表選 野田氏の再選確実な情勢

 民主党の代表選挙は、NHKが終盤の情勢を取材した結果、野田総理大臣がこれまでに国会議員票や、党員・サポーターの票などで60%以上の支持を固めていて、1回目の投票で過半数を獲得し、再選されるのが、確実な情勢となっています。
 一方、赤松・原口・鹿野の3氏は、どの候補に投票するか決めていない国会議員などへの働きかけを通じて、支持の上積みを目指すことにしています。
 21日に開票が行われる民主党の代表選挙は、336人の国会議員票が、1人2ポイントで672ポイント、国政選挙の公認候補予定者9人が1人1ポイントで9ポイント、そして、2000人余りの地方議員票が141ポイント、32万人余りの党員・サポーター票が409ポイントに換算され、合わせて1231ポイントで争われます。
 NHKは、全国の放送局で、投票権を持つ民主党所属の国会議員や地方議員、それに党の地方組織などを対象に、選挙戦終盤の情勢を取材しました。
 それによりますと、これまでに野田総理大臣は、336人の国会議員のうち60%以上にあたる200人以上の支持を固めているのに対し、赤松・元農林水産大臣、原口・元総務大臣、鹿野・前農林水産大臣は、それぞれ25人程度の支持を得ています。
 また、郵送で投票が行われ、18日に締め切られた地方議員と党員・サポーターの票については、野田氏が全国で幅広く優位に立っていて60%以上の支持を得ているのに対し、赤松・原口・鹿野の3氏は、それぞれ、みずからの地元や支持する議員の地元を中心に支持を得ています。
 この結果、全体の1231ポイントのうち、野田氏が60%以上を固めていて、1回目の投票で過半数を獲得し、再選されるのが、確実な情勢となっています。
 一方、赤松・原口・鹿野の3氏はまだどの候補に投票するか決めていなかったり、態度を明確にしていなかったりする国会議員が40人余りいることから、21日の開票日まで、こうした議員らへの働きかけを通じて、支持の上積みを目指すことにしています。

(2)事前の情勢報道のとおり、野田首相が民主党代表に再選された。
朝日新聞2012年9月21日14時56分
野田首相、民主党代表に再選 1回目の投票で大差つける

 民主党代表選は21日午後、東京都内で開いた臨時党大会で投開票され、野田佳彦首相(55)が投票権を持つ国会議員336人の6割超の票を得たうえ、地方議員や党員・サポーター票の7割を超すポイントを確保して、1回目の投票で再選を決めた。
 野田首相は818ポイント、原口一博元総務相(53)が154ポイント、赤松広隆元農林水産相(64)が123ポイント、鹿野道彦前農水相(70)が113ポイントを獲得した。
 国会議員と公認内定者の票は首相が218票、赤松氏41票、原口氏31票、鹿野氏43票。
 党員・サポーター票では野田首相が296ポイント、原口氏が72ポイント、赤松氏が24ポイント、鹿野氏が17ポイントを獲得。
 地方議員票は野田首相が93ポイント、原口氏が20ポイント、赤松氏が18ポイント、鹿野氏が10ポイントだった。
 32万人余に投票権がある党員・サポーター票の投票率は33.72%だった。
 野田首相は24日から国連総会出席のため訪米。帰国後、党役員人事と内閣改造の検討を本格化させる。26日の自民党総裁選を見極めたうえで自公両党首と会談し、特例公債法案や「一票の格差」を是正する衆院選挙制度改革法案の成立へ協力を求めたい考えだ。

東京新聞2012年9月22日 朝刊
民主代表選 野田首相、大差で再選

 民主党は二十一日午後の臨時党大会で、党代表選の投開票を行い、野田佳彦首相(55)が一回目の投票で全体の七割近いポイントを獲得して再選した。任期は三年。各種世論調査で内閣支持率が20%台と低迷する中、首相が圧倒的な支持を集めたことで、民意との乖離(かいり)が鮮明に浮かび上がる投票結果となった。 
 首相は再選を受け、米ニューヨークでの国連総会に出発する二十四日までに主要な党役員人事を内定させる方針を表明。二十七日に帰国した後、十月一日にも内閣改造に踏み切る意向だ。
 再選直後の記者会見で、衆院選と来年の参院選をにらんで選挙対策に重点を置くと強調した。内閣改造についても、「内閣の機能強化を図る判断から交代はあり得る」と述べた。
 その後、輿石東幹事長と首相公邸で会談。首相は幹事長続投を求め、輿石氏は回答を留保した。二十三日に再会談する。
 代表選で首相は国会議員や党員・サポーター票など計千二百三十一ポイントのうち、八百十八ポイントを獲得。原口一博元総務相(53)、赤松広隆元農相(64)、鹿野道彦前農相(70)の三人に大差をつけた。
 首相は代表選に当たって、消費税増税法成立に突き進んだことで、大量の離党者が出たことを陳謝した。だが、消費税増税法については、他の三候補が求める見直しなどには応じなかった。「二〇三〇年代の原発稼働ゼロ」を目指す戦略をめぐっては、閣議決定を見送る、ちぐはぐな対応をみせ、党内に疑問の声が上がっている。
2012民主党代表選結果









(3)財界は、野田首相再選を概ね歓迎した。
NHK 9月21日 20時57分
経済界 首相再選に評価や期待も

 民主党の代表選挙で、野田総理大臣が再選されたことについて、経団連の米倉会長は「野田総理大臣は消費税率引き上げ法を含む社会保障と税の一体改革に関連する法律を成立させるなど国政を担うにふさわしい優れた政治リーダーだ。日本は、震災からの復興やTPP=環太平洋パートナーシップ協定、それにエネルギー政策の見直しなどの課題が山積しており、野田総理大臣には引き続き、決断し実行する政治を進めてほしい」というコメントを発表しました。
 また、経済同友会の長谷川代表幹事は「社会保障と税の一体改革など一定の成果を挙げてきた野田総理大臣の再選は妥当な判断だ。今後は、山積する政治課題を一つでも多く解決すべく全力を尽くすことを期待する」というコメントを発表しました。
 日本商工会議所の岡村会頭は「野田総理大臣は震災からの復興やデフレからの脱却、それに中小企業の活性化をはじめとした重要課題の解決に全力で取り組み、日本が直面する難局を打開することを強く期待する」というコメントを発表しました。

(4)民主党代表選についての感想は、簡単に言えば、野田首相が再選されたことで、基本的に民主党は第二自民党として対米従属政治、財界政治を継続する政党であることが表明したに等しいと思う。

野田首相の再選は、露骨な財界政治を強行したため、民主党内から多くの離党者が出たことで予想できたことであるが、他の立候補状況や「原発ゼロ」政策で少しは波乱が起こるのかと思ったが、結局、起こらなかった。

(5)結局、民主党が国民と遊離していることには変更なし、という結果だった。

(つづく)

「原発ゼロ」に対する野田内閣の態度(一歩後退二歩後退)

(1)原発問題について民主党と自民党との大きな違いがないことは、すでにこのブログで指摘した。

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その3(原子力の安全保障(軍事)利用問題)

(2)ただ、民主党および野田政権は、次期総選挙での大敗北を避けるために(?)自民党やこれまでの自民党政権との違いを出そうと、少しだけ動き出した。

それが、「原発ゼロ」などを盛り込んだ、政府の「革新的エネルギー・環境戦略」の提案である。
もっとも、「原発ゼロ」の達成時期については、これまで議論されてきた「2030年」ではなく、「2030年代」へと後退したものだった。
また、原発の再稼働を認めるなど「脱原発」とは言い難い内容だった。
(共同通信)2012/09/07 11:26
原発ゼロ、再生エネ拡大 3本柱、戦略素案判明 もんじゅ、原子力委は廃止

  東京電力福島第1原発事故を受けた政府の「革新的エネルギー・環境戦略」の素案が6日、判明した。「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を掲げ、「グリーンエネルギーの拡大」「エネルギーの安定供給」と合わせ3本柱とした。
 原発比率は「2030年には15%を下回らせ、さらにゼロを目指す」としたが時期は空欄。ただ民主党エネルギー・環境調査会が同日、原発ゼロの時期を「2030年代」とする提言をまとめたため、今後調整を進めるとみられる。
 素案では高速増殖炉もんじゅ(福井県)は廃止、原子力委員会は廃止を前提に見直すとした。政府は民主党の提言を踏まえ、戦略を来週初めまでにまとめ閣議決定する予定で、脱原発が初めて公式な政府方針となる見通し。
  素案は運転期間40年などの原発の3原則を示したが、現在の50基を運転40年で廃炉にすると、それだけで30年の原発比率は15%弱になるため、さらに積極的に脱原発を進めるかは不透明な内容。省エネや再生可能エネルギーも原発比率15%の選択肢の数値とほぼ同じで、15%を基本にしているとうかがえる。国民の過半数が脱原発を望む中、今後、原発ゼロの時期を大幅に遅らせたりすれば激しい反発は必至だ。
 素案では、安全性と必要性を確認した原発は再稼働すると明記。/(1)/新増設しない/(2)/新たな安全基準を満たせば40年を上限に活用/(3)/他のエネルギー拡大で必要性が乏しくなれば40年以内でも止める―を3原則とした。
 使用済み燃料について処理、処分問題の解決に直ちに着手すると記述。再処理工場などを受け入れている青森県六ケ所村に配慮した対応が必要だとしている。
 戦略の実現のため、発送電分離などの「電力システム改革」を進める。
 地球温暖化対策では、30年の温室効果ガス排出量は、国内対策で1990年比20%超の削減を目指す。途中の20年段階は原発比率によって90年比同0〜9%減で、国際公約の「20年に25%減」には程遠い。森林吸収などを含む国全体の目標を年内に決める。

▽エネルギー・環境戦略
 革新的エネルギー・環境戦略 東京電力福島第1原発事故を受け、政府が検討中のエネルギーや環境に関する将来計画。エネルギー・環境会議で議論してきた。将来の原発依存度や、再生可能エネルギーや省エネの割合、温室効果ガスの削減の数値などをまとめて示す。今年6月、2030年の原発比率を「0%」「15%」「20〜25%」などとする3選択肢をまとめ、国民に提示。意見聴取会や意見公募などの結果、「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」と結論付けられた。
革新的エネルギー・環境戦略の素案のポイント


































(3)民主党も、原発ゼロ実現時期を「2030年代」とする提言をまとめた。
(2012年9月6日21時37分 読売新聞)
原発ゼロ実現、2030年代に…民主党が提言

 民主党は6日、将来的な原子力発電の比率について「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との目標を掲げた政府のエネルギー政策への提言をまとめた。
 その実現のため、再生可能エネルギー比率を、現在の約1割から、30年代の早い時期に約4割程度に引き上げることを目指す。政府は、10日にもエネルギー政策を決める。ただ、政府内には「ゼロ」への慎重論も根強く、決着まで曲折する可能性がある。
 30年代に「原発ゼロ」を実現するには、運転開始から40年過ぎた原発を原則、順次廃炉にする政府の方針を、さらに前倒しして電力会社に廃炉を求める必要がある。原発の新設や増設は認めず、完成間近の中国電力島根原発3号機や、電源開発大間原発の建設は原子力規制委員会の判断に委ねるとした。ただ、提言では「国民生活、経済活動へ与える影響などを勘案し、不断の検証が必要」とし、政策変更の余地も残した。

(4)以上のように後退した「原発ゼロ」に対してさえも、全国新聞の読売新聞・産経新聞・日経新聞は、アメリカや財界の意見を代弁するかのように、批判を加える社説を掲げた。
(2012年9月8日01時45分 読売新聞)
「原発ゼロ」提言 現実を直視できない民主党(9月8日付・読売社説)

 拙速な議論で「原子力発電ゼロ」の方針を打ち出すのは、政権党としてあまりに無責任だ。
 民主党が「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指すエネルギー政策の提言をまとめた。
 原発の新増設は認めず、運転開始から40年での廃炉を厳格に適用するという。だが、高コストや失業増大など経済への悪影響を克服するための具体策は乏しい。問題だらけの内容だ。
 「原発ゼロ」を30年代に実現するという期限についても、党内の議論の終盤で強引に盛り込む乱暴な決め方だった。
 衆院選のマニフェスト(政権公約)を意識し、「原発ゼロ」を鮮明にした方が選挙に有利だと考えたのだろう。大衆迎合主義(ポピュリズム)そのものだ。
 太陽光など再生可能エネルギー拡大に50兆円、省エネ達成に100兆円――。政府のエネルギー・環境会議が示した「原発ゼロ」のコストは膨大である。
 電気代が上昇し、標準家庭の光熱費は、現在の月1万7000円が3万2000円に跳ね上がる。生産コスト増で産業空洞化が加速し、失業は急増するだろう。
 「原発ゼロ」がもたらす悪影響の重大さは、経済界だけでなく政府も認めている。
 しかし、民主党はこうした「不都合な真実」に目をつぶった。提言で明確な打開策を示さず、「政策的に強力な支援を行う必要がある」などとし、政府に対応を“丸投げ”しただけである。
 「原発ゼロ」の時期を明示した場合、原子力の技術者などを目指す若者が激減し、肝心の人材が育たなくなる恐れが強い。
 福島の事故を受けた原発の安全性向上や廃炉技術の確立など、重要な責務を果たせなくなり、日本の国際的な信用も失墜しよう。
 原発再稼働へ地元の理解も得られにくくなる。政府の核燃料サイクル政策を前提に、各地の原発から使用済み核燃料を受け入れてきた青森県が、協力を拒否する事態となれば、全国の原発を動かすことは一段と困難になる。
 現在、原発を代替する火力発電の燃料費は、年3兆円以上も余計にかかっている。再稼働できないと、東電以外の電力会社も大幅な料金値上げを回避できまい。
 政府は来週にも、新たなエネルギー戦略を決める予定だ。選挙目当ての民主党提言にとらわれず、政府は中長期的に原発の活用を続けていく現実的なエネルギー政策を示すべきである。

産経新聞2012.9.8 03:24
【主張】「原発ゼロ」提言 これが責任ある政権党か

 民主党のエネルギー・環境調査会が「2030年代に原発ゼロを目指す」との提言をまとめた。稼働40年の原発は原則廃炉にし、新増設も認めないという。
 こうした一方で、電気料金の上昇や電力不足などへの懸念には、明確な対策を示していない。政権与党として無責任極まる内容で、問題だ。
 「脱原発」に傾く世論を意識した選挙向けのパフォーマンスだろうか。政府は週明けにも2030年の原発比率を定める戦略を閣議決定する。安価で安定した電力確保という責務を忘れず、現実的かつ責任ある決定をすべきだ。
 提言では、安全性が確認された原発の再稼働は容認しつつ、40年廃炉の原則を厳格適用して30年代末で原発ゼロを目指すとした。前原誠司政調会長は「40年廃炉で2039年には5基が稼働しているが、廃炉を前倒しするよう努力する」とも表明している。
 最大の問題は、議論が「原発ゼロありき」で進められ、国民生活や産業などへの悪影響にきちんと向き合っていないことだ。課題として電気料金の上昇や再生可能エネルギーを飛躍的に導入できるかなどを挙げてはいるが、具体策は示していない。責任ある政権与党の提言とは到底言えまい。
 政府のエネルギー・環境会議でも指摘されたように、原発の代わりに発電コストの高い太陽光などの再生エネ比率を総発電量の35%に高めると、電気料金は2倍に上がる。そうなれば、日本企業の国際競争力は失われて雇用への影響は必至だ。
 また、原発が新増設されないと、核燃料サイクルも中断する。再処理を前提に使用済み核燃料の保管に協力してきた青森県との約束が果たせなくなれば、核燃料が各原発に戻されることになり、30年代を待たずに原発は即時停止に追い込まれる。廃炉にあたる技術者の確保も難しくなるだろう。
 民主党は、この提言を次期総選挙のマニフェスト(政権公約)に盛り込む方向だという。福島事故で国民の原発に対する不安は高まり、政府の世論調査でも脱原発を求める意見が多かった。
 だが、国の将来を左右するエネルギー問題を、国民の間の一時的ムードで決めるのは愚行と言うしかない。重要なインフラである電力供給を、人気取りの道具にすることだけは避けるべきだ。

日経新聞2012/9/15付
国益を損なう「原発ゼロ」には異議がある

 政府は「2030年代に原子力発電所の稼働をゼロ」とするエネルギー・環境戦略を決めた。「原発ゼロ」には改めて異議を唱えたい。原子力政策に協力してきた青森県などへの説明を後回しにした決め方にも問題がある。
 新しい戦略はエネルギー政策の歴史的な転換を意味する重い決定のはずだが、土壇場で見せた政府の判断の軽さにはあきれる。そこには国の安全保障と国民生活の将来について責任をもって考え抜く姿勢があったようにはみえない。ただ政策の辻つま合わせに終始したのではないか。
 青森県は長年、国の核燃料サイクル政策に協力し各地の原発から使用済み核燃料を受け入れてきた。また米英仏などとは濃縮ウランの供給や使用済み核燃料の再処理委託で協力関係を築いてきた。政府はこうした関係者との意思疎通を怠った。青森県の立場をないがしろにし海外の不信を買った。
 間際になってぶつけられた異論や懸念を踏まえて調整した結果、エネルギー戦略はつぎはぎだらけで一貫性を欠く。「原発ゼロ」目標と、核燃料をリサイクルする再処理事業の継続は政策的な矛盾の最たるものだ。選挙を控え「原発ゼロ」を打ち出したい打算が政策判断をゆがめている。
 福島第1原発事故を経て原子力への依存は減る。しかし原子力の放棄は賢明ではない。資源小国の日本は積極的に原発を導入し、石油危機以降は、原子力と天然ガス火力などを組み合わせ脱石油依存の道を歩んだ。
 今は自然エネルギーをもうひとつの柱として伸ばし、電力の安定供給と温暖化ガスの排出削減をともに実現すべき時だ。原子力の維持は国民生活や産業の安定をかなえる有用な選択肢だ。かつての化石燃料依存に戻るのはいけない。
 廃炉と放射性廃棄物の処分は、「原発ゼロ」でも避けられない課題だ。原発維持を通じて優秀な人材と技術を育て保つことが不可欠だ。いったん散逸した人材や技術は容易には戻らない。
 世界では多くの国が原発を建てようとしている。原子力安全や核不拡散のため日米間のより緊密な連携が必要な時でもある。「原発ゼロ」は日米協力に影を落としかねず、国際関係への思慮を欠く。
 「原発ゼロ」で技術人材や国際的信頼などが回復できないまでに失われないか心配だ。国益を損なう選択と言わざるを得ない。

(5)アメリカなどは、日本政府の「原発ゼロ」方針に懸念をしました。
FNN(09/13 21:27)
日本政府の「原発ゼロ」方針に米・英・仏が懸念示す

 「2030年代に原発ゼロを目指す」とする日本政府の方針について、アメリカ、イギリス、フランスが懸念を示していることがわかった。
 民主党の前原政調会長は「(米国側から)意図せざる影響もあり得る」、「柔軟性を残してほしい」、「原発ゼロを目指すということを日本政府が決めた場合の負の影響を、なるべく最小化してもらいたい(との話があった)」と述べた。
 ワシントンを訪れている前原政調会長は、エネルギー省のポネマン副長官と会談し、この中で、ポネマン副長官が、原発ゼロを目指す日本政府の方針について、「重要かつ深い結果をアメリカにももたらすことになる」と、懸念を示したことを明らかにした。
 ポネマン氏は「唯一の被爆国として、プルトニウムのストックを最小限に」するよう求めたほか、石油が値上がりしていることに触れ、「第3位の経済大国が石油を買いあされば価格に影響する」とも指摘した。
 一方、藤村官房長官は、日本が使用済み核燃料の再処理を委託しているイギリスから、再処理後に日本に返還する放射性廃棄物を、エネルギー政策の転換後も継続して引き取るよう求められたことを明らかにした。
 日本駐在のイギリスのウォーレン大使が11日、首相官邸を訪れて、藤村長官に要請し、藤村長官は「イギリスと日本の信頼関係を損なわないようにする」と答えた。
 また、日本駐在のフランスのマセ大使が13日午後、首相官邸を訪れ、藤村長官と会談し、「2030年代に原発ゼロを目指す」とする日本政府の方針について意見交換した。
 フランスのマセ駐日大使は「エネルギー分野で、フランスと日本がこれまで培ってきた協力関係に、全幅の信頼を置いている」と述べた。
 日本は、フランスにも使用済み核燃料の再処理を委託しており、藤村長官は、使用済み核燃料の再処理事業を継続する方針を説明し、理解を求めたとみられる。

(6)また、財界の総本山である日本経団連の会長も、野田首相に対し直接電話で「原発ゼロ」に反対を表明した。
朝日新聞2012年9月13日19時49分
経団連会長「原発ゼロ了承しかねる」、首相に直接電話

 経団連の米倉弘昌会長は13日、2030年代に「原発ゼロ」を目指すとの政府方針について、野田佳彦首相に直接電話し、「了承しかねる」と伝えた。首相は「これから色々と説明したい」と答えたという。米倉会長がこの日、緊急記者会見を開いて明らかにした。
 米倉会長は会見で「無理に政策を進めると、電力価格が高騰し、供給不安が生じる。原発ゼロを宣言すると、原発の安全を支える技術の維持・向上や人材確保が難しくなる」と指摘。日米の外交、安全保障にも悪影響が出るとの懸念を首相に伝えたという。
 経団連はこれまで野田首相とは良好な関係を保ってきたが、今回の原発ゼロをめぐる動きについて、米倉会長は「首相は立派な方だが、取り巻く閣僚が選挙を意識して右往左往している」と批判した。

(7)そして、枝野経済産業大臣は、青森県知事や原子力施設のある市町村の首長らと青森市で会談し、電源開発大間原子力発電所と中国電力島根原発3号機の建設再開・稼働を事実上、容認する考えを伝えた。
読売新聞 9月15日(土)12時50分配信 最終更新:9月15日(土)13時20分
経産相、大間原発・島根3号機の建設を容認

 枝野経済産業相は15日、青森県の三村申吾知事や原子力施設のある市町村の首長らと青森市で会談し、東日本大震災後に工事を中断した電源開発大間(おおま)原子力発電所(青森県大間町)と中国電力島根原発3号機(松江市)の建設再開・稼働を事実上、容認する考えを伝えた。
 両原発の建設が再開されれば、震災後初めての原発建設となる。
 政府は14日に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」に、2030年代に原発の稼働をゼロにする目標を明記した。運転期間を40年とする政府の原則に従えば、建設を再開した原発は50年代まで稼働できることになり、新たなエネルギー戦略の矛盾を早くも露呈する形となった。
 枝野氏は会談で「原子炉の設置と工事計画許可が与えられている原発について、経産省の立場として変更は考えていない」と述べ、19日に発足する原子力規制委員会が安全を確認すれば、建設再開・稼働を認める方針を示した。
 建設中の原発は、大間、島根3号機のほか、東京電力東通(ひがしどおり)原発1号機(青森県東通村)がある。ただ、東通1号機について、枝野氏は「東電が原子力について議論できる段階ではまだない」と述べており、建設再開の対象にはならないとみられる。

(8)財界3団体は「原発ゼロ」に反対を表明し、日本経団連会長は国家戦略会議の議員の辞任を口にし圧力を加えた。
時事通信(2012/09/18-18:16)
原発ゼロ「反対」表明=経団連会長は戦略会議員辞任も−経済3団体

 経団連の米倉弘昌会長、日本商工会議所の岡村正会頭、経済同友会の長谷川閑史代表幹事は18日、緊急記者会見を開き、政府の「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」との方針に足並みをそろえて反対を表明した。年初を除き、経済3団体トップの共同会見は極めて異例。経済界が政府への反発姿勢を鮮明にした格好だ。
 また、米倉氏は、自らが務める国家戦略会議の議員について「今後の対応はいろいろと考える」と述べ、辞任を含めて検討する意向を表明。原発ゼロ方針が報告された同日の戦略会議は抗議の意味を込めて欠席した。

(9)こうして、野田内閣は、閣議決定で、2030年代の原発ゼロを目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を参考文書扱いにしてしまい、閣議決定は事実上見送ってしまった。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版2012年 9月 19日 9:06 JST
「原発ゼロ」、見直し=新エネ戦略、閣議決定見送り―政府

 政府は19日午前の閣議で、2030年代の原発稼働ゼロを目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を参考文書として扱い、閣議決定は事実上見送る。原発ゼロに反対する経済界や米国、原発を抱える自治体の意向に配慮した。新エネ戦略を踏まえエネルギー政策を遂行していくことは閣議決定する。 
[時事通信社]

(10)これにつき、日本経団連会長は、「原発ゼロ」が回避されたとの認識を示し、念押しした。
2012年 9月 19日 12:26 JST
「原発ゼロ回避」と認識=米倉経団連会長

 19日午前、政府の2030年代の原発稼働ゼロ方針について「閣議の中で議論がなかったようで、一応回避できたのではないか」との認識を明らかにした。都内で記者団に述べた。
 一方、閣議決定が、原発ゼロを盛り込んだエネルギー・環境戦略を「踏まえて」としていることに「戦略自体は変わっていない」と警戒感も表明。「不断の検証と見直し」の文言にも「いつごろ見直すのか。だったらこの戦略は何なのか」と不信感を示した。 
[時事通信社]

(11)枝野幸男経済産業大臣は青森県の4市町村長と経産省で会談し、「核燃料サイクル政策」を続ける方針を改めて説明した。
朝日新聞2012年9月20日22時52分
枝野経産相「原発ゼロは目標」 青森の4市町村長に説明

 枝野幸男経済産業相は20日、原発関連施設がある青森県の4市町村長と経産省で会談し、原発で使い終わった燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」を続ける方針を改めて説明した。「2030年代に原発稼働ゼロ」をめざす革新的エネルギー・環境戦略の考え方については、「原発ゼロは目標」などと語ったという。
 会談後にむつ市の宮下順一郎市長が明らかにした。会談で宮下氏らは「原発ゼロと核燃料サイクルの継続との整合性はなぞめいていて、理解できない」と主張した。枝野氏は「(核燃料サイクル継続の)約束を守りながら、ゼロにしていきたい。ゼロにできるか見極めは難しいが、まずやってみる。ゼロは目標である」と答えたという。
 宮下氏は記者団に「ゼロは目標という発言があったので、周囲の状況を見極めながら進めていくことだと理解した」と語った。

(12)以上のような政府の後退した姿勢・動きに対し、福島第1原発事故の被災地首長は怒りを表明した。
毎日新聞 2012年09月20日 地方版
エネルギー・環境戦略:政府・原発ゼロ目標後退 「国民をばかに」 被災首長から怒りの声 /福島

 「国民をばかにしているのか」−−。2030年代に原発稼働ゼロを目指すとした「革新的エネルギー・環境戦略を政府が決定してわずか5日。この戦略の閣議決定が見送られたことに、福島第1原発事故の被災地首長から怒りの声が噴出した。
 全域が避難区域になった川内村の遠藤雄幸村長は「抵抗勢力がいるのは当然。それで方針がぶれることはリーダーとして一番やってはいけない」とあきれた様子。南相馬市の桜井勝延市長も「犯罪に近い行為。何のための意見聴取会だったのか。財界の圧力に屈したとしか思えない」と怒りをあらわにした。【深津誠、高橋秀郎】

(13)同様に政府の後退等を批判する新聞社説を幾つか紹介しておく。
東京新聞2012年9月20日
【社説】閣議決定見送り 脱原発の後退許されぬ

 政府が「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送った。二〇三〇年代の原発稼働ゼロという目標すら後退しかねない。脱原発に本気で取り組む意気込みが野田佳彦首相にあるのか、疑わしい。
 首相に原発稼働ゼロを実現する強い決意があるのなら、こんな結末にはならなかったはずだ。
 政府は先週「三〇年代の原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という戦略を決定した。
 ところが閣議決定したのは、この戦略を「踏まえて、関係自治体や国際社会などと責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」ことだ。この場合「踏まえる」には「参考にする」程度の意味しかない。
 原子力関連施設のある関係自治体や、日本と原子力協定を結んで核燃料を供給する国際社会と議論し、原発推進を望む経済界を含む国民の理解を得つつ、柔軟性を持って見直すのは、原発稼働ゼロを阻止する言い訳にも聞こえる。
 藤村修官房長官は、実際に三〇年代に原発稼働ゼロを実現するかどうかは「総合資源エネルギー調査会が決める」と述べた。この調査会は原発推進の役目を担ってきた経済産業相の諮問機関である。
 そこに最終判断を委ねるのは、原発稼働の継続を端(はな)から容認しているようなものではないか。
 首相は民主党代表選の記者会見で「一時的な感情ではなく、原発に依存しない社会を目指すという強い覚悟が(国民に)出てきている。政府もそれを受け止め、覚悟を決めた対応をしなくてはならない」と述べた。
 そもそも国民の多くが求めていたのは三〇年までの原発稼働ゼロ実現である。それを最大で十年間も猶予する甘い目標を定め、それすら閣議決定できずに「覚悟を決めた対応」とは聞いてあきれる。
 できもせず、やる気もないのに選挙目当てで一時的に国民の歓心を買うことを言い、結局、欺くようなことが許されるはずはない。
 きのう発足した原子力規制委員会の田中俊一委員長ら五人の委員人事でも首相は必要な国会での同意を得ず、規制委設置法の例外規定に基づいて任命した。
 「原子力ムラ出身者」の起用に民主党内でも反発が広がり、党の分裂回避を優先させたのだろう。
 あまりにも姑息(こそく)、党利優先で、国会軽視も甚だしい。こんな内閣には、もはや国民の生命と財産を守る役目を担う資格はない。

毎日新聞 2012年09月20日 02時31分
社説:原発ゼロ政策 政権の覚悟がみえない

 これでは政策実現への決意が疑われる。野田内閣は、原発ゼロ20+件目標を盛り込んだ「革新的エネルギー・環境戦略」に関し、柔軟に見直しながら遂行するという方針だけを閣議決定し、新戦略そのものは参考文書にとどめた。
 政府に対する拘束力が弱まり、脱原発は骨抜きになりかねない。野田内閣は、国民的議論を踏まえた決定の重みを認識し、脱原発への覚悟を示すべきだ。
 政策は閣議決定されることで、内閣の意思として確定し、その決定は変更されない限り、歴代内閣を拘束する。閣議決定をしないのでは、政策実現に責任を持つ意思を疑われても仕方ない。
 そもそも、新戦略づくりが大詰めを迎えた段階でも、内閣の腰は据わっていなかった。
 反原発の世論を受け、「原発ゼロ20+件」を目標に掲げたものの、使用済み核燃料を大量に中間貯蔵している青森県や、核燃料サイクルに協力してきた米英仏に配慮し、核燃サイクルは継続することにした。
 新戦略の実現に向け、新法制定も予定していたが、最終段階でその構想は戦略の文面から削除された。
 それでも、「原発ゼロ20+件」の目標は維持して、原発拡大路線からの政策転換を打ち出したが、戦略決定後も収まらない原発の地元自治体や経済界、米国などの反発に配慮して、閣議決定を見送った。
 こうした腰砕けとも思える修正が続く一方で、原発依存の継続につながる動きが出ている

信濃毎日新聞09月20日(木)
原発ゼロ 国民を欺く閣議決定

 原発ゼロの目標を盛り込んだ「革新的エネルギー・環境戦略」について、野田佳彦内閣が真正面から閣議決定することを避けた。何とも分かりにくく、曖昧な政府方針となった。
 「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」との目標は何だったのか。首相の本気度が早くも疑われる。このままでは脱原発を望む国民の声は生かされないだろう。首相は原発ゼロを確かなものにする姿勢を示すべきだ。
 政府がエネルギー・環境会議で新戦略を決定したのは14日である。原発ゼロとともに、▽40年運転制限の厳格な適用▽原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働▽原発の新設・増設はしない―の3原則を掲げた。
 19日の閣議決定は、「『革新的エネルギー・環境戦略』を踏まえて、関係自治体や国際社会などと責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との内容である。
 福島第1原発の事故を踏まえ、新たなエネルギー戦略を構築するのが、野田政権の課題だった。そのために、30年の原発比率について三つの選択肢を示し、「国民的議論」を重ねてきた経緯がある。新戦略は、脱原発の強い世論に後押しされた結果だったはずだ。
 それなのに、「踏まえて」という表現で、肝心の中身についての閣議決定を巧妙に回避した。「不断の検証と見直し」との条件まで付けている。目標を骨抜きにする含みが感じられる。国民を欺くやり方と言わざるを得ない。
 枝野幸男経産相が、青森県の大間原発など建設中の原発について「設置許可を出した原発は、変更することは考えていない」と、建設継続を容認する発言をしている。新戦略決定の翌日である。
 新戦略に照らせば、こんなことは言えないはずだ。ゴーサインと取れる発言を簡単に口にする枝野経産相の感覚が理解できない。野田内閣の原発ゼロ目標は形だけではないか、との疑問にきちんと応えてもらいたい。
 それでも政府が原発ゼロを掲げることに意味がある、と私たちは考えている。自民党総裁選の候補者が目標をそろって批判しているからだ。野田政権の方針が本物なら、次期総選挙の対立軸になり得るだろう。
 原発ゼロは、野田政権の試金石である。新戦略を堂々と閣議決定し、そのうえで脱原発に向けた法律の制定を目指すことを、あらためて求めたい。

北海道新聞社説(9月21日)
原発ゼロ戦略 後退は国民への背信だ

 「原発ゼロ」の実現を願う国民への背信行為ではないか。
 政府は2030年代に原発稼働ゼロを目指す新しいエネルギー政策「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送った。
 新戦略そのものを参考文書扱いとし、「柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」といった短い方針だけを閣議決定したにすぎない。
 原発ゼロ方針に立地自治体や経済界が強く反対したほか、日本と原子力協定を結ぶ米国も懸念を表明し、軌道修正を迫られたためだ。
 閣議決定は内閣の意思を明確にし、今後の政策実現に責任を負うために不可欠な手続きである。参考扱いでは拘束力が弱まり、肝心の原発ゼロさえ骨抜きになりかねない。
 そもそも新戦略自体が生煮えだ。原発ゼロの目標を掲げながら、使用済み核燃料の再処理事業を継続する方針はその典型と言える。
 立地自治体などとの調整が不十分で、新戦略決定の土壇場で右往左往する不手際も目立った。
 さらに関係閣僚からは新戦略と矛盾する発言が相次いでいる。
 新戦略で原発の新増設は行わないと明記されたにもかかわらず、枝野幸男経済産業相は工事が中断している電源開発大間原発(青森県大間町)と中国電力島根原発3号機(松江市)の建設再開を認めた。
 40年で廃炉にする原則を適用しても30年代に原発ゼロにはならないのは明白だ。
 2年前から運転を停止している高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)についても二転三転した。地元に対していったんは廃炉への理解を求めながら、反発を受けると一転して開発継続の意向を伝える迷走ぶりだ。
 野田佳彦首相は原発ゼロ目標はぶれていないと強調、「大方針は間違いなく閣議決定した」と弁明した。
 であるならば「(原発ゼロは)いちおう回避できた」(米倉弘昌経団連会長)などと一様に歓迎している経済団体にきちんと真意を伝える必要があるのではないか。
 政府による一連の国民的議論で、多くの国民が原発ゼロを支持した結果が新戦略の背景にあるはずだ。政府は脱原発に向けて道筋を付ける使命を忘れてはならない。
 原発ゼロ目標を盛り込んだ新戦略全体を閣議決定できなかった責任の重大さを肝に銘じるべきだ。
 再生可能エネルギーの普及拡大や電力システム改革の具体策が先送りされていることも気に掛かる。早急に提示すべきだ。
 脱原発への取り組みをこれ以上、後退させてはならない。

愛媛新聞社説2012年09月21日(金)
原発ゼロ閣議決定せず 政治の覚悟が聞いてあきれる

 「2030年代原発ゼロ」との目標を掲げた政府の新たな「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定が、見送られた。
 新戦略の決定から、わずか5日。まさかの腰砕けにがくぜんとする。国の未来を左右するエネルギー政策の大転換を掲げながら、矛盾や反発を解消する努力もしないまま、入り口ですぐさま「原発ゼロの旗」を降ろすとは、政治の「覚悟」が聞いてあきれる。エネルギー政策を大きく後退させかねない愚挙であり、到底容認できない。
 国策の根幹に関わる新戦略は当然、閣議決定すべき重い方針。決定されれば内閣の総意となり、政権が代わっても拘束力を持つ。それを、反発におびえて「参考扱い」にとどめ、「新戦略を踏まえて…不断の見直しを行う」という対応方針だけを閣議決定し、お茶を濁した。あまりに未熟な政治の振る舞いである。
 野田佳彦首相は「(原発ゼロ)目標は不変だ」と強弁する。しかし、誰が見ても骨抜き、格下げは明らか。政府は今後、関連の具体策は閣議決定を目指すというが、ゴールや理念を玉虫色にしたまま賛否の分かれる大問題を決着させ、進めることは不可能に近い。順序が逆ではあるが、当初の理念を堅持した上で、具体的、現実的な脱原発の道筋を練り直し、早急に提示し直してもらいたい。
 そもそも新戦略が、多くの問題と矛盾を内包し、原発推進・反対の両派から批判を浴びる曖昧、急ごしらえな内容であったそしりは免れない。
 原発ゼロと言いながら、使用済み核燃料の再処理事業は続ける。新増設はしないとしながら、建設中の原発は続行を容認する。使用済み核燃料の貯蔵、最終処分をどうするのかも未定…。これでは、国民の側も半信半疑に受け止めざるを得ないだろう。
 米国など諸外国から、核兵器に転用可能なプルトニウムが蓄積されるのではとの不名誉な疑念を抱かれてもいる。国家の意思が、内外から全く信用されない事態を招いた政治の責任は、極めて重い。
 今更ではあるが、一刻も早く細部を詰め、代替エネルギー確保の明確な工程を示し、原発立地地域をはじめ国民に丁寧に説明してもらいたい。それができなければ、戦略は完全に宙に浮いてしまう。
 「いま時期尚早と言う人は100年たっても時期尚早と言うだろう」と述べたのは、プロサッカーJリーグ発足に尽力した川淵三郎氏。「原発ゼロ」は、取り返しのつかない代償を教訓にたどり着いた必然の道で、踏み出すのは時期尚早どころか、遅すぎた帰結ともいえる。稚拙な政治によって、その道を見失い、諦めることのないよう、戦略の行方を注視したい。

琉球新報社説2012年9月21日
閣議決定見送り 原発ゼロ政策でぐらつくな

 朝令暮改も極まれりという失望を禁じ得ない。政府は、2030年代に原発ゼロ目標を盛り込んだ「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を事実上、見送った。
 政府は先週末の新戦略決定で、脱原発方針に大きくかじを切ったはずだが、反発する経済界や関係自治体などに配慮し、新戦略を参考扱いとする玉虫色決着を図った。
 新戦略は原発ゼロを掲げたが、原発維持が前提となる使用済み核燃料の再処理事業の継続方針との矛盾や、課題の先送りも目立つ。
 閣議決定見送りで、原発ゼロ決定の拘束力が弱まるのは避けられない。政府の重要政策は、文書全体を閣議決定するのが通例だからだ。国民の多くが求める「脱原発」を掲げたのは、選挙目当てだったと批判されても仕方あるまい。
 軸足のぶれは、野田佳彦首相が脱却を目指した“決められない政治”そのものだ。八方美人的な対応を続けるならば、国民生活の変革につながるエネルギー政策の大転換など到底望むべくもない。
 原発ゼロに対しては、日本と原子力協定を結ぶ米国が懸念を示したとされ、政府が閣議決定を避けた最大の理由とも指摘される。安全保障政策に加え、エネルギー政策でも米国の顔色をうかがうのなら、日本は主権国家と言えない。
 今後、新戦略を基に策定するエネルギー基本計画は、閣議決定が法律で義務付けられているが、肝心の新戦略すら閣議決定できないのに、基本計画の実効性を担保できるのか。基本計画に原発ゼロを明記できるか民主党政権の本気度が問われる。
 くしくも閣議決定を見送った同じ日に、原子力の安全規制を一元化する原子力規制委員会と事務局の原子力規制庁が発足した。原発事故の反省を踏まえ、「原子力ムラ」との決別と、地に落ちた原子力行政の信頼回復が最大の目的のはずだが、実態は程遠い。
 政府は、規制委員長に長らく原発推進側の立場にあった田中俊一氏を国会の同意もなしに登用したほか、規制庁幹部には原子力を推進する関連省庁の出身者が名を連ねるからだ。
 新組織には規制の名こそ付くが、世論の風圧を避けるための弥縫(びほう)策で、原子力ムラの利権を温存しているとも受け取られかねない。原子力行政の刷新を真に誓うのであれば、第三者機関による委員選定など人事をやり直すべきだ。

高知新聞2012年09月21日08時22分
【閣議決定見送り】 問われる「原発ゼロ」の覚悟

 エネルギー政策を大転換する原発ゼロ路線を打ち出したものの、これでは腰砕けではないか。
 政府の新エネルギー戦略の先行きが早くも怪しくなってきた。
 福島第1原発事故の反省を踏まえ、政府が「2030年代に原発ゼロ」とする新戦略を決定したのは1週間前。だが、その道筋を付ける文書の閣議決定が見送られてしまった。
 政府の重要政策は、文書自体を閣議決定するのが通例だ。決定されれば、政権や内閣が代わっても新たな閣議決定をしない限り、遂行の責任を負う。
 今回の閣議決定文には、原発ゼロ目標や代替エネルギー案など新戦略の中身は一切入っていない。
 反発した産業界や原発立地自治体への配慮があったのだろう。欧米が絡む核燃料サイクルも影響したはずだ。決定文は、関係自治体や国際社会などと議論し、「不断の検証と見直しを行いながら遂行する」と記しただけだ。
 盛り込まれなかった新戦略は「参考文書」扱いとなり、政府への拘束力は弱まってしまう。こんな状況で原発ゼロの目標へと進めるのか。政府の覚悟を疑った国民は多いはずだ。
 政府が「国民的議論」の場とした意見聴取会や大規模な世論調査では、国民の過半数が原発に依存しない社会を望んだ。その意思が、新戦略には反映されたのではなかったのか。拘束力が弱い参考文書にしたのでは、多くの国民の思いを裏切ることにもなる。
 新戦略は、私たちの日常生活は無論、産業界や原発立地自治体など多くの国民に影響する。実現には幅広い層の理解と協力が欠かせない。
 産業界は、太陽光や風力など再生可能エネルギーや火力発電の割合が増すことで、光熱コスト増への懸念を訴えてきた。原発立地自治体にも、将来の地域振興面で不安の声は根強い。
 しかし、そうした懸念や不安は新戦略発表後に噴出したのではない。国民的議論の場や政府と産業界との協議でも再三指摘されてきたはずだ。懸念を抱く産業界などに説明を尽くしてこなかった政府の責任は重い。
 基本計画が鍵に
 そもそも新戦略は、政府の覚悟が疑われるような先送りした課題が多い。その反省も必要だ。
 原発ゼロとなれば、使用済み燃料を再処理して活用する必要はない。核燃料サイクル自体を見直さねばならないが、青森県などの反発で、再処理事業を続けることにした。高速増殖炉原型炉もんじゅも、当初は廃炉が検討されたものの、放射性廃棄物の減量研究などに転用して存続させていくという。
 確立していない廃棄物の最終処分という難題を抱え、短期間で結論を出すのは難しいかもしれない。だが、原発ゼロを担保する根幹問題を先送りしては、目標達成はおぼつかない。
 新戦略の発表後、枝野経済産業相は工事中断中の青森、島根両県の2原発について建設続行を認めた。稼働すれば、50年代半ば以降まで運転が可能となる。「30年代に原発ゼロ」との整合性はどうなるのか。矛盾していると言わざるを得ない。
 新戦略の閣議決定は見送られたが、新たに政府が策定するエネルギー基本計画は閣議決定が法律で義務付けられている。多くの国民の意思を受けて決定した原発ゼロ目標が果たして盛り込まれるのか。「不断の検証と見直し」の必要性も否定しないが、目標へと進む政府の覚悟こそが問われている。
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